EVヘッドライン 記事一覧

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フォーミュラE2023年シーズンより(photo=ポルシェ)
TEXT:福田 雅敏/磐城 蟻光
「東京ビッグサイト」がサーキットに……「フォーミュラE」東京大会のコースが決定[2023.11.14]

交通への影響を最小限に抑えたと見えるコースレイアウト マシンの充電にはグリーン電力も積極的に活用してほしい 【THE 視点】フォーミュラEアソシエーションは、「フォーミュラE」の東京大会「Tokyo E-Prix」<2024年3月30日開催>のコースレイアウトを正式発表した。「東京ビッグサイト」<江東区>周辺の公道と港湾施設を利用。全長2.582kmでコーナー数は18ヵ所のレイアウトとなる。 コースの特徴は長いストレートが3本あることと、ターン1から8にかけてタイトなコーナーが連続する点であろう。「フォーミュラE」はピットインがなく電池残量との戦いでもあるため、ストレートを飛ばしすぎると電力を使いすぎてチェッカーを受けられない可能性が出てくる。 そのため、ストレートでは電車のように1列に隊列を組んで、お互いに空気抵抗を減らしながら走るシーンが見受けられるのだが、その代わりコーナーが続くセクションでは追い抜きが頻繁に行なわれる。今回の東京大会のコースは、ホームストレート後の1コーナーから90度コーナーが連続するようなレイアウトのため、この辺りでのバトルが熾烈になるのではないだろうか。ホームストレートからのブレーキング勝負は見ものだろう。 東京史上初めて、レースのために公道を封鎖するという点もトピックだ。今回のコースレイアウトを見るに、公道を使用するのは「東京ビッグサイト」周辺の一部にとどまった。この辺りは乗用車よりもトレーラーや港湾関係車両が多く走る道だ。 市街地戦なのでもっと公道を多めにと思うかもしれないが、ただでさえ大混雑している東雲付近の公道を大規模に止めるとなれば大混乱は必至だ。それを考えると今回のレイアウトは妥当ではないだろうか。「東京ビッグサイト」も関連施設として活用できそうである。 気になるのは電力関係の設備だ。およそ20台のマシンとはいえ、その辺の電柱から電気を引っ張るわけにはいかない。各ピットに専用の充電設備が必要になるはずだが、そのインフラをどう構築するかも気になるところ。また、その電力にどれほどの再生可能エネルギーを活用するのかも注目している。限りなくCO2排出ゼロに近づけたレースとなってほしい。 東京の市街地を封鎖しての開催とは歴史的な行事であるが、これも音が静かで排ガスも出ないEVだからこそ実現できたものであろう。高回転のエンジン音に酔いしれながらレースを見るのも良い。しかし、東京臨海部の潮風に吹かれながら静かにレースを観戦するのも悪くはないと思う。当日は是非とも現地観戦したいものだ。 そういえば先日、お台場にレーシングチームのトムスが運営するEVカートのサーキットが完成した[詳細はこちら<click>]。お台場近辺が、ZEV(ゼロ・エミッション・ヴィークル)モータースポーツの“聖地”となったら面白い。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ボルボ、EVミニバン「EM90」を発表 ……かねてから登場を予告していたEVのMPV「EM90」が発表された。「トヨタ・アルファード」のような豪華ミニバンタイプで、特にセカンドシートは旅客機のビジネスクラスのような仕様となっている。まずは中国に導入されるという。 ★★世界最高加速度のハイパーEV日本見参 ……0-60mph(約96.6km)加速1.72秒、最高速度413km/hのハイパーEV「アスパーク・アウル」が、大阪にあるアスパーク本社(エンジニアリング人材サービスを展開する企業)に展示される。販売価格は290万ユーロ(約4億7,000万円)。 ★アウディ、屋久島でEVのレンタカーを開始 ……アウディの正規販売店を運営するファーレン九州は、鹿児島県屋久島町で「e-tronレンタカーサービス」を11月14日より開始する。導入車両は「e-tron」と「e-tronスポーツバック」各1台。 ★薄型の公共用急速充電器が発売 ……新電元工業は、最高出力50kWの「CHAdeMO」対応急速充電器「SDQCシリーズ」をリニューアルした。奥行350mmの薄型ボディが特徴。公共充電カードはもちろん様々な充電サービスに対応できるという。 ★リチウムイオン式を超える密度をもつバッテリーが実現か ……東京理科大学は、ナトリウムイオンバッテリーやカリウムイオンバッテリーに使用するための「ハードカーボン」の合成に成功した。両方のバッテリーの負極材として優れた特性を示し、リチウムイオンバッテリーを超える312Wh/kgのエネルギー密度を達成したという。 ★法人向けの「エネオス・チャージ・プラス」にロードサービス ……「EV駆け付け充電サービス」を展開するプレステージインターナショナルが、「エネオス・チャージ・プラス法人充電カード」の付帯サービスとして展開する。提供開始は11月13日から。 ★充電スポットの撮影・投稿でNFTゲット ……駐車場検索アプリの「ヴィーモ」は、EV充電スポットのレビューキャンペーンを開始する。写真付きでレビューを投稿すると、先着30名にNFT(非代替性トークン)の一種である「SBT」(ソウルバウンドトークン)をプレゼントする。応募期間は2月13日まで。 ★“水素再利用ターボ”の実証に成功 ……IHIは、航空機向け燃料電池(FC)用の「電動ターボブロア」を開発した。FC内の未反応の水素を回収し再循環する装置で、これまで困難だった高湿潤環境での性能を実証したという。 デイリーEVヘッドライン[2023.11.14]

TAG: #THE視点 #フォーミュラE #モータースポーツ
東北自動車道・西那須塩原ICと「那須千本松牧場」(photo=磐城 蟻光)
TEXT:福田 雅敏/岩城 蟻光
降りて2分で爆速チャージ……パワーエックス、「西那須塩原IC」近くに150kWの充電器[2023.11.13]

10分の充電接続で130km分の電力を充填可能 高速道路の「充電退出」を見越したインフラ 【THE 視点】パワーエックス は、ホウライが運営する「那須千本松牧場」<栃木県那須塩原市>に、最高出力150kWのEV充電スポット「那須千本松牧場チャージステーション」を2023年12月にオープンする。 同社初の「経路充電拠点」となるステーションで、東北自動車道・西那須塩原ICから2分の場所に位置している。ICからアクセスも利便性も高い充電スポットと言えよう。東北方面や首都圏へのアクセスのための利用はもちろんだが、那須周辺の観光スポットに訪れる際の利用にも適している。 ステーションは「那須千本松牧場・第1駐車場内」に導入される。蓄電池式の超急速EV充電器「ハイパーチャジャー・スタンダード 」1基を導入。充電規格は「CHAdeMO」に対応し、2台の同時充電が可能で24時間営業となる。2023年12月中の運用開始を予定している。 最高出力150kWの速度は相当なもので、10分の充電時間で130km分を充填可能だ(対応車種は要確認)。専用アプリを使用し事前予約をすれば、待ち時間なくスムーズに充電が出来る。一般の急速充電器にある「充電1回30分まで」という規制(30分ルール)はなく、最大60分まで充電接続が可能。電欠ギリギリで充電を開始しても十分な量を回復することができるだろう。 パワーエックスは超急速充電器の設置に積極的だ。アウディの正規ディーラー「アウディ八王子」や[詳細はこちら<click>]、東京・南青山と目黒のビル駐車場にも導入済み[詳細はこちら<click>]。今後2023年末までに「新丸の内ビルディング」や「成田空港第1ターミナル」などを含む約10拠点のチャージステーションを拡大する予定である。 以前本欄でも紹介したが、経産省が主導するEV用充電器の設置に関する今後の計画の中で、超急速充電設備の拡充や、充電のための高速道一時退出を許可する制度の構築を打ち出している[詳細はこちら<click>]。 今回のパワーエックスの発表は、経産省の指針や制度変更などを見越したものと見て間違いないだろう。西那須塩原ICから2分の位置で「30分ルール」がなく最高150kWの急速充電ができるのは画期的。さらに言えば、パワーエックスは従量課金制の導入といった新たな運用方式を採用している。充電インフラの新機軸を構築しようと勢いづいているように映る。 近年のEVは、航続距離の延伸とともにバッテリーの搭載量(容量)が増えてきている。「充電には時間がかかる」というイメージを崩すためにも、パワーエックスの今後の展開を応援したい。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★「ウーバー・ハイヤー」にテスラ車 ……ウーバージャパンは、タクシー企業の日の丸交通と連携し、アプリからハイヤーを配車できる「ウーバー・プレミアム」を11月10日より開始する。車両タイプが選択可能で「プレミアムEV」に「テスラ・モデルY」を導入する。 ★「MINIカントリーマン」の生産が開始 ……BMWのライプツィヒ工場で、SUV型の新型EV「カントリーマンSE・オール4」の生産を開始した。同工場は、BMWの「i3」の生産も担った歴史を持つ。 ★硫酸化物固体電解質の新しい生産技術の開発に成功 ……AGC(旭硝子)は、車載用全固体電池の材料として有力視される「硫化物固体電解質」の新生産技術の開発に成功した。ガラスと化学の技術を融合させた独自の溶融法を確立したという。 ★オペル、新型商用EV「コンボ・エレクトリック」を発表 ……小型の商用EVバンとなる。最高出力100kW(126ps)のモーターを搭載し、航続距離は330km(WLTP値)。100kWの急速充電に対応し、バッテリーの電力を30分で80%まで回復が可能。 ★宮古島にEVトゥクトゥク ……旅行会社のH.I.S.は、3輪の自動車「EVトゥクトゥク」のレンタルサービス「エモビ」を沖縄県久米島・宮古島に導入する(11月15日から)。サービス拠点は「リゾートホテル久米島アイランド」と「ウォーターマークホテル&リゾート沖縄宮古島」の2ヵ所。料金は3,000円/時から。 ★「人力シリーズハイブリッド」のEVバイクが特許 ……ペダルで発電機を回しモーター・タイヤを駆動するエンネの特定原付「T250」が特許の登録を完了させた。自転車型のEVバイクで、バッテリーによるEV走行のほか、ペダルで発電機を回しモーター・タイヤを駆動するユニークな機構を持つ。 デイリーEVヘッドライン[2023.11.13]

TAG: #THE視点 #充電インフラ #超急速充電器
ラム1500リチャージャー(photo=ステランティス)
TEXT:福田 雅敏/磐城 蟻光
ピックアップトラックは「e-POWER」が正解か……「ラム1500リチャージャー」発表[2023.11.10]

シリーズハイブリッドはアメリカで「今まで通り安心して乗れる」電動車 「V2V」「V2H」といった外部給電・救援機能も備えた万能型の4WD 【THE 視点】ステランティスグループのラムは、「シリーズ型ハイブリッド方式」を採用したPHEVの新型ピックアップトラック「ラム1500リチャージャー」を発表した。 最高出力130kW(177ps)を発する発電用3.6LのV型6気筒エンジンと92kWhのバッテリーを搭載。シャシーは新たに開発されたEV専用「STLA」を採用した。前250kW(340ps)/後238kW(324ps)の前後2モーター式AWDで、航続距離は最大690マイル(1,104km)となる。総合488kW(664ps)のユニットがもたらす0-100km/h(60マイル)の加速性能は4.4秒と、ピックアップトラックとしてはかなりの性能である。 ちなみに「シリーズ型ハイブリッド」とは、日産が「ノート」や「セレナ」に採用している方式で(「e-POWER」というグレード名で展開している)、エンジンは発電専用でタイヤの駆動はモーターが行なう。 「リチャージャー」はさらに大容量バッテリーを搭載しEV走行も可能なPHEVの機能も持つ。その性能も頼もしく、バッテリーは水冷式で、400Vの直流充電を10分行なうと、最大80マイル(約130km)のEV走行が可能だという。また、別のステランティス車への充電が出来る「V2V」(ヴィークル・トゥ・ヴィークル)機能のほか、キャンプなどにも使える7.2kWの外部給電機能、そして車両から家への電力を供給できる「V2H」機能も備えている。 本欄でも触れているが、ラムは純粋なEVの「1500REV」をすでに発表している。そこに今回PHEVが追加された形となる。どちらもEV技術が用いられた次世代のピックアップトラックである。 将来を先取りする「REV」と比べ、「リチャージャー」は現実的な電動車と言える。北米の大地は広大であり、特にピックアップトラックが最も活躍するであろうアメリカ中部あたりは原野的な土地が広がっている。その中で電欠でも起こせば命に関わる。内燃エンジンの発電機を積んでおけば、今までと同様に安心して走り使い倒せるというわけだ。 さらに興味深いのは「V2V」「V2H」を含めた外部給電機能を備えている点。「電気の救急車」としても活躍できるのだ。これらを総合的に考えると「シリーズハイブリッド」の採用は広大なアメリカを走るピックアップトラックにとって最適解なのかもしれない。純粋な電動にこだわるなら「REV」を選べばいいだけの話だ。選択肢があるのは嬉しい。 それにしても0-100km/加速が4.4秒とは高性能スポーツモデルのタイムである。この力強い発進加速はEVゆえの特徴であろう。そして発電用のV6エンジンである。ステランティスグループにはもっと小排気量かつ気筒数も少ないものがあるだろう。しかし8気筒とはいかないにしろV型エンジンを積んだところにアメ車らしさを感じる。ただ、燃費に関しては良い意味でアメ車らしくないだろう。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ボッシュ、農業機械用の「e-アクスル」を発表 ……農業機械メーカー向けに90kW(122ps)/140kW(190ps)の2種類の「e-アクスル」(制御装置・モーター一体型のユニット)を開発したという。モーターは400Vの電圧に対応している。 ★GM、希土類不使用のモーターを開発へ ……アメリカ・ミネアポリスのベンチャー企業ニロン・マグネティクスとパートナーシップを結んだ。レアアースフリーの永久磁石を使用したニロンのモーター技術を取り入れる。 ★HWエレクトロ、米NASDAQ上場へ ……11月8日付けで米国預託証券の登録に関する登録届出書を米国証券取引委員会に公開提出した。上場予定市場は「NASDAQキャピタル・マーケット」となる。 ★EV充電器付き月極駐車場サービス開始 ……テラモーターズは、賃貸マンション「スカイプラザⅡ」<東京都大田区>に付帯する駐車場「アットパーキングEV」に充電器を設置し運営実証を行なう。サービス開始は11月9日。 ★「BYD AUTO 宇都宮」オープン ……BYDの正規ディーラー(同上)が11月11日(土)にオープンする(栃木県宇都宮市鶴田町3492-78)。オープンから19日にオープニングフェアを開催する。 ★白子町役場にEV用充電器 ……テラモーターズと千葉県白子町はEV用充電器の設置に向けて協定を締結した。2024年内に、最高し出力6kWタイプの充電器を5基設置する。 デイリーEVヘッドライン[2023.11.10]

TAG: #THE視点 #シリーズハイブリッド #ニューモデル
ダイヘンのワイヤレス充電システム(photo=福田 雅敏)
TEXT:福田 雅敏/磐城 蟻光
手間いらずで5倍速充電……ダイヘン、最高出力15kWのワイヤレス充電システムを開発[2023.11.09]

大容量バッテリーを積む商用EVも夜間のうちに充電完了 手間なく早く電気料金の低減にもつながる 【THE 視点】ダイヘンは、最高出力15kWの「EV用ワイヤレス急速充電システム」を開発した。プラグの接続作業がいらないうえ、一般的な普通充電(最高出力3kW)と比較して5倍速で充電できるという。 国内のEVの普及拡大を目指し、政府(経済産業省)が「2030年までにEV向けの充電設備を30万口整備する」という指針を示した。それを受け、充電インフラの整備が急ピッチで進められている。そしてEVの利活用は、一般向けよりもプロ向けの配送用バン/トラック/バスといった商用EVが急激に増加しているのが現実だ。 EVの航続距離を延伸するためにバッテリーも大型化する傾向にあるが、その一方で従来の普通充電器の出力では翌朝の稼働開始時間までに充電が間に合わないケースが見受けられる。さらに商用EVの充電は、充電ケーブルの定期的なメンテナンス対応、充電忘れやケーブルの引き回し、充電のための操作時間や人員確保など一般家庭とは違った運用上の課題があるという。 そこでダイヘンは、充電作業の簡素化と高出力化を同時に狙った「ワイヤレス急速充電システム」を開発した。重いコードを引きずってプラグを差すという充電の手間を軽減できることはもちろん、大型バッテリーを搭載する商用EVに対しても短時間での充電が可能となる。設置場所によっては、トラックの荷積み・荷下ろしの時間やバスの乗客が乗り降りする時間も充電に活用できるようになる。充電規格については、「CHAdeMO」の技術を使用するとのこと。 ダイヘンは、「ワイヤレス充電と言えば……」と認知されるほどワイヤレス充電に力を入れている充電器メーカーだ。ワイヤレス充電には、BMWの純正オプションとして商品化された製品はあった。しかし今回の15kWの急速充電の商品化はダイヘンが初めてである。バッテリーの大容量化で充電に時間がかかるうえ、充電に時間をかけてしまうと時間帯で変動する電気料金の影響を受けてしまう現在、有用なシステムと言える。 先日も東京大学を中心としたコンソーシアムが走行中ワイヤレス充電を発表した。「大阪関西万博」では大阪メトロが走行中に充電できるEVバスを走らせるという。大手エネチェンジも米ワイヤレス充電のワイトリシティに出資し国内導入を検討しているし、「ジャパン・モビリティ・ショー」で三菱ふそうがダイヘンのものと思われる15kWのワイヤレス充電システムを展示するなど、ワイヤレス充電のへの期待が高くなってきている。 運輸業界のEV化が進む中、少しでもドライバーの作業負担と労働時間の軽減につながるシステムとして受け入れられることを願う。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★プジョー、小型乗用バン「E-リフター」を発表 ……欧州で導入した、コンパクト・ミニバンに分類されるEV。最高出力100kW(136ps)のモーターを搭載し、航続距離は320km。アウトドアを意識したタフなボディデザインが特徴。 ★★「リマック・ネヴェーラ」が後ろ向きでギネス ……リマックのEVハイパーカー「ネヴェーラ」が、バック走行で275.74km/hを達成。ギネス認定の世界記録となった。 ★★カワサキ、新型ネイキッド「Z7ハイブリッド」発表 ……「ジャパン・モビリティ・ショー2023」で日本公開した「ニンジャ7ハイブリッド」の兄弟車でネイキッドタイプ。イタリア・ミラノで開催中の二輪のモーターショー「エイクマ」において発表した。日本国内にも導入予定。 ★超小型EV「シトロエン・アミ」に新色 ……ポップなカラーリングを施した「マイ・アミ・ポップ」を欧州で発表した。マグネットやUSBポートなどを彷彿とさせるグラフィックをあしらっている。ちなみに「アミ」自体は、これまでに4万3,000台以上販売されたという。 ★アウディ、高級EV向けのモーターの生産を開始 ……「Q6 e-tron」が採用する「プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック」(PPE)用のモーターの生産をハンガリー・ジェールの工場で開始した。小型・高効率のモーターユニットで、2,000台/日のペースで生産しているという。 ★EVで包丁研ぎをアピール ……刃物製品の貝印は、包丁研ぎの啓発活動にHWエレクトロの大型EVバン「エレモ-K」を活用する。専用のラッピングと包丁のオブジェクトを搭載した「TOGI CAR」が渋谷を走り啓発する。 デイリーEVヘッドライン[2023.11.09]

TAG: #THE視点 #テクノロジー #充電
フィアット・500e(photo=ステランティス)
TEXT:福田 雅敏/磐城 蟻光
「アバルト・500e」最終選考へ……日本カー・オブ・ザ・イヤーの「10ベストカー」決まる[2023.11.08]

去年のイヤーカー「日産・サクラ」とは趣向の違う趣味系EV ノミネートEV自体は全7台だが日本車がない 【THE 視点】日本カー・オブ・ザ・イヤー(JCOTY)実行委員会は11月3日、一次選考の結果として「10ベストカー」を発表した。今回発表された車両は、2022年11月1日〜2023年10月31日の間に発表・発売されたノミネート車両34台から、10台に絞り込んだもの。選考委員60名が選出した。 選ばれた10台は以下の通り。 ・「スバル・クロストレック」 ・「トヨタ・アルファード/ヴェルファイア」 ・「トヨタ・プリウス」 ・「日産・セレナ」 ・「ホンダ・ZR-V」 ・「三菱・デリカミニ」 ・「アバルト・500e」 ・「BMW・X1」 ・「マセラティ・グレカーレ」 ・「フォルクスワーゲン・ID.4」 この10台の中にEV(PHEVを除く)は、「アバルト・500e」と「フォルクスワーゲン・ID.4」の2車種となる。「アバルト・500e」は10月28日に発表されたばかりのモデルで、「フォルクスワーゲン・ID.4」は、2022年11月22日の発売からおよそ1年が経ち街中でも見かけるようになった。本媒体執筆陣の一人である生方氏の愛車でもある。 昨年は「日産・サクラ」および「三菱・eKクロスEV」が「日本カー・オブ・ザ・イヤー」「K CARオブ・ザ・イヤー」を受賞し、EVも一台のクルマとして評価が得られることを証明した。今年もEVの受賞を期待するが、電動車系ではHV・PHEVの両方をラインナップに持つエコカーの元祖「プリウス」や、シリーズハイブリッドモデル「e-POWER」を用意する「セレナ」などがノミネートされており、最終選考までは蓋を開けてみなければわからない。 ちなみにノミネート車両34台の中には以下の5台のEVもあった。 ・「アウディ・Q4 e-tron」 ・「BYD・アット3」 ・「BYD・ドルフィン」 ・「メルセデス・ベンツ・EQE SUV」 ・「メルセデス・ベンツ・EQS SUV」 日本製のEVがリストにないことは残念である。しかし、上記5台のEVを差し置いて発表されたばかりの「500e」が「10ベストカー」に残ったことは興味深い。昨年の「サクラ」は庶民派のEVであることが評価されたわけだが、「500e」はその対局にある趣味系のEVと言える。それだけ選考委員の心を打ち抜くパッケージングの魅力と楽しい走行性能を持ち合わせているということなのだろう。いずれにせよ、昨年に続きEVが評価されていることは嬉しい限り。ちなみに「ID.4」がどんなモデルであるかは、生方氏の連載をぜひ確認してほしい[詳細はこちら<click>]。 「カー・オブ・ザ・イヤー」系のものは、他にも日本自動車殿堂が主催する「2023-2024日本自動車殿堂カーオブザイヤー」と、日本自動車研究者ジャーナリスト会議(RJC)主催の「第33回RJCカーオブザイヤー」もある。こちらでもEVが受賞することを期待したい。 日本カー・オブ・ザ・イヤーの最終選考会は12月7日に開催され今年の1台が発表される。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★「空飛ぶクルマ」専用の充電設備を開発 ……「空飛ぶクルマ」のスカイドライブと関西電力は、「大阪・関西万博」で運用する機体向けの充電設備を共同開発する。高電圧・大電流の超急速充電設備となるとのこと。 ★半分電動のピックアップトラック「ラム1500リチャージャー」登場 ……ステランティスは、ピックアップトラックの「ラム1500」の新型を発表した。V6ガソリンエンジンを発電専用とし、電気モーターで前後輪を駆動する「シリーズハイブリッド」方式を採用した。プラットフォームは、ステランティスのEV用の「STLA」を使用している。 ★新築マンションへのEV充電器設置を加速 ……テラモーターズとエネチェンジは、それぞれ大東建託と連携し、賃貸向けにEV充電器の設置を推進する。大東建託は、都市部向け「個別設置型」EV充電器を販売開始。マンションのオーナーに充電器の導入を提案する。 ★澁澤倉庫、引っ越し業務にEVバン導入 ……グループ会社の澁澤陸運が、BYDのEVバンを引っ越し業務に投入した。梱包資材の配送・回収用として活用している。 ★駅伝中継車にFCEVバス ……CBCテレビは、「第63回中部・第53回北陸実業団対抗駅伝競走大会」<11月12日(日)開催>に燃料電池中継車(FCEV)を使用すると発表した。車両は小型バス「トヨタ・コースター」を改造したもの。 ★テラモーターズ、インド事業を強化 ……子会社のテラモーターズ・インドと、現地のタクシー業界の車両管理サービスを展開するSNM Cabsが業務提携した。SNM Cabs専用の充電ハブを開発し、ドライバーと利用者双方の利便性の向上を目指す。 ★ガソリンが値上がり ……EV充電スタンド情報のゴーゴーラボは、11月6日(月)時点でのレギュラーガソリン価格(全国平均)が169.2円となったと発表した。先週に比べて0.3円、9週間ぶりに値上がりとなったという。なお、ハイオクは180.2円、軽油は147.4円。 ★「フィアット・500e」の購入を50万円サポート ……ステランティス・ジャパンは、「ブラックフライデー」に合わせたキャンペーンの第1弾として、合計286名に最大150万円分の新車購入クーポンを進呈する。応募は11月8日(水)〜10日(金)の期間。「フィアット・500e」も対象で、50万円分のサポートを受けられる。 デイリーEVヘッドライン[2023.11.08]

TAG: #THE視点 #国内ビジネス #日本カーオブザイヤー
Anker Solix F3800 Portable Power Station(photo=アンカー・ジャパン)
TEXT:福田 雅敏/磐城 蟻光
携帯充電グッズで有名な「アンカー」、EV充電もできる大容量のポータブルバッテリーを発売[2023.11.07]

“増槽”すれば最大容量2万6,880Whの大規模蓄電設備に増強可能 EVに使えるほか家庭の電力系統に接続でき電気代を節約できる 【THE 視点】モバイルバッテリーのアンカー・ジャパンは、大容量ポータブルバッテリー「ソリックスF3800ポータブル・パワーステーション」の予約販売を11月21日(火)から開始する。EVの充電器を接続できる200Vのコンセントを備えているのが特徴の製品だ。 最大容量は3,840Wh。家庭の1日分の消費電力を賄うことができる量となる。最高出力は5kWで、複数の家電を同時に稼働することができる。先に触れたように200VのAC(交流)出力ができるため、IHのクッキングヒーターといった家電はもちろん、EV用200Vの充電器を接続・稼働することが可能だ。発表によれば、約1時間の充電で23km走行分の電力供給ができるとのこと。 さらに拡張用バッテリー(12月発表予定)を6台接続できる。その場合の最大容量は2万6,880Whとなる。バッテリーは「リン酸鉄リチウムイオン」を使用し長寿命化を実現。約10年の使用に耐えうるという。 本体の充電については、ACポートを利用し2.6時間で80%までを充電できる。さらに家庭の電力系統に接続する「ソリックス・ホームパワーパネル」(開発中)を使用することで、家庭用蓄電池としての活用も可能だ。 筆者は以前、東日本大震災の時に計画停電に備え、会社の試験で使用した鉛のバッテリーを家に持ち帰り、ポータブル電源として使うことを考えた。およそ500Whのもので、カー用品店で購入したDC-ACインバーターなどを繋げるなどしてポータブル電源を制作することができた。冬場の寒い時期だったので、計画停電の間の3時間に作業用のLEDライトと液晶テレビをつけることができて重宝したものだ。 現在はこのような複雑な作業はいらず、ACだろうがDCだろうが使用できるポータブルバッテリーが発売されているが、今回アンカーから出たものはその中でも大容量のタイプで、特にAC200VでEVの充電ができるという点が大きなポイントだ。 これさえ備えておけば、EVを含めたすべての電気機器を動かすことができる。重量は60kgと重いのがネックだが、知人のEVが電欠を起こした際には「電欠のお助け隊」として救助に向かえるし、自分のEVに積めば、長距離旅行時の燃料の携行缶的な役割に加えて車中泊の電源などとして重宝するだろう。 さらに面白いのはEVの電源を家庭に使用するV2Xに似たシステムを構築できる点だ。 現在は時間帯によって電気料金が変わるのが一般的だが、EVの充電を料金が高い昼間に行なうと月の電気代がバカにならない。そこで、本品のような家庭電源に接続可能なバッテリーを使用し夜間に電力を貯めておけば、事実上夜間電力料金のみで全てを賄うことが可能になる。追加バッテリーを使用して容量を最大化すれば、家庭用としては十分すぎる蓄電設備となるだろう。ちなみに太陽光充電にも対応し、アンカーから専用の太陽光パネルも出ている。グリーン電力化も手軽にできるのだ。 本体の値段は69万円。追加バッテリーの値段は公表されていないが、通常の家庭用蓄電池の導入コスト(工事費込み)を考えると、比較的安価に自宅用蓄電システム+緊急EV充電システムを整えられるかもしれない。EVを持つ個人・法人は導入を検討しても良いかもしれない。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★コスモと岩谷が水素会社 ……コスモエンジニアリングと岩谷産業は、水素関連事業の協業のために合弁会社「コスモ岩谷水素エンジニアリング合同会社」を11月1日に設立した。大規模水素サプライチェーンに関わる関連プロジェクトを手掛けていくという。 ★★ムサシ、インドの二輪メーカーにEVユニットを供給 ……武蔵精密工業(ムサシ)は、インドのEVスタートアップ企業Emobiに二輪用EV駆動ユニットを供給する。また、Emobiは、ホンダの着脱交換式バッテリー「モバイルパワーパックe:」を採用するとのこと。完成すればほぼ日本製のEVバイクとなる。 ★ポールスター、韓国SKオンからバッテリーを供給 ……ポールスターとSKオンはバッテリーの供給契約を締結した。4ドアGTモデル「ポールスター5」からSKオンのバッテリーを搭載する。 ★シェア駐車場にEV充電器を導入 ……テラモーターズと駐車場予約アプリのアキッパが提携した。アキッパのサービスに加入する個人宅駐車場に充電器の設置を推進していく。 ★タクシーのEV化を加速 ……EV充電機器のエネリバーは、タクシー配車アプリのGOが行なう「タクシー産業GXプロジェクト」のパートナーに選出された。本プロジェクトはEVタクシー2,500台、充電器2,900基を導入しタクシーの脱炭素化を加速させるというもの。エネリバーは、同社の最高出力6kWタイプの普通充電器を提供するという。 ★サンリオのテーマパークに充電器 ……DMM.comは、「サンリオピューロランド」<東京都多摩市>に、最高出力6kWタイプの普通充電器を導入する。2023年度中に駐車場へ設置する。 ★マンション管理団体にユビ電が加入 ……ユビ電は、一般社団法人マンション計画修繕施工協会に賛助会員として加入した。EVの充電サービス事業者としては初の加入だという。マンションへの充電コンセントの効率的な導入方法などについて会員間で共有を進める。 ★岩手県宮古市がEVを地域に活用 ……日産自動車と宮古市などが連携協定を結んだ。災害発生時にEVを電源として活用するなど、EVの普及促進を図る。 デイリーEVヘッドライン[2023.11.07]

TAG: #THE視点 #バッテリー #充電
テスラ・モデル3新型(photo=テスラジャパン)
TEXT:福田 雅敏/磐城 蟻光
本当はEVが欲しい……TポイントのCCCMKによるアンケート調査で47%がEV購入意向[2023.11.02]

アンケート調査によりEV普及の問題点をあぶり出し まずは充電インフラの拡充が足枷を取り除く第一歩か 【THE 視点】「Tポイント」「Tカード」を運用するCCCMKホールディングスは、全国22~64歳の男女1万4,441名にインターネット上でEVに関するアンケートを実施し結果を公表した。EVの所有は1%にとどまるが、47%が「購入意向・関心あり」と回答を得られたという。 電気自動車(EV)に関するアンケート調査結果をまとめると以下となる。 ・「HV」の所有率は20.4%だが、PHV/PHEV/EVの所有率は1%にとどまる ・EV所有率は低いが、エコカーに関心が集まる ・EVを購入した・関心を持った理由の7割が「燃料代が節約できる」 ・EVの主な利用シーンは「日常使い」 ・ガソリン車の主な利用シーンは「旅行・レジャー」 ・軽自動車のEVに関心がある理由は「車に関してはできるだけコストをかけたくない」 ・購入に関心のあるクルマはHV(59.9%)、軽を除いたガソリン車(53.8%)に続いて、3位にEV(47.1%) この結果から、エコカーは所有率こそ低いものの、高い関心を集めていることが確認できた。EV保有者の利用シーンの「日常の買い物」に対して、非保有者では「日帰り旅行・レジャー」と使用シーンが分かれたことも面白い。何より興味深いのは、燃料代や車両代など車の価格やランニングコストに関心を持つユーザーが多いことである。 EVを普及させるためには、技術的課題もあろうがまずは「航続距離が短い」というイメージを払拭する必要があるだろう。「EVは(距離を)走らない」という声は多方面から聞こえるが、では、長い航続距離が必要なシーンはどれだけあるだろうか。長距離旅行に頻繁に出かけるだろうか。必要以上の性能を求めるあまり「航続距離が短い」というイメージが先行してはいないだろうか。 ちなみに先日、テスラジャパンは、新型「モデル3」のロングレンジAWDモデルの航続距離が706kmと公表した。冷暖房を使用すればその数値は出ないだろうが、それを鑑みて公表値の8割と見積もっても500kmは超える。十分な性能ではないだろうか。 逆にランニングコストの低さを売りにできるはずだ。なにせガソリン代もオイル代もいらないのだ。200Vの充電器を自宅に設置してしまえば、次の日の朝には“満タン”状態になる。安いガソリンを探して走り回る必要もない。 しかし車両金額の高さはネックであろう。そのため、国・自治体の補助金は継続してほしい。正直なところ、ガソリン代を下げる補助金があるのなら、少しでもEVに回してほしいと感じる。 「EVは日常利用、ガソリン車は旅行・レジャー」という使用シーンの違いは、インフラへの不安もあるかもしれない。ガソリンスタンドの数は3万店舗を切る一方、充電口数は3万を超えたと言われている。どちらも同じような数なのに、充電インフラに不安があると思われるのは、充電器の設置箇所に偏りがあるからだと思われる。実際に地方のメジャーな観光スポットでは、急速充電器が足りないと感じる。山の中の道の駅に1基ずつでは「充電インフラが足りない」と思われても仕方がない。地方の急速充電器の整備を急ぐべきであろう。 今回のアンケート結果は、EVを普及させる上で何が必要なのかを考えさせてくれる結果であった。今後もこういったアンケートは継続して行なってほしい。「充電の不安をなくすこと」。まずこれが普及への第一歩かもしれない。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★トヨタ、米国でのバッテリー生産に1兆2,000億円を追加投資 ……トヨタ自動車の北米統括会社トヨタモーターノースアメリカは、北米のバッテリー工場「トヨタバッテリーマニュファクチャリング,ノースカロライナ」に80億ドル(約1兆2,000億円)を追加投資すると発表した。新型の3列シートSUV型EVのバッテリーを生産する。 ★★プジョーの新型SUV「E-2008」が世界初公開 ……11月1日(水)〜5日(日)までスイスで開催される「チューリッヒモーターショー」で発表する。ステランティスのEV用プラットフォーム「STLA」を初採用したモデルとなる。航続距離は最大700km。 ★★EVへの充電が可能なポータブルバッテリー発売 ……モバイルバッテリーのアンカー・ジャパンは、大容量のポータブルバッテリー「アンカーソリックスF3800ポータブルパワーステーション」を11月21日に発売する。最大容量は3,840Whで200Vのコンセントを備えているのが特徴。EVの充電器を接続でき、1時間で約23km分のエネルギーを回復できるという。 ★京都市勧業館にパワーエックスの急速充電器が設置 ……京都市勧業館「みやこめっせ」<京都市左京区>に蓄電池型の超急速充電器「ハイパーチャージャー」を設置した。最高出力150kWの充電器で「PowerXアプリ」からの事前予約で利用が可能。なお今回の設置は、クラウド録画サービスのセーフィーと共同での実証実験も兼ねており、映像を通して利用状態を把握し、充電の需要予測に活用するという。 ★2023年冬の節電要請は回避 ……経済産業省は2023年度冬季の電力需給見通しを発表した。全エリアで安定供給に必要な予備率3%を確保できたという。ただし、発電設備の老朽化もあり、発電事業者には保安管理の徹底を促すという。 ★南紀白浜空港の点検に自動運転EV ……南紀白浜エアポート/マクニカ/NECが共同で実施する。南紀白浜空港(和歌山県)の滑走路にAI自動運転EVを走らせ、滑走路点検の自動化に向けた実証実験を行なう。車両はマクニカの「macniCAR-01」を使用し、NECが開発したAIがドラレコの画像を解析して破損箇所を発見するという。 ★ダイムラートラックの新ブランド「RIZON」が米国で販売開始 ……ダイムラーの九番目のブランドである「RIZON」が、米国で認可を受けた。カリフォルニア州の補助金の対象にも認定され、6万ドル(約900万円)の補助を受けられるという。 ★DMMの充電器の設置が都内で無料に ……DMM.comが展開する充電サービス「DMM EV CHARGE」が、東京都内の事業者向けに本体費用・工事費用が無料となる「急速EV充電器 0円キャンペーン」を実施する。期間は11月1日(水)〜12月31日(日)まで。 ★エネルギーのミツウロコがEV事業に進出 ……充電インフラのユアスタンドと資本業務提携に向けて基本合意書を締結した。ミツウロコが有する販売網を活用しユアスタンドの充電器販売体制を強化する。 ★自動運転EVバスでデジタルスタンプラリー ……マクニカ/三重交通などが三重県四日市市で自動運転EVバス「アルマ」の実証実験を行なう。実験は11月1日(水)〜19日(日)まで。「JR四日市駅目ロータリー」〜「近鉄四日市駅前ロータリー」を往復するルートで、平日は乗車自由、休日は事前予約制となる。本実証では、景品ありのデジタルスタンプラリーも実施する(要CTYコネクトアプリ)。 デイリーEVヘッドライン[2023.11.02]

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新型となったステランティスの商用EVバン(photo=ステランティス)
TEXT:福田 雅敏/磐城 蟻光
7家族13兄弟が一斉に刷新……ステランティス、傘下に展開する商用EVバンが第2世代に[2023.11.01]

大型・中型・小型の商用EVバンが各ブランドにフルラインアップ 日本の大手メーカーはなぜ電動化に手を出さない 【THE 視点】ステランティスは10月23日、傘下のブランドに展開する第2世代の商用EVバンを公開した。小型から大型までの各サイズを用意し、大型の最高クラスには最大容量110kWhのバッテリーを搭載。最大420kmの航続距離となる。充電は最高出力150kWの急速に対応する。 今回の発表は、合計7ブランド・13車種を一気に新型とする大規模なものだ。各ブランドに小型・中型・大型の商用EV版が揃うことになる(ラムは大型のみ)。各ブランドと車種は以下となる。 シトロエン:「ベルランゴ」「ジャンピー」「ジャンパー」 フィアット:「ドブロ」「スクード」「デュカト」 オペル/ボグゾール:「コンボ」「ヴィヴァーロ」「モヴァーノ」 プジョー:「パートナー」「エキスパート」「ボクサー」 ラム:「プロマスターEV」 これほどのブランドと車種を一気に刷新するのは、ステランティスとして初ということだ。 性能面を詳しく紹介すると、小型では最大330km、中型EVバンは最大350km、冒頭でも紹介した大型バンは最大420kmの航続距離となる。最高出力150kWの急速充電を使用すると、大型バンでは1時間以内に0〜80%まで回復する事ができる。e-PTO (電動パワーテイクオフ:架装用に動力を取り出せる装置) の装備もあるようで、様々な用途に応用ができるだろう。さらに2024年にはFCEVバン(燃料電池車)もラインアップに加わるという。 トヨタで言えば、「ライトエース」「ハイエース」「グランエース」が一気にEV化されるというイメージである。バッテリー式に加えてFCEVも用意されるとのことで、欧州の商用車のカーボンニュートラル化が一気に進むことになる。 こういった展開ができるのは、世界規模のグループ故の芸当であろう。プラットフォーム/バッテリー・E-アクスルなどが共用できるので、コストも抑えることができるはずだ。 欧州では大メーカーが商用EVに大きく舵を切ったわけだが、日本の大手が鈍いのは残念である。「トヨタ・ハイエース」は、「ジャパン・モビリティ・ショー」でEVコンセプトが出たものの、それどまり。「日産・e-NV200」は生産終了してしまい、欧州ではその後継「タウンスター」が発表されているが、国内市場では音沙汰がない。 大手の代わりに新興系の商用EVが存在感を高め物流企業への導入が進んでいるが、大手が動き出さないのはどこかいびつである。「カーボンニュートラル」を声高々に叫ぶのであれば、“毎日走ってナンボ”の商用車を無視してはならない。 ステランティスグループ傘下のブランドには日本法人もあるため、今回発表のあったEVバンが日本に導入される可能性もないとは言えない。そうなると、ますます日本勢は苦しくなるのではないか。 航続距離や耐久性などいろいろな問題もあろう。しかし、三菱ふそうやいすゞはEVトラックを登場させた。「ハイエース」と「キャラバン」のEV化も、具体的に進めるべきであろう。特に「ハイエース」については、トヨタが長年育て上げているFCEV技術で先行を許してよいものだろうか。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★テスラ、新型「モデル3」の試乗を開始 ……11月3日(金)よりストア試乗を開始する。試乗受付は公式WEBから。また、新型の航続距離も公表した。国土交通省審査値で706km(ロングレンジAWD)となる。 ★★東電系のJERA、EVのリユースバッテリーを活用 ……東京電力フュエル&パワーと中部電力の合弁企業JERAは、EVのリユースバッテリーを活用した大規模蓄電システムの実証実験を始めた。トヨタの技術協力のもの、特別高圧の送電系統に連携可能なシステムの構築を目指す。 ★★EVフォークリフトのバッテリーで蓄電設備 ……豊田自動織機とトヨタL&Fカンパニーは、フォークリフト用のリチウムイオンバッテリーをリユースした定置型蓄電システム「メガロア」を開発した。豊田市と共同で電力使用量の平準化などの実証実験を行なう。 ★ダイムラートラック、北米でEVトラックの量産を開始 ……傘下のフレイトライナー名義でEVトラック「eM2」の量産を開始した。「eM2」はボンネット形状を持ったアメリカンスタイルを持つEV。最大容量291kWのバッテリーを搭載し、航続距離は最大400kmとなる。 ★アウディ、EVの販売が増進 ……2023年1月〜9月期の業績を発表した。EVの販売は12万3,000台以上で、前年同時期比60%増となった。9月単月では17万5,000台超えで、こちらも前年同月比24%増となっている。 ★ステランティス、EVの販売が好調 ……2023年6月〜9月期の業績を発表した。前年同時期比37%増という結果となった模様。「ジープ・アヴェンジャー」「シトロエン・アミ」「プジョー・E-208」「フィアット500e」などが増進に貢献したという。 ★岐阜県高山市のリゾートホテルがEVバスを導入 ……完全会員制のリゾートホテル「サンクチュアリコート高山」がホテルと最寄駅を結ぶ送迎バスに導入した。車両はEVモーターズ・ジャパンのコミュニティバス型となる。 ★テラモーターズ、北海道の賃貸に充電器を整備 ……北海道札幌市を拠点とする賃貸業のビッグと業務提携した。2030年までにビッグの管理物件に、充電器5,000基の設置を目指すという。 ★岩手県にEV充電器の設置が加速するか ……エネチェンジと岩手銀行が協力を発表した。2024年1月までに岩手/青森/宮城の複数の施設に充電を導入する。まずは岩手県矢巾町役場と宮城県仙台市の飲食店「かに政宗」への設置が発表された。 ★鳥取県日吉津村にEV充電器が導入 ……テラモーターズが連携協定を結んだ。同村役場庁舎と公共施設「ヴィレスひえづ」に、6kWタイプの普通充電器を3基ずつ設置する。 ★元テスラの技術者が東北大発のベンチャーに ……テスラ/アップル/ノースボルトなどを渡り歩いたバッテリーの技術者ケンゾー・ナガイ氏が、東北大学発のベンチャー企業3DCのアドバイザーに就任した。3DCはバッテリー向けの次世代カーボン素材の開発を行なっている。 デイリーEVヘッドライン[2023.11.01]

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ヤンマーの水素燃料電池システムを搭載したハイブリッド旅客船「ハナリア」(photo=モテナシー)
TEXT:福田 雅敏/ABT werke
静かで快適なFC船が来年に運航……ヤンマー、船舶向けの水素燃料電池(FC)を初出荷[2023.10.31]

商船三井グループの電動旅客船「ハナリア」に搭載し来年4月から運航予定 バイオディーゼル発電機とFCを組み合わせた日本初のハイブリッド船 【THE 視点】ヤンマーホールディングスのグループ会社であるヤンマーパワーテクノロジー(以下、ヤンマーPT)は、船舶用水素燃料電池(FC)システムを初出荷したと発表した。このFCは2023年8月に商品化したもの[詳細はこちら<click>]。商船三井グループなどが出資するMOTENA-Sea(モテナシー)の旅客船「HANARIA(ハナリア)」が搭載する。 「ハナリア」は、FCとバイオディーゼルを使用する日本初のハイブリッド型旅客船で、両機関で発電した電気でスクリューを回す電動推進システムを採用している船となる。2基のFC/蓄電池/発電機関/電力制御/推進機器/遠隔監視など、ヤンマーPTが統合設計したパワートレインが搭載されている。 特にFCシステムを主とした運航では、ゼロエミッション化を実現するとともに、動力源からの振動や騒音を大幅に低減し、排気ガスの臭いも無い快適な船内環境の実現に貢献する。 推進はモーターの動力となるので、自動車でいうFCEVとシリーズハイブリッド両方の側面を持ったシステムと言える。どのような状態でFCとディーゼルが切り替わるのかは気になるところだが、ディーゼルは発電専用なので、それが動いていたとしても通常の船舶に比べて圧倒的に静粛性が高いのではないだろうか。 FCシステムは、定格出力240kWのものを2基搭載している。重量は2,400kg。自動車用のおよそ10倍はある大型のシステムだ。バイオディーゼルと推進用モーターの諸元は公表されていないが、船舶に使用する電気を発電し船を進めることを考えれば、相当な大きさのものだろう。 自動車と異なり、船の場合の水素の充填などには許認可の問題など課題は多いと認識しているが、実際に船が出来上がり稼働に漕ぎつけたことは大きな進歩である。今後も、自動車のみならず船や建機など様々なモビリティでFCの活用が進むことを期待する。 なお「ハナリア」は2024年3月に竣工し、同年4月より福岡県を中心に営業開始予定だ。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ヒョンデ、コンパクトSUV「コナ」を日本発売 ……11月1日(水)から販売開始する。ヒョンデとしては「アイオニック5」に続いて日本導入2機種目。4グレードが導入され、航続距離は541〜625km。価格は399万3,000円〜となる[詳細はこちら<click>]。 ★東京都住宅供給公社がEVイベント ……JKK東京(東京都住宅供給公社)は、「コーシャハイム向原ガーデンコート」<板橋区>でEV普及啓発イベントを開催する<11月18日(土)〜19日(日)>。イベントでは、EV展示・試乗会/ソーラーカー工作ワークショップ/EVを電源としたキッチンカーの出展などが行なわれる。 ★ヤマハ、ゴルフカーベースの自動運転EVを開発 ……屋内外対応自動搬送用EV「FG-01」を開発した。ゴルフカーをベースにしたことで、高い走破性と耐久性を有するとのこと。「2023国際ロボット展(iREX2023)」<東京ビッグサイト/11月29日(水)〜12月2日(土)>に出展する。 デイリーEVヘッドライン[2023.10.31]

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FOMM ONE(photo=福田 雅敏)
TEXT:福田 雅敏/ABT werke
出光、EV新興のFOMMとともにバッテリー交換式EVの事業化を検討[2023.10.30]

多角的に事業を展開することで次世代への対応を早める出光 バッテリー交換式はインフラのひとつとして普及する可能性 【THE 視点】出光興産と新興EVのFOMMは、EV事業の協業に関する覚書を締結した。出光のサービスステーション(SS)ネットワークを活用し、EVのメンテナンスや軽自動車向けEVコンバージョンサービス体制の構築などを検討する。 FOMMは、小型EVの企画・開発メーカー。同社が開発した軽自動車規格の4人乗り小型EV「FOMM ONE」の販売を2019年からタイで開始し、2021年からは日本において販売を開始している。今後、出光と協業するということは、FOMMの販売体制の強化も意味することになる。 協業検討項目をまとめると以下となる。 1  「FOMM ONE」のメンテナンス等のアフターサービス 2  FOMMのバッテリー交換式コンバージョンEV事業における販売/改造業務/アフターサービス 3  SSネットワークを活用したFOMMのバッテリー交換ステーション事業の展開に関する検討 4  FOMMが将来的に量産を計画する新型車両の展開における連携可能性の検討 出光は系列SSを通じて給油に留まらない車検や整備等のカーケアサービスを手掛けてきた。新車販売台数の半数以上が電動車(ハイブリッド車含む)となっている現在の環境を踏まえ、電動車のメンテナンスを含むアフターサービス需要が今後加速すると予測している。このような環境の変化に対して、出光はバッテリー交換式EVに関する技術と知見を有するFOMMと協力して、EVに関連する多様なサービスとネットワークの拡充を目指す。 出光は新事業の開拓を加速している。カーコーティングの専門店を開いたり[詳細はこちら<click>]、トヨタと全固体電池の開発で協業したり[詳細はこちら<click>]、双葉電子とともに国産ドローンの開発を行なったり[詳細はこちら<click>]と、EVを含めた新時代のモビリティに対応できるよう多角的に事業を計画・実行している。 今回の発表で気になった点は「バッテリー交換EV」の事業化である。現在開催中の「ジャパン・モビリティ・ショー2023」にFOMMが出展しており、「FOMM ONE」のバッテリー交換型が展示してあったのだ。リアバンパー中央の黒い部分にバッテリーを搭載しそこから交換するという仕組み。「FOMM ONE」は水に浮いて走る(推進する)EVとしても知られている。バッテリーの防水性にも自信があるのだろう。 また、三菱ふそうやいすゞが小型トラックでのバッテリー交換のデモを行なったほか、ホンダも自社の交換式バッテリーを搭載した車両を展示。カワサキやEVスクーターのベクトリクスなども電池交換式を展示していた。 筆者も十数年前にバッテリー交換式のEVタクシーの実証試験をした経験を持つ。当時と比較して、バッテリーの性能向上や充電設備の拡充といったEVを取り巻く環境変化があったにも関わらず、ここに来て大手各社がバッテリー交換式に手を出すということは、今後トレンドの一つになるということを示唆しているのではないか。 各メーカーが計画する交換システムも自社のみで開発を行なわず、専門業者などとの協業で事業化を目指しているところも興味深い点だ。バッテリー交換というビジネスモデルが出来つつあると言える。数年後には、充電インフラのひとつのカタチとして認識されているかもしれない。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★パワーエックス、超急速充電サービスが稼働 ……最高出力150kWの公共急速充電サービスを開始した。10月26日より「シェアグリーン南青山」<港区青山1−12−32>と、「目黒セントラルスクエア」<品川区大崎3-1-1>が稼働している。2023年末までに、「新丸の内ビルディング」<千代田区丸の内1-5-1>と、「成田空港第1ターミナル」<P1駐車場1階>も稼働予定。10分の接続で約130km分の電力を充電できる充電サービスとなる。 ★★ルノー、次世代のモーターを採用へ ……仏自動車部品メーカーのヴァレオと共同開発した次世代モーター「E7A」を発表した。2027年より導入する。「E7A」は巻線ローターを使用したレアアースフリーのモーターで、現在のものよりも30%コンパクトだという。 ★ヤマダ電機の住宅ローンでEVの購入が可能に ……ヤマダデジタル会員向けのネット銀行「ヤマダ NEOBANK」の「ヤマダ NEOBANK住宅ローン」にEVやV2H機器の組み込みが可能となった。住宅からEVまでワンパッケージで購入できることとなる。 ★超急速充電サービスにグリーン電力 ……最高出力150kWの急速充電サービスを開始したパワーエックスは、クリーンエナジーコネクトと「バーチャルPPAサービス」の契約を結んだ。クリーンエナジーコネクトがパワーエックス専用に太陽光発電システムを構築し、充電サービスにグリーン電力を供給する。 ★会津若松市の循環バスがEVに ……福島県会津地方でバス事業を展開する会津乗合自動車(会津バス)は、会津若松市内を走るまちなか周遊バス「あかべぇ」に2台のEVバスを導入した。車両は「BYD・J6」。JR会津若松駅〜鶴ヶ城〜七日町といった主要観光スポットを通る。 ★パナソニック、千葉県市川市で充電インフラの整備を促進 ……「日常生活圏のどこでもEV充電ができる」をコンセプトに展開しているEV充電器のシェアリングサービス「エブリワ・チャージャー・シェア」のモデル地域を市川市に選定した。まずは、市の公共施設にEV用充電器を設置する。 ★アクスル、フォロフライのEVを導入 ……社用車として「フォロフライF1バン」を10月から1台導入した。国内初の1トンクラスのEVバンとなる。アクスルは配送車のEV化を進めているが、フォロフライの導入は初。今後積極的な導入に向けて検討するとのこと。 ★チューリング、自動運転EVのコンセプトカーを発表 ……完全自動運転EVへのマイルストーンとして、コンセプトカー「チューリング・マシン・アルファ」を「ジャパン・モビリティ・ショー2023」で公開した。オープントップでバギースタイルをとっている。 ★太陽光発電システムが車両化 ……ポータブルのリチウムイオンバッテリー製品を展開するジャックリーは、太陽光発電のコンセプトマシン「ジャックリー・ソーラーマーズボット」を公開した。小型の自動運転EVの上部にソーラーを備えた車両で、自動で太陽光を追跡し発電する。 デイリーEVヘッドライン[2023.10.30]

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連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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