ボッシュは4月5日、蓄電池リサイクル施設向けに、使用済み蓄電池の放電・破砕処理およびそれらを制御するソフトウェアを納品すると発表した。 今こそチャンスだ、リサイクルシステム 電気自動車の増加、リサイクルに対する法的規制の増加などの背景から、直に寿命を迎えるバッテリーのリサイクルシステムが必要となっている。なお、フラウンホーファーシステム・イノベーション研究所によると、リサイクルに必要な技術システムは、ヨーロッパだけでも2040年までに60億ユーロ以上の投資が必要とされている。 その中で、ボッシュは、2030年までに欧州で新規登録される乗用車の約70パーセントが電気自動車になり、バッテリーに含まれるリチウム、コバルト、ニッケルなどの原材料のリサイクルに対する需要が高まると予測し、放電処理装置を開発した。 ボッシュに全ておまかせ ボッシュが開発した設備・システムを初めて導入するのは、バッテリー・ライフサイクル・カンパニー(Battery Lifecycle Company)が、新設する蓄電池リサイクル工場だ。その工場にボッシュ子会社のボッシュ・レックスロス(Bosch Rexroth)が設備とソフトウエアを納める予定だ。 また、同工場では、フレキシブルなモジュール式搬送システムやctrlX AUTOMATIONコントロールプラットフォームなど、実績のあるボッシュの産業技術を使用して、現地でバッテリー生産も行う予定だ。工場の稼動は2023年夏を見込んでおり、最大で年間15,000トンのバッテリー材料をリサイクルする見込み。 ※バッテリー・ライフサイクル・カンパニーは、水道・環境サービス大手レモンディス(REMONDIS)傘下のTSRリサイクリング(TSR Recycling)と物流大手レイノス(Rhenus)の自動車物流部門レイノス・オートモーティブ(Rhenus Automotive)が4月に設立した合弁会社だ。 効率も安全も譲らない リサイクルによって、電池の化学元素を最大95%回収し、電池の製造工程に再利用することができる。なお、ボッシュが開発したシステムは、EVに搭載するリチウムイオン蓄電池8個を全自動で15分以内に同時に放電処理できる。通常の放電処理は最大24時間を要するとされ、リサイクルのスピードが大幅に向上することができる。さらに、蓄電池の種類によって異なる構造を認識できるため、電気ショートや発火を抑えられる。 作るだけでは、作れない、エレクトロモビリティ エレクトロモビリティは、電池の生産に必要な原料が十分に確保されてこそ、長期的に確立されるものだ。そのためにも、リサイクルが必要であり、使用したものを再利用、原材料を回収することが求められている。蓄電池の二次的なマーケットが成熟することが見込まれるだろう。 なお、ボッシュは世界最大級の産業見本市であるハノーバー・メッセ(2023年4月17日~21日開催)にて、バッテリーリサイクルの産業技術を出展する。