イベント
share:

消防にも電動の波……「東京国際消防防災展」にて国内大手「モリタ」がEV消防車を初公開


TEXT:福田 雅敏 PHOTO:福田 雅敏
TAG:
モリタ・メビウス・コンセプト(photo=福田 雅敏)

5年ぶり開催の消防展は電動化が目立つ展示内容

東京消防庁が出展したEV消防車両(photo=福田 雅敏)

日本最大級の消防・防災に関する展示会「東京国際消防防災展2023」(主催:東京消防庁/東京ビッグサイト/東京国際消防防災展2023実行委員会)が、6月15日〜18日に東京ビッグサイト<東京都江東区>にて開催された。

本イベントは5年に1度のペースで開催されており、今回は11回目となる。出展数は、前回を上回る325社・団体となった。

展示内容としては、「消火・救急・救助・避難・誘導」「防災・減災・災害対策」「情報システム・通信サービス」「消防防災に関する製品・サービス・その他」の4分野に加えて「非常用電源」の展示、そして東京消防庁が、火災・災害から身を守るための最新の技術や注目の製品を紹介していた。また、国内外の消防車のほか、レストアされた消防車や米軍基地所属の消防車も多数展示された。

筆者は今年に入ってから、チューニングカーから建設機械に至るまでさまざまな展示会に足を運んでいるが、全てにおいて電動化が進んでいることが確認できた。今回は消防であるが、やはりここも同様である。今回はEVの消防車ほか関連する車両・機器について写真とともにレポートする。

帝国繊維、デザインも美しいオーストリア製「ローゼンバウアーRT」を出展

ローゼンバウアーRT(photo=福田 雅敏)

まずは、「デイリーEVヘッドライン」でもお伝えした、オーストリアの「ローゼンバウアー」(輸入元:帝国繊維)のEV消防車だ。「ローゼンバウアーRT」は欧州車ともあり、日本車とは違うそのボディデザインとも相まって、会場でひときわ目立っていた。

ボルボのパワートレインを採用した前後2モーター式の全輪駆動に、4WS(全輪操舵)機能も備える。ちなみにモーターは、1基あたりの最高出力が180kW(245ps)なので、システムの総合出力は360kW(490ps)となる。

 

バッテリーは、電圧が650V・最大容量132kWh(66kWh×2)のものに、バックアップ用として225kW(306ps)のディーゼルエンジンを積む。厳密に言えば、この車両はプラグイン式のシリーズ型ハイブリッド車(PHEV)であり、長時間に及ぶ作業にも対応が可能となっている。

他にも帝国繊維のブースでは、「Vetter EIS」EV隔離消火システムも展示。EVの火災消火後の再燃を防ぐため、一旦消火した後に「Vetter EIS」で車両を包み、その中に水を入れて消火する。

モリタホールディングス、「三菱ふそう eキャンター」ベースのEV消防車を国内初公開

モリタ・メビウス・コンセプト(photo=福田 雅敏)

モリタは、日本初となるEV消防ポンプ自動車「MoEVius concept(メビウス・コンセプト)」を展示。

三菱ふそうの「eキャンター」をベースに、独自開発した「ePTO」(電動ポンプ駆動システム)と「e-Fireポンプ」(EV専用ポンプ)を搭載し、高いエネルギー効率を実現。2024年の発売に向け開発中と言う。

合わせて、今後登場するであろうEV消防車のための汎用ユニットで、ePTOとe-Fireポンプを一体化させた「MoEVius(メビウス)」(EN規格準拠 搭載型電動水ポンプ)を展示していた。

EV用汎用消防ポンプシステム「メビウス」(photo=福田 雅敏)

また、多目的消防戦術ロボット「ウォルフR1」を展示。バッテリー駆動の遠隔操作型消防用ロボットで、2,000L/分の電動放水銃を装備。倉庫火災・トンネル火災など危険な現場で威力を発揮するという。

多目的消防戦術ロボット「ウォルフR1」

東京消防庁、「トヨタ・ミライ」ベースの査察広報車を出展

「トヨタ・ミライ」ベースの査察広報車(photo=福田 雅敏)

今回の主催者でもある東京消防庁は、様々な消防車両を展示・デモをしていた。EV関係では、FCEVの「トヨタ・ミライ」、「三菱エクリプスクロスPHEV」をベースにした査察広報車を出展。災害現場での情報収集や広報活動を支援する車両だという。

「トヨタ・ミライ」ベースの査察広報車(photo=福田 雅敏)

またEVの特殊救急車として国内で初めて導入(2020年)された「日産NV400」を展示。この車両は欧州仕様となる。バッテリー容量は33kWhで130kmの航続が可能。電動ストレッチャーまで装備する。

日産NV400の救急車(photo=福田 雅敏)

ここまで大手を中心に紹介したが、展示されていた電動系の消防機器はこれだけではない。次回は後編として、電動の消防支援車両・機器を紹介したい。

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
中国から地球上最強コスパの新星EV現る! IMモーターL6の驚くべきスペックとは
BYDの売り上げ鈍化に注目しても意味なし! むしろ心配すべきはテスラか? BYDは利益率も投資額も驚くべき水準だった
いすゞがピックアップトラック「D-MAX」にBEVを用意! バンコク国際モーターショーでワールドプレミア予定
more
ニュース
ホンダの電動ロボット芝刈機/草刈機「ミーモ」シリーズが大幅改良! 国内で年間500台のセールスを目指す
ホンダCR-Vが帰ってきた! 新型燃料電池車「CR-V e:FCEV」が登場
「ノート オーラ NISMO」がマイナーチェンジ! 初の4WDモデル「NISMO tuned e-POWER 4WD」が登場
more
コラム
電動化の失速どころかEV&PHEVがバカ売れ! テスラもドイツ御三家も押し出す中国メーカーの勢い
日本での走行テストを確認! 中国BYDの新たな刺客「Sea Lion 07」の驚異の性能
日本のEVシフトは2024年に入り低迷気味! 軽のサクラ&eKを除けば海外勢の健闘が目立つ
more
インタビュー
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
災害に強いクルマは「PHEV+SUV+4WD」! 特務機関NERVがアウトランダーPHEVを選ぶ当然の理由
more
試乗
EV専業の「テスラ」とEVに力を入れる従来の自動車メーカー「ヒョンデ」! モデルYとコナを乗り比べるとまったく違う「乗りもの」だった
誰もが感じる「ポルシェに乗っている」という感覚! ポルシェはBEVでもやっぱりスポーツカーだった
佐川急便とASFが共同開発した軽商用EV「ASF2.0」に乗った! 走りは要改善も将来性を感じる中身
more
イベント
中国市場のニーズに合わせて開発! 日産が北京モーターショー2024で新エネルギー車のコンセプトカーを出展
レース前に特別に潜入! フォーミュラEに参戦する日産チームのテント内は驚きと発見が詰まっていた
日産がフォーミュラE「Tokyo E-Prix」開催前スペシャルイベントを開催! 六本木ヒルズアリーナに1夜限りのサーキットが出現
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択