#補助金
TEXT:渡辺陽一郎
補助金ありきでEVを買うなら要注意! タイミング次第では「もらえない」こともある!!

EVの補助金は誰でももらえるわけではない 電気自動車を購入した場合、申請を行うと、国からCEV(クリーンエネルギービークル)補助金の交付を受けられる。その交付対象は新車のみだ。なぜかというと、補助金の申請要件に「申請車両は、初度登録された車両で、製造事業者の新車保証が付いているものであること」という記載があるからだ。 中古車は、登録済み未使用中古車(軽自動車は届出済み未使用中古車)を含めて、少なくとも一度は登録や届け出を受けている。申請要件の「初度登録(届出)」ではないから、中古車は国が交付する補助金の対象に含まれない。また「自家用であること」という要件もあるため、事業用車の場合は、新車でも補助金の交付を受けられない。 そして申請書類の提出期限(消印有効)は、車両の新規登録(届け出)日までに支払い手続きが完了している場合、登録(届け出)日から1カ月後だ。提出期限に遅れないよう注意したい。 また、ユーザーと販売店やメーカーの間でトラブルが生じやすいのは、車両の納期遅延だ。納期が遅れて購入年度の補助金を使い切ると、そこで補助金が終了する。登録(届け出)日から1カ月という期限があるから、今年度に新車登録を行い、翌年度の補助金に申請することもできない。 そこで補助金が先に終了した場合、車両がメーカーから届いても登録や届け出を行わず、販売店が預かって翌年度に登録して補助金の申請を行うこともあった。ただしこれでは、販売会社が数カ月にわたって車両を預かるため、保管コストも高まってしまう。今はこのようなサービスを基本的に行っていない。 そして都道府県や市町村などの自治体も、国とは別に、電気自動車などに関して補助金を交付する場合がある。その申請期限は、国と異なり、こちらは初度登録(届け出)日から1年以内というケースもある。 また中古で購入した電気自動車やプラグインハイブリッドについて、災害時の電力供給に協力することを条件に、補助金を交付している自治体もある。このように自治体の補助金事業は、足並みがそろっておらず、それぞれ対応が異なる。電気自動車やプラグインハイブリッドの購入を検討しているなら、自身の属する自治体の補助金事業を調べておきたい。

TAG: #EV #新車 #補助金
TEXT:御堀直嗣
エコな鉄を使ったエコカーには補助金5万円ってマジか! そもそもエコな鉄「グリーンスチール」ってなに?

最大5万円を補助金に加算 2025年4月からのクリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金、通称エコカー補助金)で、グリーンスチールを採用した車種には、5万円の増額がなされることになった。 具体的には、登録車の電気自動車(EV)で最大85万円、軽EVやプラグインハイブリッド車(PHEV)は最大で55万円、燃料電池車(FCV)は最大255万円と定められているエコカー補助金額に、5万円分が追加されることになる。 では、グリーンスチールとは何か? 製鉄では二酸化炭素(CO2)の排出が不可欠の状況にある。 理由は、鉄鉱石から鉄をつくるには高熱が必要で、それに石炭を基にするコークスが使われるからだ。地下資源のなかでも、石油や天然ガスに比べCO2の排出量が多くなる石炭を必要とすることが、製鉄業の脱二酸化炭素に大きな負担をもたらしている。 影響の大きさは、日本国内におけるCO2排出量の最大の割合を占めるのが製造業であり、36%に及ぶ。ちなみにクルマが関わる輸送部門はその半分の18%でしかない。それでも、走行中の燃費改善はもとより、EVをはじめとするエコカーの導入が提唱されている。 さらに、製造業のうち、鉄鋼の生産はCO2の排出割合が35%を占め、2番手の化学関連の16%の2倍以上だ。ちなみに、アルミニウムなどの非鉄金属は4%でしかない。 まとめれば、鉄を使うことがいかにCO2排出量を増大させ、気候変動に大きな影響を及ぼしているかという深刻さなのである。もちろん、クルマでは車体をはじめサスペンションなどシャシー関係はいうに及ばず、鉄が各所に使われている。 また、クルマに限らず、あらゆる商品に鉄は幅広く使われている。その鉄が、気候変動を深刻化させていると語られることは少なかった。 そこで、製鉄におけるCO2排出量を大幅に減らした鉄鋼を使うことを推進しようという動きが出はじめ、そうしてつくられた鉄鋼をグリーンスチールと呼ぶ。ほかに、ゼロカーボンスチールとか、脱炭素鉄、低炭素鉄などの呼称がある。 ところが、そもそも製鉄には石炭が不可欠なのだ。理由は、高熱が得られるためである。石炭からつくられるコークスを使うことをやめ、ほかの燃料で高温を得るのは、じつは容易でない。 一気に脱二酸化炭素を実現させようと、水素を使って熱を得る考えがあり、研究・開発を行っているが、大量の水素が必要になる。なおかつ、コークスと同等の原価=燃料代でなければ採算があわない。そこにもうひとつの課題がある。

TAG: #グリーンスチール #補助金
TEXT:高橋 優
最大90万円だがモデルによってはわずか12万円の車種も! 2025年度のEV購入補助金の車種名と具体的金額

EVの補助金は最大90万円に 2025年度における電気自動車購入補助金「CEV補助金」の詳細、および車種ごとの具体的な補助金額が決定しました。果たして、2025年にコスパの高いEVはどれなのか、その補助金を含めたコストパフォーマンスを含めて解説します。 まずCEV補助金は、安倍政権時から発足して10年以上継続して拠出されている電気自動車購入補助金です。安倍政権時は最大40万円程度の補助金額だったものの、脱炭素政策を強力に推進する方針を表明した菅政権下で最大80万円へと倍増。さらに岸田政権下では5万円ほど増額されて、最大85万円という規模感となりました。 そして令和7年度、つまり2025年4月1日以降に登録されたEVに対する補助金の要件と具体的な補助金額が公開されました。まず補助金要件は昨年度の要件が基本的に踏襲されるものの、いくつかの追加要件も存在します。これまでは、 ・EV性能として電費性能や航続距離の長さ ・充電インフラ整備 ・車両整備の人材育成 ・サイバーセキュリティへの対応 ・ライフサイクル全体でのCO2排出量削減対策 ・災害時における外部電源の有無や災害連携協定 などが項目として存在したものの、さらに ・重要鉱物の安定調達に係るリスク低減のための取り組み ・調達先に対する支払い期間 ・車両や蓄電池の火災発生状況 などを追加。その上、GX推進に向けた鋼材の需要の喚起として、環境負荷を低減して製造された鋼材の導入の取り組みが評価された場合、さらに追加で最大5万円が上乗せ。よって最大90万円というEV購入補助金となりました。 そして、EVの車種ごとの補助金額について、主要なEVの補助金額を列挙していきましょう。 アウディQ4 e-tron:66万円 アウディQ6 e-tron:66万円(quattro/SQ6 e-tronは52.8万円) ジープ・アベンジャー:69万円 スバル・ソルテラ:88万円(ET-HSのみ66万円) テスラ・モデル3:87万円 テスラ・モデルY RWD(レガシー):67万円 テスラ・モデルY ロングレンジ/パフォーマンス(レガシー):87万円 トヨタbZ4X:90万円 日産アリア:89万円(NISMO B9 e-4ORCEのみ71.2万円) 日産リーフ:89万円 BMW i4:65万円(M50のみ52万円) BMW i5:52万円 BMW iX1/iX2/iX3:65万円 BYD ATTO 3:35万円 BYDドルフィン:35万円 BYDシール:45万円 BYDシールAWD:35万円 BYDシーライオン7:35万円 ヒョンデ・コナ:67万円 ヒョンデIONIO 5:67万円 フォルクスワーゲンID.4:66万円 ポルシェ・マカン:20万円 ポルシェ・マカン4/4S/ターボ:12万円 ポルシェ・タイカン:12万円 ボルボEX30:46万円 ボルボEX40/C40:36万円 […]

TAG: #CEV補助金 #補助金
TEXT:渡辺陽一郎
300万円の日産サクラが場所によっては実質125万円で買えるケースも! 価格の逆転現象もあるからクルマを買う前に「補助金」の計算は必須だった

対象のクルマを買ったら必ず補助金の申請を EV(エンジンを搭載しない電気自動車)、PHEV(プラグインハイブリッド/充電の可能なハイブリッド)、燃料電池車を新車で購入した場合、申請を行うと、国や自治体から補助金の交付を受けられる。 国の補助金は、車両の電費性能、1回の充電で走行できる距離、国内で運営している充電設備の状況、サイバーセキュリティへの対応など、EVの安全な普及に向けた貢献度も評価される。これらの評価項目をポイント化して、各車種の補助金交付額を決めている。 そして、2024年度の場合、税抜きメーカー希望小売価格が840万円以上の車両については、前述の基準で算出した補助金交付額に0.8を掛けた金額を補助金交付額としている。高価格車は補助金交付額を減らされるわけだ。 EVに交付される2024年度の補助金交付額を日産車で見ると、軽自動車のサクラが55万円、リーフは85万円、アリアも大半のグレードが85万円だ。ただし、アリア・ニスモB9・e-4ORCEは68万円に下がる。前述のとおり、税抜きメーカー希望小売価格が840万円以上になるから、交付額が80%に減額された。 プラグインハイブリッドの補助金交付額は、三菱アウトランダーPHEV、トヨタ・プリウスPHEV、マツダCX-60PHEVなど、大半の日本車が55万円だ。 燃料電池車は、価格が全般的に高いこともあって補助金交付額も多い。トヨタ・クラウンセダンZは136万3000円、トヨタMIRAIでは145万3000円に達する。

TAG: #新車購入 #補助金
TEXT:TET 編集部
1台につき「1700万円超」の補助金! EV路線バス「ヒョンデ・エレクシティ タウン」がJATAの導入補助金事業の対象車両に認定

ヒョンデが加わり対象車両メーカーは10社に 2024年末の発売を予定しているヒョンデのEV路線バスシリーズ「ELEC CITY(エレクシティ)」の中型EV路線バス「ELEC CITY TOWN(エレクシティ タウン」が、公益財団法人 日本自動車輸送技術会(略称:JATA)から「補助対象車両」として認められ、1台当たり1769万2000円の補助金が交付されることが、ヒョンデから発表された。 JATAの補助金事業は、2050年のカーボンニュートラル実現に向け、日本国内のCO2排出量の約2割を占めるという運輸部門の脱炭素化を図るため実施されるものだ。その運輸部門のCO2排出量の4割を占めるといわれるトラック・バス由来のCO2排出量を削減するために、環境省による令和5年(2023年)度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(環境配慮型先進トラック・バス導入加速事業)の交付決定(令和5年4月3日付)を受けて、JATAが環境配慮型先進トラック・バスを導入する事業者に対して購入補助金を交付する。 これにより、バス事業者や自治体が補助対象車両のEVバス、プラグインハイブリッド(PHEV)バス、燃料電池(FCV)バスの導入、および電気自動車用充電設備の設置(ただし本補助事業による車両導入と一体的に行われるものに限る)する際にかかる経費の一部が補助されるのだ。 補助金を受けられる補助対象車両メーカーはJATAのホームページで確認できる。ヒョンデが補助対象に加わったことで、現在10メーカーが顔をそろえる。1台あたり約1770万円というヒョンデ「エレクシティ タウン」の補助金額は、一見するととんでもない額に思えるかもしれないが、補助金の額は各車まちまちで車両本体価格や車体サイズも異なるだろうから、一概にヒョンデの補助金が多いというわけでもなさそうだ。 日本のバス車体規格ガイドラインに準拠し、日本市場のニーズに合わせて開発された「エレクシティ タウン」は、リチウムイオンバッテリーを搭載し220km以上の航続距離を確保している。車両安定装置(VDC)や、乗客の乗降時に死角となるエリアの障害物を感知する「SEW-Near」を標準装備するなど、安全装備が充実している。 いわゆる「2024年問題」と呼ばれる運輸業界の労働環境変化に対応するため、車両管理の省力化を実現するOBD2コネクタを介したテレマティクスサービスの導入準備や、車両故障や修理対応の時間削減を目標に、部品の翌日納品率95%以上を目指した在庫体制など、ソフトの面でもヒョンデは事業者をサポートしていくとしている。 ハード・ソフトの両面でEV路線バス導入事業者の負担軽減を目指す「エレクシティ タウン」が補助金の対象車両になったのは、ヒョンデにとって間違いなく追い風だろう。2024年末の発売に弾みがつきそうだ。

TAG: #EVバス #hyundai #エレクシティ #ヒョンデ #補助金
TEXT:TET 編集部
テスラがモデル3とモデルYの補助金をサポート! モデルYは新たなボディカラーやハードウェアを採用

テスラがモデル3とモデルYを20万円補助 テスラは令和5年度補正予算CEV補助金に合わせて、モデル3とモデルYの補助金サポートを行うことを発表した。 テスラ補助金サポート 例 モデル3 RWD/補助金サポート 20万円/価格調整後の参考車両本体価格 541万3000円〜 モデル3 ロングレンジAWD/補助金サポート なし/価格調整後の参考車両本体価格 651万9000円〜 モデルY RWD/補助金サポート 20万円/価格調整後の参考車両本体価格 543万7000円〜 モデルY ロングレンジAWD/補助金サポート 20万円/価格調整後の参考車両本体価格 632万6000円〜 モデルY パフォーマンス/補助金サポート 20万円/価格調整後の参考車両本体価格 707万9000円〜 モデル3 ロングレンジAWDのCEV補助金が85万円に テスラが販売する車両(モデルS、モデル3、モデルX、モデルY)はCEV補助金の対象車両となっている。なかでも、モデル3 ロングレンジAWDは、一充電走行距離の長さ(706 km WLTCモード 国土交通省審査値)などさまざまな観点が評価され、令和5年度補正予算 CEV補助金の85万円対象となった。輸入車のなかで85万円対象車両はモデル3 ロングレンジAWDのみ。 CEV補助金額(参考) モデル3 RWD/65万円 モデル3 ロングレンジAWD/85万円 モデルY RWD/65万円 モデルY ロングレンジAWD/65万円 モデルY パフォーマンス/65万円 モデルYに新ボディカラーを追加! ハードウェア4.0も モデルYはボディカラーを一部変更し、モデルS、モデルXでも好評なウルトラレッドとステルスグレー、そしてモデルY限定カラーとなるクイックシルバーを採用。 オプション価格はウルトラレッドとクイックシルバーが26万9000円、ステルスグレーが18万9000円だ。 さらに、HW4.0(ハードウェア4.0)を搭載したモデルYがいよいよ登場する。いままでの運転支援システムハードウェアと比べて、チップ性能は5倍に向上。進化したハードウェアは全車種に搭載し、テスラはさらに安全性を高める。

TAG: #CEV補助金 #補助金
TEXT:高橋 優
新たなEV購入補助金は「メーカーの充電設備充実度」「車両性能」などで異なる! 中韓EVはかなり厳しい結果に

2024年度CEV補助金の詳細が発表された 令和5年度補正予算で策定されている、電気自動車向けの購入補助金の詳細や具体的な補助金額が判明しました。日本メーカーのEVについてはこれまでどおりの金額が維持されたものの、中国BYDのEVについては、その半分も割り当てられないという、中国製EV排除の動きをとってきたという最新動向について、解説します。 まず、EV補助金については、安倍政権時代までは最大40万円程度の金額であったものの、カーボンニュートラルを宣言した菅政権下において、その1台あたりの補助金額が最大80万円に倍増されたことで、がぜん注目が集まっている状況です。 そして、そのような背景において今回判明したのが、充電インフラに対する整備費用を含めた、その令和5年度補正予算で策定された1291億円もの予算において、とくにEV購入補助金における、具体的な補助金額の算定基準、EVそれぞれの補助金額の内訳です。 まずは、その補助金額の算定基準のなかで、とくに注目するべきポイントをピックアップします。 初めに、今回のEV補助金の評価基準の概要については、EV自体の航続距離や電費性能、および外部給電機能を有しているかであったり、さらには型式登録されているかという観点だけではなく、追加で自動車メーカー側の取り組みとして、充電インフラを充実させているかであったり、修理メンテナンスのアフターサービス体制の充実度合い、バッテリーのリユースリサイクルに取り組んでいるかなど、さまざまな項目を総合的に勘案した上で、合計200点満点で採点。 その得点に応じて、例えば130点以上を獲得すれば、満額の85万円を獲得可能となります。 車両性能の向上という観点では、型式指定されているEVの場合は、航続距離に160を引いた後、0.4をかけながら、さらに電費をかけ算するという計算式を適用することで、その得点に応じて最大40ポイントが加算されます。 また、これも最大40ポイントが配点されている充電インフラ普及にどれだけ貢献しているのかという観点では、急速充電器のみが要件の対象となります。 充電インフラ普及に関しては、公共性が担保されてる場合のみがその要件の対象となると思われていたものの、それ以外にも、2023年のEV・PHEVの販売台数あたりどれほどの急速充電器を整備したかという評価軸も存在。この場合は、公共性が担保されていない急速充電器も評価の対象となることから、テスラやフォルクスワーゲングループについても、スーパーチャージャーやPCAが評価の対象となるわけです。 この点は、実際のユーザーの利便性を担保しているという点を正当に評価する上でも、公平な評価基準であるといえるでしょう。 そして、整備体制という観点についても、最大40ポイントと配点割合が高く、主に整備拠点数が評価対象となるものの、モバイルサービスであったり、無料レッカーサービスなども評価対象となります。よって、いわゆるディーラーネットワークを有していないテスラなどについても、一定程度評価される仕組みとはなっているわけです。 いずれにしても、この3つの評価軸だけで最大120ポイントが割り当てられており、それ以外の整備人材の育成、サイバーセキュリティへの対応、ライフサイクル全体での持続可能性の確保および外部給電機能の有無については、それぞれ20ポイントが割り当てられ、合計200ポイントとなる計算です。

TAG: #2024年度 #国産車 #補助金 #輸入車
TEXT:御堀 直嗣
上限85万円の補助金を受けられる電気自動車はどのモデル?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第13回

型式指定が関わる国のEV補助金 電気自動車(EV)の新車を購入する際に適用される補助金は、今年、令和5年度4月1日以降の支給金額が確定している。一般社団法人次世代自動車振興センターによって、車種ごとの補助金額が公開されている。 現在の補助金支給額は上限が85万円となっており、各車種の支給金額の判定には条件が設けられている。 ひとつは、型式指定された車種であるかどうか。もうひとつは、給電機能を持つかどうかである。 型式指定について、日本では、新車を販売するに際し、あらかじめ保安基準に適合していることを国土交通省へ申請し、審査を受ける必要がある。そのうえで、新車登録の際に現物のクルマを1台ずつ検査しなくても同一の品質を備えていると認めることを、型式指定制度という。型式指定された新車を販売し、登録する際に、書類上の手続きで済ませることができる。大量生産されるクルマが対象だ。さらに、新型届け出制度と呼ばれる仕組みがあり、これは仕様が多様な大型トラックやバスなどに適用される。 そして前者の型式指定制度を受けたEVが補助金対象になる。 給電機能とは、ヴィークル・トゥ・ホーム(VtoH、以下V2H)によるEVから自宅への給電機能を備えているかどうか。あるいは、100Vのコンセントを車内に設置してあり、車外の家電製品などへ電気を供給できるようになっていれば、こちらも対象になる。 上記2つの条件の如何によって、補助金額に差が出ている。 V2Hの有無が生み出した補助金の差 日本車は、型式指定を受けて国内で販売されるし、CHAdeMOによる充電を前提として、車両側にV2H機能を持たせている場合が多いため、補助金額は登録車の場合85万円の最高額が設定されている例が多い。 一方、輸入車の場合は、そもそもV2Hへの対応をしていないEVが多く、たとえば2200万円以上となる「ポルシェ・タイカン」の「ターボS」でも42.6万円の支給額だ。一方、1000万円を超えるメルセデス・ベンツの「EQS」や「EQE」もV2Hに対応しているので、68万円の支給額となっている。高額車両についてはV2Hあり:68万円、V2Hなし:52万円となる。ちなみに、V2Hを当初より設定しながら、これまで65万円の支給額だった中国製の「BYDアット3」は、型式認定を受けたことによって上限の85万円の支給対象になった。 軽自動車のEVについて、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」は、55万円の支給額である。軽商用バンの「三菱ミニキャブミーブ」は、41~49万円だ。 欧米市場では、充電方式について欧州のCCS(コンバインド・チャージング・システム)の普及や、米国のテスラ方式へのGMやフォードの追従といった情報が流れている。それらの充電方式ではV2Hへの対応が進んでおらず、単にEVへの充電効率だけを追求する欧米の姿勢は、今後いずれかの段階で見直しが行われるかもしれない。ちなみに中国は、CHAdeMOを基にしたGB/T方式を採っている。 充電方式の違いに話がそれたが…、日本のEV補助金制度は、EVを地域の蓄電池として、統合的な電力運用や災害対応などへも役立てていきたいという広範な視点に立った普及制度にもなっていることを知っていて欲しい。

TAG: #EV知識・基礎の基礎 #御堀 直嗣 #補助金
TEXT:TET 編集部
「軽EV」が市民権を獲得か。日産「サクラ」の販売台数が発売1年で5万台を達成。補助金が販売を後押し

軽バッテリー電気自動車(BEV)の「日産サクラ」が売れている。日産自動車の発表によると、昨年6月に発売した「サクラ」の受注累計が5万台を突破したと発表した。年間5万台というのは、軽乗用車全体の中でもかなり優秀な数字。詳しく見ていこう。 普通車に匹敵する充実装備も人気の秘訣か 全長3,395mm×全幅1,475mm×全高1,655mmという人気のトールワゴンスタイルで三菱「ekクロスev」と同時にデビューしたサクラは、BEVにもかかわらず、当初233万3,100円という戦略的な価格設定で大人気を博し、一時は新規受注が停止される騒ぎとなった。 もちろん、BEVハッチバック「リーフ」を世界に先駆けて販売した日産が自信を持って送り出すモデルだけに、走行性能も妥協はなく、最高出力47kW(64ps)/最大トルク195Nmを生み出すモーターや20kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載。航続可能距離(WLTCモード)は180kmと軽乗用車として実用に過不足ない水準を確保し、「CHAdeMO(チャデモ)」方式の急速充電にも対応しているため、80%までの充電時間は約40分で済む。 軽自動車の枠を超えた装備の充実も人気の秘訣で、エントリーグレードの「X」(254万8,700円)でもLEDヘッドライトや電動パーキングブレーキなど日常遣いに便利な装備が標準。さらに、上級の「G」(304万400円)なら、アダプティブクルーズコントロールなどからなる運転支援システム「プロパイロット」や9インチワイドディスプレイを備えたインフォテイメントシステムまで付いてくる。 スタート価格については、各種原材料の高騰などから数回の値上げを経て現在254万8,700円となっているが、例えば東京都の場合、国の補助金55万円に加え、都独自の補助金55万円(基本補助額45万円+メーカー別上乗せ補助金10万円)が上乗せされ、計110万円が支給されるから、車両本体の自己負担は150万円以下で済む。 これだけの充実装備を持った軽自動車なら通常の内燃機関車(ICE)でも200万円弱はいくから、BEVのサクラに注文が集まるのも無理はないだろう。さらに、日産のホームページによると、今ならサクラは注文から工場出荷まで1〜2ヶ月程度と納期も短いから、非の打ち所がないという状況だ。 >>>次ページ 軽ベストテンも見えてきた

TAG: #売れ筋モデル #日産 #補助金
TEXT:生方 聡
「BYD アット3」のCEV補助金が満額の85万円に増額

アット3のCEV補助金が85万円から65万円に減額されていた BYD Auto Japanは、同社が2023年1月から日本で販売しているコンパクトSUVタイプのEV「BYD ATTO 3(アット3)」が国土交通省の型式指定認証を取得したことを受けて、「クリーンエネルギー自動車購入補助」(以下、CEV補助金)が満額の85万円の対象車両となったと発表した。 現在、一般社団法人 次世代自動車振興センターは、令和4年度補正予算のCEV補助金を受け付けている。電力消費率や一充電走行距離などが一定の基準を満たした普通自動車のEVでは、外部給電機能がない場合は65万円、外部給電機能がある場合は20万円アップの85万円を上限に補助が受けられる。 アット3は電力消費率や一充電走行距離が基準を満たしているうえ、自宅に給電するV2Hと、家電などに給電するV2Lの機能をともに備えており、令和4年度CEV補助金では85万円の補助対象車になっていた。ところが、令和4年度補正予算では65万円に引き下げられていたのだ。 アット3が300万円以下で買えるかも! これまでアット3は、「PHP(Preferential Handling Procedure)」と呼ばれる認証制度を利用していた。これは年間の販売台数が5,000台以内の輸入車に対して特別に設けられた認証制度で、型式指定に比べて簡素な手続きで販売できるというメリットがある。 一方、令和4年度補正予算ではCEV補助金の条件が一部変更になり、外部給電機能がある場合に20万円の上乗せを受けるには、型式指定自動車の取得が必要になった。 そのため、型式指定を取得していないアット3は、外部給電機能があるにもかかわらずCEV補助金が65万円に減額となっていたのだ。これに対して、BYD Auto Japanは、「なるべく早期にBYD アット3の型式指定を取得するべく準備を進めています」(広報部)と話していたが、2023年6月28日に国土交通省から認可を取得し、CEV補助金が85万円に復活したというわけだ。なお、中国の自動車ブランドが型式指定認証を取得するのは今回が初だという。 では、アット3を個人が東京都で購入した場合の補助金はいくらになるだろうか? 前述のとおり、CEV補助金は85万円。これに加えて、東京都の「電気自動車等の普及促進事業の助成金」は、外部給電機能がある場合は45万円になる。さらに区市町村独自の補助金もあり、たとえば葛飾区ではEVの購入に対して25万円の補助が受けられる。これらを合わせると補助金の額は155万円になり、440万円のアット3が実質285万円で手に入ることになるのだ。コンパクトSUVタイプのEVとして不満のない性能を備えることを考えると、この求めやすさは、アット3の購入をさらに後押しすることになるだろう。

TAG: #BYD #アット3 #補助金

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