飽きのこない「日常のパートナー」を目指した引き算の美学
一方で、ホンダはN-ONE e:のグランドコンセプトを「e: Daily Partner」と表現しており、EVに抱く先進性や未来的な要素を追求するのではなく、日常に寄り添ったパートナーとなれるEVを目指して開発したと説明している。
その結果、過度に機能や装備を盛り込まず、シンプルで使いやすく、毎日乗っても飽きのこないフィーリングと空間設計が重視されたという。ゆえにインテリアは上質でありながらシンプルな設計がなされ、実用性に優れている。まさに引き算の美学だ。
ボディカラーも奇抜さを狙わず、全5色はどちらかというと落ち着きと品位を持ったカラーが選ばれている印象だ。そのなかでも「チアフルグリーン」は電動自転車(ママチャリ)に着想を得て開発された新色で、EVの軽快でイキイキとした走りが日常を明るくするようなイメージで選定されたそうだ。
ライバルを凌駕する航続性能
目下のライバルであろう日産「サクラ」&三菱「eKクロスEV」は、ある種の割切りの良さで先進的なシティコミューターに徹している。これに対しホンダ「N-ONE e:」はバッテリー容量を大きく取り、一充電航続距離をWLTCモードで270km以上とし、足の長さをセールスポイントとする。
むろん、フロントグリルに設けられた充電ポートを介した外部給電やV2H(Vehicle to Home)にも対応しており、EVを蓄電池として活用することも可能だ。
グレードはシンプルな「e:G」と上級の「e:L」の2グレード構成。令和7年度のCEV補助金は57.4万円と発表されているが、気になる車両本体価格は秋の発売を待たねばならない。
引き算の考え方で日常の上質なパートナーを目指したコンセプトは多くのユーザーから共感を得そうで、ランニングコストの安さと相まってEVの普及に大きく寄与しそうだ。8月2日からは全国各地で先行展示会が開催されているので、実車を確認して気になった方は、ホンダカーズへ購入相談に出向いてもらいたい。