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ホイールベースの違いで装備が結構違う
装備面に目を移すと、現代に求められるトラベルアシストやレーンキープアシストなど、最新の運転支援システムがしっかりと標準装備されている。
車両本体価格が税込み888万9000円となるNWB仕様の「Pro」に対し、997万9000円のLWB仕様「Pro Long Wheelbase」は、2列目・3列目の足元空間が拡大するだけでなく、LEDマトリックスヘッドライトの「IQ.LIGHT」や1列目のリラクゼーション機能、エクステリアカラーとマッチするカラーインテリアや20インチアルミホイールなどの装備が奢られ、豪華版グレードと考えていいだろう。
しかし、NWB仕様の「Pro」であっても、IQ LIGHTや1列目のパワーシート、1・2列目のシートヒーター、3ゾーンフルオートエアコンなど、上級グレードに準じた装備を70万円のアップグレードパッケージとして選択することができるので、車両保管場所の関係でやむなく「Pro」を選択したとしても、悲観する必要はなさそうだ。
とはいえ、「Pro Long Wheelbase」だけの特権があるのも事実で、ハーマン・カードン製のプレミアムサウンドシステムとパノラマガラスルーフを組み合わせた29万7000円のラグジュアリーパッケージが選択可能なことと、20インチアルミホイールを標準装備するのは「Pro Long Wheelbase」だけだ。
もしかして日本のID.Buzzはバーゲンプライス?
今回、ID.Buzzが日本へ上陸するにあたり、車両本体価格がいくらになるのか非常に気がかりだった。昨今の物価高に加え円安傾向の最中にあっては、1000万円オーバーも十分あり得たからだ。記事執筆時点でドイツのID.Buzzの価格を調べてみると、細かな装備や仕様の差はあれど、同じNWB仕様の「Pro」は税抜き5万1325ユーロのプライスタグをつけている。1ユーロ167円で計算し消費税10%を上乗せすると約943万円となるので、税込み888万9000円という車両本体価格は、じつはバーゲンプライスなのだということがわかる。
ワーゲンバスを現代的にアレンジし、2列目スライドドアにクラシカルなスライディングウィンドウまで再現する一方、室内に目を転じればフォルクスワーゲンに求められる優等生的な造りのなかに、遊び心をエッセンスとして散りばめたID.Buzz。
2mに迫る全幅と900万円前後の車両価格は、決して万人にウケてバズるようなものではないが、その存在は唯一無二であり、このクルマ以外はあり得ないと考える熱狂的なファンを生み出す可能性は十分に秘めているはずだ。