コラム 記事一覧

コラム コラム
TEXT:山本晋也
スズキのEV「eビターラ」には兄弟車が存在! まったく顔が違う「トヨタ・アーバンクルーザー」がこれまたイケてる!!

スズキ初のEVが登場! インドを軸とした海外展開により絶好調なスズキ。2024年11月に発表された同社初となる量産EV(電気自動車)の「eビターラ」もインドで生産されることになっている。そして、eビターラは2025年夏に日欧印をはじめ世界で発売することも発表済みだ。 ビターラ(VITARA)というネーミングについて、日本では馴染みが薄いかもしれないが、もともとはエスクードの海外名として使われてきた伝統ある名前。コンパクトなSUVスタイルのEVをグローバル展開するにはピッタリの名前を選んだともいえる。 そんなeビターラのボディサイズは、全長4275mm・全幅1800mm・全高1635mm・ホイールベース2700mmと発表されている。 現時点で、スズキの国内ラインアップにおいてフラッグシップ的ポジションにあるSUVモデル「フロンクス」のボディサイズは、全長3995mm・全幅1765mm・全高1550mm・ホイールベース2520mmであるからサイズ的にはスズキの新しいフラッグシップモデルとなりそうだ。 筆者もスズキが日本国内で展示したeビターラを間近で見たが、たしかにスズキのラインアップを考えれば立派なサイズであり、またスクエアなボディはスズキの国内フラッグシップとしてふさわしい存在感があるという印象を受けた。 そんなeビターラには欧州向けに姉妹車が登場することをご存じだろうか。 それがトヨタ・アーバンクルーザーである。 写真を見てもわかるように、eビターラとの違いはハンマーヘッドデザインとしたフロントマスクに集中している姉妹車で、ドアパネルはもちろんアルミホイールの意匠まで共通。左フロントフェンダーに置かれた充電ポートリッドに“BEV”のロゴが入っているのもトヨタ流のブランディングといったところだろうか。 すなわち、アーバンクルーザーはスズキが生産、トヨタが供給する典型的なOEMモデルと理解することができる。

TAG: #eビターラ #アーバンクルーザー #スズキ #トヨタ
TEXT:石橋 寛
GT-R NISMOやポルシェ911 GT3をぶっちぎる57秒台! 筑波最速EVの座を奪取した「ヒョンデ・アイオニック5 N」がヤバすぎる!!

アイオニック5 N TA SpecがEV最速マシンに これまで、筑波サーキットにおけるEVの最速タイムは、テスラ・モデルSのチューニングカーが出した59秒761という1分切りの素晴らしいものでした。どれだけすごいかというと、筑波で1分を切れる市販車はNISMOのGT-Rやポルシェ911 GT3といった限られたスポーツカーだけ、ということ。ですが、このテスラの記録を2秒も縮めたEVが登場しました。ヒョンデ・アイオニック5 N TA Specは57秒446を叩き出し、筑波のレーシングカー&スリックタイヤクラスのEV最速マシンの座をゲット。0.2秒ならまだしも、一気に2秒短縮となると、次元が違う速さといわざるをえません。 ヒョンデのアイオニック5 Nといえば、たしかにスポーティ、かつスタイリッシュなEVで見るからに速そうなモデル。実際、ラリー競技ではWRC世界ラリー選手権、ツーリングカーシリーズではFIA TCRワールドカップ、あるいは山をガンガン登るパイクスピークのレースにも積極的。 そんなアイオニックが筑波最速EVの座を目指して参戦したのがシバタイヤAttack筑波2025レーシングカー&スリックタイヤクラス。 ご存じの方も少なくないでしょうが、これは国内外から速さ自慢のマシンが数多く参戦するイベントで、ドライバーも軒並みプロフェッショナルがブッキングされるというガチなもの。

TAG: #SUV #筑波 #輸入車
TEXT:御堀直嗣
寒い冬が苦手といわれる電気自動車! 逆に暑い夏はどうなる?

夏はバッテリーの温度が上がりやすい 電気自動車(EV)で使われるリチウムイオンバッテリーは、人間が快適に暮らせる温度が適しているといわれることは、極寒への対処でも話した。 では、近年の猛暑にはどうなのか。 暑さに対しても、やはり人間と同じように適切な対処をしないと、充放電ともに本来の性能を出し切れないことになる。そして、暑さへの課題もバッテリー特性が関係する。 暑さでは、単に外気温の高さだけでなく、高速道路を連続して走行し続けたような場合も、バッテリー温度が上がりやすい。大電流を連続して流し続けるためだ。 電気の使われ方については、EV以外の家庭電化製品やパーソナルコンピュータ(PC)のバッテリーや配線も、出力の高い状態で連続して使うと熱を持つようになる。大きな電流が流れると、余剰分が熱となって外部へ放出されるからだ。バッテリーに過剰な電流が流れ、余剰分が熱となって外へ放出され、それが限度を超えると、膨張したり、発火したりといった不具合や事故につながりかねない。原因は、抵抗だ。 電気の流れは、川にたとえることができる。ある川幅を普段は問題なく水が流れていても、大雨などで水かさが増すと、堤防を越えて洪水を起こしかねない。電気も水も、流れが多すぎれば弊害をもたらす。 それならば、あらかじめ太い電線を使えばいいと思うかもしれない。しかし、無闇に太い配線を用いれば、場所も取るし、重くもなる。 高速道路の利用(大電流を流し続ける)を制限することはできないが、適度な太さの配線により多様な使い道での性能と価格の調和をとり、折り合いをつけることになる。 そのうえで、バッテリーのケースに冷却機能を設け、リチウムイオンバッテリーが機能しやすい温度管理をする対策が行われている。

TAG: #バッテリー #リチウムイオンバッテリー
TEXT:渡辺陽一郎
EVはリセールが厳しいの「噂」は本当か? 残価設定率から探ってみた

EVは長く使うのが得策だ 電気自動車は、購入して数年後に売却するときの価値が低いといわれる。その理由は、中古車市場での人気によるものだ。中古車の人気が低いと、中古車の販売価格も下げねばならず、ユーザーが売却するときの金額も連動して安くなる。 電気自動車が売却時に不利になることは、残価設定ローンの残価率(新車価格に占める数年後の残存価値の割合)を見るとわかりやすい。中古車市場で高値で売却できる人気車は、数年後の残価率も高く、安くしないと売れない不人気車は残価率も下がるからだ。 たとえば日産セレナe-POWERハイウェイスターV(価格は373万5600円)で残価設定ローンを組むと、5年後の残価は212万9000円だ。新車価格に占める残価の割合、つまり残価率は57%になる。 電気自動車の日産リーフG(価格は444万8400円)で同様に残価設定ローンを組むと、5年後の残価は88万9000円で、残価率は20%と低い。 仮に国から交付される補助金額の85万円を予めリーフGの価格から差し引き、実質価格の359万8400円で計算しても、5年後の残価が88万9000円であれば残価率は25%に留まる。 このように、電気自動車は補助金の交付を前提にしても、資産価値が下がりやすい。購入したら、不利な条件で売却することは考えず、長く使うのが得策だ。

TAG: #乗り換え #新車購入
TEXT:山本晋也
日本にいると「結局EVは浸透しなかった」と思われがちだがそれは特殊な市場! 海外では徐々にユーザーが増えている!!

日本のEV販売は明らかに減速している 日本では「EVは失敗」だとか「EVの販売は減速」といったニュースやコラムのタイトルを見かけることも多く、EVはオワコンであり、販売台数は減っているという認識が広まっている印象もある。 はたして、EV販売のファクトはどうなっているのだろうか。国策としてEV推しの中国を除き、日米欧のEVセールス状況を調査、2024年と2023年のデータを比べてみることにした。 まずは、我が日本における状況から見てみよう。結論をいえば、日本のEV販売は明らかに失速している。 2024年の乗用車(登録車・軽自動車)のEV販売台数は5万9487台。2023年は8万8152台だったので、3割以上も減っていることになる。 ※自販連・全軽自協の公表データをもとに筆者が集計した値。輸入車含む とくに軽EVの減速が目立つ。2023年には4万4161台も売れていたのに、2024年は2万5430台と、ほぼ半減しているイメージなのだ。ただし、軽EVの乗用モデルは日産サクラと三菱eKクロスEVという姉妹車(つまり性能的には同一)しか選択肢がなく、この性能の軽EVを求めるユーザーに行き渡ってしまったという見方もできそうだ。 欧州(EU圏)のEV販売状況はどうなっているのか。ここではACEAの発表値をもとに考察してみたい。そして欧州においてもEV販売は失速していた。とはいえ、2024年の販売規模は前年比マイナス5.9%と微減で、日本ほど激減しているわけではない。 しかも、EUについては2025年に入ってからEVが元気を取り戻している。1~2月のEV販売台数は25万台を超え、前年同期比28.4%増となっている。このあたりの数値は各国におけるEV補助政策の影響もあるので単純に販売状況=ユーザーニーズといえない部分もあるが、欧州については2024年に失速したEVが2025年に盛り返しているといえそうだ。

TAG: #EVシフト #新車販売
TEXT:高橋 優
BYDが「Sealion 05 EV」発表で小型SUVバトルが激化! しかも値段が激ヤバの約243万円から!!

コンパクトSUV「Sealion 05 EV」が登場 BYDがコンパクトSUVセグメントのSealion 05 EVを正式発売しました。日本導入にも大いに期待したいコンパクトなサイズ感も含めて、そのコスト競争力の高さを分析します。 まず、BYDは2025年に突入してから、 ・自動運転システム「God’s Eye」の全モデル導入 ・車載ドローンシステム「Lingyuan」 ・メガワット充電システム「スーパーeプラットフォーム」 という最新テクノロジーを発表しました。 そして3月中には、 ・Yuan Plusのモデルチェンジバージョンの発売 ・Han LとTang Lの正式発表 ・DenzaのフラグシップSUVであるN9の発売 ・大衆セダンQin L EVの正式発売 ・ハイエンドブランドYangwangの超高級セダン「U7」の発売 ・Fang Cheng BaoのコンパクトオフロードSUV「Tai 3」の発表 など、最新テクノロジーとともに新型EVを矢継ぎ早に発表しています。 そして今回発売したのが、大衆SUVのBEVであるSealion 05 EVです。BYDはOceanシリーズについて、セダンはシール、SUVはSealionに統一しながら、サイズが大きくなるごとに05/06/07/08/09と命名。よって今回のSealion 05 EVは、OceanシリーズのなかでもっともコンパクトなBEVのSUVということになります。またSealion 05 EVは、王朝シリーズのYuan Plusの兄弟車でもあります。 Sealion 05 EVは、全長4520mm、全幅1860mm、全高1630mm、ホイールベースが2720mmというコンパクトSUVセグメントであり、リヤにモーターを搭載した後輪駆動です。兄弟車であるYuan PlusはFWDであり、ここが大きな相違点です。よって、最小回転半径が4.65mと軽自動車を凌ぐ小まわり性能を実現しています。PHEVモデルのSealion 05 DM-iの最小回転半径が5.8m、Yuan Plusも5.3mであることから、パワートレインをリヤに移動させた分だけタイヤの切れ角を大きくすることに成功しています。 さらに、110リットルという大容量トランクを採用。たとえばテスラ・モデル3のトランク容量が88リットル、モデルYが116リットルであることからも、コンパクトSUVとしては広大な容量を確保していることがわかります。また、60.928kWhのLFPバッテリーパックを車両の構造として利用するセルトゥボディを採用。その上、Sealion 07 EVから採用を始めたeプラットフォーム3.0 evoを採用することで、急速充電性能を大幅に改善。最大400Aの電流値、最大156kWという充電出力に対応可能です。Yuan Plusは最大でも85kWまでしか対応することができていないことを踏まえると、充電性能を大幅に進化させてきているのです。 さらに、Sealion 05 EVには全グレードでDi Link 100と呼ばれるスマートコクピットシステムを採用。DeepSeekとの統合も含めて、音声認識や将来にわたるOTAアップデートに対応します。 また、God’s Eye […]

TAG: #SUV #新型車
TEXT:御堀直嗣
リチウムバッテリーは暑いのも寒いのも苦手! EVの性能はバッテリーの温度管理で大きく変わる!!

冬はEVの一充電走行距離が短くなる 電気自動車(EV)で使われるリチウムイオンバッテリーは、人間が快適に暮らせる温度が適しているといわれる。つまり、極寒や酷暑は苦手だ。EVが寒さや暑さを苦手とするのは、バッテリー特性に負うところが大きいだろう。 とくに寒い冬は、EVの一充電走行距離が短くなるといわれる。理由は、低温になると電圧が低下するからである。走行に必要な電力は、電圧×電流なので、電圧が下がれば電力量が減り、そのぶん走れる距離が短くならざるを得ない。 対応策を理解するとき、背景となるのは、やはり人間と同じような環境で最適な性能を発揮するという、リチウムイオンバッテリーの特性だろう。 人間も、寒さで体が硬くなれば、事前にウォーミングアップをすることで、いつもどおりの活動ができるようになる。リチウムイオンバッテリーの充放電は、正(+)負(-)の電極間をイオンが往復することで行われる。したがって、イオンが移動しやすい温度環境を整えることが大切だ。 かつて、発売当初の市販EVは、バッテリーを空冷していたので、停車中を含め意図的な温度管理をできずにいた。走ったとき、走行風で冷やすという効果しか望めなかったのだ。極寒の地では、気温が下がっただけバッテリーが冷えてしまう。つまり、イオンが電極間を移動しにくくなる。移動が鈍れば、電圧が下がる。 対策は、バッテリー温度を下げ過ぎないことで、空冷に替えて液冷を導入することにより、冷媒を温めれば、バッテリーを温度低下から守ることができる。 とはいえ、空冷ではダメということではない。空冷であることを通じて、廃車後のリチウムイオンバッテリー再利用のため、セル単位に分解しやすいことを視野に入れていた。クルマとして最適なだけでなく、リチウムイオンバッテリーという高価な部品を使い尽くすための視点が、EVでは不可欠なのだ。液冷式となった今日も、EV後の再利用を視野に、バッテリーケースの設計を行う必要がある。 リチウムイオンバッテリーの再利用を重視する理由は、廃車後も、なお70%近い容量を残しているからだ。これを定置型の電気施設などで再利用しない手はない。たとえば太陽光や風力など、再生可能エネルギーによる発電の電力を貯めておくのに使える。

TAG: #バッテリー #リチウムイオンバッテリー
TEXT:琴條孝詩
「正直言って日本でEVって不便でしょ?」の問いにオーナーが本音で答える! 「昔と違っていまはネガをほとんど感じない」

「充電は給油よりも便利」と感じている人が多数 電気自動車(EV)の普及が進むなか、多くの人が興味をもっているが、まだまだ実際に購入には至っていない現状がある。それは、充電やメンテナンス、バッテリーの劣化に関する不安があるからだ。本稿では、日々進化するEV技術やインフラの最新情報を踏まえ、これらの懸念点について、実際のEVオーナーである筆者はじめ、そのほかSNSなどのポストなどの情報を交えながら解説しよう。 <充電インフラの拡充と利便性の向上> EVの普及に伴い、日本国内の充電インフラは着実に整備されつつある。経済産業省の調べでは、2023年末時点で、ガソリンスタンド数は2万7414カ所、それに対してEV充電スタンド情報サイトの報告では、2025年3月時点でEV充電スタンドの数は2万5876カ所に達し、ガソリンスタンドの数に迫る勢いを見せている。充電口数としては約4万7000口だが、政府は2030年までに30万口の充電設備設置を目標としており、今後さらなる拡充が期待される。 いまだEVの購入に踏み切れない人に対して、実際のEVオーナーの多くは充電に関する問題はほとんど感じていないというリポートも多数見受けられる。日常的な使用においては、自宅での夜間充電で十分であり、長距離移動の際も事前に充電スポットを確認することで問題なく対応できるという。 NEXCO東日本、NEXCO中日本、NEXCO西日本の3社によると、2024年度から2025年度にかけて、高速道路のサービスエリアやパーキングエリアに約430口の急速充電器が増設される予定である。これにより長距離移動時の充電不安はさらに軽減されるだろう。 EVオーナーのなかには「充電は給油よりも便利」と感じている人も多い。自宅で充電できることや、買い物先や目的地で充電できるスポットが増えていることが理由として挙げられている。また、専用アプリやGoogle Mapを使用することで、近くの充電スタンドを簡単に見つけられるようになったことも利便性向上に貢献している。

TAG: #メンテナンス #充電
TEXT:渡辺陽一郎
ガソリン代高騰のいま「コストでEV」を選ぶのはアリ! EVはどこまで安く乗れるのか計算してみた

EVは走行コストに優れる 電気料金にはさまざまなプランがある。電気自動車の保有に有利な夜間(午後9時から翌日の午前9時までなど)の電力料金を割安にしたプランもあるが、東京電力の従量電灯BやCなどの一般的な価格は、1kWh当たり約30円といった設定だ。 日産リーフの場合、駆動用リチウムイオン電池の容量には、40kWhと60kWhがある。40kWh仕様の場合、満充電にすると電気代は約1200円だ。40kWhで走行できる距離は、WLTCモードで322kmになる。そうなると1km走行当たりのコストは3.7円だ。 ちなみにハイブリッドのトヨタ・プリウスGやZは、WLTCモード燃費が28.6km/Lになる。レギュラーガソリン価格が1リッター当たり170円とすれば、1km当たりの走行コストは5.9円だ。 トヨタ・ヤリスハイブリッドXは、WLTCモード燃費が36km/L。レギュラーガソリン価格が1リッター当たり170円なら、1km当たりの走行コストは4.7円に収まる。 ヤリスハイブリッドの走行コストは、リーフの3.7円に近いが、それでも安くはならない。ヤリスハイブリッドの走行コストがリーフを下まわるには、レギュラーガソリン価格が以前のように1リッター当たり130円程度まで値下げされることが条件だ。 このように、電気自動車の走行コストは、燃費効率の優れたハイブリッドと比べても安い。ガソリン価格が高騰する昨今では、ハイブリッドに対してさらに差を付けている。

TAG: #コスト #充電 #充電器
TEXT:高橋 優
BYDがまさかの水平対向エンジンを搭載! 誰も追いつけないバカッ速セダン「U7」の驚異の中身

BEVとEREVをラインアップ BYDの高級ブランドYangwangがフラグシップセダンのU7を発売しました。世界初となる完全な電磁サスペンションを採用しながら、中国メーカーとしては初めてとなる水平対向エンジンも採用するレンジエクステンダーシステムを開発。EV時代に世界をリードしているBYDの最前線を解説します。 まずYangwangについて、すでに大型SUVのU8、スーパースポーツのU9を発売中です。U8はレンジエクステンダーEV(EREV)であり、4輪にそれぞれモーターを搭載することでタンクターンなどを可能とする「e4プラットフォーム」を採用。さらに、「Disus-P」という独自内製の油圧制御サスペンションを採用することでオフロード走破性能を高めることに成功。そのうえ、緊急フロート機能では、30分間、水上を浮遊しながら、タイヤの駆動力を使って移動することが可能です。 U8は、2024年シーズンに7245台を発売することに成功しました。U8は109.8万元(約2200万円超)という超高級車であり、この販売台数はメルセデス・ベンツGクラス(5258台)とメルセデスAMG G(1863台)の合計や、レクサスGX(2990台)とLX(2674台)の合計台数と比較しても上まわっているという売れ行きです。 次に、U9はe4プラットフォームを採用しながら、さらにDisus-Xと名付けられたボディコントロールシステムを採用することで、サーキット走行などにおける車両の安定的な制御をはじめとして、タイヤがひとつ外れた状態でもボディを安定させて走行させることが可能です。 また、最高出力960kW、最大トルク1680Nm、0-100km/h加速も2.36秒を実現。ニュルでも7分17秒9というタイムを実現するなど、高い運動性能を発揮します。 そして、今回発売したのがフラグシップ大型セダンのU7です。U8・U9と同様にe4プラットフォームを採用したBEVであるとともに、EREVもラインアップ。 このラインアップ構成で問題となるのが、50kWh以上の電池パックと4つのモーター、そして発電用の内燃エンジンをすべて搭載して、そのうえでセダンとしてのプロポーションを維持する必要があり、スペース効率を引き上げる必要があるという点です。 そして、BYDが初めて採用したのが発電用水平対向エンジンです。現在水平対向エンジンはポルシェとスバルくらいしか開発しておらず、中国メーカーとしては初めて採用してきました。水平対向エンジンの強みは、高さを抑えることによって、そのぶん重心点を引き下げられる点です。 その一方で、BYDがなぜ重心の低いEVのために、わざわざ水平対向エンジンを開発してきたのかというと、ボンネットの高さを抑えるためという点が挙げられます。U7はセダンでありながら、フロントにモーターをふたつ搭載する必要があり、高さ方向を抑えないとセダンとして成立しなくなるからです。 もちろん前面投影面積を抑えることは、EVの航続距離を改善するうえで極めて重要です。実際にU7は、空力性能を最大化することでCd値は0.195を実現しており、世界最高クラスの空力性能を誇ります。 いずれにしても、e4プラットフォームと空力に優れるセダン、そしてBEVとEREVを両方ラインアップする必要があるという点をすべて両立させるために、水平対向エンジンを一から設計開発する必要があったのです。

TAG: #セダン #新型車
連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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