ニュース 記事一覧

ニュース ニュース
TEXT:TET 編集部
欧州で大型トラックのEV化が進む。ダイムラートラックが新型「eアクトロス300 トラクター」を今秋より量産化

ドイツのトラックメーカー「ダイムラートラック」は5月30日(現地時間)、電動トラクターヘッド「eアクトロス300 トラクター」がドイツのヴェルト工場からトルコのアクサライまで約3,000kmにおよぶテスト走行に成功したと発表。今後欧州では、重量物を運ぶトレーラーも電動化が進みそうだ。 最大400kmの航続距離を達成 「アクトロス」はダイムラートラックが、メルセデス・ベンツ・ブランドで販売している大型トラックシリーズだ。日本でも以前販売され、スリーポインテッド・スターをグリルに付けた大型トラックを見掛けたことがある人もいるはず。 eアクトロスはその名の通り、アクトロスの電動版。既に2021年には通常のトラックバージョン「eアクトロス300」(112kWhバッテリー3個搭載)および「eアクトロス400」(同4個搭載)が登場しており、後者の航続距離は最大400kmと長距離輸送もこなす実力を誇る。 パワートレインは2基の電気モーターと2速トランスミッションの組み合わせで、水冷モーターの連続出力は330kW(約443hp)、一時的なピークパワーは400kW(約536hp)と強力そのもの。モーター駆動にもかかわらずトランスミッションを備えるのは、重量物積載時に必要な発進時のパワーを引き上げるためだろう。 今回、テスト走行の成功が発表されたトラクターヘッドは、通常のトラックに次ぐeアクトロスの新たなバージョンとして、現在開発が進行中のもの。ダイムラートラックでは本年秋からの量産開始を目指しているとのことで、既に海抜1,800m超を含む高地テストはクリア済みという。今後は同社がトルコに持つテストサイトで耐久試験に挑む予定だが、その前段階としてプロトタイプのドイツからの移動を、公道テストの機会として活用したというわけだ。 ルートはオーストリア、スロベニア、クロアチア、セルビア、ブルガリアを経由するもので、途中の充電は一般の充電ステーションでのみ行ったとのこと。トラックで国際長距離輸送を行えるのは欧州ならではの環境だ。 >>>次ページ 日本のEVトラック市場の状況

TAG: #ダイムラートラック #商用EV
TEXT:TET編集部
トヨタが米国でのバッテリーEV生産工場を決定、バッテリー工場に追加投資

トヨタ自動車は、需要が拡大する米国市場でのバッテリーEV(BEV)の供給に向けて、米国におけるBEVの生産工場の決定と、バッテリー工場への追加投資を発表した。 2025年からToyota Motor Manufacturing Kentucky, Inc.(TMMK)において、BEVの3列シート新型SUVを生産開始する。トヨタが米国でBEVを生産するのは初めてであり、同車両には、Toyota Battery Manufacturing, North Carolina(TBMNC:写真)で生産するバッテリーを搭載する予定。 トヨタの北米統括会社であるToyota Motor North America, Inc.(TMNA)と豊田通商は、今後のバッテリーの需要増を見据え、将来の拡張に備えた土台づくりとして、現在建設中のTBMNCに、21億ドルを追加投資し、インフラ整備を進めることを決定した。今回の発表で、TBMNCへの総投資額は59億ドルに達した。TBMNCは、拡大する電動車の需要に必要なリチウムイオン・バッテリーを生産・供給する。 TMNAの小川哲男CEOはこう述べている。「カーボンニュートラルの実現に向け、できる限り早く、できる限り多くのCO2排出量を削減することを目指してまいります。この目標を達成するためには、お客様のニーズを満たす電動車のラインナップを提供する必要があります。米国初のトヨタ単独の車両生産拠点であるTMMKと、最新の工場であるTBMNCが、電動車のラインナップを拡げるため、BEVとバッテリー生産を開始し、未来に向け走り出すことを楽しみにしております」 トヨタは米国において、トヨタとレクサスの両ブランドで22種類の電動車を提供しており、過去2年間で米国での事業に対して80億ドル以上を投資してきた。 グローバルでは、フルラインナップメーカーとして、これまで累計2,300万台以上の電動車を販売してきた。2025年頃までには、グローバルで販売する全車種を、電動専用車もしくは電動グレード設定車とする予定。2026年までに、年間150万台のBEV生産を基準としてペースを定め、10モデルの投入を計画する。さらに2030年までに約5兆円を投資することを公表している。 トヨタは、できる限り早く、できる限り多くのCO2排出量を削減していくために、あらゆる国と地域における様々なニーズにマルチパワートレインで柔軟に対応し、できる限り多くの選択肢を提供していくとしている。

TAG: #アメリカ #バッテリー #工場
TEXT:岩尾信哉
シトロエンのシティコミューターEV「AMI(アミ)」 バギー風限定車「My Ami Buggy」が再発売

現在はステランティス・グループ傘下にあるシトロエンが、2019年にコンセプトカーとして登場させた、電気自動車(EV)のシティコミューター「AMI」。2020年にオンライン発売された際には、デザインなど独創的なコンセプトを変えることなく量産モデルとして表れたことに驚かされたものだ、 シトロエンは2022年に「My Ami Buggy Ultra-Limited Series」と呼ばれるスペシャルモデルを、欧州を中心にインターネットで50台限定で販売。人気を博したことを受けて、去る5月23日に「My Ami Buggy」の第2弾の販売を発表した。 コンセプトカーから生まれた「Ami」 前後対称の個性的な外観を特徴とする超小型EV「AMI」をベースに、冒険心あるいはレジャーを楽しむ遊び心をくすぐるような限定車である「My Ami Buggy」。そんな個性的なモデルを生み出すシトロエンの感性には脱帽するしかない。 成り立ちからして充分個性的といえる「AMI」の内容をおさらいしておくと、「AMI」の標準仕様のボディサイズは全長2,410mm、全幅1,390mm、全高1,525mm、ホイールベース1,728mmと、コンパクトさと四角いキュートなスタイリングが際立っている。 軽自動車の規格(全長3.4m以下、全幅1.48m以下、全高2.0m以下)と比べても、全長で約1m短く、全幅では約10cm下回ることになる(AMIの乗車定員は2名)。車両重量は485kgに抑えられ、最小回転半径は3.6mと取り回しにも優れている。 個性を主張するのは外観だけではなく、標準仕様の大きな特徴はドアの装備方法にある。運転席側のドアは後ろヒンジの前開き、助手席側は前ヒンジの通常の開き方となる。左右のドアを共通化することでコスト削減を図っているのだから、かなり大胆な設計といえる。 シティコミューターとしての位置づけ 「AMI」のパワートレインは、最高出力6kW(8.2ps)のモーターによって前輪を駆動する。容量5.5kWhのリチウムイオン・バッテリーはフロア下にレイアウトされる。バッテリーの総容量は5.5kWh。車両重量が450kg、バッテリーを含む場合は480kgとされ、一充電航続距離は約75km走行可能。充電は交流の普通充電のみ。フランスでは欧州規格の220Vのコンセントを用いて、ほぼ空の状態から約4時間で満充電となる。 インテリアでもスマートフォンをモニターとして使用しつつ情報を入手するなど、使い勝手の手軽さを突き詰めた仕様といえる。 超小型EVである「AMI」はフランスなら14歳以上、ヨーロッパの多くの国では16歳以上、上限77歳以下なら免許なしで運転可能な「クワドリシクル」と呼ばれるカテゴリーに当てはまる。 「AMI」が属するEUの車両規格である「L6e」では、モーターの出力が上記のように6kW(定格主力4kW)以下、最高速度は45km/h以下に制限されている(高速道路の走行は不可)。車重は425kg以下(バッテリーの質量を含まず)とされる。 「AMI」は、欧州の11ヵ国で販売され、2020年4月の発売以来、5月末時点で3万5000台以上を販売しているという。

TAG: #コンパクトカー #シトロエン
TEXT:TET 編集部
トヨタ、定置用蓄電池システムを開発。東京電力ホールディングスなどとコラボし、秋田県で実証実験を開始

トヨタ自動車と東京電力ホールディングスは5月29日、両社の蓄電池技術を融合した定置用蓄電池システムを開発したと発表。本年秋頃より、トヨタ系商社の豊田通商および豊田通商の子会社で風力・太陽光発電事業を行うユーラスエナジーホールディングスとも連携し、秋田県鹿角市に立地する大規模風力発電所「ユーラス田代平ウインドファーム」において実証実験を開始するとのことだ。 拡大が見込まれる蓄電池市場 今回両社が実証実験に取り組むのは、蓄電池を直流電源として接続し電力系統や各種電気機器に交流電力を供給する「PCS」と呼ばれる設備と、複数台の電気自動車用バッテリーを組み合わせたシステム。カーボンニュートラル達成のためには利用拡大が必須の再生可能エネルギーだが、天候等に左右される風力発電や太陽光発電はどうしても発電量が不安定になりがちだ。 ただし、一旦発電した電力の一定量を蓄電池に蓄え、電力需要に応じて随時取り出すことが可能になれば、課題の多くが解決する。そのため、東京電力を始めとする電力会社にとって、大容量でコストが安く、効率に優れた蓄電池システムの開発は達成したいテーマのひとつなのだ。 一方、トヨタなど大手自動車メーカーは、既に電気自動車用バッテリーで様々なノウハウを蓄積しており、蓄電池技術については一日の長がある。さらに、自動車メーカー自身にとっても、電気自動車を廃車にする際などに発生する使用済み車載用バッテリーの処理は大きな課題。特に、今後電気自動車が広く普及していけば、大量の使用済みバッテリーが自動車メーカーの手元に残ることとなるから、蓄電池システムでのリユースを含め、その有効活用については今から見通しを付けておきたいところだろう。 こうした両社のニーズが一致して実現したと見られる今回の実証実験では、トヨタの電気自動車に採用されている車載用バッテリーや制御部品と、東京電力の系統接続に関する知見とを融合して、定置用蓄電池システム(1MW/3MWh)を共同開発。このシステムを設備容量7,650kWを誇るユーラス田代平ウインドファームに設置し、蓄電池の充放電に関する最適運用や電力系統の安定化に資する制御などを数年程度かけて確認していく。 >>>次ページ 車載用バッテリーのリユースも視野に

TAG: #SDGs #バッテリー #リユース
TEXT:栁 蒼太
BMW新型電気自動車「i5」詳細&「5シリーズ」大幅アップデートに迫る

5月24日、BMWは8代目となる新型「5シリーズ」を発表した。すでにTHE EV TIMESでもニュースにて基本的な情報を投稿したが、本記事では本国の発表を元に、新型5シリーズの車両をさらに詳細に見ていきたい。 ボディの大型化+力強いフロント まずは、エクステリアに注目をしたい。先代モデルと比較すると、全長が97mm拡大して5,060mm、全幅が32mm拡大して1,900mm、全高が36mm拡大して1,515mmとなった。また、ホイールベースは20mm延長されて2,995mmとなり、全体的に大型化が進んだ。 フロント部は、ツイン・ヘッドライトとキドニー・グリルが特徴的だ。ほぼ垂直に配置されたライトは、ターン・インジケーターとデイタイム・ドライビング・ライトとしても機能し、前方に大きく張り出したキドニー・グリルは、フレーム部が光る 「Iconic Glow」(オプション装備)が採用されている。 シンプルな内装へ 続いて、コクピットに目を向ける。全体的に、入力をデジタル化したため、先代モデルと比較してボタンや操作部の数が大幅に削減されている。コクピット正面の「BMWカーブドディスプレイ」は、12.3インチのインフォメーションディスプレイと、フレームレスガラス仕上げの14.9インチのコントロールディスプレイによって、フルデジタルスクリーンを構成する。 ステアリングホイールの下部はフラット化されたり、コントロールパネルやセンターコンソールのセレクターレバーに触覚フィードバックが搭載されたりするなど、ドライバーが操る部分のパーツが一新されている。また、新型7シリーズにも採用された「BMWインタラクション・バー」をオプション装備で用意している。これは、ダッシュボードの横一杯に広がるバー部分が、シチュエーションに合わせてライティングを変化させる装備だ。 初のフル・ヴィーガン・インテリア 新型5シリーズの内外装の刷新はこれにとどまらない。ブランド初となるフル・ヴィーガン・インテリアを標準装備する。これは、シート、ダッシュボード、ドアパネル、そしてステアリングホイールにレザー調の素材である「Veganza」を採用したものだ。オプション装備として、複数のバイカラー・バリエーションのBMW Individual メリノ・レザー張りが用意されている。 トップモデルは i5 M60 xDriveを設定 モデル展開では、48Vのマイルドハイブリッドを備えるガソリンおよびディーゼル仕様やPHEV仕様も用意されるが、新型5シリーズ・セダンの最上位グレードは7シリーズ同様に第5世代のBMW eDriveテクノロジーを搭載したBEVで、「i5 M60 xDrive」が用意されている。 トップモデルのBMW i5 M60 xDriveは全輪駆動モデルで、最大442 kW/601hpの出力を誇る。Mスポーツ・ブーストまたはMローンチ・コントロール機能を作動させると、発生するシステム・トルクは最大820Nm(605lb-ft)になる。これにより、BMW i5 M60は0-100km/h加速3.8秒を記録する。最高速度はバッテリーシステムの都合上230 km/hに制限される。WLTP値は、455~516 km(282~320マイル)。 もうひとつのBEVラインナップである「BMW i5 eDrive40」はシングルモーターのFR(後輪駆動)で、最高出力250kW/340ps、最大トルク430Nm(317lb-ft)、0-100km/h加速は6.0秒、最高速は193km/hとなる。WLTP値は、497~582 km(309~361マイル)。 なお、両モデルともバッテリー容量は、81.2kWhだ。 効率的な電気モーターのシステムに加えて、最新版のアダプティブ・リキュペレーション(回生機能)、ヒートポンプ技術の組み合わせが、長い航続に貢献する。また、「MAX RANGE」機能によって、パワーと速度を制限し、快適機能を停止することで、航続距離を最大25%伸ばすことができる。 BMW i5のコンバインド・チャージング・ユニット(CCU)は、標準で最大11kW、オプションで最大22kWの出力でAC充電が可能だ。高電圧バッテリーは、最大205kWの出力で直流充電が可能で、約30分で10%から80%まで充電することができる。

TAG: #5シリーズ #i5 #セダン
TEXT:曽宮 岳大
大人7人が乗れる電動プレミアムSUV「メルセデス・ベンツEQS SUV」が発売

メルセデス・ベンツ日本は5月29日、電気自動車専門ブランド「EQ」シリーズ6番目のモデルとなるラージサイズSUV「EQS SUV」を発表、同日販売を開始した。世界初となるEQ専売拠点として2022年12月にオープンした「EQ横浜」(神奈川県・東神奈川)にて開催された、発表会の模様を報告する。 長距離移動をこなす最大593kmの航続距離 「EQS SUV」は、EQシリーズの最上級にあたるEQSシリーズのSUVモデルだ。ボディサイズは全長5,130mm×全幅2,035mm×全高1,725mm(EQS 450 4MATIC SUV)と、同クラスにあたる内燃機関モデルの「GLS」(同5,210mm×1,955mm×1,825mm)に並ぶサイズ感となる。 実車を目の前にすると、EQS SUVはかなり大柄に見える。ただドヤ顔ではないため、見る者を圧倒するような威圧感はなく、むしろリッチなクルマ感が際立って見えた。登壇したメルセデス・ベンツ日本 上野金太郎 代表取締役社長 兼 CEOは、「大人7人が快適に過ごせる広い室内空間や多くの荷物を載せられる積載性など、SUVとしての魅力に磨きをかけた」と述べる。 このやや丸みを帯びたプレーンなデザインは空力の向上にも寄与しており、EQS SUVは背高ボディにもかかわらず、空気抵抗の目安となるCD値は0.26と優れた値を達成。ヘッドライトと一体化したブラックパネル・フロントグリルがEQシリーズの一員であることを伝える。 ホイールベースは、既にデビュー済みのEQSセダンと同等の3,210mmに達する。EQS SUVは、EQシリーズ専用に開発されたプラットフォームを採用しており、広い床下に敷き詰められた107.8kWhの大容量リチウムイオン・バッテリーにより、1充電あたりの航続距離は最大でEQS 450 4MATIC SUVが593km、EQS 580 4MATIC SUVスポーツは589kmを達成している。 インテリアは、メインや助手席のディスプレイに有機ELを採用したデジタル感の溢れたコクピットに仕上げられている。EQSセダンに対して約5cm引き上げられた全高と、3列7人乗りのパッケージングにより、車内はセダンよりも広々しており、積載性にも優れている。 シートはダイヤモンドステッチをあしらったナッパレザーを採用。またオプションのショーファーパッケージを搭載すると、MBUXリアエンターテインメントシステムやリアタブレットが装備され、2列目シートの快適性がアップする。加えて、1列目、2列目に加え、3列目シートにまでシートヒーターを採用しており、最上級セグメントらしい高級感ある室内空間が追求されている。 ラゲッジルーム容量は、3列目シート使用時で195Lを確保。3列目シート格納時にはゴルフバッグが4つ積載可能とのこと。さらに2列目シートも格納すると2,020Lの広大なスペースが出現し、大型の荷物も積載可能だ。 >>>次ページ オフロード走行支援機能が充実

TAG: #BEV #EQ #新型車
TEXT:烏山 大輔
アウディ、e-tronの急速充電機能を150kWに無償でアップデート

アウディ ジャパンは、アウディの電気自動車「アウディe-tron」専用の150kW急速充電レトロフィットキットを発表した。6月初旬から全国に110店舗あるアウディe-tron取扱店を通じて、対象の車両にレトロフィットキットを装着するサービスを開始する。 アウディ初の電気自動車であるアウディe-tron / e-tron Sportbackは、アウディの電動化戦略Vorsprung 2030の象徴的なモデルとして、2022年末までに世界中で約16万台が販売された。 日本でも2020年9月にe-tron Sportback 1st edition (その後「55」を設定)が登場し、2021年1月にe-tron 50 quattro / e-tron Sportback 50 quattroを発表した。これらのモデルは、当時としては急速な50kW充電器に対応しているモデルとして販売が開始された。 今回発表の150kW急速充電レトロフィットキットの装着によって、e-tron 55 quattro / e-tron Sportback 55 quattroおよびe-tron Sが150kW急速充電に対応し、e-tron 50が120kW急速充電に対応可能となる。 これにより、全国のe-tron取扱店、アウディ ジャパンがポルシェジャパン、フォルクスワーゲン ジャパンと共同展開しているPremium Charging Alliance(PCA)のサービスを利用することで、150kW急速充電器の性能を最大限に享受することができる。さらに、公共の150kW急速充電器を利用する場合でも、充電時間を大幅に短縮することが可能だ。 充電能力を最大150kWへの引き上げるサービスは、2023年6月初旬から順次対象モデルを拡大する。アウディe-tron取扱店から対象のユーザーに連絡される予定である。この無償サービスは、既に市場に投入されている商品に対しても商品力の改善や残存価値の向上に貢献し、電気自動車の所有者にとって重要な充電性能の向上を実現する。 アウディは、電動化戦略「Vorsprung 2030」に基づき、持続可能なプレミアムモビリティを提供する企業へ変革を続けている。2033年以降、すべてのモデルの販売を電気自動車にする計画を発表した。また、日本市場でも顧客が電気自動車を検討しやすい環境を整備するため、日本最大級の急速充電ネットワークサービスである「プレミアム チャージング アライアンス」や、旅行先などでの目的地充電を可能にする「デスティネーションチャージ」などのネットワーク構築を導入している。 150kW急速充電対応車種 e-tron 55 quattro e-tron Sportback 55 quattro e-tron S 120kW急速充電対応車種 e-tron 50

TAG: #e-tron #急速充電器
TEXT:TET 編集部
スーパーセブンがEVに。ケータハムがサーキット走行も視野に入れたコンセプトカーを開発

英ケータハムは5月24日(現地時間)、純粋に走りを追求したオープン2シーター、ケータハム・セブンを電動化したコンセプトカー「EVセブン」を発表した。 サーキット走行を視野に入れたEVスポーツ イギリスのピュアスポーツブランド、ケータハム。今年創立50周年を迎えたライトウェイトスポーツ・メーカーは現在、電動化に向けた開発投資を積極的に進めているようだ。 今回、発表された「EVセブン」は外観こそ既存のセブンとほぼ同じだが、パワートレインにはエンジンに代わり、スウィンドン・パワートレイン社製E Axleの専用バージョンを採用。スペックは最高出力240bhp/9,000rpm、瞬間最大トルク250Nmで、0-60mph(約97km/h)加速のタイムはおよそ4.0秒と見込まれる。もちろん、軽量スポーツというセブンの美点は電動化されても不変で、車重はベースとなる市販のセブンからわずか70kg増(総重量700kg弱)に抑えられている。 ケータハムでは、公道でもサーキットでも使えることをセブンの必須要件としており、特にサーキットでは、20分間サーキットを走行、15分間で次の走行に十分なエネルギーを充電し、さらに20分間走行できるサイクルが追求されている。こうした急速な充放電に対応するため、EVセブンが採用しているのが液浸冷却式バッテリーで、長年の技術パートナーであるMOTUL(モチュール)が供給する誘電性流体を使用し、その流体をセルに直接接触させることで、最適な熱管理により充電速度の向上とバッテリー寿命の延長を実現しているという。 51kWhの液浸冷却式バッテリーは、エンジンルームとトランスミッション・トンネルに収納され、最大152kWのDC急速充電が可能。実用可能な容量は約40kWhとなるが、サーキットでの過酷な使用や急速充電でも劣化することはないという。液浸冷却は、電気自動車用としては最先端の技術で、膨大な熱量を発生するスーパーコンピューターの冷却などに使われてきた技術。EVセブンは見た目こそクラシカルな2シータースポーツだが、中身は最新テクノロジーの塊なのだ。 >>>次ページ 内燃機関モデルと同等の性能を追求

TAG: #ケータハム #コンセプトカー #スーパーセブン
TEXT:曽宮 岳大
BMWジャパン、5シリーズの電気自動車「i5」の受注を開始。初回限定車を販売、年内に納車開始

ビー・エム・ダブリュー(BMWジャパン)は5月25日、新型5シリーズの電気自動車版となる「i5」の初回限定車「BMW i5 eDrive40 THE FIRST EDITION(アイファイブ・イードライブヨンマル・ファーストエディション)」の予約受付けを、BMWオンラインストアを通じて開始した。車両価格は1,098万円(消費税込み)で、納車開始は2023年第4四半期を予定する。  EV化した“ビジネスマンズ・エクスプレス” BMWのアッパーミドルクラスとして50年以上の歴史をもつ「5シリーズ」に、いよいよ電気自動車(BEV)が設定される。BMWジャパンの電動モデル「i」シリーズのラインナップには、SUVやクーペの「i4」などの設定はあったものの、昨年7月の「i7」に続き、このたびの「i5」と、伝統的にBMWの中核をなしてきたプレミアムセダンも、いよいよ電動化を遂げる時が来たというわけだ。 5シリーズは、目的地まで早く、最小限の疲労でたどり着ける瞬足&快適ツアラーであることから “ビジネスマンズ・エクスプレス”などと呼ばれてきた。当然EVの「i5」にも同様の特性が求められているはずで、航続距離のみならず、プレミアム・スポーツセダンに相応しい動力性能やハンドリング、快適性が備わっていることが期待される。 初回限定モデルの「i5 eDrive40 THE FIRST EDITION」は、内燃機関搭載のハイブリッドモデル「523i THE FIRST EDITION」と同時にデビューしており、これは内燃機関モデルと並行してEVの開発が進められた証左である。そうした意味でも、新型は8世代目に渡り進化してきた5シリーズ史上、もっともエポックメイキングな1台といえるだろう。 さて新型5シリーズの概要は既報の通りで、ここではローンチエディションについて紹介しよう。i5 eDrive40 THE FIRST EDITIONは、i5 eDrive40 M Sportをベースに、特別装備が与えられた100台限定モデルとなる。 >>>次ページ 充実装備で、早期納車が実現するファーストエディション

TAG: #BEV #i5 #新型車
TEXT:TET 編集部
納車遅れに対する改善策。フォルクスワーゲン ジャパンが電動SUV「ID.4」日本向けモデルの生産工場を移管

フォルクスワーゲン ジャパンは、昨年11月22日に国内販売が開始された電動SUV「ID.4」の生産体制の変更を発表した。納車遅れを改善するための対策で、これまでのツヴィッカウ工場(ドイツ)からエムデン工場(同)に生産拠点を移管し、今夏以降、順次納車を再開するとのことだ。 航続距離を約10%延長するアップデートも 2020年にフォルクスワーゲン初の電動SUVとしてグローバルデビューしたID.4は、電気自動車(BEV)専用のプラットフォーム「MEB」を採用し、長い航続距離と広々とした室内空間を両立。 パワートレインは最大77kWhの大容量バッテリーとリアモーターの組み合わせで後輪を駆動するRR方式。国内仕様はCHAdeMO規格の急速充電にも対応し、国産BEVに引けを取らない使い勝手を実現している。2021年にはワールド・カー・オブ・ザ・イヤーにも輝いており、国際的評価も折り紙付きだ。 日本でのID.4は、特別仕様車のみが先行販売されたので、そのスペックと価格をおさらいしておくと、エントリーグレードの「ID.4 Lite ローンチエディション」(499万円)は、52kWhバッテリーに125kW(170ps)モーターを組み合わせ、航続距離(WLTCモード)は388km。上級グレードの「ID.4 Pro ローンチエディション」(636万5000円)は、77kWhバッテリーに150kW(204ps)モーターを組み合わせ、航続距離561kmを達成していた。 もっとも、このローンチエディションは昨年11月中には早々に完売し、同年12月からは標準仕様の2023年モデルが受注開始となった。注目すべきは、2023年モデルではローンチエディションと同バッテリーを搭載しながら、制御にかかわるハードウェアおよびソフトウェアの改良により、航続距離が延長され、iD.4 Proは561kmから618kmに、iD.4 Liteは388kmから435kmに、それぞれ約10%延長されている。 その分、価格はiD.4 Proが648万8,000円、iD.4 Liteが514万2,000円と、やや値上がりしたが、航続距離の伸び率に比べればわずかな上昇だから、ローンチエディションを逃してしまった人には嬉しいニュースだろう。 >>>次ページ 部品供給の安定化のためタイヤの仕様変更も

TAG: #BEV #カー・オブ・ザ・イヤー #納期
連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
ブレーキダストを封じ込めて環境対策! メルセデス・ベンツが開発したEVならではの技術「インドライブ・ブレーキ」ってどんなもの?
ヒョンデの魅力を日本に伝える新たな拠点! 「ヒョンデ みなとみらい 本社ショールーム」がグランドオープン
中国から地球上最強コスパの新星EV現る! IMモーターL6の驚くべきスペックとは
more
ニュース
ロングホイールベース化で後席が7シリーズ並! BMW 5シリーズ 「i5 eDrive35L」と「525Li」に「Exclusive M Sport」を追加
中国専売EV第2弾はクロスオーバーSUV! スポーティなクーペ風スタイリングがマツダらしい「EZ-60」を上海モータショーで発表
上海モーターショーで見えたトヨタのマルチパスウェイ! フラッグシップEV「bZ7」とレクサス新型「ES」を同時発表
more
コラム
「濡れた手でコンセントを触るな」なんて言われてきたけど……雨の日に屋外の充電器でEVの充電をするのは危険?
BYDの最新SUV「シーライオン7」で1000kmロングラン! ちょっと気になる点はハイスピード電費と急速充電性能!!
EVの電欠ってどのぐらい発生してる? JAFの出動要請ランキングを調べてみた
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】5台の輸入EVに一気乗り! エンジン車に勝るとも劣らない「個性」が爆発していた
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない
【試乗】二度見必至の存在感は普通のコナとはまるで別モノ! イメージを大きく変えたヒョンデ・コナ「N Line」に乗って感じたマルとバツ
more
イベント
災害に備えて未来を楽しむ! 「AWAJI EV MEET 2025」の参加はまだまだ受付中
災害時にも活躍できるEVの可能性を淡路島で体験! 「AWAJI EV MEET 2025 from OUTDOOR FEELS」開催決定
売り物ではなく概念を展示するモデリスタ! 正体不明なトヨタbZ4Xはブランドの「新化」という概念を示すスタディモデルだった【大阪オートメッセ2025】
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択