2023年3月
TEXT:烏山 大輔
いすゞ、商用BEV導入時の課題解決と脱炭素化をサポートする「EVision」を提供開始

いすゞ自動車株式会社は、いすゞとして初の量産バッテリーEV 小型トラック「ELF(エルフ)EV」の市場投入に合わせ、トータルソリューションプログラム「EVision(イービジョン)」を構築し、3月7日よりサービスの提供を開始した。 このプログラムは、商用BEVの導入検討のサポート、導入課題の解決、CO2排出量削減効果の定量化、さらなる脱炭素化提案によるカーボンニュートラル実現に向けたものである。 各フェーズでの提供ソリューション 顧客が商用BEVを導入するにあたり、様々な課題が想定される。充電設備や電気料金、環境負荷軽減効果などである。これらの課題を解決するため、いすゞは「EVision」を通じ、商用BEVの導入検討から導入時、導入後の各フェーズにおけるソリューションを提供する。 1.導入検討をサポートする「EVisionコンシェルジュ」 顧客がEVを導入した場合のオペレーションを可視化し、最適な運用パターンを設計する。顧客が安心してEVを導入出来るように、導入に向けての検討をサポートする。 [具体的な内容] ・EVへの切替が可能な運行ルート ・充電器・充電時間・タイムスケジュール ・電気料金・施設電力デマンド等を分析 ・導入後のCO2排出量削減効果をシミュレーション 2.導入課題を解決する「EVisionソリューション」 導入フェーズでは、運行の効率化支援や周辺サービスを提供する。 [具体的な内容] ・充電器の選定から施工業者の手配・設置 ・補助金申請といったトータルコーディネートを行う充電ソリューション ・「EVisionプレイズムコントラクト」の設計 ※顧客の運行計画に応じて動力バッテリーの劣化を予測しリース期間に反映するEV業界において先進的なリース契約をパッケージ化したもの。 ・従来と同様の運行管理・予防整備サービス ・商用車情報基盤「GATEX」の車両制御による遠隔充電管理 ・顧客の施設のエネルギーマネジメントシステムと「GATEX」を連携させた消費電力のピークシフトの実現 ・顧客のニーズに合わせた太陽光パネルの導入や再エネ電力プラン、非化石証書等の提案 3.排出量削減効果を定量化する「EVisionレビュー」 [具体的な内容] ・EV、再エネ導入によるCO2排出量の削減効果のフィードバック、さらなる効果拡大の提案 ・法律で義務付けられる温室効果ガスの排出量の国への報告、およびクライアントへの排出量削減目標の進捗報告のサポート

TAG: #EVトラック
TEXT:曽宮 岳大
「クルマ好きだからテスラを選んだ」 モデル3オーナー、石井さんが感じた衝撃

EVを充電中、待ち時間を楽しめるグルメを会員同士が紹介しあうコミュニティ『EVごはん』。その運営に携わられている石井啓介さんは、大が付くクルマ好きで、BMW M3を夢見つつ、愛車に迎えることになったのが「モデル3」だった。多くのクルマを乗り継ぎ、テスラでのEVライフを楽しんでいるエンスージャストに、なぜテスラを選んだのか、そしてEVを所有することで変化したカーライフやコミュニティの楽しみについてうかがった。 常識を根底から覆す販売方法に湧いた興味 聞けば石井さんは、子どもの頃からのクルマ好き。自動車雑誌を買いあさっていた学生時代を経て、大人になってからは往年の名車の中古車を1年おきぐらいに買い換えるカーライフを送ってきた。自動車関連業界を得意とするマーケティング会社を運営する一方で、EVライフをより楽しめる場を作りたいと『EVごはん』をスタート。そうした経験からも、クルマへの関心の強さや豊富な経験をうかがい知ることができる。そんな石井さんは、どんな理由からテスラを選んだのか。 「僕はずっとクルマ好きで、『EVはつまらない』とか『クルマ好きがEVに行ったら終わり』みたいな風潮がある中で、フラットにEVを見てきたつもりです。もっとも仕事の関係で15年ぐらい前の初期の国産のEVにも触れる機会があった時には、EVはまだ航続距離が短く、実用レベルにないと感じましたし、5年ぐらい前にプライベートで日産リーフの1週間モニターを経験したときには、だいぶ進化を感じたものの、それでもまだまだかなと思っていたんです。コロナ禍のなか2020年にクルマを乗り換えようと思った時、たまには新車を買ってみようと色々なクルマに試乗したのですが、どれも面白く感じなくて。あるとき知人にテスラを紹介してもらい、乗ってみたところ衝撃を受けたんです」   黎明期のEVに乗った時は、どのあたりに不満を感じたのですか? 「加速はスムーズだし、車内は静かで面白さも感じたのですが、クルマ好きの目線では動力性能も卓越したものではなかったし、ハンドリングも良いというレベルまでには達していなかったと思います。僕は一番好きなクルマはBMW M3なんですけど、やはりお値段的に買えるものではないので。そこでテスラに乗ってみたところ、動力性能はM3並に高いことを知り、強く惹かれたんです(笑)」   EVが勢いよく加速する感覚を経験済みだったにもかかわらず、テスラの加速は他のEVとは違ったと? 「そうですね。全然違いましたね。あとはクルマに関する仕事をずっとやってきて、販売店でクルマを売るためにはどうしたらいいかということに携わってきた身として、スマホでポチッとするだけでクルマを買うというところに衝撃を受けました。テスラのショールームに行ってもお茶ひとつ出なかったし、セールスはいないし、職業柄、正直驚きましたね。これで5〜600万円やそれ以上するクルマを売るのか……と。従来の自動車マーケティングが全否定された感じがして衝撃でしたね。と同時にこんな時代が来たんだ、と。これは経験しておきたいという興味をそそられた部分もあります」

TAG: #モデル3
TEXT:栁 蒼太
テラモーターズ、電源のない月極駐車場へのEV用充電器導入をサポート

EV充電インフラ「テラチャージ」(Terra Charge)を提供するTerra Motors株式会社は、月極駐車場や青空駐車場といった電源が無い駐車場に対し、EV充電設備を導入できる新プランを発表した。 テラモーターズが見出した充電の課題 EVの充電は、従来のガソリンスタンドのように補給のための外出が必要ないため、自動車の保管場所といった長時間駐車が前提となる場所で、日常的に充電をすることが最適とされている。また、自動車の保管場所として、マンションなど自宅でのEV充電導入が進んできている。しかしながら、自宅に駐車スペースがない場合も多く、そういった時には月極駐車場を契約することが一般的だ。 一方で、EVユーザーが月極駐車場を借りる際には、EV充電設備がある駐車場がベストだが、月極駐車場は青空駐車場であったり、電源を有する設備が敷地内にないということも多いため、そもそも電気契約をしていないケースが多い。これからEVが増える想定であっても、新規で電気を引き込んでまでEV充電設備を導入するという判断は難しいという課題があった。 テラチャージを電源がないところにも 充電環境が整っていない(敷地内に電源がない、電源があっても契約アンペア数に余剰がない場合など)駐車場であってもEV充電設備を導入できるようにすべく新プランを発表した。新プランは、テラモーターズが無料で電気の新規引込を行う上で、電気の基本料金や電気代に関しても実質無料で、テラチャージの特徴でもある初期費用・ランニングコストも無料となるため、駐車場オーナーや契約者の負担なく、EV充電設備の導入が可能となった。 ■対象施設 ・敷地内に電源がない月極駐車場 ・敷地内に電源はあるが、契約アンペア数に余剰がない月極駐車場 ■新プラン内容 ・電源新規1引込が無料 ・EV充電インフラ「Terra Charge」3kWモデル3基が無料 ・5年間、新規引込分電源の基本料金が実質無料 ・新規引込費用、充電設備代、工事代が無料 ・充電にかかる電気代が実質無料 ■テラチャージとは テラモーターズが、2022年4月より開始した電気自動車向けの充電インフラ。EVの充電設備だけでなく、充電時間の設定や料金決済を行う専用アプリ、管理クラウド、サービスの提供開始に必要な説明、充電設備の設置工事、ハードおよびソフトの管理運営までを一貫して担う。テラチャージによって、日本でEVがもっと身近になる環境づくりを目指している。 ■Terra Motors株式会社 設立:2010年 4月 資本金:19億円(資本準備金を含む) 代表者:徳重徹(取締役会長)、上田晃裕(代表取締役社長) 事業内容:EV充電インフラ事業、e-Mobility 事業、金融サービス事業、Connected E-Mobility プラットフォーム事業 ■新プラン・EV充電について問い合わせ先 Terra Motors株式会社 EVインフラ事業部 MAIL:info@terramotors.co.jp TEL:03-6823-4959

TAG: #テラモーターズ #充電
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
スカニア、ノルウェーの石灰石採石場にEVトラックを納入……デイリーEVヘッドライン[2023.03.08]

EV化で156トンのCO2を削減 海外では大型トラックのEV化が進む 【THE 視点】スカニアは、ノルウェー最大のEVトラックを「ヴェルダルスカルク石灰石採石場」(ノルウェー・ヴェルダルスカルク)に納入したと発表した。 総重量は66トンで、年間約120万トンの石灰を採石場から港に輸送して出荷する。このルートでの以前の化石燃料の消費量は5万8,000Lで、EV化により156トンのCO2が削減される。 このEVトラックのパワートレインは、最高出力450kW(612ps)・最大トルク3,500Nm(356.9kgm)のモーターと6速のトランスミッションからなる。9つのバッテリーパックの総容量は300kWhで、充電は最大130kWの容量を持つ。 これ以外にもノルウェーでは、100台以上のスカニア製EVトラックが走っているという。 先日のヘッドラインでも紹介したとおり、海外では新車運搬用のEVトレーラーも登場するなど、大型車両のEV化が進んでいる[詳細はこちら<click>]。日本の商用EVでは「三菱ふそう e-キャンター」の8トン・クラスが稼働しているが、海外では20トンまたはそれ以上の大型化が目立つ。テスラも大型EVトラック「セミ」が、すでに量産車として納車が始まっている。 筆者のところにも、これまでに日本で発電所向けの石炭輸送用の大型EVトラックや、港湾車両用の大型EVトレーラーの引き合いはあったが、いずれも実現はしなかった。大型トラックをEV化しようとする動きはあるものの、遅々として進まない日本が心配である。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ヒョンデ、新型EV「コナ」をワールドプレミア……BセグメントのSUV、年内に日本導入予定[詳細はこちら<click>] ★★いすゞ、小型トラック「エルフ」を刷新しEVをラインナップ……導入をサポートするプログラム「EVision」も開始[詳細はこちら<click>] ★日本EVクラブ、「電気カート組み立て教室」を開催[詳細はこちら<click>] ★ニオ、2月の販売台数は前月比42.9%増の1万2,157台……前年比98%増の大幅成長 ★テラモーターズ、電源のない月極駐車場へのEV用充電器導入をサポート……電気の引き込みから充電設備の設置まで無料で[詳細はこちら<click>] ★中国ジーリー、プレミアムシリーズ「Geely Yinhe」を発表……2023年第4四半期にEVモデルも投入 ★マップボックス・ジャパン、エンドツーエンドソリューション「マップボックス・フォーEV」をリリース……車載アプリに搭載することで正確な航続距離と最適な充電場所の検索が可能に[詳細はこちら<click>] ★双日、日本国内供給向けに電気モーター向けのレアアースを確保……豪ライナス社との共同設立会社を通じライナス生産の「ジスプロシウム」および「テルビウム」の最大65%を日本向けに供給[詳細はこちら<click>] ★ホンダ、米ラスベガスで開催の建設機械展「CONEXPO-CON/AGG 2023」(3月14日(火)〜18日(土))にて、電動の自律移動モビリティ「Honda Autonomous Work Vehicle」のプロトタイプを公開 ★EVバイクのジーム、EVバイクの試乗・即売会を開催……原付一種から軽二輪クラスのモデルを6台用意、3月12日(日)に「名鉄百貨店一宮店」(愛知県一宮市)にて

TAG: #EVトラック #THE視点 #商用EV
TEXT:栁 蒼太
フォード、北米の複数の生産工場でEVの生産を拡大

フォードは、顧客の高まるEV需要に応えるため、クアウティトラン、デトロイト、カンザスシティの製造拠点でマスタング・マッハ-E、F-150 ライトニング、 E-トランジットなどの人気EVモデルの生産を拡大する。 また、2023年に販売を予定している新型4車種(Super Duty、Ranger、Mustang、Escape)の販売準備も進める。 フォードの販売状況は? フォードはアメリカの自動車総合ブランドとしてNo.1の販売台数を誇り、またトラックやSUVの車両分野でもトップだ。 なお、フォードの電気自動車の販売台数は68%増加している。2月のフォードの米国市場シェアは、21.9%の販売増に後押しされ、1.4ポイント増の13.3%となっている。 人気EV「マスタング・マッハ-E」、ピックアップトラックを増産 メキシコでは、すでにマスタング・マッハ-Eの増産に着手しており、工場のオペレーションを変更することで、時間当たりの生産台数をほぼ倍増させることが可能となった。同社は、年末までに年間生産台数を21万台にすることを目標としている。 ところで、マスタング・マッハ-Eは、2022年の米国のEV販売台数でフォードを2位に押し上げている。同車種の顧客の3分の2以上は他メーカーからの顧客となっており、フォードに新しい顧客をもたらす、重要な車種となっている。 ミシガン州のルージュ電気自動車センターでは、ベストセラーのEVピックアップトラック「F-150ライトニング」の生産台数を3倍に増やすことを計画、2023年末までに年間生産台数15万台を達成する目標を立てている。 ところで、米国で最も売れている電気トラックであるF-150ライトニングは、2022年に記録した15,617台に加えて、2月までの販売台数が3,600台となった。F-150ライトニングの増産のために、フォードはミシガン州の3工場に20億ドルを投資し、3,200人の組合員の雇用を増やすとしている。 EV拡大のその先へ 日本市場から撤退してしまいいまやあまり馴染みがないフォードであるが、米国を中心とした業界の先駆者であることはいうまでもない。同社には、あまり日本では聞かない、装備を備えた車も存在する。例えば、先述したF-150ライトニングに目を向けたい。同車種は、他のEVを車車間充電できる機能をオプション設定している。これは「プロパワーオンボード」と呼ばれるもので、発電機と大容量バッテリーシステムによって、他のEVを車車間充電することができるのだ。 このようなユニークな機能性を備える車種もラインナップする同社が、生産を飛躍させ、どのようなモビリティの未来を創っていくのが楽しみだ。

TAG: #E-150 #マスタング
TEXT:陶木 友治
「電気自動車(EV)を売らなければ、日本車はいずれ絶滅?」伝説の自動車アナリスト、中西孝樹教授に訊く:第4回

EVの登場と普及は、国内外の政治・経済にどのような影響をもたらすのでしょうか。伝説の自動車アナリストとして知られる中西孝樹さんに、様々な疑問をぶつけます。これまでハイブリッド車に依存してきた日本メーカーが今後とるべき施策とは。 Q.日本車メーカーが今後とるべき方針について、国内では「EV推進派」と「EV否定派」とで意見が分かれているようです。「日本車は全車EV化すべき」という意見と「EV化は必要ない」という意見のどちらが正しいのでしょうか。 日本車メーカーに限った話ではありませんが、EV化を進めなければそのメーカーはいずれ世界でクルマを売ることができなくなってしまいます。関連する世界の動きをいくつかご紹介しましょう。 2022年8月に、アメリカのカリフォルニア州は州内で販売される新車の100%を、2035年までにCO₂を排出しないEVか全体の20%を上限としたプラグインハイブリッド車にすることを義務づける新たなZEV規制(大気汚染対策として導入された規制。自動車メーカーが州内で自動車を販売する場合、EVや燃料電池車など排出ガスを出さない無公害車を一定比率以上販売することを義務付ける制度)を承認し、他州もこの規制に追随する可能性があると言われています。仮に目標が達成できない場合は、1台につき2万ドルの罰金を科すようです。 EUの欧州委員会は、クルマのCO₂排出量を2030年までに現在のレベルから55%削減し、2035年までに100%削減することを決めました。これにより、EU加盟27か国では、EV以外のクルマを販売することが事実上不可能となり、自動車メーカーはEUからの罰金を回避するために、EVのラインナップを劇的に拡充させることが求められています。イギリスに限っては、2030年までにEV以外の販売を禁止する計画です。 世界最大のCO₂排出国である中国も、2035年を目途に新車販売のすべてを環境対応車にする方針を表明していて、50%をEVを中心とする新エネルギー車とし、残りの50%を占めるガソリン車はすべてハイブリッド車にするとしています。 最も厳しい欧州当局の規制に対応するとすれば、解決策はEV以外にありません。対策が間に合わなければ高額の罰金が科されるため企業としての存続が難しくなり、そのメーカーは倒産することになるでしょう。好むと好まざるとに関わらずEVを売っていかなければ企業の存続が危うくなるという焦燥感が、現在、世界中の自動車メーカーがEVに取り組む大きなモチベーションになっています。 よって「EV化すべきか否か」という二者択一の議論にあまり意味はありません。長期的な観点で見れば、EV化を進めなければ、そう遠くない将来にそのメーカーは潰れることになるはずです。日本車メーカーも条件は同じです。ただし、日本車はEVだけでなくその他のパワートレインを日本と様々な地域に向けて販売していこうとする「全方位」あるいは「マルチソリューション」の戦略を掲げています。マルチソリューションだからEVを手抜かりして良いという意味ではなく、EVでの競争力を維持して初めてマルチソリューション戦略の強みが発揮できると考えるべきです。 (インタビュー:TET編集長 田中 誠司) <つづく>

TAG: #EV経済学 #中西孝樹
TEXT:福田 雅敏
日本EVクラブが電気カート組立教室を開催

3月5日、一般社団法人 日本EVクラブ(代表:館内 端)主催による、子どもゆめ基金助成活動「自動車と地球温暖化の関係を学ぶ」電気カート組立教室が東京お台場の東京国際交流館で行われた。 地球温暖化を考える座学からスタート 4年目となるこの教室では、電気カートを組み立てることで電気自動車の仕組みについて理解し、自動車と地球温暖化の関係をみんなで学ぶことが趣旨となっている。対象者は、小学4年生~中学生となっていたが、小学2年生も参加しており、保護者同伴で、午前、午後の2部制で、合計12組の参加があった。 まずは「地球温暖化と電気自動車の話を聞こう!」という座学から始まる。講師は、日本EVクラブ代表で自動車評論家の館内 端氏である。自動車の出すCO2は、地球温暖化の大きな原因。この講義ではそもそもCO2とは何か?ということから、地球温暖化と自動車の関係を大人も子供も一緒に学ぶ。「子供たちが未来に自動車を使えるようにするにはどうしたらいいか」というテーマで、子供たちにもわかりやすいように30分間の講義が行われた。 いよいよ電気カートの組立へ! 次に、「電気カートの組立を体験しよう!」では、タイヤ、バンパー類、カウル、バッテリー配線(鉛バッテリー)などが事前にバラらされており、それらを組み立てる。まずは構造確認ということで、電気カートの主要部品について講師からそれぞれパーツの説明があり、モーター、バッテリー、モーターを制御するコントローラー、アクセルなどを現物で確認する。簡素な構造の電気カートに触り、パーツの形や重さを感じて、電気カートの原理をリアルに体感していた。 そのあとは、カートの組立の前に、実際の配線の製作作業を行う。今回の教材のバッテリーは鉛式で、カートの左右に2個ずつ計4個が搭載されている。その左右の2個のバッテリー同士をつなぐ配線を実際に作ってみる。まずは銅の配線を覆っている皮むきから。カッターで皮をむき、そこに端子を取り付ける。カシメ工具を使用し端子と配線をカシメて固定。カシメは結構力のいる作業のようで、必死になって行っていた。そして、端子のむき出し部分を絶縁テープで覆う作業まで一通りこなす。   そして、電気カートの組立。3グループずつに別れて、基本的に子供たちが作業する。まずは、外されていた前後のタイヤの空気入れから。空気を規定圧まで入れ、カートにタイヤを装着。工具を使用しナットを締める。次に先ほど製作した配線を2個のバッテリー間をつなぎボルトで留める。ここではバッテリーの端子を傷めないためにトルクレンチを使用する。これで電気が通電したはずだ。 最後に外されていた、サイドカウル、リアバンパー、リアカウルを取り付ける。ここで一通り作業が終わったので、「火」入れ式。講師指導のもと、初めにメインスイッチを入れ、次にサブスイッチを入れ、起動ランプの点灯を確認。そして、おっかなびっくりアクセルを踏んでみる。無事タイヤが回り、ブレーキを踏んでタイヤを止める。ここまでおよそ30分で作業は無事終了。子供たちは大喜びだった!

TEXT:栁 蒼太
フォルクスワーゲン、2022年のEVの納入数が前年比26%増の57万2,100台

フォルクスワーゲングループは 2022 年、供給の混乱、原材料やエネルギーコストの上昇による逆風にもかかわらず、収益性を改善し、堅調な業績を達成した。特に、ポルシェAGのIPOの成功、ザルツギッター(ドイツ北西部)にあるセルギガファクトリーの起工によるバッテリー会社パワーコの立ち上げ、米国での電気自動車ID.4の生産開始などによって、それらを達成させた。 全体的に堅調な伸び 全体の売上高は、2021年比11.6%増の2,792億ユーロとなった。全電気自動車(BEV)の納車台数は大幅に増加したが、半導体の不足、ロジスティクスチェーンの混乱、中国での供給停止により、総納車台数は7%の微減となった。 なお、特別項目計上前営業利益は225億ユーロ(前年:200億ユーロ)に増加し、特別項目計上前売上高営業利益率は8.1%(8.0%)に相当します。税引前利益は9.5%増加し、220億ユーロ(201億ユーロ)となった。税引後利益は2.6%増の158億(154億)ユーロとなっている。また、自動車部門のネット・キャッシュ・フローは48億ユーロ(86億ユーロ)となっている。これは主に、不安定な供給状況と、年末のロジスティクスチェーンの混乱に起因している。結果として、年末の運転資本、特に完成品、原材料及び貯蔵品の在庫は計画を大幅に上回り、2022年度末の運転資本の増加は、2023年度中にほぼ解消されると見込まれている。 EVの納車状況と展望 バッテリー電気自動車(BEV)の納車台数は2021年比 26% 増加し、2022 年には合計 572,100 台となった。なお、グループ納車台数に占めるそれらの割合は 7%に増加している。同社は、 2025 年に納車台数全体に占める BEV シェア 20%、2030 年には 50%を目指している。なお、2023年のグループ見通しとして、納車台数は約950万台に増加、売上高は10~15%増加、売上高営業利益率は7.5~8.5%の範囲にあると見込んでいる。 積極的な投資、見据えた見通し 同社グループは、2024年からの主要製品の発売に向けて、変革活動を加速し、ソフトウェア、バッテリー事業、ICEだけでなくBEVプラットフォームへの投資を行っている。その結果、2022年の研究開発費は189億ユーロに増加し、自動車部門の売上高に対する研究開発比率は8.1%となった。また、設備投資額は127億ユーロで2022年の自動車部門の売上高に対する設備投資比率は5.5%に相当する。 同社グループが掲げる課題には、特に経済環境、競争の激化、不安定な原材料・エネルギー・外国為替市場、排出権関連の規制の強化などがあるとしている。

TAG: #フォルクスワーゲン
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
メルセデス・ベンツ、独クッペンハイムにバッテリー・リサイクル工場を起工……デイリーEVヘッドライン[2023.03.07]

バッテリーのリサイクルを内製化 新たなバッテリーは「EQ」に搭載可能 【THE 視点】メルセデス・ベンツ・グループは3月3日、ドイツのクッペンハイムにて新たなバッテリー・リサイクル工場の起工式を行ったと発表した。全電動車化を目指すメルセデス・ベンツにとって、持続可能な車両開発を支える重要な拠点となる。 同工場では、モジュールレベルでの解体からバッテリーの材料の細断・乾燥・処理までリサイクルに必要なすべての工程をカバーする。将来的に回収率が96%を超える予定で、電池材料の循環型経済を可能にする。ちなみにこの事業でメルセデス・ベンツは、リチウムイオン・バッテリーのリサイクル事業を手がける独プリモビウス社の協力も得ている。 工場の概要は面積7,000m2で、年産能力は2,500トン。リサイクルするバッテリーは、プラグインハイブリッド車および電気自動車(EV)用のリチウムイオン・バッテリーで、5万個以上の新たなバッテリー・モジュールが生まれるという。新たに生成されたバッテリーはメルセデスのEV「EQ」モデルに積むことが可能になる。 メーカーが自前の工場を持つことで、ディーラーでの車両回収からバッテリーの取り出し、そしてリサイクルまでメーカー内で一貫してできる。様々な種類のバッテリーを処理している一般のリサイクル業者を通すよりもシンプルで効率的だ。 原材料が高騰している中、一度精錬されたバッテリーは都市鉱山と同様に適切なプロセスを踏めば原材料依存度が低く抑えられ、バッテリーの価格高騰を防ぐことにも貢献できる。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ボルボ、ポーランド・クラクフにテックハブを新設……2030年の完全電化見据えEV開発の中核に ★ボードリー、北海道東川町で自動運転EVバス「ナビヤ・アルマ」を運行……東川町役場や道の駅ひがしかわ「道草館」などを通る2.6km、3月6日(月)〜10日(金)まで ★フォルクスワーゲンのEVバン「ID.バズ」がポルシェのサービスカーに……オランダの「ポルシェセンター」8箇所に導入 ★フォルクスワーゲン、米サウスカロライナ州にEV向け新工場を建設……傘下のスカウト・モーターズ用の工場、ピックアップ・トラックなどを生産 ★スカニア、ノルウェー・ヴェルダルの石灰岩採石場にEVトラックを納入……最高出力450kW(612ps)/総重量66トンのフルトレーラー ★ボルボ、北ヨーロッパの物流企業DFDSからEVトラックを受注……125台のうち20台を納入済み ★ホンダ、米国現地法人のアメリカン・ホンダ・モーターの敷地内に燃料電池(FC)の定置電源を設置……燃料電池車(FCEV)「クラリティ」のユニットを再利用、データセンター向けの非常用電源に ★豊田合成、商用車向け大型高圧水素タンクを市販化……FCEV「トヨタ・ミライ」の約8倍の容量

TAG: #THE視点 #バッテリー
TEXT:生方 聡
電気自動車のドライブ、寒い日は要注意!? [ID.4をチャージせよ!:その8]

「電気自動車は寒さに弱い」という話をよく耳にします。実際、ID.4ではどうなのか、電費や充電の速さ、エアコンの効きなどを振り返ります。 「EVは寒さに弱い」は本当だった! 「このまえID.4で雪山に行ったら、電欠しそうになった」 先日、同業のライターからそんな話を聞きました。バッテリー残量に余裕があると思っていたのに、実際はギリギリだったと。私も以前、フォルクスワーゲンeゴルフに乗っていたときに同じような経験をしました。しかも、なんとか辿り着いた急速充電ステーションではなかなか充電が進まず、“寒さはEVの敵”と思い知らされたのです。 「EVは寒さに弱い」というのは事実で、ウチのID.4 プロでも、気温が10℃を下まわるようになると平均電費の数字が明らかに下がってきます。一般道では、それまでは6〜7km/kWhを示していたものが、4〜5km/kWhと3〜4割低くなり、それにあわせて走行可能距離も短くなるわけですから、油断は大敵です。 では、実際どのくらい電費が下がるのか、高速道路で比較してみました。 気温[℃] 平均速度[km/h] 電費[km/kWh] エアコン 備考 13.0 94 6.4 ON 3.0 95 5.2 ON 4.0 97 5.9 OFF -1.0 98 5.1 ON スタッドレスタイヤ装着 上の表は高速道路の同じ区間(常磐自動車道 守谷SA〜友部SA)を、ACCを100km/hに設定して走ったときの電費です。ただし、リアルな世界でチェックした電費ですので、気温以外の状況を完全に揃えることはできず、あくまで傾向を把握するための数字とご理解ください。 気温が13℃のときの電費を基準とすると、気温が3℃に下がると2割弱も電費が悪化しました。その要因のひとつとしてエアコンの消費電力が増えることが考えられます。 それでは、エアコンをオフにし、シートヒーターだけでガマンするとどうなるでしょうか? 実際に試してみると電費低下は1割ほどにとどまりました。とはいえ、エアコンをガマンしても電費の悪化をゼロにすることはできません。これは気温の低下にともない、駆動用リチウムイオン・バッテリーの働きが鈍くなるからです。スタッドレスタイヤを装着すると、若干ではありますがさらに電費が低下しました。 気温が低いと充電にも影響が出ます。リチウムイオン電池の働きが鈍い状態で無理に急速充電を行うとバッテリーを傷める恐れがあり、それを防ぐために充電量を抑制することがあるのです。実際、いつも利用している50kW急速充電器で、ふだんなら40〜47kWで充電できるのが、気温が低く、バッテリー温度が低い状況では20kW台とほぼ半分の出力に落ちることもありました。 最新のEVのなかには、急速充電前にバッテリーを温める機能が備わるものもありますが、ID.4ではそういった機能は備わっていないため、バッテリーが冷えた状態でいきなり急速充電せず、ある程度走行したあと、バッテリーが温まっているうちに急速充電するよう心がけています。

TAG: #ID.4 #VW

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