EVヘッドライン
share:

過給音が燃料電池(FC)から聞こえる理由とは⁉︎……IHIがFC向けの電動ターボを開発[2023.06.28]


TEXT:福田 雅敏、ABT werke
TAG:
FC用電動ターボコンプレッサ(photo=IHI)

空気が薄い高高度でもFCの化学反応を安定化させ機内の圧縮空気での稼働も可能
トラックなどパワーの必要な大型FCEVへの転用も期待

【THE 視点】IHIは6月16日、燃料電池(FC)向けの電動ターボコンプレッサーを開発したと発表した。

航空機への搭載を想定したもので、燃料電池本体に圧縮空気を供給し、水素と酸素の反応を促進させるもの。空気の薄い上空でも大量の空気をFCに供給し発電を促進させ、安定した飛行が可能となる。

空気浮上式ガス軸受電動モーターを搭載したことで、世界最高レベルとなる出力(従来比3.5倍)を発揮するという。また、燃料電池から排出される水蒸気を動力としても活用が可能。これにより、100kW(136ps)の出力が得られるとのこと。飛行中の薄い外気を圧縮して客室空調へ供給しつつ、客室の圧縮空気を逃がすエネルギーを動力源とすることも期待できる。

IHIは、「小型旅客機用の水素燃料電池推進システム」「機内使用電力用の燃料電池発電システム(ガスタービン発電機の代替として脱炭素化に寄与)」「現在運航している民間航空機の後継機となる中型旅客機の空調の省エネ化などの実現」に活用できるとしている。

なお本開発は、IHIが国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務「次世代電動推進システム研究開発 電動ハイブリッドシステム」において実施したものである。IHIは、2030年の実用化を目指すという。

今回の製品は航空機への搭載を前提としたものだが、実はIHIは、既に燃料電池車(FCEV)の「メルセデス・ベンツ GLC F-CELL」に電動ターボを搭載している。こちらも、FCスタックに送る圧縮空気用に排出される空気でタービンを回すので、今回発表されたものと同じ構造を持つと推測できる。

このターボを使えば、アメリカのパイクスピークなど4,000mを超える高地にFCEVで上れる。また、排出空気を再利用できる点においては、モーターユニットの小型化と高回転・高出力化が期待できる。それは、取り付けのためのスペース確保が容易になるということだ。

このターボはFCEVトラックにも有用であろう。積載状況や配送ルートによっては大パワーを必要とするため、このターボがあれば急坂なども登りやすくなる。より効率的かつ柔軟なルートの選択につながると考えられる。

FCターボは、航空機だけではなく自動車の分野でも有用であるはずだ。
(福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー)

★★名鉄協商とドコモ、カーシェアにEVを共同で導入……ドコモの「dカーシェア」で利用可能な名鉄協商の「カリテコ」にEVを順次導入、名古屋市中村区内の名鉄協商パーキング2ヵ所に「日産サクラ」を各1台ずつ6月28日(水)より利用開始

★★エネチェンジ、決済向けアプリ「EV充電エネチェンジ」と充電スポット検索アプリ「EVsmart」を統合……統合版の新アプリ「EV充電エネチェンジ」が6月28日(水)から開始詳細はこちら<click>

★★国土交通省・経済産業省・環境省、「令和5年度商用車の電動化促進事業」の公募を合同で開始……EVトラックやタクシーの導入費を集中的に支援、2023年6月27日(火)〜2024年1月31日(水)まで募集

★★DHLジャパン、配送用にEVトラック19台を追加で導入……「日野デュトロ」18台に加えて、「三菱ふそう eキャンター」を1台

★ポールスター、SUVの「ポールスター2」を改良……新型のモーターやバッテリーを採用、シングルモーターの長距離モデルは654km(WLTP値)の航続距離に

★経済産業省、「第1回 充電インフラ整備促進に関する検討会」を開催(終了)……エネチェンジ/テラモーターズ/eモビリティ・パワーなどが出席、事務局提示のロードマップについて参加団体から意見を聴取

★シナネンホールディングス、EVワイヤレス充電の「ワイトリシティ」(アメリカ)と協力……ワイヤレス充電設備を日本導入、シナネンが代理店に

★DUALホールディングス、近畿日本ツーリストと業務提携……「EV充電コンシェルジュ」サービスを開始、近畿日本ツーリストの取引先(旅館・ホテル)に直接ヒアリングが可能となり、充電インフラ問題の解決を目指す

★テラモーターズ、EV用充電器の受注台数が4,700超え……2022年の事業開始から14ヵ月で達成

★ボードリー、茨城県境町にて運行中の自動運転EVバス(レベル4)にてHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)の実証実験を開始……市光工業製のディスプレイを設置し、右左折やあいさつ文などを表示

★三井物産、マイクロ波によるリチウム鉱石精錬技術を開発へ……マイクロ波化学と共同開発、煆焼のプロセスを電化しCO2を削減

★レクシブ、「しずおか連携中枢都市圏」(静岡市/島田市/藤枝市/焼津市/牧之原市/吉田町/川根本町)にてEV導入をサポート……「脱炭素先行地域選定のための計画提案書作成業務の事業者」に選定

★テラモーターズ、電気・通信インフラのエクシオグループと業務提携……相互のインフラ技術を活用し充電インフラの普及加速を狙う

★日産、香川県丸亀市とEVを活用したまちづくりで連携……公用車に「リーフ」を導入、災害時のEV電力の活用や電力の地産地消の促進など

デイリーEVヘッドライン[2023.06.28]

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
中国から地球上最強コスパの新星EV現る! IMモーターL6の驚くべきスペックとは
BYDの売り上げ鈍化に注目しても意味なし! むしろ心配すべきはテスラか? BYDは利益率も投資額も驚くべき水準だった
いすゞがピックアップトラック「D-MAX」にBEVを用意! バンコク国際モーターショーでワールドプレミア予定
more
ニュース
日産からセダンのEVが出るぞ! 中国向け車両「N7」を初公開
過酷なダカールラリーで排気量998㏄の「水素小型エンジン」を鍛える! HySEが2025年の参戦を発表
コレクターズアイテムになること間違いなし! 「FIAT × ルパン三世」のクリスマスコラボプレゼントを実施中
more
コラム
自宅で充電できないけどEVを買う人が増えている! ただしいまのインフラ状況だと「セカンドカー」で乗るのが正解
充電が無料でできる施設は税金のムダ遣い? 地方自治体の取り組みの是非を考える
EVの走りはむしろ好き! エンジン車も同時に所有! それでもEVライフを終了した理由をオーナーが激白
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】二度見必至の存在感は普通のコナとはまるで別モノ! イメージを大きく変えたヒョンデ・コナ「N Line」に乗って感じたマルとバツ
ボルボEX30で11時間超えの1000km走行チャレンジ! 課題は90kWまでしか受け入れない充電性能
EV専業の「テスラ」とEVに力を入れる従来の自動車メーカー「ヒョンデ」! モデルYとコナを乗り比べるとまったく違う「乗りもの」だった
more
イベント
外からもまる見えな全面ガラスドアも高齢化が進む地域のモビリティとして最適!? タジマの超低床グリーンスローモビリティ「NAO2」が斬新すぎた
EVはレアメタルが詰まった都市鉱山! CEATEC2024でBASC展示が提唱するサーキュラーエコノミーというバッテリーとは
畳めるバイク! 階段を上り下りできるカート! 自由な発想のEV小型モビリティが作る明るい未来を見た!!
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択