コラム
share:

カタログじゃわからないEVの本当の性能を一斉テスト! ノルウェーでマル裸になったEV各車の実力


TEXT:高橋 優 PHOTO:NAF/EV NATIVE/THE EV TIMES
TAG:

NAFが2025年夏のテストを実施!

EV最先進国家ノルウェー市場でEVの一斉航続距離テストや充電スピードテストが実施されました。カタログスペックと比較してどれほどの乖離があるのか。日本でも発売されている最新EVや欧州に進出している中国製EVを含めて、EVの進化とともに一挙に紹介します。

まず、ノルウェーの自動車連盟NAFは、世界でもっともEV普及率が高い国であることから、数年前からEVのリアルワールドにおける性能を検証するために、ノルウェーで発売されている新型EVを一堂に集めて一斉に航続距離テストや充電性能テストを実施しています。とくにノルウェーは、冬場の寒さが厳しい北欧地域であるために、毎年2回、夏と冬にそれぞれ検証を実施しています。そして、今回発表されたのが2025年6月に開催された夏シーズンの最新テストです。

今回検証されたEVのなかで注目していきたいのが、中国メーカー勢の新型EVです。というのも、現在多くの中国メーカー勢が、レッドオーシャン化する中国国内を飛び出して海外マーケットを開拓し始めています。なかでも世界的にEVシフトが進んでいる欧州市場に目をつけ、その欧州進出における試金石としてノルウェー参入がひとつの流れとなっているのです。今テストには、BYD Tang・Sealion7・Hongqi EHS7・MG Cyberster・MG S5・Voyah Courage・Zeekr 7Xという7車種がテスト車両として派遣されています。

まず、航続距離テストの結果について、このグラフはWLTPサイクルのカタログスペックと、実際の航続距離をそれぞれ示したものです。トップに君臨したのがLucidのフラグシップセダンAirです。航続距離はなんと828.6kmと、NAFのテスト史上最長航続距離を達成。第2位のテスラ・モデル3も720.8kmと史上2位の長さを記録したものの、Lucid Airはさらに100kmも長く走行したことになります。

グラフ

また日本国内で発売されるEVは、
BMW iX xDrive60:668km
テスラ・モデルYロングレンジAWD:652.1km
アウディQ6 e-tron Quattro:563km
ポルシェ・マカン4 AWD:548km
BYDシーライオン7 AWD(91.3kWh):523km
フォルクスワーゲンID.Buzz GTX:454km
ロータス・エメヤR :450km
となりました。

ちなみに中国勢トップはZeekr 7X Privilege AWDが593kmを達成しています。とくに7Xには265/40R21のパフォーマンスタイヤを装着しながら、0-100km/h加速は3.8秒と、今回の検証車種のなかではロータス・エメヤR、Lucid Air GTに次ぐ高性能EVです。その上でカタログスペック比+9.6%という結果には、ポテンシャルの高さがうかがえます。Zeekrは日本国内にも進出予定なので大いに期待できるでしょう。

次に、このグラフは電費性能を比較したものです。圧倒的な電費のよさを実現したのがテスラ・モデル3ロングレンジRWDです。全行程平均電費が10.7kWh/100kmと、他の追随を許さない電費性能を実現。また、SUVトップもテスラで、モデルYロングレンジAWDが12.6kWh/100kmと、やはり優れた電費性能がリアルワールドの検証でも実証された格好です。

グラフ

ちなみに航続距離最長モデルのLucid Air GTは13.3kWh/100kmと、0-100km/h加速が3.2秒の大型セダンとしては優れた効率性を実現しています。

NEXT PAGE
TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
リーフのバッテリーパックをバラして積むって意外に大変! 初代フィアット・パンダのEV化に挑戦してみた【その5】
「58協定」未加入国のクルマを日本で売るのは難しい! なのに未加入のアメリカや中国のクルマが日本で売られるカラクリとは
20万円も高かったのに20万円安くしか売れない! EVの将来はリセールバリューの向上努力にアリ!!
more
ニュース
これまでに40万人が参加したeモータースポーツイベント! 「Honda Racing eMS 2025」の開催が決定
ついに「コルベットがEV」に!? 2種類のコンセプトカーでシボレーが未来のハイパフォーマンスカー像を描く
ホンダが2026年に発売予定の新型EVは「アシモ」も搭載! アキュラRSXプロトタイプを米国・モントレーで初披露
more
コラム
トランプとマスクの仲違いでどうなる? 普通の自動車メーカーとは違う「政治」に左右されやすいテスラの立ち位置
「EVは中古価格の落ち込みがヤバい」は過去に引き摺られすぎ! 今後はバッテリーの劣化問題もますます解消へ向かう
「EVが燃えた」はなぜ刺激的なニュースになるのか? 「だからEVは危険」は偏りすぎた思考
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】いい意味で「EVを強調しない」乗り味! 本格4WDモデルも用意される期待のニューモデル「スズキeビターラ」に最速試乗
【試乗】5台の輸入EVに一気乗り! エンジン車に勝るとも劣らない「個性」が爆発していた
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない
more
イベント
公道レース「フォーミュラE東京」が帰って来る! チケットを持っていなくとも無料で1日遊び尽くせる2日間
災害に備えて未来を楽しむ! 「AWAJI EV MEET 2025」の参加はまだまだ受付中
災害時にも活躍できるEVの可能性を淡路島で体験! 「AWAJI EV MEET 2025 from OUTDOOR FEELS」開催決定
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択