ニュース 記事一覧

ニュース ニュース
TEXT:栁 蒼太
災害対策の小型発電機をEV充電用として「日常使い」に

東西商事株式会社は、小型ポータブル発電機「Vector(ベクター)」シリーズを電気自動車(EV)の充電向けに本格展開する。災害対策として小型発電機を導入する町内会・自治会、スーパーマーケット、道の駅などがEV充電用に貸し出して課金することで、利便性を向上するとともに、発電機の購入コスト回収を早めることができる。実際の仕様は、液化石油ガス(LPG)とガソリンの両方が使える最大出力3.5kWの「3500α」(単相100ボルト、200ボルト)と、LPG専用モデルで同7kWの「7000α」(同)を想定。急速充電はできないものの、LPGコストは充電スタンドよりも割安のため、充電スタンド並みに課金すれば収益が期待できる。充電スタンドに行く前の30~60km走行向けに初年度100台の販売を見込んでいる。 まだまだ不足している充電スタンド 二酸化炭素の排出を抑制し、地球温暖化を防ぐために、EVの販売台数が世界的に増加している。商用でもトヨタ車体株式会社の超小型EV「コムス」が生産累計1万台を突破したほか、aidea株式会社の電動バイクを日本マクドナルド株式会社、日本郵便株式会社、DHLジャパン株式会社が採用するなど、ガソリン車からの切り替えが進んでいる。一方で、充電スタンド数が全国で約2万2000カ所とガソリンスタンド数の6割を超えた(一般社団法人次世代自動車振興センターのサイトより)ものの、急速充電スタンドは少なく、まだ不足しているのが実態だ。 「普段使い」が解決策の糸口に 東西商事が災害対策用に販売してきた小型ポータブル発電機をEV充電向けに併用することを提案し、発電機の「日常使い」を推し進める。価格は「3500α」が1台35万円前後、「7000α」が同90万円前後(いずれも税別)。町内会・自治会などでは住民にEV充電用に貸し出すことで課金できるため、発電機を導入しやすくなる。 大きさと重さは「3500α」の場合、長さ60cm、幅48cm、高さ47cm、総重量49kg。車輪付きの可搬型ためフレキシブルに利用が可能だ。インバーター回路で省エネルギーを図りながら小型化したのが特徴で、72時間の使用に耐えられる防災対応となっている。単相200ボルト仕様が増えているエアコンやIHクッキングヒーター、コンプレッサー、ポンプなどへの対応が可能。購入、導入後のアフタフォローは「R&Dセンター」(千葉県八街市の物流センター内)がサービス、メンテナンス、検品を行う。 【東西商事株式会社の概要】 設立=1954年(昭和29年)8月 資本金=5500万円 代表取締役:廣比公一 事業内容=発電機・蓄電池、熱交換器の製造販売、環境・空調機器の販売 本社所在地=東京都港区東麻布1-26-8、プライム東麻布2階 電話番号=03-3585-3351 ファクス=03-3585-3379  

TAG: #充電
TEXT:栁 蒼太
フォード、商用EVの「E-トランジット・バン」を全米に6,500台販売

米大手自動車メーカー、フォードが販売しているイートランジット(E-Transit)が 、北米でデビューして 1 年が経過した。イートランジットは、米国で2022年12月までに6,500台が販売され、バン市場の60%以上を占める。また、米国、カナダにおいて最も売れているEVバンとなっており(※1)(※2)、欧州でも市場を率いる(※3)車種となっている。 これらの需要の高まりを受けて、フォードは2023年4月からカンザスシティ組立工場での生産を強化することを発表した。他の自動車メーカーがEVバンの市場投入計画を発表しているに留まる中、イートランジットは商用EVの普及に大いに寄与しているといえるだろう。 長距離走行の商用車にも誇れる環境性能を 同社による車両データの分析によると、米国とカナダの顧客は少なくとも1,200万マイルを走行し、同サイズの内燃機関搭載のバンと比較して745,000ガロン以上のガソリンと430万キログラム以上のCO2を節約している(※4)とされている。走行距離が長い商用車ゆえに環境性能が高いことは、非常に評価できるポイントだろう。 高い汎用性で幅広い業種での活躍も イートランジットにはシャシーキャブモデルとカッタウェイモデルがあり、幅広い業種に対応できるよう8つのコンフィギュレーションを提供している。これらはS&Pグローバルが認定する30業種のうち28業種に貢献できる(※1)とされており、高い汎用性を誇る。 ※1 S&P Global Mobility 2022年1月~2022年12月、米国TIPNet(電動カーゴバン、パッセンジャーバン、カッタウェイバンを含む)に基づく。 ※2 2022年CYのOEM報告データに基づく。 ※3 Ford of Europeの販売データに基づく。 ※4 米国およびカナダにおける2022年2月26日から2023年3月6日までのFord Pro E-Telematics内の登録車両データに基づく。  

TAG: #EVトラック #フォード
TEXT:烏山 大輔
バッテリー交換式EVコンバージョンカー(CEV)を活用した実証事業を実施

⻄日本電信電話株式会社(NTT西日本)東海支店、株式会社FOMM、エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社は、太陽光発電、可搬型バッテリー、バッテリー交換式EVコンバージョンカー(CEV)の活用によるエネルギーマネジメントの共同実証事業を行う。 バッテリー交換式EVコンバージョンカー(CEV)とは ガソリンエンジン自動車から、エンジンやマフラー、燃料タンクなどを取り除く。そしてモーターや電池を取り付けるなどの改造を行う。そのようなEV車両のうち、利用者がバッテリーを交換する可搬型バッテリー搭載・交換式タイプのEV車両のことをいう。 現在日本では、「2050年までにカーボンニュートラルを実現する」という方針を定め、CO2排出量の削減等の取り組みが進められている。また、蓄電池は天候などにより発電量が大きく変動する太陽光や風力などの再生可能エネルギーの普及拡大に向け重要である需給調整力としての活用が期待されている。 蓄電池の普及に向けて、蓄電池としての価値を最大化し、より利便性の高い利用環境を実現することにより、自治体や企業法人にとっての導入メリットを向上していくことが必要である。 このような背景からこの事業においては、太陽光発電、可搬型バッテリー、CEVの情報を連携・分析することで、発電量・需要量の予兆を把握し、再生可能エネルギーの活用と地域におけるエネルギー循環による脱炭素社会の実現につ なぐことを目指す。 2月から来年度まで実施 太陽光発電設備、可搬型バッテリー、CEVおよびEMS(エネルギー・モビリティ マネジメントシステム)を導入し、再生可能エネルギーでCEVを運行する。それにより得られたデータをEMSで収集、分析を行う。EMSは太陽光発電、可搬型バッテリー、CEVの状態を収集し、統合的に管理を行うシステムである。 (1)実施期間 2023年2月20日〜2024年3月31日 (期間終了後も設備は継続して利用) (2)実施場所 愛知県名古屋市内 (3)役割分担 ・NTT⻄日本:事業の企画・実行管理 太陽光発電設備・可搬型バッテリー・CEV・EMSの導入・運用、データ分析 ※太陽光発電設備は、シーキューブ株式会社が設計・施工。 太陽光発電設備および可搬型バッテリーリースは、NTT・TCリース株式会社が提供。 ・FOMM:CEV・可搬型バッテリーの提供、および CEV・バッテリーデータの提供 ※CEVに使用する自動車リースは、日本カーソリューションズ株式会社が提供。 ・エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ:EMSの提供(2023年夏予定) ※太陽光発電の遠隔監視(エコめがね)は、株式会社 NTT スマイルエナジーが提供。 地域の課題解決に期待 災害等発生時には、近隣自治体に対し太陽光発電設備および可搬型バッテリーを提供する。避難場所等での可搬型バッテリー利用などによる災害レジリエンス(災害を乗り越える力)の強化を目指す。また事業で得られた知見を基に、自治体および企業法人へソリューションとして展開する。再生可能エネルギーの余剰電力活用による脱炭素社会の実現、エネルギーの地産地消や循環の実現など、地域全体の課題解決に貢献していく。

TAG: #充電
TEXT:烏山 大輔
ユビ電、ENEOSとハッチ・ワークが協業し、EV向け月極駐車場運営実証を開始

ユビ電株式会社は、ENEOSホールディングス株式会社と株式会社ハッチ・ワークと協業して、2023年3月8日よりグランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール(東京都品川区)の月極駐車場にてEV充電サービス付き月極駐車場の運営実証を開始した。 昨今の急速な電気自動車の普及に伴い、充電設備を整える必要性が社会に大きく求められている。 EVの充電は自宅や駐車場での待機中充電(基礎充電)が大半を占める。基礎充電はEV保有に欠かせないインフラであるが、月極駐車場へのEV充電器整備は遅れており、EV保有の大きな妨げとなっている。 このような課題に対して、ユビ電はENEOS、ハッチ・ワークの2社と提携し、グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミールの月極駐車場で、EV充電サービス付き月極駐車場の実証試験を推進し、ビジネスモデル検証を行う。 実証概要 実証開始時期:2023年3月8日 場所:東京都港区高輪3丁目13-1 グランドプリンス新高輪国際パミール館駐車場 区画数:6区画 ユビ電の電気自動車充電サービス「We Charge」について 「We Charge」とはすべての電気自動車(BEV)・プラグインハイブリッド車(PHEV)に対応した充電サービスである。スマホがあれば利用手続きから充電量算出、精算までを「We Chargeアプリ」で完結できる。また自宅マンション以外でも、旅行先のホテルや商業施設などでWe Chargeのあるところなら、同じ料金プラン内で充電できる。どこでも自宅のコンセントのように利用できるのが最大の特長である。 We Charge使用方法 1.We Chargeアプリをダウンロード 2.充電ケーブルを接続 3.アプリで充電器・コンセントのQRコードを読み込み充電開始 支払はWeChargeアプリに登録されたクレジットカードを介して行われる。 We Charge料金プラン 月額0円の「GUEST」プランから月額8,800円の「Super Long」の5つのプランが用意されている。ユーザーが自身の利用状況に応じてプランを選択できることは魅力的だ。 ・Guestプラン 月額0円 48円/kWh相当 ・Shortプラン 月額1,100円 30/kWh相当まで定額 超過料金45円/kWh相当 ・Middleプラン 月額2,200円 60/kWh相当まで定額 超過料金42円/kWh相当 ・Longプラン 月額4,400円 120/kWh相当まで定額 超過料金39円/kWh相当 ・Super Longプラン 月額8,800円 250/kWh相当まで定額 超過料金36円/kWh相当

TAG: #充電
TEXT:栁 蒼太
ホンダ、第13[国際]スマートグリッドEXPOに出展

ホンダは、2023年3月15日(水)から3月17日(金)まで東京ビッグサイトで開催される「第13回[国際]スマートグリッドEXPO」に出展する。 同社は、2050年に関わる全ての製品と企業活動を通じてカーボンニュートラルを実現することを目指している。この実現に向けた取り組みの一つとして、今回のスマートグリッドEXPOでは、電動モビリティとエネルギーサービスを繋ぎ「自由な移動の提供」と「再生可能エネルギーの利用拡大」に貢献する「Honda eMaaS(イーマース)」の世界観や、「移動」と「暮らし」の可能性を広げる、着脱式可搬バッテリー「Honda Mobile Power Pack(モバイルパワーパック)」の活用事例を展示する。 主な出展物 ●Honda Mobile Power Pack e:(モバイルパワーパックイー)(※1) さまざまな電動モビリティ/機器の動力源として活用が可能な、1.3kWh以上の大容量電力を貯蔵するリチウムイオンバッテリー。再生可能エネルギー由来の電力を、モバイルパワーパックにためて持ち運びできるようにすることで、電動モビリティ/機器の動力としてはもちろん、家庭内・屋外での電源、また災害時の電力供給など、「移動」と「暮らし」の中でさまざまな用途への拡大が期待できる。 ※1 バッテリーリサイクルの社会的責任の観点から、バッテリー回収に協力できる法人向けの販売を行なっている。 ●Honda Power Pack Exchanger e: (パワーパックエクスチェンジャーイー) 複数のモバイルパワーパックを同時に充電し、スムーズな交換・利用を可能とするバッテリー交換ステーション。街中に設置することで、必要な時に充電済みバッテリーに交換することができ、充電時間を待つことなく、効率よく電動モビリティを利用することを可能となる。 ●GYRO CANOPY e: (ジャイロ キャノピー イー) 配送業務などでに利用されている「Honda e: ビジネスバイク」(※2)シリーズの一つで、モバイルパワーパックを動力源とした、バッテリー交換式のビジネス用電動三輪スクーター。雨や埃など天候の影響を受けにくくする大型のウインドスクリーンとルーフを装備している。 ※2 Hondaのビジネス用電動バイクの総称 ●Honda Power Pack Charger e: Prototype(パワーパックチャージイー プロトタイプ) モバイルパワーパック専用充電器のプロトタイプ。置くだけで充電が開始され、満充電で自動的に充電を終了するシンプルなつくりに加え、多段の棚に並べて使用することを想定した横挿し設計としている。 ●Honda Power Pod e: Prototype(パワーポッドイー プロトタイプ) モバイルパワーパックの充電/給電器のプロトタイプ。モバイルパワーパックから電力を取り出し、非常時の電源や家庭内・屋外での電源として利用が可能。また、2台を並列運転することで、より長時間の電力を得ることができる。 ●Honda Power Exporter e: 6000 Prototype(パワーエクスポーターイー6000 プロトタイプ) 電動車両(BEV・FCV・PHEV)から電気を取り出し、交流100V/200V、定格6kVAの出力が可能な、可搬型外部給電器のプロトタイプ。高品質な電気が求められる精密機器をはじめ、200Vの出力により、大きな電力を要する電気機器へも適応。幅広い電力供給ニーズに対応する。 ●MEV-VAN Concept […]

TAG: #ホンダ
TEXT:栁 蒼太
EV向けのナビゲーションシステム「マップボックス・フォーEV」をリリース

デジタル地図の開発プラットフォームのMapbox(マップボックス)は、正確な航続距離の予測や最適な充電場所の検索に加えて、インフォテインメント画面から充電料金の支払いができるEV向けのナビゲーションシステム「Mapbox for EV」を発表した。 マップボックス for EVは、ナビゲーションアプリケーション「Mapbox Dash」のオプションとして提供されるほか、MapboxクラウドAPIを介してあらゆる車載アプリケーションやモバイルアプリケーションに搭載することが可能だ。 マップボックス for EVについて ①効率的な充電による旅行計画の最適化 マップボックス for EVは、目的地に向かう際に、車両の充電状態を正確に予測し、計画したルートに沿った理想的な充電ステーションを提案する。なお、車両の充電状態、充電減少曲線、個人の運転習慣、周囲温度、速度、ルートの勾配を考慮した上で提案が成される。 ②車両センサーデータに基づく正確な充電情報 マップボックス for EVは、最新の充電ステーションの価格情報、対応プラグ、充電速度、営業時間、リアルタイムの空き状況を考慮した、充電ステーションまでの道案内を行う。さらに、充電の成功/失敗を取得し、それらの情報をほぼリアルタイムでシステムにフィードバックすることで、他のユーザーにも役立つ情報を提供できる。 ③決済の効率化 ドライバーは車両のインフォテインメント・システムやコンパニオンアプリから直接、充電料金を支払うことができ、充電用の固有のアプリケーションをインストールする必要がなくなる。 マップボックスは自動車メーカーの既存ウォレットソリューションやホワイトラベルのウォレットとの統合を提供し、自動車メーカーはクレジットカードやACH(Automated Clearing House:米国で主流の送金方法)経由で支払うことができる。なお、充電ステーション運営会社にとっては、ロイヤリティ・プログラムのサインアップやメンバーシップを統合する方法が提供される。 ④モジュール式ソリューション マップボックス for EVは、マップボックス Dashの一部、またはクラウドAPIとセットで利用できる。ターンキーソリューション(納品後、すぐに稼働できる状態にあるシステム)として、または既存のインフォテインメント・システムの追加機能として使用することができる。マップボックス for EVはモジュール式で、各コンポーネントはそれぞれ独立して利用することも、サードパーティ製のナビゲーションやEVソリューションと組み合わせて利用することも可能だ。

TAG: #マップボックス #充電
TEXT:烏山 大輔
ヒョンデ、新型BEV「KONA(コナ)」を年内に日本で発売

Hyundai Motor Company(ヒョンデ)は3月7日、ソウルでデジタルワールドプレミアを開催。クラストップレベルの航続距離性能のEVやICE、HEV版もあわせ持つB-SUVセグメントの新型「コナ」を発表した。 2台目となるヒョンデ製のBEV 昨年5月にBEVのアイオニック5を日本で発売したヒョンデが、コナを年内にラインナップに追加する。アイオニック5の3サイズは 全長:4,635mm、全幅:1,890mm、全高:1,645mmで、日産アリアなどがライバルになる。それに対してコナは 全長:4,355mm(-280mm)、全幅:1,825mm(-65mm)、全高:1,575mm(-70mm)とサイズが大幅に小さい(括弧内の数値はアイオニック5との差)。 日産リーフ(全長:4,480mm、全幅:1,790mm、全高:1560mm)との比較では、全長は125mmリーフの方が大きいが、幅と高さはほぼ同じなので、リーフの強敵になるだろう。コナの全高が1,575mmと、もう25mm低ければ多くの機械式駐車場に停められるので、BMW i3がそうだったようにヒョンデがそこに対応してくるかに注目だ。 今回は日本での価格の発表はなかったが、兄貴分のアイオニック5が479万円から、お隣の中国のライバルであるBYD ATTO 3が440万円、リーフが408万円からなので、400万円台前半で来るのは間違いないだろう。 充電口がフロントの右側にあり「顔」が左右対称ではないこと、ヘッドライトやリアランプがDRL(デイタイム・ランニング・ライト)やテールランプと別体でタイヤの高さくらいに位置していること、アイオニック5と同じようなサイドのZ形状のラインなど、デザインもとても特徴的だ(タイヤとホイールアーチの隙間から25mmの「車高短」化は難しそうにも見える)。 ヒョンデがコナをいつ導入するのか、価格はどこまで攻めて来るのか。正式発表を楽しみに待ちたい。 車両詳細については以下の通り。 ※仕様情報はグローバルなものとなっており、現時点での日本仕様は未発表。 ヒョンデの電動化ビジョンの加速 コナは、B-SUVセグメントにおいて、最も幅広いパワートレインと最も充実した商品パッケージを提供する車種のひとつである。EV(スタンダード または ロングレンジ)、ハイブリッドエレクトリック(HEV)、内燃機関(ICE)の各バリエーションに加え、スポーティなNラインの選択肢を用意している。 ヒョンデは2022年3月に発表した、2030年までに新型のEVを11車種発表するという電動化加速戦略に合わせ、コナはHEVを含むICE搭載車よりEVを先に開発するという従来とは違う手法をとった。 「コナ(BEV)は、IONIQ(アイオニック)モデルとともに、ヒョンデのEVにおけるリーダーシップを強化する上で大きな役割を果たすと期待しています。この新しいモデルは、初代コナ(BEV)に対する素晴らしい評価を基に、数多くの優れた機能で競合をリードするように設計されています」と、Hyundai Motor Companyの社長兼最高経営責任者である張在勲(チャン・ジェフン)は述べている。 さらに、「ヒョンデはEV革命を単なる最新のトレンドとみなしていません。EV革命は、業界だけでなく、社会にとっても重要な役割を果たすと信じています。私たちのEVのような環境に優しいモビリティソリューションの実現を通じて、クリーンモビリティへの移行を加速し、人類のための進歩をもたらすことができればと思います」と加えた。 充実した商品パッケージ コナは、頑丈でダイナミックなデザインとアップスケールされたディメンションを持ちながらも、個性的なキャラクターを維持しつつ、あらゆる世代の顧客のアクティブなライフスタイルをサポートする。同時に、コネクテッド技術を備え、安全で快適な体験を提供する新しいテクノロジーや便利な機能を備えている。12.3インチのデュアルパノラミックディスプレイスクリーン、Digital Key 2 Touchを装備し、OTA(Over-the-Air)、Connected Car Navigation Cockpit(ccNC)などをアップデートした。 コナ(BEV)は、B-SUVセグメントにおいてクラストップレベルの航続距離(WLTP推定490km ※1)を実現する。また、EV特有のデザイン要素として、フランク(ボンネット内の荷室)、アクティブエアフラップ、室外・室内V2Lアウトレット、ヘッドアップディスプレイ(HUD)※2、i-PEDALドライビングモード、スマート回生システム、e-ASD(e-Active Sound Design)、エコパッケージが装備されている。 ※1 EU仕様基準 ※2 北米マーケットでは提供せず コナは、先進運転支援システム(ADAS)のHyundai SmartSenseと、レベル2の自律走行、前方衝突回避アシスト(FCA)、ブラインドスポットビューモニター(BVM)、遠隔スマートパーキングアシスト(RSPA)、ドライバーステータスモニター(DSM)などの安全装備を新たに搭載している。 新型コナは、先代コナと比較して、ディメンションを拡大した独特のプロポーションである。EVモデルをベースに、全長は2017年の先代より175mm長い4,355mmとなり、ホイールベースは60mm長い2,660mmとなる。全幅は25mm広い1,825mm、全高は20mm高い1,575mmとなる。

TAG: #コナ
TEXT:栁 蒼太
双日、レアアース(重希土)の日本向け供給確保

双日株式会社(以下「双日」)と独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(以下「JOGMEC」)は、2023年3月7日、2011年に共同で設立した日豪レアアース株式会社(以下「JARE」)を通じ、Lynas Rare Earths Limited(本社:豪州・パース、以下「ライナス社」)への総額2億豪ドル相当の追加出資(以下「本出資」)を決定した。 本出資による資金は、ライナス社が掲げる中期成長計画の実行に充当され、軽希土類の増産や重希土類の分離開始などが計画に含まれている。双日とJOGMECは、本出資に伴い、ライナス社が生産するマウント・ウェルド鉱山由来の重希土類であるジスプロシウムおよびテルビウムの最大65%を日本向けに供給する契約をライナス社と締結した。本件は日本企業が参画する鉱山からの重希土類一貫生産プロジェクトにおける初の日本向け供給契約となる。 レアアース需要拡大、脱炭素化の実現のために レアアースは軽希土類と重希土類に大別され、電気自動車や風力発電のモーター用磁石を中心に、さまざまな産業で使用されている。 ライナス社は豪州のマウント・ウェルド鉱山でレアアース鉱石を採掘しており、現在日本へ供給される軽希土類は、モーター用磁石の主原料として使用されている。脱炭素化の実現に向け、磁石は今後も需要の拡大が見込まれており、軽希土類の長期に渡る安定供給のため、ライナス社は生産能力を拡大する。 また、ライナス社は、磁石に耐熱性を付与する重希土類であるジスプロシウムおよびテルビウムの生産を開始する。現在、これらを生産しているのは中国のみだが、本出資により中国以外のサプライソースが加わることで、日本へのジスプロシウムおよびテルビウムの安定供給に寄与する。 レアメタルの安定供給を日本に 双日は、2011年にライナス社が生産するレアアース製品の日本市場における独占販売契約を締結しており、磁石を含めたさまざまな用途の需要家にレアアースを安定供給している。本出資によって、軽希土類に加え、重希土類を日本市場向けに供給することが可能となり、日本需要家への安定供給をさらに目指すとしている。 JOGMECは、双日からの資金支援要請を受け、本出資が日本へのレアアース資源の安定供給に寄与すると判断し、今回の出資採択を決定した。 双日とJOGMECは、本出資を通じて、ライナス社が掲げている中期成長計画の早期かつ確実な実現を支援することにより、ライナス社との協力関係の維持・強化と日本市場へのレアアース安定供給に貢献するとしている。

TAG: #レアアース #双日
TEXT:烏山 大輔
いすゞ、商用BEV導入時の課題解決と脱炭素化をサポートする「EVision」を提供開始

いすゞ自動車株式会社は、いすゞとして初の量産バッテリーEV 小型トラック「ELF(エルフ)EV」の市場投入に合わせ、トータルソリューションプログラム「EVision(イービジョン)」を構築し、3月7日よりサービスの提供を開始した。 このプログラムは、商用BEVの導入検討のサポート、導入課題の解決、CO2排出量削減効果の定量化、さらなる脱炭素化提案によるカーボンニュートラル実現に向けたものである。 各フェーズでの提供ソリューション 顧客が商用BEVを導入するにあたり、様々な課題が想定される。充電設備や電気料金、環境負荷軽減効果などである。これらの課題を解決するため、いすゞは「EVision」を通じ、商用BEVの導入検討から導入時、導入後の各フェーズにおけるソリューションを提供する。 1.導入検討をサポートする「EVisionコンシェルジュ」 顧客がEVを導入した場合のオペレーションを可視化し、最適な運用パターンを設計する。顧客が安心してEVを導入出来るように、導入に向けての検討をサポートする。 [具体的な内容] ・EVへの切替が可能な運行ルート ・充電器・充電時間・タイムスケジュール ・電気料金・施設電力デマンド等を分析 ・導入後のCO2排出量削減効果をシミュレーション 2.導入課題を解決する「EVisionソリューション」 導入フェーズでは、運行の効率化支援や周辺サービスを提供する。 [具体的な内容] ・充電器の選定から施工業者の手配・設置 ・補助金申請といったトータルコーディネートを行う充電ソリューション ・「EVisionプレイズムコントラクト」の設計 ※顧客の運行計画に応じて動力バッテリーの劣化を予測しリース期間に反映するEV業界において先進的なリース契約をパッケージ化したもの。 ・従来と同様の運行管理・予防整備サービス ・商用車情報基盤「GATEX」の車両制御による遠隔充電管理 ・顧客の施設のエネルギーマネジメントシステムと「GATEX」を連携させた消費電力のピークシフトの実現 ・顧客のニーズに合わせた太陽光パネルの導入や再エネ電力プラン、非化石証書等の提案 3.排出量削減効果を定量化する「EVisionレビュー」 [具体的な内容] ・EV、再エネ導入によるCO2排出量の削減効果のフィードバック、さらなる効果拡大の提案 ・法律で義務付けられる温室効果ガスの排出量の国への報告、およびクライアントへの排出量削減目標の進捗報告のサポート

TAG: #EVトラック
TEXT:栁 蒼太
テラモーターズ、電源のない月極駐車場へのEV用充電器導入をサポート

EV充電インフラ「テラチャージ」(Terra Charge)を提供するTerra Motors株式会社は、月極駐車場や青空駐車場といった電源が無い駐車場に対し、EV充電設備を導入できる新プランを発表した。 テラモーターズが見出した充電の課題 EVの充電は、従来のガソリンスタンドのように補給のための外出が必要ないため、自動車の保管場所といった長時間駐車が前提となる場所で、日常的に充電をすることが最適とされている。また、自動車の保管場所として、マンションなど自宅でのEV充電導入が進んできている。しかしながら、自宅に駐車スペースがない場合も多く、そういった時には月極駐車場を契約することが一般的だ。 一方で、EVユーザーが月極駐車場を借りる際には、EV充電設備がある駐車場がベストだが、月極駐車場は青空駐車場であったり、電源を有する設備が敷地内にないということも多いため、そもそも電気契約をしていないケースが多い。これからEVが増える想定であっても、新規で電気を引き込んでまでEV充電設備を導入するという判断は難しいという課題があった。 テラチャージを電源がないところにも 充電環境が整っていない(敷地内に電源がない、電源があっても契約アンペア数に余剰がない場合など)駐車場であってもEV充電設備を導入できるようにすべく新プランを発表した。新プランは、テラモーターズが無料で電気の新規引込を行う上で、電気の基本料金や電気代に関しても実質無料で、テラチャージの特徴でもある初期費用・ランニングコストも無料となるため、駐車場オーナーや契約者の負担なく、EV充電設備の導入が可能となった。 ■対象施設 ・敷地内に電源がない月極駐車場 ・敷地内に電源はあるが、契約アンペア数に余剰がない月極駐車場 ■新プラン内容 ・電源新規1引込が無料 ・EV充電インフラ「Terra Charge」3kWモデル3基が無料 ・5年間、新規引込分電源の基本料金が実質無料 ・新規引込費用、充電設備代、工事代が無料 ・充電にかかる電気代が実質無料 ■テラチャージとは テラモーターズが、2022年4月より開始した電気自動車向けの充電インフラ。EVの充電設備だけでなく、充電時間の設定や料金決済を行う専用アプリ、管理クラウド、サービスの提供開始に必要な説明、充電設備の設置工事、ハードおよびソフトの管理運営までを一貫して担う。テラチャージによって、日本でEVがもっと身近になる環境づくりを目指している。 ■Terra Motors株式会社 設立:2010年 4月 資本金:19億円(資本準備金を含む) 代表者:徳重徹(取締役会長)、上田晃裕(代表取締役社長) 事業内容:EV充電インフラ事業、e-Mobility 事業、金融サービス事業、Connected E-Mobility プラットフォーム事業 ■新プラン・EV充電について問い合わせ先 Terra Motors株式会社 EVインフラ事業部 MAIL:info@terramotors.co.jp TEL:03-6823-4959

TAG: #テラモーターズ #充電
連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
中国から地球上最強コスパの新星EV現る! IMモーターL6の驚くべきスペックとは
BYDの売り上げ鈍化に注目しても意味なし! むしろ心配すべきはテスラか? BYDは利益率も投資額も驚くべき水準だった
いすゞがピックアップトラック「D-MAX」にBEVを用意! バンコク国際モーターショーでワールドプレミア予定
more
ニュース
日産が「V2G」を英国で運用開始! EVの蓄電池化がますます加速
納車からわずか1か月でEVレースに参戦した「ヒョンデ・アイオニック 5 N」が総合優勝の快挙! さらにレースファステストまで獲得するパーフェクトウィン
もはや思考停止寸前なほどホンダの新型EVは新技術盛りだくさん! 2026年に発売予定の「Honda 0シリーズ」技術発表会を開催
more
コラム
無人運転可能な「ロボタクシー」をたった「450万円」で2026年に一般販売するってマジ!? いまテスラから目が離せない!
バッテリー交換式でたった3分で満充電! しかも400万円強の激安っぷり! テスラ・モデルYキラーの中国製EV「Onvo L60」が驚異の中身だった
神奈川県の海老名SAスタートでどっちが先に加古川まで行って帰ってこられる? BYDシールとテスラ・モデル3で1000km対決!
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】二度見必至の存在感は普通のコナとはまるで別モノ! イメージを大きく変えたヒョンデ・コナ「N Line」に乗って感じたマルとバツ
ボルボEX30で11時間超えの1000km走行チャレンジ! 課題は90kWまでしか受け入れない充電性能
EV専業の「テスラ」とEVに力を入れる従来の自動車メーカー「ヒョンデ」! モデルYとコナを乗り比べるとまったく違う「乗りもの」だった
more
イベント
「ルパン一味がフィアットと手を組んだだと? ルパ〜ン逮捕だ」 フィアット600e発売を記念した「ルパン三世」とのコラボキャンペーン実施
目のつけどころが「シャープ」なEVコンセプト発表! 「LDK+」を「SHARP Tech-Day’24 “Innovation Showcase”」で公開
1万km走行相当の利用券が10名に当たる! テスラがスーパーチャージャー10周年を記念したキャンペーンを実施
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択