EVヘッドライン
share:

ハイドロニューマチック・サスをソーラーカーが搭載、工学院大学が世界大会に挑むマシンを発表[2023.07.11]


TEXT:福田 雅敏、ABT werke
TAG:
「コーガ」のプロジェクトに関わる企業(photo=工学院大学)

数々の新技術を大学生が開発し新型ソーラーカーを製作
非電動のハイドロニューマチック・サスペンションはドライバーの負担も軽減するか

【THE 視点】工学院大学および工学院大学ソーラーチームは7月5日、「2023ブリヂストンワールドソーラーチャレンジ(BWSC)」<オーストラリア/10月開催>に出場するニューマシン「Koga(コーガ)」を初公開した。レースにおける空力性能の向上が図られ、搭乗者空間の拡充と低重心化を実現する新技術を搭載しているという。

工学院大学ソーラーチームは、30社を超える企業との産学連携プロジェクトとして、研究開発からレースへの参戦までを一貫して行うことで、クリーンエネルギー分野の技術革新・社会実装に取り組んでいる。

「BWSC」への参戦は今回で5度目。レースは、オーストラリア大陸を北から南へ約3,000kmの道のりを約5日間で縦断する過酷な内容。チームは、2019年の大会にて技術賞「テクニカルイノベーションアワード」(1チームのみに与えられる)を受賞しているが、前回大会を超える技術力で世界の頂点を目指すという。

「コーガ」には以下の新技術が搭載されている。

・グランド・フレーム・サスペンション(GSF)……前輪に採用、内部フレームを必要とせずシャシー側からの支えでも操舵可能

・リバース・タイヤ・ウォール(RTW)……後輪に採用、ボディ側面にタイヤを直接組み付けボディを支える

・ボディ直付けのホイール……「GSF」と「RTW」により実現、タイヤを支えるフレームが不要となり、狭いボディにサスペンションを格納可能。空力性能の向上と搭乗者空間の拡充・低重心化による操安性能向上の効果

・改良型ハイドロニューマチック・サスペンション+非線形ばね……電気エネルギーを使用せずに車体のピッチ方向の姿勢を自動調整し空力が最も高い状態を維持(※テクニカルイノベーションアワード受賞の技術)

油圧と空気圧を組み合わせた「ハイドロニューマチック・サスペンション」というとシトロエンを思い浮かべるが、大学生制作のソーラーカーに採用されているのには驚いた。今回は改良型ということで、乗り心地も改善したのではないだろうか。5日間で3,000kmを走る長丁場のレースでは、ドライバーの身体への負担は相当なはずだ。疲労の軽減効果があればと願う。

また、この「BWSC」には筆者の知人がいる東海大学も参戦すると聞いている。日本の大学同士の争いも見ものだが、ブリヂストンがスポンサーの大会だけに、日本勢は是非とも上位入賞を獲得してほしい。
(福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー)

★★メルセデス・ベンツ、ヨーロッパにて「自動車線変更機能」を導入……EVの「EQ」シリーズにも搭載、遅い車を自動で追い越し

★★ダイムラーバス、オランダ・ハーグの交通企業HTMとEVバス「メルセデス・ベンツ eシターロ」の導入を契約……2024年までに95台を納入、電動化のためのインフラの構築も

★ユビ電、EV用充電器向けのスマート分電盤「ウィーチャージ・ハブ」をアップデート……最高出力6kW〜10kWまで対応、集合住宅への導入コストも低減

★テラモーターズ、コインパーキングへのEV用充電器の導入をサポート……補助金なしでもハードとランニングコストが無料のプランを開始

★テラモーターズ、千葉県酒々井町にEV用充電器を設置……町役場など計4ヵ所の公共施設に

★横浜市・みなとみらい21地区での自動運転バスに関連する公募が開始……マクニカと連携し地区の価値を向上させる移動ソリューションの開発が目標、7月10日(月)〜8月09日(水)まで募集

★東ソーと日本カーリット、グリーン水素製造用の新規触媒の研究開発がNEDOの委託事業に採択……触媒に用いる希少金属「イリジウム」に代わる「イリジウム含有マンガン酸化物」の製造方法や運転方法などを探る

デイリーEVヘッドライン[2023.07.11]

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
中国から地球上最強コスパの新星EV現る! IMモーターL6の驚くべきスペックとは
BYDの売り上げ鈍化に注目しても意味なし! むしろ心配すべきはテスラか? BYDは利益率も投資額も驚くべき水準だった
いすゞがピックアップトラック「D-MAX」にBEVを用意! バンコク国際モーターショーでワールドプレミア予定
more
ニュース
ケータハムの次期スポーツカー「プロジェクトV」にヤマハが参画! パワートレインの主役となるeアクスルを独自開発
日本のEV普及に大貢献! 軽EVの「三菱ekクロスEV」と「日産サクラ」が約2年5か月で生産累計10万台を販売
BYD全国33番目のディーラーが輸入車激戦区に誕生! 「BYD AUTO港北ニュータウン」10月11日オープン
more
コラム
神奈川県の海老名SAスタートでどっちが先に加古川まで行って帰ってこられる? BYDシールとテスラ・モデル3で1000km対決!
販売台数と収益性でテスラを凌駕! 決算に見るBYDの強さとこれから先の戦略
日本のEV販売は全体に減速気味! 日産&三菱とテスラが売れるなかBYDも存在感を増す販売動向
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】二度見必至の存在感は普通のコナとはまるで別モノ! イメージを大きく変えたヒョンデ・コナ「N Line」に乗って感じたマルとバツ
ボルボEX30で11時間超えの1000km走行チャレンジ! 課題は90kWまでしか受け入れない充電性能
EV専業の「テスラ」とEVに力を入れる従来の自動車メーカー「ヒョンデ」! モデルYとコナを乗り比べるとまったく違う「乗りもの」だった
more
イベント
「ルパン一味がフィアットと手を組んだだと? ルパ〜ン逮捕だ」 フィアット600e発売を記念した「ルパン三世」とのコラボキャンペーン実施
目のつけどころが「シャープ」なEVコンセプト発表! 「LDK+」を「SHARP Tech-Day’24 “Innovation Showcase”」で公開
1万km走行相当の利用券が10名に当たる! テスラがスーパーチャージャー10周年を記念したキャンペーンを実施
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択