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「濡れた手でコンセントを触るな」なんて言われてきたけど……雨の日に屋外の充電器でEVの充電をするのは危険?


TEXT:琴條孝詩 PHOTO:日産/写真AC/TET 編集部
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雨の日も安全に充電できる

電気自動車(EV)の普及が進むなか、まだEVに馴染みがない方からよく聞かれる質問がある。そのひとつが「雨の日でも充電できるの?」というものだ。幼いころから「濡れた手でコンセントに触るな」といわれてきた私たちにとって、雨のなかで電気を扱うことへの不安は自然なものである。しかし、EVの充電システムは家庭用コンセントとは設計思想が異なる。今回は、雨天時の急速充電の安全性について説明しよう。

<EV充電器の防水・安全設計>

まず結論から述べると、当然ともいえるが、現代のEVは雨の日でも安全に充電できるよう設計されている。EVの充電ポートや急速充電器は、厳格な防水基準を満たすよう製造されている。多くの充電器と車両側のコネクタには「IP(Ingress Protection)規格」という国際的な防塵・防水性能の等級に準拠している。

充電のイメージ

たとえば、国内でもっとも多く普及しているCHAdeMO(チャデモ)コネクタの急速充電器は、ほとんどのメーカーでIP54以上となっている。つまり、防塵については「塵埃の侵入を完全に防止できないが電子機器の動作には問題がない」、防水は「あらゆる方向からの水の飛まつによって機器が影響を受けない」レベルになっている。これにより、雨が降る屋外でも安心して充電操作ができるのだ。

また、急速充電器のコネクタ部分はとくに重要だ。充電コネクタの内部は金属端子が露出しているように見えても、しっかりカバーで保護され、接続時には充電ポートとコネクタがぴったりと合わさり、水の侵入を防ぐ構造になっている。

充電口のイメージ

充電の際には、車両と充電器の間で安全性を確認する通信プロトコルが動作し、問題がなければ電力供給が開始される。たとえば、コネクタを車両に差し込んだときは、まだ電気は流れていない。コネクタがしっかりと車両側のソケットにロックされ、通信による認証や安全確認が完了して初めて、急速充電器から車両へ電力が供給される仕組みである。

この際、水分による異常が検知されれば、システムが自動的に充電を開始しないという多重の安全機構も備わっている。つまり、コネクタを差し込む段階で手が濡れていたとしても、感電するリスクは極めて低い。

さらに、充電システムは漏電対策も万全である。漏電遮断器や接地設備により、万が一の漏電ときには瞬時に電源が遮断される仕組みになっているため、使用者が感電するリスクは極めて低い。実際、日本国内ではEVの充電に関連した感電事故の報告はほとんど聞かれない。

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