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TEXT:高橋 優
ドイツ御三家もポルシェも中国では厳しい戦い! もはやプレミアムセグメントでさえ中国のEVメーカーが席巻

ドイツ御三家にプレッシャーをかけるファーウェイ 中国市場におけるEVシフトの急加速によって、じつは日本メーカー以上に打撃を被ってしまっているドイツ御三家について、その苦しい販売動向を詳細に分析します。 今回注目するのが高級車セグメントです。とくに、その高級車セグメントでこれまで圧倒的なシェアを築いていたのが、アウディ、BMW、そしてメルセデス・ベンツというドイツ御三家です。中国人の間では、このドイツブランドという価値は絶対的であり、よってこれまで中国メーカーは、安いガソリン車を作り続けることで販売シェアを伸ばそうとしていたわけです。 ところが、ドイツ御三家が支配していたプレミアムセグメントに地殻変動が起こっています。まず、中国EVメーカーとしてNIOとLi Autoが2014年に設立。NIOは、バッテリー交換というコンセプトを打ち上げて、2024年5月から9月まで、5カ月間連続で月間2万台超を発売することに成功。 Li Autoは、当初はレンジエクステンダーEVのパイオニア的な存在として、とくにプレミアムセグメントを購入検討する富裕層の場合、EVが欲しいが急速充電に対する不安を抱える層が多かったこともあって需要とマッチ。 さらに、富裕層のファミリー層に特化した、高性能シートやエンタメ機能という快適性を追求することによって、これまで中国車が立ち入ることができなかったプレミアムセグメントで急速にシェアを拡大中です。直近の9月は5万台超という史上最高の販売台数を更新しました。 さらにその上、中国の既存メーカーも独自のプレミアムEV専門ブランドを次々と立ち上げています。BYDはDenza。GeelyはZeekr。SAICはIMモーター。BAICはArcfox。ChanganはAvatr。DongfengもVoyahなどを立ち上げています。 さらに、第三勢力として注目を集めているのが、シャオミとファーウェイというテック企業の存在です。 まずシャオミは2024年4月からSU7の納車をスタート。このSU7はプレミアムEVセダンの王者「テスラ・モデル3」を凌ぐEV性能を実現することによって、現在急速に販売シェアを拡大中です。 その上、現在ドイツ御三家に対してもっともプレッシャーをかけてきているのがファーウェイです。ファーウェイはマーケティング戦略をはじめ、ファーウェイストアで車両を販売するまでを包括的に担当するHarmony Intelligent Mobility Alliance、通称HIMAを設立。すでにSeresと立ち上げたAITO、Cheryと立ち上げたLuxeed、BAICと立ち上げたStelato、そしてJACと立ち上げるMaextroという独自ブランドをそれぞれ設立し、販売規模を拡大中です。 現在、月間4万台級の販売規模を実現しており、Li Autoとともに、中国のプレミアムEVセグメントで2強体制を構築しています。 そして、これらの存在によって、ドイツ御三家の販売台数に大きな影響が出始めています。とくに直近の2024年Q3でトップの販売台数を達成したのがテスラの存在であり、前年同期比で30.3%ものプラス成長を実現しています。また、NIOも前年同期比で10.1%ものプラス成長を実現。さらにファーウェイも11.3万台以上を売り上げて、前年同期比で8倍もの急成長を実現しています。そして、Li Autoも前年同期比で45.4%もの急成長を達成し、ドイツ御三家を上まわる販売規模すら実現しています。 その一方で、Li Autoに販売台数で抜かれたドイツ御三家の販売台数は減少傾向です。アウディは前年同期比で18.1%ものマイナス成長。メルセデス・ベンツも前年同期比で12.2%ものマイナス成長。そしてBMWはQ3単体で12.7万台と、ドイツ御三家としてはもっとも販売台数が少なく、ファーウェイの販売台数とも接近。しかも前年同期比30%ものマイナス成長です。

TAG: #ドイツ #中国 #販売
TEXT:高橋 優
BEV大国の中国はもはや「中国メーカー」だらけに! テスラ以外の輸入メーカーは惨敗という現実

BYDが圧倒的な存在感を放つ 中国市場における9月のEV販売動向の詳細が判明し、新車販売の2台に1台以上がすでにBEVかPHEVに置き換わり、BYDをはじめとする中国勢がさらに爆発的に販売台数を増加。そのBYDなどのプレッシャーにさらされている日本メーカーの危機的な状況について考察します。 まず、中国市場におけるBEVとPHEVを合わせた新エネルギー車の販売台数は112.3万台と、前年同月の74.4万台という販売台数と比較しても50.9%もの販売台数の増加を記録。そして、新車販売全体に占める新エネルギー車の販売比率は53.2%と、史上最高水準の電動化率を達成しています。 四半期別の動向も、Q3の新エネルギー車比率は52.74%と、史上初めて四半期でも50%の大台を突破。2023年Q3の電動化率が36.84%だったことからも、ここにきて電動化のスピードが加速していることがわかります。 また、バッテリーEVに絞った販売シェア率は、9月単体で30.54%と、こちらも史上最高水準の販売シェア率を達成。2023年Q3が24.73%だったことからも、バッテリーEVシフトが加速している状況です。 このグラフは、世界の主要マーケットにおけるバッテリーEVの販売シェア率の変遷を比較したものです。水色で示されている中国市場が欧米などを大きくリードしている状況であり、9月に1.75%だった日本と比較しても、その差は歴然です。 次に、9月に中国国内でどのようなEVが人気であったのか、そして2024年末にかけて、どのEVに注目するべきなのかを詳細に確認しましょう。 このグラフは、内燃機関車も含めたすべての販売ランキングトップ30を示したものです。ピンクが新エネルギー車、緑が内燃機関車を示します。トップはテスラ・モデルYで、BYDシーガル、BYD Song Plus、BYD Qin L、そしてBYD Qin Plusと続いていますが、ポイントは、トップ10のうち、なんと内燃機関車は日産シルフィとフォルクスワーゲン・ラヴィダしかランクインできず、トップ20に広げてみても、たったの6車種しかランクインすることができていないという点です。 つまり、すでに人気車種のマジョリティが、バッテリーEVかPHEVという新エネルギー車で占められているということを意味します。また、そのなかでも、トップ20のうちBYDが9車種もランクインしているという驚異的な支配構造も見て取れるでしょう。 次にこのグラフは、新エネルギー車に絞った販売ランキングトップ30を示したものです。黄色がバッテリーEV、水色がPHEVを示します。この通りBYDが13車種を席巻しながら、トップ20に限ると12車種、トップ10に限ると7車種、トップ5に限ると4車種を席巻。 同じくBYDの驚異的な支配構造が見て取れるでしょう。また、日本勢やドイツ勢などの海外メーカー勢はトップ30ではテスラ2車種のみであり、残りはすべて中国勢と、まるで販売規模では勝負になっていない様子も見て取れます。 また、このグラフはバッテリーEVに絞った販売ランキングトップ30を示したものです。この通り、黄色で示されたBYDがトップ20のうち8車種を席巻、トップ10に絞ると5車種を独占。2024年中旬から投入されている新型BEVが、さっそく上位にランクインしてきているという点も重要です。 具体的には、9月から納車がスタートしたばかりのXpengのMONA M03が第18位。4月に納車がスタートしたシャオミSU7も第14位。さらに、8月から発売がスタートしているGeely GalaxyのコンパクトSUV、E5も第13位にランクイン。 いずれにしても、新型EVの存在によって、ランキングトップ層の新陳代謝が行われている点も、この中国市場の競争の激しさが見て取れるわけです。

TAG: #中国 #新車 #販売
TEXT:高橋 優
テスラが安くて長く走れるモデル3を投入! 日本導入の可能性もあるのでモデル3購入希望車は様子見が吉か

航続距離は最大702km! テスラが欧米でモデル3ロングレンジ後輪駆動グレードを追加設定して、史上もっとも航続距離の長い、コスパ最強のモデル3が誕生しました。日本市場にも導入される可能性について、その予想される値段設定などを解説します。 まず、日本でも人気の高いEVであるテスラ・モデル3とモデルYは、現在日本国内で、RWDグレード、ロングレンジAWDグレード、そしてパフォーマンスという3つのグレードを設定しています。他方で海外では、AWDに対する需要が大きくなく、とくにモデル3は、パフォーマンスグレードに対して専用の内外装デザインをはじめとして、電子制御サスペンションを採用するなど、ロングレンジAWDとの差別化によって、ロングレンジAWDの需要があまり大きくないといわれています。 ところが78.4kWhバッテリーを搭載するロングレンジグレードであれば、エントリーグレードの60kWhバッテリーと比較しても、さらに大容量バッテリーを搭載しているぶんだけ絶対的な航続距離が延長されます。よって、AWDは必要ではないが、絶対的な航続距離はほしいと考えるユーザーから、ロングレンジRWDグレードをラインアップに追加してほしいという声が高まっていたわけです。 そして今回、追加設定されたのが、モデル3ハイランドのロングレンジRWDグレードです。なんといっても注目するべきは航続距離の長さでしょう。WLTPサイクルベースにおけるWLTCモードクラス3において、最大702kmという航続距離を実現しています。 これまで最長航続距離を実現していたロングレンジAWDと比較しても、24km分の航続距離延長です。また、実用性においてもっとも信用に値するEPA基準でも、最長で584kmを実現。ロングレンジAWDグレードと比較すると36kmぶんの航続距離延長を実現しています。 他方で、搭載バッテリーやモーターの種類はまったく変更されておらず、搭載モーターがひとつ減ったことによる車両重量の軽量化によって、そのぶんだけ航続距離と電費が増した格好です。車両重量はLFPバッテリー搭載のRWDグレードと比較しても15kgほどの軽量化を実現しています。ちなみにバッテリー容量が増えたぶんだけ最高出力が増加しており、0-100km/h加速も5.2秒と俊敏な動力性能です。 そして、もっとも気になる値段設定について、ロングレンジRWDは4万4990ユーロと、ロングレンジAWDと比較しても5000ユーロも安価な値段設定を実現。LFPバッテリー搭載のRWDグレードは3万9990ユーロであることから、ちょうどLFPのRWDとロングレンジAWDの中間の値段に設定してきた格好です。 よって、もし仮に日本市場にロングレンジRWDが導入されることになった場合、おそらく値段設定としては575万円程度からのスタートになると推測可能でしょう。ロングレンジAWDと同等の85万円の補助金を適用できる場合、ロングレンジRWDは実質490万円程度から購入することが可能になるとも推測できます。 また、すでにラインアップされているモデルYもロングレンジRWDグレードを発売中です。航続距離はWLTCモードクラス3で600kmを実現。EPA基準でも525kmを実現しており、これはロングレンジAWDと比較しても30kmもの航続距離延長となります。 また、ロングレンジRWDでは搭載モーターが変更されており、0-100km/h加速も5.9秒と俊敏になっています。

TAG: #TESLA #グレード #ロングレンジRWD
TEXT:高橋 優
じわじわ日本でのシェアを伸ばすBYDはシトロエンやルノーと同等規模に! 一方で日本のEV販売台数は前年同月比10カ月連続でマイナスだった

普通車セグメントの需要が低下している 日本国内の2024年9月のEV販売動向が速報され、EVシェア率が前年比マイナス成長という、日本国内のEVシフト停滞模様を解説します。 まずこのグラフは、2018年以降のバッテリーEVとプラグインハイブリッド車の合計販売台数を月間ベースで示したものです。2024年9月の販売台数は9587台と、前月である8月よりもプラス成長だった一方、前年同月は1.3万台強という販売台数であり、前年同月比でマイナス29.8%と、大幅なEV減速の兆候が見てとれます。2023年12月以降、10カ月連続、前年同月比でマイナス成長です。 そして、そのEVシフトの変遷をさらにわかりやすくするために、新車販売全体に占めるバッテリーEVとPHEVの販売台数の合計の比率を示したグラフを見てみると、9月は2.62%と、前年同月に記録した3.76%と比較してもシェア率が低下している状況です。 次に、バッテリーEVの販売動向として、このグラフは普通車セグメントと軽自動車セグメントそれぞれのバッテリーEVの販売台数の変遷を示したものです。9月はバッテリーEV全体で6421台と、前年同月と比較して19.7%ものマイナス成長です。 さらにこのグラフは、その普通車セグメントを、日本メーカーと輸入車メーカーそれぞれにわけて示したものです。白で示されている輸入EVは、前年同月比で13.4%のマイナス成長に留まったものの、ピンクで示されている日本メーカーの普通車セグメントのバッテリーEV販売台数は972台と、前年同月比でマイナス41.3%という落ち込み具合です。このことからも、現在の日本国内のEVシフト後退のもっとも大きな要因というのは、とくにリーフやアリア、bZ4Xのような日本メーカーの普通車セグメントの需要が大きく低下しているからであるといえます。 また、バッテリーEVの累計販売台数を年別に比較すると、2024年9カ月間において4.5万台ものバッテリーEVを発売したものの、2023年は9カ月間で7万台近くを発売しています。年末までにどれほど販売台数で巻き返しを図れるのかに期待です。 また、現在の日本のバッテリーEVの販売シェア率が世界の主要国と比較して、どれほどの立ち位置であるのかを確認してみると、9月は1.75%というBEV販売シェア率でした。まだ9月の各国の最新販売データが更新されていないものの、7月の世界全体のシェア率は12%に到達。さらに、8月の自動車大国中国市場は30.6%を達成しています。 それでは、この日本国内においてどのような電気自動車が人気であるのか、とくに懸念視されている、日本メーカーのEVがどのような販売動向であるのかを確認しましょう。

TAG: #日本 #普及 #販売
TEXT:高橋 優
中国でテスラ・モデルY包囲網が形成! この先日本上陸予定のZeekrの新型モデル7Xもまた脅威の中身だった

ZeekrからミッドサイズSUVがデビュー 日本参入が判明した中国Zeekrが、新型電動SUVであるZeekr 7Xの正式発売をスタート。テスラ・モデルYよりも40万円も安価な値段設定を実現しました。日本導入の可能性についても解説します。 まず、中国のプレミアムEV専門ブランドZeekrは、すでにZeekr 001、Zeekr 009、Zeekr X、001のハイパフォーマンスグレードであるZeekr 001 FR、Zeekr 007を矢継ぎ早に投入しながら、001と009のモデルチェンジも実施するなど、とにかく尋常ではないスピード感で規模を拡大中です。実際に販売台数という点でも、月間で2万台以上の販売規模を実現しており、これは中国国内のレクサスの販売規模を上まわっているレベルです。 そして、Zeekrは欧州や東南アジア、オセアニア、南米にも進出しています。さらに、Zeekrの副総裁が日本経済新聞に対するインタビュー内で、2025年中に日本市場に進出する方針を表明しています。 中国のプレミアムEVブランドが満を持して日本進出を表明! 「Zeekr」とはいかなるブランドでどんな車種をもつのか? そして、そのような背景において、Zeekrが新たに発表してきたのが、最新EVであるZeekr 7Xの存在です。Zeekr 7XはZeekr 007のSUVバージョンとして、全長4825mm、全幅1930mm、ホイールベースが2925mmというミッドサイズSUVセグメントに該当します。このサイズ感はテスラ・モデルYやポルシェ・マカンなどのサイズ感と同様であり、日本市場においても非常に扱いやすいサイズ感です。 まず初めにEV性能について、全部で3種類のグレードを展開しながら、Zeekr独自内製のGoldenバッテリーの第二世代、およびCATL製のQilinバッテリーを採用し、最長航続距離は780kmを実現。さらにQilinバッテリーの場合、15分間の充電時間で航続距離546km分を回復可能という充電性能を実現しています。 そのうえ、第二世代のGoldenバッテリーの場合、SOC80%までの充電時間は10.5分と世界最速を実現し、5分間の充電で241km分の航続距離を回復可能です。Zeekrはこの充電スピードを「充電5分で高速道路を2時間走行できる」というキャッチフレーズでアピールしています。 さらに、収納スペースもトランク部分だけで616リットルを確保しながら、7Xはリヤシートを前後に電動調整することが可能であり、前側にずらせば765リットルにまで拡大。ボンネット下のトランクも最大62リットルを確保しています。

TAG: #SUV #Zeekr #中国
TEXT:高橋 優
注目を集めるソニーホンダのEV! まもなく登場「アフィーラ」の「懸念点」と「期待できる点」

市販車にかなり近い状態だと推測できる ソニーホンダモビリティが、2026年に納車をスタートさせるアフィーラに、テスラのNACS規格を採用することを決定。さらに、判明した最新モデルのアフィーラのプロトタイプのEV性能、および懸念点などを含めて解説します。 まず、ソニーホンダモビリティは、ソニーとホンダが合弁して立ち上げた自動車ブランドです。初のEVであるアフィーラのプロトタイプを発表し、実際の市販バージョンにおいてどのようなスペックとなるのかに大きな注目が集まっている状況です。 そしてソニーホンダは、直近においてアフィーラの新たなプロトタイプを発表しました。この「アフィーラプロトタイプ2024」で重要な観点は、その発売時期が刻一刻と近づいてきているという点です。具体的には2025年の春、つまりあと半年ほどで北米市場においては先行受注がスタート。そして、2026年の春にも、北米市場におけるアフィーラの納車がスタート。そして日本市場は2026年の後半の納車スタートとなります。 いずれにしても、2025年の春までには、先行受注する際に主要なスペックを公表する必要があります。よって、今回発表された2024年モデルのプロトタイプは、じつは市販車バージョンにかなり近しいのではないかと推測することができるわけです。 まず、車両サイズが全長が4915mm、全幅が1900mm、全高が1460mm、そしてホイールベースが3000mmという中大型セダンセグメントに該当します。たとえばメルセデス・ベンツEQEが、全長4955mm、全幅1905mm、全高1495mm、そしてホイールベースが3120mmと、EQEに非常に近しいサイズ感というイメージです。 そして、今回のアフィーラにおいて注目するべきは充電性能でしょう。まず期待できる点として特筆するべきは、その充電規格です。すでにホンダと高級ブランドのアキュラは揃って、北米市場でテスラのNACS規格への移行を表明済みです。2025年以降のモデルから、順次CCS規格からNACS規格を搭載する方針を示しています。 ところが今回、北米とともに発売される日本でも、NACS規格を採用する方針を表明してきた格好です。 じつは私自身、繰り返しアフィーラに対してNACS規格を実装するべきであると主張してきたという背景が存在します。 NACS規格を採用するテスラスーパーチャージャーの利便性の高さというのは、 ・充電プラグと充電ケーブルが非常に軽量であることによって片手で充電プラグを車両と接続することが可能 ・250kW級という日本国内では最速級の超急速充電性能を発揮可能 ・1カ所に複数基設置されているために、充電渋滞であったり充電器の故障に遭遇するリスクが極めて少ない ・あらかじめ紐づけてあるクレジットカード経由で充電料金が自動的に決済されることで、別途充電カードを作成したりスマホアプリを追加でインストールする必要がない ・車両側のディスプレイ上から、リアルタイムの充電器の利用状況を把握可能であったり、目的地に充電器をセットすると、自動的にバッテリーの昇温を行って最短の充電時間を実現 ・新東名や東北、関越自動車など、主要高速道路上のインター近隣に設置していることで、経路充電としての利便性が極めて高い これらの観点を総合すると、現状、日本国内で最高の充電体験を提供できており、そのテスラスーパーチャージャーを使用するためには、NACS規格の採用が不可欠です。よって、NACS規格の採用を正式表明しながらテスラとも提携することによって、2026年末に発売されるアフィーラは、日本でもテスラスーパーチャージャーを利用することが可能となったわけです。 その一方で、懸念するべき点は、その最大充電出力という点でしょう。アフィーラプロトタイプでは最大150kWという急速充電出力に対応すると発表しています。じつはこの充電出力から、800Vシステムの採用を断念したという可能性が浮上しています。じつはホンダは現在発売中のプロローグとZDXでは400Vシステムを採用。中国市場のeNシリーズ、イエシリーズ、Lingxiシリーズも揃って400Vシステムを採用しています。 他方で、このアフィーラに求められるのは、フラグシップとしてのEV性能を含めた車両性能、およびソニーのもつエンタメ性能の融合です。つまり、現在フラッグシップの主流となっている800Vシステムの採用を見送るということは、EV性能である種の妥協を行ってきたという見方が出てくるわけです。

TAG: #アフィーラ #ソニーホンダモビリティ #プロトタイプ
TEXT:高橋 優
ホンダが中国で厳しい販売台数の落ち込み! 新EVの「Lingxi L」で巻き返しなるか?

ホンダ「Lingxi L」の使命とは? ホンダが新型EVシリーズとしてLingxiシリーズを中国で立ち上げ、EVセダンのLingxi Lの正式発売をスタートしました。現在、中国市場におけるホンダの厳しい販売動向とともに、そのLingxi LのEV性能から見えるホンダのEVシフトの現状を考察します。 まず初めに、現時点におけるホンダの中国市場における販売動向を改めて確認しましょう。 このグラフは、中国市場における大衆ブランドの月間販売台数を示したものです。現在、大衆ブランドで大きなシェアを有しているのがトヨタ・ホンダ・日産という日本メーカー勢、およびフォルクスワーゲン、そして中国BYDです。黄色で示されているBYDが、この数年間で急速に販売台数を拡大しており、直近の8月単体の販売台数は36.4万台を実現し、前年同月比較で58.3%もの急成長を実現しています。 その一方で、販売台数を大きく落としているのが、残りの大衆ブランドです。とくに日本勢として、トヨタは13.5万台と前年同月比で13.2%ものマイナス成長。日産も4.2万台と前年同月比で24.7%ものマイナス成長。そして今回のホンダは、8月に5.7万台の販売台数を実現したものの、前年同月比で44.2%ものマイナス成長を記録しています。ほんの1年前と比較して半分近い販売台数の落ち込みを記録していると考えると、現在ホンダは危機的な状況にあるといえます。 そして、このホンダはすでにEV専用シリーズであるeNシリーズを立ち上げており、2022年にe:NS1とe:NP1というコンパクトSUVの発売をスタート。さらに2024年4月からは、eNシリーズ第二弾であるミッドサイズSUVの、e:NS2、およびe:NP2の発売もスタートさせました。 その上、eNシリーズとは別に、「Ye(イエ)」シリーズというEV専用シリーズも立ち上げて、2024年度中にも、S7というミッドサイズSUVの発売をスタートする予定です。しかもS7の兄弟車であるP7、さらにはGTと名付けられた、クーペタイプのEVを2025年中に投入する計画です。 したがって、2027年までに10車種ものEVを投入する方針を発表しており、2035年までの完全バッテリーEV100%に向けて、ラインアップを急ピッチで拡充しようとしています。 そのホンダの新型EVの販売動向を見てみましょう。日本メーカーで唯一販売台数を稼ぐことができているのは、トヨタの大衆セダンのbZ3のみであり、ホンダのeNシリーズは、第一弾も第二弾も現状、まったく販売台数を伸ばすことができていない状況です。 そして、そのような背景においてホンダが中国市場に追加で投入してきた新型EVというのが、Lingxi Lというミッドサイズセダンです。じつはホンダは、eNシリーズとイエシリーズと並行して、さらに追加のEV専門シリーズとしてLingxiシリーズを立ち上げていたという背景が存在します。そしてようやく第一弾であるLingxi Lの正式発売をスタートさせてきた格好です。 このLingxiシリーズは、とくに若者世代をターゲットに据えて、最新テクノロジーを盛り込むことを意識したシリーズという立ち位置です。まず、エクステリアデザインが極めて斬新です。一部では過剰であると指摘されているデザイン言語が、中国の若者にどれほど受け入れられるのかが気になるところでしょう。 さらに、インテリアデザインは、インストルメントクラスターとともに、12.3インチのセンターディスプレイと、助手席用のディスプレイ。さらに7インチのデジタルサイドミラーのディスプレイという配置は、日本国内で発売されていたHonda eのデザインと酷似しています。 確かに現在、中国市場における主流のデザイン言語というのは、大型のタッチスクリーンを複数搭載するような場合が多いものの、やはりそれ以上に重要なのは、そのディスプレイがどれほどレスポンシブに動作するのか、そしてディスプレイを通じて何ができるのかという点です。したがって、中国の若者がこのインテリアデザインに対してどれだけ受け入れられ、その操作性の高さをアピールすることができるのかが問われることになるでしょう。 他方で、個人的に注目しているのがEV性能です。とくに直近において、この大衆EVセダンで爆発的人気を獲得しているのが、XpengのMONA M03です。すでに発売開始48時間の段階で3万台以上の確定注文を獲得しており、いまだにその勢いは止まらない状況です。よって現在、中国市場における大衆セダンEVの新たなベンチマークとなっているXpeng MONA M03と比較して、今回のLingxi Lがどれほどの競争力を有しているのかを比較していきましょう。

TAG: #Lingxi L #Lingxiシリーズ #中国
TEXT:高橋 優
無人運転可能な「ロボタクシー」をたった「450万円」で2026年に一般販売するってマジ!? いまテスラから目が離せない!

完全自動運転が前提のロボタクシー テスラが最新プロダクトの発表会「WE, ROBOT」を開催し、ハンドルやブレーキペダルがないロボタクシーとともに、20人が同時に乗車できるロボバン、そしてテスラボットの最新プロトタイプを発表しました。驚きの発表内容を解説します。 今回取り上げたいのが、テスラが2024年10月10日に開催した、「WE, ROBOT」と名付けられた最新テクノロジーの発表会です。過去にはAutonomy DayであったりBattery Day、AI Dayなどが開催されており、今回のWE, ROBOTも、おそらく何かの最新テクノロジーの発表が行われるとして注目が集まっていたわけです。 そして、このWE, ROBOT内で正式発表されたのがロボタクシーです。このロボタクシーは、これまで何年もの間、イーロンマスクがことあるごとに口にしていたものの、実車が公開されたのは今回が初めてです。 まず、目を見張るのが流線型のエクステリアデザインでしょう。モデルYよりもさらにショートオーバーハングであり、フードも低く設定されており、とにかく空力性能の最適化に振ったデザインであると感じます。 このデザインは、メルセデス・ベンツが数年前に発表していたVision EQXXと似ていると感じます。非常にフードが低いという点、リヤ側のデザインも似ており、EQXXのCd値は0.17と、後席が設けられた4人乗りの車両としては最高水準の空力性能を実現。よって、今回のロボタクシーのプロトタイプが、どれほどのCd値を実現することができているのか、とくにロボタクシーはふたり乗りであり、さらに空力に振ることができるため、その空力性能には期待できるポイントでしょう。 次に注目したいのはインテリアデザインです。まず、車両に乗り込む際は、シザードアによって乗員の乗り込む空間の最大化がなされます。さらに、ふたり乗りであることから、トランク部分の収納スペースを広く確保できています。 また、巨大なディスプレイをセンターに配置しながら、ウォークスルー方式を採用。そして、なんといっても、運転に必要となるステアリングやアクセル・ブレーキペダルが完全に撤廃されており、あくまでも完全自動運転を前提としたロボタクシーに特化したデザインとなっています。ちなみにコストカットの一環なのか、ガラスルーフは搭載されていません。 ロボタクシーは3万ドル以内で発売される方針であり、現在のテスラ車のなかでもっとも安価な値段設定を実現。しかも、一般消費者も購入することが可能です。一般的な車両の運用実態は、1週間168時間のうち、実際の車両が稼働しているのは10時間程度。よって、残りの150時間以上をロボタクシーとして稼働させることによって、ロボタクシーオーナーにも収益が入ってくるわけです。もちろん自分が使用したい場合は、いつでもタクシー代わりに使用することも可能です。 そして、ロボタクシーは2026年末までに生産がスタートすると発表されました。このロボタクシーにはUnboxed Processと名付けられた、新たな車両製造方法の採用をはじめとして、2万ドル台で発売するために生産コストを劇的に低減させる、さまざまな最新テクノロジーを導入する必要があります。 ロボタクシーを大量に生産するためには、新規生産ラインを構築する必要があり、当初、この役割を現在建設作業が休止しているギガメキシコが担う予定であったことから、そもそもギガメキシコが稼働しないと、このロボタクシーが大規模に生産されることはありません。 生産技術を完成させながら、その上でギガメキシコを稼働することまでを含めて、本当に2026年末までに達成することができるのか。いわゆるイーロン・マスクの超楽観的なタイムラインを揶揄する「イーロンタイム」であることは間違いないでしょう。 そもそも、ロボタクシーとして発表された車両は、確かにハリウッドスタジオ内を実際に走行していたものの、よくいえばプロトタイプ、悪くいえばハリボテです。実際のコンセプトモデルを市販車として発売するには、公道における膨大な走行テスト、衝突安全性能などを徹底的に検証した上で、さらに大量生産体制を確立しなければなりません。もちろんその間にレベル4自動運転の認可を当局に掛け合って取得する必要もあります。いずれにしても2026年末に量産がスタートする可能性は限りなくゼロといえます。 さらに、ロボタクシーにはNACS規格の充電ポートが搭載されていません。よって充電方法は非接触充電一択となります。すると、ロボタクシーを運用する際は、テスラのスーパーチャージャーネットワークを活用することができないため、テスラとしては、新たに非接触充電専用の充電設備を、アメリカだけでなくグローバル全体で設置していかなければなりません。 じつは当初、私自身が想定していたロボタクシーの運用方法は、既存のスーパーチャージャーネットワークも活用するのではないかと推測していました。確かにロボタクシーは無人のために、そもそも充電プラグを差し込むことができないものの、その役割を担うのがテスラボットの存在です。それこそスーパーチャージャーに1体のテスラボットを配置しておけば、車両が無人でスーパーチャージャーに到着したあとでも、問題なく充電プラグを車両に差し込んで充電することが可能です。 その上、充電の間にテスラボットが車内の清掃作業を行えば、お掃除専用ロボットのようなものを新たに設ける必要がなく効率的だとイメージしていました。ところが今回、テスラは清掃作業専用のロボットを公表しており、なぜその作業をテスラボットにやらせないのかは不思議に感じました。 また、ロボタクシーの生産をスタートする前に、すでに街なかを走っているモデル3やモデルYをはじめとする既存のテスラ車に対して、FSDオプションを購入しているユーザー限定で、自動運転のソフトウェアをアップデートすることによって、レベル4自動運転を実装する方針を表明しました。具体的には、2025年中にテスラのお膝もとであるテキサスとカリフォルニアに限定して「FSD Unsupervised」をリリース予定。これはレベル4であり、アイズオフが可能です。もちろん緊急回避挙動なども含めて、すべての事象を車両側が対応するため、ドライバーが酒を飲んだり、完全に就寝することも可能となります。 果たして2025年末までに、一部地域限定だとしても、レベル4自動運転システムを、すでに街なかを走り回っているテスラ車にリリースすることができるのか。イーロンタイムに終わるのかを含めてFSD(Full Self Driving)の開発動向を見守る必要があるでしょう。

TAG: #テスラボット #ロボタクシー #ロボバン
TEXT:高橋 優
バッテリー交換式でたった3分で満充電! しかも400万円強の激安っぷり! テスラ・モデルYキラーの中国製EV「Onvo L60」が驚異の中身だった

バッテリー交換に対応! 中国NIOが大衆ブランドOnvoブランド初のEVとなる、ミッドサイズSUVのL60の正式発売をスタートしました。テスラ・モデルYを上まわる電費性能や車内スペースを実現しながら、バッテリー交換にも対応。しかも、モデルYよりも200万円も安価な値段設定を実現したという驚きの最新動向を解説します。 まず、NIOの最新の販売動向を確認しましょう。最直近2024年8月の月間販売台数は2万台強と、4カ月連続で2万台を超える販売台数を維持し、好調な販売規模を実現しています。 このNIOは、もっとも安価なモデルであるミッドサイズセダンのET5が29.8万元、日本円で602万円からのスタートであり、高級車セグメントのみでラインアップを展開中です。そして重要なポイントが、2023年以降、各社が値下げ競争に追随するなかにおいても、NIOは値下げ戦争に参戦せずに、あくまでも30万元以上という値段設定を死守していたという背景が存在するという点です。よって、NIOは高級車ブランドとしての地位を確立し、値段を引き下げずとも、販売台数を着実に向上させているわけです。 他方で、NIOは大衆車ブランドとして、5月中にOnvoブランドを立ち上げて、1車種目となるL60の正式お披露目も行っていました。 まずL60は、全長4828mm、全幅1930mm、全高1616mm、そしてホイールベースが2950mmというミッドサイズSUVセグメントに該当。他方でL60の強みは、その車内空間の広さ、そして取りまわしのよさを両立しているという観点です。まず、最小回転半径は、RWDグレードの場合5.4mと優れた取りまわしを実現しています。その上で、ファミリー層が快適に過ごせる車内空間を実現するために、前席側の空間スペースが1046mm、後席側の空間スペース1010mm、さらに後席側の膝から前席シートまでの空間が160mmと、すべての項目において、モデルYとRAV4を凌駕するスペースを確保しています。 さらに、モデルYと比較した、前席側および後席側におけるヘッドクリアランスもL60がリードしています。また、前席側のシートを完全にリクライニングさせることによって足を伸ばしてくつろげるというシアターモードなども実現可能です。そして、車両中央には17.2インチという解像度3Kの巨大な横長のタッチスクリーンを採用。さらに後席側にも8インチのタッチスクリーンを搭載することによって、後席側もエンタメを楽しむことが可能です。 また、ドライバー用の13インチのヘッドアップディスプレイを採用することによって、ドライバーの快適性も向上。その上、トランク部分も495リットルを確保しながら、さらにトランク下にも、エグれた収納スペースが存在するために、さらに小さめのスーツケースや小物も収納可能です。とくに、このトランク下部のスペースには52リットルもの巨大な冷蔵庫をすっぽりと搭載可能であり、マイナス18℃から10℃に対応します。 乗員の快適性向上のために電子制御サスペンションを導入していることもポイントです。乗り心地という観点は、ファミリーSUVとして人気のモデルYの大きな弱点であり、取りまわしの悪さも含めて、そのモデルYのファミリーカーとしての弱点を徹底的に潰してきている様子が見て取れます。 次にEV性能について、今回のL60において特筆するべきは2点存在します。まずはバッテリー交換に対応しているという点です。すでにNIOブランドのEVは、中国全土に設置済みの第3世代以降のバッテリー交換ステーション1000カ所を利用可能です。交換時間はたったの3分間と、迅速に交換作業を完了することが可能です。 また、このL60からは900Vシステムを採用することによって、Cレートで3Cもの超急速充電に対応。よってSOC80%まで25分で充電を完了することができるため、バッテリー交換ステーションを利用しなくても、通常のEVのように急速充電器のみで長距離を運用することも可能です。

TAG: #L60 #ONVO #新型車
TEXT:高橋 優
神奈川県の海老名SAスタートでどっちが先に加古川まで行って帰ってこられる? BYDシールとテスラ・モデル3で1000km対決!

日本で買えるEVセダン2台を比較 BYDのフラグシップEVであるシールとテスラ・モデル3で、米中EVセダン1000kmチャレンジ対決を行いました。とくにスーパーチャージャーを使用するモデル3と比較して、公共の充電インフラのみを使用するシールがどれだけ短時間で走り切ることができたのか? 途中の電費や充電の様子を詳細リポートします。 まず、1000kmチャレンジの前提条件は以下のとおりです。 *走行ルート 海老名SA下り(神奈川県) ↓ BYDシール:加古川北IC(兵庫県) テスラ・モデル3:名谷IC(兵庫県) ↓ 海老名SA上り(神奈川県) *走行条件 ・途中充電のための停車以外はノンストップで海老名SA上りを目指す ・車内の空調システムはつねにONにして快適な状態をキープ(シール・モデル3共に21℃オートに設定) ・追い越しなど含めて、制限速度+10%までは許容 ・渋滞や充電エラー、充電渋滞など、車両の問題以外についてはトータルのタイムから除外 ・シールは当該トリップの電費情報が表示されません。他方で直近50kmの区間電費が表示されるので、50km毎に電費をメモ。すべてを平均して電費を概算 *主要スペック ⚫︎ 2024 BYDシール RWD ・搭載バッテリー容量(グロス/ネット):82.56/約81kWh ・航続距離テスト結果:588km(外気温平均28.5℃) ・最大充電出力/SOC 10-80%充電時間:105kW/40.5分 ・値段(CEV補助金):528万円(45万円) ※値段は2024年9月時点。さらに初回1000台限定で33万円の値引きキャンペーン中。 ⚫︎ 2021 テスラ・モデル3スタンダードレンジ+ ・搭載バッテリー容量(グロス/ネット):55/50kWh(新品状態のネット値は約52.5kWh) ・航続距離テスト結果:420km(外気温平均22℃) ・最大充電出力/SOC 10-80%充電時間:170kW/22分 ・値段(CEV補助金):531.3万円(65万円) ※値段は2024年9月時点でのモデル3 RWDグレードの値段設定から引用。 *装着タイヤ ⚫︎2024BYDシール RWD ・235/45/R19 ・コンチネンタルEcoContact 6 Q ・空気圧:2.5(前)2.9(後)(適正値2.5/2.9) ⚫︎ 2021テスラ・モデル3スタンダードレンジ+ ・235/45/R18 ・ミシュランパイロットスポーツ4(※エアロホイールのみ社外品) ・空気圧:2.9(適正値2.9) 充電回数ごとにそれぞれのEVの区間電費などのデータをまとめていきます。 <1回目> ⚫︎2024BYDシール RWD ・海老名SA下り→湾岸長島PA下り(150kW級急速充電器) ・走行距離:297.9km […]

TAG: #長距離 #電費
連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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