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超小型EVでお手軽MaaS事業⁉︎……KGモーターズが1人乗り自動運転車と新事業を考案[2023.07.26]


TEXT:福田 雅敏、ABT werke PHOTO:ABT werke
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KGモーターズ・ミニマムモビリティ(photo= ABT werke)

車両コストに見合う1人乗り専用のオン・デマンドサービスを提案
車両を使わない時間はオーナーの収入源として活用

【THE 視点】短距離移動に特化した1人乗りの超小型EV「ミニマムモビリティ」の量産販売を計画するKGモーターズは7月24日、「ミニマムなMaaS」のビジョンを公開した。人口減少時代であるこれからの未来には「1人乗りであること」が交通課題の解決につながると予測し、車体の販売だけでなくMaaS事業の展開も目指す。

「ミニマムモビリティ」は、コンパクトな1人乗りのEV。80年代のポラロイドカメラをモチーフにしたレトロさを醸し出すデザインを採用している。

2023年の「東京オートサロン」にてコンセプトモデルを発表し、「大阪オートメッセ」にも出展した。募集した事前モニター登録では、5,800件の申し込みを獲得し、現在は2025年の量産販売に向けて準備中である[関連記事はこちら<click>]。

車両のスペックは、全長2,450×全幅1,090×全高1,500mm。定格出力0.59kW(0.8ps)、最大出力5kW(6.8ps)のモーターを搭載し、航続距離は100km。乗車定員は1名で、販売価格は100万円を切ることが目標だ。

公共交通機関の現状の課題として、ドライバー不足のほか乗客の減少・コストの高騰・財源不足により維持が困難となってきている。解決方法として自動運転が期待されるが、大型車ではコストが見合わず維持が困難。加えて大型車用に経路設計をする必要がある。

対してKGモーターズは、1人乗りの小型車による自動運転にて、パーソナルで自由な移動を解決方法として提案する。車両の維持費や償却コストも、大型車と比較すると低く抑えることができ、エネルギー効率も高く電気代も安い。個々人が、自分のいる地点から行きたい地点へ直接移動できるので、ユーザーにとっての利便性も高い。

将来的には、完全自動運転で1人乗り専用のミニマムモビリティ・ロボタクシーを考えているが、普及のステップとして、自動運転レベル4(※)での「ワンウェイ型シェアリングサービス」を戦略的に行う。
※レベル4の自動運転:特定条件下における完全自動運転(国土交通省定義)

このサービスは、KGモーターズが主体となって行うのではなく、自動運転対応の「ミニマムモビリティ」を購入したオーナーが主体となって運営できるプラットフォームを作り、KG側は手数料収入を得るビジネスモデルだという。一種のフランチャイズ方式と言えるが、これにより各オーナーの指向に合わせて最適化が可能となる。

地方や高齢者向けの次世代の移動手段として自動運転車が期待されている。しかし、多くは小型シャトルバスなどを使用し、走行ルートも必然的にバスが通れるルートとなる。今回KGモーターズが発表した施策は、一人乗りの小型EVでタクシーのように利用できるというもの。ビジネスモデルも異なり、小型EVユーザーが自動運転事業者として手数料収入を得られる仕組みとなっている。EVユーザー自身が使用していない時間などに、MaaSのサービスに充てることで収入を得られ、EVの導入コストも償却可能となる。

「ミニマムモビリティ」は、車両価格100万円切りで販売する計画だというが、原付4輪規格としては、内燃エンジン車に比べて高額と言える。そのコスト差を埋める手段としても考えられた施策だが、車両のレンタルにあたっては、個人間カーシェアリングなどを利用すれば貸し出しが可能と思われる。EVユーザーも利用者もメリットがあるこの施策は、是非とも成功して欲しいものである。
(福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー)

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★★日産、軽EVの「サクラ」の受注が5万台超え……2022年6月の発売から約1年で、2022年度のEV全体の販売の約4割を占める

★★自然電力、EVなどをソースとするVPP(仮想発電所)事業を本格稼働……専門子会社「Shizen Connect」を2023年10月に設立、2030年までに100億円の売り上げを目指す

★フィアット、移動型の電源供給サービス「E-Gap」にEVバン「E-スクード」を導入……60台を配備、“電欠の救急車”自体を完全電動に

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デイリーEVヘッドライン[2023.07.26]

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