#コンセプトカー
TEXT:石橋 寛
話題のフォルクスワーゲンID.Buzzは50年の準備期間の末に登場ってマジ? EVバスは一日にして成らず!!

たくさんの雛形を経てID.Buzzは市販化された ついに日本に導入されたID.Buzzですが、これまで何台ものコンセプトカーが発表されてきたことご承知のとおりです。ブリー・コンセプトやBudd-eなどなど、そりゃもうたくさんあったのですが、フォルクスワーゲンはおよそ50年前からID.Buzz、すなわちワーゲンバスの電動化を目論んでいたことはさほど知られていません。それだけ長期間にわたって研究していれば、トライ&エラーも増えるというもの。ID.Buzzに辿りつくまでの紆余曲折をざっくりご紹介しましょう。 T2(1972) 1970年、VWは電気駆動システムを備えたクルマを設計する「フューチャー リサーチ」開発部門を設立しました。先見の明というよりも、ドイツは第二次大戦中から電気駆動の開発に取り組んでおり、自国産エネルギーの乏しさを補うことが主目的だったかと。 そこで生まれたのが、ワーゲンバスをベースに880kgものバッテリーを荷台に積んだT2でした。発売当時の1972年はバッテリーの性能も低く、これだけ積んでも航続距離は85kmとわずかなもの。しかも、充電ステーションなどは存在しないため、VWは充電済みバッテリーと積み替えるシステムを考案。およそ5分で交換できたといいますが、やはり荷室を占拠する大型バッテリーは実用的とはいえず、数台を市販したのみでT2プロジェクトは終了しています。 この苦い経験がのちのMEB(モジュラー・エレクトリック・ドライブキット)と呼ばれるEV専用プラットフォームの開発につながったことはいうまでもないでしょう。 マイクロバス・コンセプト(2001) 連綿と続いていた電動Bulli(ブリ:T1バスの愛称、ドイツ語でブルドッグや剛健さの意味)プロジェクトは2000年代初頭、突如としてマイクロバス・コンセプトを発表。ちょうど北米にミニバンブームが訪れていた時期で、VWとしては往年のブリを意識したスタイリングで人気を勝ち取ろうと考えたのでしょう。 ただし、中身はEVでなくV6エンジンを搭載することが予定されていました。時代を考えればプリウスが発売されて間もなく、市場はEVどころかハイブリッドさえスタートしたばかり。もしかすると、1970年代の失敗がEVとして発表することを躊躇わせたのかもしれません。 とはいえ、カリフォルニアのスタジオでデザインされたボディは、数あるコンセプトモデルのなかでも生産型Buzzにほど近いもの。デトロイトショーでの評判も上々で、2002年には量産も計画されたものの、ミニバン市場のヒートアップに輸入車のVWは分が悪いと判断。2004年にあっけなく生産計画の中止が発表されました。 ブリー・コンセプト(2011) ID.Buzzの生産より10年前、早くもEVコンセプトカーとして登場していたのがブリー・コンセプト。スタイルの流れとしてはマイクロバス・コンセプトを受け継ぐものながら、VWの汎用プラットフォーム「MQB」を採用するなど、文脈はまったく違うといっていいでしょう。また、EVとしてお披露目したのも現実性を担保するもので、この翌年にはVWからEVへの大規模投資がほのめかされています。 MQBを使用したためか、マイクロバス・コンセプトよりもコンパクトになりつつ、スペースユーティリティも最適化されています。これには、バッテリーの搭載位置などが奏功しており、T2時代からの研究成果が現れているはず。当時としては破格といっていい40kWhのリチウムイオン電池を積み、航続距離は300kmをベンチマークとしていました。

TAG: #コンセプトカー #ミニバン #輸入車
TEXT:TET 編集部
ついに「コルベットがEV」に!? 2種類のコンセプトカーでシボレーが未来のハイパフォーマンスカー像を描く

4輪モーターで2000馬力オーバーの怪物 米国カリフォルニア州モントレーで行なわれたイベント「ザ・クエイル・モータースポーツ・ギャザリング」で、シボレーが未来のハイパフォーマンスカーの展望を指し示す2台のコンセプトカーを8月15日に発表した。 公開されたのは「コルベットCX」と「コルベットCX.R ビジョン グランツーリスモ」の2台。両車とも市販化の予定はないものの、「これから何年にもわたって、コルベットのデザイン言語に影響を与えるインスピレーションの源になるモデル」とシボレーは説明。そのうえで、70年以上にわたるパフォーマンスの革新を背景に、アメリカンスポーツカーの伝統を称え、未来を切り拓いていくものだとしている。 GMモータースポーツ・エアログループとシボレー・パフォーマンス・スタジオの協業で設計されたエクステリアデザインは、究極のパフォーマンスを追求しながらも、コルベットを象徴する伝統的な要素はきっちりと押さえられている。前方に突き出したノーズに、ボディの上部と下部とを際立たせる水平に走るシャープなライン、歴代コルベットに共通するデュアルエレメントテールライトなどがそれだ。 一方で、動力面は世相を反映している。コンセプトカー「コルベットCX」は、伝統的なV8エンジンを捨て、EVになることを決断した。90KWhのリチウムイオンバッテリーを備え、4輪にそれぞれモーターを搭載。システム合計出力は2000馬力オーバーに達し、4輪トルクベクタリングで圧倒的なグリップとコーナリング性能を見せるのだという。 さらに、革新的な機構を採り入れることで、そのパフォーマンスを余すことなく路面に伝えようとしている。内蔵されたファンがオープンチャネル構造を通じて空気を吸い込み、強大なダウンフォースを発生させる「バキュームファンシステム」を採用するとともに、リヤディフューザー上の気流を調整して、リアルタイムで空力バランスを最適化する。 また、フロントディフューザーとリヤウイングは、どちらもドライバーの操作に応じて自動的に調整される。こうしたアクティブエアロとバキュームファンシステム、そして全輪モーターにより、コルベットは新次元の走りのステージへと駆け上がるのだ。これは、あくまでも市販予定のないコンセプトモデルでの話だが……。 インテリアは斬新で、アメリカ軍の最新鋭戦闘機F-35を彷彿とさせる前方開閉式キャノピーを採用し、ドライバーが車両に近づくと自動で上方に開く機構を備えている。当然車内は圧倒的なパフォーマンスに備えてドライバーオリエンテッドに設計され、ホールド性の高いシートや視線移動の少ないデジタルウインドウスクリーンを備えるほか、アメリカを代表するスポーツカーにふさわしいラグジュアリー性も兼ね備えている。 なお、コンセプトカー「コルベットCX」には、もうひとつのモデルが存在する。それが「コルベットCX.R ビジョン グランツーリスモ」だ。

TAG: #eモータースポーツ #コルベット #コンセプトカー #シボレー
TEXT:TET 編集部
2026年に登場を予定しているベントレーのEVを予感させるデザインスタディ! 伝統と電動化の未来をつなぐコンセプトカー「EXP15」を発表

独創的な3シート・3ドアパッケージ 世界を代表するラグジュアリーブランドが、来る2026年公開予定の100%電動モデルの登場を前に、その一部エッセンスを取り入れたコンセプトモデルを登場させた。EXP15と呼ばれるコンセプトモデルを発表したのは、イギリスの伝統的なラグジュアリーブランド「ベントレー」だ。 1930年製の3シータークーペ「ベントレー・スピードシックス」を創造的な祖としたコンセプトモデルとなるEXP15は、全長5mのおおらかなボディに直立した象徴的なグリル、ロングノーズのボンネット、後方に配置されたキャビンというクラシックなプロポーションを用いて、近未来のベントレー像を表現している。 EXP15にとって最大の特徴は、3シート・3ドアというユニークなパッケージングを採用していることだ。ベントレー曰く、この独創的なパッケージングは、「選ばれたユーザーに特別なドライビング体験を提供するだけでなく、荷物やペットのために設計」したものなのだという。 ドアは運転席側が1枚のロングドア、助手席側は観音開き式の2枚のコーチドアで構成されている。一方で、シートは運転席側がタンデムに2席、助手席側は1席のみとなる。 つまり、繭玉のように包み込むリヤシートは、助手席側が広大な前後スペースを備えた客人または婦人をもてなすための特等席となる。レイアウトも自在で、運転席と助手席が並列に配された「コ・パイロットモード」から、後部座席に相当する位置までスライドさせ、足元空間を大きく広げた「リラックスモード」まで、なんとも贅沢なスペースの使い方を可能にしている。 さらに、観音開き式のドアを採用したことで、助手席側のシートをドアに向けて45度回転させ、身をよじることなくスムーズに乗り降りすることができる機能を有している。英国紳士は婦人を伴って晩餐会に乗りつけたものの、ご婦人が潜り込んだ姿勢から苦労して降り立つ無様な真似だけはさせたくないのだろう。 リヤハッチを開けると、トランク内にふたつのコンパクトなシートが現れる。周囲を照らす雰囲気のあるランプや、冷たい飲み物を収納できる冷蔵庫が備わり、壮大な景色や星空を眺めながらグラスを傾けてほしいという粋な演出だ。 インテリアは「ウィングジェスチャー」と呼ばれる、羽を広げたベントレーのエンブレムをモチーフにした伝統的で優雅な空間が継承されながら、「ボールド・グラヴィタス」「コクーニング・ヘイブン」「アイコニック・ディテール」とベントレーが呼ぶ要素が取り入れられ、伝統と重厚さ、それにプライバシーを保ちながら上質な安心感を備える設計がなされている。 一方のエクステリアは冒頭でも申し上げた通り、見まごうことなきベントレーのそれで、一枚岩から削り出されたかのような圧倒的な存在感を放つ「モノリシック・プレゼンス」という考え方をベースに、彫刻的表現ともいえる表面処理により、ベントレーの現代的な造形美の進化を示している。

TAG: #コンセプトカー #デザイン #ベントレー
TEXT:TET 編集部
これがウワサのN-ONE EVなのか? ホンダの新たな小型EV「スーパーEVコンセプト」が7月のグッドウッド2025で走る

グッドウッド2025の出展概要にしれっと載っていた新型EV ホンダの英国現地法人であるホンダモーターヨーロッパ・リミテッドが、現地時間の6月16日(月)10時に7月10~13日まで英国のウエスト・サセックス州で開催されるグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2025(以下、グッドウッド)の出展内容に関して、プレスリリースを発信した。 グッドウッドは英国のみならず、世界を代表するモータースポーツを中心とした自動車の祭典として高名で、現役から歴史的な二輪・四輪の名車までが展示されるだけでなく、主催者であるリッチモンド公爵が所有する広大な私有地内に設けられたヒルクライムコースを使ってタイムアタックが行なわれるほか、レーシングコースでレース競技を行なうなど、「動く博物館」としての魅力にあふれている。 そのような催しだから、当然モータースポーツに関わる車両の展示が中心なのだが、近年はメーカー自らの出展が熱を帯びており、新型市販車両やコンセプトモデルのお披露目の場にもなっている。 そのグッドウッド2025でホンダは、2026年からグローバル市場への投入を予定している四輪EV「Honda 0 SUV」のプロトタイプを欧州地域で初公開する。 そして、今回のリリースで初めてその存在が明かされた新たな小型EVのコンセプトモデル「Super EV Concept(スーパーEVコンセプト)」が、このグッドウッドで世界初公開されるというのだ。 ヒントはたった1枚の画像とAセグメントであること 詳細はベールに包まれるものの、スーパーEVコンセプトについてホンダはリリース内で次のようにコメントしている。 「Super EV Conceptは、HondaらしいFUNを追求したAセグメントの小型EVで、使い勝手の良さとHondaならではの『操る喜び』の両立を目指してデザインされました。小型ならではの軽快でキビキビした走りをベースに、高揚感をもたらす走りを実現したモデルです」 「今後のグローバル展開も視野に入れ、今回のイベントに先駆け、目を引く紫の擬装を施したテスト車両で、すでに英国で走行試験を行っています」 スーパーEVコンセプトについて、リリースに添付された画像は英国の街なかを走る1枚の画像だけ。あまりにも正体がはっきりしないため画像を拡大してみた。すると、ボディデザインは日本の軽自動車「N-ONE」に似通っているように見受けられるが、比較対象車がいないので本当にこれがN-ONEをベースとしたEVだとも言い切れない。 果たしてその真の姿、サイズ感はいかほどだろうか。そしてホットハッチ好きが多いと言われる英国で、あえて公衆の面前で走行試験を行っている理由とは。ホンダが5月に開催した「2025ビジネスアップデート」で年内発売予定とアナウンスしたN-ONEベースのEVとの関連性は?  などなど、いろいろと想像力を掻き立てられるEVコンセプトカーだ。 そしてホンダは、全長1.16マイル(1.856km)のヒルクライムコースでスーパーEVコンセプトを走行させることを明言している。昨年の同イベントでコンセプトモデルを発表した「プレリュード」プロトタイプや、「シビックタイプR アルティメットエディション」、二輪の「ゴールドウィング」などホンダの多様な車両が出走するなかで、このスーパーEVコンセプトがどのような走行を見せるのか、いまから楽しみだ。

TAG: #Super EV Concept #コンセプトカー
TEXT:TET 編集部
ゲームにインスピレーションを得た姿に若い世代はぞっこん!? 「ゲーミングEVでも作ったろ」の精神で開発されたヒョンデ「インステロイド」

スモールコンパクトEV「インスター」が激変 昨年、韓国で発売を開始し、今春には日本でも発売が予定されているヒョンデのスモールコンパクトEV「INSTER(インスター)」をベースにした、未来を予見するようなデザインのコンセプトカー「INSTEROID(インステロイド)」が、ソウルモビリティショーで展示された。 インステロイドはゲームから得たインスピレーションと広範なカスタマイズで、新世代のドライバーを魅了するヒョンデの大胆なアプローチを体現しているのだという。「インステロイド」という名前の由来は、「INSTER」の本質である遊び心と、「STEROID(ステロイド)」のもつダイナミックなエネルギーを巧みに融合させたことにちなんでおり、エネルギーにあふれる力強いルックスを表現したものだとされている。 「インステロイドは純粋に『楽しむ』ためのクルマです。細部に至るまで、人の感情や想像力を刺激する新しい方法を探求して生まれました。見た目だけでなく、発するサウンドや体験してどう感じるかといったことにも注目してください。大胆なビジュアルランゲージから没入型のサウンド体験まで、誰もがもっと大きな夢を見て、もっと長い間笑顔でいられるように、というコンセプトになっています」と語るのはヒョンデデザインセンターの責任者であるサイモン・ローズビー専務。 コンセプトも姿もまさに「ゲーミングEV」 大幅に広げられたフェンダーに、空気力学に基づいたウイングスポイラーとディフューザー、ホイールアーチベントなど、非現実的とも思えるほどに攻撃的なフォルムを与えられたインステロイドは、まさにゲーム的思考によるスタイリングだ。 車内も、バケットシートとロールケージ、それに専用のインストルメントクラスターのみという極めてシンプルな構成となっており、これにより没入感のあるドライブ体験を生み出すのだという。 もちろんゲームに不可欠な音にもこだわりをみせ、感情を刺激するユニークなサウンドシグネチャーと統合型ビートハウスサウンドシステムがリヤに搭載されている。 走りの面でもドリフトモードによるドライビング体験の変革を目指して開発がなされており、軽快な運転の楽しさとレースのスリルの両方を味わうことをコンセプトにしているというから、どこまでも現実離れしたゲーミング的発想のクルマだ。 そして、このインステロイドはソウルの「Peaches D8NE」と呼ばれるカルチャー&ショップスペースで行われたメディア・コンテンツクリエイター向けのイベントでお披露目され、そこではインステロイドを使ったさまざまなゲーム体験をする専用スペースも設けらたそうだ。 そのゲームでは、ノーマルのインスター車内でアイテムを集めることで、インステロイドへ進化することができるというタイムアタック形式のゲームが展開されたそうだ。なお、後日このゲームに関しては一般向けに公開される見込みだという。 また、世界中で1000万ダウンロードを記録しているゲームアプリ「Kartrider Rush+」で使える強力なツールとして、「INSTEROID Kart」が後日リリースされることもアナウンスされている。 若い世代に対し、インスターのイメージを良い意味で変化させることを狙っているとも伝えられているインステロイド。販売ボリュームを期待する車種だけに、今後世界各地でそのイメージリーダーとしての役割が展開されるかもしれない。

TAG: #インスター #インステロイド #コンセプトカー
TEXT:すぎもと たかよし
「ジャガー終わった」「こんなのジャガーじゃない」 異様なBEVコンセプトカー「TYPE 00」にデザインのプロが判定を下した

派手なスタイリングに隠されたエッセンス 昨年12月、マイアミ・アートウィーク2024で発表されたジャガーのコンセプトカー「TYPE 00」が話題沸騰です。「こんなのジャガーじゃない」「ジャガー終わった」など否定的な意見が圧倒的ですが、果たして本当にそうなのでしょうか? 今回はあらためてこのデザインを検証してみたいと思います。 「Exuberant Modernism」、活気あふれるモダニズムをコンセプトとしたTYPE 00は、今後ジャガーがBEV専業メーカーへ移行するに当たっての「革新」を強力にアピールするための象徴といえます。したがって、当然それ相応のインパクトは必須なワケです。 1960年代の「E-TYPE」をオマージュした「ロンドンブルー」はともかく、マイアミの街を象徴した「マイアミピンク」のボディカラーはたしかに衝撃的ですが、それはジャガーも折り込み済みということでしょう。 じゃあスタイリング自体はどうなんだ? といえば、これは次世代モデルの「プロポーション」「サーフェス」「ディテール」を大胆に誇張して予告したと見るべきだと思えます。 まずプロポーション。TYPE 00は一見ぶっ飛んだスタイルに見えますが、ショートオーバーハングのロングノーズスタイル、豊かなリヤフェンダーなどは、現行の「F-TYPE」と基本的には同じクーペらしいスタンスですし、分厚いボディとスリムなキャビンの組み合わせも「XJ」や「XF」(生産終了)などに見られる近年のジャガーの特徴です。

TAG: #TYPE 00 #コンセプトカー #デザイン
TEXT:TET 編集部
これがジャガーの未来を示すコンセプトモデルだ! 過去の価値観を鮮烈に塗り替えるEV「TYPE 00」発表

新生ジャガー初のコンセプトモデル 先日、「 Copy Nothing」のテーマのもとに、これまでとはまったく異なる方向性のデザインビジョンを示し、全世界の度肝を抜いたジャガー。その波紋が広がるなか、マイアミ・アートウィークにて発表されたのは、斬新すぎるコンセプトカーであった。 TYPE 00と名付けられたこのコンセプトカー。その車名には、E-TYPEをはじめとしてジャガーで用いられてきた伝統的な称号にくわえ、排出ガス”0″と新生ジャガー”0″番目というふたつのゼロという意味合いが込められている。 また、公開されたふたつのカラーのうち、ロンドンブルーはジャガーのルーツである英国の伝統を表現し、マイアミピンクはアイコニックなアールデコ建築にちなんでいる。 シンプルなフラッシュサーフェスが特徴のエクステリアは、流れるようなルーフラインをもつファストバックスタイルのプロポーション。この未来的なデザインは、独自の電動専用アーキテクチャであるJEA(Jaguar Electrical Architecture)によって実現されたという。 アクセントとしてサイドにあしらわれた真鍮のインゴットには、ジャガーのシンボル「リーパー」がレーザーエッチングによって描かれる。このインゴットは格納式となっており、必要に応じてリヤビューカメラが出現する。このカメラと同じく、充電ポートなども基本的には格納される。 バタフライ・スタイルのドアを開けるとあらわれるインテリアもまた、シンプルかつ未来的。3本の真鍮の ラインがフロントからリヤに貫くようにあしらわれ、新たなモダンスタイルを表現している。室内のディスプレイもまた、必要のないときは格納されており、スリークなインテリアの内装にひと役買っている。 全ラインアップを電気自動車で構成するラグジュアリーブランドという方針を示している新生ジャガー。2025年後半にはその初号機となる4ドアGTが投入される予定であるとアナウンスされている。 その詳細は明かされていないが、WLTPモードで770km、EPAモードで692kmの最大航続距離と、15分で321km分の急速充電が可能というスペックがターゲットだという。デザインにおいては、この「TYPE 00」に盛り込まれたデザインテーマが採用されることだろう。 史上稀に見る大転換を果たしつつあるジャガーの動向に、引き続き注目だ。

TAG: #コンセプトカー #コンセプトモデル #輸入車
TEXT:遠藤正賢
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない

「Honda 0シリーズ」の最新技術を覗いた 2024年1月のCES 2024で世界初公開され、2026年より世界各国での市販化が予定されている、ホンダの新たなBEV「Honda 0(ホンダ・ゼロ)」シリーズ。 同シリーズで掲げられている開発アプローチ「Thin, Light, and Wise」(薄い、軽い、賢い)を具現化する技術の数々が10月初旬、ホンダの四輪/BEV開発センター栃木および隣接する四輪生産本部で開催された技術説明会「Honda 0 Tech MTG 2024」で公開された。 そのなかで、新型CR-Vの内外装に「0」シリーズの技術を組み合わせた試作車に試乗することができたので、インプレッションをお届けしたい。 さて、「Thin, Light, and Wise」の具現化技術は、今回公開されただけでも極めて多岐にわたるため、かいつまんで説明すると、「thick and heavy」=「厚くて重い」というBEVの制約を根本から覆すものといえる。その要となるのは、やはりバッテリーだ。 そんなバッテリーを「薄く軽く」作るため、ホンダは型締め力6000tクラスの「メガキャスト」(大型鋳造機)と、「3D FSW」(三次元摩擦攪拌接合)を導入。これによりバッテリーケースの部品点数を従来の60点以上から5点へと大幅に減らすとともに、ウォータージャケットを薄型化して、バッテリーパック全体の高さを従来より約6%、実寸法にして約8mm下げることに成功した。 また、側面衝突時の荷重をより効率よく分散する構造とすることで、バッテリーの搭載効率を約6%アップ。加えて約500万台に及ぶ電動車の市場ビッグデータをもとにバッテリー劣化モデルを構築、診断・予測技術を確立することで、製造10年後のバッテリー劣化率10%以下を目指すとしている。 パワーユニットに関しては、モーター、ギヤボックス、インバーターを一体化させたeAxleを、メインユニットとなる180kWタイプと、サブユニットとなる50kWタイプの2種類設定。かつインバーターを他社比で40%小型化し、eAxleの上ではなく横への配置を可能とすることで、eAxle全体の高さを下げ、室内空間を30mm拡大することに成功した。 これはボディ骨格にも良い影響を与えている。eAxleの小型化により前後の衝突ストロークが拡大するうえ、とくにフロントではサイドメンバー上部中央に板状の部材を追加できるようになった。 これにより、スモールオーバーラップ衝突時の入力を回転方向に変え、横方向に逃がすことで、キャビンへの入力を低減。他社比で10%のオーバーハング短縮と合わせて軽量化も図っている。 さらに、引っ張り強度が2.0GPa(ギガパスカル)級と極めて高いホットスタンプ(熱間成形)材を、ホイールベース間のフロア骨格に用いることで、衝突時にキャビンやバッテリーの変形を抑えるとともに、断面高さを28mmにまで下げ、全高1400mm以下の低全高パッケージに対応しつつ、乗降性の改善も図っている。 そして、旋回時に外輪を押すようボディを敢えてしならせることで、外輪タイヤの接地荷重を高め、軽量化と軽快な走りを両立させることを目指すという、「操安剛性マネジメント」を導入。これによりストラットタワーバーのようなサスペンション取付部などへの補剛部材を不要し、従来のホンダ車に対し約10%の軽量化を実現するとしている。 シャシーにおいてはステア・バイ・ワイヤを採用し、サスペンションやブレーキなどほかのバイワイヤデバイスとも統合制御。さらに、3次元ジャイロセンサーを用いた姿勢推定&安定化制御、モーターならではの緻密なトルク制御を組み合わせることで、荒れた路面でも舵角や挙動が乱れにくく、またタイトなコーナーでも少ない舵角で旋回することを可能にしている。 なお、展示されていたベアシャシーのサスペンションは、フロントがダブルウイッシュボーン式で、リヤがマルチリンク式。前後ともエアサスペンションとなっていたが、市販モデルではコイルスプリングと電子制御式油圧ダンパーとの組み合わせも計画されているようだ。

TAG: #Honda 0 series #コンセプトカー #先進技術
TEXT:TET 編集部
「IONIQ 5 N」や「WRC」譲りの最新技術をフル投入! ヒョンデNがテスト車両「RN24」を公開

Rolling Labの最新モデル「RN24」が誕生 2024年10月25日、ヒョンデの高性能ブランド「N」はオンラインイベント「N Day 2024」において、次世代Rolling Lab(ローリングラボ)の「RN24(アールエヌ トゥエンティフォー)」を発表した。 2012年のRM(レーシングミッドシップ)シリーズから始まり「RN22e」や「N Vision 74」などのEVを含むRolling Labは、各種高性能技術のテスト車両として活躍してきた。 「RN24」はモータースポーツテクノロジーと、Nの量産モデルの架け橋の役割を果たすテスト車両の最新モデルだ。 「RN24」は「IONIQ 5 N」のPEシステムを搭載。再設計されたバッテリーパックは、量産モデルの84kWhという容量を維持しながら340mm短くなったホイールベースを実現することで、世界ラリー選手権(WRC)におけるHyundai Motorの「i20 N Rally1 Hybrid」のライバル車に匹敵するBセグメントサイズまでの小型化に成功した。 シャシーシステムは、ラリー仕様のダンパーや高剛性サブフレームを備えた新設計のWRCスタイルのサスペンションだ。 さらに、「RN24」にはWRCパワートレイン・ドライブ・コントロール・ロジック・システムが搭載されている。これによりドライバーは、ステアリングのボタンを使ってPEパワーや加速感度、回生ブレーキ感度、そしてPEパワーバランスを調整することができる。 バッテリーとモーターの冷却性能は、「IONIQ 5 N」搭載の高度なシステムに修正を加えたもので、ラリーカーレベルのレスポンスを実現するステアリングシステムにより、さらなる敏捷性が生まれた。 「RN24」のサウンドトラックは、「IONIQ 5 N」に搭載しているN Active Sound +に加えてふたつのサイドスピーカーを備えた外部高出力サウンドシステムを搭載。サウンドボックスとして機能するリヤフェンダーデザインがもたらす没入型サウンド体験により、クルマがもつさまざまな性能を実感することができる。 「RN24」が採用するモータースポーツテクノロジーのなかでもライバル車との大きな違いは、「ラリーモード」モータートルク制御の存在だ。「i20 N Rally 1」に搭載されている Hyundai Nの四輪駆動システムと同様、四輪すべてへのトルク配分を最適化。「i20 N Rally 1」のメカニカルテクノロジーの性能は「RN24」のラリーモード電子モータートルク制御によってシミュレーションされており、システムをよりシンプルにすると同時にコスト面の無駄をなくすため、将来の量産車への適用がより現実的になる。 「RN24」の見た目で特徴的なのは、高剛性の外骨格スタイルの露出型ロールケージだ。乗員の安全を確保するだけでなく、高速走行時における車両のパフォーマンスや安定性を高めている。 Nパフォーマンスパーツとしては、Elantra Nの19インチマットブラック鍛造ホイールなどを採用。 さらに、「RN24」にはHyundai MotorsportのTouring Car Racing(ツアリング・カー・レーシング/TCR)モデルのスポイラーを装着している。これにより、さらなる敏捷性と安定性を実現。3Dプリントされたマチの採用で、剛性が増すとともに軽量化にも成功した。 Nブランドの Joon Park(パク・ジューン)常務は、「スペック番号よりドライビング体験を優先している『RN24』は、電動モータースポーツテクノロジーを進歩させるというHyundai Nのコミットメントを体現しており、高性能EVにはいまだ開拓されていない可能性が残っていることを証明しています。新たなテクノロジーが生まれる未来には、楽しみなことがたくさんあります」と述べている。

TAG: #RN24 #コンセプトカー #ヒョンデ
TEXT:TET 編集部
贅沢を極めたいのでハンドルもペダルも「必要ないので」隠します! キャデラックの新コンセプトカーが想像の斜め上をいっている

贅沢と疾走感がテーマとなっている 「電気自動車(EV)と自動運転技術のパイオニアである」と自負するキャデラックが、革新的なデザインと卓越したパフォーマンスを純粋に表現したコンセプトカー「オピュレント・ヴェロシティ」を発表した。先進テクノロジーと近年キャデラックが心血を注ぐビスポーク・ラグジュアリーを融合させたこのコンセプトカーは、キャデラックのハイパフォーマンスブランド「キャデラックVシリーズ」が目指す電動パフォーマンスの未来を体現しているのだという。 このコンセプトカー「オピュレント・ヴェロシティ」は、「Opulent(贅沢)」と「Velocity(疾走感)」という両極をテーマに、自動運転機能、電動化、卓越したパフォーマンスを組み合わせたラグジュアリー・パフォーマンスの未来を描いたハイパーカーであり、そのエクステリアはEVとしてのテクノロジーやラグジュアリー性、そして爽快な高揚感をもっとも芸術的に調和させて表現したものだと、キャデラックのデザイン担当であるブライアン・ネスビット氏は語っている。 では、キャデラックが言うところの「贅沢=オピュレント」とは何か。それは、完全自律走行運転が可能にする個人の自由をイメージしているそうだ。レベル4相当の自律走行機能は、フルワイドスクリーンディスプレイと拡張現実ヘッドアップディスプレイ(AR HUD)からアクセスする「多感覚モード」を通じて、安らぎと休息を促すハンズフリーの没入型体験を生み出すのだとか。もはや万一に備えて手をステアリングにかざしておくなどという予防安全の領域も飛び越えて、目の前の現実からドライバーを切り離そうとさえしている。 それも、キャデラックは科学的なベータ波の研究を参考にして、特定の音や光が脳をどのように活性化させ安らぎをもたらすのか、わざわざ探求したのだという。そして、その知見を車内全体に活用し、ユーザーがパーソナライズされたハンズフリーのオアシスに没入できるよう、厳選されたアート、エンターテインメント、アンビエント・ライト・セラピー、ウェルネス・リカバリーのテーマなどをこのコンセプトカーに取り入れているという。もう完全にドライバーは運転手ではなく、オーナーとして心置きなくリラックスして乗員に成り代わってくれと言わんばかりのコンセプトに驚くばかりだ。 しかし、これはあくまでもハイパフォーマンスブランド「キャデラックVシリーズ」の血統にあるクルマだ。ドライバーをドライバーたらしめるモードも用意している。それが「疾走感=ヴェロシティ」だ。 ハイパーカーならではの最大限のスリルを提供すべく、先ほどの自律走行モードからマルチファンクションコントローラーを介してヴェロシティモードに変化すると、ステアリングホイールとペダルがせり上がって現れ、ドライバーにハンドルを握るよう促すのだという。 いや、待て。自律走行モードはステアリングとペダルまで隠されていたというのか。さすがはコンセプトカーだ。いくらレベル4相当を想定し自律走行モードを備えるとはいえ、命綱のようなステアリングにアクセル・ブレーキペダルまで隠すとは発想がぶっ飛んでいる。 ヴェロシティーモードに話を戻すと、車両のヘッドアップディスプレイには実際のサーキット走行データをもとにした「ゴーストカー」が出現し、ラップタイムの向上や仲間とのバーチャルレースが可能になるのだという。いわゆる拡張現実を用いたギミックだが、まるでレーシングゲームを実車で行っているようで、このあたりの発想がアメリカらしいと言えばらしい。

TAG: #GM #キャデラック #コンセプトカー #ハイパーカー

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