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さまざまな施策は新たなビジネスモデルへの布石
近年、EV(電気自動車)の販売競争は世界的に激化している。とくに中国メーカーの台頭が目立ち、価格競争が熾烈を極めるなか、テスラやBYDなどの大手EVメーカーは、大幅値引きや金利0%キャンペーンを実施し、シェア拡大を狙っている。これらの施策は単なる販売促進策ではなく、新たなビジネスモデルへの布石といえるだろう。
<ハードウェアからソフトウェアへの価値転換>
テスラが2024年6月まで実施した0%金利キャンペーンでは、Model 3 RWDの購入に際し、金利負担をなくすことや補助金の活用により、総額80万円以上の恩恵を受けられた。現在は、3月末までに納車されるModel Yの在庫車とModel 3を購入すると5年間スーパーチャージャーでの充電料金が無料になるというキャンペーンをやっている。
BYDも本体価格を割安に設定し、CEV補助金を活用して手に入れやすい価格戦略を打ち出している。これらの積極的な価格攻勢は、第一義的には単に販売台数を増やすためだけでなく、顧客基盤を早期に確保する意図がある。
また、従来のICE(内燃機関)車とは異なり、EVはハードウェアよりもソフトウェアで収益を上げるビジネスモデルへと移行しつつある。クルマ本体の販売価格を抑えることで、より多くの顧客を獲得し、アフターサービスやサブスクリプション型のサービスで継続的な収益を得ることを目指しているのだ。
そのほかEVメーカーにとって、販売台数を増やすことは単なる収益向上だけではなく、クルマを通じて得られる膨大な運転データや利用者情報を収集し、活用することが重要な目的となっている。
これらのデータを分析することで、ユーザーのニーズや嗜好を深く理解し、より魅力的な製品やサービスの開発につなげることができるのだ。加えて、自動運転技術の向上やMaaS(Mobility as a Service)の実現にも欠かせない要素となっている。