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“次世代電気自動車”を謳う「BMW iX」だけに、エクステリアもインテリアも戸惑うくらいに新鮮さが溢れている。
グリルは大きく、ライトは細く
BMWのエクステリアを特徴づけているものといえば、“キドニーグリル”と呼ばれるラジエターグリル。最近はその大型化が著しく、このiXも例に漏れない。写真で見るかぎりは、「ちょっとやりすぎでは?」というのが正直な感想だった。しかし、実車を目の当たりにすると、「これはありかも!」と思えてくるから不思議である。
EVのiXでは、エンジン車のように大量の空気を取り込む必要はない。実際、大型のギドニーグリルにはラジエターに空気を取り込む開口部がなく、透明のカバーで覆われているから、その印象はさらに強烈だ。しかし、ギドニーグリルの大型化は単にデザイン上のメリットだけでなく、機能性の向上にも貢献している。その背後には運転支援システム用のカメラやレーダーが収まり、さらに降雪時には雪を融かすヒーターがパネルに一体化されているのだ。これに、細長いLEDヘッドライトが組み合わされたことで、iXのフロントマスクはこれまでのモデルとは大きく異なる表情を見せているのである。
押しの強いフロントマスクとは対照的に、塊感が強いiXのエクステリアからはシンプルでクリーンな印象を受ける。BMWのSUVとして初めてサッシュレスドアを採用したり、ドアハンドルをドアパネルに一体化したり、リアピラーの黒い部分に「iX」のロゴを刻んだりするのも、サイドビューの新しさを際だたせている。右リアのフェンダーには、フラップの奥に普通充電と急速充電のコネクターが収まっている。
ドアを開けるとCFRP(カーボンファイバー強化プラスチック)のサイドシルが目に入る。テールゲートを開けたときにもCFRPのボディに視線を奪われ、そのたびにiXが特別なクルマであることを強く印象づけられる。