三井不動産と東京大学の共同研究開発により走行中の無線給電の開発が加速
条件を満たせば他の開発企業・大学にも施設を開放
【THE 視点】三井不動産は7月3日、同社が運営するロボットの屋外開発拠点「KOIL MOBILITY FIELD」にて、EVの走行中給電が可能になる走行レーンを新設したと発表した。
本事業は、東京大学(東京大学大学院新領域創成科学研究科 藤本・清水研究室)と三井不動産の共同研究によるもの。民間として初めて送電コイルを埋設した走行レーンを作成し、フィールド検証実験を開始した。日本初のEVへの走行中ワイヤレス給電の公道での実証実験が一歩近づくこととなる。
また、走行中給電システムを開発研究する企業・大学等は、東京大学と共同研究パートナーとなると同時に、「KOIL MOBILITY FIELD」の会員になることで、本レーンを利用できるようになる。
東京大学と三井不動産は、「KOIL MOBILITY FIELD」を活用して、走行中給電の早期実用化を目指し研究開発を進めてきた。今回の走行レーンには、道路工事や路面温度等の環境条件に対応できるSWCC社製の送電コイルを道路に埋設し、より社会実装に近いものとなっている。
埋設した送電コイルは、60秒間充電すると約6km走行できる試算となっている。送電コイルは、交差点の停止ラインまでの30m付近に埋設することがより効果的だという。
6km走行する間に60秒間の充電が可能なインフラ整備ができれば、断続的に充電しながらバッテリーの正味消費電力をゼロにでき、小型バッテリーだけで連続走行が可能となるという。特定の充電設備を使う必要もなくなるとのこと。
先日の「デイリーEVヘッドライン」[詳細はこちら<click>]でも伝えたが、ここのところワイヤレス給電の話題が増えてきた。特にこの走行中給電は、バッテリーの小型・軽量化による車両価格の低下や電費の改善、充電時間を含めた移動時間の削減、電池容量の低減、すなわちバッテリー作製時に発生するCO2を削減することができる夢のEV充電インフラと言えよう。
東京大学は、EVのワイヤレス給電を早くから開発してきた経緯があり、試作車は筆者も見学したことがある。今回はいよいよ、走行中に給電するフィールドまで用意したということになる。
インフラを用意しなければEV側の開発も進まないわけで、今回は民間である三井不動産が将来を見据えてその場を用意した。この給電技術の開発には、同種の企業や大学がさらに参画して盛り上がってほしい。そのための門戸は開かれている。
(福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー)
★★ワランティテクノロジー、「EV充電設備保証・メンテナンスサービス」を開始……事業用・家庭用のEV充電設備(普通・急速)とV2H設備を10年保証、メンテナンスサービスも
★★プラゴ、ヤマダデンキと協業、「LABI1 LIFE SELECT なんば」<大阪市浪速区>にてEVの充電サービスを開始、今後全国展開も[詳細はこちら<click>]
★★西尾レントオール、ボルボのEV建設機械を導入……ホイールローダー「L25 エレクトリック」と油圧ショベル「ECR25 エレクトリック」を、7月下旬よりレンタル開始
★テスラ、7月1日より「モデル3」と「モデルY」を値下げ……2023年第2四半期の生産台数なども好調[詳細はこちら<click>]
★BYD、正規ディーラー「BYD AUTO 前橋」<群馬県前橋市表町>が7月8日(土)にオープン……北関東エリアに初出展、8日・9日にオープニングフェアを開催
★ユビ電、大型分譲マンションに日本最大規模の充電インフラを導入……「フォレストプレイス香椎照葉ザ・テラス」<福岡市東区>の駐車棟全て(429区画)にEV用充電器を設置、2023年末に完成予定
★ワランティテクノロジー、長府工産が販売するV2Hシステム(ニチコン製)に保証サービスを適用……最大10年に保証を延長
★東京都、東京港での「タイヤ式トランスファークレーン」の燃料電池式への換装に補助金を決定……導入費用の1/2(上限1億円)までを補助
★EVモーターズ・ジャパン、北九州市に小型コミュニティ型のEVバスを納車……市営バスにて「島郷庁舎・戸畑駅・若松渡場・若松病院」ルートなどに導入、6月30日より運行
★プジョー、新型の電動アシスト自転車を欧州で発表……スマートフォンアプリによるコネクテッド機能を採用
デイリーEVヘッドライン[2023.07.04]