#THE視点
ボグゾールが「EVエチケットガイド」を発行(photo=ステランティス)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
英国紳士流の「充電作法」を身につけよう……ボグゾールがエチケットの専門企業と「EVエチケットガイド」を発行[2023.07.07]

エチケット専門企業「Debrett’s」と共同でEV充電器のスマートな使用方法などを指南 ステランティスのネットワークを活用し世界に配布を 【THE 視点】ステランティス傘下の英国ボグゾールは7月4日、EVに乗る際の人的トラブルを避けるための「エチケットガイド」を発表した。 英国を代表するエチケット専門企業「Debrett’s」 と協力して作成されたこのガイドは、EVの普及促進を図ることを目的に、EV所有する上での混乱や疑問を解消する狙いをもつ。 ボグゾールは、英国のドライバーのおよそ90%は、公共のEV充電ステーションの使用方法に関するガイダンスの欠如が、EVへの乗り換えを妨げる一要因と考えている。今回の 「EVエチケットガイド」では、「公共の充電スポットの使用方法」「他のドライバーとの充電時間の交渉方法」「良いEVゲストになる方法」といったEVを所有するにあたって対人関係をスマートにこなすためのアドバイスを記載している。 今後のEVやPHEV普及のためには、より良い充電器の使い方などの案内が必要だろう。ネット上でも「EVの充電器を長時間占拠するユーザーがいる」といった苦情がたびたび見受けられ、実際にトラブルが発生しているとも聞く。 実は筆者も、初めて公共の充電器を使用する際は不安だった。使用方法を見ながら充電したのだが、その充電方法を理解している間に次のEVが来てしまうと焦ったりする。事前に充電方法を理解していれば焦らずに済む。ガイドによる知識があれば、先に充電しようとしているユーザーが初心者で戸惑っているような場面で、アドバイスもできるだろう。 このようなガイドブックの存在が有用なのは、英国に限らず世界共通だと思う。EV普及のためにも世界に向けて発信して良いはずだ。ボグゾールはそれこそステランティスの一員なのだから、そのネットワークを活用すれば世界への配布は困難ではないはずだ。EV普及の黎明期だからこそ、このようなガイドブックは大切な存在である。 ボクソールは英国での電動化に注力している。2024年から同社の乗用車とバンの全ラインナップに電動モデルを提供し、2028年からは純粋な電動ブランドとなる予定だ。そのためにも、普及の妨げの要因をひとつでも減らし、普及促進を図る狙いと思われる。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★オリックス、韓国のEV用充電インフラ企業「EVER」に出資……サムスン電子のスタートアップ企業、日本への進出を目指す ★★プジョー、「E-208」を商品改良(欧州発表)……航続距離が400km(WLTP複合サイクル値)へ ★★ステランティス、EV専用の新プラットフォーム「STLAミディアム」を公開……クロスオーバー、SUV、C/Dセグメントに応用可能、複数のブランドに展開予定 ★EVの車検もヤマダデンキで……ナルネットコミュニケーションズと日本自動車車体補修協会(JARWA)が、ヤマダ×三菱のEV販売のアフターサービスを補完 ★エネチェンジ、「医療法人社団敬寿会前橋城南病院」<群馬県前橋市>に6kWのEV用充電器を設置(1基)……待ち時間などをEVの継ぎ足し充電に活用可能 ★オペル、新コンセプトカーの車名を「エクスペリメンタル」と発表……ドイツでのイベント「IAAモビリティ」<9月5日〜10日>に向けて順次詳細を公表、英国のボグゾール名義でも展開 ★ステランティス、カナダ・オンタリオ州の大規模バッテリー工場の建設を再開……韓国LGとの合弁事業、2024年に生産開始予定 ★メルセデス・ベンツ、燃料電池(FC)を搭載した連接バス「eシターロ」の極寒テストを実施……海抜1,700m以上の高原でもFCの作動を確認 ★エネチェンジ、「未来志向の電力システム改革の実現に向けた当社見解」を発表……「一般電気事業者による一連の不祥事への近視眼的な懲罰措置は行うべきではない。電力システムの未来像を定めた上で行うべき」(※発表より一部抜粋) ★レクシブ、経済産業省主催の「次世代の分散型電力システムに関する検討会」の専門委員に盛次隆宏取締役CPOが選出……昨年度から引き続き、EVを有効活用する企業として選出 ★BYD、ブラジル・バイーア州に工場を建設……EVモデルの生産も、公式Twitterで発表 ★アメリカEVトラックのニコラ、カリフォルニア州から4,190万ドル(約6億円)の補助金を確保……FCEVトラック普及に向けて南カリフォルニアに水素ステーションを6ヵ所建設 ★ボルボ・カーUSA、2023年6月の販売台数は1万2,933台……電動モデル「リチャージ」はそのうちの29.3%、前年同時期比で79%増加 ★オペル、「コルサ・エレクトリック」の6月の販売台数が262台で「エレクトリックBハッチ」カテゴリーでトップ……「モッカ・エレクトリック」は1136台の販売 ★ボグゾール、英国内での6月のEV販売台数がトップ……商用EVバン「ヴィヴァーロ・エレクトリック」の6月の販売は482台 ★ベクトリクス・ジャパン、キャノピー付きの三輪EVスクーター「I-カーゴ」の量産を間もなく開始……荷台に700Lのボックスを搭載し「自治体・公共week 2023」<東京ビッグサイト/6月28日(水)〜30日(金)>に出展しアピール(※イベントは終了) ★アウディ、ドイツ・インゴルシュタット工場での「Q6 e-tron」生産開始で500人を新規雇用……EVは雇用創出にも有効と発表 デイリーEVヘッドライン[2023.07.06]

TAG: #THE視点 #ステランティス #充電
出光興産と双葉電子工業が共同開発したドローン(photo=出光興産)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
攻める企業出光、R/Cプロポのフタバと国産ドローンを共同開発・事業化へ[2023.07.06]

既存のサービスステーションを配送拠点などに活用 「ガソリンスタンド」の存在価値を大きく変える可能性 【THE 視点】出光興産と双葉電子工業は7月3日、国産ドローンを共同開発・活用し、地域課題を解決するサービスの事業化の検討を開始すると発表した。 複数の用途に対応できる機体の開発に加え、サービスステーションを起点とした設備点検/農業利用/物流配送/災害対応など各種サービスの検討を行うとともに、ドローンの操縦技術者の育成にも取り組む予定だという。 ドローンの活用は、少子高齢化や人手不足などの社会課題を解決するための手段として、省人化・無人化機器の活用が一層望まれている。 出光興産のサービスステーション・ネットワークおよび整備技術を有する人材と、双葉電子工業の高度な無線通信技術を駆使したドローン開発技術を活用し、機体開発から運用・人材育成まで一気通貫したドローン事業を推進していく。 両社は、1台の機体で複数の用途に対応できるマルチユース・ドローンの開発を、2022年度から進めてきた。機体下部にアタッチメント方式を採用しており、用途に応じて付け替えることで物流や撮影機器としてマルチに使用でき、さらに有線化して長時間飛行にも対応することができる。 上空LTEを使用した無線技術を活用すれば、外部サーバーへの経由なしに複数の拠点にデータを送信したり、オンタイム電送をすることも可能となる。このように、マルチユース・ドローンを実際の用途で検証しながら、サービスの実現につなげていくという。 出光興産は、EV事業にも力を入れているが、今回の発表はドローンを活用するという発表だ。EV事業もそうだが、既存のサービスステーションをいかに活用して生き残るかを模索しているように感じる。 一方、双葉電子工業は、筆者にとってはR/C用の「プロポ」(コントローラー)のイメージがある。子供のころ、エンジンではあったがR/Cヘリのホバリングで苦労したことを思い出した。しかし現在のドローンは電動ではあるが、コントローラーひとつで昔のようにカンを頼らずに飛ばすことができる。 空を飛ばすR/Cといえば、どちらかというと趣味の世界であったが、現在は人が立ち入れない場所での写真撮影や測量、そして先日の「デイリーEVヘッドライン」でも紹介したように[詳細はこちら<click>]、危険な害虫駆除に使用されるなど社会的価値が生まれてきている。時代の変化を強く感じる。 今後EV化が進めば既存の給油所の存在価値は大きく変わる。しかし、新事業の拠点として活用すれば、新たな存在価値が出てこよう。「モビリティのコンビニ」のような楽しい施設に生まれ変わらせることも夢物語ではない。 出光興産と双葉電子工業のマルチユース・ドローンによる事業化検討は、個人的にも親しみのある会社同士のタッグだけに成功を期待する。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★フィアット、新型EV「600e」を発表……BセグメントのコンパクトSUV、400km以上(WLTP複合モード)の航続距離[詳細はこちら<click>] ★★フィアット、2人乗りの超小型EV「トポリーノ」の仕様を公開……クローズドとオープンの2モデルを用意、月額料金制のサブスク方式で販売 ★JAIA、「JAIA輸入電動車普及促進イベント in 神戸」を開催……7月14日(金)・15日(土)に神戸市旧居留地にて[詳細はこちら<click>] ★ストリーモ、公道対応の電動キックボード(特定小型原付)モデル「ストリーモS01JT」の抽選を開始……7月5日〜19日で受付[関連記事はこちら<click>] ★ボグゾール、EVや充電設備の使用方法をアドバイスするエチケットガイドを発行……英国のエチケット大手「DEBRETT’S」と共同で制作、公共でのEV時の混乱などを回避し普及を促す ★ボルボ、2023年6月のEV販売台数は9,535台(世界全体)……前年同月比346%増 ★「ホテル日航アリビラ」<沖縄県読谷村>にて「EVトゥクトゥク」のレンタルサービスを開始……えもびと提携し7月7日(金)よりサービス開始 ★テラモーターズ、「藤三旅館」「藤三旅館・別邸 心の刻 十三月」<岩手県花巻市> にEV用充電器を導入……別邸は全14室の高級旅館 ★テラモーターズ、賃貸物件の「ビレッジハウス」にEV用充電器を導入……東京・神奈川・福岡にある23物件に先行導入 ★米新興のリヴィアン、商用EVバンをドイツに導入……今後数週間で300台以上を投入とTwitterで発表、Amazonの配送用に デイリーEVヘッドライン[2023.07.06]

TAG: #THE視点 #ドローン #国内ビジネス
EVトゥクトゥク「エネバイ」(photo=福田 雅敏)
TEXT:福田 雅敏
災害支援は電動で進化する……「東京国際消防防災展2023」にEVバイク等が出展された理由[THE視点]

「消防展」レポートの後編は消防車以外の支援機器類を紹介 活用が進んでいるEVの三輪バイク 日本最大級の消防・防災に関する展示会「東京国際消防防災展2023」(主催:東京消防庁/東京ビッグサイト/東京国際消防防災展2023実行委員会)が、6月15日〜18日に東京ビッグサイト<東京都江東区>にて開催された。 前回のレポート[詳細はこちら<click>]では、展示会の花形と言える消防車のEVを紹介した。しかし火災は消防車だけで消火することはできず、様々な支援機器を適宜使用することで完遂できるものといえる。何より消防活動は人命活動が第一。火災だけではなく、昨今激甚化している水害への対応も求められるため機器類も進化している。そこにはもちろん電動技術が取り入れられている。 前置きが長くなったが、後編となる今回は、消防車以外で電動技術を取り入れた車両・用具を紹介したい。 三輪のEVスクーターを改造した小型ポンプ車両……トーハツ トーハツは、コンパクトな三輪EVの消防バイク「颯」(はやて)を展示。ベースは、EVモーターズ・ジャパンの「BARCA(バルサ)」で、艤装前のスペックで最高速度55km/h。バッテリー容量は5.12kWhで、航続距離は100kmとなっている。 荷台は架装されトーハツの「VE25AS」ポンプを搭載し、2ストローク・ガソリンエンジンで駆動する。 そのほか、バッテリー駆動の電動可搬消防ポンプ「MODEL-1」も展示されていた。 救急に必要な電源をすぐに届ける電源デリバリーバイク……アイディア Aidea(アイディア)は、三輪のEVスクーター「AAカーゴ」の特別仕様車を展示。車載のバッテリーから100Vの電源を出力できるもので、災害時など緊急で電源が必要な場所に迅速に移動でき、ライフラインの確保に役立つ。 EVの「トゥクトゥク」も立派な小型ポンプ車に……サポートマーケティングサービス サポートマーケティングサービスは、消防ポンプを搭載したEVトゥクトゥク「エネバイ」を展示。「シバウラ」製のポンプを荷台に装備している。車体がコンパクトなため、狭い場所へも迅速な展開が期待できる。最大積載量200kg以下で航続距離は90km程度を確保しているという。 電装アシスト「リヤカー」で人力を強力に手助け……ヤマハ発動機 ヤマハ発動機は、次世代型電動ホースカー「X QUICKER(クロスクイッカー)」を展示。基本は人力であるが、高出力なモーター2基が走行をアシストし、坂道などでも楽に引っ張ることができる。約20kmの連続走行が可能だ。

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ロボットの屋外開発拠点「KOIL MOBILITY FIELD」(photo=三井不動産)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
EVの走行中給電が現実味……三井不動産所有の実験施設に道路埋設型のコイルを設置[2023.07.05]

三井不動産と東京大学の共同研究開発により走行中の無線給電の開発が加速 条件を満たせば他の開発企業・大学にも施設を開放 【THE 視点】三井不動産は7月3日、同社が運営するロボットの屋外開発拠点「KOIL MOBILITY FIELD」にて、EVの走行中給電が可能になる走行レーンを新設したと発表した。 本事業は、東京大学(東京大学大学院新領域創成科学研究科 藤本・清水研究室)と三井不動産の共同研究によるもの。民間として初めて送電コイルを埋設した走行レーンを作成し、フィールド検証実験を開始した。日本初のEVへの走行中ワイヤレス給電の公道での実証実験が一歩近づくこととなる。 また、走行中給電システムを開発研究する企業・大学等は、東京大学と共同研究パートナーとなると同時に、「KOIL MOBILITY FIELD」の会員になることで、本レーンを利用できるようになる。 東京大学と三井不動産は、「KOIL MOBILITY FIELD」を活用して、走行中給電の早期実用化を目指し研究開発を進めてきた。今回の走行レーンには、道路工事や路面温度等の環境条件に対応できるSWCC社製の送電コイルを道路に埋設し、より社会実装に近いものとなっている。 埋設した送電コイルは、60秒間充電すると約6km走行できる試算となっている。送電コイルは、交差点の停止ラインまでの30m付近に埋設することがより効果的だという。 6km走行する間に60秒間の充電が可能なインフラ整備ができれば、断続的に充電しながらバッテリーの正味消費電力をゼロにでき、小型バッテリーだけで連続走行が可能となるという。特定の充電設備を使う必要もなくなるとのこと。 先日の「デイリーEVヘッドライン」[詳細はこちら<click>]でも伝えたが、ここのところワイヤレス給電の話題が増えてきた。特にこの走行中給電は、バッテリーの小型・軽量化による車両価格の低下や電費の改善、充電時間を含めた移動時間の削減、電池容量の低減、すなわちバッテリー作製時に発生するCO2を削減することができる夢のEV充電インフラと言えよう。 東京大学は、EVのワイヤレス給電を早くから開発してきた経緯があり、試作車は筆者も見学したことがある。今回はいよいよ、走行中に給電するフィールドまで用意したということになる。 インフラを用意しなければEV側の開発も進まないわけで、今回は民間である三井不動産が将来を見据えてその場を用意した。この給電技術の開発には、同種の企業や大学がさらに参画して盛り上がってほしい。そのための門戸は開かれている。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ワランティテクノロジー、「EV充電設備保証・メンテナンスサービス」を開始……事業用・家庭用のEV充電設備(普通・急速)とV2H設備を10年保証、メンテナンスサービスも ★★プラゴ、ヤマダデンキと協業、「LABI1 LIFE SELECT なんば」<大阪市浪速区>にてEVの充電サービスを開始、今後全国展開も[詳細はこちら<click>] ★★西尾レントオール、ボルボのEV建設機械を導入……ホイールローダー「L25 エレクトリック」と油圧ショベル「ECR25 エレクトリック」を、7月下旬よりレンタル開始 ★テスラ、7月1日より「モデル3」と「モデルY」を値下げ……2023年第2四半期の生産台数なども好調[詳細はこちら<click>] ★BYD、正規ディーラー「BYD AUTO 前橋」<群馬県前橋市表町>が7月8日(土)にオープン……北関東エリアに初出展、8日・9日にオープニングフェアを開催 ★ユビ電、大型分譲マンションに日本最大規模の充電インフラを導入……「フォレストプレイス香椎照葉ザ・テラス」<福岡市東区>の駐車棟全て(429区画)にEV用充電器を設置、2023年末に完成予定 ★ワランティテクノロジー、長府工産が販売するV2Hシステム(ニチコン製)に保証サービスを適用……最大10年に保証を延長 ★東京都、東京港での「タイヤ式トランスファークレーン」の燃料電池式への換装に補助金を決定……導入費用の1/2(上限1億円)までを補助 ★EVモーターズ・ジャパン、北九州市に小型コミュニティ型のEVバスを納車……市営バスにて「島郷庁舎・戸畑駅・若松渡場・若松病院」ルートなどに導入、6月30日より運行 ★プジョー、新型の電動アシスト自転車を欧州で発表……スマートフォンアプリによるコネクテッド機能を採用 デイリーEVヘッドライン[2023.07.04]  

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事前登録された補助対象者一覧(photo=一般財団法人環境優良車普及機構)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
EVトラック・タクシーの購入を大幅補助……国交省などが「令和5年度商用車の電動化促進事業」を公募[2023.07.04]

「三菱ふそう・eキャンター」の場合で車体価格の1/3以上を支援 集中支援により商用EVの価格競争力を高めることが狙い 【THE 視点】国土交通省・経済産業省・環境省は6月27日、「令和5年度商用車の電動化促進事業」の公募を合同で開始した。2050年のカーボンニュートラルの実現に向け、国内の二酸化炭素排出量の約2割を占める運輸部門の脱炭素化を目的に、「GX経済移行債」を活用した3省による連携事業として公募する。 補助事業の受付期間は、令和5年6月27日~令和6年1月31日となっている。ちなみにトラックの場合の予算額は約126億円。 本事業は、EVのトラックやタクシーの車両購入費を集中的に支援することで、車両価格の低減やイノベーションの加速を図ると同時に、排出削減だけではなく価格競争力も高めることを目的としている。 また、「改正省エネ法」で新たに制度化される「非化石エネルギー転換目標」を踏まえた中長期計画作成の義務化に伴い、野心的な導入目標を作成した事業者や、非化石エネルギー転換に伴う影響を受ける事業者等に対して、EV・FCEV・PHEVの商用トラック・タクシーの導入を支援する。 事前登録された補助対象車両情報では、7メーカー・17車種と、以前に比べ増え選択肢も広がった。 補助される金額は、「三菱ふそう・eキャンター」の場合で、513万1,000円~722万4,000円(営業用)と非常に大きい。車両価格の1/3を超える金額だ。 予算額から計算すると、「eキャンター」の中で最も補助額が多いモデルでも、およそ1,750台分に相当する。予算は十分にあるようだが、最近は納車にも時間が掛かることから、導入希望者は早めの申請をした方がよさそうだ。 なお、タクシーについては、後日実行団体より詳細を公開予定となっている。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★パワーエックス、東京青山に設置した蓄電池型の超急速充電器「ハイパーチャージャー」の一般利用を間もなく開始……シリーズBラウンド前半で19.2億円を新たに調達し、蓄電池の開発を強化 ※シリーズBラウンド……ビジネスが軌道に乗り始めた段階 ★★HWエレクトロ、スマートフォンのアプリにてEVのバッテリー残量や現在地を確認可能に……コネクテッドアプリ「My HWE」を配信 ★★アクサダイレクト、電欠でも頼れる「EV駆けつけ充電サービス」を開始……全国の提携ロードサービスセンターに給電設備を整備、給電機能を備えた車両も導入 ★パワーエックス、東北電力と事業提携……東北電力内の再生可能エネルギーネットワークに、パワーエックスの定置用蓄電池を活用 ★ヤマハ、EVカートを用いて高精度の自動運転に成功……磁気マーカー方式で誤差10cmの精度を確認、愛知製鋼も開発協力 ★テラモーターズ、愛知県新城市と連携協定……市役所はじめ市内の公共施設5ヵ所に計25基のEV用充電器を導入 ★テラモーターズ、大分県杵築市と連携協定……市役所本庁舎はじめ市内の公共施設に計4基のEV用充電器を導入 ★三井不動産など、EVの走行中給電の実現に近づく……「KOIL MOBILITY FIELD」(屋外ロボットの開発拠点/千葉県柏市)の敷地内に給電用コイルを埋設、東京大学と共同研究 ★出光、ドローン事業に進出……R/C用プロポの双葉電子と国産ドローンを共同開発、既存のサービスステーションを起点とした事業を検討 ★アウディ、正規ディーラー「Audi岡山」をリニューアルオープン……岡山県岡山市北区大供3丁目1-20に移転、最高出力150kWの急速充電器を設置 デイリーEVヘッドライン[2023.07.04]  

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出光が用意するEV用オイルのカテゴリ(photo=出光興産)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
EVもオイルで性能アップ…出光がe-Axleと電子部品の潤滑・冷却を同時に担うオイルを開発[2023.07.03]

EV時代でもオイルメーカーは不可欠な存在へ 駆動ユニット・電子部品の安全・高性能化をオイルでサポート 【THE 視点】出光興産は6月29日、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)に搭載されるモーター一体型の駆動ユニット「e-Axle(イー・アクスル)」に加えて、電子機器・バッテリーシステムにも使用可能なオイル「E AXLE and Electric Parts Cooling Oil」を開発したと発表した。 これにより、EV・HEV用が6カテゴリーの商品のラインナップとなり、電動車をオイルから全方位的にサポートする。 EV・HEVに採用が進んでいるイー・アクスルは、モーター・パワーコントロールユニット(PCU)・減速機の構成からなる一体型の重要部品。従来は、モーターの冷却性と減速機の潤滑特性がオイルに求められてきたが、出光興産はさらに、バッテリーやPCUなどの電子機器にも範囲を広げ、オイルで直接冷却する技術を完成させた。 「冷却システムの簡素化」「高次元での省エネ性とギア・ベアリングの潤滑性の両立」「電子部品の冷却性と電気絶縁性の両立」などをオイルにて一手に行うことが可能となり、車両の低コスト化と高性能化にも寄与する。 今後は、国内外自動車メーカーおよびTier 1(メーカーと直接取引する1次サプライヤー)向けの商品として提案・販売を強化していくという。 出光興産は、今年に入り「再生可能エネルギーを活用したEV充電サービスの従量課金の充電器の開発」や「全固体電池電解質の生産を増強」など、EV事業に積極的に取り組んでいる。 今回のオイルの開発は、出光興産の専門分野ゆえに開発できた商品といえよう。冷却用クーラントと潤滑オイルが一本化できたのは驚きである。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ポルシェ、ヒルトン東京お台場<東京都港区>に「ポルシェターボチャージングステーション」をオープン……ポルシェのEVオーナー向け、最高出力150kWの急速充電インフラ ★★ニトリ、各店舗へEV用充電器を設置へ……プラゴと提携、ニトリおよび島忠の300店舗に750基を導入(2024年末までに) ★★ロールス・ロイス、「スペクター」を日本で初公開……世界最高級車がいよいよEV市場に本格参戦[詳細はこちら<cllick>] ★★ボルボ、「Volvo Studio Tokyo」にて90kWの急速充電サービスを開始……コーヒーのサービスも[詳細はこちら<click>] ★ヤマト運輸、群馬県内の集配車両850台を2030年までにEV化……群馬県とカーボンニュートラル実現に向けた連携協定を締結 ★ランチア、コンセプトEV「ピューラHPE」を「ル・マン・クラシック2023」にて展示 ★ヤマハ、「電動PT開発部」を新設……これまでの開発部署「第1PT設計部」の機能を移管 ★ヤマハ、電装系の開発子会社「ヤマハモーターエレクトロニクス」を合併へ……2025年1月に合併完了、電動製品開発のスピードアップを目指す ★二輪AWD式の電動キックボード(特定小型原付)「SO-RIN」が登場……埼玉県狭山市の電装企業ハイカーなどが開発 ★国土交通省、「水素保安ポータルサイト」を開設……用途ごとに適用される法令とその法令担当窓口の紹介など ★ステランティス、オランダの建設企業Jos ScholmanにFCEVを納入へ……商用FCEV「オペル・ヴィヴァーロe・ハイドロジェン」16台を購入契約 ★ポールスター、テスラの急速充電インフラ「スーパーチャージャー」の利用が可能に……北米の充電規格「NACS」を採用 ★GM、イスラエルのバッテリー向けソフトウエア企業「ALGOLiON」を買収……EVのバッテリー管理および異常を検知し熱暴走を防止 ★ステランティス、レアメタル開発のクニコに500万ユーロ(約7億9,000万円)を投資……低炭素の硫酸ニッケル・硫酸コバルトの今後9年間の生産量のうち35%を取得 ★日産、鹿児島県伊佐市とEVの活用などで連携……公用車に日産のEVを導入、災害時にEVを電源車として避難所などに提供 ★アウディ、新CEOにゲルノート・デルナー氏が就任……ポルシェAGにて「パナメーラ」の統括責任者を経験、アウディの電動化戦略を引き続き推進 ★★BMW、直営のショールーム「BMW青山スクエア」を改装オープン デイリーEVヘッドライン[2023.07.03]

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ダスキンが開発した雀蜂駆除用のドローン(photo=福田 雅敏)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
危険なスズメバチを“主砲”にて一掃……ダスキンが雀蜂駆除・対策用のドローンを開発[2023.06.30]

人の立ち入りが危険な箇所でも作業が可能 危険な虫・獣への対策にドローンや小型EVの活用を期待 【THE 視点】ダスキンは、「自治体・公共 WEEK 2023」<東京ビッグサイト(東京都江東区)/6月28日(水)~30日(金)>にて、ハチ駆除用ドローンを公開した。石川エナジーリサーチと共同開発。2023年下期よりテスト運用を一部の地域で予定し、その結果を受けて全国展開していくという。 スズメバチの駆除は難易度が高く、時として命に係わる危険を伴う。スズメバチ駆除はニーズが高いものの、ハチからの攻撃・高所での作業・熱中症などさまざまなリスクを抱えるうえ、橋脚下といった人が立ち入れない場所での駆除がこれまで課題とされてきたという。 そこでダスキンは、ドローンの活用に着目し、安全性・効率性が高い新サービスを開発した。 このハチ駆除用ドローンが持つ特徴・機能は2つ。 1.掃除機タイプのノズルを使用してハチを吸引する機能 2.蜂の巣をドローンで破壊し取り除く機能。 写真は掃除機装置を装着した吸引式を撮影したものだが、ドリルが装着されたアタッチメントに交換が可能で、巣を破壊し除去できるという。展示されていたプロトタイプは、有線給電方式をとるが、将来的にはバッテリー駆動を検討しているとのこと。 これまでドローンは、撮影計測用や物流目的のものが多数だったが、現在はそこに“一芸”を加えて作業用ロボット化が進んでいる。 今回の害虫駆除用に見られるように、人の手では危険・困難な作業を、遠隔から安全に行えるようになるメリットは非常に大きい。昨今は人里へクマが出没し、人に危害を加えるといった事故が多いように感じる。このようなドローンのほか、小型EVをベースとした遠隔操作機器の活用が広がれば、虫害・獣害による事件・事故が減らせるのではないだろうか。 この展示会では他にも、シェアリング用EVや地域の足となるグリーンスローモビリティ・充電インフラなどEV関係の自治体向けソリューションの展示も多かった。 またドローンに関しては「Japan Drone 2023 第8回/第2回次世代エアモビリティEXPO 2023」の模様を別途レポートする。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ZF、新型のモーター一体型駆動装置「イー・アクスル」を開発……「ポルシェ・タイカン」ベースのコンセプトカー「EVbeat」に搭載、従来のユニットに比べ40kg軽量[詳細はこちら<click>] ★★三菱、ヤマダデンキの5店舗にてEVを販売……法人向けに「eKクロスEV」「ミニキャブ・ミーブ」を新車販売、V2H(EVの電力を家庭用に供給する機器)を含めた提案が可能に ★★エネチェンジ、横浜市と連携……市内公共施設へのEV用普通充電器(最高出力6kW)を導入 ★ホンダ系新興のストリーモ、3輪の電動キックボード「ストリーモS01JT」を発表……伝説の3輪スクーター「ストリーム」の事実上の復活[詳細はこちら<click>] ★国土交通省、「グリーンスローモビリティ」の導入を支援……導入経費の2分の1を補助、6月29日(木)〜7月25日(火)まで公募 ★米トラック大手のマック、中型EVトラック「MDエレクトリック」の受注を開始……最大容量150kWh・240kWhのバッテリーを選択可能 ★山梨中央銀行、「日産リーフ」を導入……社用車として1台 ★ドローン事業のテラドローン、「空の移動革命に向けた官民協議会」の構成メンバーに……国交省と経産省が共同運営の会議、空飛ぶクルマの実装加速を目指す ★テラモーターズ、「テラチャージ株式会社」に社名変更(2024年2月1日付けにて)……EV用充電インフラ「テラチャージ」事業に注力、グローバル企業への成長も目指す ★東京都環境公社、「未来のSDGsエンジニア ‐水素社会たいけんプログラム- 」を開催……水素エネルギーの体験イベントを「水素情報館東京スイソミル」<東京都江東区潮見1-3-2/8月5日(土)・6日(日)>にて、FCEVのゴーカート体験も ★テラモーターズ、社員数が大幅拡大……14ヵ月で4名から100名に、2023年度末に300名を目指し人材を積極採用 ★GM傘下のGMエナジー、V2Hシステム「Ultium Home」をアメリカで発表……蓄電設備がセットのパッケージも用意 ▶︎リコール◀︎「フォルクスワーゲン ID.4」……意図せずドアが開くおそれ デイリーEVヘッドライン[2023.06.30]

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ワヤレス充電ポイントに駐車するシーン(photo=ワイトリシティ)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
EV用ワイヤレス充電が日本上陸……シナネンホールディングスが米「ワイトリシティ」の国内代理店に[2023.06.29]

駐車するだけで充電が開始し走行中給電も可能 プラグの抜き差しの煩わしさから解放 【THE 視点】シナネンホールディングスは6月26日、EVのワイヤレス充電システムの生産・販売を展開するアメリカの企業「 WiTricity(ワイトリシティ)」と、今後の協力関係に関する基本合意を締結したと発表した。ワイトリシティのEVワイヤレス充電システムを日本へ導入する。 ワイトリシティは、マサチューセッツ工科大学にてEVのワイヤレス充電技術を開発していた研究室のメンバーが2007年に設立した企業。 同社のワイヤレス充電システム「ワイトリシティ・ヘイロー」は「磁界共鳴方式」を採用。地上に設置した送電パッドと、EVに取り付けた受電パッド(レシーバー)との間で、磁界を共鳴させ電力を供給するものだ。 EVと充電機器とをコードでつなぐ必要がなく、EVを送電パッドの上に停車させて、パワースイッチを切れば自動で給電が開始される。車両側レシーバーは、PHEV、BEVなどに適用でき、既存のEVへの後付けも車種によっては可能である。標準伝達電力は11kWで、ケーブルが必要なレベル2充電システムと同等の電力転送効率・充電時間での充電が可能。 また、EVをワイヤレスにて常時接続しておけるので、V2H(EVの電力を家庭用電力として使用可能にする機器・インフラ)などにも対応でき、分散電源・非常電源としての活用ができるほか、給電装置を道路に埋め込めば走行中の充電も可能になる。 ワイトリシティは、ワイヤレス充電技術について、1,300件以上の世界的な特許を所有し、これまでに自動車メーカーや電力機器メーカーとの協業にて実装を行ってきた。しかし現在は、地上側送電パッドや車両側レシーバー等の生産を開始することに伴い、「ワイトリシティ」ブランドとしての一般販売開始を目指している。 日本市場への上陸もこの一環と言える。日本で本格展開するために、シナネンホールディングスと協力関係の構築に関する基本合意締結に至った。 ワイヤレス充電自体は日本でも身近な存在で、スマートフォンではすっかりお馴染みのシステムとなった。EVではこれからだが、実はBMWの旧型「5シリーズ」のPHEVにオプション設定があった。 EVを充電するにあたって、機器からプラグを接続する動作を面倒だと思う人が一定数存在するのは確かだ。このワイヤレス充電を設置すればEVを車庫などに止めるだけで自動で充電されるので、手間は限りなくゼロになる。雨の日や多数の荷物を抱えているような場合には重宝するであろう。 また、走行中給電にも対応できるのはひとつのトピックだ。スウェーデンでは、2035年までに高速道路上の3,000kmにわたって走行中のワイヤレス給電設備を整備するとの話もある。 今後、EVのワイヤレス充電は急速に普及が見込まれるシステムであろう。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★アストンマーティン、高級・高性能EVを開発へ……米新興のルーシッドがパワートレインを供給 ★★BMW、米サウスカロライナ州にて高電圧のバッテリー・アセンブリー工場を着工……EVの「X」モデル用のバッテリーを生産 ★★ランチア、EVコンセプト「ピューラHPE」の欧州巡業が終了……新型「イプシロン」を2024年上半期に発売と発表も ★ヤマハ発動機、EVスクーター「E01」のレンタル規模を拡大……全国の正規販売店「YSP」を中心に、2023年7月より配備拡大 ★ボルボ、テスラの充電インフラ「スーパーチャージャー」を利用可能に……2025年以降のボルボ製EVが対応、米国・カナダ・メキシコにて計1万2,000の充電ポイントを持つ巨大ネットワーク ★オペル、「アストラ・エレクトリック」の純正アクセサリーを公開……自転車用キャリアなども用意 ★欧州カーシェアリングのFree2move、EV充電事業に進出……「Free2move Charge」を開始、欧州と北米にて展開 ★メルセデス・ベンツ、EVトラクター・ヘッドの「eアクトロス 300 トラクター」をオランダの物流関係企業に初引き渡し……航続距離220kmで最大160kWの急速充電に対応 ★アウディ、「e-tron GT」などを使用したツーリングイベント「Audi x Michelin Guide 2-day tour experience」の募集を開始……ミシュランガイドとのコラボレーションでグルメを堪能、7月21日(木)〜21日(金)の2日間 ★GM参加の防衛企業GMディフェンス、国防総省のエネルギー・ストレージ・ユニットを試作へ……電力がない場所での作戦などへの活用を視野、バッテリーや水素由来の発電も検討 デイリーEVヘッドライン[2023.06.29]  

TAG: #THE視点 #充電インフラ #国内ビジネス
モリタ・メビウス・コンセプト(photo=福田 雅敏)
TEXT:福田 雅敏
消防にも電動の波……「東京国際消防防災展」にて国内大手「モリタ」がEV消防車を初公開

5年ぶり開催の消防展は電動化が目立つ展示内容 日本最大級の消防・防災に関する展示会「東京国際消防防災展2023」(主催:東京消防庁/東京ビッグサイト/東京国際消防防災展2023実行委員会)が、6月15日〜18日に東京ビッグサイト<東京都江東区>にて開催された。 本イベントは5年に1度のペースで開催されており、今回は11回目となる。出展数は、前回を上回る325社・団体となった。 展示内容としては、「消火・救急・救助・避難・誘導」「防災・減災・災害対策」「情報システム・通信サービス」「消防防災に関する製品・サービス・その他」の4分野に加えて「非常用電源」の展示、そして東京消防庁が、火災・災害から身を守るための最新の技術や注目の製品を紹介していた。また、国内外の消防車のほか、レストアされた消防車や米軍基地所属の消防車も多数展示された。 筆者は今年に入ってから、チューニングカーから建設機械に至るまでさまざまな展示会に足を運んでいるが、全てにおいて電動化が進んでいることが確認できた。今回は消防であるが、やはりここも同様である。今回はEVの消防車ほか関連する車両・機器について写真とともにレポートする。 帝国繊維、デザインも美しいオーストリア製「ローゼンバウアーRT」を出展 まずは、「デイリーEVヘッドライン」でもお伝えした、オーストリアの「ローゼンバウアー」(輸入元:帝国繊維)のEV消防車だ。「ローゼンバウアーRT」は欧州車ともあり、日本車とは違うそのボディデザインとも相まって、会場でひときわ目立っていた。 ボルボのパワートレインを採用した前後2モーター式の全輪駆動に、4WS(全輪操舵)機能も備える。ちなみにモーターは、1基あたりの最高出力が180kW(245ps)なので、システムの総合出力は360kW(490ps)となる。   バッテリーは、電圧が650V・最大容量132kWh(66kWh×2)のものに、バックアップ用として225kW(306ps)のディーゼルエンジンを積む。厳密に言えば、この車両はプラグイン式のシリーズ型ハイブリッド車(PHEV)であり、長時間に及ぶ作業にも対応が可能となっている。 他にも帝国繊維のブースでは、「Vetter EIS」EV隔離消火システムも展示。EVの火災消火後の再燃を防ぐため、一旦消火した後に「Vetter EIS」で車両を包み、その中に水を入れて消火する。 モリタホールディングス、「三菱ふそう eキャンター」ベースのEV消防車を国内初公開 モリタは、日本初となるEV消防ポンプ自動車「MoEVius concept(メビウス・コンセプト)」を展示。 三菱ふそうの「eキャンター」をベースに、独自開発した「ePTO」(電動ポンプ駆動システム)と「e-Fireポンプ」(EV専用ポンプ)を搭載し、高いエネルギー効率を実現。2024年の発売に向け開発中と言う。 合わせて、今後登場するであろうEV消防車のための汎用ユニットで、ePTOとe-Fireポンプを一体化させた「MoEVius(メビウス)」(EN規格準拠 搭載型電動水ポンプ)を展示していた。 また、多目的消防戦術ロボット「ウォルフR1」を展示。バッテリー駆動の遠隔操作型消防用ロボットで、2,000L/分の電動放水銃を装備。倉庫火災・トンネル火災など危険な現場で威力を発揮するという。 東京消防庁、「トヨタ・ミライ」ベースの査察広報車を出展 今回の主催者でもある東京消防庁は、様々な消防車両を展示・デモをしていた。EV関係では、FCEVの「トヨタ・ミライ」、「三菱エクリプスクロスPHEV」をベースにした査察広報車を出展。災害現場での情報収集や広報活動を支援する車両だという。 またEVの特殊救急車として国内で初めて導入(2020年)された「日産NV400」を展示。この車両は欧州仕様となる。バッテリー容量は33kWhで130kmの航続が可能。電動ストレッチャーまで装備する。 ここまで大手を中心に紹介したが、展示されていた電動系の消防機器はこれだけではない。次回は後編として、電動の消防支援車両・機器を紹介したい。

TAG: #THE視点 #はたらくEV #国内ビジネス
FC用電動ターボコンプレッサ(photo=IHI)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
過給音が燃料電池(FC)から聞こえる理由とは⁉︎……IHIがFC向けの電動ターボを開発[2023.06.28]

空気が薄い高高度でもFCの化学反応を安定化させ機内の圧縮空気での稼働も可能 トラックなどパワーの必要な大型FCEVへの転用も期待 【THE 視点】IHIは6月16日、燃料電池(FC)向けの電動ターボコンプレッサーを開発したと発表した。 航空機への搭載を想定したもので、燃料電池本体に圧縮空気を供給し、水素と酸素の反応を促進させるもの。空気の薄い上空でも大量の空気をFCに供給し発電を促進させ、安定した飛行が可能となる。 空気浮上式ガス軸受電動モーターを搭載したことで、世界最高レベルとなる出力(従来比3.5倍)を発揮するという。また、燃料電池から排出される水蒸気を動力としても活用が可能。これにより、100kW(136ps)の出力が得られるとのこと。飛行中の薄い外気を圧縮して客室空調へ供給しつつ、客室の圧縮空気を逃がすエネルギーを動力源とすることも期待できる。 IHIは、「小型旅客機用の水素燃料電池推進システム」「機内使用電力用の燃料電池発電システム(ガスタービン発電機の代替として脱炭素化に寄与)」「現在運航している民間航空機の後継機となる中型旅客機の空調の省エネ化などの実現」に活用できるとしている。 なお本開発は、IHIが国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務「次世代電動推進システム研究開発 電動ハイブリッドシステム」において実施したものである。IHIは、2030年の実用化を目指すという。 今回の製品は航空機への搭載を前提としたものだが、実はIHIは、既に燃料電池車(FCEV)の「メルセデス・ベンツ GLC F-CELL」に電動ターボを搭載している。こちらも、FCスタックに送る圧縮空気用に排出される空気でタービンを回すので、今回発表されたものと同じ構造を持つと推測できる。 このターボを使えば、アメリカのパイクスピークなど4,000mを超える高地にFCEVで上れる。また、排出空気を再利用できる点においては、モーターユニットの小型化と高回転・高出力化が期待できる。それは、取り付けのためのスペース確保が容易になるということだ。 このターボはFCEVトラックにも有用であろう。積載状況や配送ルートによっては大パワーを必要とするため、このターボがあれば急坂なども登りやすくなる。より効率的かつ柔軟なルートの選択につながると考えられる。 FCターボは、航空機だけではなく自動車の分野でも有用であるはずだ。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★名鉄協商とドコモ、カーシェアにEVを共同で導入……ドコモの「dカーシェア」で利用可能な名鉄協商の「カリテコ」にEVを順次導入、名古屋市中村区内の名鉄協商パーキング2ヵ所に「日産サクラ」を各1台ずつ6月28日(水)より利用開始 ★★エネチェンジ、決済向けアプリ「EV充電エネチェンジ」と充電スポット検索アプリ「EVsmart」を統合……統合版の新アプリ「EV充電エネチェンジ」が6月28日(水)から開始[詳細はこちら<click>] ★★国土交通省・経済産業省・環境省、「令和5年度商用車の電動化促進事業」の公募を合同で開始……EVトラックやタクシーの導入費を集中的に支援、2023年6月27日(火)〜2024年1月31日(水)まで募集 ★★DHLジャパン、配送用にEVトラック19台を追加で導入……「日野デュトロ」18台に加えて、「三菱ふそう eキャンター」を1台 ★ポールスター、SUVの「ポールスター2」を改良……新型のモーターやバッテリーを採用、シングルモーターの長距離モデルは654km(WLTP値)の航続距離に ★経済産業省、「第1回 充電インフラ整備促進に関する検討会」を開催(終了)……エネチェンジ/テラモーターズ/eモビリティ・パワーなどが出席、事務局提示のロードマップについて参加団体から意見を聴取 ★シナネンホールディングス、EVワイヤレス充電の「ワイトリシティ」(アメリカ)と協力……ワイヤレス充電設備を日本導入、シナネンが代理店に ★DUALホールディングス、近畿日本ツーリストと業務提携……「EV充電コンシェルジュ」サービスを開始、近畿日本ツーリストの取引先(旅館・ホテル)に直接ヒアリングが可能となり、充電インフラ問題の解決を目指す ★テラモーターズ、EV用充電器の受注台数が4,700超え……2022年の事業開始から14ヵ月で達成 ★ボードリー、茨城県境町にて運行中の自動運転EVバス(レベル4)にてHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)の実証実験を開始……市光工業製のディスプレイを設置し、右左折やあいさつ文などを表示 ★三井物産、マイクロ波によるリチウム鉱石精錬技術を開発へ……マイクロ波化学と共同開発、煆焼のプロセスを電化しCO2を削減 ★レクシブ、「しずおか連携中枢都市圏」(静岡市/島田市/藤枝市/焼津市/牧之原市/吉田町/川根本町)にてEV導入をサポート……「脱炭素先行地域選定のための計画提案書作成業務の事業者」に選定 ★テラモーターズ、電気・通信インフラのエクシオグループと業務提携……相互のインフラ技術を活用し充電インフラの普及加速を狙う ★日産、香川県丸亀市とEVを活用したまちづくりで連携……公用車に「リーフ」を導入、災害時のEV電力の活用や電力の地産地消の促進など デイリーEVヘッドライン[2023.06.28]

TAG: #THE視点 #テクノロジー #燃料電池(FC)

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