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TEXT:烏山 大輔
EV充電サービスのユアスタンド、EV充電器「Pulsar Plus(パルサープラス)」の予約販売を開始

EV充電器の導入、運用サービスを提供するユアスタンド株式会社は海外製充電器メーカーWallbox Chargers SL(ウォールボックス チャージャーズ エスエル )社とEV充電器の販売代理店契約を締結し、2023年4月11日から高出力で高機能なEV充電器「パルサープラス」の予約販売を開始した。 日本国内において販売されているEV充電器の多くは、ケーブルのないコンセントタイプや大型の充電器が主流で、さらに出力が約3kWと低いため、充電に時間がかかることが課題だ。また、通信機能がついているスマート充電器が少なく、充電出力の調整などの付加価値を享受できない利用者が多いという現状がある。 そこで、ユアスタンドは高出力かつ高度な機能を備えた充電器を製造し、世界中で安価な充電器を販売しているウォールボックス社と販売代理店契約を締結し、ウォールボックス社製EV充電器「パルサープラス」の予約販売を開始した。 パルサープラスは、最大6kWの高出力で充電することができ、日本市場展開の第一弾として注目を集めている。この製品は、ウォールボックス社の中でも最大の出荷台数を誇る充電器である。 充電にかかる時間は、充電コンセントで充電した場合の約半分の時間で済むため、非常に効率的に充電ができる。また本体にはケーブルが付いており、毎回の充電時にケーブルを出し入れする手間を省くことができる。さらに日本国内で販売されている6kW充電器の中では最軽量の2kgとコンパクトな設計になっており、日本の住環境にもマッチしている。 ウォールボックス社は、海外の自動車ディーラーや、Uber(ウーバー) 、Iberdrola(イベルドローラ、スペインの電力会社)、Fisker(フィスカー、アメリカのEVメーカー)などの有名ブランドとパートナーシップを組んでおり、世界112ヵ国で累計37万台の充電器を販売している。 パルサープラスの仕様 定格:200V単相 最大電力:6kW(車によっては8kWでの充電も可能) 電流の種類:AC 通信方法:Bluetooth、Wi-Fi コネクタ:J1772 寸法(ケーブル付き):198mm x 200mm x 99mm 重量:2kg 価格:129,800円(キャンペーン価格:98,870円)いずれも税込価格 納期:2023年6月中旬以降を予定

TAG: #充電
TEXT:栁 蒼太
横浜ゴムの「ADVAN V61」がLEXUSの新型BEV「RZ」に新車装着

横浜ゴム(株)は、LEXUSが2023年3月より日本および欧州・アジアなどの海外各国で発売したLEXUS初のBEV専用モデルとなる新型「RZ」の新車装着(OE)用タイヤとして、「ADVAN V61(アドバン・ブイ・ロクイチ)」の納入を開始した。装着サイズはフロント用が235/60R18 103H、リア用が255/55R18 105V。 「RZ」のポテンシャルを引き出すタイヤ 「ADVAN V61」は横浜ゴムの最高峰ブランド「ADVANシリーズ」のハイパフォーマンスタイヤだ。レクサス「RZ」がもたらす人とクルマが一体となった気持ちの良いドライビングフィールを足元から支えるべく、操縦安定性と乗り心地に加え、耐摩耗性、耐ハイドロプレーニング性能を達成した上で、パターンによるノイズを抑えた高い静粛性と転がり抵抗の大幅な低減を両立させたという。 なお、一般にバッテリー電気自動車(BEV)は巨大なバッテリーを搭載している分、ガソリン車に比べ重量が大きく、そして、電気モーターによって瞬時にトルクを発生するため、荷重移動が激しくなり、タイヤに大きな負担となりやすい。それらの課題を含め、「RZ」の良さを最大限に引き出すためのタイヤと言えるだろう。 ところで、次章で紹介するが、本タイヤの開発にあたり、独自のAI利活用フレームワーク「ハイコラボ(HAICoLab)」を活用している。 タイヤ開発にAI活用? 「ハイコラボ」は、横浜ゴムが2020年に策定したデジタル革新のためのAI利活用構想だ。それ以前でも「マルチスケール・シミュレーション」などのシミュレーション技術や「マテリアルズ・インフォマティクス」というAIを活用した材料開発技術を開発してきた。「ハイコラボ」は、それらのシミュレーション技術とAI技術を組み合わせ、人の特性にも着目した独自のAI利活用フレームワークとなっている。 ところで、タイヤの開発にあたっては、フィラーの構成、サイズ、量、配合量で定まる複雑な高次構造として入念に設計する必要がある。ただ、考慮すべき要因が膨大であるため、分子動力学や量子化学のようなコンピューターシミュレーションが必要とされている。 そのような状況下で、AIのソフトウェアが膨大なデータを使って学習し、認識や判断をコンピューターで実現する技術である機械学習は、過去の計測データと計算科学シミュレーション・データに基づいて、タイヤ特性を迅速かつ正確に予想することが可能だ。それによって、開発プロセスが大幅にスピードアップしイノベーションが促進される。 ただし、AIは学習データに依存しているため、学習データが不足している未開拓領域には容易に適用できないため、急進的イノベーションには適していない。 よって、計測装置やシミュレーションで生成する膨大なデータの処理はAIが、次に人が定めた仮説に基づいて、技術向上のための予測、分析および探索を行う。このプロセスで、エンジニアが技術革新や仮説再設定に利用する新たな知識を生成するのだ。 足元を支え続ける横浜ゴムの戦略 横浜ゴムは2021年度から2023年度までの中期経営計画「Yokohama Transformation 2023」のタイヤ消費財事業において高付加価値商品の販売構成比率最大化を掲げ、「ADVAN」および「GEOLANDAR(ジオランダー)」の新車装着拡大に取り組んでいる。プレミアムEVへの新車装着は、確かな技術がなければ実現しえない戦略のコアとしている。 ところで、タイヤは、電動化や自動運転といった、自動車業界のトレンドが変わったとしても、需要が途絶えることは考えにくい。ただ、格安タイヤを販売する新興メーカーも勃興する中、長い歴史と確かな技術を持ったメーカーは、今回紹介したような、トレンドを先導するような商品の開発が必要となるのだろう。タイヤ業界の流れをキャッチアップすることで、足元から自動車業界を俯瞰するのも良いかもしれない。  

TAG: #横浜ゴム
TEXT:栁 蒼太
ヒョンデ、「アイオニック6」が「ワールドカーオブザイヤー」ほか3賞受賞

ヒョンデのオールエレクトリック専用ラインナップブランド「IONIQ」の第2弾モデルである、アイオニック6が「ニューヨーク国際自動車ショー」にて、「ワールドカーオブザイヤー」、「ワールドエレクトリック ビークル」および「ワールドカーデザインオブザイヤー」を受賞した。今回の受賞でヒョンデは、2022年の「アイオニック5」の3冠に続き、2年連続の3冠達成となった。 アイオニック6は、ヒョンデ独自の電気自動車用プラットフォームであるE-GMPアーキテクチャーを最大限に活用し、800V対応でわずか18分で10~80%の充電が可能な超高速充電機能、広々とした車内空間が特徴だ。また、同車は「シングルカーブの電動ストリームライナー」を標榜しており、車体の緩やかなカーブによって、空力的にも有利となっている。以上のような工夫により、エネルギー効率を良くしている。 なお、アイオニック6にはバッテリー容量が77.4kWhの上位グレードと、同53kWhの標準グレードが用意されている。上位グレードは、満充電時の航続距離が610km以上(WLTPモード)で、後輪駆動車と四輪駆動車を設定している。四輪駆動車における駆動システム全体の最高出力は239kWで、最大トルクは605N・mに達する。また、標準グレードはRWD車のみとなっている。 ヒョンデは、2030年までに17車種のバッテリー電気自動車を導入する計画をしており、今後も世間のEV市場を先導していく存在になっていくかもしれない。

TAG: #アイオニック6 #ヒョンデ
TEXT:TET 編集部
ー20℃以下でEVを走行。メルセデスがスウェーデンでの極寒地テストの模様を公開

独メルセデス・ベンツは4月6日(現地時間)、EV専門サブブランド「EQ」の冬季テストの模様を公開した。極寒地でのテストの目的は低温下でのバッテリー性能の確認にとどまらず、ブレーキ性能の向上などにも役立てられるのだという。  EVならではの高精度なブレーキ制御が実現 BMWやポルシェもテスト走行を行うこのフィールドに、メルセデスは専門部署を設け20年以上にわたりテスト走行を実施している。アリエプローグの路上は時にー26℃ほどまで下がり、温度、降雪、風、凍結路面など、自然ならではの様々な気象条件が実験室では得られない貴重な計測データをもたらすようだ。 そして、これまでメルセデスの内燃機関モデルが潜り抜けてきたアリエプローグの洗礼を、現在はEQシリーズの電動車が経験している。特に目下メーカーが重点を置いているのは最新世代のブレーキ制御システムのテスト。エンジニアのチームは主に安全性、効率性、快適性に力点を置き、「EQE」、「EQS」、「EQS SUV」、「EQE SUV」といったモデルのブレーキ制御システムを、個別に調整し、物理的な限界まで押しあげるという。 加えて、テスト車両の中には、まだ我々が知らない次世代プラットフォームを使った将来のEQシリーズも含まれているとのこと。そうした開発途上のプロトタイプは、凍った湖を横断し、地域の最高峰の山々を登るテスト走行にも供されるとのことだから、我々が想像するより相当早い段階から厳しい実地試験が行われているようだ。 また、メルセデスでは単にEVと寒冷地の相性を確認するだけでなく、新世代のスタビリティマネジメントシステムの開発にも取り組んでいるという。このシステムは電気駆動の特性を利用して、各タイヤのトルクを正確に制御することで、危険な状況を未然に回避する。きめ細かな制御ではドライバーはシステムの介入に気付かないかもしれないが、将来的には車両のバックグラウンドでこうした機能がフル稼働することとなる。 付け加えると、公開されたイメージに写る車両が装着しているのは標準のオールシーズンタイヤまたはウィンタータイヤで、グリップ力の高い専用タイヤは使用されていない。つまり、将来的にテスト中のシステムが市販車に実装されれば、仮にマイカーのEQシリーズでアリエプローグに乗り込んでも、同じように走行が可能というわけだ。 >>>次ページ アスファルトに比べグリップレベルは1/10

TAG: #EQE #EQS
TEXT:曽宮 岳大
“クルマ屋が作る新世代EV”を投入。新体制方針説明会で垣間見たトヨタの本気

トヨタ自動車は4月7日、「新体制方針説明会」と銘打った発表会を開き、佐藤恒治新社長はじめ新たな経営陣による事業方針の発表を行った。会見では、地域ごとに最適な複数の方法でカーボンニュートラルを目指す“マルチパスウェイ”を継承し、電気自動車については2026年には「クルマ屋が作るEV」を標榜する、まったく新しいEVを投入することなどを明らかにした。 複数の手段でカーボンニュートラルを追求 豊田章男前社長(現会長)に代わり、佐藤恒治新社長をリーダーとするトヨタ新体制が4月1日にスタートを切った。佐藤社長が掲げるテーマは、“継承と進化”。豊田前社長が打ち出した「もっといいクルマを作ろうよ」をクルマ作りの原点として新体制でも継承し、社員、仕入れ先、販売店と一緒に“チーム経営”でクルマを作っていくと強調した。 継承と並行して、“進化”にも取り組んでいく。その主たる取り組みとして「クルマの未来を変えていく」ことを掲げる。避けては通れないのが2050年カーボンニュートラルだ。その実現に向け、従来から掲げているマルチパスウェイ(ひとつの手段ではなく、地域ごとに合った複数の方法で目標達成を目指す)を軸に、“今できる電動化”を積み上げて行く方針を述べた。そのマルチパスウェイのなかでも重要となるBEV(バッテリーEV)については、数年でラインアップを拡充する方針を示した。 商品を軸にした具体的な取り組みについては、中嶋祐樹副社長により発表が行われた。中嶋副社長は、佐藤新社長同様、現場上がりの役員である。チーフエンジニア時代には「iQ」や「ハイラックス」を生み出している。 中嶋副社長は、バッテリーEVについては2026年までに10モデルを新たに追加し、販売台数を年間150万台に引き上げる目標を示した。そして2026年には、「クルマ屋が作る今までとはまったく異なる次世代バッテリーEVを投入する」と高らかに宣言した。 >>>次ページ EVの航続距離を2倍に

TAG: #トヨタ #発表会 #経営
TEXT:烏山 大輔
ステランティス、ニューヨーク国際自動車ショーで、最大500マイルの航続距離を実現した新型BEV「ラム1500 REV」を発表、来年発売予定

THE EV TIMESで新情報が発表される度に注目していた「ラム1500 REV」、4月5日に開幕したニューヨーク国際自動車ショーではいよいよ詳細な各種数値が発表された。ラムブランドは日本ではディーラー展開をしていないが、ライバルであるフォードF-150やトヨタ・タンドラなどとともに並行輸入されるほど人気だ。もしかすると来年以降に街中で目にする機会があるかもしれない。 さらには同じステランティス・グループであるジープブランドのグラディエーター(全長5.6m、車重2,280kg、5人乗り)は、受注開始からわずか3ヵ月間で400台が売れたほど、根強いピックアップ人気のある日本市場でもある。 ラム1500 REVは来年の発売を予定しているため価格の発表はなかったが、今回公表された内容を基にアメリカらしいフルサイズピックアップに迫っていきたい。 Ram 1500 REVの過去記事は下記です。 https://ev-times.com/2023/02/13/3014 https://ev-times.com/2023/02/14/3036

TAG: #モーターショー #ラム1500 REV
TEXT:TET 編集部
次期MINIクロスオーバーEV版の詳細が公開。航続距離450kmでツアラーとしてのポテンシャルも

現行モデルに比べ、大幅な電動化を達成 独BMWは4月5日(現地時間)、新型「MINIカントリーマン(日本名:クロスオーバー)」の登場を予告するティザー第二弾を公開した。 MINIのラインナップでもっとも大柄なクロスオーバーSUVのMINIカントリーマンは、AWD機構やゆとりあるラゲッジスペースをセリングポイントとして2010年に初代がデビュー。2017年に登場した現行の2代目には、リアアクスルに65kW(88ps)の電気モーターを追加した「MINIクーパーSE カントリーマンALL4」も設定され、日本でも「MINIクロスオーバーPHEV」として511万円(税込)で販売されている。 現在、MINIブランドではハッチバックにフルEVの「MINIクーパーSE」(日本未発売)を設定しているが、それ以外の電動車は限定車を除くと、カントリーマンに設定されるPHEVのみ。それでもグローバルでは既に販売台数の5台に1台は電動車になっているというが、2030年代初頭までにBMWグループ初のフルEVメーカーになるというMINIのブランドプランを実現するためには、次期カントリーマンでのさらなる電動化の進捗が非常に重要なのだ。 先月、新型MINIカントリーマンのティザー第1弾としてイエローで擬装されたプロトタイプのイメージが公開された際、次期型にはフルEVと内燃機関モデルの2種類が設定されることが明らかにされた。今回の第2弾ではこのうち前者のスペックがより詳細に示された。それによると、フルEVは「MINIカントリーマンE」と「MINIカントリーマンSE ALL4」の2グレードが用意され、前者は191hpの最高出力を持つFWD車となる。 一方、上位グレードとなる後者は、前後アクスルにモーターを装備するブランド初の完全電動AWD車となり、一時的なブーストを含めて313hpの最高出力を達成するという。また、カントリーマンSE ALL4は64.7kWhのバッテリーを搭載し、航続距離は約450kmに及ぶとのことだから、街乗りだけでなく遠出もこなす実力派EVとなりそうだ。 >>>次ページ サイズ拡大で居住性がさらにアップ

TAG: #MINIクロスオーバー #クロスオーバー
TEXT:烏山 大輔
日産とホンダが上海モーターショー2023に出展。EVやコンセプトカーを展示予定

中国・上海で開催される「上海モーターショー2023」に、日産自動車株式会社はコンセプトカーの「Max-Out(マックスアウト)」をはじめとする幅広いラインナップを展示することを発表した。 一方、ホンダは、電気自動車「e:N(イーエヌ)」シリーズの第2弾プロトタイプを世界初公開すると発表した。両社とも中国市場向けにデザインされた電動車両や新技術を展示する予定であり、ホンダは二輪車の展示やカスタマイズモデルの展示も行う。上海モーターショー2023は4月18日から27日まで開催される(一般公開日は4月20日から4月27日)。 日産は中国の多様なニーズに応えるために、新型車や世界初公開のコンセプトカー2車種を出展する予定である。コンセプトカーのマックスアウトは、日産の長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」の一環として、将来の持続可能で革新的なモビリティを体現するデジタルコンセプトカーとして公開された。今回のモーターショーでは、このコンセプトカーの実車を初めて中国で展示し、優れた操縦安定性や快適性など、新しいドライビング体験を提供することを目指している。 さらに、中国市場向けにデザインされた新たなEVコンセプトカーに加え、EVやe-POWERを搭載したさまざまな電動車両を展示する予定である。日産ブースでは、プレスデーの初日は電動車両、二日目はSUVを中心とした展示を行う。中国向けにデザインされたSUVのコンセプトカーは二日目に公開予定だ。 ホンダは電気自動車「e:N(イーエヌ)」シリーズの第2弾プロトタイプを世界初公開する。ホンダ四輪ブースでは、イーエヌシリーズの第2弾プロトタイプに加え、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、そして電動二輪車を3モデル展示し、中国におけるホンダの電動モビリティラインナップを紹介する。また智能化技術のブースでは、新世代コネクテッド技術「Honda CONNECT 4.0」や全方位安全運転支援システム「Honda SENSING 360」の技術を体験できる。 さらに二輪ブースでは、大型二輪販売チャンネル「Honda DreamWing」に投入する新しいグローバルモデルを中国初公開するとともに、カスタマイズモデルの展示を行うなど、ホンダの多彩な“FUN”を具現化するモデルが展示される予定だ。

TAG: #モーターショー #中国
TEXT:岩尾 信哉
EU(欧州議会)、脱炭素に向けて方針転換 2035年以降、合成燃料利用によりエンジン車の新車販売が可能に

欧州連合(EU)の欧州委員会とドイツ政府は3月25日、これまでにEU議会が採択していた2035年でエンジン車の新車販売を禁止する法案について、2035年以降も条件付きで内燃機関(エンジン)車の新車販売を認めることで合意したと発表した。 さらに続く28日に同委員会はエネルギー相の閣僚理事会を開き、2035年以降も「e-fuel」と呼ばれる合成燃料を使用する場合に限り、エンジン車の新車販売を認めることで正式に合意した。 EUは当初、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガス削減策の一環として、ハイブリッド車を含むすべての内燃機関(エンジン)車を禁止する方針だった。いっぽうで、大規模な自動車産業を抱えるドイツを中心にイタリア、ポーランドなどが反対の意を表明していた。 継続してきた欧州委員会とドイツとの協議 事の経緯を辿っていくと、欧州委員会は2021年、「2035年以降のエンジン車の新車販売禁止」に関して、温室効果ガスの排出削減に向け、ハイブリッド車(HEV)を含むエンジン車の販売を事実上禁止する法案を発表した。EU加盟国と主要機関が2022年に政治的に合意、欧州議会が同年2月に法案を採択したことで、加盟国の正式承認を残すのみとなっていた。 いっぽうで、主要な自動車メーカーが多数存在するドイツが雇用などへの影響を懸念し、承認手続きの最終局面で反対を表明。欧州委員会との協議を続けていた。ここに至って今回の協議の結果、地球温暖化対策としての世界的な脱炭素化に向けて、電気自動車(EV)の普及をリードすることを狙っていたEUは、方針転換を迫られることになった。 なお、今回の合意について具体的な内容は明らかになっておらず、今後、他のEU加盟国も交えた正式な手続きの中で示される予定だ。

TAG: #内燃機関 #合成燃料
TEXT:烏山 大輔
ボルボ・カー・ジャパン、東京・青山に試乗も可能なブランド発信拠点「Volvo Studio Tokyo」を4月8日にオープン

「Volvo Studio Tokyo」は、2017年開設の「Volvo Studio Aoyama」を引き継ぎ、規模、内容をスケールアップして、新たにEVに特化したブランドスペースとしてオープンする。「Volvo Studio」は、ストックホルム、ニューヨーク、ミラノ、ワルシャワ、上海にも展開しているが、EVに特化したのは「Volvo Studio Tokyo」が世界初となる。また、日本でEVに特化したショールームとしても国内最大級の広さを誇る。 拠点全体でスウェーデンを表現 「Volvo Studio Tokyo」はサステナビリティとプレミアムな体験を実現する場所として、随所にボルボの価値観を反映させている。その価値観とは、スカンジナビアンデザインの本質である「シンプル」「ウェルビーイング(心身ともに満たされた状態)」に基づいており、人々と地球環境、そして未来を見据えた真のプレミアムを追求している。 スタジオの電力は100%クライメートニュートラル(温室効果ガス実質ゼロ)電力で賄われ、新たに内装を設置するにあたり「Volvo Studio Aoyama」の内装素材を最大限再利用している。サステナビリティを実現しながらも、ラグジュアリーな空気を纏うスタジオの内装は、ボルボ・カーズ創業の地であるスウェーデンの空・大地・森を表現しており、スカンジナビアンデザインのインテリアを設えたモダンな空間に、最新デジタルテクノロジーを融合させ、五感でボルボの世界を体験できる。天井に広がる大型照明は、時間によって色合いが変わり、夜間にはオーロラが広がり幻想的な光に包まれる。 車の販売はせず、入りやすさを重視 車のショールーム特有の“敷居の高さ”を払しょくした同スタジオでは車の販売は行わない。近年、車の検討はオンラインで完結するお客様も多く、リアル店舗は購入前に実車を見たり、色を確認したり、試乗をするための場としてニーズが変化しつつある。 そのため同スタジオはより多くのお客様が気軽に入れる場所として工夫されている。地下鉄銀座線の外苑前駅から近い青山通りに面したアクセスの良い立地に加え、同スタジオに常駐するのは販売員ではなく、“ブランド・アンバサダー”と呼ばれ、ボルボブランドとEV 、スウェーデンカルチャーに精通したスタッフだ。 来場者は気になるEVを見て触れて、ボルボや知りたい情報を手に入れることができる。またネットで事前予約することで、90分の試乗が出来るだけでなく、試乗枠が空いていれば、その場で短時間の試乗をすることも可能。運転に自信がない方は、専門のドライバーによる助手席試乗も用意されている。 さらに、スマートフォンに専用アプリをダウンロードすると、ボルボの世界をさらに深く探求することができる。ボルボの歴史やブランドストーリーを紐解くデジタルコンテンツ、ARで出現するサステナビリティを学ぶためのトリビアクイズなどが楽しめる。 また、Googleアシスタント機能や、展示車に乗り込み、目の前の大スクリーンに広がるストックホルムの街を駆け抜けるEV走行のバーチャルドライブ(映像は「Volvo Studio Tokyo」のためだけに撮影された)、そして“Fika(フィーカ)”というスウェーデンの習慣であるコーヒーブレイクも体験可能だ。 デジタルネイティブ世代と言われる若年層の方にとっても垣根を低くし、本スタジオでのデジタル体験を通じて、ボルボが培ってきた「セーフティ」と「サステナビリティ」に対するイノベーティブな価値と発想を知ってもらい、ブランドとの新たな接点の場になることを目指している。 2040 年までにクライメートニュートラルな企業になることを目指すボルボ・カーズは、2025 年にグローバルでEV販売の割合を50%まで伸ばし(日本国内におけるEV販売の割合は45%)、2030年までにグローバルで販売するすべての新車をEVにするという目標を掲げている。   Volvo Studio Tokyo 概要 住所:東京都港区南青山3丁目1-34「3rd MINAMI AOYAMA」1F(青山通り沿いに位置) 営業時間:月曜~金曜 12:00-19:00、土曜・日曜・祝日 10:00-19:00 定休日:毎週水曜日、第1・第3火曜日 電話番号:03-6773-1353 施設URL:https://www.volvocars.com/jp/studios/tokyo/ 敷地面積:491.45m2

TAG: #ディーラー
連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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