2023年3月
TEXT:栁蒼太
ブレンボ ビオンド EVキット(BREMBO BEYOND EV KIT)から学ぶ、EVに求められるブレーキとは

日本では新車全体の約4%を占めるようになったEV。まだまだ多くはないものの、確実に世の中の重要な役割を担っている。そんなEVが安全に「走る」ことはもちろん大事だが、それと並んで重要なのは確実に「止まる」ということだろう。 今回は、オートアフターエクスポ2023に出展をしていたブレンボ(Brembo)の会場で目にしたEV向けのブレーキを中心にEVのブレーキについて綴りたい。 いろいろな「クルマ」の、いろいろな「止まり方」 クルマの速度を下げる、あるいは止めるためには、ブレーキを使う。そのブレーキにもいくつか種類があり、フットブレーキ、エンジンブレーキ、回生ブレーキ、パーキングブレーキがある。 完全に停止するまでの手法を比べたい。ICEの場合、フットブレーキの要素が大きい。フットブレーキは、ブレーキペダルを踏む足の力をブレーキフルードの圧力に変え、車輪についているシリンダーを押し開き、ブレーキシューやブレーキパッドの摩擦によって制動力を発生させ、停止させる。 他方、EVの場合、ICEで大活躍のフットブレーキのみならず、電気モーターをブレーキとして使用する回生ブレーキが特徴的だ。そして、その回生ブレーキは、日産のe-pedalを筆頭に完全停止までアクセルのオンオフのみで行えるものまで存在する。結果として、運転中のブレーキング動作の多くは電気モーターが実行するというのがEVのブレーキングだ。見方を変えると、従来の油圧ブレーキシステムの使用が大幅に少ないのだ。

TAG: #ブレンボ
TEXT:生方 聡
「アリア」のデザインに見る電気自動車らしさ [日産アリア試乗記:その2]

EV専用プラットフォームを用いるアリアには、これまでのクルマとは異なるデザインが採り入れられている。アリアを魅力的に彩るエクステリアとインテリアとは? クリーンさが際だつエクステリア かぎられたサイズのボディに、広い室内空間の確保と大容量バッテリーの搭載を両立させるため、EVの多くが背の高いSUVスタイルを採用している。アリアもその一例であるが、さらにEV専用プラットフォームを採用することで、パッケージの効率を高めている。 エンジンに比べてコンパクトなモーターを搭載するEVのアリアは、フロントオーバーハングを切り詰めることで、広い居住空間を確保した。また、エンジンルームの冷却が不要になるため、フロントマスクからラジエターグリルが省かれ、代わりに“シールド”と呼ばれるブラックのパネルを手に入れた。 さらに、クーペのようなルーフラインや張りのあるボディパネル、くっきりと浮かび上がるウェストラインなどにより、アリアのエクステリアは力強い印象に仕上げられている。強い個性を放ちながらクリーンさが際だつアリアは、“日産の新しい扉を開く”のにまさにふさわしいデザインの持ち主といえる。 居心地の良い室内 アリアのインテリアも実に個性的だ。運転席に座り、まず目を奪われたのがダッシュボードを横切るブラックの木目調パネル。その中央部分には空調のスイッチが浮かび上がり、面白いなと思う反面、操作性はどうなのかと少し不安になる。しかし、運転席から見やすく、手が届きやすい位置にあるため、使いにくいのではないかという心配はすぐに解消された。 ドライバーの前には2つの大型ディスプレイが配置されるが、直線的ではなく、S字状に連結されているのがユニークだ。ダッシュボード中央部のタッチパネルがドライバーに近づくぶん、操作性に優れるのがうれしいところだ。 モダンですっきりとしたデザインやソフトパッドにステッチが施されたダッシュボードなどにより、アリアのコックピットは上質さが感じられるとともに、居心地の良い空間に仕上がっている。

TAG: #アリア #デザイン
TEXT:栁蒼太
株式会社アイダ設計、住宅用安心給電キットを販売

株式会社アイダ設計は、同社の建築する住宅(新規契約)を対象に、停電時にEV・PHEV車から電力を供給するための「住宅用安心給電キット」と、EV・PHEV車を充電するコンセントをセットにしたオプションパックを販売開始する。 もしもの時のいつもの備え 地震や台風など、近年多発する自然災害等による停電などの非常時に、EV・PHEV車から電力を供給する為の「住宅用安心給電キット」と、EV・PHEV車を充電する専用コンセント(200V用)をセットにした新たなオプションパックを作った。 「住宅用安心給電キット」は非常用住宅給電ボックスと屋内コンセントで構成されている。停電時にはガレージに置いたEV・PHEV車内のアクセサリーコンセントに非常用給電コードを接続して、専用屋内コンセントに冷蔵庫やPC・テレビなど家電製品を接続し利用することが可能だ。 住宅の購入検討に最適な提案を 同社では、断熱性能や耐震性能を高めた注文住宅や分譲住宅を販売しており、EV車を所有している・関心のある顧客がアイダ設計の住まいと組み合わせて検討できるようにオプションパックを作ったとしている。 [住宅用安心給電キット+屋外コンセント オプションパック内容] [「創エネ・蓄エネ搭載住宅」 +「EV車 非常用電源」オプションパック] 新しいライフスタイルに対応したアイダ設計の注文住宅標準仕様『断熱と耐震の家 BRAVO(ブラーボ)2』(2023年3月1日リニューアル)では、リース型の太陽光発電システムと蓄電池を搭載。蓄電池は日々の節約としても、非常時の電源としても頼りになる。「EV車非常用電源」オプションパックと組み合わせることで、より非常時への備えをすることができる。

TAG: #V2H #充電
BMW iX5 HYDROGENとBMWのオリバー・ツィプセ会長
TEXT:小川フミオ
iX5ハイドロジェンが示唆するBMWの「戦略」とは。オリバー・ツィプセ会長が明かした水素の可能性

BMWが、現行X5をベースに開発した燃料電池自動車「iX5 HYDROGEN(ハイドロジェン)」。2023年2月に、その国際試乗会がベルギーで実施された。本イベントに参加したジャーナリストの小川フミオが、オリバー・ツィプセ取締役会長に、彼らが燃料電池車を今このタイミングでリリースした背景を問うた。 「運転する歓びがなければ作る意味がない」 BMWが2023年2月に水素で走る「iX5」をジャーナリストに試乗させた。BEVに力を入れる同社が、なぜここで、水素で走る燃料電池車を作ったのか。 電気自動車の力強さと、エンジン車のような簡単な充填というメリットをもつ水素自動車。iX5は、水素を分解して電子を取り出し、それをバッテリーに貯蔵してモーターを回す燃料電池車。 いま世界で100台を走らせるという「パイロットフリート」のiX5に乗って、出来のよさに感心しつつ、BMWの戦略を、オリバー・ツィプセ取締役会会長に聞いた。 −−アントワープ(ベルギー)を舞台にしたテストドライブで、iX5に乗って、そのナチュラルさとパワフルさに感心しました。 「私も何度も運転しました。気に入ってもらえて嬉しいです。重視したのは、BMW車が大事にしているドライビングプレジャーです。それがなければ作る意味はない、とまで開発陣は肝に銘じて、iX5を開発したのです。このクルマを通して、未来のために私たちがなにをしているか、理解していただけると幸いです。iX5は、運転する歓びを与えてくれるクルマですよね。ひょっとしたら、ICE(エンジン車)以上に」 −−BMWはそもそも代替燃料車で比較的長い歴史をもっていますね。とくにいまのBMW iにつながるバッテリー駆動の電気自動車では。 「最初が2009年にお披露目したMINI E(150kWの電気モーターを35kWhのバッテリーで駆動)ですね。ミニクーパーをベースに開発した車両で、500台を北米でプライベートユーザーにリース販売しました。そのあと2013年にi3をローンチさせました。今回のiX5は、北米とか日本でテストフリートを走らせるので、私は当時のことを思い出しています」 BEVのみの1本脚ではなく水素との2本脚へ −−それにしても、なぜ水素なのでしょうか。これだけBMW iとしてBEVのラインナップが充実しているのに。 「未来へと歩みを進めるには、1本脚では歩行がむずかしい、と私は言っています。安定して先へと進むためには、もう1本脚があったほうがいいのです。それが水素燃料で走るクルマなのですね。主軸はBEVですが、それを水素でおぎなっていくのです」 −−BEVだけではなにかが足りないということでしょうか。 「たとえば、充電インフラです。このままBEVが増えていくと、それに合わせて充電ステーションを作っていかなくてはなりませんが、たとえば郊外などではペイにしくく、インフラのコストが負担となってのしかかってくることが予想されます。それを水素でおぎなえればというのが私たちの考えです。水素は液体のかたちで運搬可能ですし、化石燃料のように充填が早くできるメリットをもっています」 −−ちょうど昨日(2023年2月14日)欧州委員会が、2035年に内燃機関搭載の乗用車の販売を禁止する法案を採択しました。水素自動車の開発も急務ということでしょうか。 「2026年をめどに欧州委員会は、(ユーロ7とも言われている)ICEの規制をかなり強めると発表したところです。すでに国によっては、BEVが新車販売の6割に達するところもあります。しかし、原料の稀少性とか、充電ステーションの整備とか、27年とか28年には不足の問題が出てくるんじゃないでしょうか。そこで水素です。利点は、稀少な原料をあまり使わないこと、大きなバッテリーを使わないこと、軽量化できることなど、いろいろあげられます」 −−川崎重工業が液体水素を豪州から運んでくる運搬船を手がけるなどしていますね。 「ここで考えるべきは、クルマだけでなく、もっと広い視野でのインフラです。電気の充電インフラは乗用車しか使えません。クルマだけなんです。船舶もトラックも航空機も使っていません。でも水素にはいろいろな業界が注目しています。たとえば、iX5の試乗会の舞台になったアントワープは港湾地区に水素の充填ステーションを持ち、水素で走る小型船も実用化されています」 「これからの20年から30年のあいだのエミッションフリーのために、充電と水素という、ふたつが必要になってくるのではないでしょうか。クルマだけでいえば、市街地なら充電ステーションでもいいでしょう。でも長距離走る場合は、行き先によっては水素のほうが便利ということにもなるかもしれません」

TAG: #iX5 #燃料電池
TEXT:生方 聡
「アリア」が挑むのは電気自動車の激戦区 [日産アリア試乗記:その1]

日産のクロスオーバーEV「アリア」のなかから、エントリーグレードのB6 2WDに試乗。“日産の新しい扉を開く”アリアとは、どんなEVなのだろうか。 一番ホットな市場へ いまやその姿を見ない日はないというくらい、ポピュラーなEVが日産リーフ。2010年に初代モデルが発売され、2017年には現行型の2代目に進化。このリーフが日本のEVの普及と充電インフラ整備を牽引してきたことは、誰の目にも明らかだろう。 そんなリーフの10年にわたる経験をもとに、2020年7月、“新時代の100%電気自動車”としてワールドプレミアを果たしたのが、クロスオーバーEVのアリアである。全長4,595×全幅1,850×全高1,655mmのアリアは、いわゆる“Cセグメント”のSUVであり、トヨタbZ4Xやスバル・ソルテラといった日本勢に加えて、ボルボC40/XC40リチャージ、メルセデス・ベンツEQB、アウディQ4 e-tron、フォルクスワーゲンID.4などの輸入車勢など、いま最もホットな市場に戦いを挑むことになった。 EVの激戦区に打って出るにあたり、日産はEV専用のプラットフォームを開発。2,775mmの余裕あるホイールベースと切り詰めた前後オーバーハングにより、他のライバル同様、塊感のあるフォルムを手に入れている。

TAG: #アリア
TEXT:岡崎 宏司
岡崎宏司の「EVは楽しい!」第7回:EV選びも楽しい! e-208GTになったのは その2

プジョーe-208GTを選んだ過程には、愛車となるイメージ作りがあったよう。絞り込まれた3車種、そして心を決めたのは奥様のひと言。EV選びの楽しさを綴ります。 眺めては乗り、比べてはどれも良くて わが家のEV探しが、フランス生まれの3車に絞られたことは前回話した。DSブランドが1車、プジョー・ブランドが2車。いずれもBセグメントのコンパクトモデルだ。 すでに話した通り、家内も僕もフランス車が好き。だから、プジョー208、2008、DS3クロスバックにEVモデルが加わった時は、「やったね!!」みたいな感じで、思わず手を打った。 とりあえずは3車を借り出して眺めまわし、そして試乗したのだが、どれもいい。ルックスにしても、乗り味にしても、走り味にしても……家内共々「いいね!」でまとまった。 DS3は、カッコが良いから…… 3車とも、ひと目見てユニークであり、フランス車ならではの才気をもタップリ感じさせられた。……が、DS3クロスバック E-TENSEにはひとつだけ引っかかるところがあった。 それは、「カッコよすぎ!」、「カッコ付けすぎ!」……どちらの表現が妥当なのかはわからないが、デザイン面での過剰感を感じたのだ。 DSの氏素性を考えれば「それでこそDS!」といったことになるのかもしれない。でも、「僕に馴染むのか?」「僕に着こなせるのか?」といった「?」が頭を過った。 家内も同じ。「コンパクト系ではもったいないくらい上質だし、デザインも斬新だけど……大丈夫かな……」と不安そうだった。 そう……高齢になって、とにかく「日々を気軽に楽しく過ごしたい」と思っているわれわれには、ちょっと「気の抜けないクルマ」に感じられたのだ。 もちろん、なりふり構わず乗りまわせる…といったことではない。でも、DS3クロスバック E-TENSEには、「日々のちょっとした外出での装いにも気を遣わされる……」、といった印象を抱いたのである。 そんなことで、最初に、DS3クロスバック E-TENSEは候補から外れた。

TAG: #EVは楽しい! #岡﨑 宏司
TEXT:栁 蒼太
災害対策の小型発電機をEV充電用として「日常使い」に

東西商事株式会社は、小型ポータブル発電機「Vector(ベクター)」シリーズを電気自動車(EV)の充電向けに本格展開する。災害対策として小型発電機を導入する町内会・自治会、スーパーマーケット、道の駅などがEV充電用に貸し出して課金することで、利便性を向上するとともに、発電機の購入コスト回収を早めることができる。実際の仕様は、液化石油ガス(LPG)とガソリンの両方が使える最大出力3.5kWの「3500α」(単相100ボルト、200ボルト)と、LPG専用モデルで同7kWの「7000α」(同)を想定。急速充電はできないものの、LPGコストは充電スタンドよりも割安のため、充電スタンド並みに課金すれば収益が期待できる。充電スタンドに行く前の30~60km走行向けに初年度100台の販売を見込んでいる。 まだまだ不足している充電スタンド 二酸化炭素の排出を抑制し、地球温暖化を防ぐために、EVの販売台数が世界的に増加している。商用でもトヨタ車体株式会社の超小型EV「コムス」が生産累計1万台を突破したほか、aidea株式会社の電動バイクを日本マクドナルド株式会社、日本郵便株式会社、DHLジャパン株式会社が採用するなど、ガソリン車からの切り替えが進んでいる。一方で、充電スタンド数が全国で約2万2000カ所とガソリンスタンド数の6割を超えた(一般社団法人次世代自動車振興センターのサイトより)ものの、急速充電スタンドは少なく、まだ不足しているのが実態だ。 「普段使い」が解決策の糸口に 東西商事が災害対策用に販売してきた小型ポータブル発電機をEV充電向けに併用することを提案し、発電機の「日常使い」を推し進める。価格は「3500α」が1台35万円前後、「7000α」が同90万円前後(いずれも税別)。町内会・自治会などでは住民にEV充電用に貸し出すことで課金できるため、発電機を導入しやすくなる。 大きさと重さは「3500α」の場合、長さ60cm、幅48cm、高さ47cm、総重量49kg。車輪付きの可搬型ためフレキシブルに利用が可能だ。インバーター回路で省エネルギーを図りながら小型化したのが特徴で、72時間の使用に耐えられる防災対応となっている。単相200ボルト仕様が増えているエアコンやIHクッキングヒーター、コンプレッサー、ポンプなどへの対応が可能。購入、導入後のアフタフォローは「R&Dセンター」(千葉県八街市の物流センター内)がサービス、メンテナンス、検品を行う。 【東西商事株式会社の概要】 設立=1954年(昭和29年)8月 資本金=5500万円 代表取締役:廣比公一 事業内容=発電機・蓄電池、熱交換器の製造販売、環境・空調機器の販売 本社所在地=東京都港区東麻布1-26-8、プライム東麻布2階 電話番号=03-3585-3351 ファクス=03-3585-3379  

TAG: #充電
TEXT:清水和夫
最新のFCEVに乗って分かったBMWが“二刀流”を目指すワケ[BMW iX5 HYDROGEN海外試乗]

BMWが燃料電池システムを搭載するFCEV「iX5 HYDROGEN(ハイドロジェン)」のパイロット販売を年内にスタートする。4年間の開発期間を経て出来上がった水素で走る新型SUVは、果たしてどのような完成度を見せるのか。国際自動車ジャーナリスト・清水和夫がベルギーで最速試乗した。 ドイツのアーヘンで見た不思議な光景 長い間首を長くして待っていた新型車にようやく試乗できる日がやってきた。そのクルマとは、BMWの燃料電池車(FCEV)「iX5 HYDROGEN(ハイドロジェン)」なのである。プロトタイプの国際試乗会がベルギーで開催されたので、さっそくその試乗記をレポートしてみたい。はたしてどんな電動車になっているのだろうか。 ベルギーの首都ブリュッセルに行くために、ドイツのフランクフルト空港から陸路で移動することにした。せっかくの機会なので、マツダが市販を始めた新型CX-60のPHEVモデルを借りて西に移動する。試乗会の基地はブリュッセルの港湾部として知られるアントワープだ。そこまで約400kmのドライブを楽しんだが、アウトバーンを西に進路を取り、ベルギー国境近くのドイツ・アーヘン市に入ると不思議な光景が目に止まった。 右手には火力発電所。その煙突から吐き出す真っ白な雲が空に向かって立ち上る。だが、左手には多くの風力発電があり、ゆっくりと大きな羽を回しながら電気を作っていた。この火力発電所では石炭燃料を使っている。白い雲は水蒸気だったが、CO2は排出している。しかし、ロシアからの天然ガスの供給が止まり、やむなく石炭を使う苦しい台所事情がありそうだ。風力発電は再生可能なエネルギーなのでCO2排出は基本的にはゼロだ。 この不可思議な発電事情の光景を後にして、さらに200kmほど走るとアントワープについた。早速ホテルにチェックインを済ませ、試乗前のレセプションに参加。なお、今回使用する燃料電池車の心臓部にあたるスタック本体はトヨタから供給されたものである。 BMWのFCEVはどんなシステムなのか iX5 HYDROGENにはトヨタMIRAIのスタックを使うので、システム全体もトヨタ製かと思ったが、実際にBMWへ供給されるのは、125kWのスタック本体だけであった。 ここでトヨタMIRAIのFCEVのスペックをおさらいしておくと、300枚のセルが直列に組み込まれたスタックは128kWの出力で発電する。リヤタイヤを駆動するモーターは最大134kWということで、MIRAIはスタックの電力でモーターを駆動する考えだ。バッテリーは空冷式で、主に回生ブレーキを使う30kW程度(筆者の予想)なので、トヨタMIRAIはTHS(トヨタのハイブリッドシステム)のアーキテクチャーを基盤としているといえる。また、3本の高圧水素タンク(700気圧)に蓄えられる水素は6kgの重量で、ベースモデルの車両重量は1920kgとなっている。 iX5 HYDROGENはMIRAIと同じスタックを使うので125kWを発揮するが、リヤモーターの上に配置されたバッテリーは水冷式のパワフルな170kW。したがって「125+170」となるから、リヤモーターは295kW(約401馬力)で駆動する。これは、高出力バッテリーとスタックによるBEVをアーキテクチャーとする考えである。高圧水素タンクは2本だが、水素重量はMIRAIと同じ6kg。だが、後続距離はMIRAIよりも短い500kmとなる。

TAG: #iX5 #燃料電池
TEXT:田中 誠司
マンションの自分の駐車枠でも設置費用および月額費用ゼロ……エネチェンジが「マンション専用車室ゼロプラン」の提供を開始

ENECHANGE(エネチェンジ)株式会社は3月9日、国の補助金を活用した「マンション専用車室ゼロプラン」の提供を開始すると発表した。 居住者専用の駐車枠でも“ゼロプラン”活用可能に “専用車室”とは、マンションの住民等が専有する駐車場枠のこと。従来は来客用等マンションの共用部にあるスペース、つまり不特定多数が利用する可能性がある場所への設置のみ「ゼロプラン」の設定があったが、特定の契約者の駐車枠でも利用が可能になる。2022年11月に発表した、壁に直付けする方式でも設置可能なマンション向け6kW充電器「チャージ3」を利用する。 マンションへの充電器設置には、一般的なケースの場合、管理組合、管理会社、賃貸オーナーが機器費用、設置費用といった初期投資に加えて電気料金を負担しなければならない。「マンション専用車室ゼロプラン」の場合、利用者が1kWhあたり約36円(東京都の場合)の充電費用を支払い、その中から電気代が物件の所有者に還元される。 東京都内で都の助成金の要件を満たしたマンションにおいて本プログラムを利用した場合は、電気料金の基本料金も無料となる。つまりマンション管理サイドでは一切出費なく充電器を設置できることになる。

TAG: #エネチェンジ #充電 #補助金
TEXT:生方 聡
“電動ワーゲンバス”「ID.Buzz」の日本導入が決定

フォルクスワーゲン ジャパンは3月9日、“ワーゲンバス”のEV版である「ID.Buzz」を2024年末以降に日本市場に導入すると発表した。 仕様も価格も未定 フォルクスワーゲンでは、同グループが開発したEV専用プラットフォーム「MEB」を用いたEVを「ID.シリーズ」として展開している。2022年末に日本での販売がスタートしたSUVのID.4もID.シリーズの一員である。 今回、日本市場への導入が発表されたミニバンタイプのID.Buzzは、“ワーゲンバス”としていまなお人気を集めている「フォルクスワーゲン・タイプ2」の再来といわれ、乗用車版のID.Buzzと商用車版のID.Buzz カーゴの2タイプが用意される。ヨーロッパでは2022年11月に販売がスタートしているが、あまりの人気に納車まで長い日数を要している状況だ。 日本でも関心が高いこの注目のモデルを、フォルクスワーゲン ジャパンは2022年12月12日から期間限定で公開。その時点では、イベントの反響を見て導入するかどうかを決定するということだった。それからわずか3ヵ月で、ID.Buzzの日本導入が決定したことになる。 ただし、この日に発表されたのは日本導入が決定したことだけで、日本仕様の内容や価格については現時点では未定とのこと。ドイツでの価格が64,581.30ユーロ(=約930万円、付加価値税込)からとなるが、日本仕様がどのくらいの価格になるのか、大いに気になるところだ。

TAG: #ID.Buzz

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
ブレーキダストを封じ込めて環境対策! メルセデス・ベンツが開発したEVならではの技術「インドライブ・ブレーキ」ってどんなもの?
ヒョンデの魅力を日本に伝える新たな拠点! 「ヒョンデ みなとみらい 本社ショールーム」がグランドオープン
中国から地球上最強コスパの新星EV現る! IMモーターL6の驚くべきスペックとは
more
ニュース
ロングホイールベース化で後席が7シリーズ並! BMW 5シリーズ 「i5 eDrive35L」と「525Li」に「Exclusive M Sport」を追加
中国専売EV第2弾はクロスオーバーSUV! スポーティなクーペ風スタイリングがマツダらしい「EZ-60」を上海モータショーで発表
上海モーターショーで見えたトヨタのマルチパスウェイ! フラッグシップEV「bZ7」とレクサス新型「ES」を同時発表
more
コラム
EVの電欠ってどのぐらい発生してる? JAFの出動要請ランキングを調べてみた
BYDの最新車種シーライオン7で1000km走行チャレンジ! 雨でもキチンと働く「ADASの進化」が凄い
EVって最高速度が低いのはなぜ? 答えは「できないじゃなくあえて低く設定している」だった
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない
【試乗】二度見必至の存在感は普通のコナとはまるで別モノ! イメージを大きく変えたヒョンデ・コナ「N Line」に乗って感じたマルとバツ
ボルボEX30で11時間超えの1000km走行チャレンジ! 課題は90kWまでしか受け入れない充電性能
more
イベント
災害に備えて未来を楽しむ! 「AWAJI EV MEET 2025」の参加はまだまだ受付中
災害時にも活躍できるEVの可能性を淡路島で体験! 「AWAJI EV MEET 2025 from OUTDOOR FEELS」開催決定
売り物ではなく概念を展示するモデリスタ! 正体不明なトヨタbZ4Xはブランドの「新化」という概念を示すスタディモデルだった【大阪オートメッセ2025】
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択