多くのオーナーが充電に苦労
電気自動車(EV)はここ数年で確実に普及が進み、道路を眺めていてもその数がぐっと増えている。私自身も3年前からEVオーナーとなっている。世間でよく耳にする「静粛性が高い」「排ガス臭がしない」「メンテナンスコストが低い」という肯定的な声はウソではない。だが、ことさら「EVはどんな感じですか?」などと聞かれると、とかく表面的ないい点ばかり話してしまうのも人情だ。しかし、愛着をもっているからこそ、あえて「ここは本当に困る」「これにはイラつく」という、EVオーナーが胸の内に隠す“嫌なポイント”について率直に書いてみたい。
<充電設備への“家事情”ハードル>
EVの弱点として真っ先に挙げられるのが充電インフラの問題だろう。自宅にEV充電設備を設置するのがベストだが、そうでない多くのオーナーがこの点で苦労している。たとえばマンションやアパート住まいの人にとって、自宅充電は夢のまた夢だ。管理組合に充電設備の設置を交渉しても、「コストが高い」「誰が責任をもつのか」などと議論が平行線をたどるまま進展しないことはよくある。
戸建て住宅でも、EV充電設備を新たに設置するためには、安くもない追加工事費がかかる。私もわざわざコストをかけてまでEV専用の200Vコンセントを設置するのに二の足を踏み、もともとガレージにあった100Vコンセントで8A程度と、アンペア数を低くして充電している。しかし、この電圧では20%程度の残バッテリー容量から80%充電にするには24時間以上かかる。場合によってはもっとかかる。これが200V普通充電であっても、6~8時間かかるのは当たり前。数分で満タンになるICE(内燃機関)車と比べると不便さを感じる。仕事が忙しく深夜帰宅して、そのまま朝イチで出発するようなスケジュールでは、自宅では十分に充電できない。
この場合、近くの急速充電器を利用するしかない。そもそも外出先での充電は「急速充電器がどこにどれだけあるか」を常にアタマのどこかで意識して把握しておかなければならない。しかし、いつも急速充電器が使用できるとは限らない。故障のこともあるし先客がいれば最悪充電までに30分、加えて自車の充電に30分の合計約1時間は待つ必要がある。私はテスラ所有なので他メーカーのEVオーナーよりは恵まれている。というのも、自宅の3〜5km圏内にいくつかのテスラ専用SC(スーパーチャージャー)があり、SCは故障も少なく、満車になるということもめったにない。