試乗
share:

ID. Buzzで北米EV攻勢を強めるフォルクスワーゲン。電気で走る現代のワーゲンバスに試乗


TEXT:小川フミオ PHOTO:VW AG
TAG:
フォルクスワーゲン ID. Buzzのフロントビュー

フォルクスワーゲン ID. Buzzは、2024年に北米市場で販売開始を予定している。電気自動車として生まれかわり、20年ぶりにかの地へ帰ってきたワーゲンバスは、アイコニックなデザインと先進のデジタル性能、そしてEV専用プラットフォームならではの広大な室内空間で、セグメントに新風を吹き込む1台となりそうだ。

フォルクスワーゲン ID. Buzzロングホイールベースモデルのフロントビュー

全輪駆動の0-100km/h加速は6.4秒

欧米で2023年に発表されたID.Buzz ロングホイールベース。このモデルをして、「私たちのブランドヒーローになるクルマ」と言うのは、フォルクスワーゲン・オブ・アメリカのパブロ・ディ・シCEO。

たしかに、7人乗り(以上)のミニバンが売れ、かつ、カリフォルニア州などではBEVの需要が高い北米市場において、3.2m超のホイールベースを活かしたパッケージは大きな武器になるだろう。

とりわけVWブランドにとっては、大型SUVであり、3列シートを持つ余裕あるサイズの車体をもつモデルは、このところ強く求められていたという。

そこに、ID.Buzz ロングホイールベース。使い勝手のよさに加えて、北米のひとやドイツ人に響くアイコニックなデザインであることは、市場競争力の高さを意味する。

ID.Buzz ロングホイールベースの動力性能は、後輪駆動モデルでは、静止から100km/hまでを7.9秒で加速。250kWの最高出力をもつ全輪駆動のGTXモデルでは6.4秒という。

「この加速性能なら高速での合流などでもなんの問題もない」とVWではしている。

フォルクスワーゲン ID. Buzzロングホイールベースモデルのスマートグラス

VW史上最大のスマートグラスを搭載

ID.Buzz ロングホイールベースは、ヘッドアップディスプレイ、それにリモートパーキングなど高い利便性をそなえる。まだ詳細は不明だが、新世代のインフォテインメントシステムもこれに加わる。

ルーフに埋め込まれたのは、前後長1.5mで「フォルクスワーゲンが手がけた中で過去最大」(同社)とされる大きな「スマートグラス」。ガラスルーフで、そこに機能が追加されている。

スライダー(指で左右にスライドするコントローラー)かボイスコントロールで濃淡が変わる。他社でも採用しているブランドはあるが(たとえばマクラーレン)、たしかに、同等のサイズのものはぱっと思いつかない。

スマートグラスは新しい技術だが、VWでは1950年代の「サンバ」(タイプ2をベースに開発されたマイクロバス)の開放的なルーフを連想させるはずとしている。

このあたりの、ヘリティッジと最新テクノロジーを、いってみればシームレスに結ぼうというアピールはうまい。

フォルクスワーゲン ID. Buzzロングホイールベースモデルのキャビン

フォルクスワーゲンのミニバン(トランスポーター)といえば、1979年に出た「T3」もある。ゴルフと共通するフロントマスクをもったモデルだ。ID.Buzzがもしモデルチェンジするなら、今度はT3をベースに?なんて空想(妄想)が拡がる。

ただし、ID.Buzz(とID.Buzz ロングホイールベース)は、リアのウインドウがパネルに換えられた商用車版も作られていて、こちらの需要も見込まれている。なので、モデルチェンジは頻繁に行なわれないだろう。

そもそもタイプ2だって、1950年の「T1」と1967年の「T2」と、約30年にわたって、同じイメージを守ってきたのでアイコンになったということができる。

BEVの世界では、バッテリー技術がクルマのモデルチェンジを促すだろうから、MEBがやがて、新しいタイプのバッテリーとともに、新しい世代への代替わりをするときが、車両のモデルチェンジにあたるのかも。

しかも、テスラのように、ギガキャスティングを使い、そして、電池のモジュールもパックも省略した、いわゆるセル・トゥ・シャシーという搭載方法を選択することだってありうる。

フォルクスワーゲン ID. Buzzとオリジナルのワーゲンバス

話をID.Buzz ロングホイールベースに戻すと、世界に先駆けて発表された北米仕様をみると、エアコンディションドシートや、イルミネーテッドロゴ(フロントのVWのロゴが輝く模様)も装備される。

イルミネーテッドロゴは、最新のBMW 5シリーズがキドニーグリルの輪郭をLEDを輝かせているように、これから世界のデザイントレンドになっていくかもしれない。こういうとき、明確なロゴを使っているブランドは強い。

ID.Buzz ロングホイールベースの北米市場での販売開始は2024年。欧州でも販売がスタートしている。日本には……おそらく輸入されないのでは、と考えられる。

<完>

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
ヒョンデの魅力を日本に伝える新たな拠点! 「ヒョンデ みなとみらい 本社ショールーム」がグランドオープン
中国から地球上最強コスパの新星EV現る! IMモーターL6の驚くべきスペックとは
BYDの売り上げ鈍化に注目しても意味なし! むしろ心配すべきはテスラか? BYDは利益率も投資額も驚くべき水準だった
more
ニュース
ルノーが手がけた伝説の名車が現代に蘇る! 小型EVホットモデル「ルノー5 ターボ 3E」とは
ドライブレコーダーにETC車載器にカラオケマイクもついてくる!? 4月15日発売のBYD新型クロスオーバーSUV「シーライオン 7」の事前予約開始
マルチパスウェイで世界中の要望に応える! トヨタが欧州で新型「C-HR+」「bZ4X」「レクサスRZ」のBEV3車種を発表
more
コラム
トヨタやテスラの「ギガキャスト」にホンダの「メガキャスト」ってなに? いま知っておくべき電気自動車の製造方法
台数が増えたらやっぱり問題も増えた! EV乗りが「急速充電スポット」で見かけるトラブル事例TOP3
今度のBYDはクルマの屋根にドローンを搭載だと!? 留まるところを知らないBYDの開発スピードがヤバイ!
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない
【試乗】二度見必至の存在感は普通のコナとはまるで別モノ! イメージを大きく変えたヒョンデ・コナ「N Line」に乗って感じたマルとバツ
ボルボEX30で11時間超えの1000km走行チャレンジ! 課題は90kWまでしか受け入れない充電性能
more
イベント
売り物ではなく概念を展示するモデリスタ! 正体不明なトヨタbZ4Xはブランドの「新化」という概念を示すスタディモデルだった【大阪オートメッセ2025】
子どもに大人気の電動バギーに大迫力のエアロキットや色が変わるフィルムまで登場! 大阪オートメッセのEV関連出展物はどれもユニークすぎた
大阪は電動モビリティも元気いっぱい! ヒョンデの超注目EVにスズキ初の電動モペットなど見どころたくさん
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択