#充電
TEXT:御堀直嗣
なんで急速充電のタイプがこんなにある? 世界で統一していない理由は各国のくだらない意地の張り合いでしかない

日本の急速充電器規格はCHAdeMO 電気自動車(EV)の充電口は、地域や国によって種類が異なる。 充電にはふた通りある。ひとつは200Vによる普通充電で、おもに自宅や仕事先、あるいは宿泊先などで、時間をかけて充電する方法だ。もうひとつが急速充電と呼ばれるもので、高電圧の大電流を使い、短時間に充電を行う。このため、移動途中での経路充電で利用される。 よく話題にのぼるのは、その急速充電についてだ。充電の規格は、普通充電にも急速充電にも存在するが、多くの人が気にするのは、急速充電だろう。 日本で使う急速充電は、CHAdeMO(チャデモ)と名付けられた方式だ。これが世界初の急速充電規格である。なぜなら、EVを量産市販したのは日本のメーカーが最初であるからだ。しかも、世界へ販売することを目指し、世界各地にこの急速充電規格を広め、実際、欧米やアジアにその実績がある。CHAdeMOは、今日も継続的に世界で活動を行っている。 当初は、EVの量産市販に積極的でなかった欧米自動車メーカーだが、フォルクスワーゲン(VW)のディーゼル排気偽装が2015年に米国で表面化したことにより、ディーゼルエンジンの行く末に疑念が生まれ、EV化が一気に加速した。 そもそも、米国カリフォルニア州で1990年にZEV(ゼロ・エミッション車)法が施行されたとき、一番の目的は大気汚染防止にあった。そのうえで、排気がなければ二酸化炭素(CO2)の排出もなく、温室効果ガス(じつはCO2よりメタンの方が影響は大きい)に対応できることから、ディーゼルエンジンを止めてEVへの転換が起こった。 2000年前後、欧州は、ハイブリッド車を含め電動化しなくても、燃費のよいディーゼルエンジンで温室効果ガスを削減できるとした。しかし、そこに大気汚染防止の視点が欠けていた。結果として排気に含まれる有害物質について偽装が行われたのである。じつは、当時すでに欧州では大気汚染が目に見えるかたちで進み始めていたにもかかわらずである。 話を元へ戻すと、そうした背景から、欧米は日本に遅れて充電規格の課題に直面した。それに際し、日本の規格をそのまま導入するのは不本意との思惑から、あえて別規格を打ち立てたのである。それが、コンバインド方式、一般にCCS(コンバインド・チャージング・システム)と呼ばれる、CHAdeMOと別の充電規格だ。 世界統一の機会を阻んだのは、後発の欧米である。そしていまなお、潜在性能や安全性の点でCHAdeMOが上まわっている。その理由は後述する。

TAG: #充電 #規格
TEXT:琴條孝詩
台数が増えたらやっぱり問題も増えた! EV乗りが「急速充電スポット」で見かけるトラブル事例TOP3

EVの普及により増えるトラブル EVの普及が進むにつれ、充電スポットでのトラブルが増加している。とくに急速充電器では、限られた設備を大勢で共有するため、思わぬトラブルが発生することがある。今回は実際に起きた、あるいは起こり得るトラブル事例を紹介しよう。 <TOP3:プラグ抜き取り問題> まず、もっともゾッとするのが「充電中にプラグを抜かれる」という問題だ。想像してみてほしい。ショッピングモールで買い物を終えてEVに戻ると、充電ケーブルが外れている。確かに充電終了時間を5分過ぎていた。かといって、他人のクルマのプラグを勝手に抜くか!? とはいえ、このような“事件”はたまに起こっているようだ。単にプラグを引き抜かれるという嫌がらせ。ときには、充電途中で勝手に引き抜いて自分のクルマに充電する猛者もいるらしい。こうなるともはや嫌がらせの域を超え、暴力的な行為ともいえよう。 しかしこの行為、じつは礼儀に反するだけでなく、法律的にも問題となる場合もある。最近は、充電ステーションに監視カメラを設置するところも増えている。つまり、そういったトラブルも想定内というわけだ。後日、警察からの呼び出しを受けることなどないよう、くれぐれもお気をつけを。 <TOP2:充電完了車放置問題> ショッピングセンターなどで多いのが、充電が完了したクルマに長時間ドライバーが戻らない問題。多くの急速充電器は30分間の充電が上限となっている。30分経つと充電は自動的に終了するが、それでも買い物や食事に夢中になっているのか、クルマに戻らず、そのまま放置されていることがある。なかには充電完了後、1時間以上も戻ってこないケースもあり、待機しているクルマのドライバーたちを苛つかせている。 また、待っている人がいるのに“おかわり”するドライバーもいる。30分で充電停止になったのに続けて充電する人だ。これもよく口論しているのを目にする。 ショッピングセンターのなかには監視員がいるところもあるが、監視員にこれらの問題にクレームをつけても彼らとしては「駐車する権利はドライバーのもので、充電はサービスに過ぎないので注意できない」と、ドライバー同士の諍いには介入しないようにしているようだ。また、内燃機関(ICE)車が充電スペースに駐車していることもあり、EVユーザーにとって大きなストレスとなっている。

TAG: #充電 #急速充電
TEXT:高橋 優
中国の電気自動車「BYDシール」のリアルな航続距離と充電性能は? AWDモデルを長距離走行してテストした

BYDシールのEV性能をテスト! BYDのフラグシップセダンであるシールAWDで恒例の航続距離テストと充電性能テストを行いました。とくに真冬にどれほどのEV性能を実現することができたのか。リアルワールドにおける航続距離や充電スピードを詳細リポートします。 *主要スペック(※は推定値) ・搭載バッテリー容量(グロス/ネット):82.56/※80kWh ・日本WLTCモード(WLTCモードクラス2)航続距離:575km ・EPA航続距離:※450km ・最大充電出力/SOC 10-80%充電時間:105kW/非公表 *装着タイヤ ・235/45/R19 ・Nokian Hakkapeliitta R5(スタッドレスタイヤ) ・空気圧:2.5/2,9(前輪/後輪)(適正値2.5/2.9) *航続距離テスト まず、航続距離テストの前提条件は以下のとおりです。 ・GPSスピードの平均車速が時速100kmになるように調整 ・途中ノンストップ ・充電残量100%付近までサービスエリア下り線で充電したあと、途中のインターで折り返して、同じサービスエリア上り線まで戻ってくる。充電残量は10%程度以下まで減らし切る ・車内の空調システムは基本的に21℃オート。一部車種で温度調整あり(今回のシールAWDの場合は24℃オートに設定) ・車種それぞれのオドメーターとGPS上の距離を補正(今回のシールAWD・19インチスタッドレスタイヤ装着の場合はGPS距離との乖離なし) 結果:蓮田SA下り→白河IC→蓮田SA上り ・走行距離:306.4km ・消費電力量:100%→10.6% ・平均電費:4.32km/kWh(231.7Wh/km) ・外気温:1〜7℃ よって、航続距離テストの結果から、充電残量100%状態からSOC0%になるまで、344kmを走破可能であることが確認できました。 *ハイスピードテスト 次に、ハイスピードテストの前提条件は以下のとおりです。 ・GPSスピードの平均車速が時速120kmになるように調整 ・途中ノンストップ ・車内の空調システムは基本的に21℃オート。一部車種で温度調整あり(今回のシールAWDの場合は24℃オートに設定) ・車種それぞれのオドメーターとGPS上の距離を補正(今回のシールAWD・19インチスタッドレスタイヤ装着の場合はGPS距離との乖離なし) 結果:蓮田SA下り→佐野藤岡IC→蓮田SA上り ・走行距離:76.7km ・消費電力量:80.6%→54.1% ・平均電費:3.49km/kWh(286.8Wh/km) ・外気温:3〜5℃ よって、ハイスピードテストの結果から、充電残量100%状態から空になるまで、289.5kmを走破可能であることが確認できました。 *充電性能テスト ・使用充電器:150kW級急速充電器(ABB製/ブーストモード/空冷ケーブル) ・SOC10%〜80%充電時間:39分 ・最大充電出力(SOC):105kW(63%) ・30分回復航続距離(外気温平均4℃での航続距離テストベース):185km

TAG: #充電 #長距離
TEXT:渡辺陽一郎
充電中は「車内で待つ」がベスト! EVで急速充電器トラブルを避ける最低限のマナーとは

充電中は車内にいるようにしたい EV(電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド/充電の可能なハイブリッド)を使っていると、自宅だけでなく、高速道路のサービスエリアなどで急速充電する機会もある。このときに大切なのが利用するときのマナーだ。 充電しているときのケーブルは、歩行者が車両の付近を通っても足が引っかからないように、なるべく車両側に寄せておきたい。乱雑にならないように注意する。 そして充電中は、なるべく車内にいるようにしたい。充電時間を利用して食事をするなら、サービスエリアのレストランには入らず、売店で弁当を買ってきて車内で食べる。レストランに入ると、注文してから食事を始めるまでに予想以上の時間がかかり、充電が終了しているのに車両を放置する心配も生じるからだ。充電を終えたあとの放置は、充電を待つ後続車のユーザーに迷惑をかける重大なマナー違反だから避けたい。 その点で車内にいれば、後続車両が来たときも、挨拶をしたり残りの時間を伝えられる。なお急速充電設備が混雑しているときは、充電時間は最長30分で切り上げるなどの配慮が必要だ。スマートフォンなどで検索して、なるべく空いている充電設備を選ぶことも考えたい。 そして充電が終了したら、ケーブルは正しい位置に格納する。路上に放置したりすると、歩行者の足に引っ掛かったり、後続の充電車両がタイヤで踏んでしまうなどのトラブルを引き起こす。充電を終えたあとの対処も重要だ。 充電に限らずマナーの基本は、自分が嫌なことは他人にもしない、自分が心地よいことを他人に対しても心がける点にある。そうすれば急速充電器を気もちよく使える。

TAG: #充電 #急速充電
TEXT:琴條孝詩
毎日そんなに長距離乗るか? 根拠なきEVへの「航続距離の不安」は正しい知識で見直すべき

EVオーナーの1日の走行距離の中央値は20km前後 電気自動車(EV)を選ぶ際、必ず話題に上るのが「航続可能走行距離」だ。欧米でも「レンジ不安(range anxiety)」として依然として関心を集めている。 カタログスペックを比較したり、実際の使用状況をSNSで調べたりと、多くの人がその数字に注目する。しかし、冷静に考えてみてほしい。日常的に数百kmも移動する人が、果たしてどれだけいるだろうか? 大多数のドライバーは、通勤や買い物といった近距離での利用がメインではないだろうか。それにもかかわらず、なぜここまでEVの航続可能距離に不安を感じるのだろうか? MapFanを提供するジオテクノロジーズが2023年に実施した調査で、軽EVオーナーも普通車EVオーナーも、1日の走行距離の中央値は、EVの航続可能距離にかかわらず20km前後であることが明らかになった。具体的には、航続可能距離100〜200kmのEVで約20.4km、200〜300kmのEVで約16.3km、301km以上のEVで約18.1kmとなっている。これは、現在の多くのEVの航続可能距離が300km以上であることを考えると、日常的な使用には十分すぎる距離である。 さらに興味深いのは、EVの航続可能距離と実際の走行距離に相関関係が見られないことだ。つまり、より長い航続可能距離を持つEVを所有しているからといって、必ずしも長距離を走行しているわけではないのである。これは、多くのEVユーザーが日常的な短距離移動にEVを使用していることを示唆している。 <日常利用では十分な航続可能距離、それでも消えない不安> 現在のEVの航続可能距離は、ひと昔前と比べて飛躍的に向上している。最新モデルのなかには、500km以上走行可能な車種も珍しくない。これは、東京から大阪までを休憩なしで走破できる距離に匹敵する。一般的な使い方であれば、数日に1度の充電で十分だろう。 にもかかわらず、多くの人が航続可能距離に不安を抱くのは、以下の要因が考えられる。 まず、内燃機関(ICE)車との比較だ。ICE車は数分で給油が完了し、多くの場合、航続可能距離もEVより長い。この手軽さと安心感が、長年培われてきたICE車への信頼に繋がっている。EVの場合、充電に時間がかかること、充電スポットの場所や混雑状況を考慮する必要があることが、心理的な負担となるのだ。 次に、走行環境による航続可能距離の変化が挙げられる。EVの航続可能距離は、気温、運転方法、エアコンの使用状況など、さまざまな要因によって大きく変動する。とくに山道の上り坂では航続可能距離が極端に短くなるので心理的ストレスが増長する。また、冬場はバッテリー能力が落ちるため電力を大きく消費する暖房使用時は、航続可能距離が大幅に短くなる可能性がある。 こうした変動要因の多さが、計画的な移動を困難にし、不安感を増幅させる。数百kmにおよぶ長旅では、事前に周到な充電計画が必要になることなどICE車に比べて面倒であることも否めない。

TAG: #充電 #航続距離
TEXT:渡辺陽一郎
EVで得する人は「自宅充電可&セカンドカー」! そうじゃなければ燃費のいいハイブリッドのほうが経済的にはメリットあり

充電は自宅で行うのが割安 いまは急速充電器が普及している。駆動用電池の温度管理も入念に行っているから、急速充電器の利用だけでEVを使うことも可能だ。しかし、基本的には充電は自宅で行い、急速充電器は緊急用と考えたい。駆動用電池の負荷を考えると、理想は従来と同じく普通充電になり、急速充電器は施設の都合で廃止されることもあるからだ。 また、日産は急速充電器を利用できるゼロ・エミッション・プログラム3を提供しているが、利用料金を考えると割安とはいえない。たとえばプレミアム200のプランは、月々6600円で急速充電器を200分、普通充電器を600分利用できる。 リーフGの場合、急速充電器を200分使って走れる距離はWLTCモードで約850kmだ。普通充電の600分では約400kmになる。両方合わせて1250kmだ。 一方、レギュラーガソリン価格が1リッター当たり170円として、6600円分を給油すれば39リッターになる。1リッター当たり30kmを走行可能な燃費の優れたハイブリッド車なら、39リッターで1170kmを走行可能だ。レギュラーガソリン価格が以前のように1リッター当たり140円まで下がれば、6600円で1400kmを走行できる。 しかも外出先での普通充電は使い勝手が悪いから、急速充電に頼ると、850kmで6600円を支払うことになって割高感が強まる。このように考えると、充電は自宅で行うのが割安だ。 また、EVは1回の充電で走行できる距離がエンジンを搭載するクルマに比べて短い。これを伸ばそうとすれば、大型のリチウムイオン電池が必要でボディも重くなり、モーターは大型化する。拡大の悪循環に陥ってしまう。 そうなるとEVは、自宅に充電器を設置できる一戸建てのユーザーが、買い物などの短距離移動に使うセカンドカーに適する。長距離移動にはファーストカーを使うから、EVのセカンドカーが長い距離を走れる必要はない。 このニーズに応えて、サクラはEVの国内販売ナンバーワンになった。毎月のEVの販売状況を見ると、国内で売られるEVの40%近くをサクラが占めることもある。サクラのリチウムイオン電池は20kWhと小さく、1回の充電で走行できる距離も180kmと短いが、セカンドカーとして使うなら不都合はない。軽自動車だからボディはコンパクトで、街なかの移動でも使いやすく、Xは実用装備を充実させて価格を259万9300円に抑えた。国から交付される補助金の55万円を差し引くと、実質価格は200万円少々だから購入しやすい。 以上のようにEVライフは、自宅に充電設備を設置できるユーザーが、セカンドカーとして利用するのにピッタリだ。

TAG: #充電 #所有
TEXT:琴條孝詩
同じリチウムイオンでも「種類」によって「運用方法」を変えるべき! EVのバッテリーを劣化させない「充電方法」とは

2種類のリチウムイオン電池がEVに使われている 電気自動車(EV)の普及が進むなか、バッテリーの寿命がクルマの寿命に直結するという新たな課題が浮上している。EVを長く使い続けるためには、バッテリーの適切な管理が不可欠だ。本記事では、現在主流のEV駆動用バッテリータイプとEVバッテリーを長持ちさせるコツについて解説しよう。 <EVバッテリーの基本と種類> EVに使用される主流のバッテリーはリチウムイオン電池である。高エネルギー密度と長いサイクル寿命をもつリチウムイオン電池は、スマートフォンや家電製品向けに幅広く使用され、EV用途には最適化されたものが使用されている。 リチウムイオン電池のなかでも、主に2種類のタイプがEVに採用されている。電極にニッケル・マンガン・コバルトなどを使った「三元系(NMC)」と呼ばれるリチウム電池とリン酸鉄リチウム(LFP)電池だ。 LFP電池は、コバルトを使用せず安価に製造できて安全性が高く、長寿命で熱安定性に優れているため、多くの低価格EVに広く使用されている。ただ、エネルギー密度が低く、低温時の性能低下が課題だ。BYDやテスラなどの企業が、エントリーモデルにLFP電池を採用している。 “三元系”のニッケル・マンガン・コバルト(NMC)電池は、高エネルギー密度を誇り、テスラ・モデルSなどの長距離走行EVに使用されている。エネルギー密度、寿命、コストのバランスが取れているため、乗用車向けに人気が高い。 <バッテリー寿命を延ばす充電のコツ> EVのバッテリー寿命を延ばすためには、適切な充電習慣が重要だ。まず、継ぎ足し充電を心がけることが大切。とくに「三元系(NMC)」電池の場合、充電レベルを20%から80%の間に保つことが理想的とされている。EVオーナーとしては、いざというときのために毎晩フル充電したい気分になるが、これはバッテリーにとって好ましくない。80%以上の充電や20%以下の放電を繰り返すと、容量が少しずつ減少していく。そのため、たとえば25%まで使用したら75%まで充電するというサイクルを心がけるといいだろう。 LFP電池に関しては、低電圧による劣化が少なく、正確な充電残量把握のための満充電メリットがデメリットを上まわるともいわれている。テスラのマニュアルでは当初、搭載されているLFPについて次のように説明していた。 「LFPバッテリー搭載車両の場合、通常走行であっても充電制限を100%に維持し、少なくとも週1回はフル充電して100%にしておくことを、Teslaでは推奨しています」 急速充電の頻繁な使用も避けるべきだとされている。急速充電は通常の充電に比べて充電速度が速いためバッテリー内での化学反応が急速に進行し、これがバッテリーの熱を増加させて劣化を早める要因となる。また、長距離ドライブ後、すぐに充電するのではなく、バッテリーを少し冷ましてから充電を開始するのが望ましい。これもバッテリーの温度管理が寿命に大きく影響するためだ。

TAG: #バッテリー #充電
TEXT:高橋 優
新型メルセデス・ベンツEQSをロングランで試した! 日本の急速充電設備だと充電性能はやや不満!!

新型EQSの航続距離&充電性能をテスト! メルセデスのフラグシップEVである新型EQSで恒例の航続距離テストと充電性能テストを行いました。とくに真冬にどれほどのEV性能を実現することができたのか。リアルワールドにおける航続距離や充電スピードを詳細リポートします。 ⚫︎主要スペック(※は推定値) ・搭載バッテリー容量(グロス/ネット):※125/118kWh ・日本WLTCモード(WLTCモードクラス2)航続距離:759km ・EPA航続距離:※601km ・最大充電出力/SOC 10-80%充電時間:150kW/53分 ⚫︎装着タイヤ ・255/45/R20 ・Goodyear Eagle F1 Asymmetric 5 MO ・空気圧:2.6(適正値2.6) *航続距離テスト まず、航続距離テストの前提条件は以下の通りです。 ・GPSスピードの平均車速が時速100kmになるように調整 ・途中ノンストップ ・充電残量100%付近までサービスエリア下り線で充電した後、途中のインターで折り返して、同じサービスエリア上り線まで戻ってくる。充電残量は10%程度以下まで減らし切る ・車内の空調システムは基本的に21℃オート。一部車種で温度調整あり(今回のEQSの場合は21℃オートに設定) ・車種それぞれのオドメーターとGPS上の距離を補正(今回のEQS450+・20インチ純正タイヤ装着の場合はGPS距離比で0.7%の下振れ) 結果:蓮田SA下り→福島飯坂IC→蓮田SA上り ・走行距離:495.2km ・消費電力量:97%→8% ・平均電費:5.04km/kWh(198.4Wh/km) ・外気温:-2.5℃〜5℃ 航続距離テストの結果から、充電残量100%状態からSOC0%になるまで、556kmを走破可能であることが確認できました。 *ハイスピードテスト 次に、ハイスピードテストの前提条件は以下のとおりです。 ・GPSスピードの平均車速が時速120kmになるように調整 ・途中ノンストップ ・車内の空調システムは基本的に21℃オート。一部車種で温度調整あり(今回のEQSの場合は21℃オートに設定) ・車種それぞれのオドメーターとGPS上の距離を補正(今回のEQS450+・20インチ純正タイヤ装着の場合はGPS距離比で0.7%の下振れ) 結果:蓮田SA下り→佐野藤岡IC→蓮田SA上り ・走行距離:76.6km ・消費電力量:90%→65.5% ・平均電費:4.44km/kWh(225.5Wh/km) ・外気温:0.5℃〜3℃ ハイスピードテストの結果から、充電残量100%状態から空になるまで、511kmを走破可能であることが確認できました。 *充電性能テスト ・使用充電器:150kW級急速充電器(ABB製/ブーストモード/空冷ケーブル) ・SOC10%〜80%充電時間:45.5分 ・最大充電出力(SOC):145kW(36%) ・30分回復航続距離(航続距離テストベース):257km

TAG: #充電 #長距離
TEXT:高橋 優
まさかの充電数5回の大誤算!? メルセデス・ベンツ「EQS」で1000kmのロングランに挑戦した

メルセデス・ベンツEQSのEV性能をチェック! メルセデス・ベンツのフラッグシップEVである新型EQSで恒例の1000kmチャレンジを行いました。果たして、テスラを超えて史上最速タイムを更新することはできたのか。途中の電費や充電の様子を詳細リポートします。 まず、1000kmチャレンジの前提条件は以下のとおりです。 *走行ルート 海老名SA下り(神奈川県) ↓ 加古川北IC(兵庫県) ↓ 海老名SA上り(神奈川県) *走行条件 ・途中充電のための停車以外はノンストップで海老名SA上りを目指す ・車内の空調システムはつねにONにして快適な状態をキープ(EQSの場合21℃オートに設定) ・追い越しなど含めて制限速度+10%までは許容 ・渋滞や充電エラー、充電渋滞など、車両の問題以外についてはトータルのタイムから除外 ・車種それぞれのオドメーターとGPS上の距離を補正(今回のEQS450+・20インチ純正タイヤ装着の場合はGPS距離と比較して0.7%の下振れなので、オドメーター上で993kmの段階でゴール) 1)海老名SA→草津PA(90kW級急速充電器) ・走行距離:384.3km ・消費電力量:98%→26% ・平均電費:4.8km/kWh(208.3Wh/km) ・外気温:6℃→3℃ ・充電セッション:26%→62%(31分) まず、この区間で注目するべきは、150kW級急速充電器が設置されている湾岸長島PAをスキップしているという点です。湾岸長島PAで充電しようとしたところ充電できず、90kW級が設置されている草津PAまで走らざるを得なくなってしまったのです。あとで調べてみたところ、充電器検索アプリ上では休止中と表示されていたものの、EQSのディスプレイ上では充電器の休止情報は反映されておらず、気づくことができませんでした。 2)草津PA→加古川北IC→桂川PA(90kW級急速充電器) ・走行距離:218.8km ・消費電力量:62%→19% ・平均電費:4.7km/kWh(212.8Wh/km) ・外気温:3℃→4℃ ・充電セッション:19%→25%(7分) すでに折り返し地点を通過。検証を行った2024年冬では湾岸長島PA以西には150kW級急速充電器が存在せず、90kW級で最小限充電を繋ぐという我慢の時間が続きます。この桂川PAでは150kW級が設置されている湾岸長島PAまで辿り着けるぶんだけ充電。やはり、100kWh級以上の大容量バッテリー搭載EVの場合は150kW級急速充電器がマストであると実感します。 3)桂川PA→湾岸長島PA(150kW級急速充電器) ・走行距離:109.0km ・消費電力量:25%→5% ・平均電費:4.7km/kWh(212.8Wh/km) ・外気温:4℃→2.5℃ ・充電セッション:5%→33%(15分) ようやく初めての150kW級急速充電器で充電です。確かに150kW級が設置されていることで高性能EVの利便性は向上するものの、仮に2台が充電すると、充電出力は最大90kWに制限されてしまい、当初想定していた充電計画が狂ってしまいます。 隣にEVがいない、来ないことを祈るしかできないのが苦しいところです。

TAG: #充電 #長距離
TEXT:琴條孝詩
「30分で80%」って聞いてたのに半分しか充電されない……は普通に起こりうる! EVの急速充電の真実とは

EVの充電速度は条件によって変わる 電気自動車(EV)の普及が進んでいる。ガソリン車に比べて環境に優しく、ランニングコストも低いEVは、まさに次世代のクルマのスタンダードとなりつつある。 そんなEVを選ぶうえで、多くの人が気にするポイントのひとつが「充電時間」だろう。ガソリン車であれば、ガス欠寸前でも数分の給油で再び走り出すことができる。しかし、EVの場合は、充電に少なからず時間がかかってしまうのが現状だ。 EVには“普通充電”と“急速充電がある。一般的に、EVでは「30分で80%まで充電可能」といった謳い文句を目にする機会も多い。 これは“急速充電”の場合だ。しかし、これには注意が必要だ。じつは、メーカーが提示する急速充電時間は、あくまで「理想的な条件下」での数値なのである。今回は、その背景にある技術的な要素と、ユーザーが知っておくべきポイントを解説しよう。 <「30分で80%」は最良の条件下での数値> EVの急速充電において、メーカーが公表する充電時間は、もっとも理想的な条件下での値である。具体的には、以下の条件が整った状況での測定値となる。 まず、バッテリーの温度が最適範囲内ということ。実際のEVでは、バッテリー管理システム(BMS)が搭載されており、バッテリーの温度を監視し、必要に応じて冷却または加熱を行うことで最適な温度を維持する。しかし、寒い地域の早朝などは外気温が低すぎて、理想的なバッテリー温度になりきらないこともある。 次に、充電開始時のバッテリー残量。「30分で80%」は概ね20%前後から充電した場合だ。ほぼ0%に近い充電残量だと当然30分で80%まで充電できないことが多くなる。また、急速充電器が最大出力で作動していることも重要ポイントだ。真夏の暑い日は出力制限をかけて出力を落としている急速充電器もある。 これらの条件が揃わない場合、充電時間は大幅に延びる可能性がある。また、バッテリー残量が80%を超えると、バッテリー保護のため充電速度が自動的に低下する仕組みとなっている。とくに90%以上になると、充電スピードは大幅に遅くなるので、急速充電で100%にしようなどとは思わないほうがいい。時間とお金の無駄である。通常100%にするのは、自宅での普通充電か、そうでなければショッピングモールの無料の普通充電で行ったほうがいい。

TAG: #充電 #充電速度

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