イベントでの反響から確かな手応え
この疑問に対し、フォルクスワーゲン ジャパンのプロダクトマネジメントでシニアマネージャーを務める沢村武史氏は発表会と囲み取材で次のように説明している。
「例えば創造性の高い職業やフリーランスの方などがイメージしやすいですけれども、平日は会社勤めでも週末にクリエイティビティを爆発させるような趣味人の方も、ID.Buzzの顧客像のひとりだと思います。長くフォルクスワーゲンに親しみのある方もいれば、このクルマで初めてフォルクスワーゲンを知る方もきっと多くいるでしょう」と前置きしながらも、このクルマを本当に欲しいと思う顧客の価値観というのは、共通しているのではないかと唱える。
「プロダクトの背景にあるストーリーやブランドの哲学に共感してくださる方、単なる移動手段としてのクルマではなく、クリエイティビティを刺激し、ライフスタイルを豊かにしてくれることを期待されるお客さま」がペルソナなのだという。
一方で、絶対的な金額や2mに迫る全幅が購入層を狭める要因となることは認めつつも、新規顧客の開拓という面ではひとつ手応えを感じているようだ。
「2022年に(ID.4の導入を記念した)“IDスクエア”というイベントを東京ミッドタウンで行なった際、ID.Buzzの欧州仕様車を参考展示いたしました。大変多くの反響をいただいたのですが、このクルマに興味を示された方に普段どんなおクルマに乗られているかアンケートを実施したところ、ポルシェ911にお乗りのご来場者さまから割と良い反応をいただき、ぜひ買いたいとお申し出がございました」
「クルマが本当にお好きで、こだわりを持って乗っていらっしゃる、比較的裕福な方々が2台持ちのクルマとしてお選びになるのかなと思っております」と、富裕層の関心の高さから、趣味のクルマとID.Buzzの2台持ちを想定していると明かしてくれた。
確かに個性的な外見を持ちながらもフォルクスワーゲンらしい落ち着いた内装を持ち、加えてドイツ車らしい走りの質感と安全性能が期待できるID.Buzzは、高級輸入車をすでに所有しているユーザーにとって最良のファミリーカーになり得る素質が備わっている。
フォルクスワーゲン・グループ・ジャパンが思い描く通りに市場で受け入れられるのか、その動向に注目していきたい。