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新興国では意外なほどEVが普及している
欧米や中国を中心にEVシフトが進行するなか、新興国ではどのくらいEVが普及しているのだろうか。じつは2025年上半期のデータを見ると、一部の新興国では米国などの主要自動車市場を上まわるペースでEV化が進んでいる。東南アジアや中南米を中心に、EVの導入は想像以上に急速に拡大しているのだ。
本記事ではその現状を解説する。ちなみにここでの「EV」とは、乗用・小型商用車(LDV)におけるもので、大半がバッテリーEV(BEV)だが、プラグインハイブリッドEV(PHEV)も含んでいる。
<新興国におけるEV普及の現状>
国際的な非営利団体ICCT(International Council on Clean Transportation:国際クリーン交通協議会)の2025年上半期の調査によると、新興国市場のなかでもとくに注目すべきは、ベトナムのEV普及率である。2025年上半期のベトナムでは、新車販売に占めるEVの割合が35%に達している。これは、国産EVメーカーのビンファスト(VinFast)による積極的な販売と、政府による登録料免除などの税制優遇措置が奏功した結果である。
以下、タイが22%と続き、トルコが18%、インドネシアが15%、コロンビアが9%と、いずれも米国の9%やインドの3%を上まわる水準に達している。中南米最大の自動車市場であるブラジルとメキシコではそれぞれ6%を超えるEV普及率を記録しているが、PHEVの割合が高いのが現状だ。とはいえ前年比で大幅な成長を見せている。インドは約3%の普及率にとどまっているものの、前年と比較して高い成長率を示しており、今後の伸びが期待される市場である。
そのほか、国際エネルギー機関(IEA)の報告によると、コスタリカやウルグアイでは税制優遇や化石燃料の高価格が後押ししてEVシェアが15%前後と高い、一方、アフリカではシェアが1%未満と低迷しているが、2024年に販売台数が倍増し、モロッコやエジプトで2000台以上の成長を記録した。ここでも中国製EVが現地価格を押し下げ、普及の鍵となっている。


















































