ロールス・ロイスの最新EV、「Spectre」(スペクター)は、パンテオングリルやスピリット・オブ・エクスタシーといったアイコンを継承している。とはいえ、0.25というCD値を達成するべく、空力を重視した造形へと進化しているという。守るべきは守り、変えるべきは変える。どんな時代にあってもベスト・オブ・ベストをユーザーへ提供するという彼らの姿勢が、スペクターにも明確に現れているようだ。 フライングレディも“空力仕様”に ロールス・ロイスはこれまで、ローマの神殿を模した「パンテオングリル」を大きく掲げたフロントマスクを特徴としてきた。「スペクター」は、過去最大のワイドさというパンテオングリルを備えるが、空力設計がなされている。 なにしろ、最終的に目標となった空気抵抗値は0.25(実現できた)。そのため、パンテオングリルも徹底的に空力的に考え抜かれた。縦のバーはすべて閉じられ、パンテオンの屋根にあたる部分は面とりをして、空気の剥離も追求されている。 室内のボタンで格納が操作できるラジエターマスコット、スピリット・オブ・エクスタシーの造型も、空力を考えてやり直されている。 「とにかく重要なのは、トリニティ(三位一体の意)。スピリット・オブ・エクスタシーと、バッジ・オブ・オナー(RRのエンブレム)と、パンテオングリル。ロールス・ロイスはこれだけはずっと守っていきます」 デザインディレクターのデンマーク人、アンダース・ワーミング氏の言葉だ。 「ロールス・ロイスのデザインにおいて、もうひとつ重要なのは、ディスティンクティブであること。つまり、他と違っていて、誰が見ても、ロールス・ロイスとわかるかたちです」 その一方で、ワーミング氏のチームは、「ファントム・クーペ」のような過去のクーペモデルに通じるプロポーションをなぞっている。車体と車輪の位置関係、短いフロントオーバーハング、長めのリアオーバーハング。ずっと続くテーマが今回も採用されているのだ。 日本での販売価格は4,800万円から オーナーのためにはビスポーク(特別注文)プログラムが用意されていて、1台と同じロールス・ロイスは路上にない、とまで言われるほど、オーナーは思い思いの仕様を注文することができる。 並行して、スペクターには、「スターライトドア」なる新しいオプションが用意された。ロールス・ロイスのオプションとしてこれまで、天井に星座をLEDで表現する「スターライト・ヘッドライナー」が採用されているが、さらに追加で車内を宇宙空間のようにすることができる。 身長180cmでも余裕で座っていられる後席空間が、上記の「星座」を楽しむ最適の場所だ。 700kgに及ぶ重量の大容量バッテリーのおかげで、航続距離は530kmを実現する。スペクターで長距離ドライブをしながら、暗くなってきたら車内でも星座が楽しめる。新しいかたちのインカー(車内)・エンタテインメントだ。 日本での価格は4,800万円から。さきに触れたとおり、ビスポークプログラムの内容は豊富なようなので、それを楽しむ手もある。BEV化しても、ロールス・ロイスは変わっていない。改めて思い知らせてくれるのだった。 <完> ロールス・ロイス スペクター 全長:5,475mm 全幅:2,144mm 全高:1,573mm ホイールベース:3,210mm 車両重量:2,890kg 乗車定員:4名 交流電力量消費率:23.6-22.2kWh/100km(WLTCモード) 一充電走行距離:530km(WLTCモード) 最高出力:430kW(585ps) 最大トルク:900Nm(91.8kgm) バッテリー総電力量:102kWh モーター数:前1基、後1基 駆動方式:AWD 車両本体価格:4,800万円
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