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前回に引き続き小川フミオ氏によるシュルーター氏へのインタビューをお届けする。彼と「ID.BUZZ」の夢はヨーロッパを飛び出していた。
くつろげる“家”との楽しい旅
消費電力は、平均で、100km走るのに22.5kWh。503km走って、メーター読みでまだ25km走れると出ていたこともあったそうだ。
今回のID.TREFFENでは、ルーフトップテントとともに、カラーフィルムをボディに貼って、ID.BUZZと同じカラースキームにしたトレーラーを引っ張ってきていた。
Knaus Tabbert社が手がける「T@B」なるモデルで、「タイムレスクラシック」、いってみれば、古典的な形態だけれどいつまでも使えるエバーグリーン的な商品、なる意味がこめられている。
リビングルームというかベッドルームというか、くつろげ“家”とともに旅をするのも、もうひとつの楽しさだろう。これも、ID.BUZZの魅力といえる。
クリスチャン・シュルーター氏は、ここで紹介したID.BUZZでの旅の記録を「Europa elektrisch – Vanlife im ID. Buzz: 33 Länder, 55.000 Kilometer, 120 Nächte」なる本にまとめている。
実物を見せてもらったが、きれいな写真と楽しそうな旅についての文章で構成されていて、日本でもアマゾンで注文できる。ドイツ語で書かれているのが、私には残念だった。
アジアやアメリカにも、広がる夢
このさき、アジアにも行ってみたいそうだ。もし陸路なら、シルクロードとか、クルマ好きには有名なシトロエンによる1931年の「黄色い巡洋艦隊」なんて自動車の旅が過去にもあった。
「1931年4月4日、パミール隊がシリア(現レバノン)のベイルートを出発。それからイラク、ペルシャ(現イラン)、アフガニスタン、カシミールのスリナガル(首都)まで、81日間、5545キロの行程です」(ナショナルジオグラフィックのウェブサイトより)
シトロエンも大変だったろうけれど、ID.BUZZで陸路を行くとしたら、充電状況などを含めて、ぜひリポートを読みたいし、日本まで足を延ばしてくれたら、おおいに歓迎したいところだ。
「かりに米国を走る回るなら、ID.BUZZの規格と合った充電池(ソケットの形状や充電能力)を見つけなければならないなど、いくつかのハードルが想像されます」
範囲がアジアとなると、そこの部分も冒険的といえる旅になるかもしれない。でも「将来はそんな心配もなくなることを期待します」というシュルーター氏だけに、BEVの親善大使として、キュートなルックスのID.BUZZで世界中を走り回ってもらいたいものだ。
シュルーター氏、ところで、仕事はなにをやっているのだろう。
「仕事している場所は、ドイツのハノーファー。VWコマーシャルビークルズ(商用車部門)でプレス担当をしています」
欧州各地を回っていたのは、発売前のID.BUZZの宣伝活動も兼ねてのことだったというわけ。でも仕事とはいえ、クルマで寝泊まりしながら、1年間も知らない土地を走り回るって大変そう。
「2022年5月から23年4月までが旅の期間。その前に、#BULLILOVEstoriesなるSNS上のサイトで、Bulli(ブリ=バス&デリバリーバンのドイツ語“Bus und Lieferwagen“を縮めた愛称)のオーナーたちを紹介していたので、そのひとに会いに行くのは、たいへん楽しい経験でした。半分は仕事だけれど、残り半分は自分の楽しみ」
シュルーター氏は、笑顔でそう言った。こういうひとに会うのも、オーナーズミーティングの楽しみだと、改めて思って次第だ。
<了>