2023年2月
TEXT:陶木 友治
「EVシフトに潜む欧米の『ルールメイキング』の罠」伝説の自動車アナリスト、中西孝樹教授に訊く:第2回

電気自動車の登場と普及は、国内外の政治・経済にどのような影響をもたらすのでしょうか。伝説の自動車アナリストとして知られる中西孝樹さんに、様々な疑問をぶつける連載です。「EVシフトは欧州が仕掛けた経済戦争」という側面についてさらに詳しく迫ります。 Q.前回、EVシフトは欧州が仕掛けた「ルールメイキング」による経済戦争であるという趣旨の話がありました。もう少し詳しく教えてください。 まず2019年12月に、欧州委員会の新体制が発足しました。このとき欧州委員会は「6つの優先課題」という戦略を発表したのですが、その筆頭に掲げられていたのが「欧州グリーン・ディール」という構想です。これは「脱炭素」と「経済成長」の両立を目指すとする構想で、具体的な中身としては、「2050年までに気候中立を実現する」「欧州企業をクリーン技術・製品のリーダーにする」などの目標が掲げられています。あらゆる産業分野を対象としており、もちろん自動車分野も対象になっています。 前回も触れましたが、脱炭素はCO₂の削減に向けた取り組みをマネーに変えるために欧州が編み出した新しい経済ルールという側面が強く、その狙いが何かと言えば、温暖化から地球を守るという理想の下に、企業にイノベーションを促して雇用を創出させたり外貨を獲得させたりすることを目論んだ「企み」のようなものと言っても過言ではありません。実際、「6つの優先課題」を細かく見ていくと、貿易協定などを通じて他国にEUモデルの採用を促していくという方針も明示されています。そのことからも、脱炭素時代において国際ルールメイキング上のイニシアティブを握りたい彼らの思惑を見て取ることができるでしょう。 いずれにせよ「欧州グリーン・ディール」の発表が、EVシフトの流れを作ったことに間違いはありません。欧州はEVのみが次世代車の役割を担うと主張しており、他地域の自動車メーカーの強み、特にハイブリッド車で高い競争力を誇る日本メーカーを封じ込めようとする戦略性がそこに垣間見えています。 Q.トランプ退陣後、アメリカも欧州に追随する動きを見せたというお話でしたが、具体的に教えてください。 バイデン大統領は就任早々、トランプ前政権が離脱した地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」への復帰を宣言し、2050年までにCO₂などの温室効果ガス排出量を実質的にゼロにする「カーボンニュートラル」の目標達成を打ち出しました。この目標は、それまでのアメリカの政権では見られない意欲的なものでした。 バイデン政権の政策は「米国インフラ計画(アメリカン・ジョブズ・プラン)」から発動し、2030年までに新車の50%以上をEVや燃料電池車にする大統領令にも署名をしました。アメリカン・ジョブズ・プランにおいては、4年間に環境・インフラ部門に2兆ドル(約260兆円)を支出し、エネルギー分野の技術革新研究に10年間で4000億ドル(約52兆円)を投資する計画になっており、またクリーンエネルギー産業で1000万人の雇用を創出する目標も設定したほか、AIやバッテリー技術などの研究開発への追加投資を促し、より強靭な競争力を持つ国家の建設を唱えました。この法案は、後に「超党派インフラ法案(ビルドバック・ベター法)」として成立しました。このように、莫大な補助金政策を実行することで温暖化対策を実現し、自国の経済安全保障を強化する戦略を打ち出したのがバイデン政権です。 いま振り返ってみると、欧州の「欧州グリーン・ディール」とアメリカの「アメリカン・ジョブズ・プラン」が、その後の世界のEVシフトの流れを決定づけたと思います。繰り返しになりますが、欧州もアメリカも「温暖化を防いで地球環境を守る!」といった使命感から行動しているわけではなく、主導権を握って自国の権益を拡大するために行動しています。実際には、ここに中国やインドの動きも密接に絡んでくるのですが、その話は別の機会に解説しましょう。 (インタビュー:TET編集長 田中 誠司) <つづく>

TAG: #EV経済学 #中西孝樹
TEXT:曽宮 岳大
純正ホイールに変化。MINI(ミニ)が電気自動車に採用したホイールはエコなだけでなく、スタイリッシュで空力にも配慮

自動車に使われる素材に変化が見られつつある。最近では、環境保護の観点から本革不使用をうたうメーカーが出てきたり、リサイクル素材の使用を強化するなど、エコな素材の利用を模索する取り組みが加速している。そうしたなか、BMWグループはMINI(ミニ)の限定の電気自動車「ミニ・クーパーSEコンバーチブル」に、リサイクルアルミで作られたホイールを採用。強度や品質を確保しつつ、CO2排出量を大幅に低減し、さらに空力面にも配慮した革新的なホイールを完成させた。 CO2排出量を最大75%削減 「ミニ・クーパーSEコンバーチブル」に純正採用されるアルミホイールは、リサイクル素材のみで作られている。アルミホイールへの完全リサイクル素材の採用は、量販モデルでは同ブランド初という。なお同ホイールは、アルミホイールメーカー、ロナール(Ronal)とBMWのコラボレーションにより実現したもの。参考までにロナールは現在、アフターマーケット用ホイールとして有名なSPEEDLINE(スピードライン)の供給元でもある。 BMWグループによれば、再生アルミニウムを使用することで、原材料の消費を抑えられるだけでなく、製造工程においてエネルギー消費の大きい電解工程を省けるため、CO2排出量を大幅に抑えられるという。具体的にはアルミニウム1kgあたりのCO2排出量は0.16kg で済み、従来品に比べると工場でのCO2排出量を最大75%削減できるとのこと。 ディスク面に空力デザインを採用 完成したアルミホイールは、デザインも特徴的。4本あるスポークのうちの1本がセンターキャップと繋がった非対称デザインを採用となっており、ミニらしいユニークかつ目を惹くディスク形状となっている。 さらに細かに見ていくと、スポーク間の空間を半分ほど覆うインレイが設けられている点に注目したい。これはホイール内への空気の巻き込みを防ぐことで、空力を向上させるもの。通常のホイールではブレーキの冷却のため、スポーク間の空間を確保したものが一般的だが、ミニ・クーパーSEコンバーチブルはEVゆえ、通常のブレーキ以外に回生ブレーキで制動力を生み出すことができるゆえ、このような特殊なデザインを採用しやすいのかもしれない。

TAG: #MINI #ホイール
TEXT:福田雅敏、ABT werke
日産がEVを含む電動車を拡充、2030年の当初予定を増加……デイリーEVヘッドライン[2023.02.28]

「Nissan Ambition 2030」に向け電動化車種を大幅に増加 電気自動車(EV)19車種を含む27車種展開へ 【THE 視点】日産は、2022年に発表した長期ビジョン「Nissan Ambition 2030(ニッサン・アンビション2030)」を見直し、電動化戦略をさらに加速させると発表した。 電動化をより一層推進していくため「Nissan Ambition 2030」で公表した2030年までに投入する電動車両のモデル数を拡充。従来の「15車種のEVを含む23車種」との発表を「19車種のEVを含む27車種」とした。 これはインフィニティを含むグローバルでの車種展開であるが19車種のEVとはかなり多い。2030年までにということはあと6年余り。毎年3〜4車種の電動モデルが発売される計算となる。 日本でどれだけ販売されるか不明だが、ここのところは日本での販売車種が絞られてきた傾向にある日産自動車なので、海外同様にラインナップを拡充してほしい。 展開車種を想像すると、次期「GT-R」がいきなりEVとなるとは考えられないので、ハイブリッド車(HV)になるのではと想像する。しかし次期「スカイライン」などは、EV化されるのではないだろうか。 同様に「シルビア」や「ブルーバード」クラスの小型車(5ナンバーサイズ)のほか、「ステージア」以降はステーションワゴンもラインナップにない。「マーチ」も消えたままだ。これらのモデルをはじめ、ついでにピックアップトラックやオープンカーも、これを機にEVとして見直しても良いのではないだろうか。 ここのところ値上げと納期遅延が相次いでいる日産のEV。補助金に頼らず購入できるような魅力的なEVをリーズナブルな価格で早く出してほしいものだが、いずれにせよ今後の日産から目が離せなくなってきた。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★HW ELECTRO(HWエレクトロ)とENEOS WING(エネオス・ウイング)が業務提携……小型商用EV「ELEMO」シリーズを全国に販売しメインテナンス体制も拡充 ★★トヨタ、燃料電池モジュールの供給先を新たに決定……フランスのトラック企業「Hiliko」向けに ★プロテリアル(旧日立金属)、「窒化ケイ素基盤」を増産……EV向けパワー半導体に使う重要部材 ★水素・燃料電池の展示会「FC EXPO 春 2023」が開催……3月15日(水)〜17日(金)の間「東京ビッグサイト(東京都江東区)」にて

TAG: #THE視点 #日本メーカー #福田雅敏
TEXT:烏山 大輔
シェフラー製チェーンレス・ドライブシステム搭載の電動カーゴ自転車が製品化

電動カーゴ自転車は、街中で郵便物や荷物などを運ぶことができ、しかも地球温暖化に悪影響を及ぼさない理想的な輸送方法である。ベアリングや駆動システムを手掛けるシェフラーは、二輪電気駆動を専門とするHeinzmann GmbH & Co.KGと提携し、チェーンレス・ドライブシステム「Free Drive」を共同開発した。一般公開した2021年8月以降製品化に向けて準備を重ね、2023年1月に実地試験が成功。これを受け現在生産を開始している。 重要なペダル発動機 「Free Drive」は、ペダル発電機、駆動モーター、バッテリー装置、そしてヒューマン・マシン・インターフェイスから構成されるシステムである。「Free Drive」の中核的なコンポーネントは、シェフラーが開発したペダル発電機だ。ペダル発電機で一定のペダル抵抗を生み出して発電し、リアホイールのハブに搭載されたモーターにその電力を送り込んで駆動する。 充電された電力を使うだけでなく、ペダリング時に余った電力をバッテリーに蓄えられるため、従来の電動自転車に比べて、ペダルをこぐ力が大幅に少なくてすむ。カーゴ自転車に乗る人、特に長距離の配達ルートをカーゴ自転車で走行する人にとっては大きなメリットとなる。「Free Drive」では、駆動総出力250Wを実現している。

TAG: #超小型モビリティ
TEXT:栁 蒼太
「サクラ」「リーフ」などがレンタカーでお得に! 基本料金40%OFFの大チャンス

関西圏の輸入車ディーラーなど大きな経営規模を備えるGLIONグループ(ジーライオングループ 兵庫県神戸市)が運営するレントオール株式会社サンコーレンタカーは、2023年2月25日(土)から2023年3月5日(日)に開催される「GLION 39 Fair 総力祭」に合わせ人気の電気自動車のレンタル基本料金を特別価格で提供する。 期間限定キャンペーン サンコーレンタカーは個人での利用からビジネスまで、バラエティ豊富な車種を提供している。同社のグループ会社が開催する「GLION 39 Fair 総力祭」にあたり、人気車種である日産サクラ、日産リーフをはじめとするEVのレンタカーの基本料金を最大で40%オフにするキャンペーンを実施する。対象は、 2023年2月25日(土)から2023年3月5日(日)に予約をした場合だ。なお、返却の際に満タン充電する必要はない。遠出をする場合、充電カードの(550円/日)貸出しもある。 <価格例> (日産サクラ) 6時間 12時間 24時間 通常価格 ¥7,150 ¥8,250 ¥9,900 キャンペーン価格 ¥4,290 ¥4,950 ¥5,940 免責補償料は1100円。 (日産リーフ) 6時間 12時間 24時間 通常価格 ¥13,200 ¥15,400 ¥17,600 キャンペーン価格 ¥7,920 ¥9,240 ¥10,560 免責補償料は1650円。   日産サクラのでおすすめ利用例 サクラをレンタルした場合、どのような使用ケースがあるだろう。おすすめしたいのは、「身近なお買い物」だ。遠出は、あまり向いていない。 ここで、筆者が実際に、レンタカーとしてサクラを借りた経験を交えて紹介したい。(ニコニコレンタカーで借りた。)その際は、街乗りに加えて、高速道路を利用した片道140kmを超えるロングドライブを試した。 ちなみに、サクラの航続距離はWLTCモードで180km。実測値に近いとされるEPA換算だと150km弱。走行性能は、80km/hを超えた辺りから気になる風切り音以外は、高速域でも安定して走行できる上、プロパイロット搭載車であれば、疲労具合も少ないだろう。しかしながら、航続距離が短いため、片道だけで急速充電器を2回利用した。それぞれ、サービスエリアや道の駅の急速充電で30分充電し、80%ほどの充電にして再スタートに臨んだ。 充電時間によって片道で1時間増えるとなると、非常に時間を取られてしまう。それぞれのスポットで買い物やレジャーの計画を立てられるならば、遠出もできるかもしれないが、それが叶わない場合は、近場のお出かけに止めるのが良いかもしれない。 日産リーフのおすすめ利用例 それでは、リーフの場合はどうだろう。おすすめは「長距離を伴うお買い物」「ちょっと遠い観光」だ。サクラと比べて、航続距離に長けるリーフは、長距離でも安心の相棒になるだろう。 こちらも、筆者自身が実際利用した経験がある。走行性能としては、航続距離がある程度確保でき、フルで人が乗車をしたとしても軽やかに加速することができる。また、荷物がたくさん積載できる上に、シートヒーターなどの快適性能も充実しているため、同乗者にも嬉しい車となっている。ある意味、日常生活での利用では、オールマイティに対応することができるといえるだろう。 春のドライブにEVはいかがでしょう EVは静かな移動空間を作ってくれる。家族や友人を誘ってEVを利用すれば、会話がはずみ、いつものお出かけがより豊かになるかもしれない。EVで新生活のための買い出しやお花見などに出掛けてみるのはどうだろう。   <キャンペーン適用条件> ※お得な情報がメールで届くCLUB GLIONにご登録をお願いします ※2023年2月25日(土)から2023年3月5日(日)にご予約いただいた方(出発日は期間外でOK)  

TAG: #サクラ #リーフ #レンタカー
TEXT:福田雅敏、ABT werke
EVモーターズ・ジャパン、消防車両のモリタホールディングスと提携……デイリーEVヘッドライン[2023.02.27]

資金2億円を調達、消防用電気自動車(EV)の開発を推進 【THE 視点】モリタは2月22日、株式会社 EVモーターズ・ジャパン(以下、EVM-J)と資本業務提携すると発表した。出資額は2億円と発表されており、EVM-Jは消防車両のEVシャシーの共同開発費用にあてるという。 モリタは、消防車両のEV化は最重要課題のひとつと捉えている。消防車両に適した独自のEVシャシーを、高い技術力と柔軟な開発体制を持つEVM-Jと共同開発することが最良であると判断し、同社へ資本参加をするとともに業務提携契約をしたという。 欧米では、EVの消防車は既に活躍している。日本では、東京消防庁に「三菱ミニキャブ MiEV(ミーブ)」ベースの車両(即応対処部隊に使われる)や、モーターで消防ポンプのみ駆動する車両(いすゞ車体が開発)があるのは知っているが、純粋なEVの消防車は導入がない。 今回モリタは、最大手の消防車両メーカーとして、さらに踏み込んで純粋なEVの消防車両を開発する模様である。単純に考えれば、三菱ふそうの「E-キャンター」をベースにすれば良いと思うが、航続距離の問題か改造に適さないのかで採用を見送ったのではないかと推測される。そこで、EVM-Jに白羽の矢を立てたのではないだろうか。 これは筆者の想像だが、EVM-Jの現行の車型で消防車両を製作するなら、可搬ポンプなどを搭載する「積載車」と呼ばれる車両が良さそうだ。 筆者は以前、エンジン車ではあるが消防用「積載車」の開発を経験したことがある。「積載車」であれば、EVM-Jが得意とする低床・低重心ボディを活用するのに最適。EVM-Jのトラックやバスの車体をベースに、さまざまな機材を積み込める使い勝手の良い「積載車」ができると思うし現実的である。 ともあれ完成が楽しみである。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★大東建託、提供物件へEV充電インフラを整備……これまでの個別対応から転換、設備導入基準を策定[詳細はこちら<click>] ★★メルセデス・ベンツ、自動車用ソフトウエア「MB.OS」を開発……Google(グーグル)などと提携、充電管理など電気自動車(EV)への搭載も見越す ★経済産業省、令和5年度当初予算案「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」にかかる補助事業者(執行団体)を公募……期間は2月24日(金)〜3月15日(水)まで ★フォルクスワーゲン、「ID.」シリーズにリサイクル材料を使用……2023年中に「ID.3/4/5/702」に導入、海洋プラスチックやペットボトルなどを素材に[詳細はこちら<click>] ★フォルクスワーゲン、従業員2万2,000人にeモビリティ生産のトレーニング……自社工場の電気自動車(EV)生産転換などに向けて ★MINI(ミニ)、欧州限定車「MINI Cooper SE Convertible(ミニ・クーパーSE・コンバーチブル)」に100%リサイクル素材を使用したアルミホイールを搭載……生産時の炭素排出量を最大75%低減[詳細はこちら<click>] ★シェフラー、電動カーゴ自転車を製品化……ペダルで発電し駆動は100%電気モーター[詳細はこちら<click>] ★日産、富山県高岡市と「ブルー・スイッチ」施策で連携協定……災害時に電気自動車(EV)を電源として活用など ★フォーミュラE第5戦ケープタウン(南アフリカ)、ダ・コスタ(タグホイヤー・ポルシェ)が優勝……サッシャ・フェネストラズ(日産)はポール・ポジションからスタートもリタイア

TAG: #THE視点 #デイリーEVヘッドライン #福田雅敏
TEXT:TET編集部
賃貸住宅大手「大東建託」が電気自動車充電設備の充実に乗り出す 独自に充電設備導入基準を策定

大東建託株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:小林克満)は、同社が提供する賃貸住宅への電気自動車(EV)充電設備導入基準を策定した。1月より全国でEV充電設備を備えた賃貸事業の提案を開始している。賃貸住宅に入居する人々に対するEV充電インフラが整うことで、車の購入時に選択肢が増え、EVの普及促進に貢献する。 賃貸住宅の入居者がEV所有を自由に選択できる住環境を目指し、EV充電インフラを整備 日本では都市部・郊外部に賃貸住宅が多く、その設備の改修が難しいことから、EV普及につながるインフラ整備の課題とされていた。 近年高まりつつある賃貸住宅オーナーからのEV充電設備導入要望に対し、大東建託ではこれまで充電設備の設置に明確な基準は持たず、個別対応をしていた。今回新たに、各住戸に連動した住戸毎のEV充電設備の導入基準を策定することで、よりスムーズにEV充電インフラが整備できるようになるという。同社では入居者のEV所有率向上に貢献することで、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを加速させていくとしている。 株式会社市場経済研究所「2022年版全国住宅・マンション供給調査企業別ランキング」(2021年7月発行)によれば、大東建託の賃貸住宅供給力は「住宅供給実績12回連続1位」と影響度が高く、EV充電環境の整備に取り組むことで、賃貸住宅入居者層のEV普及促進に貢献することが期待できる。 東京都では2025年4月よりEV充電設備等の設置義務化が開始 なお2030年までに乗用車の新車販売台数に占めるZEV割合を50%にする目標を掲げた東京都では、2025年4月より、大手の住宅メーカーである特定供給事業者に対し、都の基準に適合したEV充電設備・断熱・省エネ性能、再エネ設備(太陽光パネル)の設置を義務づける。 同時に2000m2未満の中小規模建物においては、充電設備の整備基準(義務)が設けられる予定。駐車場付き戸建住宅1棟ごとに充電設備用配管等を整備すること、10台以上の駐車区画を有する集合住宅やビルの場合、実装基準は1台分以上、配管等整備(先行配管)は駐車区画の20%以上となる。

TAG: #充電 #大東建託 #東京都 #集合住宅
TEXT:烏山 大輔
ID.シリーズのインテリアがさらにサステナブルに

持続可能なモビリティ社会の実現に向けて、フォルクスワーゲンは電気自動車のID.シリーズに新たなリサイクル素材を使用する。新型ID.Buzzの内装にはすでに多くの新素材が使われており、その新素材をID.シリーズの他のモデルにも順次導入する予定だ。 ID.Buzzのリサイクル・イノベーション 新型ID.Buzzの内装には海洋プラスチックや使用済みペットボトルを使ったリサイクル素材が随所に使用されている。 シートカバーには、海洋プラスチックゴミ10%とリサイクルペットボトル90%から作られる「SEAQUAL YARN」を使用。この素材を使用することにより、CO2排出量を従来のものと比較して32%削減できる。また「ArtVelours Eco」を使用したシートカバーは、リサイクル素材の割合が71%になる。さらにヘッドライナーとフロアカバーは、リサイクルポリエステル100%で作られている。カーペットの断熱材やホイールハウジングライナーなどにもリサイクルプラスチックが使用されている。 またID.Buzzではドア、インストルメントパネルやステアリングホイール・クリップのトリムパーツに環境に影響があるクロムの使用をやめた。再生可能な原料を使用した液体塗料に変更した。 これらのID.Buzzのリサイクル・イノベーションは今後ID.3、ID.4、ID.5、ID.7に導入される予定だ。

TAG: #ID.4 #ID.Buzz
TEXT:生方 聡
「ID.4」は雪道が苦手ってホント?[ID.4をチャージせよ!:その7]

リアモーター、リアドライブのID.4は雪道が苦手——そんなイメージが本当かどうか確かめるため、スタッドレスタイヤを装着したID.4 プロ・ローンチエディションで雪の裏磐梯までドライブに出かけました。 15年ぶりの“鉄チンホイール” ID.4を購入するにあたって、ずっと気がかりだったのが雪道での走行性能です。日本で販売されるID.4は、ID.4 プロ、ID.4 ライトともに、リアアクスルにモーターを搭載し、後輪を駆動するRRを採用しています。FF(フロントエンジン、フロントドライブ)や4WDに比べて雪道に弱いというイメージがあり、本当にそうなのかどうか、実際に運転して確かめたいと思っていました。 そしてついにそのチャンスが到来! 愛車のID.4 プロ・ローンチエディションの納車が昨年の11月末で、そこからホイールとスタッドレスタイヤを手配したため、この2月に入ってようやく準備が整ったのです。 ID.4 プロ・ローンチエディションには20インチのアルミホイールと、前235/50R20、後255/45R20サイズのタイヤが標準装着されていますが、スタッドレスタイヤ用として、エントリーグレードのID.4 ライトに設定されている純正スチールホイールを購入。サイズは2インチダウンの18インチですが、ID.4 プロ・ローンチエディションには問題なく装着できますし、20インチのアルミホイールに比べて、かなり安上がりなのが決め手でした(笑) さらに、ID.4はリアのブレーキがドラム式で、自慢げに見せるものでもないので、スチールホイールのほうが好都合です。“鉄チンホイール”を履くのはなんと15年ぶり! これに、ID.4 ライトと同じ235/60R18サイズの「ミシュランX-ICE SNOW SUV」を組み合わせました。

TAG: #ID.4 #VW
TEXT:遠藤正賢
チューニングパーツの名門「BLITZ」がEVに本気! パーツを装着したアリアの狙いを直撃した【PR】

大阪オートメッセ2023に設けられたEVゾーンに、チューニングパーツでアフター業界に名を馳せる「BLITZ(ブリッツ)」が日産アリアを展示した。日本においてはBEV自体がまだまだ普及しておらず、オーナーの多くが環境意識の高い人間とみられるこのタイミングでなぜパーツを開発するのか? その狙いを探るべく直撃インタビューを敢行した。 数十年先を見据えた提案 2月10〜12日にインテックス大阪で開催された、関西随一のカスタムカーの祭典「第26回大阪オートメッセ2023」。 6A号館奥の「EVゾーン」には、国内外の主要電動モデル16台が集結。そのなかには、ブリッツがいち早く開発を進めている、日産アリアのチューニングパーツ装着車が展示されていた。 だが、このブリッツ・アリアには、単なる一車種のパーツ開発には留まらない、並々ならぬ想いが込められているという。その商品企画に加え、エアロパーツのデザインや走りの評価も担当、また日頃は宣伝・広報も担っている、ブリッツ企画部の小林潤一マネージャーに聞いた。 ──バッテリーEV(BEV)であるこのアリア向けのパーツ開発を始めようと思ったきっかけは? 小林 ハイブリッドカーやPHVなどもそうですが、電動車は2030〜35年に向かって確実に増えていきます。そのなかで私たちブリッツは、チューニングパーツメーカーであってチューニングショップではありませんので、今のユーザーに対してというよりはむしろ、今後数十年先を見据えて、提案していく使命があります。 ですので、何ができるのかを探るため、BEVを購入しました。アリアは東京オートサロンや大阪オートメッセがあるのでデモカーを作り出品しましたが、ほかにもスバル・ソルテラや三菱eK X EVも所有しています。 純正の状態でもよく出来ているとは思うんですが、実際にユーザーが感じる不満点を改善していくことが我々の使命ですので、さまざまなBEVに乗って、「自分だったこうする」というのを具現化すれば、ユーザーの個性の表現をお手伝いできるのではないかと思い、開発をスタートさせました。 テスラなどの輸入BEVも検討はしたのですが、我々は元々国産車向けのチューニングを中心にブリッツのブランドを展開してきたので、検討を始めたタイミングで早く入手できた国産BEVのアリアからまず始めました。ソルテラやeK X EV用パーツの開発も同時並行で進めていますので、以後順次展開予定です。 そしてアリアは、ベース車の時点で格好良いですよね。ですから、「エアロパーツやローダウンサスペンションを提案していくのが面白いよね」と思ったのが、スタートのきっかけではありますね。 ──BEVのデモカーを製作したのはこのアリアが初めてですか? 小林 以前に初代日産リーフのデモカーを製作しましたが、その際は話題喚起の意味合いが強かったですね。ですが今はBEVが数多く発売されてきていますので、今回は本格的な事業化を目指したものです。 ──では、実際に装着されているパーツのこだわりポイントをお教え下さい。 小林 まずエアロをフロントとリヤに「エアロスピードRコンセプト」のフロントリップスポイラー、リヤスポイラー、リヤディフューザーの計3点装着していますが、このブロンズ色(フロストカッパー)は、この車両にも装着している、純正オプションのリヤアンダープロテクターに合わせています。 なおドアサッシュモールは、ベース車はシルバーメタリックなんですが、これもブロンズに塗装しトータルコーディネートしていますね。 また純正オプションと共存できるよう、たとえばフロントリップスポイラーは、純正オプションを外して装着しても取り付け穴が上手く隠れるよう、形状を工夫したりしています。 空力的には、穴を開けないほうがダウンフォースは増えるのですが、その分空気抵抗も増えるので、今回は電費を重視して中央に穴を開けています。 リヤスポイラーは、標準装備のルーフスポイラーと、左右の穴の位置を合わせているのがポイントですね。ただ、一般的なクルマはリヤバンパーが車両全体の後端なのですが、このアリアはバックドア中央が後端になっているので、この位置に装着するリヤスポイラーは、これ以上後ろに伸ばせないんですね。ですので寸法上の制約は大きかったですが、そのなかで存在感を高められるようデザインしています。 リヤディフューザーは、フィンの後端を突き出させることで迫力をアップさせていますが、この形状を一体成形で実現しようとすると、その金型を作るのが非常に難しいんですね。そこで、フィンのみを5個、バンパーに穴あけ加工して取り付ける構造にすることで、この課題をクリアしています。

TAG: #BLITZ #アリア #チューニング

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