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TEXT:烏山大輔
BMW、新型5シリーズを発表。最上位グレードは601馬力を誇るBEVのi5 M60 xDrive

5月24日、BMWは8代目となる新型「5シリーズ」を発表した。48Vのマイルドハイブリッドを備えるガソリンおよびディーゼル仕様やPHEV仕様も用意されるが、7シリーズ同様に新型5シリーズ・セダンの最上位グレードはBEVの「i5 M60 xDrive」となる。 xDriveと付くことからも分かるように同車はAWD(全輪駆動)が採用される。前後軸に搭載されたモーターによるシステム出力は442kW(601馬力)、トルクは820Nmで、0-100km/h加速は3.8秒、最高速は230km/hと発表された。 BMWの他のモデルで100km/hに達する時間が3.8秒前後のモデルは、4.4L V8ツインターボエンジンとAWDのM850i xDriveが3.7秒、3L直6ツインターボエンジンでFRのM4 クーペが4.2秒などで、i5 M60 xDriveも「M」を冠するモデルとしてそれらのICE(内燃機関)モデルに比肩するパフォーマンスを発揮することが分かる。 新型5シリーズのBEVはもう1モデル「i5 eDrive40」も用意されている。こちらはシングルモーターのFR(後輪駆動)で、出力は250kW(340馬力)、トルクは430Nm、0-100km/h加速は6.0秒、最高速は193km/hとなる。 両モデルともに30分で10%から80%まで急速充電が可能な81.2kWhのバッテリーを搭載し、航続距離(WLTP値)はi5 M60 xDriveが516km、i5 eDrive40が582kmだ。MAX RANGE機能を使用すると、パワーやスピード、快適機能とトレードオフで、最大25%航続距離を伸ばすことができる。アウタードアハンドルは空力向上を狙ってか、グリップ式からフラップ式に改められた。 車両サイズは全長5,060mm、全幅1,900mm、全高1,515mm、ホイールベース2,995mmとなり、ついに全長は5mを超えた。「市場導入」は今年の10月を予定している。日本での価格や仕様などの発表を待ちたい。

TAG: #5シリーズ #BEV #i5
TEXT:烏山大輔
ヒョンデ、680ps、0-100km/h加速4秒以下のN Vision 74 Conceptを発表

ヒョンデは5月20日、初参加となった世界三大クラシックカーイベントであるコンコルソ・デレガンツァ・ヴィラデステ2023において、N Vision 74 Conceptを披露した。同車は1974年の「ポニークーペコンセプト」にインスパイアされたデザインの車体に水素燃料電池パワートレインを搭載したコンセプトカーだ。 FCEVスポーツカー N Vision 74 Conceptは、「バッテリー、モーターと水素燃料電池システムの長所を組み合わせた、独自の水素燃料電池ハイブリッドアーキテクチャーを中心に開発された」と謳われる。 後輪に左右独立型のデュアルモーターを搭載し、出力680ps、0-100km/h加速は4秒以内を標榜する。フロントには85kWの水素燃料電池スタック(FCスタック)、ドライバーとパッセンジャーの間には62kWhのリチウムイオン・バッテリー、リアには2.1kgの水素タンクを搭載し、約600kmを走行可能、などのスペックも発表された。 「74年」と「現在」が同居するデザイン 1974年の「ポニークーペコンセプト」をベースにしているだけあって、ヘッドライトがボンネット前端よりも奥まっていたり、ヘッドライト下端とバンパー上端の間にあるパネルの分かれ目から始まりそのままリアバンパーにつながる黒いラインなど、デザイン的な特徴を踏襲している。太めのBピラーと2ドアクーペとしては大きめのクオーターガラスも伝統を受け継いだものだ。 そして現在のヒョンデデザインのアイコンとなるピクセルが前後のライトやリアフォグランプにきちんと反映され、新たに装備されたGTウィングやリアディフューザーが最新スポーツカーの要所をおさえている。 個人的には初代(CSP311)や5代目(S13)のシルビアやデロリアンを彷彿とさせながらも、パワートレインは最新というギャップを持つ、とても個性的な1台になっていると思う。 BEVが幅をきかせ、ゆえに空力を突き詰める滑らかなデザインが多い昨今において、角と出っ張りばかりで空力をあまり考えていないように見えるデザインであることも面白い。

TAG: #コンセプトカー #燃料電池車(FCEV)
TEXT:TET 編集部
購入前にBYD ATTO 3(アット3)を試すチャンス。1日単位で借りられるカーシェアリングサービスが開始

中国の電気自動車メーカーBYDの日本法人BYDオートジャパンは5月19日、電動SUV「ATTO 3(アット3)」のシェアリングサービスを、DeNA SOMPO Mobilityが運営するカーシェアサービス「エニカ」を通じて開始すると発表した。 主要都市のBYDディーラーで借り出し可能 バッテリーメーカーとして創業し、電気自動車事業にも進出、電気自動車(PHEVを含む)の販売台数で世界一となっているBYD。そんなBYDが、今年1月に日本で販売を開始したアット3は、全長4,455mm×全幅1,875mm×全高1,615mmというボディサイズを持つ電動コンパクトSUVだ。 同クラスのライバルでは500万円~600万円に設定される車両が多いなか、アット3はスタート価格440万円という戦略的な設定を打ち出し、最近では街中で見かける機会も増えてきた。もちろん価格だけでなく、外部給電可能なV2H(Vehicle to Home)機能や、輸入車にもかかわらずウィンカーレバーを日本車と同じ右側に配置するなど、痒いところに手が届く使い勝手の良さも人気の秘密に挙げられる。 今回、BYDオートジャパンが連携するのはカーシェアサービスのエニカで、気軽にアット3を借りてもらおうというのが狙い。パートナーとなるエニカは、個人や法人が所有するクルマをシェアリングできるプラットフォームを提供する企業として2015年に創業され、これまで累計登録会員数は70万人以上、登録車種数1,100以上、累計登録台数2万8,000台以上という実績を誇る。 今回、アット3を貸し出すのはすべて主要都市のBYDディーラー。販売店が窓口ということで、電気自動車に不慣れな利用者でも出発前に丁寧なレクチャーを受けることができるうえ、車両状態についても信頼を置くことができそうだ。 >>>次ページ 利用料金が30%OFFになるキャンペーンが展開中

TAG: #カーシェアリング #キャンペーン
TEXT:TET 編集部
アルファードもビックリ!? メルセデスが今夏「Vクラス/EQV」を迫力顔に変身

独メルセデス・ベンツは、改良型「Vクラス」の予告画像を公開すると共に、同モデルの電気自動車版「EQV」にも改良を施すと明らかにした。 ボンネットマスコット付きの新顔に 2014年に登場した現行Vクラスに電動車(EV)のEQVが追加されたのは2020年。それから約3年となる今夏、大規模なマイナーチェンジが実施される。公開された画像は大型のフロントグリルが備わることから内燃機関車のものと思われるが、EQVも概ね同じデザインで登場する可能性が高そうだ。 それにしても驚かされるのはフロントマスクの大胆さ。これまでのスリーポインテッド・スターをフロントグリルにビルトインしたスタイルから一転して、「Sクラス」のようにボンネット上へ独立したマスコットを配している。そして、グリル自体はバンパー下部まで拡大され、メッキがきらめくダブルタイプの横ルーバーも5本に増加しているのだ。 しかも、ヘッドライト下からグリルを囲うように隈取りのようなアクセントが入っていることもうかがえ、「アルファード」もビックリの迫力顔をなりそうだ。電動モデルのEQVでは、この巨大なグリルがルーバーを廃した専用デザインになる可能性が高く、どのような顔立ちとなるのか楽しみだ。 こうした方向のデザインを採用する背景には、重要市場の中国における高級ミニバンのヒットが挙げられるだろう。彼の地では(日本も同じだが)、レクサス「LM」に代表されるようなド迫力顔が好まれ、メルセデスもその嗜好を無視できなくなったと考えられる。日本でも歓迎されるだろうから、アルファードでは物足りないというユーザーにとって、改良型Vクラスは格好の選択肢となりそうだ。 >>>次ページ EQV海外仕様の航続距離は約343km

TAG: #EQ #メルセデスベンツ #新型車
TEXT:烏山 大輔
新電元工業、6kWのEV用「見せない普通充電器」販売開始

新電元工業は、2023年5月19日よりEV用「見せない普通充電器」の受注を開始すると発表した。 この充電器は、新電元工業の電源技術をコアに、充電サービスや見せ方を自由にアレンジできる「見せない」という新しいコンセプトを元に設計されている。この製品には操作ボタンなどを搭載せず、「挿すだけ充電」や「無線コントロール」といった独自の充電機能やサービスを主体としたユーザー体験を提案する。 自由なレイアウトと保守サービス この充電器は、駐車場に設置する際にも非常にコンパクトであり、輪止めブロックよりも小さく、堅牢かつ完全防水のため地面にも設置することができる。例えば、自動車整備ピットでは、天井付近に本製品を設置し、充電コネクターをマテハンレール(機械などの移動用のレール)から吊り下げるなど自由なレイアウトで利用することができる。また、本体部はボルト4本で固定することができるため保守性にも優れている。 さらに、新電元工業は利用者の使い方をサポートするために「コールセンターサービス」や修理交換品の先出し発送が可能な「定額修理サービス」などのミニマルな保守サービスも提供する。導入後の運用コストを最小限に抑えたい利用者には買い切りでの導入も可能だ。 ミニマルデザインで基礎充電と目的地充電に対応 日常的な駐車場での「基礎充電」や旅行先の宿泊地などで利用する「目的地充電」には、長時間利用できる普通充電器の使用が推奨されている。普段使いのEV充電器には、特にアイコン性は求められない。この充電器は最小限の充電機能を備えており、そのまま設置することができる。使い方もシンプルで、充電器に接続するだけで簡単に充電が可能である。 アプリ&コントローラーの開発により、オリジナルの充電サービスも提供可能 無線でコントロールすることができる機能を搭載している。これにより、テレビのリモコンのように手軽に充電器を操作することができる。さらに、この機能を活用することで、決済認証や消費電力マネジメントなどの応用サービスの開発も可能ということだ。 例えば、無線通信プロトコルやクラウドサーバーの実装など、ITサービス開発に長けたシステム開発会社は、この充電器と連携させることで、独自のEV充電サービスに参入する際の障壁を大幅に下げることができるだろう(開発には新電元工業との契約が必要)。 超コンパクトかつ自由なレイアウトが可能な充電器 出力6kWのMODE3充電器(車両と通信しながら充電を制御する)でありながら、ケーブルやコネクターホルダーを自由にレイアウトし、地面、壁面、天井、斜面など、さまざまな場所に設置することができる。コンパクトなサイズであるため、限られたスペースでも効率的に充電器を配置することができ、また、ケースの中や梁の上、塀の裏側など、充電器が目立たない、見えない場所に設置可能だ。 さらに、この充電器は豪雨や浸水にも耐える完全防水仕様となっているため、屋外や湿気の多い場所に設置しても安心である。 新電元工業の「見せない普通充電器」は、普通充電では主流となりつつある6kWの出力を持つ。多くの壁掛け型やポール型の他社製品と異なり、あえて「見せない」ことをコンセプトとしていることが新しい。本体部分は車に踏まれても大丈夫なほどの堅牢性、豪雨による水没にも耐える防水性も持つ。価格(非公表)によっては、自宅や業務用途で大ヒットするかもしれない。 「見せない普通充電器」仕様 型式: PM-CS09-M-CG 定格電圧: 単相2線 200V 定格電流: 30A(6kW相当) 期待寿命: 10年(平均周囲温度25℃) 充電方式: Mode3(IEC61851-1e.d3.0) 通信方式: Bluetooth®5.0内蔵 ケーブル長: 標準6m 周囲温度: -20~55℃ 強度: 11kN(ビークルドライブオーバー試験) 環境: 重塩害対応 寸法: W84 × D400 × H80 mm 質量: 3.0kg(ケーブル・充電コネクタ含まず)  

TAG: #EV充電器
TEXT:岩尾 信哉
フォルクスワーゲン、電気自動車(EV)ID.7の上級モデル「GTX」をティザー公開、9月の独IAAモビリティで正式発表

フォルクスワーゲンのEV(電気自動車)ブランドであるIDシリーズでは、最新モデルとなる「ID.7」が、4月に開催された上海国際モーターショーにおいてワールドプレミアとして発表された、さらに5月上旬にフォルクスワーゲンは、IDシリーズの上級スポーツグレードである「GTX」を、アッパーミドルクラスのID.7に設定することをティザー公開して明らかにした。正式発表は来る9月に独ミュンヘンで開催される「IAAモビリティ2023」となる。 欧州での正式発表を控えるID.7 2022年6月にID.4/ID.5(ID.4のクーペSUV版)に設定された「GTX」グレードが、フォルクスワーゲンが“プレミアムリムジン”と表現するID.7にも設定されることとなった。詳細は明らかではないが、欧州での発表時には、ID.7の欧州仕様の基本スペックとともに公表されるはずだ。 ID.7の概要を確認しておくと、IDシリーズのトップモデルとなるID.7は約5mの全長を与えられ、フォルクスワーゲンの既存車種ではパサート・クラスとなるモデルである。一見すると“セダン”とも思える「ID.7」は、5ドアのボディに長く伸びたルーフなどエアロダイナミクスが煮詰められ、CD値は約0.23に抑えられている。 ID.7も他のIDモデルと同様に、フォルクスワーゲンのEV専用プラットフォームであるMEB(モジュラー・エレクトリック・ドライブ・マトリックス)を基本に、後輪を駆動する。 ID.7で注目すべきは、新設計の永久磁石式同期モーターを採用することだ。後軸用モーターは“APP550”と呼ばれ、技術面での新機軸が取り入れられている。 この新型モーターでは、巻き線の有効数を増加させ、断面の有効部を拡大したステーター(固定子)を採用。ローター(回転子)は、より高い負荷容量を持つ強力な永久磁石と高い負荷に耐えうるよう設計され、増加したトルクに対応したという。熱管理面でも、電動オイルポンプを省略するなどの効率化が図られた。 最高出力は210kW(286ps)、最大トルクは約550Nmを発生するとされ、ロングドライブを可能とするため、最大約200kWの充電施設に対応可能としつつ、WLTPモードで約700kmの一充電航続距離を実現したという。なお、車載バッテリーについては複数の仕様を用意するとしかコメントされていない。 インテリアではタッチ操作式の15インチ・ディスプレイを設定するなど、シンプルな仕立てとなっており、総じて快適性の確保と余裕のある長距離移動を実現したとされる。

TAG: #GTX #ID.7
TEXT:加納亨介
東京湾岸地区にヒョンデの新拠点がオープン―Hyundai Mobility Lounge 東京ベイ東雲―

ヒョンデはオートバックス・グループのフラッグシップ店舗「A PITオートバックス東雲」内に、同社のZEV※を体験できるスペース「Hyundai Mobility Lounge 東京ベイ東雲」を2023年5月20日(土)にオープンした。 ※ZEV(Zero Emission Vehicle):走行時に⼆酸化炭素等の排出ガスを出さない電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCEV)の総称 購入相談から納車、アフターサポートまで一貫体制 Hyundai Mobility Lounge 東京ベイ東雲では、ヒョンデが展開する電気自動車(EV)「IONIQ 5(アイオニック ファイブ)」を展示し、燃料電池自動車(FCEV)「NEXO(ネッソ)」を含めた同社製品の説明とオンライン購入に向けた相談サービスを受けることができる。期間限定だが試乗も可能で、納車用に専用デリバリースポットも用意される。 ヒョンデとA PITオートバックス東雲はZEV整備について技術提携を結んでおり、点検整備・保証整備等のメインテナンスを実施可能とすることで、顧客にアフターサポートを提供する体制を確立している。 A PITオートバックス東雲は一般的なカー用品の販売/取付に留まらず、アウトドアグッズやアパレル、書籍・雑貨などを有機的に融合させた店舗で、カーライフスタイルの新提案に注力したスペースを展開している。また、チューニングやセッティングなどでも定評があり、カーマニアの間でも一定の存在感を持つから、新たな客層へ向けたヒョンデ体験の場としても絶好の立地といえるのではないか。 なお、オープン記念として5月20日(土)、21日(日)に試乗会が開催される。同社のWEBで要予約。 拠点拡充へ邁進中 テスラなどと同様にヒョンデ車の購入はWEBで完結する。しかし自動車である以上メインテナンス拠点は欠かせないため、ヒョンデは直営の「ヒョンデ・カスタマー・エクスペリエンス・センター横浜」に加え、全国から選ばれた整備工場と協力関係を結んだ「協力整備拠点」を設定している。Hyundai Mobility Lounge 東京ベイ東雲はこの「協力整備拠点」にあたり、オートバックス・グループとの協業拠点としてはHyundai Mobility Lounge 京都四条に続く2店舗目となる。なお、ヒョンデの全整備拠点は同社のWEBで確認することができる。 他に都市型ショールームとして「ヒョンデ・シティストア」が名古屋と福岡に開設されており、販売促進に向けた拠点充実も進んでいる。 ヒョンデ × オートバックスに期待 EV進出を機に日本に参入したメーカーは、ヒョンデの他にテスラ、BYDなどがある。いずれもディーラー網を持っていないため、整備ネットワークの拡充が課題であった。この面で500店舗に迫るネットワークを持つオートバックスとの連携は有効な手段となりえる。ヒョンデは今後、全国のオートバックス店舗へ展開していくことを検討中という。ベンチャー系EVメーカーの参入は今後も続くだろうから、新しいモビリティ企業の発展に繋がるモデルケースになりそうだ。   <Hyundai Mobility Lounge 東京ベイ東雲について> 名称:Hyundai Mobility Lounge 東京ベイ東雲 住所地:東京都江東区東雲2-7-20(A PIT AUTOBACSKYOTOSHINONOME内)※駐車場あり 開店日:2023年5月20日(土) 営業時間:10時~20時 定休日: 不定休 運営会社:株式会社オートバックスセブン   <A PIT AUTOBACS SHINONOMEについて> […]

TEXT:烏山 大輔
国内初、機械式駐車場でEV用自動ワイヤレス充電の運用実証を開始

株式会社技研製作所は、株式会社ダイヘンと共同で、技研製作所 高知本社の超小型EV専用機械式駐車場「EVエコパーク」での自動ワイヤレス充電の運用実証を開始した。機械式駐車場での運用実証は国内初で、10月末まで実施後、実用化に向けて課題を洗い出し、改善につなげる。 EVエコパークでの運用実証 この運用実証では、ダイヘンが開発したワイヤレス充電システム(非接触充電)の受電装置を超小型EVに搭載し、給電装置が「EVエコパーク」に設置される。このシステムでは、従来の手動でケーブル接続を行う接触充電仕様とは異なり、車両が入庫するだけで自動的に充電が開始されるため、利便性が大幅に向上する。この実証では、技研製作所の従業員が通勤などでこのシステムを利用し、システムの連動や従来の接触充電方式との比較試験などを行う。 運用実証で得られた技術は、普通自動車や軽自動車タイプのEVにも適用できるものであり、将来的にはこれらの車両に対応した「EVエコパーク」の展開に繋げることができる。この実証を社会実装に結び付けることでEVの普及を促進し、カーボンニュートラルな社会や機能的なまちづくりに貢献していくことが期待される。 運用実証で使用される機器・車両 超小型EV専用機械式駐車場「EVエコパーク」(技研製作所製) 直径9.5m、高さ15mの円筒形で、占有面積は約80㎡と非常にコンパクトな設計だ。しかし、その小さなスペースに40台の車両を収容することができる(1層に8台、5層建て)。一般的な平置き駐車場の約5分の1の面積しか占有しないため、都市部の駐車場不足問題を解決する一助となることが期待されている。 さらにこの駐車システムの魅力は、迅速な入出庫時間にある。平均入庫時間は18.9秒(最短15.5秒)、出庫時間は平均19.7秒(最短17.2秒)だ。待ち時間を短くでき、滞留も発生しづらいため、従来の機械式駐車場では必要だった広い待合スペースの確保が不要となる。 また、「EVエコパーク」では、車両の入庫時には自動的に車両を所定の位置に搬送する。これによりワイヤレス充電システムの、車両の受電装置と充電設備の給電装置の距離が離れてしまうと充電効率が低下する課題を解決する。「EVエコパーク」では、充電に最適な位置に車両を収容することで、最大効率での充電を可能にする。 EV用ワイヤレス充電システム「D-Broad EV」(ダイヘン製) 車両が所定の位置に停められると自動的に検知され、急速充電が開始される(現在は普通充電レベルでの実証が行われているが、今後ダイヘンにより急速充電レベルのシステム開発が進められる予定)。 このシステムでは、業界最高水準の高効率給電が可能となる磁界共鳴方式が採用されている。磁界共鳴方式は、充電設備と車両の間で磁場を共鳴させることで、高効率かつ安定した給電を実現する。システム効率は90%以上で、エネルギーのロスを最小限に抑えながら効率的に充電できる。 超小型BEV「C+Pod」(トヨタ製) 全長約2.49m、全幅1.29 m、全高1.55 mとコンパクトなデザインで、最高速度は60km/hの2人乗り。9.06kWhのリチウムイオン・バッテリーを搭載し、一度の充電で最大約150kmの走行が可能だ。100Vもしくは200Vの普通充電に対応しており、100Vだと約16時間、200Vでは約5時間で充電できる。 ガソリンスタンドに給油に行かなくていいBEVだが、唯一の手間が充電作業だ。特に雨の日に濡れながらの作業は相当なストレスだと考えられる。 自宅や会社で充電作業から解放されるこのシステムが実用化すれば、ユーザーのストレスが減り大きなメリットとなるだろう。 所定の位置に駐車したら自動で充電されるということは、カーシェアにBEVが導入された際にも、使い終わった利用者に充電作業を強いることもなく、次の利用者も充電されていなくて困るという事態を減らすことにもつながるだろう。10月の実証終了後の展開に期待したい。

TAG: #EV充電器 #自動ワイヤレス充電
TEXT:TET 編集部
旅先での充電の不安を払拭。アウディが2023年中にEV充電器を50か所100基設置へ

アウディ ジャパンは、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)と、電気自動車(EV)の目的地充電インフラ整備に関して合意したと発表。今後、アウディ ジャパンが、全旅連加入宿泊施設に対してアウディ純正のEV充電器(8kW)を無償で設置(1ヵ所に充電器2基設置)し、2023年末までに50ヵ所100基の設置を目指すという。 バッテリー残量を気にせず旅行へ 日本でも充電器の整備が進みつつある昨今だが、EVで旅行に行くとなると課題として挙がるのが宿泊先の充電器事情。長距離を走行した後で宿泊中に充電しようと思っても、旅館やホテルに充電器がなければ翌日のドライブに支障が出てしまう。 もちろん、すでに充電器設置済の宿もあるが、数としてはまだまだ少数派であり、そもそも充電器の有無で旅行先を決めるのでは本末転倒の感が否めない。旅館やホテルへの充電器設置は自動車メーカーとしても促したい施策のひとつなのだ。 今回アウディが、無償での充電器設置という太っ腹な取組に踏み込んだのもこうした背景があってのことで、旅館やホテルにチェックインの際に充電器を接続して、翌朝出発する際には満充電となっていれば、何ら痛痒なくEVで旅行を楽しめる。また、宿泊施設側としても「充電器あり」とアピールできることは周辺の同業者との差別化ポイントとして大いにメリットがあるはずだ。 なお、100kWを超える急速充電器も多く登場するなか、8kWで十分なのか訝る人もいそうだが、宿泊中の充電なら心配無用だろう。参考まで、8kW充電器を使用した場合、86.5kWhの正味電気容量を持つ「e-tron GT」で、満充電までの必要時間は約10時間半となる。 >>>次ページ アウディ e-tron店の急速充電器は全国で102基に

TAG: #BEV #EV充電器 #充電インフラ
TEXT:烏山 大輔
グリーンチャージ、従量課金の新型EV用急速充電器を発売

2023年5月16日、株式会社GREEN CHARGE(グリーンチャージ)は、EV(電気自動車)の普及を促進するため、新しい急速充電器を開発し発売することを発表した。 出力50kWの新製品「SC05-3P3W-A」の最大の特徴は、kWh単位の従量課金制を採用していることだ。従来の充電器では一定の利用料金が設定されていたが、実際の使用量に応じた料金設定は行われていなかった。しかしこの充電器では、使用した電力量に基づいて料金が請求される。これによりユーザーは自身が消費した電力に応じて直接料金を支払う。コストの明確化は高い納得感を得ることにつながり、使用量が少ないユーザーや短時間で充電を行う必要があるユーザーにとって大きな利点となるだろう。 さらにこの充電器は非会員制で、会員カードや専用アプリの登録が不要である。これまでの充電器では利用を開始するまでに会員登録やビジター登録の手続きが必要で、時間と手間がかかる場合があった。しかし非会員制を採用しているこの充電器では、ガソリンスタンドのように誰でもすぐに利用することができる。月会費や初期費用も一切かからず、EV利用者は必要な時に必要な分だけ充電を行うことができる。 また、この充電器は奥行き360mmの薄型設計となっており、既存の駐車場のデッドスペースを活用して設置することができる。これにより、駐車場の車室数を減らすことなく充電器を設置することが可能だ。 これらの特徴は、グリーンチャージ社の新製品がEV利用をより便利で手軽にすることを示している。同社はこの新製品が次世代の社会インフラとしてEVの普及を一層推進することを期待している。

TAG: #従量課金制 #急速充電器
連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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