#国内ビジネス
ダスキンが開発した雀蜂駆除用のドローン(photo=福田 雅敏)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
危険なスズメバチを“主砲”にて一掃……ダスキンが雀蜂駆除・対策用のドローンを開発[2023.06.30]

人の立ち入りが危険な箇所でも作業が可能 危険な虫・獣への対策にドローンや小型EVの活用を期待 【THE 視点】ダスキンは、「自治体・公共 WEEK 2023」<東京ビッグサイト(東京都江東区)/6月28日(水)~30日(金)>にて、ハチ駆除用ドローンを公開した。石川エナジーリサーチと共同開発。2023年下期よりテスト運用を一部の地域で予定し、その結果を受けて全国展開していくという。 スズメバチの駆除は難易度が高く、時として命に係わる危険を伴う。スズメバチ駆除はニーズが高いものの、ハチからの攻撃・高所での作業・熱中症などさまざまなリスクを抱えるうえ、橋脚下といった人が立ち入れない場所での駆除がこれまで課題とされてきたという。 そこでダスキンは、ドローンの活用に着目し、安全性・効率性が高い新サービスを開発した。 このハチ駆除用ドローンが持つ特徴・機能は2つ。 1.掃除機タイプのノズルを使用してハチを吸引する機能 2.蜂の巣をドローンで破壊し取り除く機能。 写真は掃除機装置を装着した吸引式を撮影したものだが、ドリルが装着されたアタッチメントに交換が可能で、巣を破壊し除去できるという。展示されていたプロトタイプは、有線給電方式をとるが、将来的にはバッテリー駆動を検討しているとのこと。 これまでドローンは、撮影計測用や物流目的のものが多数だったが、現在はそこに“一芸”を加えて作業用ロボット化が進んでいる。 今回の害虫駆除用に見られるように、人の手では危険・困難な作業を、遠隔から安全に行えるようになるメリットは非常に大きい。昨今は人里へクマが出没し、人に危害を加えるといった事故が多いように感じる。このようなドローンのほか、小型EVをベースとした遠隔操作機器の活用が広がれば、虫害・獣害による事件・事故が減らせるのではないだろうか。 この展示会では他にも、シェアリング用EVや地域の足となるグリーンスローモビリティ・充電インフラなどEV関係の自治体向けソリューションの展示も多かった。 またドローンに関しては「Japan Drone 2023 第8回/第2回次世代エアモビリティEXPO 2023」の模様を別途レポートする。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ZF、新型のモーター一体型駆動装置「イー・アクスル」を開発……「ポルシェ・タイカン」ベースのコンセプトカー「EVbeat」に搭載、従来のユニットに比べ40kg軽量[詳細はこちら<click>] ★★三菱、ヤマダデンキの5店舗にてEVを販売……法人向けに「eKクロスEV」「ミニキャブ・ミーブ」を新車販売、V2H(EVの電力を家庭用に供給する機器)を含めた提案が可能に ★★エネチェンジ、横浜市と連携……市内公共施設へのEV用普通充電器(最高出力6kW)を導入 ★ホンダ系新興のストリーモ、3輪の電動キックボード「ストリーモS01JT」を発表……伝説の3輪スクーター「ストリーム」の事実上の復活[詳細はこちら<click>] ★国土交通省、「グリーンスローモビリティ」の導入を支援……導入経費の2分の1を補助、6月29日(木)〜7月25日(火)まで公募 ★米トラック大手のマック、中型EVトラック「MDエレクトリック」の受注を開始……最大容量150kWh・240kWhのバッテリーを選択可能 ★山梨中央銀行、「日産リーフ」を導入……社用車として1台 ★ドローン事業のテラドローン、「空の移動革命に向けた官民協議会」の構成メンバーに……国交省と経産省が共同運営の会議、空飛ぶクルマの実装加速を目指す ★テラモーターズ、「テラチャージ株式会社」に社名変更(2024年2月1日付けにて)……EV用充電インフラ「テラチャージ」事業に注力、グローバル企業への成長も目指す ★東京都環境公社、「未来のSDGsエンジニア ‐水素社会たいけんプログラム- 」を開催……水素エネルギーの体験イベントを「水素情報館東京スイソミル」<東京都江東区潮見1-3-2/8月5日(土)・6日(日)>にて、FCEVのゴーカート体験も ★テラモーターズ、社員数が大幅拡大……14ヵ月で4名から100名に、2023年度末に300名を目指し人材を積極採用 ★GM傘下のGMエナジー、V2Hシステム「Ultium Home」をアメリカで発表……蓄電設備がセットのパッケージも用意 ▶︎リコール◀︎「フォルクスワーゲン ID.4」……意図せずドアが開くおそれ デイリーEVヘッドライン[2023.06.30]

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ワヤレス充電ポイントに駐車するシーン(photo=ワイトリシティ)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
EV用ワイヤレス充電が日本上陸……シナネンホールディングスが米「ワイトリシティ」の国内代理店に[2023.06.29]

駐車するだけで充電が開始し走行中給電も可能 プラグの抜き差しの煩わしさから解放 【THE 視点】シナネンホールディングスは6月26日、EVのワイヤレス充電システムの生産・販売を展開するアメリカの企業「 WiTricity(ワイトリシティ)」と、今後の協力関係に関する基本合意を締結したと発表した。ワイトリシティのEVワイヤレス充電システムを日本へ導入する。 ワイトリシティは、マサチューセッツ工科大学にてEVのワイヤレス充電技術を開発していた研究室のメンバーが2007年に設立した企業。 同社のワイヤレス充電システム「ワイトリシティ・ヘイロー」は「磁界共鳴方式」を採用。地上に設置した送電パッドと、EVに取り付けた受電パッド(レシーバー)との間で、磁界を共鳴させ電力を供給するものだ。 EVと充電機器とをコードでつなぐ必要がなく、EVを送電パッドの上に停車させて、パワースイッチを切れば自動で給電が開始される。車両側レシーバーは、PHEV、BEVなどに適用でき、既存のEVへの後付けも車種によっては可能である。標準伝達電力は11kWで、ケーブルが必要なレベル2充電システムと同等の電力転送効率・充電時間での充電が可能。 また、EVをワイヤレスにて常時接続しておけるので、V2H(EVの電力を家庭用電力として使用可能にする機器・インフラ)などにも対応でき、分散電源・非常電源としての活用ができるほか、給電装置を道路に埋め込めば走行中の充電も可能になる。 ワイトリシティは、ワイヤレス充電技術について、1,300件以上の世界的な特許を所有し、これまでに自動車メーカーや電力機器メーカーとの協業にて実装を行ってきた。しかし現在は、地上側送電パッドや車両側レシーバー等の生産を開始することに伴い、「ワイトリシティ」ブランドとしての一般販売開始を目指している。 日本市場への上陸もこの一環と言える。日本で本格展開するために、シナネンホールディングスと協力関係の構築に関する基本合意締結に至った。 ワイヤレス充電自体は日本でも身近な存在で、スマートフォンではすっかりお馴染みのシステムとなった。EVではこれからだが、実はBMWの旧型「5シリーズ」のPHEVにオプション設定があった。 EVを充電するにあたって、機器からプラグを接続する動作を面倒だと思う人が一定数存在するのは確かだ。このワイヤレス充電を設置すればEVを車庫などに止めるだけで自動で充電されるので、手間は限りなくゼロになる。雨の日や多数の荷物を抱えているような場合には重宝するであろう。 また、走行中給電にも対応できるのはひとつのトピックだ。スウェーデンでは、2035年までに高速道路上の3,000kmにわたって走行中のワイヤレス給電設備を整備するとの話もある。 今後、EVのワイヤレス充電は急速に普及が見込まれるシステムであろう。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★アストンマーティン、高級・高性能EVを開発へ……米新興のルーシッドがパワートレインを供給 ★★BMW、米サウスカロライナ州にて高電圧のバッテリー・アセンブリー工場を着工……EVの「X」モデル用のバッテリーを生産 ★★ランチア、EVコンセプト「ピューラHPE」の欧州巡業が終了……新型「イプシロン」を2024年上半期に発売と発表も ★ヤマハ発動機、EVスクーター「E01」のレンタル規模を拡大……全国の正規販売店「YSP」を中心に、2023年7月より配備拡大 ★ボルボ、テスラの充電インフラ「スーパーチャージャー」を利用可能に……2025年以降のボルボ製EVが対応、米国・カナダ・メキシコにて計1万2,000の充電ポイントを持つ巨大ネットワーク ★オペル、「アストラ・エレクトリック」の純正アクセサリーを公開……自転車用キャリアなども用意 ★欧州カーシェアリングのFree2move、EV充電事業に進出……「Free2move Charge」を開始、欧州と北米にて展開 ★メルセデス・ベンツ、EVトラクター・ヘッドの「eアクトロス 300 トラクター」をオランダの物流関係企業に初引き渡し……航続距離220kmで最大160kWの急速充電に対応 ★アウディ、「e-tron GT」などを使用したツーリングイベント「Audi x Michelin Guide 2-day tour experience」の募集を開始……ミシュランガイドとのコラボレーションでグルメを堪能、7月21日(木)〜21日(金)の2日間 ★GM参加の防衛企業GMディフェンス、国防総省のエネルギー・ストレージ・ユニットを試作へ……電力がない場所での作戦などへの活用を視野、バッテリーや水素由来の発電も検討 デイリーEVヘッドライン[2023.06.29]  

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モリタ・メビウス・コンセプト(photo=福田 雅敏)
TEXT:福田 雅敏
消防にも電動の波……「東京国際消防防災展」にて国内大手「モリタ」がEV消防車を初公開

5年ぶり開催の消防展は電動化が目立つ展示内容 日本最大級の消防・防災に関する展示会「東京国際消防防災展2023」(主催:東京消防庁/東京ビッグサイト/東京国際消防防災展2023実行委員会)が、6月15日〜18日に東京ビッグサイト<東京都江東区>にて開催された。 本イベントは5年に1度のペースで開催されており、今回は11回目となる。出展数は、前回を上回る325社・団体となった。 展示内容としては、「消火・救急・救助・避難・誘導」「防災・減災・災害対策」「情報システム・通信サービス」「消防防災に関する製品・サービス・その他」の4分野に加えて「非常用電源」の展示、そして東京消防庁が、火災・災害から身を守るための最新の技術や注目の製品を紹介していた。また、国内外の消防車のほか、レストアされた消防車や米軍基地所属の消防車も多数展示された。 筆者は今年に入ってから、チューニングカーから建設機械に至るまでさまざまな展示会に足を運んでいるが、全てにおいて電動化が進んでいることが確認できた。今回は消防であるが、やはりここも同様である。今回はEVの消防車ほか関連する車両・機器について写真とともにレポートする。 帝国繊維、デザインも美しいオーストリア製「ローゼンバウアーRT」を出展 まずは、「デイリーEVヘッドライン」でもお伝えした、オーストリアの「ローゼンバウアー」(輸入元:帝国繊維)のEV消防車だ。「ローゼンバウアーRT」は欧州車ともあり、日本車とは違うそのボディデザインとも相まって、会場でひときわ目立っていた。 ボルボのパワートレインを採用した前後2モーター式の全輪駆動に、4WS(全輪操舵)機能も備える。ちなみにモーターは、1基あたりの最高出力が180kW(245ps)なので、システムの総合出力は360kW(490ps)となる。   バッテリーは、電圧が650V・最大容量132kWh(66kWh×2)のものに、バックアップ用として225kW(306ps)のディーゼルエンジンを積む。厳密に言えば、この車両はプラグイン式のシリーズ型ハイブリッド車(PHEV)であり、長時間に及ぶ作業にも対応が可能となっている。 他にも帝国繊維のブースでは、「Vetter EIS」EV隔離消火システムも展示。EVの火災消火後の再燃を防ぐため、一旦消火した後に「Vetter EIS」で車両を包み、その中に水を入れて消火する。 モリタホールディングス、「三菱ふそう eキャンター」ベースのEV消防車を国内初公開 モリタは、日本初となるEV消防ポンプ自動車「MoEVius concept(メビウス・コンセプト)」を展示。 三菱ふそうの「eキャンター」をベースに、独自開発した「ePTO」(電動ポンプ駆動システム)と「e-Fireポンプ」(EV専用ポンプ)を搭載し、高いエネルギー効率を実現。2024年の発売に向け開発中と言う。 合わせて、今後登場するであろうEV消防車のための汎用ユニットで、ePTOとe-Fireポンプを一体化させた「MoEVius(メビウス)」(EN規格準拠 搭載型電動水ポンプ)を展示していた。 また、多目的消防戦術ロボット「ウォルフR1」を展示。バッテリー駆動の遠隔操作型消防用ロボットで、2,000L/分の電動放水銃を装備。倉庫火災・トンネル火災など危険な現場で威力を発揮するという。 東京消防庁、「トヨタ・ミライ」ベースの査察広報車を出展 今回の主催者でもある東京消防庁は、様々な消防車両を展示・デモをしていた。EV関係では、FCEVの「トヨタ・ミライ」、「三菱エクリプスクロスPHEV」をベースにした査察広報車を出展。災害現場での情報収集や広報活動を支援する車両だという。 またEVの特殊救急車として国内で初めて導入(2020年)された「日産NV400」を展示。この車両は欧州仕様となる。バッテリー容量は33kWhで130kmの航続が可能。電動ストレッチャーまで装備する。 ここまで大手を中心に紹介したが、展示されていた電動系の消防機器はこれだけではない。次回は後編として、電動の消防支援車両・機器を紹介したい。

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Bobcat E10e(photo=福田 雅敏)
TEXT:福田 雅敏
EV建機のインフラ整備を急げ……「第5回 建設・測量生産性向上展」レポート、その2[THE視点]

第5回 建設・測量生産性向上展(CSPI-EXPO2023)が5月24日(水)~26日(金)まで「幕張メッセ」<千葉市美浜区>にて行われた。 「建設機械の展示会」である本イベントには、国内外から大手建機メーカーが出展しており、建機にも電動化の波が迫っていると、前編にて紹介した。今回も後編として、引き続き展示されていたEV建機を写真とともに紹介する。 ボブキャット……EVならではのミニショベル室内デモ Bobcatのブースでは、電動ミニショベル「E10e」のデモンストレーションを行なっていた。 室内でデモが出来るのは電動モデルならではのもの。0.025m3の標準バケット容量(バケット内に一度に入る土砂などの容量)に、10.52kWhのバッテリー容量をもつ。 ボルボ……EV小型ショベルを屋外でデモ ボルボのブースは屋外だったが、電動小型ショベル「ECR25 エレクトリック」のデモンストレーションを実施していた。 運転質量2,730kg、バケット容量0.12m3、最高出力30kW(41ps)のモーターに、最大容量20kWhのバッテリーを搭載し、最大4時間の稼働が可能。急速充電にも対応している。 CARRIER……キャタピラー式のEV運搬車 CARRIERのブースでは、業界初となる電動式不整地運搬車「MST20Cre」が展示されていた。 キャタピラー式のダンプで、運転質量2.3トンに最大積載量2トン、最大容量32.8kWhのバッテリーを搭載し最大4時間の稼働が可能。 西尾レントオール……充電器を車載する電動ミニショベル 西尾レントオールのブースには、タケウチの「TB20e電動ミニショベル」を展示。 運転質量1,930kgに最大容量24.7kWhのバッテリーを搭載、最大8時間の連続稼働が可能。充電は車載の普通充電と急速充電に対応している。また車載の普通充電器をケーブルでつないだままでの機械操作も可能だという。 そのほか、電動ランマー、電動ブレードコンパクター、充電式LED投光器などもラインナップする。 キャニコム……MPPとは違うホンダのバッテリーを採用したクローラー機 キャニコムのブースには、電動の生コン用クローラー「ジャスパー砂与」が展示。 バッテリーはホンダ製だが、「ホンダ・モバイル・パワー・パックe:(MPP)」とは異なるものを使用している。試作車とのことだった。 前田製作所……珍しい電動カニクレーン 前田製作所のブースには、ユニークな電動の蟹(カニ)クレーン「MC285CB-3」を展示。 走行時はクローラー(約2km/h)で動き、操作中はカニ状態になる。クレーン容量2.8トン、最大地上揚程8.7m。機械質量は約2トン。最大容量7.4kWhのバッテリーを搭載し、連続走行時間2時間15分で、クレーン操作時間9時間30分。ケーブルをつなげば連続運転も可能だ。 長野工業……日本初のクローラー式高所作業車 長野工業のブースには、日本初という電動クローラー式屈伸ブーム型高所作業車「NUL07E-7」が展示されていた。 最大作業床高さ6.8m、定格積載荷重150kg、機械質量2,740kg、許容路面傾斜角度5度の性能を持つ。6V×8個の鉛バッテリーで最大3日の稼働が可能とのこと。 酒井重工業……ホンダMPP採用のハンドガイドローラー 酒井重工業・電動ハンドガイドローラーのコンセプトモデル 酒井重工業のブースには、以前レポートした「ホンダ・モバイル・パワー・パックe:」を採用した電動ハンドガイドローラーのコンセプトモデルを展示。 MPPと専用充電器と共に展示されていた。 エクセン……階段も登れる荷物搬送車 エクセンのブースでは、電動荷物搬送車を展示。 クローラー式で最大500kgの荷物を積み最大40度の坂や階段を上る性能を持ち最大3時間の稼働が可能。10人分の仕事量をこの1台でこなすという。 ディンリーマシナリー日本……電動化が早かった室内用高所作業車 ディンリーマシナリー日本のブースには、展示されているもの全てが電動の高所作業車だった。主に室内用なので、古くから電動となっているとのこと。

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TEXT:福田 雅敏
変速機付きイー・アクスル増加の予感……「人テク展」を写真で振り返る[THE視点]

5月24日〜26日まで開催された「人とくるまのテクノロジー展 2023 YOKOHAMA」<パシフィコ横浜(横浜市みなとみらい地区)>。 自動車メーカーとサプライヤーが最新技術を持ち寄るこの展示イベントは、今年は前回以上の来場者数と出展者数を記録した(来場6万3,810人/出展484社)。 前回[詳細はこちら<click>]のレポートはメーカーを中心に紹介したが、今回は中編として、サプライヤー系から昨今の注目パーツであるモーター一体型駆動装置(イー・アクスル)を紹介する。 TOP……小型EV対応のイー・アクスル TOP(タケフ・オリジナル・プロダクション)ブースには、小型EVとともに、イー・アクスル+減速機が展示されていた。 モーターは使用電圧48Vに対応した最高出力(定格)6.0kW(8.2ps)のもので、「モーターのみ」「モーター+インバーター」「モーター+インバーター+減速機」から選べるのが特徴。現在はGen1と呼ばれるものが主流だが、より小型化された、Gen2も展示されていた。 住友化学……軽量・高剛性の次世代プラスチック製イン・ホイール・モーターケース 住友化学のブースには、スーパーエンプラ(スーパー・エンジニアリング・プラスチックス)のPES(ポリ・エーテル・サルフォン)材を、イン・ホイール・モーターのケースに採用したものを展示。 アルミニウム製カバーに比べ約30%軽量化できるうえ、モーターに必要な放熱性も保持するという。 アイシン……電費が10%向上するイー・アクスル アイシンブースでは、イー・アクスルを展示。現在は第1世代のミディアムクラスの展示であったが、将来的(第2世代以降)には、スモール、ラージともラインナップを増やしていくという。このイー・アクスル化により、電費が10%向上するという。 デンソー……前・後輪搭載可能で電費が向上するインバーター(モックアップ) デンソーは、樹脂製のイー・アクスルのモックアップを展示し、その中にインバーターを組み込んだものを紹介していた。フロント用とリア用の2種類を展示。損失低減により、電費を向上、航続距離が延伸できるという。 マグナ・インターナショナル・ジャパン……商用車向けのイー・アクスル マグナでは、商用車向けイー・アクスルを展示。スペック等は明らかにされなかった。

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TEXT:田中 誠司
EV市場はブルーオーシャン! フォロフライ×丸紅×太陽インキ製造が合同セミナー[前編]

商用EVを日本で開発し中国で生産して輸入するファブレス・メーカー、日本屈指の大手総合商社、そして電子部品基盤用絶縁材料を供給する化学メーカー。それぞれの関係性がつかみにくい3つの企業が合同で報道セミナーを東京・大手町で実施するという。 テーマは「急拡大するEV市場と、需要高まる注目セクション」ということで、一般的なB to Bのマーケティング・イベントならよくあるミックスかもしれないが、自動車分野では珍しい取り組みと言っていいであろうこのセミナーについて本誌編集者がリポートする。 毎年、およそ5兆円の半導体が自動車に消える 冒頭では現在のEVをめぐるスケール感と電子部品について、フォーマルハウト・テクノ・ソリューションズ代表の柏尾南壮氏がゲストスピーカーとして登壇した。 現在、世界の半導体は全体で50兆円市場だという。そのうちスマートフォン用が35%を占め、次にPC用が15〜20%、自動車用は10%でそれらに続くという。 現在、年間に市場に送り出される普通乗用車の数は約1億台。平均的にそれらは1万5000点、ノートパソコンにして5台分の半導体を消費する。 柏尾氏が率いる会社は、電気自動車を購入して細かく分解して研究する事業を手掛けており、講演ではテスラ・モデル3、フォルクスワーゲンID.3、トヨタ・ミライのメイン・コンピューターの比較が示された。 テスラは自動運転機能などに用いるAIに関連するチップが多いのが特徴。VWは多くのメーカーがベンチマークとするだけあり、構成部品を可能な限り少なくした伝統的な考え方の配置だった。メインのチップには日本のルネサスが利用されていた。いっぽう、FCEVのトヨタ・ミライは信頼性を何よりも重視しており、島のような構造部であるメインコンピューターを2系統配置し、片方が故障してももう一方が機能を果たせる回路を採用している。 今後は自動運転がレベル3へ進化するにあたり、ソフトウェアの書き換えに対応する高速な無線機能が必須になり、半導体に求められる能力はさらに高まることが予想される。

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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
コスモ石油、EVの新サービスを開始……軽商用EV「ASF2.0」をリース

サービスステーションや加盟店にて定額で充電とメンテナンス ASF社のブランド価値を高めるためにしっかりとサポートを 【THE 視点】コスモ石油マーケティング(コスモ)は5月31日、ASF(資本業務提携契約を締結したEVの企画および開発を行うスタートアップ企業)が製造する軽商用EV「ASF2.0」の取り扱いを開始すると発表した。同社が展開する「コスモMyカーリース」において展開する。 コスモエネルギーグループは、カーボンニュートラル実現に貢献すべく、「グリーン電力サプライチェーン強化(発電~需給調整~売電サプライチェーンによる高付加価値化)」の経営計画「ヴィジョン2030」を掲げている。 これまでコスモは、カーリースやカーシェア事業でのEVの活用を、法人や自治体に提案してきた。今後もカーボンニュートラル事業の需要が拡大することを想定し、国産EV向けのサービス「コスモmyカーリース」に、ASFの軽商用EV「ASF2.0」の導入を決めたという。 ASFは、日本国内でのEV普及促進を図るために設立されたファブレスメーカー(工場を持たない製造業)で、国内EVベンチャーのFOMMより、技術協力を得て事業を進めている。佐川急便と7,200台の「ASF2.0」の供給契約も締結している期待のベンチャー企業である。 「ASF2.0」は、最大容量30kWhのリン酸鉄リチウムイオン・バッテリーを搭載し、航続距離は209km。最大積載量は350kgで、ラストワンマイルの配送に適した性能を持つ。駆動系統はニデック(旧日本電産)製を採用しているため、十分な信頼性があると言える。 「コスモMyカーリース」にラインナップするにあたり、「EV向けメンテナンスパック」の提供も開始した。ASFの充電やメンテナンスを定額で、コスモのSSほか加盟店で受けられることになる。 そのような拠点が多ければ、車両を酷使する配送業に安心して車両を導入できる。法人や小規模な事業を営むところなどへの拡販が、大きく期待できることになる。 ただ、ASF自体は国内では無名と言えるメーカーだ。設計上のクオリティは高いとはいえ、現場での信頼性を得るには、根気強くサービスを提供してゆく必要があるだろう。ともあれ、軽商用EV市場の熱気が高まることは歓迎したい。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★トヨタ、「水素ファクトリー」を新設……7月1日付けの組織改正にて、燃料電池の開発を加速[詳細はこちら<click>] ★★「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」の累計生産台数が5万台を達成……生産開始から約1年で達成 ★ボルボ、コンパクトSUVの新型EV「EX30」の内装を一部情報公開……リサイクル素材と再生可能素材を活用[詳細はこちら<click>] ★エネチェンジ、JR沼津駅前の商業施設「Plaza Fontana-Numazu Station-」にEV用充電器を設置……施設内有料駐車場に最高出力6kWタイプを2基 ★テラモーターズ、埼玉県三芳町にEV用充電器「テラチャージ」を導入……三好町役場など5ヵ所の公共施設に ★LG、バッテリーの材料「カーボンナノチューブ」の生産を加速……4ヵ所目の専用工場を建設、三菱自動車にも供給予定 ★ステランティス、オー・ド・フランス地域にて大規模バッテリー工場を開設……トタル・エナジーズとの合弁会社が運営、2023年末までに生産ラインを稼働 ★EVバイクシェアのハロー・モビリティ、「BIGFUN平和島」<東京都大田区>にてEVスクーターのシェアサービスを開始……交換式バッテリーを採用、区内のバッテリーステーションの利用も可能 ★テスラ、「広島T-SITE」<広島市西区>にて展示・試乗会を開催……6月1日(木)〜25日までの長期 ★ボッシュ、EV船事業を推進……EVで培った品質・技術を活用、小型ボート用に電動システムを開発 ★太田房江経済産業副大臣とデイビッド・イービー・カナダ・ブリティッシュコロンビア州首相が会談……水素燃料電池の研究開発について企業連携の後押しなどを確認 デイリーEVヘッドライン[2023.06.01]

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TEXT:福田 雅敏
最新のEV技術を各社持ち寄り……「人とくるまのテクノロジー展」よりレポート メーカー編[THE視点]

出展者数499社、来場者数6万3,810人で昨年を上回る 「人とくるまのテクノロジー展 2023 YOKOHAMA」が、5月24日~26日までパシフィコ横浜<横浜市みなとみらい地区>で開催された。 自動車メーカーとサプライヤーが、それぞれの最新技術や製品を展示するこのイベント。今年は499の出展社、来場登録者数も6万3,810人と、昨年の484社、来場登録者43,665人を大きく上回った。初日の朝からかなり混んでいると感じたのが第一印象だった。 また今回も各社から展示物が目白押しだった。会場の模様を数回に分けてお伝えしたい。初回は自動車メーカーを中心にEVに関係する情報をレポートする。 日産……「アリア」のカットモデル 日産のブースには、「アリア」のカットモデルが展示されていた。ボンネット内のモーター、インバーターを始めとする機器類や、室内フロアをカットしてバッテリーパックを覗く事ができ、リアモーターの搭載位置も現物として確認できた。 加えて英国大使館のブースにも「アリア」が展示されていた。その理由を尋ねたところ、「日産の工場が英国サンダーランド市にあるから」との事だった。 また、ホワイトボディが主催の自動車技術会の展示コーナーに展示されており、そちらについては、別記事で触れたい。

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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
商用EVにも地殻変動か、三菱ふそうと日野が経営統合

それぞれの親会社のトヨタ自動車とダイムラー・トラックが合弁会社を設立 三菱ふそう車にトヨタのFCが載る可能性も 【THE 視点】日野自動車と三菱ふそうトラック・バス(三菱ふそう)は30日、経営統合することで基本合意したと発表した。三菱ふそうの親会社であるダイムラー・トラックと、日野の親会社であるトヨタ自動車の4社で基本合意書を同日付で締結した。 トヨタとダイムラー・トラックが合弁会社を設立し、日野と三菱ふそうの両ブランドを残しながら、商用車の開発・調達・生産分野で協業し、水素をはじめとする「CASE(※1)」技術開発を加速させる。 これで、トヨタの燃料電池(FC)を活用した日野のバス「ソラ」や、大型FCEVトラックの技術をダイムラー側が、一方で三菱ふそうの小型EVトラック「eキャンター」の技術や、ダイムラー傘下のメルセデス・ベンツ等がもつ大型バッテリー式EVトラック・バスの技術をトヨタ側が手に入れることになる。 今や単独で「CASE」技術を開発するには限界が見えたのだとみられる。双方が持つ技術を、双方が使えるようになれば、新たなシナジーも生まれよう。 筆者が予想するには、大型トラックの電動化はFCEV、中・小型トラックはバッテリー式EVという方向に明確に進むと思われる。大型車はやはり、充電時間と走行距離を考えると、バッテリー式は難しいところがある。 日本では、刺身にする鮮魚のような鮮度最優先の生鮮食品の輸送もある。充電に時間がかかるバッテリー式の大型EVトラックの場合、大きなタイムロスが発生してしまう。 なお同日行われた会見では、トヨタを中心とする「CJPT(※2)」への、三菱ふそう側の参加については発表やコメントがなかった。 日野は、バスに関してはいすゞと製造部門を統合した「ジェイ・バス」も抱えている。どのような影響が出るのかも気になるところだ。たとえばダイムラー・トラックは、傘下のメルセデス・ベンツ名義で大型EVバスをドイツで製造・販売して公共交通機関に納入するなどの実績を持つ。あわよくば、そのEVバスの導入もあり得る。 ともあれ、三菱ふそうとの事業統合は、国内の商用車業界に大きく影響しそうである。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ※1:CASE……「コネクテッド」「自動化」「シェアリング」「電動化」の英語の頭文字をとった造語 ※2:CJPT……「コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ」の略語、トヨタが中心となりいすゞも参画する次世代商用車の開発団体 ★★メルセデス・ベンツ、新型EV「EQS SUV」を日本で発売……7人乗りに対応、メーカー初のEV専用プラットフォームを採用[詳細はこちら<click>] ★関東鉄道、茨城県初の路線型の大型EVバスを導入……「BYD K8」(定員81人)を採用、6月1日より守谷営業所管内で運行開始 ★東京都、お台場や有明地区などの臨海部でEVバイクシェアリングを5月29日より開始……ドコモ・バイクシェアと共同事業、前二輪のトライクタイプの小型EVを導入 ★メルセデス・ベンツ、EVのトラクター・ヘッド「eアクトロス」シリーズの長距離テストを実施……ドイツのヴェルト工場からトルコのアクサライまで3,000km、秋に量産開始 ★東北大学、「カルシウム蓄電池」の500回以上の充放電に成功……レアメタル不使用の次世代型バッテリー、トヨタ北米先端研究所も研究に協力 デイリーEVヘッドライン[2023.05.31]

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TEXT:福田 雅敏
路線型EVバスは乗客に優しい乗り心地……「2023 バステクフォーラム」よりレポート[THE視点]

4台のEVバスを試乗・展示 「2023 バステクフォーラム」が5月12日、大阪・舞洲スポーツアイランド「空の広場」<大阪市此花区>にて開催された。14回目となる今回は、二十数社の参加により最新のEVバスの試乗・展示が行われた。今回はその中から、実際に試乗した路線型EVバスの3台をレポートする。 ちなみに今回、バス全体の展示台数は17台あり、そのうち4台がEVバスであった。EVバス関連の周辺機器としては、急速充電器1台の展示もあった。 展示&試乗車は以下の4台となる。 ・EVモーターズ・ジャパン  「F8シリーズ2-シティ・バス」:全長10.5m路線バス(試乗車)  「F8 シリーズ6-コーチ」: 全長8.8m観光バス(展示車) ・オノエンジニアリング  「オノエン・スターEV」: 全長9m(試乗車) ・アルファバスジャパン  「アルファバス E-シティ L10」: 全長10.5m(試乗車) 試乗は乗客としてバスに乗り、会場内の決められたコースを周回した。各バスそれぞれの特徴を体感できたのでお伝えしたい。

TAG: #EVバス #THE視点 #国内ビジネス

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