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最大5万円を補助金に加算
2025年4月からのクリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金、通称エコカー補助金)で、グリーンスチールを採用した車種には、5万円の増額がなされることになった。
具体的には、登録車の電気自動車(EV)で最大85万円、軽EVやプラグインハイブリッド車(PHEV)は最大で55万円、燃料電池車(FCV)は最大255万円と定められているエコカー補助金額に、5万円分が追加されることになる。
では、グリーンスチールとは何か?
製鉄では二酸化炭素(CO2)の排出が不可欠の状況にある。
理由は、鉄鉱石から鉄をつくるには高熱が必要で、それに石炭を基にするコークスが使われるからだ。地下資源のなかでも、石油や天然ガスに比べCO2の排出量が多くなる石炭を必要とすることが、製鉄業の脱二酸化炭素に大きな負担をもたらしている。
影響の大きさは、日本国内におけるCO2排出量の最大の割合を占めるのが製造業であり、36%に及ぶ。ちなみにクルマが関わる輸送部門はその半分の18%でしかない。それでも、走行中の燃費改善はもとより、EVをはじめとするエコカーの導入が提唱されている。
さらに、製造業のうち、鉄鋼の生産はCO2の排出割合が35%を占め、2番手の化学関連の16%の2倍以上だ。ちなみに、アルミニウムなどの非鉄金属は4%でしかない。
まとめれば、鉄を使うことがいかにCO2排出量を増大させ、気候変動に大きな影響を及ぼしているかという深刻さなのである。もちろん、クルマでは車体をはじめサスペンションなどシャシー関係はいうに及ばず、鉄が各所に使われている。
また、クルマに限らず、あらゆる商品に鉄は幅広く使われている。その鉄が、気候変動を深刻化させていると語られることは少なかった。
そこで、製鉄におけるCO2排出量を大幅に減らした鉄鋼を使うことを推進しようという動きが出はじめ、そうしてつくられた鉄鋼をグリーンスチールと呼ぶ。ほかに、ゼロカーボンスチールとか、脱炭素鉄、低炭素鉄などの呼称がある。
ところが、そもそも製鉄には石炭が不可欠なのだ。理由は、高熱が得られるためである。石炭からつくられるコークスを使うことをやめ、ほかの燃料で高温を得るのは、じつは容易でない。
一気に脱二酸化炭素を実現させようと、水素を使って熱を得る考えがあり、研究・開発を行っているが、大量の水素が必要になる。なおかつ、コークスと同等の原価=燃料代でなければ採算があわない。そこにもうひとつの課題がある。