当初のフォーミュラEではバッテリー容量の限界がネックに
将来的に、すべてではないにせよ、自動車の大半はEVになるのではないか、と見られている。そして、現在懸念されるEVの問題点は、動力のエネルギー源となる電気をどうやって確保、補充(充電)するかに終始している。現状、EVで電力を蓄えておく装置は、充放電可能なバッテリーが主力となっている。
そして、承知のとおり、バッテリーは蓄えてある電力を使い切ってしまうと、新たに充電しなければ電力源として機能しなくなってしまう。問題は、その充電に要する時間だ。一般的な乗用車であれば、ガソリン/軽油を使う従来の内燃機関車なら、まず3分もあれば満タンにできるが、EVの場合だと急速充電で30分、それも全容量の80%というのが現状だ。
さて、視点をモータースポーツに移してみよう。つまり、EVはモータースポーツのベース車両となり得るか否かということである。現在、EVモータースポーツの頂点に位置するのはフォーミュラEだ。というより、ほかのカテゴリーで本格的なEVの導入はなく、フォーミュラE自体も新たな時代のモーターレーシングという観点で、試験的に始められたレースである。そして、当初よりネックとなったのがバッテリーの問題だった。
つい最近まで、フォーミュラEのレース距離は「45分」の時間レースだった。つまり、45分間のレースであればバッテリー容量が足り、レースを成立させることができる、と判断できたことによるレース距離の設定だった。逆にいえば、45分の走行時間がフォーミュラEの上限距離、と見なせる規定と考えてもよかった。
余談だが、フォーミュラEの発足にあたり、バッテリー容量の不足を懸念して、それなりのレース距離で争うことを可能にするため、バッテリーをカセット式のユニットとしてピットインで交換して再スタート、あるいは同一スペックの車両をもう1台ピットに用意しておき、バッテリーを使い切るタイミングで車両を乗り換え再スタートする、など搭載バッテリーの容量に対する対応策が検討される経緯もあった。