EVを充電中、待ち時間を楽しめるグルメを会員同士が紹介しあうコミュニティ『EVごはん』。その運営に携わられている石井啓介さんは、大が付くクルマ好きで、BMW M3を夢見つつ、愛車に迎えることになったのが「モデル3」だった。多くのクルマを乗り継ぎ、テスラでのEVライフを楽しんでいるエンスージャストに、なぜテスラを選んだのか、そしてEVを所有することで変化したカーライフやコミュニティの楽しみについてうかがった。
常識を根底から覆す販売方法に湧いた興味
聞けば石井さんは、子どもの頃からのクルマ好き。自動車雑誌を買いあさっていた学生時代を経て、大人になってからは往年の名車の中古車を1年おきぐらいに買い換えるカーライフを送ってきた。自動車関連業界を得意とするマーケティング会社を運営する一方で、EVライフをより楽しめる場を作りたいと『EVごはん』をスタート。そうした経験からも、クルマへの関心の強さや豊富な経験をうかがい知ることができる。そんな石井さんは、どんな理由からテスラを選んだのか。
「僕はずっとクルマ好きで、『EVはつまらない』とか『クルマ好きがEVに行ったら終わり』みたいな風潮がある中で、フラットにEVを見てきたつもりです。もっとも仕事の関係で15年ぐらい前の初期の国産のEVにも触れる機会があった時には、EVはまだ航続距離が短く、実用レベルにないと感じましたし、5年ぐらい前にプライベートで日産リーフの1週間モニターを経験したときには、だいぶ進化を感じたものの、それでもまだまだかなと思っていたんです。コロナ禍のなか2020年にクルマを乗り換えようと思った時、たまには新車を買ってみようと色々なクルマに試乗したのですが、どれも面白く感じなくて。あるとき知人にテスラを紹介してもらい、乗ってみたところ衝撃を受けたんです」
黎明期のEVに乗った時は、どのあたりに不満を感じたのですか?
「加速はスムーズだし、車内は静かで面白さも感じたのですが、クルマ好きの目線では動力性能も卓越したものではなかったし、ハンドリングも良いというレベルまでには達していなかったと思います。僕は一番好きなクルマはBMW M3なんですけど、やはりお値段的に買えるものではないので。そこでテスラに乗ってみたところ、動力性能はM3並に高いことを知り、強く惹かれたんです(笑)」
EVが勢いよく加速する感覚を経験済みだったにもかかわらず、テスラの加速は他のEVとは違ったと?
「そうですね。全然違いましたね。あとはクルマに関する仕事をずっとやってきて、販売店でクルマを売るためにはどうしたらいいかということに携わってきた身として、スマホでポチッとするだけでクルマを買うというところに衝撃を受けました。テスラのショールームに行ってもお茶ひとつ出なかったし、セールスはいないし、職業柄、正直驚きましたね。これで5〜600万円やそれ以上するクルマを売るのか……と。従来の自動車マーケティングが全否定された感じがして衝撃でしたね。と同時にこんな時代が来たんだ、と。これは経験しておきたいという興味をそそられた部分もあります」