2023年4月
TEXT:御堀 直嗣
知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第8回:電気自動車の中身と型式のバリエーション

バッテリーEVと燃料電池車 電気自動車は、永年「EV」と呼ばれてきた。しかし近年になって「BEV」との言い方が広がってきている。EVはエレクトリック・ヴィークルのアルファベット表記で、意味はまさしく電気自動車だ。BEVはバッテリー・エレクトリック・ヴィークルのアルファベット表記であり、電気自動車が車載のバッテリーでモーターを駆動していることを、改めて明確にした言い回しだ。 背景にあるのは、1990年代から燃料電池車が登場し、2015年にはトヨタから、翌年にはホンダから発売されるようになり、欧州ではメルセデス・ベンツが発売したことがある。韓国のヒョンデも販売しており、国内市場にNEXO(ネッソ)が導入されている。 燃料電池車は、FCV(フューエル・セル・ヴィークル)とアルファベット表記されるほか、FCEV(フューエル・セル・エレクトリック・ヴィークル)と表記される場合があり、この場合は燃料電池電気自動車の意味になる。 すなわち、EVという表記の付く車種が、バッテリーを車載する形態と、燃料電池を車載する形態の2通りとなって、どちらを指しているかをより明確にするため、これまでのEVをBEVといい、FCVやFCEVと区別する状況になっている。 BEVは、言葉通り車載のバッテリーにあらかじめ充電しておき、その電力でモーターを駆動して走る。その誕生は、19世紀末のガソリンエンジン車登場前といわれ、EVといえばBEVであることが当然とされてきた。 ちなみに、オーストリア・ハンガリー帝国生まれのフェルディナント・ポルシェ博士が最初に自分で設計したのは、1900年のローナー・ポルシェというEVだった。世界で最初に時速100kmを達成したのは、ベルギーのカミーユ・ジェナッツィが製作したラ・ジャメ・コンタントというEVで、1899年に記録している。EVは、エンジン車より先に高性能化の道を拓いた。 2009年の三菱i-MiEV発売以降、日産リーフや、BMW i3など、比較的小型のEVが発売されたが、今日ではメルセデス・ベンツEQSのような最上級高級車や、テスラ・モデルXやY、ジャガーI-PACE、BMW iXなどSUV(スポーツ多目的車)も加わり、BEVの選択肢は広がりつつある。 水素を利用するFCEV FCEVで電力をモーターへ供給するのは燃料電池だ。この装置に水素と酸素を注入することで発電し、その電力でモーターを駆動して走る。あらかじめ充電する手間がない。ただし、ガソリンを給油するように、水素タンクに高圧水素ガスを充填する必要がある。水素ステーションへ出向き、高圧水素ガスを充填する手間は、ガソリン給油と同様の行動になる。 ちなみにFCEVも、ある程度の容量のバッテリーを車載している例が多い。理由は、燃料電池から供給される電力を一時的に貯めておくバッファー機能とともに、急加速などの際に、燃料電池での発電だけでは電力が不足する場面があるかもしれず、それを補うため、バッテリーに充電した電力を活用する。充電は走行中に減速するときの回生によるため、BEVのように駐車中にあらかじめ充電する必要はない。 以上のように、モーター駆動で走行するところは同じだが、モーターに供給する電力をどう確保するかで、BEVとFCEVは異なる。 FCEVは2015年にトヨタ・ミライが発売され、現在はその2代目へモデルチェンジしている。ホンダ・クラリティ・フューエルセルは2016年に発売されたが、2021年に販売を終えた。韓国のヒョンデNEXO(ネッソ)は、2018年に韓国で発売された。

TAG: #EV知識・基礎の基礎 #御堀 直嗣
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
GMC、「ハマー EV」のラインナップ拡充と航続距離を公表……デイリーEVヘッドライン[2023.04.24]

上級グレード「3X」をピックアップとSUVに追加 最大航続距離は570km(WPA)のロングレンジ 【THE 視点】GMCは4月21日、電動SUVの「ハマー EV」に新バリエーションが加わると発表した。2023年モデルの「ハマー EV SUV」と、2024年モデルの「ハマー EV ピックアップ」に、それぞれ「エディション1」と「3X」というグレードを設定する。 「ハマー EV SUV」は、「エディション1」と「3X」それぞれにオンロード志向とオフロード志向が用意され、計4つのモデルが展開される。そのうち「3X SUV 22インチホイール装着車」は、3モーターのAWD(前1基/後2基)で、最高出力620kW(842ps)/最大トルク1万5,594Nm(1,587kgm)を発生。最大航続距離は約500km(WPA)となる。 「ハマー EV ピックアップ」は、SUVと同様に「エディション1」と「3X」が用意されるが、「エディション1」はオンのみで、「3X」には両志向を設定。計3つのモデルが展開される。 そのうち「3X ピックアップ 22インチホイール装着車」は、SUV同様の3モーターAWDながら、最高出力745kW(1,014ps)/最大トルク1万5,594Nm(1,587kgm)に出力が高められている。最大航続距離も570km(WPA)とSUVよりも長い。ちなみに2021年にピックアップの限定車が発売された際には、10分で完売した人気ぶりだ。 今回はピックアップとSUV双方に上級モデル追加の発表となった。AWDで1,000ps超えという言わばスーパーピックアップ(GMCでは、スーパートラックと呼んでいる)の価格は、10万ドル程度(約1,300万円)となりそうだが、やはり即完売となるのではないだろうか。 日本においてはサイズが大きすぎて取り回しに苦戦するだろうが、購入希望者はいるだろう。国内導入はどうなるだろうか。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★CJPT、FCEVの小型トラックを東京都で展開……物流企業や東京都と連携を強化 ★★EVの2次・3次利用の可能性を探る実証実験が開始……大阪府能勢町/同豊能町/能勢・豊能まちづくり/イー・コンザル/住友三井オートサービスが官民で連携、リユースEVの公用車化など[詳細はこちら<click>] ★★クプラ、SUVの新型EV「タバスカン」を世界初公開……フォルクスワーゲンのプラットフォーム「MEB」を使用、ツインモーター式で最高出力210kW(286ps)と250kW(340ps)の2タイプを用意[詳細はこちら<click>] ★フォード、EVのピックアップトラック「F-150 ライトニング」をノルウェーで発売……グローバル販売の第一弾[詳細はこちら<click>] ★フォルクスワーゲン、第1四半期のBEVの納入が前年同時期比42%増加……14万1,000台を納入、欧州では68%増の9万8,000台 ★テスラ専門のレンタカーサービスが開始……ライトマークスが運営、「モデル3」が5台・「モデルY」が1台の計6台が稼働 ★テラモーターズ、沖縄にEV充電インフラを整備へ……沖縄県内の各施設などに導入決定、代理店も募集 ★テスラ、全国8カ所に最高出力250kWの急速充電器「スーパーチャージャー」を設置……東京・八重洲など[詳細はこちら<click>] ★テスラ、試乗キャンペーン「オートパイロット体験」を期間延長……5月31日(水)まで、東名川崎/心斎橋/福岡の3店舗で実施 ★BYDオート横浜中央(横浜市中区)が2月22日(土)にオープン……双日オートグループジャパンが運営、横浜市営地下鉄・伊勢佐木長者町駅から徒歩約5分 ★BYDオート静岡、4月28日から試乗商談開始……Cool The Earthが運営、事前予約制で「ATTO 3」に試乗可能 ★電動トゥクトゥクのエモビ、4月28日から大型連休割引を開始……レンタルステーション「えもび鎌倉」が鎌倉市民向けに提供、連休中の混雑回避手段として提案 ★フォーミュラE第7戦ベルリン、ミッチ・エバンス選手(ジャガーTCSレーシング)が優勝……9番手スタートから虎視眈々と追い上げ、40周のレースを制す

TAG: #SUV #THE視点 #ニューモデル #ハマー
TEXT:TET 編集部
ジャガー、EVの4ドアGTモデルを2023年後半に発表。さらなる新型車の予定も

ジャガー・ランドローバーグループ(JLR)は電動化の加速を中心とした経営変革プランを発表。そのなかで、ジャガー・ブランドのニューモデルとしてフル電動(BEV)の4ドアGTを、2024年から一部市場で発売すると明らかにした。 ジャガー史上最高の出力と最大700kmの航続距離を実現 往年のジャガーと言えば「XJ」に代表される流麗な大型4ドアサルーンがイメージリーダーだったが、そのXJも既に生産は終了し、今や売れ線は「F-PACE」、「E-PACE」などのSUV勢となっている。ではなぜ、XJの新世代モデルが登場していないかというと、それは電動化を進めるためとみられる。ジャガーの次期フラッグシップはBEVになることが既定路線というわけだ。 そうしたなか、今回の発表で明らかにされたのが、新たな電動4ドアGTの登場。ジャガーがあえて「4ドアサルーン」ではなく「4ドアGT」というフレーズを使っていることからも、新型車がコンベンショナルなセダンではなく、クーペライクなルーフラインを持つ流麗なデザインのモデルになると想像される。 そして、現行のジャガー4ドアモデルが「XE」、「XF」というミドルサイズのみであることから、新型4ドアGTは比較的大型のモデルになりそうだ。このモデルが新たなジャガーのフラッグシップになる可能性も否定できない。 JLRによると、新型4ドアGTはジャガー史上最高の出力と最大700kmの航続距離を備え、10万ポンド(約1670万円)を上回る価格設定になる予定。これまで、ジャガーはスーパーチャージドV8から600馬力を絞り出す「XE SV Project 8」といった超高性能モデルを送り出した経緯もあることから、新たなフラッグシップはそれを上回る出力を引っさげて登場する可能性もありそうだ。 >>>次ページ 他にも新型EVが2モデル登場予定

TAG: #XJ #セダン
TEXT:栁 蒼太
出光、種子島空港でEVの充電実証実験を開始

出光興産、種子島石油、種子島空港の3社は4月10日、種子島空港内の小規模オンサイトPPA(※)による空港ターミナルビルへの電力供給と、EV充電の共同実証を開始した。 ※オンサイトPPA:Power Purchase Agreement(電力販売契約)の一種で、PPA事業者所有の太陽光発電設備を使用者の敷地や事務所・工場などの屋根に設置し、電力を供給するもの。   3社のコラボで達成 3社は、空港におけるカーボンニュートラル実現のための施策として、空港敷地内に太陽光発電パネルを設置し、ターミナルビルにて太陽光由来の電力を活用することによるCO2の排出削減を実証するとともに、再エネ電力のさらなる普及を促進する。 実証にあたっては、2023年3月29日に出光興産が発表した再エネ電力分別供給システム「IDEPASS」を活用し、空港敷地内で発電した再エネ電力を空港ターミナルビルのテナントへ選択的に供給する。あわせて、種子島石油が空港敷地内で管理・運用するEV用普通充電器で、再エネ電力および系統から送電された再エネ以外の電力を公用EVなどに充電する。 なお、出光興産と種子島石油はこれまで、西之表市の公共交通車両のEV化・充電を含めたEV関連事業実証や、南種子町役場庁舎への再エネ電力の供給・EV充電等の実証等を通じ、各市町と協働して種子島における低炭素エネルギーの地産地消の推進に取り組んできた。 充電に多様な選択肢を 今回設置した普通充電器は、従量課金制(充電量に比例して課金)を採用する。さらに、出光興産が開発したEV充電システム「再エネチョイス」を活用しており、EVユーザーが自ら再エネでの充電を選択することが可能だ。 従量課金制による普通充電、そしてユーザーが再エネを選択できる充電は、本年4月3日に南種子町役場で開始した実証とともに、国内における先行事例となる。充電する電力種別や、必要充電量・金額をユーザーが選択することが可能であり、ユーザーニーズに合致した充電が可能となる。なお、当該充電器は一般の人も利用することができる。 どうなる、コラボの行く末 種子島空港は、島外との往来の空の玄関口であり、ビジネスや観光などの活動の起点となる場所だ。実証は4年間の予定で行い、小規模オンサイトPPAの事業性、再エネ電力活用によるCO2の排出削減、従量課金制充電の顧客満足・事業性等について検証する。これらの検証を通じ、出光興産、種子島石油、種子島空港は、空港における低炭素エネルギーの地産地消推進と、EVユーザーと地域の充電事業運営者にとって最適なサービスの構築を目指す。 なお、政府の第6次エネルギー基本計画(2021年10月)では、空港施設・空港車両のCO2排出削減を含む航空分野の脱炭素化の推進と同時に、「空港を再エネ拠点化する方策を検討・始動し、官民連携の取り組みを推進する」ことが盛り込まれている。この実証実験が全国展開への足がかりとなるか、期待したいものだ。  

TAG: #充電 #出光
TEXT:烏山 大輔
テスラの超急速充電器「スーパーチャージャー」、8か所46基増え日本全国で68か所328基が稼働。「オートパイロット」体験会が好評につき期間延長。

テスラの超急速充電器「スーパーチャージャー」が、日本全国で拡大している。現在、北海道から鹿児島まで計68ヵ所328基のスーパーチャージャーが稼働している。これらのスーパーチャージャーは、タッチスクリーンをタップするだけで認証や決済作業が不要で、手軽かつスムーズにテスラ車の充電が可能だ。 3月に新たにオープンした8ヵ所のスーパーチャージャー 東京 八重洲 250kW 4基 東京都中央区八重洲2-2-1(東京ミッドタウン八重洲) 東京 板橋前野 250kW 4基 東京都板橋区前野町4-21-22(イオンスタイル板橋前野) 神奈川 大井松田 250kW 6基 神奈川県足柄上郡大井町金子字中の町325-1(ノジマ大井松田店) 神奈川 厚木 250kW 8基 神奈川県厚木市岡田3005(ノジマ厚木本店) 静岡 250kW 6基 静岡県静岡市駿河区宮本町1-2(BEYOND静岡店) 兵庫 伊丹昆陽 250kW 8基 兵庫県伊丹市池尻4丁目1-1(イオンモール伊丹昆陽) 宮崎 250kW 4基 宮崎県宮崎市中村西3-94-1(エディオン宮﨑本店) 鹿児島 250kW 6基 鹿児島県鹿児島市東開町7(イオンモール鹿児島)   またテスラの「オートパイロット」体験会が好評につき5月31日まで延長された。 「オートパイロット」は、高速道路での運転をより快適なものにするためのテスラの運転支援機能のことである。アダプティブ・クルーズ・コントロールやレーン・キープ・アシストなどの高度な運転支援機能が全車標準装備されている。 この「オートパイロット」の体験会は、好評につきゴールデンウィーク期間中も開催される。未来の運転を体験してみたいという方は、ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。 オートパイロット体験会実施店舗 テスラサービスセンター東名川崎 神奈川県川崎市宮前区土橋6-10-1 テスラ心斎橋 大阪府大阪市中央区南船場4-2-4 テスラ福岡 福岡県福岡市中央区地行浜2丁目2−1

TAG: #充電
TEXT:烏山大輔
フォード、F-150 Lightning(ライトニング)の初輸出先をノルウェーに決定。

フォードはノルウェー(2022年の新車販売の79.3%がBEV)国民の圧倒的な要望に応えて、電動ピックアップトラックであるF-150ライトニングをノルウェー市場に投入し、同車を初めてグローバル化すると発表した。 販売されるのは「F-150 Lightning Lariat Launch Edition(F-150ライトニング・ラリアート・ラウンチ・エディション)」。スーパークルーキャブ(5人乗り)のボディスタイルに、アンティマターブルー・メタリックのボディカラーを採用する。台数限定での販売となり、納車は2024年からの予定だ。 また、フォードは急増する顧客の需要に応えるため、ミシガン州ディアボーンのルージュ電気自動車センターで、F-150ライトニングの生産能力をほぼ倍の年間15万台とすると発表した。 なお、現在世界39の市場で販売されている「マスタング・マッハE」は、2021年にノルウェーでベストセラーに浮上し、その後もトップ5入りを続けている。 フォードは2026年までに全世界で500億ドル(約6兆7500億円)以上をBEVに投資し、同年末までに全世界で200万台のBEVの生産を目標としている。同社は、2030年までに世界の自動車販売台数の半分がBEVになると予想しており、2050年までにカーボンニュートラルを実現するための取り組みを進めている。 ※今回スペックの発表がなかったので、参考までにアメリカ仕様のスペックを記す。 F-150 ライトニング(エクステンデッド・レンジ・バッテリー) 全長:5,911mm 全幅:2,032mm 全高:1,989mm ホイールベース:3,696mm 乗車定員:5名 一充電走行距離:515km(EPA) 最高出力:433kW(589ps) 最大トルク:1,050Nm(107kgm) バッテリー総電力量:131kWh モーター数:前1基、後1基 駆動方式:AWD フロントサスペンション:ダブルウィッシュボーン リアサスペンション:セミ・トレーリングアーム フランク容量:400L 車両本体価格:85,974ドル(約1,150万円)

TAG: #F-150 #ライトニング
TEXT:加納亨介
EVオーナー114人の本音と実態を探る。補助金は? 利用シーンは? アンケート 結果発表(第2回)

THE EV TIMESのオープンに合わせ本年2月末まで実施していたEVオーナーアンケート。114名の皆様から回答をいただきました。誠にありがとうございました。 結果報告の第2回目は「補助金とEV利用シーン」についてです。 【アンケート概要】 調査対象:EVオーナー 調査方法:インターネット 調査実施期間:2023年1月12日〜2023年2月28日 アンケート回収状況:114件   第2回テーマ:補助金と利用シーン 「EV購入時に補助金をいくら受け取りましたか」 ・意外に多い「もらっていない」 金額のばらつきは車両価格や購入のタイミング、またはお住まいの地域によるものだろう。補助金は新車/中古車いずれの場合でも支給されるはずだが、16.7%の方はもらっていなかった。もらわない理由についてのコメントは見当たらなかったが、補助金をもらうと4年間は買い換えられない(買い換えると返金の手続きが必要)いわゆる”4年縛り”の影響と思われる。また「補助金についてご意見があれば教えてください」としてフリーコメントを聞いている。高評価が多いのは当然ながら、一方で「地方自治体により差があるのはおかしい」「支給までに時間がかかる」「輸入車と差をつけるべき」「4年縛りは無くしてほしい」「車両補助金を減らしてでも充電器設置へ向けた補助金を増やしてほしい」「補助金よりも税金等の負担減を」などの声があった。 「補助金がなければEVを買いませんでしたか」 ・EV普及に補助金は関係ない? 過半数の方が補助金などなくともEVを買うという勇ましい結果になった。経済面ばかりでなく、スムーズなドライブフィールや静粛性、重い車重による重厚な乗り心地などEVならではの乗り味に対する期待が窺われる。 「普段最もよくEVを使うシーンを教えてください」 ・毎日乗る方が多い模様 おそらく毎日であろう「通勤」が、毎日ではないであろう「レジャー・旅行」を退けてトップに立った。充電器のある職場はまだ稀なはずなので、自宅充電が必須と思われる。実際、今回のアンケートでは78.1%の方が自宅に充電環境を整えていた。ドライブなど明らかに仕事絡みではないと思われる回答は2名に過ぎなかった。 「月間の平均走行距離を教えてください」 ・ICEと変わらない ICEとハイブリッド車が調査対象の95%以上を占めるソニー損保の「全国カーライフ実態調査」によれば、日本の自動車ユーザーの年間走行距離は平均で6,727km。月にして約560kmとなっている。我々のアンケートと照らし合わせると、走行距離の少ないユーザーがEVを選んでいるわけではないことがわかる。 「EVで一番の遠出をした際の片道の距離を教えてください」 ・長距離を厭わない姿勢 選択肢の中で最も長い「400km以上」が最多得票となった。EVの航続距離は日進月歩だが、これはほとんどのEVにとって満充電出発でも厳しい距離と思われる。事前に公共充電施設の場所を調べ、行程を決定しておくというICEでは必要ない準備が必要だろう。2位の「100〜200km」でも目的地充電を勘案しなければならない。公共充電施設の拡充は急務といえる。 第2回目は以上です。次回は「V2Hと並行所有車」についてお伝えします。  

TAG: #航続距離 #補助金 #読者アンケート
TEXT:栁 蒼太
フォード、プロトタイプEVの「マスタング・スーパー・コブラジェット1800」を開発

フォードモーターの高性能車とモータースポーツ車両を手がける「フォード・パフォーマンス」はNHRA(National Hot Rod Association:全米ホットロッド・アソシエーション)世界記録を持つ「マスタング・コブラジェット1400」を改良した「マスタング・スーパー・コブラジェット1800」のプロトタイプを発表した。 伝説の名を背負い、世界記録を塗り替えよ 同車は、「マスタング・コブラジェット1400」が持つEVの世界記録であるクォーターマイル(1/4マイル:402m)加速タイム記録8.128秒の更新を狙う。 この目標に対して、フォード・パフォーマンスが率いるチームは、シャシー、パワートレイン、制御システムの修正とアップグレードに全力を注いだ。 また、1969年モデル以来となる伝説のネーミング「スーパーコブラジェット」の名を復活させた。 最強の組み合わせで最速を目指す スーパーコブラジェット1800は、大幅な軽量化を実施。先代と同様に4基のPN-250-DZRインバーターと2基のダブルスタックDS-250-115モーターを搭載している。これらをベースにフォード・パフォーマンスとMLe Racecarsにより設計された、軽量のバッテリーシステムが組み合わせられている。 なお、走行は、AEM社(※)のハードウェア上で動作する、フォード・パフォーマンス独自の制御ソフトウェアによって管理されている。また、新しいデータ収集システム、ダッシュボード、電力分配システムはすべて独自の設計がされている。 ※AEM社:自動車用のエンジンマネジメントシステム、電子制御製品、パフォーマンス部品、吸気システム、排気システム、ゲージ、ディスプレイなどを設計、製造、販売する米国の企業。 集まる注目と期待 スーパーコブラジェット1800は、フルボディ電気自動車の新記録を目指すだけでなく、2023年後半のNHRAイベントで、電気自動車0-60mph最速記録と電気自動車2輪駆動0-60mph最速記録の達成にも挑戦する予定だ。ドライバーはMLe Racecarの共同設立者であり、公式プログラムのテストドライバーでもあるパット・マキューを予定している。 自動車の技術や英知を結集した大変見応えがありそうなこのイベント。今年も新しい記録が生まれることを期待したい。

TAG: #フォード #マスタング
TEXT:嶋田 智之
自動車ライター嶋田智之さんのイベントリポート、EV:LIFE FUTAKOTAMAGAWA 2023、その2

竹岡 圭さんが案内する各ブランド・イチオシのEVたち 僕がイベントにお邪魔した18日の土曜日は、モータージャーナリストの竹岡 圭さんが会場を訪れていて、マイクを持って各ブースを回るという催しも行われた。圭さんがフィアットのブランドマネージャーである熊崎陽子さん、ジープのブランドマネージャーである新海宏樹さん、プジョーのプロダクトマネージャーである八木亮祐さんというマーケティング部のお三方それぞれに質問をし、マーケティング部の方々が答えていくというかたちでトークが進められた。 が、興味深い内容は多々あれど、それを連ねはじめると絵巻物のような長文になってしまう。ここではそれぞれについて圭さんからコメントをいただいたので、そちらを紹介することにしよう。 フィアット 500e 「フィアット500eは、パッと見だとこれまでの500のガソリンエンジンを電気モーターにすげ替えただけのクルマに思えるという人も多いと思うけど、実はイチからちゃんと設計もデザインもしていて、95%くらい違う部品でできているんですよね。なのに、スタイリングから受ける雰囲気も乗り味も、エンジンの500とほとんど同じ。そこがすごいと思います。展示されていたのはオープンモデルなんですけど、オープンカーはトップを開けると見えちゃうから、インテリアもエクステリアのようなもの。そこにもものすごくこだわって作っているところがまた素晴らしい。顔がチコちゃんみたいで(笑)、名前をつけたいくなるくらいかわいいです。“かわいい”は正義、でしょう? そのかわいさを活かしつつ、500に乗ったときの独特の楽しさを、低重心による安定感とともに再現しているんですよね。とってもよくできていると思います。EVがどうっていう以前に、クルマとして楽しいですよね」 ジープ・ラングラー・ルビコン4×e 「実はラングラーのPHEVは未試乗なんです。なので、最初にジープのPHEVとして日本に入ってきたレネゲード4×eのお話になっちゃうんですけど、電気モーターってすごく細かく制御ができるので、岩場とかの悪路であと1cm動かしたいようなときに、そういうことができちゃうんですよ。悪路を走るジープと電気モーターの組み合わせは、ものすごく相性がいいと思うんですよ。でも完全なBEVだと、山の奥とか砂漠とかでは充電できないから、そうなるとお手上げ。PHEVというのは、最良の選択でもあるんです。それに重いバッテリーを積んでいるから、その分だけ乗り味にしっとり感が出る。普段使いの乗り味もいいんですよ。おそらくラングラーもそういうクルマに仕上がっていると思います。しかもルビコンといえば、階段登れちゃうヤツ(笑)でしょ。それがモーター駆動になったのだから、さらにパフォーマンスが上がっていることが期待できますね。アドベンチャーなところでぜひ乗ってみたいです」 プジョー e-208 「e-208だけに限ったことじゃないんですけど、プジョーのBEVやPHEVは、同じモデルのガソリン車とかディーゼル車とかほかのパワートレーンンのクルマと並べても、それどころか乗り換えても、違和感がないのがいいところだと思うんですよ。BEVって普通は乗り味が独特でしょう? 同じモデルでパワートレーンがいくつか用意されている場合、BEVはわざとBEVっぽくして乗り味を変えているメーカーが多いんだけど、プジョーはそうしていないんですよ。そこが独特というか、乗り味というものへの考え方に1本しっかり筋が通っている感じ。そうなると、うちは充電できるからBEVにしようとか、うちはダメだからガソリンかなという感じで、ルックスと使い勝手が好きなモデルの中から選んでいける。自分のライフスタイルに合わせてパワートレインを選べるのって、なかなかないですよ。プジョーが提唱している“パワー・オブ・チョイス”って、非常によいと思います。もちろんe-208も、ほかの208と同じような乗り味で、そこにBEVならではのよさが加わっているから、1台のコンパクトハッチとしてはかなり素晴らしいクルマになっていますよ」 今回ここで紹介したのはわずか3モデルだけど、語られていることはそれぞれまったく違っていて、ときどきまことしやかにいわれる“電気自動車なんて何に乗ってもほとんど似たようなもの”というのは、真実なんかじゃないことがおわかりいただけるだろう。 内燃エンジンのクルマがそうであるように、ブランドによって、車種によって、乗り味も個性もまったく違っている。今や自分のライフスタイルに合わせて、クルマの原動力をチョイスできるどころか、その中から乗り味や個性だって選べるわけだ。何とも充実した時代になったものだな、と感じた1日だった。

TAG: #EVイベント
TEXT:田中 誠司
中庸からの脱却は難しい[ソルテラ試乗記:その2]

スバル・ソルテラの高速道路での振る舞いや室内空間を確認しつつ、小旅行を終えて抱いた感想とは。 FWDのガソリン車のような性格 加速のポテンシャルは高速道路に足を踏み入れても変わらない。それまでゆるりとおとなしく一定速を保っていても、合流側の車両の速度に応じてふとアクセルペダルを踏み込んでやると、想像以上に鋭い加速が生み出されて必要な速度に達することができるのだ。 いっぽう、ブレーキは浅く踏んだ瞬間のレスポンスが非常に緩やかで、ディスクによって速度を殺しているという感じをあまり受けない。 車検証上における前後重量配分は前が1,110kg、後が940kgである。モーターは前後それぞれに80kW(109ps)を配している。従来のトヨタ/スバル製SUVと操作性を極端に変えないように、コンポーネンツの配置をこれまでのFWDベースのSUVと大きく変更していないのが理由だ。ゆえにフロントのボンネットを開けてもいわゆる“フランク”と呼ばれるラゲッジスペースは存在しない。 とはいえ、全長が5ナンバーサイズに収まるソルテラにおいて、荷室容量と室内空間に苦情が出る心配はまずないだろう。カタログ掲載の荷室容量は441〜452L、実測値では幅の最大値が129cm、奥行きが98cm、トノカバーまでの高さが40cm。スクエアでとても使いやすそうだ。 身長172cmの筆者がドライビング・ポジションを決め、その背後に移動したシーンにおいて膝前には23cmの余裕がある。床面もプロペラシャフトがないため足の置き場に困ることはなく、前席と合わせて5人のおとなが長距離移動することになったとしても文句はないだろう。試乗車はスタッドレス・タイヤを装着していたが、ざわついた感じは本当にわずかで、これがノーマルタイヤだと言われても気づかない範囲でしかなかった。 車重が大きいEV、とりわけ積載量も大きいSUVはタイヤサイズが特別な意図をせずとも大きくなってしまうケースが多い。となれば乗り心地の突き上げ感もロードノイズも増大してしまうのが当たり前で、これをどのように抑えているのかがクルマ選びのポイントにもなるだろう。

TAG: #ソルテラ #電気自動車

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