コラム
share:

電気自動車のドライブ、寒い日は要注意!? [ID.4をチャージせよ!:その8]


TEXT:生方 聡 PHOTO:生方 聡
TAG:

「電気自動車は寒さに弱い」という話をよく耳にします。実際、ID.4ではどうなのか、電費や充電の速さ、エアコンの効きなどを振り返ります。

「EVは寒さに弱い」は本当だった!

「このまえID.4で雪山に行ったら、電欠しそうになった」

先日、同業のライターからそんな話を聞きました。バッテリー残量に余裕があると思っていたのに、実際はギリギリだったと。私も以前、フォルクスワーゲンeゴルフに乗っていたときに同じような経験をしました。しかも、なんとか辿り着いた急速充電ステーションではなかなか充電が進まず、“寒さはEVの敵”と思い知らされたのです。

「EVは寒さに弱い」というのは事実で、ウチのID.4 プロでも、気温が10℃を下まわるようになると平均電費の数字が明らかに下がってきます。一般道では、それまでは6〜7km/kWhを示していたものが、4〜5km/kWhと3〜4割低くなり、それにあわせて走行可能距離も短くなるわけですから、油断は大敵です。

では、実際どのくらい電費が下がるのか、高速道路で比較してみました。

気温[℃] 平均速度[km/h] 電費[km/kWh] エアコン 備考
13.0 94 6.4 ON
3.0 95 5.2 ON
4.0 97 5.9 OFF
-1.0 98 5.1 ON スタッドレスタイヤ装着

上の表は高速道路の同じ区間(常磐自動車道 守谷SA〜友部SA)を、ACCを100km/hに設定して走ったときの電費です。ただし、リアルな世界でチェックした電費ですので、気温以外の状況を完全に揃えることはできず、あくまで傾向を把握するための数字とご理解ください。

気温が13℃のときの電費を基準とすると、気温が3℃に下がると2割弱も電費が悪化しました。その要因のひとつとしてエアコンの消費電力が増えることが考えられます。

それでは、エアコンをオフにし、シートヒーターだけでガマンするとどうなるでしょうか? 実際に試してみると電費低下は1割ほどにとどまりました。とはいえ、エアコンをガマンしても電費の悪化をゼロにすることはできません。これは気温の低下にともない、駆動用リチウムイオン・バッテリーの働きが鈍くなるからです。スタッドレスタイヤを装着すると、若干ではありますがさらに電費が低下しました。

気温が低いと充電にも影響が出ます。リチウムイオン電池の働きが鈍い状態で無理に急速充電を行うとバッテリーを傷める恐れがあり、それを防ぐために充電量を抑制することがあるのです。実際、いつも利用している50kW急速充電器で、ふだんなら40〜47kWで充電できるのが、気温が低く、バッテリー温度が低い状況では20kW台とほぼ半分の出力に落ちることもありました。

最新のEVのなかには、急速充電前にバッテリーを温める機能が備わるものもありますが、ID.4ではそういった機能は備わっていないため、バッテリーが冷えた状態でいきなり急速充電せず、ある程度走行したあと、バッテリーが温まっているうちに急速充電するよう心がけています。

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
日本は3年連続「日産サクラ」がトップ! じゃあ中国・欧州・アメリカで一番売れてるEVってなにか調べてみた
電気自動車って「お金的に」得? エンジン車と諸々の費用を比べてみた
リーフのバッテリーパックをバラして積むって意外に大変! 初代フィアット・パンダのEV化に挑戦してみた【その5】
more
ニュース
トヨタの新型モビリティでお台場周辺が一気に便利になる! 「eパレット」と「C+walk」が街全体の活性化にも貢献
ホンダがカーボンニュートラル実現に向け二輪の電動化を加速中! 欧州でネイキッドモデル「WN7」を発表
新車価格約3000万円も補助金を使えば半額で買える! トヨタのカワイイ新世代モビリティ「eパレット」の販売がスタート
more
コラム
エアコンの使い方だけ気を付けるんじゃ足りない! EVの電費に影響する要因はほかにも沢山あった!!
世界に衝撃を与えたアイオニック5Nをさらに超える6Nが公開! その恐るべき実力とは?
EV時代にゴロゴロ出てくる新興メーカー! 魅力はあるけど老舗ブランドにはない「危険性」もある!!
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】いい意味で「EVを強調しない」乗り味! 本格4WDモデルも用意される期待のニューモデル「スズキeビターラ」に最速試乗
【試乗】5台の輸入EVに一気乗り! エンジン車に勝るとも劣らない「個性」が爆発していた
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない
more
イベント
マンションでもEVが身近になる! 官⺠連携で既存マンション全274駐⾞区画にEV充電コンセントを導⼊した事例リポート
公道レース「フォーミュラE東京」が帰って来る! チケットを持っていなくとも無料で1日遊び尽くせる2日間
災害に備えて未来を楽しむ! 「AWAJI EV MEET 2025」の参加はまだまだ受付中
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択