EVヘッドライン
share:

「東京ビッグサイト」がサーキットに……「フォーミュラE」東京大会のコースが決定[2023.11.14]


TEXT:福田 雅敏/磐城 蟻光
TAG:
フォーミュラE2023年シーズンより(photo=ポルシェ)

交通への影響を最小限に抑えたと見えるコースレイアウト
マシンの充電にはグリーン電力も積極的に活用してほしい

【THE 視点】フォーミュラEアソシエーションは、「フォーミュラE」の東京大会「Tokyo E-Prix」<2024年3月30日開催>のコースレイアウトを正式発表した。「東京ビッグサイト」<江東区>周辺の公道と港湾施設を利用。全長2.582kmでコーナー数は18ヵ所のレイアウトとなる。

コースの特徴は長いストレートが3本あることと、ターン1から8にかけてタイトなコーナーが連続する点であろう。「フォーミュラE」はピットインがなく電池残量との戦いでもあるため、ストレートを飛ばしすぎると電力を使いすぎてチェッカーを受けられない可能性が出てくる。

そのため、ストレートでは電車のように1列に隊列を組んで、お互いに空気抵抗を減らしながら走るシーンが見受けられるのだが、その代わりコーナーが続くセクションでは追い抜きが頻繁に行なわれる。今回の東京大会のコースは、ホームストレート後の1コーナーから90度コーナーが連続するようなレイアウトのため、この辺りでのバトルが熾烈になるのではないだろうか。ホームストレートからのブレーキング勝負は見ものだろう。

東京史上初めて、レースのために公道を封鎖するという点もトピックだ。今回のコースレイアウトを見るに、公道を使用するのは「東京ビッグサイト」周辺の一部にとどまった。この辺りは乗用車よりもトレーラーや港湾関係車両が多く走る道だ。

市街地戦なのでもっと公道を多めにと思うかもしれないが、ただでさえ大混雑している東雲付近の公道を大規模に止めるとなれば大混乱は必至だ。それを考えると今回のレイアウトは妥当ではないだろうか。「東京ビッグサイト」も関連施設として活用できそうである。

気になるのは電力関係の設備だ。およそ20台のマシンとはいえ、その辺の電柱から電気を引っ張るわけにはいかない。各ピットに専用の充電設備が必要になるはずだが、そのインフラをどう構築するかも気になるところ。また、その電力にどれほどの再生可能エネルギーを活用するのかも注目している。限りなくCO2排出ゼロに近づけたレースとなってほしい。

東京の市街地を封鎖しての開催とは歴史的な行事であるが、これも音が静かで排ガスも出ないEVだからこそ実現できたものであろう。高回転のエンジン音に酔いしれながらレースを見るのも良い。しかし、東京臨海部の潮風に吹かれながら静かにレースを観戦するのも悪くはないと思う。当日は是非とも現地観戦したいものだ。

そういえば先日、お台場にレーシングチームのトムスが運営するEVカートのサーキットが完成した[詳細はこちら<click>]。お台場近辺が、ZEV(ゼロ・エミッション・ヴィークル)モータースポーツの“聖地”となったら面白い。
(福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー)

★★ボルボ、EVミニバン「EM90」を発表
……かねてから登場を予告していたEVのMPV「EM90」が発表された。「トヨタ・アルファード」のような豪華ミニバンタイプで、特にセカンドシートは旅客機のビジネスクラスのような仕様となっている。まずは中国に導入されるという。

★★世界最高加速度のハイパーEV日本見参
……0-60mph(約96.6km)加速1.72秒、最高速度413km/hのハイパーEV「アスパーク・アウル」が、大阪にあるアスパーク本社(エンジニアリング人材サービスを展開する企業)に展示される。販売価格は290万ユーロ(約4億7,000万円)。

★アウディ、屋久島でEVのレンタカーを開始
……アウディの正規販売店を運営するファーレン九州は、鹿児島県屋久島町で「e-tronレンタカーサービス」を11月14日より開始する。導入車両は「e-tron」と「e-tronスポーツバック」各1台。

★薄型の公共用急速充電器が発売
……新電元工業は、最高出力50kWの「CHAdeMO」対応急速充電器「SDQCシリーズ」をリニューアルした。奥行350mmの薄型ボディが特徴。公共充電カードはもちろん様々な充電サービスに対応できるという。

★リチウムイオン式を超える密度をもつバッテリーが実現か
……東京理科大学は、ナトリウムイオンバッテリーやカリウムイオンバッテリーに使用するための「ハードカーボン」の合成に成功した。両方のバッテリーの負極材として優れた特性を示し、リチウムイオンバッテリーを超える312Wh/kgのエネルギー密度を達成したという。

★法人向けの「エネオス・チャージ・プラス」にロードサービス
……「EV駆け付け充電サービス」を展開するプレステージインターナショナルが、「エネオス・チャージ・プラス法人充電カード」の付帯サービスとして展開する。提供開始は11月13日から。

★充電スポットの撮影・投稿でNFTゲット
……駐車場検索アプリの「ヴィーモ」は、EV充電スポットのレビューキャンペーンを開始する。写真付きでレビューを投稿すると、先着30名にNFT(非代替性トークン)の一種である「SBT」(ソウルバウンドトークン)をプレゼントする。応募期間は2月13日まで。

★“水素再利用ターボ”の実証に成功
……IHIは、航空機向け燃料電池(FC)用の「電動ターボブロア」を開発した。FC内の未反応の水素を回収し再循環する装置で、これまで困難だった高湿潤環境での性能を実証したという。

デイリーEVヘッドライン[2023.11.14]

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
中国から地球上最強コスパの新星EV現る! IMモーターL6の驚くべきスペックとは
BYDの売り上げ鈍化に注目しても意味なし! むしろ心配すべきはテスラか? BYDは利益率も投資額も驚くべき水準だった
いすゞがピックアップトラック「D-MAX」にBEVを用意! バンコク国際モーターショーでワールドプレミア予定
more
ニュース
EVの充電がプラグを接続するだけに! Terra Chargeがプラグアンドチャージ対応EV充電器を2025年度から設置開始
BYDの勢いが止まらない! 新エネルギー車の生産台数が世界初の1000万台を突破
日産からセダンのEVが出るぞ! 中国向け車両「N7」を初公開
more
コラム
AM放送が聴けない「電気自動車」が数多く存在! FMラジオは搭載されているのになぜ?
新車が買えないレベルで人気沸騰中のメルセデス・ベンツGクラス! EVが売れない日本でも「G 580 with EQ Technology」ならバカ売れするか?
自宅で充電できないけどEVを買う人が増えている! ただしいまのインフラ状況だと「セカンドカー」で乗るのが正解
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】二度見必至の存在感は普通のコナとはまるで別モノ! イメージを大きく変えたヒョンデ・コナ「N Line」に乗って感じたマルとバツ
ボルボEX30で11時間超えの1000km走行チャレンジ! 課題は90kWまでしか受け入れない充電性能
EV専業の「テスラ」とEVに力を入れる従来の自動車メーカー「ヒョンデ」! モデルYとコナを乗り比べるとまったく違う「乗りもの」だった
more
イベント
外からもまる見えな全面ガラスドアも高齢化が進む地域のモビリティとして最適!? タジマの超低床グリーンスローモビリティ「NAO2」が斬新すぎた
EVはレアメタルが詰まった都市鉱山! CEATEC2024でBASC展示が提唱するサーキュラーエコノミーというバッテリーとは
畳めるバイク! 階段を上り下りできるカート! 自由な発想のEV小型モビリティが作る明るい未来を見た!!
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択