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燃料電池(FC)もターボチューン……IHIがFC航空機向け「電動水素ターボブロア」を開発[2023.11.16]


TEXT:福田 雅敏/磐城蟻光
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電動水素ターボブロア・プロトタイプ(photo=IHI)

燃料電池の“排出ガス”から水素を回収し再利用
大型FCEVトラック/バス向けの転用も期待

【THE 視点】IHIは、水素燃料電池(FC)向けの大容量再循環装置「電動水素ターボブロア」を開発し、実証運転に成功した。

航空機機体製造装置メーカーの三栄機械、そして秋田大学と連携して開発したもので、航空機用FC向けの補機となる。独自開発の「ガス軸受超高速モーター」を採用することで大容量化を達成した。FCから排出される水蒸気の中には未反応の水素がある。「ターボブロア」でそれを大量に回収し、FCの燃料極(負極:アノード)に再循環・再利用でき、発電の効率を上げることができるという。

「ターボブロア」には、独自開発の「ガス軸受」を用いた超高速モーターを採用している。これにより、再循環装置の大容量(高効率)化・小型化・軽量化を同時に実現できた。「ガス軸受」は潤滑油を使用しないため、潤滑油で水素を汚染することもない。

さらに、水素雰囲気中で使用するための密閉構造化や、大容量化に必要なモーター排熱性能の向上(熱によるモーターへのダメージを低減)も行なっている。航空機用として必要な電力出力400kWを超える大型FCの水素再循環は、従来の小容積型ブロアでは複数台並列で運転せざるを得なかったが、「ターボブロア」を採用すれば1台で足りるようになる。

プロトタイプは、そうまIHIグリーンエネルギーセンターおよび秋田大学の電動化システム共同研究センターで特性評価を行なった。その結果、これまで難しいとされていた環境(燃料電池燃料極排気ガスの水素ガス環境や水蒸気を含んだ高湿潤環境)で必要性能が得られることを確認したという。

今後2024年中を目標にFCシステムに乗せて検証を行ない、同じく開発を進めている「航空機推進用大出力電動モーター」、FCの空気供給を担う「電動ターボコンプレッサ」「高磁束プラスチック磁石ローター」と組み合わせ、2030年代のFC航空機の実用化を目指す。ちなみにIHIのFC向け「電動ターボ」は、以前に本欄でも触れているのでご一読いただきたい[詳細はこちら<click>]。

IHIは今回、「この成果は、航空機にとどまらず。今後、大出力化が期待される燃料電池モビリティにおいて、船舶や大型トラックなどの開発にも貢献することが期待される」とも発表した。

今回の「電動ターボブロア」の開発は、FCシステム全体の小型化/軽量化/コストダウンなどに寄与するものとなる。2030年以降とされるFC航空機の開発も加速されるものと推測される。

ただ、忘れてはいけないのが地上面。400kWクラスのFCといえば、大型トラック用としても対応できる。航空機だけでなく大型自動車のFC化も推進されているのは度々報じている。IHIといえば自動車用ターボチャージャーの開発の大手だ。願わくば、上記の表明にもあるようにFCEVトラック/バス、そして乗用車への転用も期待したい。
(福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー)

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デイリーEVヘッドライン[2023.11.16]

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