リチウムイオン・バッテリーにより稼働時間を20%延長し小型化も実現
排ガス・熱・機械騒音がなくなるなどメリット多数の次世代建機
【THE 視点】コマツは7月18日、EVミニショベル「PC30E-5」をフルモデルチェンジし、欧州市場に導入すると発表した。2023年度を「電動建機の市場導入元年」と位置付けており、今回の発表はその第一弾となる。欧州市場からの導入となるが、国内市場への導入も予定している。
「PC30E-5」は、2020年にレンタル機として日本国内に導入したモデルのフルモデルチェンジ版で、従来の鉛のバッテリーに代わり、大容量のリチウムイオン・バッテリー(LIB)を搭載している。
従来型に比べ、連続稼働時間を約20%延長し、重量は約25%軽減、後端旋回半径は約30%短縮した。稼働時間の延長と車体のコンパクト化を両立することで、より幅広い現場での稼働を実現するという。これら全ての効果はLIBの採用によるところが大きい。
3トンクラスは小型なため、都市土木や屋内の現場に使用されることが多い。排ガスの無煙化や低騒音の建機を要望するユーザーの声を反映した「PC30E-5」をきっかけに、小型クラスの電動化と市場形成を目指していくという。
コマツの電動ショベルは、「第5回 建設・測量生産性向上展」のレポート[詳細はこちら<click>]でもお伝えした「PC30エレクトリック」の製品版と思われる。会場では機械質量3,570kgで、最高出力18.7kW(25ps)のモーターで駆動すると発表していた。
その建機展にてコマツの担当者から聞いた話では、「特に欧州の建機に対する環境問題は深刻で待ったなしの状態で、国内よりも欧州が優先」とのことだった。またコマツは、バッテリー駆動以外にも、燃料電池のショベル(コンセプトモデル)も発表しており、他の建機メーカーに比べて、カーボンニュートラル化では先行しているように感じる。
さらに同会場にて、建機レンタルの業者から聞いた話では、EV建機のレンタル市場への導入の要望も出ているという。小型のパワーショベルは、日本全国で活躍していない場所はない。それらがEVになれば、環境負荷の低減は自動車以上かもしれない。
特に機械騒音が減ることは、運転手へのストレスが低減でき、住民からのクレームの低減といった計り知れない効果があるだろう。日本への早期導入を熱望する。
(福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー)
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デイリーEVヘッドライン[2023.07.21]