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新電元工業「BC-Pro.モデル」(photo=新電元工業)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
“熱ダレ停止”の心配無用……新電元が16時間稼働可能なプロ向けのEV用充電器を発売[2023.07.31]

待ったなしの充電と連続稼働が求められる商用EVに最適 充電器設置業者も長期的視点で最適な機器の選択を 【THE 視点】新電元工業は7月27日、商用EVの基礎充電に適した60kW急速充電器「BC-Pro.モデル」を、7月27日に販売開始した。 本機器は、最新の「CHAdeMO2.0.1」を取得。大容量のバッテリーを搭載したEVトラック・バスや、多数のEVを運用する営業所といったプロの現場向けの充電器となる。 大きな特徴は、「最大16時間の連続充電に対応」「温度上昇による出力抑制なし」「決済サービスを通さないプライベート利用が可能」の3つ。詳細は以下。 「最大16間の連続充電」……独自の方式を採用したことで、従来の充電器のように4.5時間で停止せず、16時間の連続運転が可能。200kWh以上のバッテリーを搭載したEVを2台同時に充電しても夜間でフル充電。 「出力抑制なし」……装置が高温状態の際の出力抑制がないため、連続使用や猛暑が続く夏季でも安定した出力で充電が可能。 「プライベート利用」……公共充電器のような決済サービスを使用しないスタンドアロン方式のため、充電開始ボタンを押すだけで充電開始。不正利用防止のためのパスワードの設定も可能。 ちなみに充電器本体は、平面駐車場に配置しやすいデザインを採用。背が高く幅が薄い直方体形状とすることで、狭いスペースにも設置することができる。2台のEVの同時充電でも機器の操作がしやすく、ケーブルの取り回しにも配慮したという。今後はシングル出力のモデルもラインアップするとのこと。 従来の急速充電器は連続使用ができないことがあったが、現在は連日の猛暑により充電器がオーバーヒート状態になり停止・使用不可という事例も見られるようになった。 EVが普及すれば、急速充電器の連続使用・負荷も当然増えてくる。そこに酷暑が輪をかけているわけだが、この充電器がスペック通りの性能を発揮するとすれば、熱による諸問題を解決に導く頼もしい存在になり得る。充電器が置かれる環境や利用の実情に即した設計と言える。 充電器を設置する業者も、機器の値段や設置コストのみを見て決めず、長期間の運営・稼働状況を勘案した上で機器を決めることが望ましい。それがEVユーザーのためにもなるし、事業者自身の収入の安定化にもつながるはずだ。 本機器は、現在日本でも普及が拡大し、待ったなしの充電と稼働が求められる商用EVにはとても良い機器だ。しかし、プロ向けとは言わず、ぜひ民生用も開発していただきたいものだ。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★プジョー、SUVの新型EV「e-2008」を本国で発表……最大航続距離406km、急速充電30分で20〜80%のバッテリーを回復 ★★メルセデス・ベンツ、バンの「Vクラス」を本国で刷新……EVモデルの「EQV」にも新意匠を採用[詳細はこちら<click>] ★★アルパイン、EVスポーツ「A110 E-テルニエ」の一部仕様を公開……フードにリネン素材を使用し軽量化 ★ランチア、新型「イプシロン」を生産開始……第1号を生産 ★ベトナムの新興ビンファスト、アメリカ・ノースカロライナ州の工場を7月28日に起工……15万台/年を生産 ★三菱ふそう、「eキャンター」で交換式バッテリーを実証実験……米国のアンプル社のシステムを使用、今冬から日本国内にて予定 ★三菱自動車、「eKクロスEV」の2023年6月の販売が562台(前年比131.9%増)……2023年上半期の販売は5,040台 ★パナソニックエナジー、英国のバッテリー材料メーカーのネクシオンから負極材を供給……EV用バッテリーの長寿命化と米国内生産を目指す ★ステランティス、ミシュランが参画する燃料電池企業「Symbio」の株式を取得……ミシュラン/Forvia/ステランティスが対等に33.3%の株を保有 ★アウディ、2023年上半期のEVの納入台数が7万5,647台……「Q4 e-tron」が好調 ★フォードプロ、商用EVの2023年第二四半期の利益が前年同月比39%増……バッテリーのコスト減により、EVのピックアップ「F150ライトニング」の価格を引き下げ ★エネチェンジ、「アパホテル」2ヵ所にEV用充電器を設置……「伊勢崎駅前南」と「茨城古河駅前」に、最高出力6kW型を2基ずつ ★日東工業、「愛・地球博記念公園駐車場」「瀬戸市役所」「道の駅 瀬戸しなの」にEV用充電器を寄贈……最高出力6kWタイプを設置 ★アウディ、「Audi Approved Automobile金沢」<石川県金沢市>を移転オープン……最高出力150kWの急速充電器も設置予定 ★テスラ、「高崎スーパーチャージャー」<群馬県玉村町>にて特別試乗会を開催……8月05日(土)10時〜17時、「モデルY」と「モデル3」を用意 ★フォーミュラEシーズン9が終了、ワールド・チャンピオンはジェイク・デニス(アバランチ・アンドレッティ)……今シーズン通算5勝、第15戦ロンドンにて決定 デイリーEVヘッドライン[2023.07.31]

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「ドローン展2023」より(photo=福田 雅敏)
TEXT:福田 雅敏
マニアックなホビーが人を救う……小さな技術開発の上で飛んだ「ドローン」と「空飛ぶクルマ」

自治体も注目するドローン 去る6月25日〜27日、幕張メッセ<千葉市美浜区>にて、国内最大のドローン展示会「Japan Drone 2023」と「次世代エアモビリティEXPO 2023」が開催された。前回のレポートにて、ドローンに期待される役割が多岐にわたっていることが理解いただけたと思う。 ドローンの活躍の場は水中にも及ぶ。さらに運用は民間以外の公的機関も注目している。今回は後編として、水中ドローンや自治体の取り組みなどを紹介する。 海洋プラスチックゴミを収集 炎重工は、水中のゴミを集めるドローン「掃除屋ジンベイ」を展示していた。川や海で使用でき、問題となっている「海洋マイクロプラスチック」を収集するのにも有用なドローンと言えよう。水難救助ドローンなども展示していた。

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「大阪・関西万博」にて岩谷産業が運行するFC船(photo=岩谷産業)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
水素燃料電池は船舶をも動かす……岩谷産業が「大阪・関西万博」で日本初のFC船を運行へ[2023.07.25]

中之島ゲートから大阪・関西万博の会場となる夢洲をつなぐ航路に日本初就航 におい・騒音・振動などがない快適な旅客船が誕生へ 【THE 視点】岩谷産業は7月20日、2025年に開催される「大阪・関西万博」にて、水素燃料電池船(FC船)を運行すると発表した。中之島ゲートから大阪・関西万博の会場となる夢洲をつなぐ航路にて、国内初となるFC船による旅客運航を行う。運航は京阪グループの大阪水上バスに委託する方向で進めているという。 今回のFC船は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業として採択されている。 船の概要は、全長30m×全幅8m。定員は150名で船速 は10ノット(およそ20km/h)。運行時にCO2や環境負荷物質を排出しない高い環境性能を有するだけでなく、におい・騒音・振動のない快適性も備えている。 デザインは、カーデザイナーの山本 卓身氏が手掛けた。「水素の先進性を訴求すべく、未来を感じられる斬新なデザイン」を意識したようだ。本船は海上の「動くパビリオン」と位置付け、「大阪・関西万博」会場までの移動を特別な体験に変えることで水素エネルギーの魅力を世界に発信することを目指すという。ちなみに山本氏は、プジョー・シトロエンの市販車やコンセプトカーなどのデザインを担当している。 岩谷産業は、1941年に水素の取り扱いを開始して以来、製造から輸送・貯蔵・供給・保安まで一貫した全国ネットワークを築いている。FCEVに乗る筆者としては非常に身近な企業で、先の週末も2回ほど岩谷産業の水素ステーションを利用した。 岩谷は、水素事業におよそ1,800億円を投資すると発表している。今回のFC船は無関係ではないだろう。 昨今は、港湾や船舶の脱炭素化も求められるようになっている。商用FCEVと同様に、FC船は水素充填時間がバッテリー式よりも少なくて済むと思われる。その分、港に長時間停泊する必要や停泊場所の限定がないため、港湾内の交通整理も楽になるだろう。旅客だけではなく、タンカーなどへの応用も期待したい。 今回の発表は岩谷の水素事業への意気込みを強く感じ取れた。筆者もFC船に乗ってみたいと思う。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★KGモーターズ、超小型EV「ミニマムモビリティ」をMaaSに活用……1人乗りの自動運転EV事業を検討 ※MaaS:地域住民や旅行者一人一人のトリップ単位での移動ニーズに対応して、複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済等を一括で行うサービス(政府広報より) ★★ステランティス、サムスンと合弁でアメリカに2ヵ所目のバッテリー工場を建設へ……2027年初頭に生産開始を計画、34GWh/年の初期生産能力 ★★スカイドライブ、ベトナムの無人航空機事業のCTグループと「空飛ぶクルマ」導入に関する覚書を締結……最大100機の大規模プレオーダー ★新電元工業、最高出力150kWのEV用急速充電器「SDQC2F150シリーズ」が充電器の国際通信規格「OCPP」に対応……事業者が独自に料金や決済方法を設定可能になる規格、「eモビリティ・パワー」が対応済み ★スカイドライブ、大阪における空飛ぶクルマの航路実現性を調査……「大阪・関西万博」での実装を見据え、離着陸ポートや航路を検証 ★つちうらMaaS、JR常磐線神立駅<茨城県土浦市>にてグリーンスローモビリティの実証実験を開始……神立駅西口地区循環として導入(乗車無料)、2023年7月18日〜2024年2月29日まで ★テラモーターズ、道の駅「伊勢本街道御杖」<奈良県御杖村>にEV用充電器を導入……50kWタイプの急速充電器を導入予定 ★自然電力、エネルギー管理システム「シゼン・コネクト」が東京ガスのEV導入支援サービスに採用……再エネ発電や蓄電池・EVなどのエネルギーリソースを集合的に制御可能なシステム デイリーEVヘッドライン[2023.07.25]

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「第5回 建設・測量生産性向上展」にてコマツが展示していたEVパワーショベル(photo=福田 雅敏)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
建機からエンジン音が消える……コマツ、EVのパワーショベルを欧州と日本に導入[2023.07.21]

リチウムイオン・バッテリーにより稼働時間を20%延長し小型化も実現 排ガス・熱・機械騒音がなくなるなどメリット多数の次世代建機 【THE 視点】コマツは7月18日、EVミニショベル「PC30E-5」をフルモデルチェンジし、欧州市場に導入すると発表した。2023年度を「電動建機の市場導入元年」と位置付けており、今回の発表はその第一弾となる。欧州市場からの導入となるが、国内市場への導入も予定している。 「PC30E-5」は、2020年にレンタル機として日本国内に導入したモデルのフルモデルチェンジ版で、従来の鉛のバッテリーに代わり、大容量のリチウムイオン・バッテリー(LIB)を搭載している。 従来型に比べ、連続稼働時間を約20%延長し、重量は約25%軽減、後端旋回半径は約30%短縮した。稼働時間の延長と車体のコンパクト化を両立することで、より幅広い現場での稼働を実現するという。これら全ての効果はLIBの採用によるところが大きい。 3トンクラスは小型なため、都市土木や屋内の現場に使用されることが多い。排ガスの無煙化や低騒音の建機を要望するユーザーの声を反映した「PC30E-5」をきっかけに、小型クラスの電動化と市場形成を目指していくという。 コマツの電動ショベルは、「第5回 建設・測量生産性向上展」のレポート[詳細はこちら<click>]でもお伝えした「PC30エレクトリック」の製品版と思われる。会場では機械質量3,570kgで、最高出力18.7kW(25ps)のモーターで駆動すると発表していた。 その建機展にてコマツの担当者から聞いた話では、「特に欧州の建機に対する環境問題は深刻で待ったなしの状態で、国内よりも欧州が優先」とのことだった。またコマツは、バッテリー駆動以外にも、燃料電池のショベル(コンセプトモデル)も発表しており、他の建機メーカーに比べて、カーボンニュートラル化では先行しているように感じる。 さらに同会場にて、建機レンタルの業者から聞いた話では、EV建機のレンタル市場への導入の要望も出ているという。小型のパワーショベルは、日本全国で活躍していない場所はない。それらがEVになれば、環境負荷の低減は自動車以上かもしれない。 特に機械騒音が減ることは、運転手へのストレスが低減でき、住民からのクレームの低減といった計り知れない効果があるだろう。日本への早期導入を熱望する。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★新型スポーツEV「アバルト500e」が今秋に日本導入……新宿歌舞伎町タワー前にて国内初展示<7月22日(土)・23日(日)>[詳細はこちら<click>] ★★日産、「アリア」が北米にてテスラの急速充電インフラ「スーパーチャージャー」に対応、今後のEVモデルにも北米の規格「NACS」を導入、2024年以降に関連インフラ利用が可能に ★★アウディ、「ダカール・ラリー2024」に出場するEVラリーマシン「RS Q e-tron」を公開……7月11日より7日間、イベリア半島にてテスト ★テスラ、総生産台数が右肩上がり……2023年4月〜6月期の総生産台数が47万9,700台、1月〜3月期の44万808台から増進 ★東名足柄SA(上り)にてEVオーナー専用スパ「フルチャージ・サロン」が7月21日(金)よりオープン……頭のマッサージ専門店「悟空のきもち」と日産がコラボ、20分のEV充電とともにドライバーも“充電” ★ボグゾール、新型EV「コルサ・エレクトリック」の価格を決定……3万2,445ポンド(約585万円)〜、計4グレードを用意 ★アウディ、電子廃棄物からレアアースを回収する技術に投資……フライベルク工科大学と共同研究、「eモビリティの発展に不可欠な技術」 ★BMW、レーゲンスブルク工場の「X1」の生産が100万台を達成……100万台目のマイルストーンはEVの「iX1」 ★ヤネカラ、後付けの遠隔式EV用充電コントローラー「ヤネキューブ」について東京センチュリーと協業……「ヤネキューブ」の拡販を目指す ★スカイドライブ、アメリカで空飛ぶクルマを5機受注……チャーター機の運行企業「オースティンアビエーション」とプレオーダーを合意 ★NTTアノードエナジーとパナソニック、「大阪万博」にて水素のサプライチェーンを実装……NTT側が水素を生成・供給し、パナ側が燃料電池を用いて発電 デイリーEVヘッドライン[2023.07.21]

TAG: #EV建機 #THE視点 #海外ビジネス
「グリーンコープ生活協同組合ふくおか」のイメージ(photo=グリーンコープ共同体)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
福岡の生協がEVの移動販売を強化……フォロフライの商用EVと丸紅の充電管理システムを導入[2023.07.20]

グリーン電力を使用しエコと効率的なEV運用を両立 移動販売車とEVの組み合わせは相性が良い 【THE 視点】「グリーンコープ生活協同組合ふくおか」(※)は7月18日、フォロフライの商用EVを移動販売車として導入したと発表した。合わせて、丸紅オートモーティブが展開する充電マネジメントシステム「GOVAN(ゴバン)」も導入した。このマネジメントシステムの導入は日本初という。 (※)西日本を中心に16の生協で構成されている「グリーンコープ共同体」所属の団体 グリーンコープふくおかは、配送用を中心に約550台の車両を運用中で、今後すべての車両をEV化していくことも発表した。また、バイオマス・太陽光・小水力・地熱などの再生可能エネルギー由来の電力をEVの運用に用いるという。 フォロフライは、丸紅オートモーティブと資本業務提携を結んでおり、丸紅側が販売代理店として、フォロフライ製EVの販売と充電インフラの提供、およびアフターサービスを展開している。 その丸紅が提供する「ゴバン」は、EV用充電システムの導入支援から、日々の運用までのEV業務をトータルにサポートするサービスである。 商用EVの充電は、乗用EVのように自由なタイミングで行うわけにはいかず、車両ごとの運行スケジュールや電気使用量に合わせて綿密に充電計画を策定する必要がある。 「ゴバン」のシステムは、充電器側が車両を自動で認識するため、駐車場のどの充電器に接続しても車両に合わせた充電スケジュールが自動適用となり、効率的なEV運用が可能となる。ドライバーもいちいち対応する充電器を探す必要がなくなり、EVを管理する側も運転する側も労力の削減ができる。 ちなみに今回の発表にて公開された写真を見る限り、グリーンコープふくおかは「日野デュトロ ZEV」をすでに相当数保有しているようだ。「デュトロ ZEV」の充電も「ゴバン」に対応させるとすると、メリットは相当大きい。 「たかが一台の車両の充電」と思うかもしれないが、車両が常に数十台単位で稼働している場合、充電は相当面倒になる。例えば、充電ギリギリの状態の車両が10台帰社すれば相当の充電待機を強いられる。10台目の当日中の再稼働は無理だろう。 手動のような状態で、いちいち対応する充電器に合わせるのも手間だし、そのために構内にて無駄に車両を動かせば、バック事故などの確率も上がる。たとえ10mでも、無駄な車両移動をなくせるメリットは大きい。 また筆者は、2012年にEVによる移動販売車を開発し実証試験をした経験を持つ。移動販売車は、地方のスーパーの撤退などの影響を受けた過疎地域などでは、買い物弱者対策の切り札とも言える存在だ。 ネットスーパーを利用するのも良いが、生鮮食品などは鮮度を見極める必要があるため、オンラインでの買い物は難しい。そして何より、現物を手に取って選ぶというのは、楽しみの一つになるということを実証を通して実感している。 移動販売車は、営業中は基本的にエンジンをかけたままになる。静かな山中にて、民家の軒先を借りて販売を行う場合、ディーゼルの音は意外と周囲に響くため騒音になるのだ。 それを防げるEVは、実は移動販売車にうってつけの存在である。稼働時間や航続距離等の問題もあろうが、移動販売EVは今後ますます普及してほしい。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ヤネカラ、EV充電コントローラー「ヤネキューブ」を発売……1基あたり2,900円で充電を遠隔操作化、銀座郵便局に93台を納入 ★★ABB、ボルボのEV専用ショールーム「Volvo Studio Tokyo」にEV用充電器を導入……「Terra 184急速充電器」と「Terra AC Wallbox普通充電器」を設置 ★★三菱商事エネルギー、ガソリンスタンド(SS)をEVサービスの拠点として検証……テスラの急速充電設備「スーパーチャージャー」が設置済みのSS(石川県/富山県)にて「モデル3」の試乗会を実施 ★★フォロフライ、商用EV「F1」シリーズが補助金の対象に……「商用車の電動化促進事業」の車両に認定され最大182万1,000円の補助、品質向上を目指し自社内での出荷前検査も開始 ★日産、電気モーターの生産数が拡大……エンジンを生産する横浜工場の2022年度の生産台数の約4割がモーター、2024年までに全固体電池の技術開発用ラインを設置予定 ★コマツ、新型電動ミニショベルを欧州で販売へ……リチウムイオン・バッテリーを搭載した3トンクラス ★オンセミ、パワー半導体「EliteSiC 1200V」と「同750V」をボルグワーナーの「VIPERパワーモジュール」に統合……EVの性能を向上させる「トラクション・インバーター」向けのデバイス、両社の協業を拡大 ★ステランティス、半導体供給・開発網を強化……EV向け新プラットフォーム「STLA」のローンチに向け複数の半導体企業と協業を強化、独自の半導体の開発も目指す ★ビー・アンド・プラス、電動無人搬送機(AGV)向けのワイヤレス充電システムのショールームをオープン……埼玉本社<埼玉県比企郡>と名古屋営業所<名古屋市中村区>にて7月18日に開設、おすすめ製品を月毎に入れ替え ★双日、ターコイズ水素の製造技術を開発するフィンランドの新興「ハイカマイト」へ出資……天然ガスなどの主成分「メタン」から「水素」と「固体炭素」を製造、「固体炭素」からは「カーボンナノチューブ」を製造可能 ★不動産事業のマーチャント・バンカーズ、EV充電事業に参画……保有するマンションやホテルへ充電器を設置・拡大 デイリーEVヘッドライン[2023.07.20]

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ヤマハ発動機のEVトライアルバイク「TY-E 2.2」(photo=ヤマハ発動機)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
蘇る、40年前の興奮……ヤマハ、新型EVトライアルバイク「TY-E 2.2」を実戦投入[2023.07.14]

パワーユニットなどを一新し今後も継続的に参戦と開発 筆者が40年前に開発を経験したマシンと似た構造 【THE 視点】ヤマハ発動機は7月13日、「全日本トライアル選手権第5戦・北海道・和寒大会(わっさむサーキット)」(7月16日開催)に、新型のEVトライアルバイク「TY-E 2.2」を投入することを発表した。「ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チーム」の黒山健一選手とともに出場する。「TY-E 2.2」は、全日本選手権の参戦を通じて開発を行ってきた電動トライアルバイク「TY-E 2.1」の改良新型となる。 「TY-E 2.2」の開発コンセプトは「FUN×EV」。軽量化と高強度化に加えて熱対策の熟成を目指した積層材モノコック・フレームや、出力密度を高めた新設計モーター、小型・高効率・高機能化したモーター・コントローラーなどの新コンポーネントを投入。実戦とともに車両の検証・データ収集・技術開発を続け、後半戦も随時アップデートを続ける予定だという。 「TY-E」は2018・2019年のFIMトライアル選手権のEV専用クラス「TrialE Cup」への出場を皮切りに、2022年には「TY-E 2.0」として同選手権の「Trial2」クラスにスポット参戦。2023年には「TY-E 2.1」を開発し、黒山選手とともに史上初となる全日本選手権へのフル参戦を開始した。 筆者は実は、現在所属する会社が1984年に電動トライアルを開発したことを雑誌記事で知り入社を決めた過去がある。そこからEVに興味を抱いたのだ。 およそ40年前のことだが、当時開発していたマシンの構造は「TY-E 2.2」に近いものだった。当時としては最先端のフルカーボン・モノコックボディに、インホイール・モーターが採用されていた。 一番の違いは、インホイール・モーターであったことに加えて、何よりもバッテリーが鉛だったことだろう。液式の大変重いものだった記憶がある。当時は、現在のように「EV用」などというバッテリーはない時代だった。それがリチウムイオン・バッテリーとなり、バッテリーの性能と軽さのおかげで「TY-E 2.2」は相当の性能を持ち、扱いやすさも備えていることだろう。 試作車の試験のたびに重たい鉛のバッテリーを交換したことを思い出す。もしリチウムイオン・バッテリーであったなら、ほとんど交換せずに試験走行もできたのではないだろうか。企業は違えど、かつて筆者も開発を経験したものに類似したマシンなだけに、「TY-E 2.2」には非常に親しみを覚える。実戦での勇姿を是非見てみたいものである。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★BYD、「アット3」が自動車導入促進補助金(CEV)対象車に新決定……型式指定認証を取得し、85万円の補助[詳細はこちら<click>] ★★ルノー、新型EV「セニック E-Tech エレクトリック」のプロトタイプを発表……CセグメントのSUV ★★BMW、新型「5シリーズ」のEVモデル「i5」を日本で発売……表参道のイベントスペース「OMOTESANDO CROSSING PARK」<港区南青山>内「ポップアップ・エキシビション」にて「i7」と共に展示<7月14日(金)〜9月17日(日)>[詳細はこちら<click>] ★★エネチェンジ、「ISP・池袋東口公共地下駐車場」<池袋駅直結>にEV用充電器を設置……最高出力6kWタイプを5基 ★★東京ガス、「千住水素ステーション」<東京都荒川区>にて水素を現場製造……エナプター社の「AEM水電解装置」を使用しCO2フリーの水素を製造、販売を開始 ※AIM:Anion Exchange Membrane(陰イオン交換膜)の略 ★ポールスター、SUV型のEV「ポールスター5」のプロトタイプが実走を披露……イギリス「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」にて公開 ★ワイトリシティ、EV用ワイヤレス充電器のOEMを推進……OEM導入・採用をスピードアップする「ファストトラック・インテグレーション・プログラム」を開始 ★ボッシュ、FCモジュールの量産を開始……2030年までに水素技術で50ユーロ(約7,700億円)の売り上げを目指す ★ジゴワッツ、日本最小の充電器「Ella」を極東開発グループ本社ビル<大阪市中央区>の立体駐車場に設置……極東開発が展開する充電サービス専用品の共同開発も検討 ★ルノー、EV向けの効果音を開発……対歩行者向けの近接接近音と車内向けのウェルカム・サウンドの2種類、音楽家のJean-Michel Jarreと協力 ★パーク24、カーシェアリング・サービス「タイムズカー」会員向けに「EV体験キャンペーン」を実施……大阪府の会員限定、「日産リーフ」「トヨタbZ4X」を用意 ★ISレンタリース、「レクサスRZ450eファースト・エディション」のレンタカーを導入……7月19日よりレンタル開始、料金5万9,950円〜 ★二輪用品店のナップス、EVモトクロッサー「SUN-RON」の販売を開始……横浜店/埼玉店/浜松店/春日井店/京都八幡店/ららぽーと立川立飛店の計6店舗にて ★テラモーターズ、沖縄の不動産系企業のマルユウグループと提携……マルユウグループ所有の物件52ヵ所に先行導入 ★凸版印刷、リチウムイオン・バッテリー用の消火フィルム「FSfilm」について国際団体が効果を認証……アメリカの試験・検査認証のUL社から「UL検証マーク」のお墨付き、EV用への展開も期待 ★ローム、ソーラーフロンティアの旧国富工場の資産を取得へ……EV向けSiC(炭化ケイ素)パワー半導体の生産を拡大 ★テスラ、「テスラ サービスセンター大宮」<さいたま市中央区>にて特別試乗会を開催……7月22日(土)、「モデル Y」「モデル 3」を用意 ★ブレイズ、「オートプラザラビット稲沢店」<愛知県稲沢市>のイベントにて展示・即売会を開催……7月15日(土)・17日(日)の2日間、「ブレイズ スマートEV」など出展 ★フォーミュラE第13・14戦ローマ、今週末に開催……両日ともに予選と決勝を開催、現在のポイントリーダーはジェイク・デニス(アバランチ・アンドレッティ) […]

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EV船「あすか」(photo=旭タンカー)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
カーボンニュートラル燃料の輸送にエコなEV船……三菱重工、新型EV輸送船「あすか」を竣工[2023.07.12]

カーボンフリー燃料の輸送をエコに実施してこそCO2削減に効果 見た目からはわからぬ最新鋭のハイ・テクノロジーを搭載 【THE 視点】三菱重工は7月7日、新型のEV輸送船「あすか」が竣工したと発表した。三菱重工グループの三菱造船およびe5ラボが普及を目指す「内航標準ハイブリッドEV船」のデザインを採用した総トン数499トンのバイオマス燃料輸送船で、建造造船所の本田重工業から旭タンカーに引き渡された。 「あすか」のパワーユニットは、スクリューを回すための機構は完全電動で、電力供給用のバッテリーと発電機・制御ソフトをモジュール化して搭載している。 また、三菱造船が開発し、Marindowsを通じて内航海運への普及を目指すポータブル運航支援システム「ナビコ」も搭載。今後パイロット試験を経て2024年春からの販売を計画しているという。 見た目からは分かりづらいが、三菱造船製の高性能ツインスケグ船型を採用し、推進馬力を従来船より20%以上削減した。これによりCO2の削減に貢献でき、荷役・離着桟・入出港など港湾でのゼロエミッション・オペレーションを実現する。 また、騒音・振動の低減による船内快適性向上、高度な知識と経験を要するディーゼルエンジンの整備作業の削減、操船性向上による離着桟オペレーションの負荷低減などのメリットもあり、総じて船員の作業負荷を低減できる。 駆動するモーターは最高出力360kW(490ps)のものが2基搭載され、最高出力500kW(680ps)の発電機が2基、バッテリーは最大容量221kWhの仕様が2基で合計の容量は442kWhとなる。40kWhのバッテリーを積むEVに換算すると11台分の容量になり、ハイブリッド車の場合は40〜50台分に相当する。EVとは比べ物にならないほどの大容量である。 「あすか」のパワートレインは、自動車で言うシリーズ・ハイブリッド方式に相当する。外観からは気付かないが、CASE(コネクティッド・自動化・シェアリング・電動化)に近い技術が用いられており、公開された資料によれば、「ナビコ」とは映画で見るような巨大なパネルを備えたようなものではなく、小型のタブレット端末にて操作するようだ。電動化に関連する産業構造改革は船舶業界でも起きている。 船舶においてもCO2削減は待ったなしの状態で、EVではないが推進力に風を用いる「帆船」を現代版としてアレンジした推進技術も開発されている。 「あすか」の用途はバイオマス燃料の輸送というが、その輸送に化石燃料を使用しているようでは無意味。運ぶ船も含めてカーボンフリー化して初めてエコと言えるだろう。この問題は自動車用の水素燃料の輸送にも当てはめることができる。 このような取り組みは、乗り物業界全体に増えていくだろう。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★カワサキ、新型EVバイクを「JAIA輸入車普及イベント in 神戸」<神戸市旧居留地/7月14日(金)・15日(土)>にて公開……「ニンジャ」と「Z」ベースのプロトタイプEVバイクに加えて、自転車型の「ノスリス」3台を出展 ★★ヤマダデンキ、EV向けの充電器「ACスマートチャージャー」を全国の店舗にて発売……最高出力6kWでの充電が可能な壁掛けタイプ ★★ZF、商用EV向けのモーター一体型駆動装置(イー・アクスル)「AxTrax」を欧州で発表……ラストワンマイルの小型EVから大型のトラクター・ヘッドまで幅広く対応 ★ボッシュ、欧州のトラックメーカーのイヴェコに燃料電池を供給……イヴェコ製のFCEVトラックが2023年内にデビュー、水素供給インフラの開発も推進 ★ボッシュ、ドイツ・シュトゥットガルトのフォイエルバッハ工場にて水素燃料電池を大規模生産……既存のトラックのエンジンスペースに収まるサイズ ★京急電鉄、三崎口駅前<神奈川県三浦市>に小型EVと電動キックボードのレンタルステーションを開設……小型EVは15分220円、電動キックボードは初乗り15分250円から利用可能、「ハローモビリティ」のアプリより予約 ★野村不動産、今後開発の分譲マンション「プラウドシリーズ」全物件にて全駐車区画の原則3割にEV用充電設備を導入……「プラウド青葉台」<神奈川県横浜市>では機械式駐車場の7割超えに導入予定 ★ヤマダホールディングス、プラゴと協業のEV充電インフラ事業を自社のエコ施策「ヤマダ・グリーン」に認定……7月4日より予約制のEV充電サービスを開始、買い物中にEVを継ぎ足し充電 デイリーEVヘッドライン[2023.07.12]

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出光興産と双葉電子工業が共同開発したドローン(photo=出光興産)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
攻める企業出光、R/Cプロポのフタバと国産ドローンを共同開発・事業化へ[2023.07.06]

既存のサービスステーションを配送拠点などに活用 「ガソリンスタンド」の存在価値を大きく変える可能性 【THE 視点】出光興産と双葉電子工業は7月3日、国産ドローンを共同開発・活用し、地域課題を解決するサービスの事業化の検討を開始すると発表した。 複数の用途に対応できる機体の開発に加え、サービスステーションを起点とした設備点検/農業利用/物流配送/災害対応など各種サービスの検討を行うとともに、ドローンの操縦技術者の育成にも取り組む予定だという。 ドローンの活用は、少子高齢化や人手不足などの社会課題を解決するための手段として、省人化・無人化機器の活用が一層望まれている。 出光興産のサービスステーション・ネットワークおよび整備技術を有する人材と、双葉電子工業の高度な無線通信技術を駆使したドローン開発技術を活用し、機体開発から運用・人材育成まで一気通貫したドローン事業を推進していく。 両社は、1台の機体で複数の用途に対応できるマルチユース・ドローンの開発を、2022年度から進めてきた。機体下部にアタッチメント方式を採用しており、用途に応じて付け替えることで物流や撮影機器としてマルチに使用でき、さらに有線化して長時間飛行にも対応することができる。 上空LTEを使用した無線技術を活用すれば、外部サーバーへの経由なしに複数の拠点にデータを送信したり、オンタイム電送をすることも可能となる。このように、マルチユース・ドローンを実際の用途で検証しながら、サービスの実現につなげていくという。 出光興産は、EV事業にも力を入れているが、今回の発表はドローンを活用するという発表だ。EV事業もそうだが、既存のサービスステーションをいかに活用して生き残るかを模索しているように感じる。 一方、双葉電子工業は、筆者にとってはR/C用の「プロポ」(コントローラー)のイメージがある。子供のころ、エンジンではあったがR/Cヘリのホバリングで苦労したことを思い出した。しかし現在のドローンは電動ではあるが、コントローラーひとつで昔のようにカンを頼らずに飛ばすことができる。 空を飛ばすR/Cといえば、どちらかというと趣味の世界であったが、現在は人が立ち入れない場所での写真撮影や測量、そして先日の「デイリーEVヘッドライン」でも紹介したように[詳細はこちら<click>]、危険な害虫駆除に使用されるなど社会的価値が生まれてきている。時代の変化を強く感じる。 今後EV化が進めば既存の給油所の存在価値は大きく変わる。しかし、新事業の拠点として活用すれば、新たな存在価値が出てこよう。「モビリティのコンビニ」のような楽しい施設に生まれ変わらせることも夢物語ではない。 出光興産と双葉電子工業のマルチユース・ドローンによる事業化検討は、個人的にも親しみのある会社同士のタッグだけに成功を期待する。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★フィアット、新型EV「600e」を発表……BセグメントのコンパクトSUV、400km以上(WLTP複合モード)の航続距離[詳細はこちら<click>] ★★フィアット、2人乗りの超小型EV「トポリーノ」の仕様を公開……クローズドとオープンの2モデルを用意、月額料金制のサブスク方式で販売 ★JAIA、「JAIA輸入電動車普及促進イベント in 神戸」を開催……7月14日(金)・15日(土)に神戸市旧居留地にて[詳細はこちら<click>] ★ストリーモ、公道対応の電動キックボード(特定小型原付)モデル「ストリーモS01JT」の抽選を開始……7月5日〜19日で受付[関連記事はこちら<click>] ★ボグゾール、EVや充電設備の使用方法をアドバイスするエチケットガイドを発行……英国のエチケット大手「DEBRETT’S」と共同で制作、公共でのEV時の混乱などを回避し普及を促す ★ボルボ、2023年6月のEV販売台数は9,535台(世界全体)……前年同月比346%増 ★「ホテル日航アリビラ」<沖縄県読谷村>にて「EVトゥクトゥク」のレンタルサービスを開始……えもびと提携し7月7日(金)よりサービス開始 ★テラモーターズ、「藤三旅館」「藤三旅館・別邸 心の刻 十三月」<岩手県花巻市> にEV用充電器を導入……別邸は全14室の高級旅館 ★テラモーターズ、賃貸物件の「ビレッジハウス」にEV用充電器を導入……東京・神奈川・福岡にある23物件に先行導入 ★米新興のリヴィアン、商用EVバンをドイツに導入……今後数週間で300台以上を投入とTwitterで発表、Amazonの配送用に デイリーEVヘッドライン[2023.07.06]

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EVトゥクトゥク「エネバイ」(photo=福田 雅敏)
TEXT:福田 雅敏
災害支援は電動で進化する……「東京国際消防防災展2023」にEVバイク等が出展された理由[THE視点]

「消防展」レポートの後編は消防車以外の支援機器類を紹介 活用が進んでいるEVの三輪バイク 日本最大級の消防・防災に関する展示会「東京国際消防防災展2023」(主催:東京消防庁/東京ビッグサイト/東京国際消防防災展2023実行委員会)が、6月15日〜18日に東京ビッグサイト<東京都江東区>にて開催された。 前回のレポート[詳細はこちら<click>]では、展示会の花形と言える消防車のEVを紹介した。しかし火災は消防車だけで消火することはできず、様々な支援機器を適宜使用することで完遂できるものといえる。何より消防活動は人命活動が第一。火災だけではなく、昨今激甚化している水害への対応も求められるため機器類も進化している。そこにはもちろん電動技術が取り入れられている。 前置きが長くなったが、後編となる今回は、消防車以外で電動技術を取り入れた車両・用具を紹介したい。 三輪のEVスクーターを改造した小型ポンプ車両……トーハツ トーハツは、コンパクトな三輪EVの消防バイク「颯」(はやて)を展示。ベースは、EVモーターズ・ジャパンの「BARCA(バルサ)」で、艤装前のスペックで最高速度55km/h。バッテリー容量は5.12kWhで、航続距離は100kmとなっている。 荷台は架装されトーハツの「VE25AS」ポンプを搭載し、2ストローク・ガソリンエンジンで駆動する。 そのほか、バッテリー駆動の電動可搬消防ポンプ「MODEL-1」も展示されていた。 救急に必要な電源をすぐに届ける電源デリバリーバイク……アイディア Aidea(アイディア)は、三輪のEVスクーター「AAカーゴ」の特別仕様車を展示。車載のバッテリーから100Vの電源を出力できるもので、災害時など緊急で電源が必要な場所に迅速に移動でき、ライフラインの確保に役立つ。 EVの「トゥクトゥク」も立派な小型ポンプ車に……サポートマーケティングサービス サポートマーケティングサービスは、消防ポンプを搭載したEVトゥクトゥク「エネバイ」を展示。「シバウラ」製のポンプを荷台に装備している。車体がコンパクトなため、狭い場所へも迅速な展開が期待できる。最大積載量200kg以下で航続距離は90km程度を確保しているという。 電装アシスト「リヤカー」で人力を強力に手助け……ヤマハ発動機 ヤマハ発動機は、次世代型電動ホースカー「X QUICKER(クロスクイッカー)」を展示。基本は人力であるが、高出力なモーター2基が走行をアシストし、坂道などでも楽に引っ張ることができる。約20kmの連続走行が可能だ。

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ロボットの屋外開発拠点「KOIL MOBILITY FIELD」(photo=三井不動産)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
EVの走行中給電が現実味……三井不動産所有の実験施設に道路埋設型のコイルを設置[2023.07.05]

三井不動産と東京大学の共同研究開発により走行中の無線給電の開発が加速 条件を満たせば他の開発企業・大学にも施設を開放 【THE 視点】三井不動産は7月3日、同社が運営するロボットの屋外開発拠点「KOIL MOBILITY FIELD」にて、EVの走行中給電が可能になる走行レーンを新設したと発表した。 本事業は、東京大学(東京大学大学院新領域創成科学研究科 藤本・清水研究室)と三井不動産の共同研究によるもの。民間として初めて送電コイルを埋設した走行レーンを作成し、フィールド検証実験を開始した。日本初のEVへの走行中ワイヤレス給電の公道での実証実験が一歩近づくこととなる。 また、走行中給電システムを開発研究する企業・大学等は、東京大学と共同研究パートナーとなると同時に、「KOIL MOBILITY FIELD」の会員になることで、本レーンを利用できるようになる。 東京大学と三井不動産は、「KOIL MOBILITY FIELD」を活用して、走行中給電の早期実用化を目指し研究開発を進めてきた。今回の走行レーンには、道路工事や路面温度等の環境条件に対応できるSWCC社製の送電コイルを道路に埋設し、より社会実装に近いものとなっている。 埋設した送電コイルは、60秒間充電すると約6km走行できる試算となっている。送電コイルは、交差点の停止ラインまでの30m付近に埋設することがより効果的だという。 6km走行する間に60秒間の充電が可能なインフラ整備ができれば、断続的に充電しながらバッテリーの正味消費電力をゼロにでき、小型バッテリーだけで連続走行が可能となるという。特定の充電設備を使う必要もなくなるとのこと。 先日の「デイリーEVヘッドライン」[詳細はこちら<click>]でも伝えたが、ここのところワイヤレス給電の話題が増えてきた。特にこの走行中給電は、バッテリーの小型・軽量化による車両価格の低下や電費の改善、充電時間を含めた移動時間の削減、電池容量の低減、すなわちバッテリー作製時に発生するCO2を削減することができる夢のEV充電インフラと言えよう。 東京大学は、EVのワイヤレス給電を早くから開発してきた経緯があり、試作車は筆者も見学したことがある。今回はいよいよ、走行中に給電するフィールドまで用意したということになる。 インフラを用意しなければEV側の開発も進まないわけで、今回は民間である三井不動産が将来を見据えてその場を用意した。この給電技術の開発には、同種の企業や大学がさらに参画して盛り上がってほしい。そのための門戸は開かれている。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ワランティテクノロジー、「EV充電設備保証・メンテナンスサービス」を開始……事業用・家庭用のEV充電設備(普通・急速)とV2H設備を10年保証、メンテナンスサービスも ★★プラゴ、ヤマダデンキと協業、「LABI1 LIFE SELECT なんば」<大阪市浪速区>にてEVの充電サービスを開始、今後全国展開も[詳細はこちら<click>] ★★西尾レントオール、ボルボのEV建設機械を導入……ホイールローダー「L25 エレクトリック」と油圧ショベル「ECR25 エレクトリック」を、7月下旬よりレンタル開始 ★テスラ、7月1日より「モデル3」と「モデルY」を値下げ……2023年第2四半期の生産台数なども好調[詳細はこちら<click>] ★BYD、正規ディーラー「BYD AUTO 前橋」<群馬県前橋市表町>が7月8日(土)にオープン……北関東エリアに初出展、8日・9日にオープニングフェアを開催 ★ユビ電、大型分譲マンションに日本最大規模の充電インフラを導入……「フォレストプレイス香椎照葉ザ・テラス」<福岡市東区>の駐車棟全て(429区画)にEV用充電器を設置、2023年末に完成予定 ★ワランティテクノロジー、長府工産が販売するV2Hシステム(ニチコン製)に保証サービスを適用……最大10年に保証を延長 ★東京都、東京港での「タイヤ式トランスファークレーン」の燃料電池式への換装に補助金を決定……導入費用の1/2(上限1億円)までを補助 ★EVモーターズ・ジャパン、北九州市に小型コミュニティ型のEVバスを納車……市営バスにて「島郷庁舎・戸畑駅・若松渡場・若松病院」ルートなどに導入、6月30日より運行 ★プジョー、新型の電動アシスト自転車を欧州で発表……スマートフォンアプリによるコネクテッド機能を採用 デイリーEVヘッドライン[2023.07.04]  

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連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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