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TEXT:TET編集部
LGの巨大バッテリー工場の建設がアリゾナで年内にスタート

LGの巨大バッテリー工場の建設がアリゾナで年内にスタート LGエナジーソリューション(LGES)は3月24日、アリゾナ州クイーンクリークに約7兆2000億ウォン(55億米ドル)を投資してバッテリー製造複合施設を建設すると発表した。同社によれば、北米に拠点を置く単体電池製造施設としては、過去最大規模の投資となる。 この複合工場は、電気自動車(EV)用円筒型電池と蓄電システム(ESS)用リン酸鉄リチウム(LFP)パウチ型電池の2つの製造設備で構成される。 7.2兆ウォンのうち、4.2兆ウォン(32億米ドル)を27ギガワット時(GWh)の円筒型電池製造施設に、3兆ウォン(23億米ドル)を16GWhのLFP(リン酸鉄リチウムイオン)電池施設に投資する。両施設は合計43GWhで、2023年中に着工する予定だ。 LGケムから分離独立したLGESは、電気自動車、モビリティ、IT、エネルギー貯蔵システム向けのリチウムイオン・バッテリーを製造する世界的なリーディングカンパニーである。30年にわたるバッテリー技術の経験と幅広い研究開発(R&D)により、25,000件以上のバッテリー関連特許を保有する。北米、欧州、アジア、オーストラリアにグローバルネットワークを持ち、ゼネラルモーターズ、ステランティスN.V.、現代自動車グループ、本田技研工業などの大手自動車メーカーとバッテリー製造施設を合弁で設立している。 写真はLGESのミシガン工場。 LGESは2月にも、ホンダと共同でEV用バッテリー生産合弁会社L-Hバッテリーカンパニー(仮称)を設立して年間40GWhの工場を米国オハイオ州に建設、2024年中の完成と25年末の量産開始を目指すとしている。 この投資の規模感を他社と比較すると、たとえばトヨタが昨年8月に発表したところによれば、EV向けバッテリー生産に関して、日本および米国において最大7,300億円(約56億ドル)を投資し、最大40GWhの生産能力を増強、2024~2026年の車載用電池生産開始を目指すとしている。 またパナソニックがテスラのネバダ・ギガファクトリーの敷地内で運営する工場では、年間38GWhのバッテリーが生産されている。 経済産業省の資料によれば、2015年に世界の車載用リチウムイオン・バッテリー生産の51.7%を握っていた日本のシェアは急減し、2020年には中国が37.4%、韓国が36.1%、日本は21.1%と勢力図が激変している。

TAG: #LG #バッテリー #工場
TEXT:曽宮 岳大
やはり新型「ストラトス」なのか。ランチアが新型車を予告するチョイ見せ第二弾を展開

伊ランチアは、2023年4月15日に予定している新型コンセプトカーの公開に先立ち、その登場を予告するティザー第二弾を展開した。それによると4月15日に予定される発表イベントと並行して、ランチアは3月28日から31日に開催される「メタバース・ファッションウィーク」に出展し、そのバーチャルイベント内において、新型「イプシロン」と「新たなコンセプトカー」の2台を出展すると明らかにした。先の報告からアップデイトされた最新情報に注目していきたい。   ロングノーズ&ショートデッキのスポーツカー然としたフォルム ティザー第1弾で、コンセプトカーのリアビューの画像を披露したランチア。画像以外にはコンセプトカーの内容を示すものは明らかにされておらず、それが一体、何の車種なのかは想像を膨らますほかなかった。ただ画像で明らかにされた丸型のテールランプや、“コーダトロンカ”と呼ばれるリアエンドを切り落としたようなデザイン、ふくよかなリアフェンダーの形状などが、70年代〜80年代前半に一世を風靡した「ストラトス」を思わせるデザインであることから、伝説のスポーツカーの復活を期待させた。 そしてこの度、追加公開されたのがタイトル画像である。おしゃれなショールームの中にスポーツカーと思われるモデルがベールを被った状態で佇んでいる。まずはクルマの方に注目しよう。前回の画像では車体のリアビューのみしか写っていなかったが、今回のイメージではベールを被った状態とはいえコンセプトカーのシルエットが明かされた。   ここからわかるのは、コンセプトカーがロングノーズ・フォルムを持ち、運転席が車体の中央付近に位置するということ。またリアが大きくスラントしたクーペフォルムに仕上げられたことが見て取れる。もちろん画像から車種までを特定することはできないが、やはり新型ストラトスである可能性は十分にあるだろう。 なお、コンセプトカーが新型ストラトスだとしても、そうでない場合でも、パワートレインはモーター、すなわちEVである可能性が高い。というのも前回報告したようにランチアは2022年春に発表したその先10年の中長期プランの計画で、2026年以降に登場するモデルはすべてEVとなり、2028年以降はEVしか販売しないことを明らかにしている。   さらに2024年にEVの新型「イプシロン」を、2026年に全長4.6m前後の新しいフラッグシップを、2028年に全長4.4m前後の新型「デルタ」を投入するとしており、その計画によると、真っ先に登場するのは次期イプシロンであり、それ以降登場するモデルも実質、すべてEVになる可能性が高い。

TAG: #イプシロン #ストラトス #デルタ
TEXT:小川フミオ
フォルクスワーゲン、盤石なBEV生産体制構築へ。3つのギガファクトリーを設置

フォルクスワーゲンはBEV(バッテリー電気自動車)ラインナップの構築を急ピッチで進めている。BEVの開発・生産と並行して、彼らが積極的に推進しているのが、自グループにおけるバッテリー開発・生産の体制強化だ。公式発表によれば、本拠地であるドイツを皮切りに、スペイン、そしてカナダへ、3つのバッテリー工場を新設するという。将来のVWグループBEVを支える車台「SSP(Scalable System Platform)」に適用する統一規格のバッテリーセル「ユニファイドセル」を、そこで大量生産していく姿勢を打ち立てている。勢いに乗るVWのBEV戦略の最前線に、自動車ジャーナリストの小川フミオが迫った。 新生「スカウト」ブランドで北米のEVシフトを推進 脱炭素化の重要性を説くVWグループのテクノロジー担当役員でありPowerCoも担当するトマス・シュマル氏   フォルクスワーゲンは、BEV生産に本格的に向き合っている。最重要パーツであるバッテリーも、自社で開発し生産する動きが、ここにきて急加速中だ。 バッテリーに関するVWの最新の動きは、2023年3月13日に発表された、カナダ・オンタリオ州にバッテリー工場を建設するというもの。 発表の席上で、VWグループのオリバー・ブルーメCEOは、2022年12月に発表した「10ポイントプラン(10項目の計画)」を引き合いに出し、「北米戦略はなかでも最重要」とした。 北米におけるVWの近々の活動は、BEVを中心としたもの。ID.4の現地生産に加え、SUVの元祖ともいわれる「スカウト」の名を復活させ、BEVとしてサウスカロライナ工場で作る計画も進行中だ。 スカウトは、1961年から80年にかけて、米インターナショナルハーベスター社が生産を手がけていた。 86年に、ナビスターインターナショナルコーポレーション社によって買収されたのち、VWは2021年にナビスターを傘下に納め、同時にスカウトの商標権も手に入れている。 独ギガファクトリーは2025年に稼動予定 ザルツギガが稼働したときはカーボンニュートラルの工場になるという   フォルクスワーゲンは2022年にPowerCo SE(SE=欧州株式会社)という子会社を設立。グループのバッテリー関連機能をここに集約させている。 ギガファクトリー(生産を集約した大きな施設)の第1号は、ドイツで2025年からの稼働をめざして建設が進められている。 VW本社のある独ウォルフスブルクから南西40km少々のザルツギッターなる町の郊外にある「ザルツギガ Salzgiga」バッテリー工場。 カナダにおける計画が発表された日、私はちょうど、ザルツギガ(ギガファクトリーにひっかけた新しい呼称)を見学に訪れていた。 広大な敷地内では、研究棟やパイロット生産設備が試験稼働しはじめていて、あとは工場の土台が建設中。25mほどのコンクリート製の支柱が並べられていたりと、壮観な光景だった。 1970年に稼働開始したザルツギッター工場では、当初K70というフォルクスワーゲンセダンを生産(日本には輸入されなかった)。エンジン生産が主業務だ。 2022年7月に、VW(PowerCo)はここにバッテリー工場をつくる計画を発表したのだった。 「2030年までには、ヨーロッパで販売される車両の10台に8台がBEVになると予想しています」とは、フォルクスワーゲンのパトリック・アンドレアス・マイアー最高財務責任者(CFO)の言。 同社では「2026年までに10車種の新しいBEVモデルを発売する予定」(マイアーCFO)といい、工場の改装を含めて生産体制の変革を急ピッチで進めている。 PowerCoは、ここに20億ユーロの投資をして、ユニファイドセル(どのVWのBEVでも使える統一規格のバッテリーセル)の開発・製造を行う。

TAG: #VWグループ #バッテリー #工場
TEXT:岩尾 信哉
フォード、電気自動車SUV「エクスプローラー」を発表。フォルクスワーゲンとプラットフォームを共用

フォード・モーター・カンパニー(以下、フォード)は3月21日、欧州フォードとして初のバッテリー電気自動車(BEV)となる、新型「エクスプローラー」を発表した。エクスプローラーといえば、北米市場では大量に販売されるミドルクラスSUVとして知られたモデル。今回発表された新型は、SUVのBEVとして登場することになった。 欧州で開発・生産されたSUVのBEV 欧州でのフォードは、北米市場でのラインナップとは異なるモデル、たとえばコンパクトカーのフィエスタやC/Dセグメントのフォーカス、SUVのクーガなどを手がけてきた。BEVに関しては、北米ではF-150ライトニングやマスタング・マッハ-Eを市場投入しているが、欧州マーケットでは初のBEVとなる。 ここ数年フォードは、フォルクスワーゲンとの間で、2018年に商用車、2019年に自動運転車両と電気自動車(EV)分野について業務提携を締結した。さらに2022年には電動モビリティに関するパートナーシップを拡大する旨を表明。そして今回登場した新型エクスプローラーは、両社の取り組みとして生まれた欧州フォードとしての初の成果となる。 ミドルクラスSUVとしてBEVとなったエクスプローラーは、フォルクスワーゲンからBEV用プラットフォーム「MEB」の供給を受け、欧州で開発され欧州で生産されるBEVモデルとなった。 欧州の開発・生産拠点であるドイツ・ケルンのフォード・ケルンEVセンターが手がけた新型エクスプローラーに続き、欧州フォードは2024年には2車種目となるクロスオーバーBEVをケルンで生産するとされている。

TAG: #SUV #エクスプローラー
TEXT:烏山 大輔
大日本印刷と島田理化工業、EV用ワイヤレス給電の実証実験装置を共同開発

大日本印刷株式会社(DNP)と島田理化工業株式会社は、EV用ワイヤレス給電の実用化に向けて、実証実験装置を共同開発した。 近年のEVの普及や自動運転技術の進展にともない、新たな給電方法としてEV用ワイヤレス給電システムが期待され、EV関連企業による実証実験や共通規格化が世界的に進められている。 この共同開発を通して、DNPのシート型コイルや島田理化のPWM(Pulse Width Modulation)制御インバーターなど、2社が強みとする技術や製品を融合・最適化し、実証実験装置として提供する。そして次世代インフラとしてのEV用ワイヤレス給電システムの社会実装に貢献していく。 今後、EV関連企業へこの装置の利用と実証実験の実施を促進する。また実証実験装置用として販売することで、EVワイヤレス給電の実用化が加速するだろう。 2社の強みを発揮した実証実験装置 島田理化は誘導加熱装置で長年培ったインバーター技術に加え、独自開発したデジタルPWM制御により、高効率で省エネルギーな大電力の給電を可能にした。実証実験装置は、出力11.1kWのインバーターユニットを4台内蔵し、複数車両への個別または同時の給電や、1車両への複数コイル同時給電に対応する。 DNPは独自開発したシート型コイルにより、SAE(米国自動車技術会)が定める規格(WPT3:11.1kW)に準拠した薄型・軽量かつ漏洩磁界を抑えた給電を可能にした。コイルと給電ケーブルの接合回路の最適化により、ケーブルの長さが最大30mでの給電を実現したことで、多様な設置レイアウトに対応できる。 実証実験の想定レイアウト トラックヤードで荷役作業中のEVトラックへの給電や、タクシープールで待機中のEVタクシーへの給電を想定している。  

TAG: #充電
TEXT:田中 誠司
横幅いっぱいに表示されるヘッドアップ・ディスプレーをBMWが開発中。「BMWパノラミック・ビジョン」が次期「ノイエクラッセ」に

BMWグループは2023年の年次総会で、次期「ノイエクラッセ」モデルに新型ヘッドアップ・ディスプレイ「BMWパノラミック・ビジョン」を搭載すると表明した。ノイエクラッセはEVのためのまったく新しい技術プラットフォームを採用しており、デジタル化、持続可能性、デザインにおける新しい基準を設定するとしている。 いままでのヘッドアップ・ディスプレイが小さな画面でわずかな情報しか表示できなかったのに対し、BMWパノラミック・ビジョンはフロント・ウィンドシールド(フロントガラス)の幅全体に投影されるのが特徴だ。さらに、ドライバーだけでなくすべての乗員に情報を提供し、ユニークな対話を作り出すという。 BMW AGの開発担当取締役であるフランク・ウェーバーは、BMWパノラミック・ビジョンの主な利点について次のように説明している。 「新しいBMWパノラミック・ビジョンによって、フロント・スクリーンは一つの大きなディスプレイとなり、車のデザインにまったく新しい可能性をもたらします。 表示される情報がドライバーにのみ見えるようにするのか、すべての乗員から見えるようにするのかはドライバーが決定することが可能です。画期的な投影方法と、格段にクリアで、配置的にも見やすくなったコクピットは、新しい空間とドライビングの感覚を印象づけます。私たちは、『eyes on the road – hands on the wheel』という実績あるスローガンを、新たな次元に引き上げようとしています」

TAG: #新技術
TEXT:曽宮 岳大
ランチア、本格的なブランド再生に向け、名門復活の狼煙を上げる

「デルタ・インテグラーレ」や「ストラトス」「037ラリー」など、世界ラリー選手権(WRC)での活躍の姿が思い浮かぶランチア。現在はコンパクトカーの「イプシロン」をイタリア国内で展開するのみと活動の幅を絞っているが、昨春にはブランド再興に向けた向こう10年の中長期プランを発表。さらにこのたび新しいコンセプトモデルを示唆するティザーを公開するなど、活発な動きを見せている。そこで登場が予定されている新型車を中心に“今後のランチア”に注目してみたい。 新型イプシロンやデルタも……登場が予定される3モデル このたび発表されたのは、コンセプトモデルのリアビューが映った1枚の画像のみ。情報は限られているが、4月15日に予定されるプレス発表会で実車の初披露を予定している。公開された画像に写った丸型のテールランプは、往年の「ストラトス」を彷彿とさせるもの。一体このコンセプトカーは何を意味するのか。 これまでの発表内容を整理すると、ランチアは2022年春に、欧州市場への再参入を明らかにするとともに、2024年以降は2年に1台ずつニューモデルを投入すると発表した。また2026年以降に登場するモデルは電気自動車(EV)のみとなり、2028年以降はEVのみを販売するとランチアのルカ・ナポリターノCEOは明言している。 またニューモデルについて、2024年に全長4m前後の電気自動車の「ニューイプシロン」を、2026年に全長4.6m前後の新しいフラッグシップを、そして2028年に全長4.4m前後の新型「デルタ」を投入することまでが発表済みだ。 こうした背景を踏まえながらティザー画像を眺めて見ると、そのスポーツクーペと思われるボディスタイルは、Bセグメントをカバーする次期「イプシロン」ではないだろう。またデルタも先代モデルではサイズこそ大型化したとはいえ、ハッチバックスタイルを踏襲しており、写真のイメージには合致しない。となると、このコンセプトカーは2026年に登場予定の新しいフラッグシップか、それ以外の車種ということになりそうだ。

TAG: #デザイン
TEXT:TET編集部
横浜ゴムがEVなど高重量車両に対応するHLC(ハイ・ロード・キャパシティ)タイヤの生産・販売を開始

横浜ゴム株式会社は、大容量バッテリーを搭載するEV(電気自動車)、ハイブリッド車、大型SUVなど車体が重い車両を支えられる、高い負荷能力を備えるHLC(ハイ・ロード・キャパシティ)タイヤの生産および販売を開始したと発表した。 当初は新車装着用の導入を先行して進め、将来的にはアフターマーケットで販売される製品にも拡大する。 HLCタイヤは、従来のXL(エクストラ・ロード)規格タイヤを上回る負荷能力と諸性能を備える新たなタイヤサイズとして、ETRTO(European Tyre and Rim Technical Organization:欧州タイヤおよびリム技術機構)規格に定められた。タイヤサイズ表示の先頭に「HL」と表示される。 275/35R23サイズにおける負荷能力を比較した場合、XLタイヤが900kg(ロードインデックス104)であるのに対し、HLCタイヤでは1,000kg(ロードインデックス108)に拡大する。 HLCタイヤの設計には、荷重耐久性を高めながら静粛性や操縦安定性を確保する、高度な技術が求められる。横浜ゴムは高荷重に対応するシミュレーションを繰り返し、従来のタイヤに比べて高荷重時の発熱量とひずみが少ないHLCタイヤ専用のプロファイルを開発した。 写真は大きな荷重がかかった時の発熱量とひずみの比較シミュレーション・イメージ。左が通常タイヤ、右がHLCタイヤ。HLCタイヤの方が発熱量とひずみが小さく、荷重耐久性が高い。 HL規格のタイヤはピレリ、ミシュラン、コンチネンタルなどのメーカーも開発を表明している。将来的にEVが主体の時代になってもさらなる高性能化や重量増が見込まれることを見据えたかたちだが、車両メーカー側にも車重の増加を抑えながらドライビング・プレジャーを高める努力が望まれる。

TAG: #タイヤ #横浜ゴム
TEXT:烏山 大輔
アウディ、2025年までに10車種のEVを発売、Q6 e-tronは今年後半に発表予定

アウディは2025年までに20車種以上のニューモデルを販売する予定で、そのうち10車種以上はEVである。2023年後半に発表される予定のQ6 e-tronモデルシリーズは、ドイツのインゴルシュタット本社工場で生産される初めてのEVである。本社工場敷地内に専用のバッテリー組み立て工場を建設。この工場で重要なノウハウを蓄積し、将来に向けた従業員のトレーニングを実施することができる。独自のバッテリー組み立て施設は、eモビリティへの移行を推進する、アウディの取り組みにおける重要な拠点となる。 デジタル化と電動化の大きな飛躍 アウディはQ6 e-tronプロトタイプを、ヨーロッパの北極圏でテストしている。Q6 e-tronシリーズは、ポルシェと共同開発したプレミアムプラットフォームエレクトリック(PPE)を採用する初のEVである。800Vの主電源システム、パワフルで効率的な電気モーター、革新的なバッテリーと充電管理システム、新開発の電子アーキテクチャーを備えたQ6 e-tronプロトタイプは、アウディの電動化とデジタル化における次の大きなステップを体現するモデルである。 Q6 e-tronのラインナップはSUVとSportbackである。インゴルシュタット工場でスキルアップされた従業員により持続可能な方法で生産され、アウディの電動化の未来を表現している。アウディは、完全なコネクテッド機能を備えたプレミアムなeモビリティのリーディングプロバイダーへと急速に変革を進めている。 過去最高水準の業績 3月16日に発表された2022年度の会計では、売上高は16.4%増加し618億ユーロ(約8兆7,400億円)に達し、営業利益は約40%上昇して史上最高の76億ユーロ(約1兆700億円)を計上した。営業利益率は昨年の10.4%から12.2%に上昇し、ネットキャッシュフローは48億ユーロに(約6,800億円)達し、アウディ史上2番目に高い数値となった。 2022年度の好調な業績の主な要因には、世界的に困難な経済状況の中での一貫した危機管理、良好な価格ポジション、ベントレー、ランボルギーニ、ドゥカティ ブランドの好調な業績が含まれる。2022年には、EVの販売台数も急増(44%増の11万8,196台)した。 2023年、アウディは今後発表されるQ6 e-tronシリーズを皮切りに、アウディ史上最大のニューモデル攻勢を展開する。

TAG: #Q6 #財務
TEXT:烏山 大輔
国内初商用EVメーカーHWエレクトロとアネスト岩田が資本業務提携を締結

HW ELECTRO(HWエレクトロ)株式会社は、アネスト岩田株式会社と、2023年3月に「Made in Japan=最高クオリティーの実現を目指す」をテーマに、自動車納車前整備(PDI)の業務提携ならびに資本提携を締結した。 アネスト岩田は今年創業97年の空気圧縮機や真空機器、塗装・塗布機器の製造販売を行う会社である。 HWエレクトロは、次世代の多用途EV商用車「ELEMO(エレモ)シリーズ」の車輌の開発・製造と販売を行うファブレスメーカーである。「環境問題」と「社会貢献」の視点から「The Essential Piece of Mobility(人に、社会に、不可欠なピースであるために)」をコンセプトにしている。2021年4月に輸入小型のEV商用車として国内で初めてナンバーを取得し、2021年7月24日より「エレモ」、11月20日より「エレモ-K」の販売を開始した。そして2023年6月には、中型バン「エレモ-L」が販売開始予定である。 流通・サービスの拡大に向けて HWエレクトロはものづくりにおいて、技術に加えものづくりに対する姿勢が品質の良さに繋がるとともに、信頼性としても評価されるとし、これを「Made in Japan」であると定義づけしている。この「Made in Japan」を実現するために、アネスト岩田の歴史と実績における製造技術が必要不可欠であると考えた。 またアネスト岩田は2026年に創業100周年を迎えるにあたり、新規事業開拓の必要性を強く感じていた。そこで、HWエレクトロの環境に配慮したラストワンマイル配送市場へのモビリティ事業や、商用EVが災害時におけるエネルギー源となり得る点に将来性を感じ、今回の資本業務提携が締結された。 この資本業務提携により、日本国内でのエレモの納車キャパシティーの拡大および全国レベルでのサービス体制の構築を実現することで、より多くのユーザーにエレモシリーズの車両を届けることができる。そして結果的に環境に優しく暮らしやすい社会の構築に貢献したいとしている。

TAG: #エレモ #商用EV
連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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