バランスアシストシステムにより安定した走行が可能
3輪の小型EVモビリティ「ストリーモ」が、さまざまなビジネスにチャレンジしている。
ストリーモは、ホンダが2017年からホンダ従業員を対象に始めた新事業創出プログラム「IGNITION」から生まれた。創業は2021年で、商品の発売は2023年から。
きっかけとなったのは、国が設定した新しい車両区分「特定小型原動機付自転車(特定原付)」だ。特定原付というと、Luupに代表される電動キックボードをイメージする人が少なくないだろう。つまり、前後1輪ずつの2輪車だ。
一方、ストリーモが販売する「S01JTA」は、前1輪・後2輪の3輪なのが特徴だ。
寸法は、全長1090mmx全幅500mmx全高1180mm、最低地上高が90mm。重量はバッテリーを含んで24kgなので、大人ひとりでもち上げることも可能だ。走行性能としては、最大発進可能勾配は17.5度、また最大登坂可能勾配は21度と力強い。満充電での航続距離は約30kmで、満充電までの時間は約3.5時間。
ストリーモ S01JTAの特徴は、安定した走行が可能な「バランスアシストシステム」にある。
実際に乗ってみると、停車時に自立できるので、交差点などでも安心だ。また、コーナーでかなり大きく傾けても倒れる気配がないほど、高い安定性がある。
2023年の発売以降、幅広い年齢層の個人ユーザーや物流倉庫、工場、建設現場などの敷地内の移動量が比較的長い事業者向けにも需要がある。
多少の段差があっても、ストリーモS01JTAは大きくバランスを崩すことがないことが好評だという。
そうしたなかで、事業者の声を聞いて新たに開発したのが、後部に小型カーゴを牽引する業務用パッケージだ。けん引台車とコンテナは、容量73リットル・最大積載重量が30kg。
また、事業者向けレンタル事業を拡充する。導入事例のひとつが、伊勢神宮の外宮参道に設置したステーションや、東京・江東区豊洲エリア向け等がある。レジャー施設では、沖縄や淡路島のグランピング施設内の移動に採用されている。
その他、新たに開発したのが、「移動用小型車」だ。
電動車椅子と同じように、歩道のみを走行可能で、最大速度は時速6km。市場で高齢者の声を聞くと、日常移動でストリーモを使いたいが、時速6kmで十分というコメントが少なくなかったとのことで、商品化に向けた開発を進めている。
ホンダ発のスタートアップ、ストリーモの今後の活躍を大いに期待したい。