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ヤマハ発動機のEVトライアルバイク「TY-E 2.2」(photo=ヤマハ発動機)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
蘇る、40年前の興奮……ヤマハ、新型EVトライアルバイク「TY-E 2.2」を実戦投入[2023.07.14]

パワーユニットなどを一新し今後も継続的に参戦と開発 筆者が40年前に開発を経験したマシンと似た構造 【THE 視点】ヤマハ発動機は7月13日、「全日本トライアル選手権第5戦・北海道・和寒大会(わっさむサーキット)」(7月16日開催)に、新型のEVトライアルバイク「TY-E 2.2」を投入することを発表した。「ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チーム」の黒山健一選手とともに出場する。「TY-E 2.2」は、全日本選手権の参戦を通じて開発を行ってきた電動トライアルバイク「TY-E 2.1」の改良新型となる。 「TY-E 2.2」の開発コンセプトは「FUN×EV」。軽量化と高強度化に加えて熱対策の熟成を目指した積層材モノコック・フレームや、出力密度を高めた新設計モーター、小型・高効率・高機能化したモーター・コントローラーなどの新コンポーネントを投入。実戦とともに車両の検証・データ収集・技術開発を続け、後半戦も随時アップデートを続ける予定だという。 「TY-E」は2018・2019年のFIMトライアル選手権のEV専用クラス「TrialE Cup」への出場を皮切りに、2022年には「TY-E 2.0」として同選手権の「Trial2」クラスにスポット参戦。2023年には「TY-E 2.1」を開発し、黒山選手とともに史上初となる全日本選手権へのフル参戦を開始した。 筆者は実は、現在所属する会社が1984年に電動トライアルを開発したことを雑誌記事で知り入社を決めた過去がある。そこからEVに興味を抱いたのだ。 およそ40年前のことだが、当時開発していたマシンの構造は「TY-E 2.2」に近いものだった。当時としては最先端のフルカーボン・モノコックボディに、インホイール・モーターが採用されていた。 一番の違いは、インホイール・モーターであったことに加えて、何よりもバッテリーが鉛だったことだろう。液式の大変重いものだった記憶がある。当時は、現在のように「EV用」などというバッテリーはない時代だった。それがリチウムイオン・バッテリーとなり、バッテリーの性能と軽さのおかげで「TY-E 2.2」は相当の性能を持ち、扱いやすさも備えていることだろう。 試作車の試験のたびに重たい鉛のバッテリーを交換したことを思い出す。もしリチウムイオン・バッテリーであったなら、ほとんど交換せずに試験走行もできたのではないだろうか。企業は違えど、かつて筆者も開発を経験したものに類似したマシンなだけに、「TY-E 2.2」には非常に親しみを覚える。実戦での勇姿を是非見てみたいものである。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★BYD、「アット3」が自動車導入促進補助金(CEV)対象車に新決定……型式指定認証を取得し、85万円の補助[詳細はこちら<click>] ★★ルノー、新型EV「セニック E-Tech エレクトリック」のプロトタイプを発表……CセグメントのSUV ★★BMW、新型「5シリーズ」のEVモデル「i5」を日本で発売……表参道のイベントスペース「OMOTESANDO CROSSING PARK」<港区南青山>内「ポップアップ・エキシビション」にて「i7」と共に展示<7月14日(金)〜9月17日(日)>[詳細はこちら<click>] ★★エネチェンジ、「ISP・池袋東口公共地下駐車場」<池袋駅直結>にEV用充電器を設置……最高出力6kWタイプを5基 ★★東京ガス、「千住水素ステーション」<東京都荒川区>にて水素を現場製造……エナプター社の「AEM水電解装置」を使用しCO2フリーの水素を製造、販売を開始 ※AIM:Anion Exchange Membrane(陰イオン交換膜)の略 ★ポールスター、SUV型のEV「ポールスター5」のプロトタイプが実走を披露……イギリス「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」にて公開 ★ワイトリシティ、EV用ワイヤレス充電器のOEMを推進……OEM導入・採用をスピードアップする「ファストトラック・インテグレーション・プログラム」を開始 ★ボッシュ、FCモジュールの量産を開始……2030年までに水素技術で50ユーロ(約7,700億円)の売り上げを目指す ★ジゴワッツ、日本最小の充電器「Ella」を極東開発グループ本社ビル<大阪市中央区>の立体駐車場に設置……極東開発が展開する充電サービス専用品の共同開発も検討 ★ルノー、EV向けの効果音を開発……対歩行者向けの近接接近音と車内向けのウェルカム・サウンドの2種類、音楽家のJean-Michel Jarreと協力 ★パーク24、カーシェアリング・サービス「タイムズカー」会員向けに「EV体験キャンペーン」を実施……大阪府の会員限定、「日産リーフ」「トヨタbZ4X」を用意 ★ISレンタリース、「レクサスRZ450eファースト・エディション」のレンタカーを導入……7月19日よりレンタル開始、料金5万9,950円〜 ★二輪用品店のナップス、EVモトクロッサー「SUN-RON」の販売を開始……横浜店/埼玉店/浜松店/春日井店/京都八幡店/ららぽーと立川立飛店の計6店舗にて ★テラモーターズ、沖縄の不動産系企業のマルユウグループと提携……マルユウグループ所有の物件52ヵ所に先行導入 ★凸版印刷、リチウムイオン・バッテリー用の消火フィルム「FSfilm」について国際団体が効果を認証……アメリカの試験・検査認証のUL社から「UL検証マーク」のお墨付き、EV用への展開も期待 ★ローム、ソーラーフロンティアの旧国富工場の資産を取得へ……EV向けSiC(炭化ケイ素)パワー半導体の生産を拡大 ★テスラ、「テスラ サービスセンター大宮」<さいたま市中央区>にて特別試乗会を開催……7月22日(土)、「モデル Y」「モデル 3」を用意 ★ブレイズ、「オートプラザラビット稲沢店」<愛知県稲沢市>のイベントにて展示・即売会を開催……7月15日(土)・17日(日)の2日間、「ブレイズ スマートEV」など出展 ★フォーミュラE第13・14戦ローマ、今週末に開催……両日ともに予選と決勝を開催、現在のポイントリーダーはジェイク・デニス(アバランチ・アンドレッティ) […]

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「モビリティ水素官民協議会の中間とりまとめ」資料より抜粋(出典=経済産業省)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
「FCEV普及の見通しが不明で投資計画が立たない」……経産省、官民協議会の中間報告を公表[2023.07.13]

問題点の洗い出しと将来に向けての現実的な議論を確認 中距離・高稼働のFCEVについては35MPaの低圧車載タンクが有用 【THE 視点】経済産業省は7月11日、「モビリティ水素官民協議会の中間とりまとめ」を公表した。 モビリティにおける水素の普及に向けて、2022年9月より水素供給側・自動車メーカー側・物流事業者側・荷主側・国・地方自治体が一体となって将来像を共有し、必要な政策を議論する検討会を行っている。 2023年6月に水素基本戦略の改定があったことを踏まえ、現状の打破に向けて各団体が一定の前提の元に将来の見通しと普及に向けた課題を共有したのが、この度の中間とりまとめと言える。 燃料電池車(FCEV)は、電力を作るための水素の充てん時間が短く航続距離が⻑いといった強みを有している。それを踏まえて走行距離と稼働時間が長い商用車の分野では、FCEVがバッテリー式のEVよりも有用であることは、世界的な常識になりつつあり、欧米でも商用車へのFCEVの導入が加速しつつある。 しかし、自動車メーカーと物流・荷主企業・水素供給企業は、各々がFCEVの需要の見通し、FCEVと水素ステーションの普及台数見通しが不明というのが現状で、投資計画が立てられないといった三すくみの状態となっている。具体例を挙げれば、⾞両や⽔素の価格が高額な点や⽔素ステーションの整備が進まないなどの課題が挙げられる。 今後は野⼼的な導⼊⽬標を策定するとともに、現在は未策定のトラック(8トン超)の転換⽬標や、充填インフラの導⼊プランの設定を検討していくという。 また「⽔素基本戦略」の改定も踏まえて各ステークホルダーへのさらなるヒアリングを行ない、⾞両導⼊価格やランニングコストの低減、商⽤⾞に対応する⽔素ステーションの整備や設備のマルチ化と運営費低減、高い需要が⾒込まれる地域の選定等を⾏っていくという。 FCEVを日常利用する筆者は、電動車としてはエネルギー源(水素)の充填時間が短いという利点は十分に理解している。そして問題だと感じてきた商用車用ステーションの整備不足が、今回の発表で明るみに出たと捉えている。 また、FCEVに搭載する水素用タンクは、これまで70Mpaの高圧がひとつの基準のように扱われてきたが、中近距離を⾼稼働⾛⾏するモビリティについては、35MPaの低圧タンクの導入が有用との報告もあり、方向転換ともいえる内容を発表している。 高圧水素の充填は、それだけ電力のコストもかかっている。低圧にすればそれを低減できることになり、水素価格の抑制に繋げられるだろう。このあたりの議論も行われるようになったのは嬉しい。今回の発表はもちろんこれだけではないのだが、普及に向けた本気度が感じとれる中間とりまとめだった。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ケータハム、クーペの新型EVコンセプトカーボン「プロジェクトV」を発表……2025年後半から2026年前半に発売予定[詳細はこちら<click>] ★★横浜ゴム、EV用サマータイヤ「アドバン・スポーツEV」を発売……2023年秋頃より欧州で発売、16サイズを予定[詳細はこちら<click>] ★★アルピーヌ、2023年に新型「A310」を含む新型EVを7車種発表……独自のEV用プラットフォームを開発へ ★パワーエックス、北海道室蘭市と連携協定を締結……室蘭港にて電気運搬船および蓄電池を活用 ★ホンダ、経産省の実証事業「令和5年度 蓄電池等分散型エネルギーリソース次世代技術構築実証事業」に参画……東京電力など計13社による事業、潜在的なエネルギーソースであるEVなどを活用 ★メルセデス・ベンツUSA、2023年4月〜6月期のEVの売り上げが増進……「EQ」シリーズ全体で1万1,927台を販売、前年同時期比608%増 ★永輝商事、フランス「IES Synergy」のEV用充電器を輸入販売……最高出力6kWタイプの小型普通充電器から180kWの大型急速充電器まで計3機種を用意 ★エネチェンジ、スーツ専門店のアオキにEV用充電器を設置……神奈川県内の2店舗(AOKI横浜三ツ境店<横浜市瀬谷区>/津久井城山店<相模原市緑区>)に最高出力6kWのタイプを1基ずつ ★アウディ、鹿児島県屋久島町にて「e-tron」のレンタカーサービスを開始……屋久島町と連携し脱炭素化を支援、役場の公用車に「e-tron」を1台貸与など[関連記事はこちら<click>] ★日本郵船、中国にて大型EVトラックを使用した実証実験を開始……日系現地法人のパナソニック四維、三井住友海上火災中国と共同、自動車物流事業に導入 ★リョービ、6000トンのダイカストマシン「ギガキャスト」を導入……自動車用のバッテリーケースを生産可能 ★日揮HD、オーストラリアにて水素製造プラントを受注……住友商事の現地法人から受注、年産250トンの水素を製造 ★BMW、芸術家のマルク・ブランデンブルグ氏によるアート絵を描いた「iX1」を発表……ドイツのシュテーデル博物館との長期的なパートナーシップの一環で デイリーEVヘッドライン[2023.07.13]

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EV船「あすか」(photo=旭タンカー)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
カーボンニュートラル燃料の輸送にエコなEV船……三菱重工、新型EV輸送船「あすか」を竣工[2023.07.12]

カーボンフリー燃料の輸送をエコに実施してこそCO2削減に効果 見た目からはわからぬ最新鋭のハイ・テクノロジーを搭載 【THE 視点】三菱重工は7月7日、新型のEV輸送船「あすか」が竣工したと発表した。三菱重工グループの三菱造船およびe5ラボが普及を目指す「内航標準ハイブリッドEV船」のデザインを採用した総トン数499トンのバイオマス燃料輸送船で、建造造船所の本田重工業から旭タンカーに引き渡された。 「あすか」のパワーユニットは、スクリューを回すための機構は完全電動で、電力供給用のバッテリーと発電機・制御ソフトをモジュール化して搭載している。 また、三菱造船が開発し、Marindowsを通じて内航海運への普及を目指すポータブル運航支援システム「ナビコ」も搭載。今後パイロット試験を経て2024年春からの販売を計画しているという。 見た目からは分かりづらいが、三菱造船製の高性能ツインスケグ船型を採用し、推進馬力を従来船より20%以上削減した。これによりCO2の削減に貢献でき、荷役・離着桟・入出港など港湾でのゼロエミッション・オペレーションを実現する。 また、騒音・振動の低減による船内快適性向上、高度な知識と経験を要するディーゼルエンジンの整備作業の削減、操船性向上による離着桟オペレーションの負荷低減などのメリットもあり、総じて船員の作業負荷を低減できる。 駆動するモーターは最高出力360kW(490ps)のものが2基搭載され、最高出力500kW(680ps)の発電機が2基、バッテリーは最大容量221kWhの仕様が2基で合計の容量は442kWhとなる。40kWhのバッテリーを積むEVに換算すると11台分の容量になり、ハイブリッド車の場合は40〜50台分に相当する。EVとは比べ物にならないほどの大容量である。 「あすか」のパワートレインは、自動車で言うシリーズ・ハイブリッド方式に相当する。外観からは気付かないが、CASE(コネクティッド・自動化・シェアリング・電動化)に近い技術が用いられており、公開された資料によれば、「ナビコ」とは映画で見るような巨大なパネルを備えたようなものではなく、小型のタブレット端末にて操作するようだ。電動化に関連する産業構造改革は船舶業界でも起きている。 船舶においてもCO2削減は待ったなしの状態で、EVではないが推進力に風を用いる「帆船」を現代版としてアレンジした推進技術も開発されている。 「あすか」の用途はバイオマス燃料の輸送というが、その輸送に化石燃料を使用しているようでは無意味。運ぶ船も含めてカーボンフリー化して初めてエコと言えるだろう。この問題は自動車用の水素燃料の輸送にも当てはめることができる。 このような取り組みは、乗り物業界全体に増えていくだろう。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★カワサキ、新型EVバイクを「JAIA輸入車普及イベント in 神戸」<神戸市旧居留地/7月14日(金)・15日(土)>にて公開……「ニンジャ」と「Z」ベースのプロトタイプEVバイクに加えて、自転車型の「ノスリス」3台を出展 ★★ヤマダデンキ、EV向けの充電器「ACスマートチャージャー」を全国の店舗にて発売……最高出力6kWでの充電が可能な壁掛けタイプ ★★ZF、商用EV向けのモーター一体型駆動装置(イー・アクスル)「AxTrax」を欧州で発表……ラストワンマイルの小型EVから大型のトラクター・ヘッドまで幅広く対応 ★ボッシュ、欧州のトラックメーカーのイヴェコに燃料電池を供給……イヴェコ製のFCEVトラックが2023年内にデビュー、水素供給インフラの開発も推進 ★ボッシュ、ドイツ・シュトゥットガルトのフォイエルバッハ工場にて水素燃料電池を大規模生産……既存のトラックのエンジンスペースに収まるサイズ ★京急電鉄、三崎口駅前<神奈川県三浦市>に小型EVと電動キックボードのレンタルステーションを開設……小型EVは15分220円、電動キックボードは初乗り15分250円から利用可能、「ハローモビリティ」のアプリより予約 ★野村不動産、今後開発の分譲マンション「プラウドシリーズ」全物件にて全駐車区画の原則3割にEV用充電設備を導入……「プラウド青葉台」<神奈川県横浜市>では機械式駐車場の7割超えに導入予定 ★ヤマダホールディングス、プラゴと協業のEV充電インフラ事業を自社のエコ施策「ヤマダ・グリーン」に認定……7月4日より予約制のEV充電サービスを開始、買い物中にEVを継ぎ足し充電 デイリーEVヘッドライン[2023.07.12]

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「コーガ」のプロジェクトに関わる企業(photo=工学院大学)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
ハイドロニューマチック・サスをソーラーカーが搭載、工学院大学が世界大会に挑むマシンを発表[2023.07.11]

数々の新技術を大学生が開発し新型ソーラーカーを製作 非電動のハイドロニューマチック・サスペンションはドライバーの負担も軽減するか 【THE 視点】工学院大学および工学院大学ソーラーチームは7月5日、「2023ブリヂストンワールドソーラーチャレンジ(BWSC)」<オーストラリア/10月開催>に出場するニューマシン「Koga(コーガ)」を初公開した。レースにおける空力性能の向上が図られ、搭乗者空間の拡充と低重心化を実現する新技術を搭載しているという。 工学院大学ソーラーチームは、30社を超える企業との産学連携プロジェクトとして、研究開発からレースへの参戦までを一貫して行うことで、クリーンエネルギー分野の技術革新・社会実装に取り組んでいる。 「BWSC」への参戦は今回で5度目。レースは、オーストラリア大陸を北から南へ約3,000kmの道のりを約5日間で縦断する過酷な内容。チームは、2019年の大会にて技術賞「テクニカルイノベーションアワード」(1チームのみに与えられる)を受賞しているが、前回大会を超える技術力で世界の頂点を目指すという。 「コーガ」には以下の新技術が搭載されている。 ・グランド・フレーム・サスペンション(GSF)……前輪に採用、内部フレームを必要とせずシャシー側からの支えでも操舵可能 ・リバース・タイヤ・ウォール(RTW)……後輪に採用、ボディ側面にタイヤを直接組み付けボディを支える ・ボディ直付けのホイール……「GSF」と「RTW」により実現、タイヤを支えるフレームが不要となり、狭いボディにサスペンションを格納可能。空力性能の向上と搭乗者空間の拡充・低重心化による操安性能向上の効果 ・改良型ハイドロニューマチック・サスペンション+非線形ばね……電気エネルギーを使用せずに車体のピッチ方向の姿勢を自動調整し空力が最も高い状態を維持(※テクニカルイノベーションアワード受賞の技術) 油圧と空気圧を組み合わせた「ハイドロニューマチック・サスペンション」というとシトロエンを思い浮かべるが、大学生制作のソーラーカーに採用されているのには驚いた。今回は改良型ということで、乗り心地も改善したのではないだろうか。5日間で3,000kmを走る長丁場のレースでは、ドライバーの身体への負担は相当なはずだ。疲労の軽減効果があればと願う。 また、この「BWSC」には筆者の知人がいる東海大学も参戦すると聞いている。日本の大学同士の争いも見ものだが、ブリヂストンがスポンサーの大会だけに、日本勢は是非とも上位入賞を獲得してほしい。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★メルセデス・ベンツ、ヨーロッパにて「自動車線変更機能」を導入……EVの「EQ」シリーズにも搭載、遅い車を自動で追い越し ★★ダイムラーバス、オランダ・ハーグの交通企業HTMとEVバス「メルセデス・ベンツ eシターロ」の導入を契約……2024年までに95台を納入、電動化のためのインフラの構築も ★ユビ電、EV用充電器向けのスマート分電盤「ウィーチャージ・ハブ」をアップデート……最高出力6kW〜10kWまで対応、集合住宅への導入コストも低減 ★テラモーターズ、コインパーキングへのEV用充電器の導入をサポート……補助金なしでもハードとランニングコストが無料のプランを開始 ★テラモーターズ、千葉県酒々井町にEV用充電器を設置……町役場など計4ヵ所の公共施設に ★横浜市・みなとみらい21地区での自動運転バスに関連する公募が開始……マクニカと連携し地区の価値を向上させる移動ソリューションの開発が目標、7月10日(月)〜8月09日(水)まで募集 ★東ソーと日本カーリット、グリーン水素製造用の新規触媒の研究開発がNEDOの委託事業に採択……触媒に用いる希少金属「イリジウム」に代わる「イリジウム含有マンガン酸化物」の製造方法や運転方法などを探る デイリーEVヘッドライン[2023.07.11]

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BMWモトラッド CE 02(photo=BMW)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
ブランド2機種目のEVはネイキッド…BMWモトラッド、新型EVバイク「CE 02」を発表[2023.07.10]

「ホンダCB125R」のパッケージに近く遊び心は満点 日本の公式WEBにもラインナップされ国内導入は確実 【THE 視点】BMWの二輪部門であるBMWモトラッド(以下、BMW)は7月7日、新型のEVモデル「CE 02」を欧州で発表した。ブランドの3機種目にあたるモデルで、オートバイらしいネイキッドのスタイルを持つ。 BMWはこれまで、EVバイクとしては「Cエボリューション」(2017年)と「CE 04」(2022年)を導入してきた。いずれもスクーターのスタイルをとったが、「CE 02」は先にも述べたようにオーソドックスなネイキッドのスタイルをとったことがデザイン面での大きな特徴である。 都市や市街地での利用をターゲットにしていて、「eParkourer」がコンセプトだという。「Parkourer」とは「パルクーラー」と読むことができ、昨今注目を浴びているスポーツである「パルクール」が語源になろう。「CE 02」はパルクールのスタイルをバイクで表現したモデルと言え、自転車で言えばBMXが近い存在かもしれない。 「CE 02」は、ドイツ本国では免許制度に合わせモーター出力を数種類か用意するが、一番出力の大きいものは最高出力11kW(15ps)/定格出力6kW(8.2ps)で、車体重量は132kgとなる。最高出力を見ると125cc〜150ccのクラスとなるが、EVバイクの場合、定格1.0kW以上20kW未満は普通二輪となるので、「CE 02」に乗るには普通二輪免許が必要だ。ちなみにホンダの原付二種のスポーツモデル「CB125R」は、最高出力11kW(15ps)・重量130kgで、「CE 02」と同等と言える性能だ。 シャシーは、ねじり剛性に優れたダブルループ・フレームを採用。エンジン式のようなベルト駆動を採用したスイングアームも目立つ。BMWのロゴが入れられたアルミホイールにワイドタイヤを装着し、前後にディスクブレーキを採用。フロントにはABSが装備される。 ハンドル周りでは、メーターは「TFTディスプレイ」のデジタル式を採用。USB-Cの充電ポートを備え、ディスプレイに「充電終了」のアナウンスもなされる。 さらに、パワーモード選択機能が装備されているのも楽しいポイントであろう。基本的には「フロー」と「サーフ」の2つが設定されていて、「フロー」がノーマルで「サーフ」がスポーツモードと捉えて良い。さらに「ハイライン」のオプション装備車には、スポーツ・プラスに当たる「フラッシュ」モードも備わる。ちなみに航続距離は90km(WMTC)で、充電は0.9kWの普通充電と、オプションで1.5kWの急速充電が用意される。 ここまで「CE 02」を概略的に紹介したが、このモデルの大きな特徴はデザインにあると思う。昔は「ホンダ・ダックス」「モンキー」といったユニークなデザインの原付が多くあった。昨今、それらは続々と復活を遂げているが、いずれもエンジン車である。今回、それらにみられるようなテイストを取り入れたEVバイクが出たことは、古き良きホビーバイクを知る筆者にとっても嬉しいニュースであり、日本メーカーへの好影響を期待したい。 実は筆者もEVバイクの制作をした経験がある。開発に関わった30年前のEVスクーターは、定格出力0.6kW(0.8ps)のパワーで、鉛電池のため重量が130kgあり、街中の走行で30km程度の航続距離であった。それに比べれば、「CE 02」の航続距離は非常に長い。技術の進化とともに、このような楽しいEVバイクが登場してきたのは非常に嬉しい。 なお、「CE 02」の日本導入は正式発表はないが、実は日本の公式WEBに2024年モデルとしてラインナップに載っている。価格は未公表だが、日本導入は確実であろう。正式発表を待ちたい。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★堀江貴文発案のEV軽トラのクラウドファンディングが開始……株式会社縁恩(エノン)が開発と生産を担当、2024年に合弁会社を設立しアメリカ市場への売り込みも狙う ★★アウディ、クラシックカー「NSUプリンツ」をオマージュしたコンセプトEV「EP4」を発表……「e-tron」のモーターと「Q7 TFSI eクワトロ」のバッテリーを流用 ★★メルセデス・ベンツ、北米にてテスラの急速充電ネットワーク「スーパーチャージャー」の利用が可能に……2025年より北米の充電規格「NACS」対応モデルを導入 ★★工学院大学、ソーラーカーレース用の新型マシン「Koga」を発表……学生自ら設計と製作を担当、「2023ブリヂストンワールドソーラーチャレンジ(BWSC)」<オーストラリア/10月開催>に出場 ★東京工業大学、次世代の材料を用いた全固体電池を開発……伝導率が世界最高の固体電解質の超リチウムイオン伝導体を開発、電極面積あたりの容量が現行の1.8倍 ★三菱造船、新世代のEV輸送船「あすか」が竣工……総トン数は499tでEVのバイオマス輸送船としては世界初、蓄電池と発電機を搭載し推進装置は完全電動化 ★ホンダ、IT企業のSCSKと協業……EVや自動運転に対応したソフトウェアを共同開発 ★NTTコミュニケーションズ、EVのカーボンニュートラルの貢献度を検証……日本カーソリューションズ(NCS)・クレアトゥラと共同で実施、NCSがリースするEVのデータを活用 ★BMW、2023年4月〜6月期に合計8万8,289台のEV(MINIを含む)を納入……前年同期比117.5%増 ★ポールスター、2023年前半で約2万7,900台を納入……今年中に6万〜7万台の納入を予定 ★ステランティス、アメリカの鉱物企業NioCorpと契約……ネブラスカ州生産のレアアースを調達 ★ワイトリシティ、EV用充電器利用のエチケットをアドバイス……「バッテリー容量100%までの充電は避けるべき、80%までの充電が最も早い」 ★テラモーターズ、ドライブステーション「神楽の里 舞乃市」<島根県江津市>に、EV用充電器を設置 ★テスラ、ポップアップストア「テスラ おおたかの森」<千葉県流山市>にて特別展示・試乗会を開催<2024年5月19日(日)まで>……「有明 ガーデン」<東京都江東区>でも特別展示を開催<7月15日(土)> ★ブレイズ、新型電動キックボード「KICKBOARD EV」の第二次予約を開始……改正道交法に対応した特定小型原付、7月1日(土)〜8月31日(木)まで受付 ★BMWモトラッド、「CE 02」のプロモーションにメタバースを活用……「BMW Motorrad MetaRide」をオープン デイリーEVヘッドライン[2023.07.10]

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ボグゾールが「EVエチケットガイド」を発行(photo=ステランティス)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
英国紳士流の「充電作法」を身につけよう……ボグゾールがエチケットの専門企業と「EVエチケットガイド」を発行[2023.07.07]

エチケット専門企業「Debrett’s」と共同でEV充電器のスマートな使用方法などを指南 ステランティスのネットワークを活用し世界に配布を 【THE 視点】ステランティス傘下の英国ボグゾールは7月4日、EVに乗る際の人的トラブルを避けるための「エチケットガイド」を発表した。 英国を代表するエチケット専門企業「Debrett’s」 と協力して作成されたこのガイドは、EVの普及促進を図ることを目的に、EV所有する上での混乱や疑問を解消する狙いをもつ。 ボグゾールは、英国のドライバーのおよそ90%は、公共のEV充電ステーションの使用方法に関するガイダンスの欠如が、EVへの乗り換えを妨げる一要因と考えている。今回の 「EVエチケットガイド」では、「公共の充電スポットの使用方法」「他のドライバーとの充電時間の交渉方法」「良いEVゲストになる方法」といったEVを所有するにあたって対人関係をスマートにこなすためのアドバイスを記載している。 今後のEVやPHEV普及のためには、より良い充電器の使い方などの案内が必要だろう。ネット上でも「EVの充電器を長時間占拠するユーザーがいる」といった苦情がたびたび見受けられ、実際にトラブルが発生しているとも聞く。 実は筆者も、初めて公共の充電器を使用する際は不安だった。使用方法を見ながら充電したのだが、その充電方法を理解している間に次のEVが来てしまうと焦ったりする。事前に充電方法を理解していれば焦らずに済む。ガイドによる知識があれば、先に充電しようとしているユーザーが初心者で戸惑っているような場面で、アドバイスもできるだろう。 このようなガイドブックの存在が有用なのは、英国に限らず世界共通だと思う。EV普及のためにも世界に向けて発信して良いはずだ。ボグゾールはそれこそステランティスの一員なのだから、そのネットワークを活用すれば世界への配布は困難ではないはずだ。EV普及の黎明期だからこそ、このようなガイドブックは大切な存在である。 ボクソールは英国での電動化に注力している。2024年から同社の乗用車とバンの全ラインナップに電動モデルを提供し、2028年からは純粋な電動ブランドとなる予定だ。そのためにも、普及の妨げの要因をひとつでも減らし、普及促進を図る狙いと思われる。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★オリックス、韓国のEV用充電インフラ企業「EVER」に出資……サムスン電子のスタートアップ企業、日本への進出を目指す ★★プジョー、「E-208」を商品改良(欧州発表)……航続距離が400km(WLTP複合サイクル値)へ ★★ステランティス、EV専用の新プラットフォーム「STLAミディアム」を公開……クロスオーバー、SUV、C/Dセグメントに応用可能、複数のブランドに展開予定 ★EVの車検もヤマダデンキで……ナルネットコミュニケーションズと日本自動車車体補修協会(JARWA)が、ヤマダ×三菱のEV販売のアフターサービスを補完 ★エネチェンジ、「医療法人社団敬寿会前橋城南病院」<群馬県前橋市>に6kWのEV用充電器を設置(1基)……待ち時間などをEVの継ぎ足し充電に活用可能 ★オペル、新コンセプトカーの車名を「エクスペリメンタル」と発表……ドイツでのイベント「IAAモビリティ」<9月5日〜10日>に向けて順次詳細を公表、英国のボグゾール名義でも展開 ★ステランティス、カナダ・オンタリオ州の大規模バッテリー工場の建設を再開……韓国LGとの合弁事業、2024年に生産開始予定 ★メルセデス・ベンツ、燃料電池(FC)を搭載した連接バス「eシターロ」の極寒テストを実施……海抜1,700m以上の高原でもFCの作動を確認 ★エネチェンジ、「未来志向の電力システム改革の実現に向けた当社見解」を発表……「一般電気事業者による一連の不祥事への近視眼的な懲罰措置は行うべきではない。電力システムの未来像を定めた上で行うべき」(※発表より一部抜粋) ★レクシブ、経済産業省主催の「次世代の分散型電力システムに関する検討会」の専門委員に盛次隆宏取締役CPOが選出……昨年度から引き続き、EVを有効活用する企業として選出 ★BYD、ブラジル・バイーア州に工場を建設……EVモデルの生産も、公式Twitterで発表 ★アメリカEVトラックのニコラ、カリフォルニア州から4,190万ドル(約6億円)の補助金を確保……FCEVトラック普及に向けて南カリフォルニアに水素ステーションを6ヵ所建設 ★ボルボ・カーUSA、2023年6月の販売台数は1万2,933台……電動モデル「リチャージ」はそのうちの29.3%、前年同時期比で79%増加 ★オペル、「コルサ・エレクトリック」の6月の販売台数が262台で「エレクトリックBハッチ」カテゴリーでトップ……「モッカ・エレクトリック」は1136台の販売 ★ボグゾール、英国内での6月のEV販売台数がトップ……商用EVバン「ヴィヴァーロ・エレクトリック」の6月の販売は482台 ★ベクトリクス・ジャパン、キャノピー付きの三輪EVスクーター「I-カーゴ」の量産を間もなく開始……荷台に700Lのボックスを搭載し「自治体・公共week 2023」<東京ビッグサイト/6月28日(水)〜30日(金)>に出展しアピール(※イベントは終了) ★アウディ、ドイツ・インゴルシュタット工場での「Q6 e-tron」生産開始で500人を新規雇用……EVは雇用創出にも有効と発表 デイリーEVヘッドライン[2023.07.06]

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出光興産と双葉電子工業が共同開発したドローン(photo=出光興産)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
攻める企業出光、R/Cプロポのフタバと国産ドローンを共同開発・事業化へ[2023.07.06]

既存のサービスステーションを配送拠点などに活用 「ガソリンスタンド」の存在価値を大きく変える可能性 【THE 視点】出光興産と双葉電子工業は7月3日、国産ドローンを共同開発・活用し、地域課題を解決するサービスの事業化の検討を開始すると発表した。 複数の用途に対応できる機体の開発に加え、サービスステーションを起点とした設備点検/農業利用/物流配送/災害対応など各種サービスの検討を行うとともに、ドローンの操縦技術者の育成にも取り組む予定だという。 ドローンの活用は、少子高齢化や人手不足などの社会課題を解決するための手段として、省人化・無人化機器の活用が一層望まれている。 出光興産のサービスステーション・ネットワークおよび整備技術を有する人材と、双葉電子工業の高度な無線通信技術を駆使したドローン開発技術を活用し、機体開発から運用・人材育成まで一気通貫したドローン事業を推進していく。 両社は、1台の機体で複数の用途に対応できるマルチユース・ドローンの開発を、2022年度から進めてきた。機体下部にアタッチメント方式を採用しており、用途に応じて付け替えることで物流や撮影機器としてマルチに使用でき、さらに有線化して長時間飛行にも対応することができる。 上空LTEを使用した無線技術を活用すれば、外部サーバーへの経由なしに複数の拠点にデータを送信したり、オンタイム電送をすることも可能となる。このように、マルチユース・ドローンを実際の用途で検証しながら、サービスの実現につなげていくという。 出光興産は、EV事業にも力を入れているが、今回の発表はドローンを活用するという発表だ。EV事業もそうだが、既存のサービスステーションをいかに活用して生き残るかを模索しているように感じる。 一方、双葉電子工業は、筆者にとってはR/C用の「プロポ」(コントローラー)のイメージがある。子供のころ、エンジンではあったがR/Cヘリのホバリングで苦労したことを思い出した。しかし現在のドローンは電動ではあるが、コントローラーひとつで昔のようにカンを頼らずに飛ばすことができる。 空を飛ばすR/Cといえば、どちらかというと趣味の世界であったが、現在は人が立ち入れない場所での写真撮影や測量、そして先日の「デイリーEVヘッドライン」でも紹介したように[詳細はこちら<click>]、危険な害虫駆除に使用されるなど社会的価値が生まれてきている。時代の変化を強く感じる。 今後EV化が進めば既存の給油所の存在価値は大きく変わる。しかし、新事業の拠点として活用すれば、新たな存在価値が出てこよう。「モビリティのコンビニ」のような楽しい施設に生まれ変わらせることも夢物語ではない。 出光興産と双葉電子工業のマルチユース・ドローンによる事業化検討は、個人的にも親しみのある会社同士のタッグだけに成功を期待する。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★フィアット、新型EV「600e」を発表……BセグメントのコンパクトSUV、400km以上(WLTP複合モード)の航続距離[詳細はこちら<click>] ★★フィアット、2人乗りの超小型EV「トポリーノ」の仕様を公開……クローズドとオープンの2モデルを用意、月額料金制のサブスク方式で販売 ★JAIA、「JAIA輸入電動車普及促進イベント in 神戸」を開催……7月14日(金)・15日(土)に神戸市旧居留地にて[詳細はこちら<click>] ★ストリーモ、公道対応の電動キックボード(特定小型原付)モデル「ストリーモS01JT」の抽選を開始……7月5日〜19日で受付[関連記事はこちら<click>] ★ボグゾール、EVや充電設備の使用方法をアドバイスするエチケットガイドを発行……英国のエチケット大手「DEBRETT’S」と共同で制作、公共でのEV時の混乱などを回避し普及を促す ★ボルボ、2023年6月のEV販売台数は9,535台(世界全体)……前年同月比346%増 ★「ホテル日航アリビラ」<沖縄県読谷村>にて「EVトゥクトゥク」のレンタルサービスを開始……えもびと提携し7月7日(金)よりサービス開始 ★テラモーターズ、「藤三旅館」「藤三旅館・別邸 心の刻 十三月」<岩手県花巻市> にEV用充電器を導入……別邸は全14室の高級旅館 ★テラモーターズ、賃貸物件の「ビレッジハウス」にEV用充電器を導入……東京・神奈川・福岡にある23物件に先行導入 ★米新興のリヴィアン、商用EVバンをドイツに導入……今後数週間で300台以上を投入とTwitterで発表、Amazonの配送用に デイリーEVヘッドライン[2023.07.06]

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ロボットの屋外開発拠点「KOIL MOBILITY FIELD」(photo=三井不動産)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
EVの走行中給電が現実味……三井不動産所有の実験施設に道路埋設型のコイルを設置[2023.07.05]

三井不動産と東京大学の共同研究開発により走行中の無線給電の開発が加速 条件を満たせば他の開発企業・大学にも施設を開放 【THE 視点】三井不動産は7月3日、同社が運営するロボットの屋外開発拠点「KOIL MOBILITY FIELD」にて、EVの走行中給電が可能になる走行レーンを新設したと発表した。 本事業は、東京大学(東京大学大学院新領域創成科学研究科 藤本・清水研究室)と三井不動産の共同研究によるもの。民間として初めて送電コイルを埋設した走行レーンを作成し、フィールド検証実験を開始した。日本初のEVへの走行中ワイヤレス給電の公道での実証実験が一歩近づくこととなる。 また、走行中給電システムを開発研究する企業・大学等は、東京大学と共同研究パートナーとなると同時に、「KOIL MOBILITY FIELD」の会員になることで、本レーンを利用できるようになる。 東京大学と三井不動産は、「KOIL MOBILITY FIELD」を活用して、走行中給電の早期実用化を目指し研究開発を進めてきた。今回の走行レーンには、道路工事や路面温度等の環境条件に対応できるSWCC社製の送電コイルを道路に埋設し、より社会実装に近いものとなっている。 埋設した送電コイルは、60秒間充電すると約6km走行できる試算となっている。送電コイルは、交差点の停止ラインまでの30m付近に埋設することがより効果的だという。 6km走行する間に60秒間の充電が可能なインフラ整備ができれば、断続的に充電しながらバッテリーの正味消費電力をゼロにでき、小型バッテリーだけで連続走行が可能となるという。特定の充電設備を使う必要もなくなるとのこと。 先日の「デイリーEVヘッドライン」[詳細はこちら<click>]でも伝えたが、ここのところワイヤレス給電の話題が増えてきた。特にこの走行中給電は、バッテリーの小型・軽量化による車両価格の低下や電費の改善、充電時間を含めた移動時間の削減、電池容量の低減、すなわちバッテリー作製時に発生するCO2を削減することができる夢のEV充電インフラと言えよう。 東京大学は、EVのワイヤレス給電を早くから開発してきた経緯があり、試作車は筆者も見学したことがある。今回はいよいよ、走行中に給電するフィールドまで用意したということになる。 インフラを用意しなければEV側の開発も進まないわけで、今回は民間である三井不動産が将来を見据えてその場を用意した。この給電技術の開発には、同種の企業や大学がさらに参画して盛り上がってほしい。そのための門戸は開かれている。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ワランティテクノロジー、「EV充電設備保証・メンテナンスサービス」を開始……事業用・家庭用のEV充電設備(普通・急速)とV2H設備を10年保証、メンテナンスサービスも ★★プラゴ、ヤマダデンキと協業、「LABI1 LIFE SELECT なんば」<大阪市浪速区>にてEVの充電サービスを開始、今後全国展開も[詳細はこちら<click>] ★★西尾レントオール、ボルボのEV建設機械を導入……ホイールローダー「L25 エレクトリック」と油圧ショベル「ECR25 エレクトリック」を、7月下旬よりレンタル開始 ★テスラ、7月1日より「モデル3」と「モデルY」を値下げ……2023年第2四半期の生産台数なども好調[詳細はこちら<click>] ★BYD、正規ディーラー「BYD AUTO 前橋」<群馬県前橋市表町>が7月8日(土)にオープン……北関東エリアに初出展、8日・9日にオープニングフェアを開催 ★ユビ電、大型分譲マンションに日本最大規模の充電インフラを導入……「フォレストプレイス香椎照葉ザ・テラス」<福岡市東区>の駐車棟全て(429区画)にEV用充電器を設置、2023年末に完成予定 ★ワランティテクノロジー、長府工産が販売するV2Hシステム(ニチコン製)に保証サービスを適用……最大10年に保証を延長 ★東京都、東京港での「タイヤ式トランスファークレーン」の燃料電池式への換装に補助金を決定……導入費用の1/2(上限1億円)までを補助 ★EVモーターズ・ジャパン、北九州市に小型コミュニティ型のEVバスを納車……市営バスにて「島郷庁舎・戸畑駅・若松渡場・若松病院」ルートなどに導入、6月30日より運行 ★プジョー、新型の電動アシスト自転車を欧州で発表……スマートフォンアプリによるコネクテッド機能を採用 デイリーEVヘッドライン[2023.07.04]  

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事前登録された補助対象者一覧(photo=一般財団法人環境優良車普及機構)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
EVトラック・タクシーの購入を大幅補助……国交省などが「令和5年度商用車の電動化促進事業」を公募[2023.07.04]

「三菱ふそう・eキャンター」の場合で車体価格の1/3以上を支援 集中支援により商用EVの価格競争力を高めることが狙い 【THE 視点】国土交通省・経済産業省・環境省は6月27日、「令和5年度商用車の電動化促進事業」の公募を合同で開始した。2050年のカーボンニュートラルの実現に向け、国内の二酸化炭素排出量の約2割を占める運輸部門の脱炭素化を目的に、「GX経済移行債」を活用した3省による連携事業として公募する。 補助事業の受付期間は、令和5年6月27日~令和6年1月31日となっている。ちなみにトラックの場合の予算額は約126億円。 本事業は、EVのトラックやタクシーの車両購入費を集中的に支援することで、車両価格の低減やイノベーションの加速を図ると同時に、排出削減だけではなく価格競争力も高めることを目的としている。 また、「改正省エネ法」で新たに制度化される「非化石エネルギー転換目標」を踏まえた中長期計画作成の義務化に伴い、野心的な導入目標を作成した事業者や、非化石エネルギー転換に伴う影響を受ける事業者等に対して、EV・FCEV・PHEVの商用トラック・タクシーの導入を支援する。 事前登録された補助対象車両情報では、7メーカー・17車種と、以前に比べ増え選択肢も広がった。 補助される金額は、「三菱ふそう・eキャンター」の場合で、513万1,000円~722万4,000円(営業用)と非常に大きい。車両価格の1/3を超える金額だ。 予算額から計算すると、「eキャンター」の中で最も補助額が多いモデルでも、およそ1,750台分に相当する。予算は十分にあるようだが、最近は納車にも時間が掛かることから、導入希望者は早めの申請をした方がよさそうだ。 なお、タクシーについては、後日実行団体より詳細を公開予定となっている。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★パワーエックス、東京青山に設置した蓄電池型の超急速充電器「ハイパーチャージャー」の一般利用を間もなく開始……シリーズBラウンド前半で19.2億円を新たに調達し、蓄電池の開発を強化 ※シリーズBラウンド……ビジネスが軌道に乗り始めた段階 ★★HWエレクトロ、スマートフォンのアプリにてEVのバッテリー残量や現在地を確認可能に……コネクテッドアプリ「My HWE」を配信 ★★アクサダイレクト、電欠でも頼れる「EV駆けつけ充電サービス」を開始……全国の提携ロードサービスセンターに給電設備を整備、給電機能を備えた車両も導入 ★パワーエックス、東北電力と事業提携……東北電力内の再生可能エネルギーネットワークに、パワーエックスの定置用蓄電池を活用 ★ヤマハ、EVカートを用いて高精度の自動運転に成功……磁気マーカー方式で誤差10cmの精度を確認、愛知製鋼も開発協力 ★テラモーターズ、愛知県新城市と連携協定……市役所はじめ市内の公共施設5ヵ所に計25基のEV用充電器を導入 ★テラモーターズ、大分県杵築市と連携協定……市役所本庁舎はじめ市内の公共施設に計4基のEV用充電器を導入 ★三井不動産など、EVの走行中給電の実現に近づく……「KOIL MOBILITY FIELD」(屋外ロボットの開発拠点/千葉県柏市)の敷地内に給電用コイルを埋設、東京大学と共同研究 ★出光、ドローン事業に進出……R/C用プロポの双葉電子と国産ドローンを共同開発、既存のサービスステーションを起点とした事業を検討 ★アウディ、正規ディーラー「Audi岡山」をリニューアルオープン……岡山県岡山市北区大供3丁目1-20に移転、最高出力150kWの急速充電器を設置 デイリーEVヘッドライン[2023.07.04]  

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出光が用意するEV用オイルのカテゴリ(photo=出光興産)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
EVもオイルで性能アップ…出光がe-Axleと電子部品の潤滑・冷却を同時に担うオイルを開発[2023.07.03]

EV時代でもオイルメーカーは不可欠な存在へ 駆動ユニット・電子部品の安全・高性能化をオイルでサポート 【THE 視点】出光興産は6月29日、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)に搭載されるモーター一体型の駆動ユニット「e-Axle(イー・アクスル)」に加えて、電子機器・バッテリーシステムにも使用可能なオイル「E AXLE and Electric Parts Cooling Oil」を開発したと発表した。 これにより、EV・HEV用が6カテゴリーの商品のラインナップとなり、電動車をオイルから全方位的にサポートする。 EV・HEVに採用が進んでいるイー・アクスルは、モーター・パワーコントロールユニット(PCU)・減速機の構成からなる一体型の重要部品。従来は、モーターの冷却性と減速機の潤滑特性がオイルに求められてきたが、出光興産はさらに、バッテリーやPCUなどの電子機器にも範囲を広げ、オイルで直接冷却する技術を完成させた。 「冷却システムの簡素化」「高次元での省エネ性とギア・ベアリングの潤滑性の両立」「電子部品の冷却性と電気絶縁性の両立」などをオイルにて一手に行うことが可能となり、車両の低コスト化と高性能化にも寄与する。 今後は、国内外自動車メーカーおよびTier 1(メーカーと直接取引する1次サプライヤー)向けの商品として提案・販売を強化していくという。 出光興産は、今年に入り「再生可能エネルギーを活用したEV充電サービスの従量課金の充電器の開発」や「全固体電池電解質の生産を増強」など、EV事業に積極的に取り組んでいる。 今回のオイルの開発は、出光興産の専門分野ゆえに開発できた商品といえよう。冷却用クーラントと潤滑オイルが一本化できたのは驚きである。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ポルシェ、ヒルトン東京お台場<東京都港区>に「ポルシェターボチャージングステーション」をオープン……ポルシェのEVオーナー向け、最高出力150kWの急速充電インフラ ★★ニトリ、各店舗へEV用充電器を設置へ……プラゴと提携、ニトリおよび島忠の300店舗に750基を導入(2024年末までに) ★★ロールス・ロイス、「スペクター」を日本で初公開……世界最高級車がいよいよEV市場に本格参戦[詳細はこちら<cllick>] ★★ボルボ、「Volvo Studio Tokyo」にて90kWの急速充電サービスを開始……コーヒーのサービスも[詳細はこちら<click>] ★ヤマト運輸、群馬県内の集配車両850台を2030年までにEV化……群馬県とカーボンニュートラル実現に向けた連携協定を締結 ★ランチア、コンセプトEV「ピューラHPE」を「ル・マン・クラシック2023」にて展示 ★ヤマハ、「電動PT開発部」を新設……これまでの開発部署「第1PT設計部」の機能を移管 ★ヤマハ、電装系の開発子会社「ヤマハモーターエレクトロニクス」を合併へ……2025年1月に合併完了、電動製品開発のスピードアップを目指す ★二輪AWD式の電動キックボード(特定小型原付)「SO-RIN」が登場……埼玉県狭山市の電装企業ハイカーなどが開発 ★国土交通省、「水素保安ポータルサイト」を開設……用途ごとに適用される法令とその法令担当窓口の紹介など ★ステランティス、オランダの建設企業Jos ScholmanにFCEVを納入へ……商用FCEV「オペル・ヴィヴァーロe・ハイドロジェン」16台を購入契約 ★ポールスター、テスラの急速充電インフラ「スーパーチャージャー」の利用が可能に……北米の充電規格「NACS」を採用 ★GM、イスラエルのバッテリー向けソフトウエア企業「ALGOLiON」を買収……EVのバッテリー管理および異常を検知し熱暴走を防止 ★ステランティス、レアメタル開発のクニコに500万ユーロ(約7億9,000万円)を投資……低炭素の硫酸ニッケル・硫酸コバルトの今後9年間の生産量のうち35%を取得 ★日産、鹿児島県伊佐市とEVの活用などで連携……公用車に日産のEVを導入、災害時にEVを電源車として避難所などに提供 ★アウディ、新CEOにゲルノート・デルナー氏が就任……ポルシェAGにて「パナメーラ」の統括責任者を経験、アウディの電動化戦略を引き続き推進 ★★BMW、直営のショールーム「BMW青山スクエア」を改装オープン デイリーEVヘッドライン[2023.07.03]

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連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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