2025年5月
TEXT:斎藤充生
公道レース「フォーミュラE東京」が帰って来る! チケットを持っていなくとも無料で1日遊び尽くせる2日間

コンテンツが盛りだくさんのフォーミュラE 東京E-Prix 昨年3月、国内初の公道を使用した四輪レースとして開催された電気自動車によるモータースポーツ「ABB FIA フォーミュラE 世界選手権」の東京E-Prixが、今週末5月17日(土)・18日(日)の2日間開催される。 昨年は3月30日(土)に行なわれた第5戦の1レースのみ開催だったが、チケットが即完売になるなど反響が非常に大きかったため、今年は土曜日に第8戦、日曜日に第9戦の決勝レースを行うダブルヘッダー方式に開催内容を拡大し、より多くのファンに観戦機会を提供することとなった。 舞台となるのは昨年に引き続き東京都江東区有明にある国際展示場「東京ビッグサイト」の敷地とその周辺の一般道だ。一般的なサーキットの大半が人里離れた場所に位置し、アクセスはほぼクルマに頼らざるを得ないのに対し、新宿・渋谷から直通列車が多く乗り入れる「りんかい線」の国際展示場駅からは徒歩10分程度、新橋と豊洲を結ぶ「ゆりかもめ」の東京ビッグサイト駅ならさらに近く徒歩5分程度とアクセスは抜群に良い。 没入型ファンフェスティバル「ファンビレッジ」 さて、会場の東京ビッグサイトだが、じつはレース観戦チケットを持っていなくとも、フォーミュラEの世界観を楽しむことができるのをご存知だろうか。 正面から入って左手方向にある東ホールの4〜6ホールで行なわれる「ファンビレッジ」と呼ばれる没入型ファン・フェスティバルがそのひとつだ。 ここではレーシングシミュレーターでフォーミュラEのドライビングスキルを体験したり、ライブパフォーマンスを楽しんだりすることができる。また、子ども向けコンテンツや携帯電話のチャージステーション、フードコートも設置されるほか、レーサー気分を味わえるアクティビティなど、多彩なコンテンツが設置されるという。 今シーズンからフォーミュラEにイギリスのローラとジョイントする形で参戦を開始したヤマハ発動機もブースを構える。 電動トライアルバイクの「TY-E2.2」や電動ミニバイク「E-FV」コンセプトモデルなど、電動化技術を活用した同社の「感動創造」の歩みに触れられる展示を予定しているという。

TAG: #GX #イベント #フォーミュラE
TEXT:西川昇吾
【試乗】5台の輸入EVに一気乗り! エンジン車に勝るとも劣らない「個性」が爆発していた

最新の輸入EVに試乗! 近年モデル数が増えてきているBEV。バッテリーに充電した電力のみで駆動するクルマたちだ。国産車でもさまざまなBEVがあるが、輸入車はそのバリエーションが多い。今回は個性やコンセプトがそれぞれ異なる輸入BEVモデルに一気乗り! それぞれのもつ世界観を味わってみた。 フィアット600e 今回試乗したBEVモデルのなかで、もっとも乗り味が普通だと感じたのが600eだ。「普通」というのは、ICE車に近い乗り味ということ。スロットルに対しても自然なトルクの出方で、パフォーマンスをアピールするようなBEVにありがちなビックリな加速は見せないし、全体的な乗り味も以前乗ったことがあるノーマルモデルの500を思い出させる雰囲気だ。おそらく狙った作り込みだと思うが、日本人が「フィアット」と聞いて思い浮かべるような乗り味がBEVでも再現されている。 乗り心地も割とマイルドでフワッとした感じに仕上がっていて、BEVらしさを感じない。1580kgというBEVとしては軽量な車重もこの乗り心地に影響していそうだ。このBEVらしくない自然な乗り味は初めてのBEVにオススメの1台といえる。 MINIエースマン MINI初の専用BEVモデルとしてラインアップされているエースマン。3ドアにはBEVとICE両方がラインアップされているが、エースマンはBEVのみの専用ボディだ(3ドアもそれぞれで異なる専用プラットホームとなっている)。 MINIの乗り味といえばゴーカートフィーリングと呼ばれるクイックな操作性が特徴。ステアリングとフロントタイヤが直結しているかのようなシャープなノーズの動きが、MINIの愛されポイントのひとつといえる。しかし、エースマンに実際に乗ってみるとゴーカートフィーリングは思ったより薄め。いや、普通のモデルと比べるとフロントがクイックかつシャープなフィーリングとなっているのだが、MINIファミリーのなかで考えるとその味付けが薄い印象だ。 どちらかといえばその乗り味はBMWのBEVモデルに近いかも? と思った。MINIらしさはしっかりとあるが、BEVで濃いMINIらしさを味わいたいのであれば3ドアのほうがいいかもしれない。

TAG: #試乗 #輸入車
TEXT:琴條孝詩
「濡れた手でコンセントを触るな」なんて言われてきたけど……雨の日に屋外の充電器でEVの充電をするのは危険?

雨の日も安全に充電できる 電気自動車(EV)の普及が進むなか、まだEVに馴染みがない方からよく聞かれる質問がある。そのひとつが「雨の日でも充電できるの?」というものだ。幼いころから「濡れた手でコンセントに触るな」といわれてきた私たちにとって、雨のなかで電気を扱うことへの不安は自然なものである。しかし、EVの充電システムは家庭用コンセントとは設計思想が異なる。今回は、雨天時の急速充電の安全性について説明しよう。 <EV充電器の防水・安全設計> まず結論から述べると、当然ともいえるが、現代のEVは雨の日でも安全に充電できるよう設計されている。EVの充電ポートや急速充電器は、厳格な防水基準を満たすよう製造されている。多くの充電器と車両側のコネクタには「IP(Ingress Protection)規格」という国際的な防塵・防水性能の等級に準拠している。 たとえば、国内でもっとも多く普及しているCHAdeMO(チャデモ)コネクタの急速充電器は、ほとんどのメーカーでIP54以上となっている。つまり、防塵については「塵埃の侵入を完全に防止できないが電子機器の動作には問題がない」、防水は「あらゆる方向からの水の飛まつによって機器が影響を受けない」レベルになっている。これにより、雨が降る屋外でも安心して充電操作ができるのだ。 また、急速充電器のコネクタ部分はとくに重要だ。充電コネクタの内部は金属端子が露出しているように見えても、しっかりカバーで保護され、接続時には充電ポートとコネクタがぴったりと合わさり、水の侵入を防ぐ構造になっている。 充電の際には、車両と充電器の間で安全性を確認する通信プロトコルが動作し、問題がなければ電力供給が開始される。たとえば、コネクタを車両に差し込んだときは、まだ電気は流れていない。コネクタがしっかりと車両側のソケットにロックされ、通信による認証や安全確認が完了して初めて、急速充電器から車両へ電力が供給される仕組みである。 この際、水分による異常が検知されれば、システムが自動的に充電を開始しないという多重の安全機構も備わっている。つまり、コネクタを差し込む段階で手が濡れていたとしても、感電するリスクは極めて低い。 さらに、充電システムは漏電対策も万全である。漏電遮断器や接地設備により、万が一の漏電ときには瞬時に電源が遮断される仕組みになっているため、使用者が感電するリスクは極めて低い。実際、日本国内ではEVの充電に関連した感電事故の報告はほとんど聞かれない。

TAG: #充電 #充電器
TEXT:高橋 優
BYDの最新SUV「シーライオン7」で1000kmロングラン! ちょっと気になる点はハイスピード電費と急速充電性能!!

シーライオン7のEV性能を全方位チェック! BYDの最新SUVであるシーライオン7 AWDで恒例の航続距離テストと充電性能テストを行いました。とくにシールや競合の電動SUVと比較してどれほどのEV性能を実現することができたのか。リアルワールドにおける航続距離や充電スピードを徹底リポートします。 ⚫︎主要スペック(※は推定値) ・搭載バッテリー容量(グロス/ネット):82.56/※80kWh ・日本WLTCモード(WLTCモードクラス2)航続距離:540km ・EPA航続距離:※375km ・最大充電出力/SOC 10-80%充電時間:105kW/非公表 ⚫︎装着タイヤ ・245/45R20 ・Michelin Pilot Sport EV ・空気圧:2.9/2.9(前輪/後輪)(適正値2.9/2.9) *航続距離テスト まず、航続距離テストの前提条件は以下のとおりです。 ・GPSスピードの平均車速が時速100kmになるように調整 ・途中ノンストップ ・充電残量100%付近までサービスエリア下り線で充電したあと、途中のインターで折り返して、同じサービスエリア上り線まで戻ってくる。充電残量は10%程度以下まで減らし切る ・車内の空調システムは基本的に21℃オート。一部車種で温度調整あり(今回のシーライオンAWDの場合は24℃オートに設定) ・車種それぞれのオドメーターとGPS上の距離を補正(今回のシーライオンAWD・20インチ純正タイヤ装着の場合はGPS距離と比較して−1.71%の下振れ) 結果:駿河湾沼津SA下り→豊田南IC→駿河湾沼津SA上り ・走行距離:382.0km ・消費電力量:100%→9% ・平均電費:5.23km/kWh(191.2Wh/km) ・外気温:12℃〜15℃ よって、航続距離テストの結果から、充電残量100%状態からSOC0%になるまで、344kmを走破可能であることが確認できました。 *ハイスピードテスト 次に、ハイスピードテストの前提条件は以下のとおりです。 ・GPSスピードの平均車速が時速120kmになるように調整 ・途中ノンストップ ・車内の空調システムは基本的に21℃オート。一部車種で温度調整あり(今回のシーライオンAWDの場合は24℃オートに設定) ・車種それぞれのオドメーターとGPS上の距離を補正(今回のシーライオンAWD・20インチ純正タイヤ装着の場合はGPS距離と比較して−1.71%の下振れ) 結果:駿河湾沼津SA下り→新静岡IC→駿河湾沼津SA上り ・走行距離:94.9km ・消費電力量:81%→51% ・平均電費:4.00km/kWh(250.0Wh/km) ・外気温:12℃ よって、ハイスピードテストの結果から、充電残量100%状態から空になるまで、322kmを走破可能であることが確認できました。 *充電性能テスト ・使用充電器:180kW級急速充電器(テンフィールズファクトリー製FLASH/空冷ケーブル) ・SOC10%〜80%充電時間:39分 ・最大充電出力(SOC):105kW(64%) ・30分回復航続距離(外気温平均13.5℃での航続距離テストベース):230km

TAG: #充電 #長距離
TEXT:齊藤優太
EVの電欠ってどのぐらい発生してる? JAFの出動要請ランキングを調べてみた

タイヤやバッテリーのトラブルが多い 駆動用バッテリーの残量が減ると焦るEV。では、EVの電欠でロードサービスを要請した方はどのくらいいるのでしょうか。この記事では、JAFのロードサービス救援データをもとに、EVによくあるトラブル事例やトラブル回避の方法を解説します。 EVに多いトラブルは? JAFの統計データによると、EVのロードサービス救援で多いのは、タイヤのパンク・バースト・空気圧不足、過放電バッテリー(補機バッテリーの放電)、EV駆動用バッテリーの電池切れとなっています。 JAFが毎月公開している「EVロードサービス件数」の出動理由トップ5は次のとおりです。 【EVロードサービス件数(2025年2月1日〜2月28日)】 1位:タイヤのパンク、バースト、エア圧不⾜(件数:186件、構成比:23.4%) 2位:過放電バッテリー(件数:165件、構成比:20.8%) 3位:EVの駆動用電池切れ(件数:114件、構成比:14.3%) 4位:落輪・落込(件数:94件、構成比:11.8%) 5位:事故(件数:36件、構成比:4.5%) このような統計データからも、EVのトラブルとして多いのは、エンジンを搭載するクルマと同じような内容であることがわかります。 ちなみに、2025年2月1日〜2月28日のJAFロードサービス出動理由(四輪車)は、次のとおりです。 【JAFロードサービス出動理由(2025年2月1日〜2月28日)四輪車合計】 1位:過放電バッテリー(件数:7万6639件、構成比:39.68%) 2位:タイヤのパンク、バースト、エアー圧不⾜(件数:2万9895件、構成比:15.48%) 3位:落輪・落込(件数:1万8471件、構成比:9.56%) 4位:破損・劣化バッテリー(件数:1万6236件、構成比:8.41%) 5位:キー閉じ込み(件数:8130件、構成比:4.21%) 6位:事故(件数:6986件、構成比:3.62%) 7位:燃料切れ(件数:3133件、構成比:1.62%) 8位:スパークプラグ(件数:2574件、構成比:1.33%) 9位:発電機・充電回路(件数:2138件、構成比:1.11%) 10位:ハンドルロック・キー作動機構(件数:1535件、構成比:0.79%) このようなことからも、エンジンを搭載するクルマであっても、EVであっても、タイヤやバッテリー(補機バッテリー)のトラブルのほうが電欠や燃料切れより多いことがわかります。

TAG: #JAF #トラブル
TEXT:高橋 優
BYDの最新車種シーライオン7で1000km走行チャレンジ! 雨でもキチンと働く「ADASの進化」が凄い

BYDの新型SUV「シーライオン7」をテスト! BYDの最新電動SUVであるシーライオン7 AWDで恒例の1000kmチャレンジを行いました。BYDの最新EVがどれほどの長距離走破性能を実現することができたのか。途中の電費や充電の様子を詳細リポートします。 まず、1000kmチャレンジの前提条件は以下のとおりです。 *走行ルート 海老名SA下り(神奈川県) ↓ 加古川北IC(兵庫県) ↓ 海老名SA上り(神奈川県) *走行条件 ・途中充電のための停車以外はノンストップで海老名SA上りを目指す ・車内の空調システムはつねにONにして快適な状態をキープ ・追い越しなどを含めて、制限速度+10%までは許容 ・渋滞や充電エラー、充電渋滞など、車両の問題以外についてはトータルのタイムから除外 ・車種それぞれのオドメーターとGPS上の距離を補正(今回のシーライオンAWD・20インチ純正タイヤ装着の場合はGPS距離と比較して−1.71%の下振れしているため、オドメーター上で983kmの段階でゴール) 1)海老名SA下り→湾岸長島PA下り(150kW級急速充電器) ・走行距離:298.9km ・消費電力量:100%→12% ・平均電費:4.25km/kWh(235.5Wh/km) ・外気温:17℃→17℃ ・天候:雨30% ・充電セッション:12%→63%(28分) まず1000kmチャレンジという観点の前に、最初の充電スポットである湾岸長島PAまで、150kW級急速充電器が急速に普及しているという点は注目するべき最新動向です。具体的には、 ・中井PA ・駿河湾沼津SA ・清水PA ・浜松SA と4つのSA/PAに150kW級が設置されており、東京-大阪間であれば、よほどのことがない限り150kW基のみを使用して往復することができます。この数年で高速道路上の急速充電ネットワークが急速に進化している様子が見て取れます。 そして、シーライオン7は、湾岸長島PAの150kW基でSOC60%前半まで充電しています。これは、シーライオン7がSOC65%程度で約84kWへと充電出力を絞るため、なるべく105kWの充電時間を最大化させるのが狙いです。 2)湾岸長島PA下り→土山SA下り(150kW級急速充電器) ・走行距離:49.0km ・消費電力量:63%→46% ・平均電費:3.60km/kWh(277.6Wh/km) ・外気温:17℃→16℃ ・天候:晴れ ・充電セッション:46%→85%(25分) 1000kmチャレンジとしては初めて利用するサービスエリアです。というのも、2024年度末に150kW基が新設されたからです。この土山SAは標高が高く、多くのEVユーザーにとって利便性の高い充電スポットとなりそうです。1000kmチャレンジという観点では、ここから土山SA上り線まで150kW基が存在しないため、なるべく多くの充電を試みます。シーライオン7はSOC85%程度まで84kWに対応しているものの、その後は50kW以下にまで出力を絞ってしまうことから、SOC85%で充電セッションを切り上げています。 3)土山SA下り→加古川北IC(折り返し)→草津PA上り(90kW級急速充電器) ・走行距離:277.5km ・消費電力量:85%→5% ・平均電費:4.34km/kWh(230.6Wh/km) ・外気温:16℃→13℃ ・天候:雨90% ・充電セッション:5%→18%(9分) すでに折り返し地点を越えました。1000kmチャレンジ最長区間の平均電費は230.6Wh/kmと、2340kgのミッドサイズSUVであるという点、また雨が降っていたという点を踏まえても、もう少し電費が伸びてほしいと感じます。実際に電費が伸びずに手前の草津PAに寄らざるを得ませんでした。草津PAは90kW基なので最小限の充電セッションに留めて150kW基のある土山SAを目指します。

TAG: #充電 #長距離
TEXT:御堀直嗣
EVって最高速度が低いのはなぜ? 答えは「できないじゃなくあえて低く設定している」だった

EVの速度は電費に影響する 電気自動車(EV)は、最高速度を抑える傾向がある。それは、なぜか? モーター駆動だからという意見もあるかもしれないが、そうではではない。たとえば、世界で最初に時速100kmを達成したのはEVだった。それは、1899年のことだ。今日では、たとえばポルシェ・タイカンのターボGTウィズ・バイザッハ・パッケージの最高速度は、時速305kmといわれる。 一方、メルセデス・ベンツが最初に市場導入したEQCは、最高速度を時速180kmに留めた。理由は、一充電走行距離の確保にある。 EVであるかエンジン車であるかを問わず、高速走行したときに燃費(EVなら電力消費=電費)に影響を強く及ぼすのは、空気抵抗だ。空気抵抗は、速度の2乗に比例して増加する。 たとえば、時速100kmから時速200kmへ速度を2倍引き上げれば、空気抵抗は4倍に増えてしまう。国内での日常的な速度感覚で例をあげると、時速80kmから時速100kmへ、わずか時速20km速度を高めただけで、空気抵抗は1.5倍、すなわち50%も増えてしまう。これが電費に大きく影響する。 日産サクラのリチウムイオンバッテリー容量は20kWhでしかないが、それで長い距離を移動しようとする場合、時速100kmで走って経路充電に30分要するか、時速80kmで走ることで経路充電なしに目的地に到着できるかを考えることになる。結論は、巡航速度を時速80kmに抑えても、経路充電しないほうが目的地に早く到着できる。 たとえば、東名高速道路の東京都側の瀬田の入り口から御殿場インターチェンジを目指す際、東京料金所の手前に、所要時間が表示されている。渋滞などの支障がなければ、瀬田インターチェンジから御殿場インターチェンジまでの所要時間は、70分だ。この区間を時速80kmで走っても、ほぼ70分で到着できる。 東名高速道路は時速100kmで走れるが、それでも経路充電を避けるため、時速80kmに抑えて走っても、それほど多くの時間を移動に要するわけではない。

TAG: #最高速 #速度
TEXT:琴條孝詩
エンジン車と同じでもコト足りるのになぜ? EVのインテリアデザインを先進的にする理由

EVは外観だけでなく内装も先進的 電気自動車(EV)の普及が進むなか、EVではフロントグリルがないなどエクステリアのデザインが大きく変化している。しかし、外観のみならずインテリアデザインも従来のエンジン車などの内燃機関(ICE)車と大きく異なることに気がついた方も多いだろう。 多くのEVではミニマルなデザイン、大型ディスプレイの採用、物理ボタンの削減などが特徴となっている。これがときに「冷たい」「未来的すぎる」といった印象を与えることがある。一方、従来のエンジン車は比較的親しみやすいインテリアデザインを継続している。この違いはどこから生まれているのだろうか。EVのインテリアデザインに込められた意図と戦略について探っていく。 <EVメーカーが目指す「新時代」の視覚化> EVのインテリアデザインが独特である最大の理由は、メーカーが意図的に「先進的な乗りもの」というイメージを視覚化しようとしているからだ。ICE車では、排気量の増大や、気筒数の増加、ターボチャージャーの追加などで他社のクルマと差別化ができた。しかしEVでは、モーターやバッテリーの仕様に違いがあっても、感覚的に差別化しにくい。 したがって、他社との差別化をひと目で認識してもらうためには、自ずとコクピット、つまり車内で実現するしかない。そこでモビリティの概念を根本から変える可能性を秘めているEVという特性をインテリアで「見える化」しているわけだ。そのため、デザイナーたちは従来の自動車デザイン言語から意図的に脱却し、新しいアイデンティティを確立しようとしている。 そこには最新の技術も関係している。「プリンテッド・フレキシブル・エレクトロニクス(印刷型柔軟電子技術)」といわれるものもそれに寄与している。これは物理的なボタンを配置するのではなく、基板を印刷して、ハンドル、シート、アームレストやセンターコンソールなどに貼り付けるように内蔵するものだ。熱源としてヒーターも組み込むことができるので、ハンドルやシートなどに組み込んでエアコンを使用することなくドライバーが暖かい状態を維持できる。これは電気消費量に敏感なEVにとって実利的だ。また、これらによってスマートなインテリアにすることもできる。 たとえば、三菱のeKクロスEVのインテリアは、基本的にICE車のeKクロスと共通のデザインを採用している。しかし、EV版は軽自動車であるにもかかわらず「軽自動車を超えた質感」を追求し、7インチサイズの液晶メーターと9インチナビという専用装備を標準採用。ベースモデルのeKワゴンよりも上質なインテリアとなっており、「電気自動車ならではの先進性」を表現している。 また、多くのEVのインテリアでは直線的なラインや幾何学的なパターンが採用され、未来志向のイメージを強調している。これは消費者に「環境に優しい次世代技術」という価値観を視覚的に伝える効果的な方法でもある。インテリアデザインは単なる美的要素ではなく、EVというカテゴリー自体のブランディングに直結しているのだ。

TAG: #インテリア #デザイン #内装
TEXT:山本晋也
これってカタログ詐欺? EVのカタログ値と実際の航続距離が大きく異なるワケ

一充電走行距離と航続可能距離は異なる概念 EVに対する批判のひとつとして「カタログ値と実際の走行可能距離にあまりにも差が出過ぎだろ! なんでこんなにも航続距離に差が出るのか納得できない」というものがある。 たしかにカタログに記載されている一充電走行距離(WLTCモード)とメーター表示の航続可能距離は、それなりに乖離している印象もある。下に示すのは筆者が所有している電気自動車のフィアット500e(チンクエチェントイー)のメーター画面だが、ここに表示されている数字だけでもいくつかの違和感を覚えるのではないだろうか。 たとえば、フィアット500eの一充電走行距離(カタログ値)は335kmとなっている。しかし、左側の表示をみると充電率88%に対して、航続可能距離は223kmにとどまっている。もし満充電時に335kmなのであれば88%時に295km程度でなければならないのにだ。 ご存じのように、航続可能距離というのは直近の運転状況にしたがって計算されている。そのため、カタログスペックどおりにはいかないものだ。電費に悪い乗り方をしていればカタログスペックより短い航続可能距離になることはおかしくない。むしろ、カタログスペックで単純計算するより、リアルな運転に合わせて計算するほうが親切といえる。 ただし、上で示したメーター画面の中央付近に表示されているように、直近50.8kmの平均電費は10.4km/kWhとなっている。フィアット500eのバッテリー総電力量は42kWhとなっており、これらの数字をもとにすると、航続可能距離は以下の計算式で導かれるはずだ。 10.4km/kWh×42kWh×0.88≒384km つまり、メーター表示の航続可能距離は計算で導かれる航続性能の6掛けとなっているのだ。 こんなにアバウトな計算では役に立たない……と思ってしまうかもしれないが、一充電走行距離と航続可能距離というのは根本的に異なる概念であって、それぞれを関連付けて性能を判断するのは適切ではないのも事実だ。 WLTCモードでの一充電走行距離については、エアコンなどを使わず、規定された走行モードで走行不能になるまで走ったときの航続距離と理解すればいい。

TAG: #一充電走行距離 #航続可能距離
TEXT:桃田健史
特別感がないのが逆に強みか? ヒョンデのフラッグシップSUV「IONIQ 9」にチョイ乗りした

ロサンゼルスでワールドプレミア! 韓国の現代自動車グループ(以下、ヒョンデ)の最上級EV。それが「IONIQ 9(アイオニックナイン)」だ。量産モデルがワールドプレミアされたのは、昨年11月の米ロサンゼルスオートショーだった。つまり、ヒョンデとしてはEV市場としての将来性があるアメリカでの需要を優先する構えだ。 アメリカでは2025年に入り、第二次トランプ政権が発足し、いわゆるトランプ関税によって日本を含めた世界各国や地域がアメリカとの政治・経済における「ディール(取引き)」に頭を悩ませているところだ。 そうしたなかでも、中長期的にはアメリカでもEVシフトが進むというのが、ヒョンデを含めた世界自動車産業界の見立てだ。 韓国では4月からIONIQ 9の先行予約が開始されている。同月3日に開幕したソウルモビリティショー2025では、会場に隣接する駐車場を拠点にユーザー向けの公道試乗会が行われたが、家族連れやカップル、そして熟年夫婦など多様なユーザーがIONIQ 9の走りを味わっていた。 この試乗会に筆者も参加することができた。ヒョンデ本社と韓国自動車ジャーナリスト協会のサポートによるものだ。 まず外観だが、この前日に近隣にあるヒョンデ独自のブランド発信拠点「ヒョンデ・モビリティスタジオ」で見たときよりも、屋外ではさらに大きく見える。 ボディ寸法は、全長5060mmx全幅1980mmx全高1790mm、ホイールベースが3130mmである。アメリカ市場でいえば、フルサイズSUVというよりは、近年ますます大柄化しているミッドサイズSUV級の大きさだ。 サイドビューに特徴があり、SUVというよりは、大きなステーションワゴンといった雰囲気すらある。 インテリアは水平基調のダッシュボードで、デジタルサイドミラーのモニターを除けば、一般的な上級SUVという印象だ。IONIQ 5のインテリアが特徴的であるため、それと比較するとIONIQ 9のインテリア造形は正統派といえるだろう。 パワートレインは、RWD(リヤ駆動)をベースとしたAWD。モーターの最高出力は、リヤが160kW、フロントが70kW。電池容量は110.3kWhとかなり大きい。 では、走り出そう。今回は市街地と高速道路で約6kmを走行したが、思ったよりもドッシリ感が強くない。 これだけ大きな電池を床部に搭載していても、過度にドッシリ・ズッシリという乗り味ではない。一般的な米ミッドサイズSUVと同じような感覚で乗れる。 ただし、重量が大きいことは否めず、回生ブレーキは終始レベル2を維持する必要があるように感じた。 いまのところ、日本での発売計画はないが、大型EV・SUVとしてグローバル市場におけるベンチマークになることは間違いない。

TAG: #IONIQ 9 #SUV

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