開発陣の言う通りの「ナチュラル」なクルマに仕上がっているRZ450eに、あえて自動車ジャーナリスト・小川フミオ氏が指摘した点とは。
凝ったデザインをみたい
「クルマの機能をひけらかすのでなく、(運転する)ひとに寄り添うように走ることを目指しました」
レクサスRZシリーズの開発を指揮した渡辺 剛・製品企画主幹の言葉だ。
たしかにRZ450eの走りっぷりは、「ドライバーの意図に沿った気持ちよい走り」とか「操作に対して車両が素直に応える乗り味」とレクサスの開発者が言うとおりのものだ。
さきの渡辺主幹は「ナチュラル」と、RZでめざす走りを表現している。運転してみると、その言葉どおりに仕上がっていると思う。
ステアリングホイールの操舵感をはじめ、車両の反応、乗り心地、ブレーキのフィール、それに減速時のコントロール性、さらに音や振動など、クルマの印象を左右する要素どれをとっても、ザラついたところがない。
ドライバーズシートに腰をおちつけても、やはり、すっと落ち着く。意匠(デザイン)的には驚くような要素は少ない。
強いていえば、円筒形のシフターとか、エアコンなどほぼすべてのコントローラーがタッチ式になったことぐらいか。メーターナセルの意匠は、姉妹車ともいえるトヨタbZ4Xのほうがトンガっている。
ただし、ゆるやかな驚き(へんな表現だけれど)としては、アニマルフリー化を進めているレクサスによる、スエード調の人工皮革の雰囲気や、黄みがかったベージュとブルーグレイの組合せによる内装色などがあげられる。
平板な言葉を使うと、いいかんじ、なのだ。デザインがとんがっていないぶん、抵抗感なく落ち着ける。
それでも、もうすこしレンジローバー的に、意匠に凝るのもいいんじゃないかなーと思うのも事実。あちらは、すでに早くからウールや天然繊維を使ったシート地を採用しているのである。
クルマを全体として「ナチュラル」に仕上げていこうという開発陣の考えかたには、賛同できる余地がおおいにある。なので、あえて上記のようなことも書いてみたくなってしまうのだ。
BEVを、地球環境保全という意味でサステナブルな道具ととらえるなら、さまざまな部分で、レクサスのデザインチームのこだわりを見てみたい。