#国内ビジネス
企業に向けたEVに対する意識調査(出展=帝国データバンク)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
EV化を「プラス」にとらえる企業はたった1割……帝国データバンクが約2万8,000社にアンケート[2023.08.29]

「マイナスの影響となった」と回答したのは13.6%の企業 EV導入に積極的ではない国内企業の姿勢が浮き彫りに 【THE 視点】帝国データバンクは8月25日、国内の企業に対してEVに対するアンケート調査の結果を公表した。調査期間は2023年7月18日~31日。全国2万7,768社を対象に調査を行ない、1万1,265社から回答を得られた(回答率40.6%)。EVに関する調査は、2021年6月、2022年7月に続いて今回で3回目となる。 調査結果および要旨は、EV普及による業績への影響として、「プラスの影響がある」と答えたのは全体の11.1%。「マイナスの影響」と答えたのは13.6%で、プラスよりも2.5ポイント多い数値となった。「影響はない」(41.0%)、「分からない」(34.3%)と回答したのは全体の7割を超える企業だった。 規模別では、「プラスの影響」と答えた大企業は16.3%で、中小企業を6.2ポイント上回った。従業員数が多いほど「プラスの影響」は大きい。 地域別での「プラスの影響」は、北関東の13.8%がトップ。「マイナスの影響」は既存の自動車産業の中心地である東海が20.6%で突出している結果となった。 EV事業への参入意向は、「参入済み」と「参入予定」を合わせて10%で、なんらかの形でEV市場に関わっていく意思があることがわかった。 規模別では、大企業の「参入済み」「参入予定」の割合が15.0%で、中小企業を5.9ポイント上回る。 地域別では、「参入済み」「参入予定」が最も高いのは北関東の14.0%。次いで東海の13.0%。 業界別では、最も高いのは製造の14.0%。次いで小売の13.5%となった。 そして「参入予定なし」は67.4%という結果となった。 自動車産業は、日本の全就業人口の約1割にあたる550万人の雇用を支える日本の基幹産業だ。海外では、新車販売にEVが占める比率が、中国で3割、EUで1割を超えた。北米や東南アジアにおいてもEVは無視できない存在となりつつある。 日本における同比率はいまだ2%に満たない。EVに関しては日本の自動車産業の出遅れ感が指摘されるようになっており、アンケートでそれが浮き彫りとなった。 それでも経営体力のある「大企業」ほどビジネス・チャンスと捉えて前向きな受け止め方をしていることや、北関東が積極的な姿勢を示している点は評価できる。 確かにEVへのシフトはタダで簡単にはできない。しかし補助金が充実しているし、EVシフトをサポートするサービスも増えてきている。現在、化石燃料の価格は天井知らずで上がっており、関係するコストは、誤差では済まない数字となって帳簿などに反映されていることと思う。 このまま我慢をするか、思い切ってEVに先行投資をするかは難しい判断になると思うが、EVシフトへの遅れが企業と社員の財布を直撃しているのは間違いないのではないか。例えば従業員の通勤のために支払う燃料手当。EV化でこの経費が浮けば、企業にどれだけの恩恵があるだろうか。 クルマを作る企業も使う企業も、生き残りをかけ、長期的視点に基づいて経営方針の修正や大旋回が必要であろう。このままでは、テスラやBYDといった海外の振興メーカーに国内勢が駆逐される日が現実となるような気がしてならない。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★パナソニック、EVの電力をビル電源と連動する機器「産業用蓄電システム単相連携タイプ(V2X対応)」を発売……EVの電力を建物に活用するV2Xと蓄電池を連携、太陽光発電とも組み合わせて電力自家消費を加速 ★★ユアスタンド、自社の予約課金システムをSKシグネット製急速充電器と連携……1分単位の課金やQRコード決済が可能、10月よりサービス開始 ★メルセデス・ベンツ・トラック、EVトラック「eアクトロス600」が酷暑下でのテストに成功……スペイン・アンダルシアにて5週間のテスト ★パーク24、福岡市の公共施設「西部地域交流センター」にEVのシェアリングカーを配備……「日産リーフ」を2台 ★レクシヴ、「小田原市EV宿場コンソーシアム」へ参画……EVユーザーの観光誘客を推進する施策 ★トヨタ、給電車を活用した避難生活を提案……「TOKYOもしもFES渋谷2023」<代々木公園/9月02日(土)〜03日(日)>に出展、給電車を活用した避難用具の使用をデモ ★テラモーターズ、埼玉県美里町と連携しEV用充電器を導入……町役場など6ヵ所の公共施設に設置予定 デイリーEVヘッドライン[2023.08.29]

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電動モビリティシステム専門職大学(photo=福田雅敏)
TEXT:福田 雅敏
リチウムイオン・バッテリーの製造研究施設も完備……世界初のEV専門職大学の本気度

後編はキャンパス内の施設を紹介 2023年4月、「学校法人赤門学院 電動モビリティシステム専門職大学(電動モビリティ大学)」<山形県飯豊町>がオープンした。文部科学省より認可を得た「専門職大学」であり、世界初の「電気自動車」と「自動運転」に特化した教育機関である。 「前編」では、本校の教育内容などを紹介した。後編では、キャンパスには一体どのような設備があるのか、施設面を紹介したい。 キャンパスは大きく4つの施設で構成 キャンパスには、「教育棟」「研修棟」「実習棟」「テストコース」が設けられている。 「教育棟」は、地元の木材を使用して建てられた温かみのある建物となっている。まるでロッヂの中にいるようで、くつろげる雰囲気がある。 この中には、教室・学生ラウンジ・ものづくり室・図書館等が設けられている。さらに、日本EVクラブ製作のEVレーシングカー「電友一号」や、細かく分解された「テスラ・モデル3」、一人乗りのパーソナルコミューター「プラチナカー」などが展示されている。特に「テスラ・モデル3」の解体標本は、それだけでも見ごたえ十分だ。  最新のCADも用意するが職人技を鍛える昔ながらの工作機械も完備 教室の中では、学生がCAD(キャド:設計ソフト)の学習をしていた。ここには、自動車業界御用達のハイエンドソフト「CATIA V5(バージョン5)」が18端末分用意されている。また、プログラミングのプラットフォーム「MATLAB(マトラボ)」を使用している学生も見られた。 この教室の隣には「ものづくり室」がある。旋盤・ボール盤・フライス盤・溶接機の工作機械に加えて、それらに使用する工具一式が揃っている。この時代にアナログな機械のように思えるが、やはり自分の手で品物を考え・作り・仕上げるというのは、ものづくりの基本中の基本である。 工業品を製作してみるとわかるのだが、仕上げた面の荒さや、ノギスで測った際の0.0数mmの誤差などは現品を確認しなければ分からない。金属やプラスチックは“ナマモノ”なのだ。 このあたりの“職人のカン”は、アナログな手法でなければ鍛えられない。メタバースなどでのシミュレーションは無理である。ちなみに教室内にあった溶接機の隣には、アルミ板を溶接したものが置かれていたが、熱で反りまくっていた。この失敗の経験が必要なのだ。 今年入学の生徒にはまだアルミ溶接は難しいだろうが、実習を通して技術と勘をがっちりと鍛えてほしい。もちろん旋盤やボール盤も同じである。 教育機関では日本唯一と見られるバッテリーの製造設備 「教育棟」の向かい側に「研究実習棟」がある。ここでの注目設備は、リチウムイオン・バッテリーの製造設備である。正極・負極材に用いる素材の“粉”を調合し、ラミネートセルまで作れるのだ。 さらには充放電などの試験・評価設備も整っている。バッテリーに関する設備をここまで整えている教育機関は、日本でもここだけのようである。

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電動モビリティシステム専門職大学(photo=福田雅敏)
TEXT:福田 雅敏
日本初のEV専門大学がオープン……日本の自動車業界に風穴を開けるエンジニアを養成できるか

世界初のEV専門教育機関が山形に 2023年4月、「学校法人赤門学院 電動モビリティシステム専門職大学(電動モビリティ大学)」<山形県飯豊町>がオープンした。文部科学省より認可を得た「専門職大学」であり、世界初の「電気自動車」と「自動運転」に特化した教育機関である。 EVに対する教育を自動車教育の中の「一つの単元」ではなく、専門校としたのは画期的である。7月に実際に大学を視察できたのでレポートをする。 初代学長は八輪のスーパーEV「エリーカ」生みの親の清水 浩氏 「電動モビリティ大学」の母体は、宮城県仙台市の「専門学校 赤門学院」。「赤門自動車整備大学校」を運営しているノウハウのある学校法人だ。「電動モビリティ大学」はその姉妹校的な存在と言えようか。 学長は慶應大学の名誉教授である清水 浩氏。インホイール・モーター式EV開発の第一人者であり、筆者も開発に参画した慶應大学制作の八輪スーパーEV「エリーカ」の生みの親である。 大学は、2022年8月末に認可が下りた生まれたてである。実は認可が降りるまで“2浪”し、3度目にてようやくの認可となったようだ。学生の募集を開始したのは、22年の9月と中途半端な時期となったが、その背景に認可の問題があった。 学生の定員は1学年40名で、4学年合わせて160名。教育陣は、専任教員23名に講師20名という構成にてEVの各教育を行う。 キャンパスは、「教育棟」「研究棟」「実習棟」「テストコース」を一つの敷地内に設置している。

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テスラが採用する充電規格「NACS」に対応(photo=DMM.com)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
DMMがEV充電インフラ事業に本腰……北米「NACS」規格の急速充電器を日本にて展開[2023.08.08]

メルセデス・ベンツ/BMWも対応を決めた世界の潮流になりつつある「NACS」 「CHAdeMO」に真っ向勝負となるがユーザーへの配慮を第一に 【THE 視点】DMM.comが提供するEV充電サービス「DMM EV CHARGE」は8月1日、2024年春に50kW/120kW/180kWの急速充電器を導入する。また同3日、テスラ方式の充電規格である「NACS」に対応すると発表した。 DMMは、EVの充電事業者としては新興企業であるが、2023年5月より開始した「DMM EV CHARGE」は、提供開始から3ヵ月で2,500基の受注に成功している。 商業施設・宿泊施設・公共施設・マンション等に対する設置を目的に、初期費用とサービス利用料が無料のプランと、それらを設置者が負担する代わりに売電収入の一部を還元するプランの2つを用意したことが好評のようだ。 2024年春より、DMMはEV充電インフラ事業をさらに加速させる。従来の6kWタイプの普通充電器に加えて、50kW/120kW/180kWの急速充電器を用意する。 そして、テスラ方式の充電規格「NACS(North American Charging Standard:北米充電標準規格)」への対応も発表した。24年導入の急速充電器が「NACS」に対応するとみて間違いないだろう。この「NACS」に対応した充電器は、ガソリンスタンド、高速道路のサービスエリア・パーキングエリアなどに設置予定だ。 「NACS」は、自動車技術の標準化に取り組んでいる「SAE International」によって2023年6月に標準化が発表されており、今後自動車メーカー各社での導入拡大が見込まれている。メルセデス・ベンツ/BMW/ステランティス/GM/ヒョンデ/キア/ホンダの計7つの自動車メーカーが、北米にて合同設立する充電インフラ企業も「NACS」へ対応予定で、日産も独自に対応すると発表している。「NACS」を採用するメーカーが世界的に増えている。 日本でこれまで「NACS」を採用してきたのは、テスラが自前で設置した「スーパーチャージャー」が中心であった。今回「DMM EV CHARGE」が「NACS」へ対応するのは、メーカー以外の企業としては日本初と見てよい。 「NACS」の導入は、それを採用する輸入車メーカーにとって日本市場への参入ハードルを低くできる。そしてうまくいけば、DMMは日本での「NACS」の主導権を握れるだろう。保守的な日本において、ビジネスとしては大きな賭けに出る格好だが、世界のトレンドを導入するだけに成功の可能性はある。 国産車は今後も「CHAdeMO」規格の採用を続けると思うが、輸入車は「NACS」規格が増えるものと思われる。日本でも充電規格争いが勃発しそうであるが、くれぐれも、ユーザーが混乱し利便性を損なうような不毛な争いにならないことを願いたい。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★マレリ、EV用の新型「統合熱管理モジュール」を発表……熱管理を1つのコンポーネントにまとめ、航続距離を最大20%向上 ★★ヒョンデ、韓国ソウル大学と「バッテリー共同研究センター」を設立……リチウムイオン・バッテリーと全固体電池について22の共同研究プロジェクトを実施 ★米新興のアルファモーター、新型EVピックアップトラック「ウルフ」を発表……クラシックなデザインを採用、YouTubeにて走行動画を公開 ★新電源、EV充電器の設置パートナー企業の案内サービスを開始……新電源の充電器を熟知し施工可能業者を案内することで安心感を向上 ★日産、福岡県八女市の再生可能エネルギー企業「やめエネルギー」と提携……八女市内で作られた電力でEVを運用 ★愛知県豊川市内においてドローン配送の実証実験を実施……KDDIスマートドローンの運行管理システムを使用し医薬品を配送 デイリーEVヘッドライン[2023.08.08]

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給電車を利用した「ワーケーション」のイメージ(photo=豊田自動車)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
猛暑だからこそ考えたい「ワーケーション」……トヨタが給電車を活用したテレワークを推進[2023.07.27]

給電機能を持つEV・PHEVは仕事環境を変える 「ワーケーション」は熱中症による危険から身を守れる可能性 【THE 視点】トヨタ自動車は7月24日、給電機能を持つクルマ(給電車)のユーザーを対象に、テレワークの推進キャンペーンを行うと発表した。 トヨタは、給電車を活用して生活と仕事の可能性を広げる「#電気が動くとできること」プロジェクトを実施している。全国に数百か所ある生活拠点でワーケーションを推進する企業のアドレスと協業し、「エレワーク」を体験できる取り組みを始める。 今回はモニターキャンペーンとして、トヨタの給電車ユーザー3名に物件の利用特典を用意する。ちなみに「エレワーク」とは、「電気(エレクトリシティ)」と「テレワーク」を掛け合わせた造語である。 近年、働き方の多様化により、職場や自宅とは異なる場所にて仕事をしながらプライベートの時間も充実させる「ワーケーション」が注目されている。テレワークの浸透にともない、国内のワーケーション市場は、2023年度に1,000億円を超えると予測されており、アドレスの利用者も2020年からの3年間で157%増加しているという。 給電車を活用すれば、避暑地にて作業をしたり、夏休み中の子どもとレジャーに出かけるついでに作業をしたりと、仕事と余暇を両立した働き方が可能となる。 ちなみにアドレスが展開する多拠点生活用住まいのサブスクプランは、初月4,800円から。全国数百か所の空き家・シェアハウス・ホテル等を利用してワーケーションができる。EVやPHEVを活用して河原などの涼しい場所に移動しての作業も可能だ。 この話題に惹かれた理由は、筆者も給電機能付き電動車の便利さを体感したからだ。7月22日・23日と、日本EVクラブが主催する「ジャパンEVラリー白馬 2023」に参加したのだが、屋外会場のPA装置は、給電機能のある「三菱アウトランダーPHEV」からの電気で駆動した。 給電機能付きのクルマは、「動く発電機」や「動くバッテリー」とも言えるわけで、これ一台と電波が使用できる環境さえあれば、仕事やイベントができてしまう。日産自動車も、EV活用の可能性を広げるために全国の自治体と協力し、「リーフ」などを災害時に電源車として活用する施策を進めていることは、当ヘッドラインでも度々報じている。EVをはじめ給電機能付きのクルマは、仕事・生活・緊急時対応を変えるポテンシャルを持っているのだ。 猛暑が日本各地を襲っているが、こんな時のオフィスへの出社は下手をすると命の危険を伴う。暑い中で冷房装置を駆動すれば、たとえ室温を28度に設定しても節電には限界があるだろう。こんな時こそ、“移動式電源”とともに避暑地にて作業をしたいものだ。そのほうが生産性も上がるかも知れない。 今回はトヨタのモニターキャンペーンという発表であったが、EVをラインナップするメーカー各社は、この取り組みに賛同しても良いのではないだろうか。そして給電機能が付くEV・PHEVのユーザー、何より節電対策などに悩む企業にも、是非ともワーケーションについて考えてみてほしい。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★日産、ルノーのEV新会社「アンペア」に出資を最終決定……最大6億ユーロ(約930億円)を出資、日産の欧州でのEV戦略を補完する狙い ★★シボレー、新型EV「ボルト」を近日中に発表……米国車として最もリーズナブルなEV ★★通勤用EVを会社が用意……ハコブネ、会社で再エネで充電し従業員が自由に利用可能なEVサービスを考案 ★東名高速足柄SA(下り)<静岡県御殿場市>に水素ステーションが9月15日(金)にオープン……岩谷産業が運営、8時〜20時までの営業で大型車に対応 ★アウディ、「Q6 e-tron」のリアライトに第2世代のOLED(※)を採用……アウディならではの造形美の表現に寄与 ※OLED:有機EL、スマートフォンの画面にも利用されるLED ★メルセデス・ベンツ、600人のAI専門エンジニアを教育へ……クルマの電動化・デジタル化に伴いエンジニアリングを改革 ★メルセデス・ベンツ、EVトラック「eアクトロス」が5,000kmに及ぶPRツアーを走破……公共の充電施設を主に使用しドイツ・オーストリア・イタリア・オランダ・ベルギーを巡業 ★GM、2023年上半期にEV生産5万台……目標値を達成、下半期に10万台達成を目指す ▶︎リコール◀︎「ジャガー I-ペイス」、電源装置のプログラムの不良で、リチウムイオン・バッテリーより発火のおそれ デイリーEVヘッドライン[2023.07.27]

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KGモーターズ・ミニマムモビリティ(photo= ABT werke)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
超小型EVでお手軽MaaS事業⁉︎……KGモーターズが1人乗り自動運転車と新事業を考案[2023.07.26]

車両コストに見合う1人乗り専用のオン・デマンドサービスを提案 車両を使わない時間はオーナーの収入源として活用 【THE 視点】短距離移動に特化した1人乗りの超小型EV「ミニマムモビリティ」の量産販売を計画するKGモーターズは7月24日、「ミニマムなMaaS」のビジョンを公開した。人口減少時代であるこれからの未来には「1人乗りであること」が交通課題の解決につながると予測し、車体の販売だけでなくMaaS事業の展開も目指す。 「ミニマムモビリティ」は、コンパクトな1人乗りのEV。80年代のポラロイドカメラをモチーフにしたレトロさを醸し出すデザインを採用している。 2023年の「東京オートサロン」にてコンセプトモデルを発表し、「大阪オートメッセ」にも出展した。募集した事前モニター登録では、5,800件の申し込みを獲得し、現在は2025年の量産販売に向けて準備中である[関連記事はこちら<click>]。 車両のスペックは、全長2,450×全幅1,090×全高1,500mm。定格出力0.59kW(0.8ps)、最大出力5kW(6.8ps)のモーターを搭載し、航続距離は100km。乗車定員は1名で、販売価格は100万円を切ることが目標だ。 公共交通機関の現状の課題として、ドライバー不足のほか乗客の減少・コストの高騰・財源不足により維持が困難となってきている。解決方法として自動運転が期待されるが、大型車ではコストが見合わず維持が困難。加えて大型車用に経路設計をする必要がある。 対してKGモーターズは、1人乗りの小型車による自動運転にて、パーソナルで自由な移動を解決方法として提案する。車両の維持費や償却コストも、大型車と比較すると低く抑えることができ、エネルギー効率も高く電気代も安い。個々人が、自分のいる地点から行きたい地点へ直接移動できるので、ユーザーにとっての利便性も高い。 将来的には、完全自動運転で1人乗り専用のミニマムモビリティ・ロボタクシーを考えているが、普及のステップとして、自動運転レベル4(※)での「ワンウェイ型シェアリングサービス」を戦略的に行う。 ※レベル4の自動運転:特定条件下における完全自動運転(国土交通省定義) このサービスは、KGモーターズが主体となって行うのではなく、自動運転対応の「ミニマムモビリティ」を購入したオーナーが主体となって運営できるプラットフォームを作り、KG側は手数料収入を得るビジネスモデルだという。一種のフランチャイズ方式と言えるが、これにより各オーナーの指向に合わせて最適化が可能となる。 地方や高齢者向けの次世代の移動手段として自動運転車が期待されている。しかし、多くは小型シャトルバスなどを使用し、走行ルートも必然的にバスが通れるルートとなる。今回KGモーターズが発表した施策は、一人乗りの小型EVでタクシーのように利用できるというもの。ビジネスモデルも異なり、小型EVユーザーが自動運転事業者として手数料収入を得られる仕組みとなっている。EVユーザー自身が使用していない時間などに、MaaSのサービスに充てることで収入を得られ、EVの導入コストも償却可能となる。 「ミニマムモビリティ」は、車両価格100万円切りで販売する計画だというが、原付4輪規格としては、内燃エンジン車に比べて高額と言える。そのコスト差を埋める手段としても考えられた施策だが、車両のレンタルにあたっては、個人間カーシェアリングなどを利用すれば貸し出しが可能と思われる。EVユーザーも利用者もメリットがあるこの施策は、是非とも成功して欲しいものである。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★BMW、FCEVの実験車「iX5ハイドロジェン」を日本で実証実験……2023年末まで公道で実証 ★★日産、軽EVの「サクラ」の受注が5万台超え……2022年6月の発売から約1年で、2022年度のEV全体の販売の約4割を占める ★★自然電力、EVなどをソースとするVPP(仮想発電所)事業を本格稼働……専門子会社「Shizen Connect」を2023年10月に設立、2030年までに100億円の売り上げを目指す ★フィアット、移動型の電源供給サービス「E-Gap」にEVバン「E-スクード」を導入……60台を配備、“電欠の救急車”自体を完全電動に ★トヨタ、電動車を“動くワーキングルーム”化する「トヨタ「#電気が動くとできること」ワーケーションPROJECT」を推進……定額制多拠点居住プラットフォームの「ADDress」と協業し、給電機能をもつトヨタ車ユーザー向けのキャンペーンを実施 ★テラモーターズ、島根県益田市にEV用充電器を大規模設置……益田市役所ほか公共施設に合計100基以上を導入 ★テラモーターズ、タマホームの新築マンションにEV用充電器を導入……「グレンドール五反田」<東京都品川区>に導入、2024年4月下旬に竣工予定 ★レクシヴ、東京都八丈島においてEVのカーシェアリング事業を展開……八丈ビューホテルを基点に7月20日より開始 ★タクシー企業のMKグループ、「社会福祉法人京都ライトハウス」に「日産サクラ」を寄贈……ボーリングのイベント「第15回 MKチャリティカップ」の一環として デイリーEVヘッドライン[2023.07.26]

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ヘッドマッサージのイメージ(photo=ゴールデンフィオールド)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
EVと人を“同時充電”……日産が「悟空のきもち」とコラボ、EVオーナー専用スパを高速SAに開設[2023.07.24]

EVの充電20分間でドライバーも回復させる専用マッサージコースを開発 充電を“待つ”時間から“活用”するサービスの契機となる予感 【THE 視点】頭のもみほぐしサービス「悟空のきもち」を運営するゴールデンフィールドは7月20日、東名高速足柄サービスエリアにおいて、EVオーナー向けのマッサージサロンを期間限定でオープンすると発表した。本取り組みは、日産自動車発のEVオーナー優遇サービス「グリーン・パス」にの一環として実現した。 EVを充電する間、ドライバーも同時に回復させるEVオーナー専用スパ「FULL-CHARGE SALON(フルチャージ・サロン)」を、東名足柄サービスエリア上り<静岡県御殿場市>にて2023年7月21日(金)より、新名神宝塚北SA上下集約<兵庫県宝塚市>にて8月24日(木)より期間限定でオープンする。利用対象者はEV充電の全利用者となる。 サロンの運営は「悟空のきもち」が担当する。日産・新潟大学と共同でEVの運転疲労と回復について試行錯誤・実証実験を経て、運転疲労に特化した「ドライバー専用リラクゼーション」を作り上げた。EVの充電時間を20分と設定し、マッサージもそれに合わせたコースとなるようだ。 ほぼ全ての人を10分で眠らせるという「悟空のきもち」の得意分野を活かし、施術後の眠気を残さない専用技法を開発したという。新潟大学との実証実験では、短い施術時間でも疲労の緩和と減少が見られたとのこと。 ちなみにサロンの施設には、環境に配慮するため廃棄物由来の素材を混合した再生素材「SOLID」を使用しているという。再生素材の活用は、EVにおいても世界的に導入の流れがある。 施設には、同乗者も利用可能な休憩ラウンジも用意。レストランガイドブック「ゴ・エ・ミヨ 2022」でベストパティシエ賞を受賞した加藤 峰子氏監修のもと、廃棄果物やオーガニック素材を有効活用した“身体をチャージする”スペシャルドリンクも提供するという。 EVの急速充電時間は平均的に30分。その間、EVもドライバーも同時に“充電”するという発想は素晴らしい着眼点だ。しかも「悟空のきもち」は国内の5店舗全てが向こう3ヵ月待ちの予約という状況で、キャンセル待ちが71万人もいるという超人気サービスである。今回の施策もかなりの人気が出るのではないだろうか。 人気サービスを利用できるという面白さもあるが、マッサージを受けることにより事故を未然に防ぐことにもつながるだろう。今後徐々に増えてくるだろう大型のEV用充電施設にも設置して良いと思う。 こういったサービスが増えれば、EVの充電時間がただ“待つ”時間から“活用”する時間へと変化する。新たなビジネスが生まれる予感がする。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ステランティス、充電制御機器とインバーターを統合した新型バッテリー「IBIS」のプロトタイプを発表……車体スペースをさらに効率化、10年以内に実用化へ ★★トヨタ、月面探査機「ルナクルーザー」に再生型の燃料電池を採用……2029年の打ち上げに向けて2024年中から開発 ★★自動車用のノイズキャンセリング技術が日本で体感可能に……イスラエルのSilentiumが名古屋オフィス<JPタワー21階/中村区>に体感シートを用意、EV化で目立つようになったロードノイズを除去 ★BMW、中国上海にR&Dセンターを開設……次世代のEV「ノイエ・クラッセ」開発の重要拠点に ★ZMP、自動運転EVバス「RoboCar Mini EV Bus」の最新型の受注を開始……独自の自動運転OS「アイザック」を搭載、OSのOEM供給も開始[詳細はこちら<click>] ★岩谷産業、「大阪・関西万博」にて世界初のFC船を運行へ……中之島ゲートから万博会場の夢洲のルートに就航、カーデザイナーの山本 卓身氏がデザインを担当 ★ニデック(旧日本電産)、2024年4月〜6月期の売上高が601億5,200万円……四半期ベースで過去最高、「イー・アクスル」事業も黒字化 ★東京都、江東区新砂地区の水素ステーションの運営業者を公募……FCEVバス・トラックに対応した大型のステーション、7月20日〜8月18日まで ★三菱重工、「船舶向けゼロエミチャージャー普及推進協議会」を設立……EV船舶用充電インフラの規格化を目指す ★空飛ぶクルマのASKA、米国連邦航空局(FAA)に型式証明申請……陸上走行も可能な「A5」を申請、レンジエクステンダー方式のEV ★テスラ、橋本スーパーチャージャー<神奈川県相模原市>にて特別試乗会を実施……7月29日(土)開催、「モデル 3」「モデル Y」を用意 ★岩谷産業、「液化水素貯槽の大型化に関する研究開発」がNEDOの助成対象に……トーヨーカネツとの共同研究事業、2030年ごろに本格稼働する水素発電事業に液化水素の貯蔵が有用 デイリーEVヘッドライン[2023.07.24]

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「グリーンコープ生活協同組合ふくおか」のイメージ(photo=グリーンコープ共同体)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
福岡の生協がEVの移動販売を強化……フォロフライの商用EVと丸紅の充電管理システムを導入[2023.07.20]

グリーン電力を使用しエコと効率的なEV運用を両立 移動販売車とEVの組み合わせは相性が良い 【THE 視点】「グリーンコープ生活協同組合ふくおか」(※)は7月18日、フォロフライの商用EVを移動販売車として導入したと発表した。合わせて、丸紅オートモーティブが展開する充電マネジメントシステム「GOVAN(ゴバン)」も導入した。このマネジメントシステムの導入は日本初という。 (※)西日本を中心に16の生協で構成されている「グリーンコープ共同体」所属の団体 グリーンコープふくおかは、配送用を中心に約550台の車両を運用中で、今後すべての車両をEV化していくことも発表した。また、バイオマス・太陽光・小水力・地熱などの再生可能エネルギー由来の電力をEVの運用に用いるという。 フォロフライは、丸紅オートモーティブと資本業務提携を結んでおり、丸紅側が販売代理店として、フォロフライ製EVの販売と充電インフラの提供、およびアフターサービスを展開している。 その丸紅が提供する「ゴバン」は、EV用充電システムの導入支援から、日々の運用までのEV業務をトータルにサポートするサービスである。 商用EVの充電は、乗用EVのように自由なタイミングで行うわけにはいかず、車両ごとの運行スケジュールや電気使用量に合わせて綿密に充電計画を策定する必要がある。 「ゴバン」のシステムは、充電器側が車両を自動で認識するため、駐車場のどの充電器に接続しても車両に合わせた充電スケジュールが自動適用となり、効率的なEV運用が可能となる。ドライバーもいちいち対応する充電器を探す必要がなくなり、EVを管理する側も運転する側も労力の削減ができる。 ちなみに今回の発表にて公開された写真を見る限り、グリーンコープふくおかは「日野デュトロ ZEV」をすでに相当数保有しているようだ。「デュトロ ZEV」の充電も「ゴバン」に対応させるとすると、メリットは相当大きい。 「たかが一台の車両の充電」と思うかもしれないが、車両が常に数十台単位で稼働している場合、充電は相当面倒になる。例えば、充電ギリギリの状態の車両が10台帰社すれば相当の充電待機を強いられる。10台目の当日中の再稼働は無理だろう。 手動のような状態で、いちいち対応する充電器に合わせるのも手間だし、そのために構内にて無駄に車両を動かせば、バック事故などの確率も上がる。たとえ10mでも、無駄な車両移動をなくせるメリットは大きい。 また筆者は、2012年にEVによる移動販売車を開発し実証試験をした経験を持つ。移動販売車は、地方のスーパーの撤退などの影響を受けた過疎地域などでは、買い物弱者対策の切り札とも言える存在だ。 ネットスーパーを利用するのも良いが、生鮮食品などは鮮度を見極める必要があるため、オンラインでの買い物は難しい。そして何より、現物を手に取って選ぶというのは、楽しみの一つになるということを実証を通して実感している。 移動販売車は、営業中は基本的にエンジンをかけたままになる。静かな山中にて、民家の軒先を借りて販売を行う場合、ディーゼルの音は意外と周囲に響くため騒音になるのだ。 それを防げるEVは、実は移動販売車にうってつけの存在である。稼働時間や航続距離等の問題もあろうが、移動販売EVは今後ますます普及してほしい。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ヤネカラ、EV充電コントローラー「ヤネキューブ」を発売……1基あたり2,900円で充電を遠隔操作化、銀座郵便局に93台を納入 ★★ABB、ボルボのEV専用ショールーム「Volvo Studio Tokyo」にEV用充電器を導入……「Terra 184急速充電器」と「Terra AC Wallbox普通充電器」を設置 ★★三菱商事エネルギー、ガソリンスタンド(SS)をEVサービスの拠点として検証……テスラの急速充電設備「スーパーチャージャー」が設置済みのSS(石川県/富山県)にて「モデル3」の試乗会を実施 ★★フォロフライ、商用EV「F1」シリーズが補助金の対象に……「商用車の電動化促進事業」の車両に認定され最大182万1,000円の補助、品質向上を目指し自社内での出荷前検査も開始 ★日産、電気モーターの生産数が拡大……エンジンを生産する横浜工場の2022年度の生産台数の約4割がモーター、2024年までに全固体電池の技術開発用ラインを設置予定 ★コマツ、新型電動ミニショベルを欧州で販売へ……リチウムイオン・バッテリーを搭載した3トンクラス ★オンセミ、パワー半導体「EliteSiC 1200V」と「同750V」をボルグワーナーの「VIPERパワーモジュール」に統合……EVの性能を向上させる「トラクション・インバーター」向けのデバイス、両社の協業を拡大 ★ステランティス、半導体供給・開発網を強化……EV向け新プラットフォーム「STLA」のローンチに向け複数の半導体企業と協業を強化、独自の半導体の開発も目指す ★ビー・アンド・プラス、電動無人搬送機(AGV)向けのワイヤレス充電システムのショールームをオープン……埼玉本社<埼玉県比企郡>と名古屋営業所<名古屋市中村区>にて7月18日に開設、おすすめ製品を月毎に入れ替え ★双日、ターコイズ水素の製造技術を開発するフィンランドの新興「ハイカマイト」へ出資……天然ガスなどの主成分「メタン」から「水素」と「固体炭素」を製造、「固体炭素」からは「カーボンナノチューブ」を製造可能 ★不動産事業のマーチャント・バンカーズ、EV充電事業に参画……保有するマンションやホテルへ充電器を設置・拡大 デイリーEVヘッドライン[2023.07.20]

TAG: #THE視点 #商用EV #国内ビジネス
AEM水電解装置の導入と同時に設置された水素貯蔵システム(東京ガス)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
グリーン水素を23区内にて“製造直売”……東京ガス、「千住水素ステーション」にて国内初の実施[2023.07.18]

既存のステーションを乗用FCEV30台/日の生産能力を有する簡易型のグリーン水素製造・直売所に刷新 輸送コストを削減でき水素価格の低下に効果的か 【THE 視点】東京ガスは7月13日、「千住水素ステーション」において、「AEM水電解装置」を使用した水素の製造・販売を国内で初めて開始したと発表した。 本ステーションは、2016年の営業開始から敷地内にて都市ガスから製造した水素を販売してきた。しかし昨年度の夏に、実質再生可能エネルギー100%(非化石証書付与済み)の電力へ切り替えたことから、「AEM水電解装置」(※)を導入し、CO2フリーの水素の製造・販売が可能となった。 ※AEM:Anion Exchange Membrane(陰イオン交換膜)の略 「AEM水電解装置」は、比較的新技術のため採用の実例は少ないのだが、以下の特徴を持つ。 「シンプルな構造」 「小型のモジュールを組み合わせ水素の製造量を柔軟に調整可能」 「限られたスペースを有効可能」 「セルの部材に使用できる材料の選択肢が広い」 「セルスタックの低コスト化が可能」 ちなみに今回導入した「AEM水電解装置」は、30モジュールを組み合わせ、水素製造量15Nm3/h規模の設備となっている。モジュール単位での操作が可能で、障害が発生した際も設備全体の運転を継続可能。水素製造装置の稼働率を上げるために夜間も水素製造を行い、今回同時に設置した水素タンクに1MPa未満で貯蔵するという。 東京ガスは、「AEM水電解装置」の適切なシステム構成や運転管理等のノウハウの獲得を進め、工場や水素ステーション等それぞれの現場に最適化した「AEM水電解装置」の導入支援や、水素供給ビジネスの展開を狙うとしている。 燃料電池車(FCEV)は走行時のCO2排出はゼロだが、肝心な水素の製造には電気が必要。今回の設備は、FCEVのカーボンフリーの度合いを高めるのに効果的であろう。 ステーション内にて水素を製造する「オンサイト方式」をとったことも注目点である。輸送の必要がないため、CO2の削減に効果的と言える。 15Nm3/hの水素製造能力は、1日に換算すると360Nm3となる。乗用タイプのFCEVの水素充填量を5kgとすると、30台分に相当する量だ。 東京ガスの水素ステーションでの価格は、正直なところ比較的高額である。しかしこの設備の導入が進めば水素価格の低減を期待できるし、カーボンフリーに貢献できるとなれば、今後積極的に利用を考えたい。是非ともこの現場を見学したいものだ。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ポルシェ、新型コンセプトEV「ポルシェ・ビジョン357・スピードスター」を発表……オープンボディのスポーツモデル、「718 GT4 eパフォーマンス」の技術を活用[詳細はこちら<click>] ★★フォード、「マスタング・マッハ-E・ラリー」を公開……ラリーテイストを盛り込んだデザインを採用、ヨーロッパとアメリカに導入予定 ★★パワーエックス、蓄電池型の超急速充電器「ハイパーチャージャー」が「チャデモ」に対応……今夏よりパワーエックスのチャージングステーションに設置予定[詳細はこちら<click>] ★★フォーミュラE第14戦ローマ、日産のノーマン・ナトーが2位表彰台……優勝はジェイク・デニス(アバランチ・アンドレッティ)で、ランキングのトップに ★ヒョンデ、「アイオニック5 N」を発表……ヒョンデの高性能車「N」初のモデル、2モーター式のAWDで最高出力650ps(478kW)[詳細はこちら<click>] ★GM、「ハマー EV 3X ピックアップ」の航続距離が拡大……新グレード「エクストリーム・オフロード・パッケージ」を追加、航続距離は613km ★イギリスの新興バッテリーメーカー「nyobolt」、6分で充電を完了できるバッテリー技術を開発……航続距離250km以内なら完全充電、既存の充電インフラをそのまま使用可能 ★アウディ、「Böllinger Höfe」工場にて最新のファクトリー・オートメーションが7月から本格稼働……「e-tron GT クワトロ」「RS e-tron GT」の生産に活用 ★テスラ、「1Day試乗キャンペーン」を実施……7月31日(月)まで、「モデル3」「モデルY」を用意 ★プラゴ、神奈川県内のミニストップ3店舗にEV用充電器を設置……綾瀬大上店/都筑荏田南4丁目店/中原下新城3丁目店にて、最高出力50kWタイプの急速充電器「プラゴ・ラピッド」を1基ずつ ★テラモーターズ、沖縄県のホテル「むら咲むら」<中頭郡読谷村>にEV用充電器を導入 ★JAF、電動キックボードの衝突実験結果を公開……ヘルメットなしの危険性を訴求 ★日産、東京東村山市とEVの活用施策で連携……「リーフ」6台を公用車に導入、電源車としての活用も視野 ★フォーミュラE第13ローマ、ミッチ・エヴァンス(ジャガーTCS)がポール・トゥ・ウィン……レースは大クラッシュが発生する荒れた展開に デイリーEVヘッドライン[2023.07.18]

TAG: #THE視点 #国内ビジネス #水素インフラ
出光興産と双葉電子工業が共同開発したドローン(photo=出光興産)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
攻める企業出光、R/Cプロポのフタバと国産ドローンを共同開発・事業化へ[2023.07.06]

既存のサービスステーションを配送拠点などに活用 「ガソリンスタンド」の存在価値を大きく変える可能性 【THE 視点】出光興産と双葉電子工業は7月3日、国産ドローンを共同開発・活用し、地域課題を解決するサービスの事業化の検討を開始すると発表した。 複数の用途に対応できる機体の開発に加え、サービスステーションを起点とした設備点検/農業利用/物流配送/災害対応など各種サービスの検討を行うとともに、ドローンの操縦技術者の育成にも取り組む予定だという。 ドローンの活用は、少子高齢化や人手不足などの社会課題を解決するための手段として、省人化・無人化機器の活用が一層望まれている。 出光興産のサービスステーション・ネットワークおよび整備技術を有する人材と、双葉電子工業の高度な無線通信技術を駆使したドローン開発技術を活用し、機体開発から運用・人材育成まで一気通貫したドローン事業を推進していく。 両社は、1台の機体で複数の用途に対応できるマルチユース・ドローンの開発を、2022年度から進めてきた。機体下部にアタッチメント方式を採用しており、用途に応じて付け替えることで物流や撮影機器としてマルチに使用でき、さらに有線化して長時間飛行にも対応することができる。 上空LTEを使用した無線技術を活用すれば、外部サーバーへの経由なしに複数の拠点にデータを送信したり、オンタイム電送をすることも可能となる。このように、マルチユース・ドローンを実際の用途で検証しながら、サービスの実現につなげていくという。 出光興産は、EV事業にも力を入れているが、今回の発表はドローンを活用するという発表だ。EV事業もそうだが、既存のサービスステーションをいかに活用して生き残るかを模索しているように感じる。 一方、双葉電子工業は、筆者にとってはR/C用の「プロポ」(コントローラー)のイメージがある。子供のころ、エンジンではあったがR/Cヘリのホバリングで苦労したことを思い出した。しかし現在のドローンは電動ではあるが、コントローラーひとつで昔のようにカンを頼らずに飛ばすことができる。 空を飛ばすR/Cといえば、どちらかというと趣味の世界であったが、現在は人が立ち入れない場所での写真撮影や測量、そして先日の「デイリーEVヘッドライン」でも紹介したように[詳細はこちら<click>]、危険な害虫駆除に使用されるなど社会的価値が生まれてきている。時代の変化を強く感じる。 今後EV化が進めば既存の給油所の存在価値は大きく変わる。しかし、新事業の拠点として活用すれば、新たな存在価値が出てこよう。「モビリティのコンビニ」のような楽しい施設に生まれ変わらせることも夢物語ではない。 出光興産と双葉電子工業のマルチユース・ドローンによる事業化検討は、個人的にも親しみのある会社同士のタッグだけに成功を期待する。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★フィアット、新型EV「600e」を発表……BセグメントのコンパクトSUV、400km以上(WLTP複合モード)の航続距離[詳細はこちら<click>] ★★フィアット、2人乗りの超小型EV「トポリーノ」の仕様を公開……クローズドとオープンの2モデルを用意、月額料金制のサブスク方式で販売 ★JAIA、「JAIA輸入電動車普及促進イベント in 神戸」を開催……7月14日(金)・15日(土)に神戸市旧居留地にて[詳細はこちら<click>] ★ストリーモ、公道対応の電動キックボード(特定小型原付)モデル「ストリーモS01JT」の抽選を開始……7月5日〜19日で受付[関連記事はこちら<click>] ★ボグゾール、EVや充電設備の使用方法をアドバイスするエチケットガイドを発行……英国のエチケット大手「DEBRETT’S」と共同で制作、公共でのEV時の混乱などを回避し普及を促す ★ボルボ、2023年6月のEV販売台数は9,535台(世界全体)……前年同月比346%増 ★「ホテル日航アリビラ」<沖縄県読谷村>にて「EVトゥクトゥク」のレンタルサービスを開始……えもびと提携し7月7日(金)よりサービス開始 ★テラモーターズ、「藤三旅館」「藤三旅館・別邸 心の刻 十三月」<岩手県花巻市> にEV用充電器を導入……別邸は全14室の高級旅館 ★テラモーターズ、賃貸物件の「ビレッジハウス」にEV用充電器を導入……東京・神奈川・福岡にある23物件に先行導入 ★米新興のリヴィアン、商用EVバンをドイツに導入……今後数週間で300台以上を投入とTwitterで発表、Amazonの配送用に デイリーEVヘッドライン[2023.07.06]

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