EVヘッドライン
share:

福岡の生協がEVの移動販売を強化……フォロフライの商用EVと丸紅の充電管理システムを導入[2023.07.20]


TEXT:福田 雅敏、ABT werke PHOTO:福田 雅敏
TAG:
「グリーンコープ生活協同組合ふくおか」のイメージ(photo=グリーンコープ共同体)

グリーン電力を使用しエコと効率的なEV運用を両立
移動販売車とEVの組み合わせは相性が良い

【THE 視点】「グリーンコープ生活協同組合ふくおか」(※)は7月18日、フォロフライの商用EVを移動販売車として導入したと発表した。合わせて、丸紅オートモーティブが展開する充電マネジメントシステム「GOVAN(ゴバン)」も導入した。このマネジメントシステムの導入は日本初という。
(※)西日本を中心に16の生協で構成されている「グリーンコープ共同体」所属の団体

グリーンコープふくおかは、配送用を中心に約550台の車両を運用中で、今後すべての車両をEV化していくことも発表した。また、バイオマス・太陽光・小水力・地熱などの再生可能エネルギー由来の電力をEVの運用に用いるという。

フォロフライは、丸紅オートモーティブと資本業務提携を結んでおり、丸紅側が販売代理店として、フォロフライ製EVの販売と充電インフラの提供、およびアフターサービスを展開している。

その丸紅が提供する「ゴバン」は、EV用充電システムの導入支援から、日々の運用までのEV業務をトータルにサポートするサービスである。

商用EVの充電は、乗用EVのように自由なタイミングで行うわけにはいかず、車両ごとの運行スケジュールや電気使用量に合わせて綿密に充電計画を策定する必要がある。

「ゴバン」のシステムは、充電器側が車両を自動で認識するため、駐車場のどの充電器に接続しても車両に合わせた充電スケジュールが自動適用となり、効率的なEV運用が可能となる。ドライバーもいちいち対応する充電器を探す必要がなくなり、EVを管理する側も運転する側も労力の削減ができる。

ちなみに今回の発表にて公開された写真を見る限り、グリーンコープふくおかは「日野デュトロ ZEV」をすでに相当数保有しているようだ。「デュトロ ZEV」の充電も「ゴバン」に対応させるとすると、メリットは相当大きい。

「たかが一台の車両の充電」と思うかもしれないが、車両が常に数十台単位で稼働している場合、充電は相当面倒になる。例えば、充電ギリギリの状態の車両が10台帰社すれば相当の充電待機を強いられる。10台目の当日中の再稼働は無理だろう。

手動のような状態で、いちいち対応する充電器に合わせるのも手間だし、そのために構内にて無駄に車両を動かせば、バック事故などの確率も上がる。たとえ10mでも、無駄な車両移動をなくせるメリットは大きい。

また筆者は、2012年にEVによる移動販売車を開発し実証試験をした経験を持つ。移動販売車は、地方のスーパーの撤退などの影響を受けた過疎地域などでは、買い物弱者対策の切り札とも言える存在だ。

ネットスーパーを利用するのも良いが、生鮮食品などは鮮度を見極める必要があるため、オンラインでの買い物は難しい。そして何より、現物を手に取って選ぶというのは、楽しみの一つになるということを実証を通して実感している。

移動販売車は、営業中は基本的にエンジンをかけたままになる。静かな山中にて、民家の軒先を借りて販売を行う場合、ディーゼルの音は意外と周囲に響くため騒音になるのだ。

それを防げるEVは、実は移動販売車にうってつけの存在である。稼働時間や航続距離等の問題もあろうが、移動販売EVは今後ますます普及してほしい。
(福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー)

★★ヤネカラ、EV充電コントローラー「ヤネキューブ」を発売……1基あたり2,900円で充電を遠隔操作化、銀座郵便局に93台を納入

★★ABB、ボルボのEV専用ショールーム「Volvo Studio Tokyo」にEV用充電器を導入……「Terra 184急速充電器」と「Terra AC Wallbox普通充電器」を設置

★★三菱商事エネルギー、ガソリンスタンド(SS)をEVサービスの拠点として検証……テスラの急速充電設備「スーパーチャージャー」が設置済みのSS(石川県/富山県)にて「モデル3」の試乗会を実施

★★フォロフライ、商用EV「F1」シリーズが補助金の対象に……「商用車の電動化促進事業」の車両に認定され最大182万1,000円の補助、品質向上を目指し自社内での出荷前検査も開始

★日産、電気モーターの生産数が拡大……エンジンを生産する横浜工場の2022年度の生産台数の約4割がモーター、2024年までに全固体電池の技術開発用ラインを設置予定

★コマツ、新型電動ミニショベルを欧州で販売へ……リチウムイオン・バッテリーを搭載した3トンクラス

★オンセミ、パワー半導体「EliteSiC 1200V」と「同750V」をボルグワーナーの「VIPERパワーモジュール」に統合……EVの性能を向上させる「トラクション・インバーター」向けのデバイス、両社の協業を拡大

★ステランティス、半導体供給・開発網を強化……EV向け新プラットフォーム「STLA」のローンチに向け複数の半導体企業と協業を強化、独自の半導体の開発も目指す

★ビー・アンド・プラス、電動無人搬送機(AGV)向けのワイヤレス充電システムのショールームをオープン……埼玉本社<埼玉県比企郡>と名古屋営業所<名古屋市中村区>にて7月18日に開設、おすすめ製品を月毎に入れ替え

★双日、ターコイズ水素の製造技術を開発するフィンランドの新興「ハイカマイト」へ出資……天然ガスなどの主成分「メタン」から「水素」と「固体炭素」を製造、「固体炭素」からは「カーボンナノチューブ」を製造可能

★不動産事業のマーチャント・バンカーズ、EV充電事業に参画……保有するマンションやホテルへ充電器を設置・拡大

デイリーEVヘッドライン[2023.07.20]

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
中国から地球上最強コスパの新星EV現る! IMモーターL6の驚くべきスペックとは
BYDの売り上げ鈍化に注目しても意味なし! むしろ心配すべきはテスラか? BYDは利益率も投資額も驚くべき水準だった
いすゞがピックアップトラック「D-MAX」にBEVを用意! バンコク国際モーターショーでワールドプレミア予定
more
ニュース
BYDの勢いが止まらない! 新エネルギー車の生産台数が世界初の1000万台を突破
日産からセダンのEVが出るぞ! 中国向け車両「N7」を初公開
過酷なダカールラリーで排気量998㏄の「水素小型エンジン」を鍛える! HySEが2025年の参戦を発表
more
コラム
自宅で充電できないけどEVを買う人が増えている! ただしいまのインフラ状況だと「セカンドカー」で乗るのが正解
充電が無料でできる施設は税金のムダ遣い? 地方自治体の取り組みの是非を考える
EVの走りはむしろ好き! エンジン車も同時に所有! それでもEVライフを終了した理由をオーナーが激白
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】二度見必至の存在感は普通のコナとはまるで別モノ! イメージを大きく変えたヒョンデ・コナ「N Line」に乗って感じたマルとバツ
ボルボEX30で11時間超えの1000km走行チャレンジ! 課題は90kWまでしか受け入れない充電性能
EV専業の「テスラ」とEVに力を入れる従来の自動車メーカー「ヒョンデ」! モデルYとコナを乗り比べるとまったく違う「乗りもの」だった
more
イベント
外からもまる見えな全面ガラスドアも高齢化が進む地域のモビリティとして最適!? タジマの超低床グリーンスローモビリティ「NAO2」が斬新すぎた
EVはレアメタルが詰まった都市鉱山! CEATEC2024でBASC展示が提唱するサーキュラーエコノミーというバッテリーとは
畳めるバイク! 階段を上り下りできるカート! 自由な発想のEV小型モビリティが作る明るい未来を見た!!
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択