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TEXT:栁 蒼太
使用後EVの2次・3次利用の可能性を探る実証実験が開始

能勢町、豊能町、株式会社能勢・豊能まちづくり、株式会社 E-konzal(イー・コンザル)、EC SENSING株式会社、住友三井オートサービス株式会社(以下「SMAS」)は、2023年4月より、リユース EVを活用した運用実証を開始する。 適材適所な再リース・再々リース 世界中で脱炭素化や循環型社会実現への期待が高まる中で、限りある資源を有効活用する「サーキュ ラーエコノミー」の考え方が注目されている。それらの課題を解決しうる施策の一つとして「1台のEVを長く使い続けるコンセプト」が掲げられている。 再リース・再々リースの対象となるリユースEV車両について、公用車としての活用可能性を共同して検証する。 リユースEVは新車時と比較してバッテリー性能は低減するが、用途や条件によっては十分に車両電源として再び利用できる。EVの二次利用・三次利用の可能性を見極めることで、EV利用の選択肢を広げ、脱炭素化と循環型社会の実現に貢献することを目的としている。 EVを基軸に6者がコラボ 地域における脱炭素化に向けた対応が急務となる中、地方自治体でもEV導入の事例が増加している。地方自治体では、公用車の走行範囲が限定的となる利用実態をふまえて、今般リユースEVの活用可能性を検証すべく、共同して本実証に取り組む。 それぞれ、地域の脱炭素化ならびに循環型社会の実現に向けた取り組みを推進することで、地域社会の持続的発展に資することを目指している。EVを基軸にした6者のコラボレーションによって、全国に展開できる可能性の高い取り組みができるのではないだろうか。   (1)実証期間 2023年4月より2024年3月までの1年間 ※豊能町は、7 月より運用実証に参加予定 (2)実証内容 1.テーマ 地方自治体における脱炭素化ならびに循環型社会実現に向けた具体的施策としてのリユース EV導入の有効性検証および使用・要件の確立 2.検証項目 ・リユースEVに関する品質・性能面、心理面での課題検証 ・ガソリン車・新車EV等との経済性に関する比較検証 ・リユースEVのメインテナンスに関するトレーサビリティ ・EVバッテリーの劣化状態などに関するトレーサビリティ (3)主な役割 ・能勢町・豊能町 :公用車としてのリユースEVの使用実証および各種運用データの提供 ・能勢・豊能まちづくり:リユースEV充放電データの収集・提供 ・株式会社 E-konzal :実証実験の効果検証、取りまとめ ・EC SENSING 株式会社 :リユースEVのバッテリー劣化診断 ・SMAS:リユースEVの提供、仕様・保守要件および利用価値最大化に関する考察  

TAG: #SDGs #リユースEV
TEXT:烏山 大輔
北洲、HEV駆動用バッテリーをリユースした太陽光発電蓄電池システムE-Pillar(イーピラー)を開発 

宮城県の住宅メーカー・建設資材販売の北洲(ほくしゅう)は、太陽光発電蓄電池システムE-Pillarを開発したと発表した。このシステムは、東北大学の田路和幸名誉教授が考案したもので、HEV(ハイブリッド車)に搭載されていた中古の車載リチウムイオン・バッテリーを再利用することで実現している。環境負荷の低減に資する設備などの開発費用を補助する宮城県の補助事業に採択されている。 世界各国が気候変動対策としてEVの普及を加速させている中、車載用リチウムイオン・バッテリーの将来的な大量廃棄が懸念されている。そこで、北洲は家づくりを通して脱炭素社会の実現に向けた取り組みを進め、このようなリユースやリサイクルによる取り組みを行うことで、CO₂排出削減に貢献できると考え、開発に着手した。 今後は、事業化に向けた準備を進め、提携先企業を探していく予定だ。この取り組みが実現すれば、車載用リチウムイオン・バッテリーのリユースの受け皿としてだけでなく、住宅において自家発電・自家消費の仕組みを築くことで、CO₂排出削減に寄与することが期待される。 E-Pillar(イーピラー)の概要 【主に4つの使い方を想定】 1. 太陽光発電で発電した電力をE-Pillarを介してEVに給電(H2V) 2. EVに蓄えられた電力をE-Pillarを介して家電に放電して活用(V2H) 3. 平時には太陽光発電で発電した電力をE-Pillarに蓄電することも可能 4. 非常時には太陽光発電で発電した電力をE-Pillarを介することで安定的に住宅内へ供給

TAG: #V2H #バッテリー #蓄電池
TEXT:烏山大輔
ヤマト住建、電気を自給自足できる「トライブリッド蓄電システム」搭載のモデルハウスを上尾市と奈良市にオープン。停電時にEVからの給電も可能

注文住宅を手がけるヤマト住建は、ニチコン開発のトライブリッド蓄電システムを搭載した、電気の自給自足をかなえるモデルハウスを埼玉県上尾市と奈良県奈良市にオープンした。 太陽光発電システム・蓄電池・V2Hを連携したトライブリッド蓄電システムで電気の自給自足を可能に このシステムを搭載することで、電気の自給自足を実現する。エネルギーの価格が高騰している昨今で、普段の生活では電気代を気にせず、さらに災害等による停電時にも安心して暮らすことができる。上尾市と奈良市にオープンした2棟のモデルハウスは、実際の生活を見据えた見学や宿泊も可能だ。さらに実際停電になった際に蓄電池や電気自動車から、家の中に電気を供給する模擬停電も体験できる。 トライブリッド蓄電システムとは ニチコン開発のトライブリッド蓄電システムは太陽光発電・蓄電池・電気自動車を活用して、電気の自給自足を促進するシステムである。日中は太陽光で発電した電力を家庭で使い、使いきれなかった電力は蓄電池や電気自動車に貯める。貯まった電力を夜間や停電時に使用できることで、電気代を抑えられCO2排出量の削減にもなるので、家庭にも環境にもやさしい次世代の住宅になる。 モデルハウスでの模擬停電 上尾市・奈良市のモデルハウスでは実際の住宅での停電時を想定し、あえて一時的にブレーカーを落とした状態で蓄電池や電気自動車から住宅に電力を供給する様子を体験できる。電力会社からの供給が止まっても、家庭では電力を使用でき(6kWまたは6kVAまで)、蓄電池・電気自動車に貯まっている電力でほぼ普段通りの生活を送ることができる。

TAG: #V2H #充電
TEXT:岩尾信哉
トヨタの研究開発会社「ウーブン・バイ・トヨタ」、電気自動車開発を含む事業内容を発表

トヨタ自動車は2023年4月11日のプレスリリースにおいて、去る2月に「ウーブン・プラネット・ホールディングス」が社名を変更して生まれた「Woven by Toyota(ウーブン・バイ・トヨタ)」のグループ内での役割を明らかにした。 「ウーブン・バイ・トヨタ」は、トヨタのモビリティ技術を開発する子会社であり、「安全でスマートな人に寄り添うモビリティをすべての人に届ける」ことを目的として掲げている。具体的には、ソフトウェア・プラットフォーム「Arene(アリーン)」の研究開発、安全を第一においた自動運転技術、現在2025年の一部実証開始を目指して静岡県裾野市に建設中のモビリティのためのテストコース「Woven City(ウーブン・シティ)」を通じて、「人々と社会に移動の自由と安全、幸せを届ける」としている。今回の発表を機に、「ウーブン・バイ・トヨタ」の概要について解説する。 新体制発足に伴う社名変更 「ウーブン・バイ・トヨタ」は、2018年に東京で設立された「トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(TRI-AD)」を引き継ぐ企業である。TRI-ADは、自動運転技術のソフトウェア開発の企業として、トヨタ自動車、アイシン、デンソーが共同出資して誕生。米国におけるトヨタの自動運転やAI開発などの将来技術の研究開発拠点であるTRI(2016年設立)に対して、より現場に近い業務を行う日本側の開発拠点とされている。設立当初は、広く自動運転などの技術や知識を備える企業・人材を集めるという意図を含めて、「トヨタ」の名を冠さないことも新鮮な印象を与えていた。 その後TRI-ADは、2020年に持ち株会社として「ウーブン・プラネット・ホールディングス」として社名変更を受け、2021年以降は投資ファンドである「ウーブン・キャピタル」を含む4社で構成されるようになった。 そして今回、トヨタの新体制発足をきっかけとして、同社は「ウーブン・バイ・トヨタ」として新たにスタートすることになった。なお、同社のCEO(最高経営責任者)はジェームス・カフナー氏が継続してその役職を務めている。 あえてBEV開発に言及 先に触れた4月11日の発表内容を見ると、事業内容の説明にこれまで見られなかったBEV(バッテリー型EV)に向けた取り組みが加えられていることがわかる。従来はTRIと旧TRI-ADでは、自動運転と水素技術への取り組みが主な研究開発として主張されてきた印象があった。実際、TRI-ADは発足当初の目標として、「自動運転に関連する新しい技術と、先進的で安全なシステムを世界中の人々に届けること」を掲げていた。 「ウーブン・バイ・トヨタ」も、トヨタの佐藤恒治社長が先に発表した内容に基づき、トヨタの次世代モビリティに関する商品・技術開発を支える企業として、企業名に再びトヨタの文字が加えられてスタートすることになった。 確認しておけば、今回の発表リリースでも、「ウーブン・バイ・トヨタ」はトヨタが掲げている「トヨタモビリティコンセプト」、すなわちクルマの価値の拡張、モビリティの新領域への拡張、モビリティと社会システムとの融合を進めるとしている。そのうえで、「トヨタの先進的なBEVを含む次世代車の開発」という新たなテーマを加えたことは、佐藤新社長が就任発表時に打ち出したBEV開発推進の方針を受けての表明といえる。  

TAG: #BEV
TEXT:TET 編集部
ただ今知名度アップ中。スペインの「クプラ」が電動SUVクーペ「タバスカン」を披露

スペインの自動車メーカー「セアト」は4月21日(現地時間)、スポーティブランド「クプラ」から、電動SUVクーペ「タバスカン」をワールドプレミアした。 フォルクスワーゲン・グループに属する個性派ブランド 日本には正規輸入されていないためご存じない方も多いかもしれないが、セアトはフォルクスワーゲン・グループの一員として、南欧や南米で確固たる地位を築いているブランド。そのセアトにおいて、クプラは当初、フォルクスワーゲンのゴルフ級にあたる「レオン」などのスポーツグレードに与えられるサブネームとして生まれ、フォルクスワーゲンの「R」や、アウディの「S」モデルのような位置づけだった。 ただ、2018年にスポーティモデルの独立したブランドとなってからは、SUVの「アテカ」、電動ハッチバック「ボーン」など刺激的なモデルを矢継ぎ早に送り出している。 そのクプラからこの度登場したタバスカンは、全長4,644mm×全幅1,861mm×全高1,597mm、ホイールベース2,766mmのボディサイズを持つコンパクトSUVクーペ。ボディ後端に向けてなだらかに傾斜していくルーフラインや前下がりのキャラクターラインなどがスタイリッシュなサイドビューを強調。 一方で、吊り上がったヘッドライトの造形やワイド感を強調したフロントバンパー周囲の処理は、猛獣をイメージさせるアグレッシブな雰囲気で、どちらかというと知的な印象にまとめる傾向のある他のEVとは一線を画している。 こうしたタバスカンの過激なデザインは一朝一夕に成り立ったわけではなく、初出は2019年の「タバスカン・コンセプト」。その後もクプラはショーカーで顧客の反応を窺いながら慎重にモデルの開発を進めてきた。そして、ようやく同じグループ内のフォルクスワーゲン「ID.」やアウディ「e-tron」などと被らないオリジナリティの強いモデルとして今回市販化にこぎ着けたというわけだ。 もちろん、シナジー効果を高めるため、グループ内の資産は積極的に共用される。例えば、タバスカンはフォルクスワーゲン・グループの誇る電動車専用プラットフォーム「MEB」を採用しており、車格から言っても実質的にはグループ内の電動SUVクーペ、フォルクスワーゲン「ID.5」およびアウディ「Q4 スポーツバックe-tron」の兄弟車といえる。 >>>次ページ フォルクスワーゲン/アウディの兄弟車より強力なスペック

TAG: #SUV #VWグループ #クプラ
TEXT:烏山 大輔
フォルクスワーゲンとPowerCo(パワーコー)、カナダに過去最大規模のバッテリーセル工場を建設へ

フォルクスワーゲンと同社のバッテリー事業を担う子会社であるパワーコーが、カナダのオンタリオ州、セント・トーマスに、同社にとって過去最大規模のバッテリーセル工場を建設すると発表した。 パワーコーが欧州以外で初めて建設する工場で、年間最大90GWhのセル生産を目指す。 3ヵ所目、かつ最大規模のギガファクトリー セント・トーマス工場はフォルクスワーゲンとパワーコーにとって、ドイツ・ザルツギッター(生産能力40GWh、2025年稼働予定)、スペイン・バレンシア(同60GWh、2026年完成予定)に次いで、欧州以外では初のセル生産用ギガファクトリーだ。 最先端のユニファイドセル(どのVWのBEVでも使える統一規格のバッテリーセル)技術を採用し、北米におけるグループのBEVに使用される予定だ。工場の起工は2024年、生産開始は2027年を見込んでいる。 最終拡張段階で最大90GWh(1台当たり80kWhで112.5万台分、同60kWhで150万台分)の年間生産能力を持つこの工場は、昨年8月にフォルクスワーゲン、パワーコー、カナダ政府が合意した大規模計画の一環で、カナダにおけるeモビリティの推進に向けて、バッテリー生産の価値創造と原材料の確保に重点を置いている。 新工場では最大3,000人の高度技術者の雇用を創出し、さらにこの地域で数万人の間接雇用を生み出す可能性がある。今回の発表は、カナダのジャスティン・トルドー首相、イノベーション・科学・産業大臣のフランソワ・フィリップ・シャンパーニュ氏、オンタリオ州のダグ・フォード首相、オンタリオ州の経済開発・雇用創出・貿易大臣のビクター・フェデリ氏、セント・トーマス市長のジョー・プレストン氏が出席する中で行われた。 フォルクスワーゲン・グループのトマス・シュマル技術担当取締役は、「北米は、当社のグローバルバッテリー戦略において重要な役割を担っています。この地域は、ヨーロッパに次ぐパワーコーの第2の柱となり、北米で製造されたバッテリーセルを北米市場向けに提供します」と述べている。 パワーコーは2030年までに200億ユーロ(約2兆9,600億円)を超える年間収益を上げることが期待されている。 米自動車業界の中心で電池を生産する パワーコーがカナダにセル生産ネットワークを拡大することを決定したことは、フォルクスワーゲン・グループの北米における野心的な成長戦略をさらに実証する。 この戦略には、2030年までに米国とカナダで最も幅広いフルエレクトリックカーのポートフォリオを導入すること、米国とカナダでエレクトリファイ・アメリカ(※)の東海岸から西海岸までの充電ネットワークを拡大すること、2026年にSUVの元祖ともいわれる「スカウト」ブランドの最初のフルエレクトリックバージョン(サウスカロライナ工場で生産する計画)を導入することが含まれている。 ※エレクトリファイ・アメリカ。フォルクスワーゲン傘下の企業で、米国とカナダに充電ステーションを展開している。その一部にはコーヒーバーなどを備えた待合スペースのある「チャージング・ラウンジ」も含まれる。 ギガファクトリーが五大湖自動車回廊地帯の中心に位置する戦略的立地も注目に値する。オンタリオ州ロンドンから南へ約30kmに位置し、トロントやデトロイトなどの大都市からのアクセスも良好だ。工場は、サッカー場210面分に相当する約370エーカー(150ヘクタール)の敷地を有し、1,500エーカー(600ヘクタール)に及ぶ産業・サプライヤーパークの一部となる予定だ。さらにこの工場は100%CO2フリーのエネルギーが供給される予定である。

TAG: #ギガファクトリー #バッテリー #工場
TEXT:烏山 大輔
ヒョンデが愛知県豊橋市に新しいPDIセンターを設置。安定した出荷体制の構築へ

Hyundai Mobility Japan(ヒョンデモビリティジャパン)は、愛知県豊橋市に新しい車両整備センター(PDIセンター)を設置した。今後はPDIセンターを豊橋市の1拠点に集約し、品質をさらに向上させ、安定した出荷体制を構築する。 新しいPDIセンターは三河港に隣接しており、新車の陸揚げから整備・保管を半径5km圏内で実施でき、より効率的な新車整備が可能となる。2023年4月15日(土)には、第一船が三河港神野埠頭に入港した。今後の輸入台数増加に対応して、安定した新車の供給を目指す。 港湾事業に長い歴史を持ち、輸入車の新車整備においても経験豊富な株式会社上組(かみぐみ)に一連の業務を委託した。同社の豊富な知見を活用し、品質向上に努めていく。 三河港は日本有数の自動車輸出入港湾であり、国内外の大手自動車メーカーが輸出入に利用している。特に神野地区はその中心地であり、多くの輸入車ブランドが新車整備を行っている。また日本のほぼ中央に位置しており、全国各地への配送が容易であるため、行政も自動車専用船の入港誘致に積極的に取り組んでいる。さらに、耐震化や大規模モータープール(自動車メーカーなどが大量の車両を一時的に保管する場所)の開発などの設備投資や計画にも取り組んでおり、ますます重要性が高まっている。 愛知県豊橋市では、輸入車に対する補助金をはじめとするインセンティブ制度もあり、自治体からのサポートを受けることができる。自動車メーカーにとっては非常に魅力的な環境が整っている。

TAG: #PDI #自動車整備
TEXT:TET 編集部
ジャガー、EVの4ドアGTモデルを2023年後半に発表。さらなる新型車の予定も

ジャガー・ランドローバーグループ(JLR)は電動化の加速を中心とした経営変革プランを発表。そのなかで、ジャガー・ブランドのニューモデルとしてフル電動(BEV)の4ドアGTを、2024年から一部市場で発売すると明らかにした。 ジャガー史上最高の出力と最大700kmの航続距離を実現 往年のジャガーと言えば「XJ」に代表される流麗な大型4ドアサルーンがイメージリーダーだったが、そのXJも既に生産は終了し、今や売れ線は「F-PACE」、「E-PACE」などのSUV勢となっている。ではなぜ、XJの新世代モデルが登場していないかというと、それは電動化を進めるためとみられる。ジャガーの次期フラッグシップはBEVになることが既定路線というわけだ。 そうしたなか、今回の発表で明らかにされたのが、新たな電動4ドアGTの登場。ジャガーがあえて「4ドアサルーン」ではなく「4ドアGT」というフレーズを使っていることからも、新型車がコンベンショナルなセダンではなく、クーペライクなルーフラインを持つ流麗なデザインのモデルになると想像される。 そして、現行のジャガー4ドアモデルが「XE」、「XF」というミドルサイズのみであることから、新型4ドアGTは比較的大型のモデルになりそうだ。このモデルが新たなジャガーのフラッグシップになる可能性も否定できない。 JLRによると、新型4ドアGTはジャガー史上最高の出力と最大700kmの航続距離を備え、10万ポンド(約1670万円)を上回る価格設定になる予定。これまで、ジャガーはスーパーチャージドV8から600馬力を絞り出す「XE SV Project 8」といった超高性能モデルを送り出した経緯もあることから、新たなフラッグシップはそれを上回る出力を引っさげて登場する可能性もありそうだ。 >>>次ページ 他にも新型EVが2モデル登場予定

TAG: #XJ #セダン
TEXT:栁 蒼太
出光、種子島空港でEVの充電実証実験を開始

出光興産、種子島石油、種子島空港の3社は4月10日、種子島空港内の小規模オンサイトPPA(※)による空港ターミナルビルへの電力供給と、EV充電の共同実証を開始した。 ※オンサイトPPA:Power Purchase Agreement(電力販売契約)の一種で、PPA事業者所有の太陽光発電設備を使用者の敷地や事務所・工場などの屋根に設置し、電力を供給するもの。   3社のコラボで達成 3社は、空港におけるカーボンニュートラル実現のための施策として、空港敷地内に太陽光発電パネルを設置し、ターミナルビルにて太陽光由来の電力を活用することによるCO2の排出削減を実証するとともに、再エネ電力のさらなる普及を促進する。 実証にあたっては、2023年3月29日に出光興産が発表した再エネ電力分別供給システム「IDEPASS」を活用し、空港敷地内で発電した再エネ電力を空港ターミナルビルのテナントへ選択的に供給する。あわせて、種子島石油が空港敷地内で管理・運用するEV用普通充電器で、再エネ電力および系統から送電された再エネ以外の電力を公用EVなどに充電する。 なお、出光興産と種子島石油はこれまで、西之表市の公共交通車両のEV化・充電を含めたEV関連事業実証や、南種子町役場庁舎への再エネ電力の供給・EV充電等の実証等を通じ、各市町と協働して種子島における低炭素エネルギーの地産地消の推進に取り組んできた。 充電に多様な選択肢を 今回設置した普通充電器は、従量課金制(充電量に比例して課金)を採用する。さらに、出光興産が開発したEV充電システム「再エネチョイス」を活用しており、EVユーザーが自ら再エネでの充電を選択することが可能だ。 従量課金制による普通充電、そしてユーザーが再エネを選択できる充電は、本年4月3日に南種子町役場で開始した実証とともに、国内における先行事例となる。充電する電力種別や、必要充電量・金額をユーザーが選択することが可能であり、ユーザーニーズに合致した充電が可能となる。なお、当該充電器は一般の人も利用することができる。 どうなる、コラボの行く末 種子島空港は、島外との往来の空の玄関口であり、ビジネスや観光などの活動の起点となる場所だ。実証は4年間の予定で行い、小規模オンサイトPPAの事業性、再エネ電力活用によるCO2の排出削減、従量課金制充電の顧客満足・事業性等について検証する。これらの検証を通じ、出光興産、種子島石油、種子島空港は、空港における低炭素エネルギーの地産地消推進と、EVユーザーと地域の充電事業運営者にとって最適なサービスの構築を目指す。 なお、政府の第6次エネルギー基本計画(2021年10月)では、空港施設・空港車両のCO2排出削減を含む航空分野の脱炭素化の推進と同時に、「空港を再エネ拠点化する方策を検討・始動し、官民連携の取り組みを推進する」ことが盛り込まれている。この実証実験が全国展開への足がかりとなるか、期待したいものだ。  

TAG: #充電 #出光
TEXT:烏山 大輔
テスラの超急速充電器「スーパーチャージャー」、8か所46基増え日本全国で68か所328基が稼働。「オートパイロット」体験会が好評につき期間延長。

テスラの超急速充電器「スーパーチャージャー」が、日本全国で拡大している。現在、北海道から鹿児島まで計68ヵ所328基のスーパーチャージャーが稼働している。これらのスーパーチャージャーは、タッチスクリーンをタップするだけで認証や決済作業が不要で、手軽かつスムーズにテスラ車の充電が可能だ。 3月に新たにオープンした8ヵ所のスーパーチャージャー 東京 八重洲 250kW 4基 東京都中央区八重洲2-2-1(東京ミッドタウン八重洲) 東京 板橋前野 250kW 4基 東京都板橋区前野町4-21-22(イオンスタイル板橋前野) 神奈川 大井松田 250kW 6基 神奈川県足柄上郡大井町金子字中の町325-1(ノジマ大井松田店) 神奈川 厚木 250kW 8基 神奈川県厚木市岡田3005(ノジマ厚木本店) 静岡 250kW 6基 静岡県静岡市駿河区宮本町1-2(BEYOND静岡店) 兵庫 伊丹昆陽 250kW 8基 兵庫県伊丹市池尻4丁目1-1(イオンモール伊丹昆陽) 宮崎 250kW 4基 宮崎県宮崎市中村西3-94-1(エディオン宮﨑本店) 鹿児島 250kW 6基 鹿児島県鹿児島市東開町7(イオンモール鹿児島)   またテスラの「オートパイロット」体験会が好評につき5月31日まで延長された。 「オートパイロット」は、高速道路での運転をより快適なものにするためのテスラの運転支援機能のことである。アダプティブ・クルーズ・コントロールやレーン・キープ・アシストなどの高度な運転支援機能が全車標準装備されている。 この「オートパイロット」の体験会は、好評につきゴールデンウィーク期間中も開催される。未来の運転を体験してみたいという方は、ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。 オートパイロット体験会実施店舗 テスラサービスセンター東名川崎 神奈川県川崎市宮前区土橋6-10-1 テスラ心斎橋 大阪府大阪市中央区南船場4-2-4 テスラ福岡 福岡県福岡市中央区地行浜2丁目2−1

TAG: #充電
連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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