2023年3月
TEXT:陶木 友治
「アジアはEVシフトに積極的? 消極的?」伝説の自動車アナリスト、中西孝樹教授に訊く:第6回

電気自動車の登場と普及は、国内外の政治・経済にどのような影響をもたらすのでしょうか。伝説の自動車アナリストとして知られる中西孝樹さんに、様々な疑問をぶつけます。今回、観察するのは日中以外のアジア市場です。 Q.中国はEVシフトに積極的ですが、それ以外のアジアの国々は、EVに対してどのようなスタンスをとっているのでしょうか。 ざっくり言いますと、どの国も新車の3割程度はEV化したいという意向を持っているようです。ただ以前もお伝えしたとおり、アジアの国々は再生可能エネルギーも原子力も持っていません。急激にEV化を推し進めると自分たちの首を絞める結果につながる可能性もあるため、慎重姿勢をとっています。その意味では、日本と同じようなスタンスの国が多いと言えるでしょう。アジアの中でEV志向が最も強いのはインドネシアで、タイ、ヴェトナム、インドが続きます。 ハイブリッド車を輸出したい日本車メーカーにとってアジア諸国は心強い存在と言えるかもしれませんが、アジアの国々の中にも「このまま日本と同じ戦略を取っていると、日本とともに沈没してしまうのではないか」と危惧している国も少なくなく、彼らが日本にとって好ましいスタンスをこのままとり続けてくれるかどうかは未知数であり、日本も油断はできません。 例えば、2013年にインド政府は「National Electric Mobility Mission Plan 2020」という戦略を発表しました。そこではEVシフトの必要性が言及されており、2020年までにCO₂排出量を1.3〜1.5%削減する目標を掲げていました。その3年後の2016年には、インド国内の移動手段を2030年までにすべて電動化するという大胆な目標を発表し、世界に衝撃を与えています。たいへん野心的な目標でしたが、インドはこの目標、すなわち2030年までの完全EV化を諦め、目標を30%に下方修正するなど現実路線をとるようになりました。インドの例からわかるのは、アジアの中にも本音では全車EV化したいと思っている国が存在するということです。状況が変われば、一気に100%EV化に方針転換する国が現れたとしても不思議ではありません。 Q.アジアの国々も欧米の動向は無視できないでしょうから、方針転換してEVシフトを急激に進めてくる可能性は考えられますよね。日本車が生き残るにはどうすればいいのでしょうか。 日本は欧米のようにルールメイキングできる国ではないにもかかわらず、世界の自動車マーケットで3割のシェアを獲得するまでの国になりました。なぜそれが可能だったかというと、消費者に「選ばれてきた」からです。欧米のようにルールメイキングで主導権を取ろうとすることを「デジューレスタンダード(公的機関によって定めた標準化)」と呼びますが、日本車は企業間の競争によって、業界の標準として認められる「ディファクトスタンダード」を勝ち取ってきた」のです。ガソリン車やハイブリッド車においては、信頼性や燃費性に優れる日本車がディファクトスタンダードになりました。EVにおいても「ユーザーから選ばれる」ことによって、ディファクトスタンダードを目指すしかありません。 アメリカやヨーロッパの顔色を伺いながら、そして中国の顔色も伺いながら、さらに世界の動向を見極めながら、高品質な製品を売っていく、選ばれていくということを実現していくしか日本メーカーが生き残る手段はありません。現状では不利な戦いを余儀なくされていますが、それをどうやって「勝ち戦」に変えていくのか、自動車メーカーの努力はもちろんのこと、政府の後押しやサポートも重要になってくると思います。 (インタビュー:TET編集長 田中 誠司) <つづく>

TAG: #EV経済学 #中西孝樹
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
コマツとホンダが共同開発、着脱式可搬バッテリー採用の電動マイクロショベルを発表……デイリーEVヘッドライン[2023.03.14]

「ホンダ・モバイル・パワー・パック e:」を活用 ホンダの施策がメーカーの垣根を越え始める 【THE 視点】小松製作所は、本田技研工業と電動マイクロショベル「PC05E-1」を共同開発し、2023年度に国内市場への早期導入を目指すと発表した。このショベルのコンセプトモデルは「第13回 国際スマートグリッドEXPO」(東京ビッグサイト[東京都江東区]/3月15日[水]~3月17日[金])のホンダブース内にて参考展示される。 「PC05E-1」は、コマツの建設機械の中でも、小規模な土木/建築工事やガス/電気/宅内配管工事などの現場で利用されることの多いマイクロショベルに、ホンダが開発した着脱式バッテリー「ホンダ・モバイル・パワー・パック e:」と電動パワーユニット「eGX」を搭載することで実現した。 電動マイクロショベルは、従来のエンジン搭載型の難点である、騒音や排熱の大幅な低減を実現しており、環境に優しく、屋内外問わずどのような環境でも快適に作業が可能となる。 プロトタイプの主な仕様は、バケット容量:0.011m3、機械質量:550kg、モーター出力:3.3kWとかなり小型だ。 ホンダのモバイル・パワー・パックは採用車両等が拡大しており、EVスクーターからEVカート、そして今回は建機にまで及んだことになる。同時に供給先もヤマハ発動機に続き今回はコマツと業界の垣根を超えた取り組みとなっている。 建機の電動化は中型でも行われているが、いずれも充電式だ。今回のバッテリー脱着型を小型車両に採用したことにより、比較的軽量な電動マイクロショベルとその充電装置を合わせても総重量は1トンにはならないだろう。 移動も容易なうえ、充電時間を待たずに充電済みのバッテリーに交換することで、効率的に作業が行えるのもメリットだ。今後、屋内を中心に活躍することだろう。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★テラモーターズ、日東工業製の普通充電器「Pit-2G」を採用……「テラチャージ」専用アプリ経由で充電時間設定/料金決済が遠隔で可能に ★★BMW、「iX3 M Sport」等をリコール……バッテリーマネジメントエレクトロニクス(SME)の誤診でモーター出力低下のおそれ[詳細はこちら<click>] ★アウディ、インフォテイメントシステムでサードパーティ製アプリを利用可能に……専用「アプリストア」をガソリンモデルのほか「Q8 e-tron」「e-tron GT」に対応し6月以降欧州などで開始 ★エネチェンジ、最高出力6kWの普通充電器が受注3000台を達成……2021年11月のサービス開始以降1年4ヵ月で[詳細はこちら<click>] ★FDK、ニッケル亜鉛電池を開発……ニッケル水素電池の負極材を亜鉛化合物に置き換え、電動モビリティでの使用も視野 ★「フォロフライ EV F1 VAN」に試乗[詳細はこちら<click>] ★チューニングメーカーのキャロッセが「テスラ・モデルS」をカスタマイズ[詳細はこちら<click>] ★ファルケンからEV専用タイヤ「e.ZIEX」登場[詳細はこちら<click>]

TAG: #EV建機 #THE視点 #コンセプトモデル
TEXT:岩尾 信哉
トヨタが水素製造用水電解装置を開発、デンソー福島工場で稼働開始

トヨタは燃料電池車(FCEV)「ミライ」のFCスタックなどを流用して、水を電気分解して水素を製造する水電解装置を新たに開発。今後の普及促進に向けた技術実装の場として、2023年3月にデンソー福島が運営する工場(以下、デンソー福島工場)において稼働を開始する。トヨタは今回開発した水電解装置に搭載しているスタックなどを、3月15日(水)~17日(金)に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催される「FC EXPO(水素・燃料電池展)」に出展する。 FCEV用スタックを流用した水素生産設備 2021年6月以降、トヨタは福島県と共同で「福島発」の水素・技術を活用し、新たな未来のまちづくりに向けた活動を進めてきた。 今回発表された水電解装置が製造するクリーンな水素を利用して、工場ガス炉で自家消費する「水素地産地消」モデルの構築を目指すとしている。 なお、今回のデンソー福島工場における水素利活用は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業として実施する。

TAG: #トヨタ #燃料電池
TEXT:烏山 大輔
BMWがBEV 7車種のバッテリーに関するリコールを発表

ビー・エム・ダブリュー株式会社は3月13日、「BMW iX3 M Sport」を含むBEVの7車種について国土交通大臣に対してリコールの届出を実施した。 原因はバッテリーマネジメントエレクトロニクス(SME)において、ソフトウェアが不適切なため、システムの誤診が起きる可能性があることだ。そのため、ごく稀にではあるが充電の停止や高電圧システムがシャットダウンし、モーターの出力およびレスポンスが低下、最悪の場合モーターが停止するおそれがある。なおモーターが停止した場合、車両をオフ/オンすることにより再度走行することは可能であるという。ドイツ本国からの情報では不具合発生は1件、事故の発生は0件とのこと。 改善措置としては全車両、バッテリーマネジメントエレクトロニクス(SME)を対策プログラムへ書き換える必要がある。 プログラムの書き換えは、販売店に入庫して診断機により実施する。もしくは対象車両へ遠隔配信にてプログラムを配信し、使用者自身でインストールして行うことが可能だ。 ユーザーにはダイレクトメール等で通知される。または、車両に直接インカーコミュケーションメッセージが送信される。BMWのホームページにも掲載するという。 ■BMW カスタマー・インタラクション・センター (フリー ダイヤル) 0120-954-018 【リコール対象車種】 BMW i4 eDrive40 BMW i4 M50 BMW i7 xDrive60 BMW iX3 M Sport BMW iX xDrive40 BMW iX xDrive50 BMW iX M60

TAG: #リコール
TEXT:西川昇吾
EVだってもっと自由に楽しめる! CUSCOブランドが提案するEVチューニングの世界

老舗による電動車のチューニング 2月10~12日にインテックス大阪で開催された「第26回大阪オートメッセ2023」の6A号館にはEVゾーンが設けられました。各メーカーのBEVを中心に様々な電動車が展示されていましたが、チューニングパーツメーカーの老舗であるキャロッセは、自社のパーツブランドであるCUSCOパーツを装着したテスラモデル3を展示。BEVとチューニングという珍しいと感じる組み合わせはどうして生まれたのか? 代表の長瀬氏に聞いてみました。 ──キャロッセさんはラリーなどの競技を中心としたチューニングパーツのイメージが強いですが、どうしてEV、またテスラを手掛けようとなったのですか? 長瀬:アメリカや中国、香港などから「テスラ用のパーツはないの?」といった問い合わせが多いんです。日本と違って台数が凄く多いので、そのなかからカスタマイズの需要が生まれているといった印象ですね。 ──サスペンションなどが中心となっていますが、セットアップの方向性などはありますか? ノーマル車でも同じですが、BEVは車重が重くてタイヤサイズも大きいため、硬めのセットアップになることは確かです。しかし、これまでのノウハウを生かして車高を下げつつも乗り心地を重視したセットアップにしています。また、剛性アップに関するパーツも装着していますがこちらは車重が重たい分、より効果が実感できますね。 ──ガソリン車と比べるとあえて変更している部分はありますか? 今のところそういったことはありません。これまでのノウハウを生かした延長線上で開発をしています。 ──パワートレインに関しても何かチューニングを施しているんですか? そこまではまだ……現状では足まわりやボディを中心にパーツを開発しています。 ──車高を変更すると運転支援システムなどが正常に機能するか気になるのですが… 現状エラーなどはまったく出ておりません。とくに問題はないと思います。ただ、このクルマはそこまで車高を落としていないというのもありますけどね。(展示車は15㎜ダウン)

TAG: #カスタム #チューニング #大阪オートメッセ
TEXT:烏山 大輔
ファルケンのEV専用タイヤ「e.ZIEX(イージークス)」、2023年3月欧州で販売開始

ファルケンタイヤはEV専用の新製品「e.ZIEX」を2023年3月に欧州で販売を開始する。「e.ZIEX」は航続距離を最大限に伸ばすため、転がり抵抗を抑え電費を向上させるために設計されたタイヤである。昨年5月にドイツで開催された「The Tire Cologne2022」で初公開された。 e.ZIEXは、住友ゴムグループがこれまでに開発した中で最高レベルの低電費性能を誇るタイヤの一つだ。販売開始時は17~21インチの11サイズで展開する。2024年にはサイズを追加し、より幅広いラインナップとする予定である。 独自の材料開発技術「ADVANCED 4D NANO DESIGN」を使用 「ADVANCED 4D NANO DESIGN」は、相反性能であるタイヤの三大性能(低燃費性能、グリップ性能、耐摩耗性能)を高い次元で両立するための技術。ナノからミクロンレベルまで、ゴムの内部構造を連続的かつ鮮明に解析し、シミュレーションすることが可能だ。この技術を使用し、低電費性能とグリップ力の両方を向上させるゴムの配合を開発した。 またサイドウォールに近いショルダー部分のトレッドの幅を狭め、タイヤの輪郭を最適化し、路面との接地圧を均等化し耐荷重性能を向上させた。これによりウェットコンディションとドライコンディションの両方でタイヤのグリップレベルが向上し、タイヤが均一に摩耗することでタイヤの寿命を延ばすことができる。 走行時の快適性の追求 EVはエンジン音がしないため路面やタイヤからのノイズを感じやすいと言われている。EVの走行時の快適性を追求した「e.ZIEX」は、シームレスで連続したサイプエッジの接触により、タイヤのノイズレベルを大幅に低減している。これは、先進のオフセットトレッドグルーブ配置によって実現された。ファルケンの最先端技術であるSILENT COREも、タイヤのノイズを低減するために機能しており、タイヤ内部のポリウレタンフォーム層が、e.ZIEXの空洞共振を大幅に低減する。 e.ZIEXは、EUの暫定的なラベル分類により、燃費が「A」、ウェットグリップが「A」、騒音が69dBで「A」といずれも最高ランクに分類されている。 まずはEVの発売が続いている欧州での販売開始とのことだが、日本での取り扱い開始も期待したい。EV専用タイヤは交換時の購入コストが高いとの声もあるので、価格設定によってはEVオーナーの維持費を助けるタイヤになるかもしれない。

TAG: #タイヤ
TEXT:生方 聡
レベルの高い走り 乗り心地には要改善点も [日産アリア試乗記:その4]

EV専用プラットフォームを採用するアリアの走りをチェック。総じてレベルは高いが、改善すべきポイントも見えてきた。 低重心化のメリット EVの場合、背の高いSUVスタイルであっても、床下に重量のかさむバッテリーを搭載することで低重心化が図られ、走行時の安定性が確保されることが多い。アリアも例外ではなく、低重心化のメリットが見て取れる。 たとえば、SUVでは目立ちがちなロールやピッチングといった走行時の揺れは、このアリアではよく抑えられており、挙動は比較的落ち着いている。高速走行時の直進安定性も高く、目地段差を越えるときのショックも、さほど気にならない。ワインディングロードでは弱めのアンダーステアのおかげで、スポーティなドライビングが楽しめた。 ただし、荒れた路面を通過するような場面では、細かい上下動を伝えがちで、とくにリアからの軽いショックは気になるレベルだった。許容できる範囲ではあるが、今後のランニングチェンジで解消してほしいものだ。

TAG: #アリア
TEXT:栁 蒼太
電気自動車の商用車「フォロフライ」EV F1 VANを試乗

オートアフターマーケットの活性化を目的とした商談型の展示会「第20回国際オートアフターマーケットEXPO 2023」が、3月7〜9日の3日間、東京国際展示場(東京ビッグサイト)西3・4ホールにて開催された。 記念すべき20回目となる今回は、西4ホール横の屋上展示場にて、丸紅オートモーティブが販売するフォロフライ社製EV商用車「F1 Van」の無料試乗会が開催された。 フォロフライ社とは?丸紅オートモーティブとの関係性は フォロフライ社は、ラストマイル配送に特化した商用EVを開発、中国大手自動車OEMの1社である東風小康汽車に生産委託するファブレス生産し、大手物流会社を中心とした顧客への販売を行う電気自動車ベンチャーだ。資本提携する物流大手のSBSホールディングス(株)が同車両を1万台導入すると発表し注目を集めていた(2023年3月より本格導入の予定)。 また、丸紅オートモーティブは2022年にフォロフライが商用EVの販売を開始した当初より、国内法人顧客へのフォロフライの商用EV導入、充電インフラ提供、アフターサービス体制作りを支援していた。そして、2023年1月末に行われた資本業務提携により、丸紅オートモーティブが取扱う、先進運転支援システム(ADAS)、充電器、アフターマーケット部品といった関連商材と併せてEV導入のソリューションとして提供されている。 フォロフライ社製EV商用車「F1 Van」とは EV F1 VANは、ミニバンサイズの小型バンで積載量が950kgを誇る。LFPバッテリーの容量はおよそ40kWh。航続距離は300km。2023年4月以降、チャデモ規格が導入され急速充電にも対応する。なお、試乗した車両は、デモカーのため、欧州CCS規格のままであった。 デジタルとアナログが混在した操作系 乗ってみると、通常の乗用車と見慣れた運転席周りの光景が目に入ってくる。その一方で、ボタンやウインカー操作、ドアの開閉などをしてみると、全体的に作りが大雑把な感じがした。また、操作にデジタルとアナログが混在していることに慣れない感覚があった。具体的には、エンジン始動やサイドブレーキはアナログな方式にも関わらず、シフト選択は電子制御のダイヤル式になっていたことだ。そして、そのシフト選択には、パーキングレンジがなく、その点も腑に落ちなかった(パーキングレンジは、日本で導入モデルには搭載予定のようだ)。

TAG: #F1 Van
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
三菱ふそう、小型EVトラック「eキャンター」を発売……デイリーEVヘッドライン[2023.03.13]

車体価格は最高2,005万800円 中国CATL製のバッテリーを搭載 【THE 視点】三菱ふそうトラック・バス(MFTBC)は、昨年モデルチェンジした小型トラック「キャンター」に量産の電気自動車(EV)モデル「eキャンター」を追加し、3月9日より受注を開始したと発表した。 2017年に国内初の量産型小型EVトラックとして発売した「eキャンター」は、今回シャシーラインナップの大幅な拡大に加え、多様なビジネスケースに対応可能な航続距離を持つ新型モデルへと進化した。 モーターを後軸に統合したMFTBC独自開発のモーター一体型駆動装置(イー・アクスル)を採用、ドライブトレインをコンパクトな構造にすることで、従来モデルの1型式から合計28型式のシャシーラインナップに展開が可能となった。 動力取り出し装置(ePTO)も新たに採用し、ダンプ/キャリアカー/脱着車/リアクレーン/ゴミ収集車といった架装にも対応する。またホイールベースの長さに応じてバッテリーを1個(41kWh)から最大3個(124kWh)まで搭載可能なモジュール式バッテリーを採用、車種に応じて99kmから最大324kmまでの航続距離を実現した。 価格も今回発表され、税込1,370万500円(41kWh)〜2,005万800円(124kWh)となる。先代の価格は発表されないままだったが、81kWhのバッテリーを搭載しおよそ2,000万円と伝えられていた。 今回、バッテリー販売数世界一の中国CATL社のバッテリーを採用したことは大きい。それゆえ車体の1/3がバッテリーのコストと言われるEVで、大幅なコストダウンが可能となったものと思われる。それでも価格はエンジン車のおよそ2倍と割高感はあり、補助金の設定額次第で販売台数に大きく影響しそうである。 先日発表の「いすゞエルフEV」の車両価格は発表されていない。ユーザーは、「エルフEV」の価格次第で、「eキャンター」とどちらにするか悩むことになるだろう。「eキャンター」は、これまでにグローバルで約450台、累計760万km以上を走行した実績を持ち強みになるかもしれない。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★三菱、今後5年間でEV9車種を含む16車種を投入と発表……2030年までに15GWhのバッテリーを調達 ★★ファルケン、欧州でEV専用タイヤ「e.ZIEX」を発売……転がり抵抗と騒音を低減[詳細はこちら<click>] ★コマツ、電動マイクロショベル「PC05E-1」をホンダと共同開発……着脱式バッテリー「ホンダ・モバイル・パワー・パック e:」を採用、「第13回 国際スマートグリッドEXPO」(東京ビッグサイト(東京都江東区)/2023年3月15日(水)~3月17日(金))のホンダブースに出展予定 ★京都大学、高温超伝導モーターの室温運転に成功……イムラ・ジャパンや三菱重工と共同開発、小型・軽量の高効率モーター実用化へ道筋 ★ブレンボ、「オートアフターエクスポ2023」にEV用ブレーキを出展[詳細はこちら<click>] ★ステランティス、「STLA ラージ」プラットフォームを使用するEVの組み立てを、伊カッシーノ工場に割り当て……アルファロメオ「ジュリア」「ステルヴィオ」の製造工場 ★旭化成傘下のセルガード、米リチウムイオン・バッテリー企業C4Vと提携……次世代の高性能・高電圧バッテリーセルを開発 ★BMW、2022年の純利益が前年比49.1%増の1万8,582ユーロを達成……EVの販売台数は107.7%増加、納入台数の9%を占める ★日産、岐阜県岐阜市と連携協定……日産電動化アクション「ブルー・スイッチ」施策で連携、災害時にEVを電源車として提供するなど ★フォーミュラEチームのDSペンスキー、FIAの三ツ星環境認定を取得 ★成田空港で関係者向けEV・PHEVの試乗会を実施……「三菱・ミニキャブ・ミーブ」など7車種の用意のほかEVトラックも展示、3月16日(木)〜17日(金)に成田空港敷地内施設にて ★三井物産、ノルウェー水素タンク企業ヘキサゴンプルスに出資……燃料電池車「FCEV」の需要増を見据え転換社債を引受け

TAG: #EVトラック #eキャンター #THE視点
TEXT:生方 聡
「アリア」のベースグレードを買っても後悔しない? [日産アリア試乗記:その3]

アリアに用意される4グレードのうち、最もベーシックなB6 2WDでも動力性能は十分なのか。街中、そして高速道路で、その実力を試してみる。 シングルモーターでも十分な動力性能 ただしFFの弱点も 運転席に戻って、さっそく試乗を開始する。最近ではシートベルトを締め、ブレーキペダルを踏み、シフトレバーを操作するだけで運転の準備が整うEVが増えているが、このアリアはブレーキペダルを踏みながらスタートボタンを押す儀式が必要だ。 長年染みついた手順のあと、まずは「STANDARD」モードで走り出すことにする。アリアの場合、センターコンソールのタッチスイッチでドライブモードを切り替えることができるが、手元に視線を落とす必要があるので、走行中の操作は難しい。見やすい位置にスイッチを移動するか、あるいは物理スイッチを用意してほしいと思った。 クリープ走行ができるようオートブレーキホールドを解除してからブレーキペダルから足を離すと、アリアはゆっくりと動き出した。ここから軽くアクセルペダルを踏むと、EVらしさを前面に出さずに、比較的穏やかに動き出した。それでも加速にはスムーズで余裕が感じられ、そこからさらに踏み込むと、速度の上昇とともに伸びやかに加速するのが実に爽快である。一方、発進時にアクセルペダルを深く踏みすぎると、路面によっては前輪がホイールスピンすることも。高トルクのFF車にはよくあることで、滑りやすい路面では要注意だ。 ドライブモードを「SPORT」に変更すると、アクセルペダルに対するモーターの反応が素早くなり、ワインディンロードなどで積極的に運転するには好都合だ。一方、「ECO」を選ぶとSTANDARDと比較して反応は穏やかになるが、それでもまわりの流れに後れを取ることはない。

TAG: #アリア

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