オマージュしつつも基本は最新ミニバンスタイルへ
ついにフォルクスワーゲンのID.Buzzが日本でも発表された。
2017年にコンセプトカーが公開されて以降、発売に向けて大きな期待が寄せられていたID.Buzzが、ついに日本市場で発表されました。とにかくアイコニックなデザインへの注目度が高い同車ですが、そのスタイリングの見所はどこにあるのか? さっそくチェックしてみたいと思います。
伝説のType 2のDNAを受け継ぐアイコニックなデザインとされるID.Buzzですが、もちろんその造形を直接比べてみてもあまり意味はありません。新型はあくまで現代のフル電動ミニバンであり、これが「新しいトヨタのエスティマです」と言っても大きな違和感がないほどです。
となると、比べるのはあくまでもアイコニックとされる象徴的な要素ということになります。
まず誰もが注目するのは、ツートンカラーの色分けとなるV字のラインでしょう。オリジナルはバンパーに向けて完全なV字を描いていますが、新型ではバンパー上部で大きなU字を描き、ボディのワイド感を意識しているように見えます。
また、Type 2の色わけラインには太い金属のモールが施されていましたが、新型にモール類は見当たりません。ただ、フロントの色分け部は深い溝を設け、ボディサイド部では数センチの幅を持たせたラインとし、さらにスライドドアのレールと合わせることで、モールを使わずとも「区切り」が明快になっています。
広くブラックアウトさせたサイドウインドウに設けられたスライディング・ウィンドウは「シャレの範疇?」でしょうが、Type 2のリヤにあったエアダクトをモチーフとしたリヤピラーの3本のラインは非常にいいアクセントになっています。まあ、実際に空力に効果があるのかはいまのところ不明ですが……。
愛嬌のある顔はイマドキではない?
さて、Type 2のオマージュと考えれば、あの特徴的な丸型4灯のランプを思い浮かべますが、新型の「顔」には薄型のLEDランプが置かれており、その面影はありません。振り返れば、2001年に発表された「マイクロバス・コンセプト」の時点でランプは横長だったし、2011年発表の「ブリー」でもそれは変わりませんでした。
まあ、あくまでも新型はIDシリーズなのだから、顔も基本はID.3や4などに準じるのが妥当という判断でしょうか。その点、元ネタがType 2であろうダイハツのキャンバスのほうがより愛らしく、イメージが近いのは何とも皮肉なところです(笑)。
最後に触れておきたいのはホイールのデザイン。1950年に量産が始まったオリジナルは当時らしい金属のカバーが被せられていましたが、新型の20インチアルミホイールは面の広い2ピースタイプ風で、これまたオマージュとしては巧いデザインだと思えます。
さて、今回は期待満載のID.Buzzのエクステリアをチェックしましたが、伝説のマルチパーパスカーをオマージュすることで、ミニバン天国の日本市場でも埋もれることのないスタイリッシュミニバンが生まれたことはじつに興味深いところです。であれば、EVだけでなくHVなどが設定されれば、より面白いことになりそうですね。
すぎもと たかよし































