自動車メーカーの直販が州法違反となるカルフォルニア
ソニーとホンダが共同出資するソニー・ホンダモビリティ。量産車第一弾となる「アフィーラ」が米CES(コンシューマ・エレクトロニクス・ショー)でお披露目され、日本では都内で実車が公開されるなど、日本を代表するふたつの企業が送り出す次世代EVとして期待が高まっている。
そうしたなか、北米で本格的に発売するにあたり、ソニーホンダモビリティが課題に直面している。今年8月、カリフォルニア州新車ディーラー協会から州法違反であるとして提訴されたのだ。
訴状の詳細は省略して大まかにいえば、自動車メーカーによるオンライン販売(直販)が州法違反であるということだ。オンライン販売によるメーカー直販については、テスラが採用しているが、テスラの場合はそもそも直営の実店舗が少ないため大きな課題となっていない。
一方、既存の新車販売店(ディーラー運営会社)にとっては、全米各州毎に自動車販売に関する州法が定められており、それに従った経営を行っている。
周知のことだと思うが、改めて説明すると、自動車メーカーの定款(ていかん)は自動車の製造及び卸売りが基本である。卸売りをする相手が、新車販売店(ディーラー運営会社)。新車販売店(ディーラー運営会社)には大きくふたつの種類があり、ひとつは自動車メーカーが資本参加するケース(いわゆる直接資本『直資(ちょくし)』)で、もうひとつが地場(じば)資本の独立系だ。
日本の場合、直資が多いメーカーがある。たとえば、マツダやスバル。一方で、トヨタは東京の一部等を除いて地場資本がほとんどを占める。海外になると、直資は極めてまれで、地場資本が基本となる。そうした地場資本の新車販売店(ディーラー運営会社)は、州法に従うことに加えて、自動車メーカーとの間で交わす契約書のなかでテリトリー制などの詳細が設定されている場合が多い。
こうしたアメリカ市場の現状を踏まえて、前述にようにカリフォルニア州新車ディーラー協会としては、ソニーホンダモビリティの販売体制が、既存の新車ディーラーの運営に対して弊害が及ぶ可能性を含めて州法に違反していると主張している。
訴訟社会とも表現されることが少なくないアメリカにおいては、今回の事案は決して驚くべきことではないかもしれない。むろん、ソニーホンダモビリティとしては事前に州法に違反していないための事業計画を練っているはずであり、カリフォルニア州新車ディーラーとの間で今後、何らかの形で和解することになるのだろう。その際、違約金が発生などさまざまな交渉を経ていく必要があろう。
本件の今後の動向をしっかりとウォッチしていきたい。

























































